JP2005288810A - インクジェットプリンタ - Google Patents

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寛 竹内
Naoki Sato
直樹 佐藤
Shozo Kikukawa
省三 菊川
Shinichi Suzuki
眞一 鈴木
Katsuichi Kawabata
勝一 川端
Saori Nishio
さおり 西尾
Keisuke Kikuchi
恵介 菊地
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Abstract

【課題】均一系インクと分散系インクとを共に搭載し、インクの種類とインクに適合したフィルタの種類との最適化を図ると共に、インク供給系を可能な限り共通化し、高コストになることを抑えるインクジェットプリンタとする。
【解決手段】インクジェットプリンタ1において、均一系の第1のインクを貯蔵する第1インク用インクタンク5Aと、分散系の第2のインクを貯蔵する第2インク用インクタンク5Bと、第1インク用吐出口72Aと、第2インク用吐出口72Bと、第1インク用インク流路6Aと、第2インク用インク流路6Bと、第1インク用インク流路に設けたステンレス繊維をフェルト状に積層して焼結した第1インク用フィルタ61Aと、第2インク用インク流路に設けたステンレス繊維を綾畳み織りした第2インク用フィルタ61Bとを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、インクジェットプリンタに係り、特には異なる種類のインクを吐出する構成を有するインクジェットプリンタに関する。
従来、用紙やプラスチック薄板、布地等の記録媒体にインクを吐出して所定の画像を記録するインクジェットプリンタが提案され、実用化されている。
ところで、インクジェットプリンタ用のインクには大きく分けて2種類ある。すなわち、色材が溶剤に溶解している均一系インクと呼ばれるインクと、色材が溶剤に分散している分散系インクと呼ばれるインクである。前記2種類のインクはそれぞれ特徴を有しており、印刷物の用途等に応じてそれぞれを使い分けることが多い。特に、色材である顔料を水系の溶媒に分散したインクは、耐光性、耐滲み性などの画像保存性に優れているが、色再現範囲や光沢性などの画質性能で劣り、色材である染料を水系の溶媒に溶解したインクは、反対に画質性能に優れているが、画像保存性で劣るという特徴を一般に備えている。
そして、印刷物の用途等に応じて、均一系インクのみを吐出するプリンタを使用したり、分散系インクのみを吐出するプリンタを使用したり、均一系インクと分散系インクの両方を吐出するプリンタを使用したりする。
例えば、インクジェットプリンタによる捺染において、染色媒体がポリエステルの場合には分散染料を水系の溶媒に溶解した分散系インクが吐出されるプリンタが使用される。また、染色媒体が綿の場合には反応性染料を水系の溶媒に溶解した均一系インクが吐出されるプリンタが使用される。さらに、染色媒体が絹の場合には酸性染料を水系の溶媒に溶解した均一系インクが吐出されるプリンタが使用される。また、染色媒体がポリエステルと綿を混紡した布である場合には分散染料インクと反応性染料インクを同時に吐出するプリンタが使用される。
また、近年のインクジェットプリンタは、写真のような高画質の画像を印刷できると同時にレーザプリンタ並の濃度の濃い文字やグラフィックスを印刷できることが求められている。このため、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインクは均一系インクである染料インクを使用し、ブラック(K)のインクは分散系インクである顔料インクを使用する構成のプリンタにおいて、画像のハイライト部に使用する黒色は、周囲の染料インクによる画像と良く調和するように、Y,M,Cのインクを混合したコンポジット黒インクを使用し、シャドー部や文字は、高濃度を必要とするため、カーボンブラックを分散したリアル黒インクを使用することも行われている。
ここで、前記したように1台のプリンタに均一系インクと分散系インクの両方のインクと、それぞれを吐出するための記録ヘッドとを搭載する場合、インクの種類に応じて記録ヘッドやインク流路等の構成を変える必要がある。
一方、インクジェットプリンタにおいては、インクタンクと記録ヘッドの吐出口との間のインク供給系に設けるフィルタが、インク中の異物や気泡を除去するための重要な部品として知られており、例えば、SUS等の金属繊維からなる縦糸と横糸とを、所謂、綾畳み織りしてなるフィルタを使用すること(例えば、特許文献1参照)や、また、インク供給時における動圧を低くかつメニスカス強度を高く維持でき、成形の容易なフィルタとして金属繊維よりなる焼結不織布を使用すること(例えば、特許文献2参照)が知られている。
そして、前記したように1台のプリンタから均一系インクと分散系インクを別々に又は同時に吐出する場合、従来は、インクの種類に応じて最適なフィルタを使用することはなく、同一フィルタを使用して、フィルタの穴径、フィルタのサイズ、フィルタの設置位置等を変更して対処していた。しかし、近年、ノズルの数が各色、数十個から数百個に増え、また、インクの種類も4色から8〜10色と増加する傾向にあり、記録ヘッドの周りに大型のフィルタ等を配置することが困難になっている。
また、従来、染料インク用のフィルタで顔料を濾過すると、ラッシュアワー現象を生じて、流体抵抗が増大するため、顔料インクを焼結フィルタで濾過する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、本発明者の実験結果によると、特許文献3の記載とは逆に、顔料インクを焼結フィルタで濾過すると、フィルタが目詰まりし易いことが分かった。
特開平9−109411号公報 特開平9−187955号公報 特開平3−207663号公報
ところで、前記したような均一系インクと分散系インクといった異なる種類のインクとそれぞれのインクに応じた記録ヘッドとを1台のプリンタに搭載する場合に、それらのインクの種類等に応じたフィルタの使い分けなど、インクの種類とフィルタの種類との最適な組み合わせを行うことについては従来知られていなかった。
また、1台のプリンタに均一系インクと分散系インクとの両方のインクと、それぞれを吐出するための記録ヘッドとを搭載する場合、それらのインクの種類に関わらず同じインク供給系や記録ヘッドを用いることができれば部品の種類を減らすことができ、製造や修理も容易にできて望ましいが、それぞれにインクの特性が異なるために全く同じにすることは困難である。
そこで、本発明の課題は、色材を溶剤中に溶解したインクと色材を溶剤中に分散したインクを共に搭載し、それら両インクの種類とそれらインクに適合したフィルタの種類との最適化を図ったインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
また、本発明の課題は、色材を溶剤中に溶解したインクを収容するインクタンクとそのインクを吐出する吐出口との間のインク供給系と、色材を溶剤中に分散したインクを収容するインクタンクとそのインクを吐出する吐出口との間のインク供給系をフィルタ以外は共通化可能として、それらを構成する部品の種類を減らしつつ、それぞれのインクに適したインク供給系を備えるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
さらに、本発明の課題は、インクに最適なフィルタを選択することにより、フィルタ寿命を延ばし、長期間にわたって高画質を維持でき、かつフィルタを小型化して多ノズル、多色、高密度のヘッドにフィルタを配置し易くするインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
またさらに、本発明の課題は、色材を溶剤中に溶解したインクと色材を溶剤中に分散したインクを共に搭載しながらも、プリンタが高コストになることを抑えつつ、それぞれの吐出口における目詰まりを生じにくい、長期間の安定したインクの吐出が可能なインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、インクジェットプリンタにおいて、
色材を溶剤中に溶解した第1のインクを貯蔵する第1インク用インクタンクと、
色材を溶剤中に分散した第2のインクを貯蔵する第2インク用インクタンクと、
前記第1のインクを吐出する第1インク用吐出口と、
前記第2のインクを吐出する第2インク用吐出口と、
前記第1インク用インクタンクから第1インク用吐出口に第1のインクを供給する第1インク用インク流路と、
前記第2インク用インクタンクから第2インク用吐出口に第2のインクを供給する第2インク用インク流路と、
前記第1インク用インク流路に設けたステンレス繊維をフェルト状に積層して焼結した第1インク用フィルタと、
前記第2インク用インク流路に設けたステンレス繊維を綾畳み織りした第2インク用フィルタと、
を備えることを特徴としている。
このように請求項1に記載の発明によれば、第1インク用インク流路に設けたステンレス繊維をフェルト状に積層して焼結した第1インク用フィルタと、第2インク用インク流路に設けたステンレス繊維を綾畳み織りした第2インク用フィルタとを備えるため、それぞれのインクに適した異物除去が可能なインク供給系を実現することができる。
例えば、均一系インクである第1のインクの場合、異物として含まれている少量の固形物を除く必要があるだけでなく、必ずしも固形物とは言えない不定形の色材の凝集物を除く必要があり、ランダムな穴径を持ち、かつ空隙が広いために粒径がランダムな異物を良く捕集できる焼結フィルタが適している。一方、分散系インクである第2のインクは、顔料などの色材と、異物として含まれている固形物を精密に分離する必要があり、穴径、サイズの揃った綾畳み織りフィルタが適している。
ここで、本発明で使用する第1インク用フィルタと第2インク用フィルタについて説明する。
第1インク用フィルタである焼結フィルタは、図1に示すように、繊維が2次元的にランダムに積層して、それらの間に、曲がりくねった流路を形成した構造で、3次元的には立体構造となっている。このため、空隙率が65〜80%と大きく、圧力損失が低い特徴を持つ。但し、ファイバーを繋ぎ合わせたランダムな構造のため、穴径が一定せず、穴のサイズを規定できず、精密な濾過には向かない。穴径がランダムで、空隙が広いので、ランダムなサイズを持つ異物の捕集機能が高い。
第2インク用フィルタである綾畳み織りフィルタは、図2に示すように、複数本の横糸が縦糸の上に横たわって浮き糸となり、この浮き糸の隣同士がずれて斜めの畝を形成するようになっている。そして、図3に示すように、繊維の交点に生じる、三角形の空間に異物を捕集するものである。穴の形状が均一なため、濾過精度が高い。
インクジェットプリンタに使用するフィルタの穴径は、吐出口(以下、ノズルという場合もあり、双方は同じものを指すものとする。)を詰まらせる異物を取り除くため、ノズル穴径の1/3以下であることが好ましい。ノズル穴の直径は10〜30μm程度のため、フィルタの穴径は5〜10μm程度が良い。
均一系インクである染料インクには、少量の固形物やポリマー由来の不定形な異物が含まれるので、ランダムな穴径を持つ焼結フィルタが適している。
大量の固形物を含む分散系インクである顔料インクは、ランダムな内部構造を持つ焼結フィルタより、正確な内部構造を形成できる、綾畳み織りフィルタが適している。顔料インクの濾過に、内部構造の複雑な焼結フィルタを使用すると、フィルタが目詰まりし易い。例えば、公称1μmの穴径を持つ焼結フィルタは、1μm以下の穴を大量に含んでいる。ノズルを詰まらせる5〜10μm程度の異物を取り除くとき、1μmの焼結フィルタを使用すると、そのランダム構造のため、粒径0.1〜0.5μm程度の顔料粒子も一部除去されてしまい、フィルタの寿命が短くなる虞がある。
このように特許文献3の記載とは逆に、本発明者は、顔料インクの濾過に綾畳み織りフィルタを使用し、染料インクの濾過に焼結フィルタを使用すると、フィルタやノズルの目詰まりが起こり難いことを見出した。これに対して、顔料インクを焼結フィルタで濾過すると短時間でフィルタが目詰まりした。また、染料インクを綾畳み織りフィルタで濾過すると、フィルタを通過した不定形の異物がノズルを詰まらせた。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1インク用吐出口及び第2インク用吐出口からインクを吸引する吸引装置を備え、
前記吸引装置によるインク吸引の際、前記第1インク用フィルタによる圧力損失が、前記第2インク用フィルタによる圧力損失より小さいことを特徴としている。
このように請求項2に記載の発明によれば、第1インク用吐出口及び第2インク用吐出口からインクを吸引する吸引装置を備え、吸引装置によるインク吸引の際、第1インク用フィルタによる圧力損失が、第2インク用フィルタによる圧力損失より小さいため、気泡の溜まりやすい均一系インクである第1のインクのフィルタに溜まった気泡を、吸引時に効果的にフィルタを通過させて除去することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第2インク用インクタンクと第2インク用フィルタとの間の第2インク用インク流路における圧力損失が、前記第1インク用インクタンクと第1インク用フィルタとの間の第1インク用インク流路における圧力損失より小さく、
前記吸引装置によるインク吸引の際、前記第1インク用インクタンクと第1インク用吐出口との間の第1インク用インク流路全体の圧力損失と、前記第2インク用インクタンクと第2インク用吐出口との間の第2インク用インク流路全体の圧力損失とが略等しくなることを特徴としている。
このように請求項3に記載の発明によれば、第2インク用インクタンクと第2インク用フィルタとの間の第2インク用インク流路における圧力損失が、第1インク用インクタンクと第1インク用フィルタとの間の第1インク用インク流路における圧力損失より小さく、吸引装置によるインク吸引の際、第1インク用インクタンクと第1インク用吐出口との間の第1インク用インク流路全体の圧力損失と、第2インク用インクタンクと第2インク用吐出口との間の第2インク用インク流路全体の圧力損失とが略等しくなるため、均一系インクと分散系インクのフィルタの圧力損失の大きさの差に関わらず、インク供給系全体の圧力損失を同等として、記録ヘッドの背圧の設定や吸引負圧の設定を均一系インクと分散系インクとで同じ設定とすることができる。これにより、異なる種類のインクを使用する部分の部品及び機構を共通化させることができる。なお、インク流路の圧力損失は流路の径や長さで制御することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1インク用吐出口からインクを吸引する際と、前記第2インク用吐出口からインクを吸引する際とで、吸引装置の吸引力が変更可能となっていることを特徴としている。
このように請求項4に記載の発明によれば、第1インク用吐出口からインクを吸引する際と、第2インク用吐出口からインクを吸引する際とで、例えば吸引装置であるチューブポンプのモータ回転数を変えることで吸引力が変更可能となっているため、環境条件が変化してもインク粘度の変化状況に応じて吸引力を変更することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1インク用吐出口を備える第1インク用記録ヘッドと、
前記第2インク用吐出口を備える第2インク用記録ヘッドと、
を備え、
前記第1インク用記録ヘッドと第2インク用記録ヘッドとがそれぞれ別体で構成されていることを特徴としている。
このように請求項5に記載の発明によれば、第1インク用吐出口を備える第1インク用記録ヘッドと、第2インク用吐出口を備える第2インク用記録ヘッドとを備え、第1インク用記録ヘッドと第2インク用記録ヘッドとがそれぞれ別体で構成されているため、均一系インクと分散系インクを混合させないようにすることができる。
また、均一系インクと分散系インクを同時に吐出すると、相互に反応して凝集が起こるが、均一系インクを吐出してインクが媒体に吸収された後、分散系インクを吐出するようにできるため、これを防ぐことができる。特に、顔料黒インクが、染料インクと接触する部分は、黒画像の周辺が滲んだり、ぼやけたり、白ちゃけたりし易く、肉眼でも良く分かる画像劣化となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1インク用吐出口と第2インク用吐出口が同数になるように構成されていることを特徴としている。
このように請求項6に記載の発明によれば、第1インク用吐出口と第2インク用吐出口が同数になるように構成されているため、ヘッドサイズが同じとなり、シリアル方式のプリンタにおいては記録媒体搬送方向の印刷幅が同じとなって、記録ヘッドやその周辺部品及び機構を共通化することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第2インク用インクタンクと第2インク用フィルタとの間の第2インク用インク流路に、ステンレス繊維を綾畳み織りし、かつ前記第2インク用フィルタよりメッシュの大きなフィルタを更に備えることを特徴としている。
このように請求項7に記載の発明によれば、第2インク用インクタンクと第2インク用フィルタとの間の第2インク用インク流路に、ステンレス繊維を綾畳み織りし、かつ第2インク用フィルタよりメッシュの大きなフィルタを更に備えるため、メッシュの大きな綾畳み織りフィルタにより、予め大きな固形の異物を除去することができる。そのため、綾畳み織りフィルタの目詰まりが生じ難く、特にメッシュの小さな綾畳み織りフィルタを長期間交換せずに使用することができ、フィルタの交換時期を延ばすことができる。
従来、綾畳み織りフィルタは、焼結フィルタに比べて空隙率が低いので、目詰まりを防ぐため、フィルタ径を大きくしなければならなかった。しかし、多ノズル、高密度ヘッドは、ヘッド周囲に大きなフィルタを配置するスペースがないので、ダブルフィルタを用いることで、フィルタ径を縮小することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第2のインクは、分子量3000以上の高分子化合物を含有することを特徴としている。
この請求項8に記載の発明のように、フィルタ繊維に吸着してフィルタの目詰まりを起こし易い分子量3000以上の高分子化合物を含有する分散インクを使う場合でも、本発明により目詰まりを起こし難いインク供給系とすることができる。
分子量3000以上の高分子化合物は顔料を分散する分散剤であり、分散安定化のため過剰に使用したポリマーが分散系インク中に含まれることが多い。このため、5〜10μmの異物を除去するとき、0.1〜0.5μm程度の顔料粒子もかなり捕捉されて、フィルタが詰まり易くなる。これに対し、内部構造がランダムな焼結フィルタは、ノズルを詰まらせる虞がある。そこで本発明のように、内部構造が規則的な綾畳み織りフィルタを用いることが好ましい。
請求項1に記載の発明によれば、色材を溶剤中に溶解した第1のインクと色材を溶剤中に分散した第2のインクを共に吐出可能としたインクジェットプリンタでありながら、それぞれのインク供給系における異物や気泡の除去が最適化され、フィルタの目詰まりを起こし難く、また、それぞれの吐出口からのインクの吐出不良の発生を抑制することができる。その結果、良好なインク吐出を行うことができ、良好な画像形成を行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドのヘッドメンテナンスにおける吸引時の気泡の除去を確実かつ容易に行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、異なる種類のインクを使用する部分の部品及び機構を共通化させることができるため、高コスト化を抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、気泡の量やインク粘度等の状況に応じて吸引力を変更することができるため、環境条件が変化してもより確実に気泡の除去を行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、均一系インクと分散系インクが混合してヘッドの表面で凝集してノズルを詰まらせたり、媒体表面で反応して滲みや色調が変化することを防ぐことができる。
請求項6に記載の発明によれば、記録ヘッドやその周辺部品及び機構を共通化することができるため、高コスト化を抑制することができる。
請求項7に記載の発明によれば、フィルタを小型化し、フィルタの交換時期を延ばすことができるため、コストを抑えることができる。
請求項8に記載の発明によれば、フィルタ繊維に吸着してフィルタの目詰まりが比較的起こり易い分子量3000以上の高分子化合物を含有するインクであっても、綾畳み織りフィルタは、焼結フィルタと異なり、フィルタの目詰まりを起こし難く、長期間安定したインクの吐出を行うことができる。
以下、図面を参照しながら本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ただし、本発明は図示例のものに限定されるものではない。
まず図4を参照して、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの構成について説明する。図4は本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの全体を示す概略構成図である。
インクジェットプリンタ1は、シリアル方式のインクジェットプリンタであり、記録媒体Pに対してインクを吐出し、記録媒体P上に画像を記録するものである。インクジェットプリンタ1には、記録媒体搬送機構41(図8に図示)が備わっており、この記録媒体搬送機構41が、平板状に形成され記録媒体Pを非記録面から支持するプラテン2上の記録媒体Pを、図4における記録領域Yを通過させながら主走査方向Aと直交する搬送方向に搬送するようになっている。
プラテン2の上方には、主走査方向Aに沿って延在するガイドレール3が配置されている。このガイドレール3にはキャリッジ4が支持されており、このキャリッジ4は、記録媒体Pに対してインクを吐出する記録ヘッドを搭載し、キャリッジ駆動機構42(図8に図示)によりガイドレール3に沿って、ホームポジション領域Xからメンテナンス領域Zにかけて主走査方向Aに往復移動するようになっている。
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1は、図4に示すように、色材を溶剤中に溶解した第1のインクとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色の均一系インクを吐出可能となっており、当該インクを吐出する第1インク用記録ヘッド7Aを色毎に備えている。また、色材を溶剤中に分散した第2のインクとして、ブラック(K)の分散系インクを吐出可能となっており、当該インクを吐出する第2インク用記録ヘッド7Bを備えている。つまり、合計で4個の記録ヘッドがキャリッジ4に設置されている。また、第1インク用記録ヘッド7Aと第2インク用記録ヘッド7Bは別体になっているか、あるいは主走査方向又は記録媒体の搬送方向に離間させた状態になっている。本実施形態においては、4個の記録ヘッドが主走査方向Aに1列に配置されている。また、第1インク用記録ヘッド7Aと第2インク用記録ヘッド7Bはノズル密度180dpiで、それぞれ各色512ノズル(以下、吐出口という場合もあるが、ノズルと吐出口は同じものを指すものとする。)を持っている。なお、インクジェットプリンタで使用されるインクはこれらに限定されず、例えば、ライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)等の色を使用することも可能である。また、この場合には、各色に対応した記録ヘッドがキャリッジ4に搭載される。
また、色材を溶剤中に溶解した第1のインク(均一系インク)としては、インクジェット捺染に用いられるような、反応性染料を水系の溶媒に溶解したインクや酸性染料を水系の溶媒に溶解したインクに限らず、例えば、色材としての染料を溶剤中に溶解した、所謂、染料インクを包含するものである。
さらに、色材を溶剤中に分散した第2のインク(分散系インク)としては、インクジェット捺染に用いられるような、分散染料を水系の溶媒に分散したインクに限らず、例えば、色材としての顔料を溶剤中に分散した、所謂、顔料インクを包含するものである。
これら記録ヘッド7A,7Bにおける記録媒体Pと対向する吐出面71A,71Bには、図5及び図6に示すように、インクを吐出する吐出口72A,72Bが配設されている。この吐出口72A,72Bは、前述したように色毎にそれぞれ512個の吐出口を備えるものである。
また、各記録ヘッド7A,7Bには、インクを貯蔵するインクタンク(第1のインクを色毎に貯蔵するそれぞれの第1インク用インクタンク5A、第2のインクを貯蔵する第2インク用インクタンク5B)が、インク供給管などのインク流路(第1インク用インク流路6A、第2インク用インク流路6B)を介して連結されている。この要部の構成を示したものが図7である。つまり、インクタンク内のインクは、インク流路によって各記録ヘッドに供給されるようになっている。また、インクタンク5A,5Bと記録ヘッド7A,7Bの間のインク流路6A,6Bには、キャリッジ4の主走査方向への左右動によりインクにかかる慣性力が変化し、これがインク背圧の変化を引き起こすことを防ぐ緩衝装置であるダンパー8A,8Bや、インク流路の開閉を行う流路制御弁9A,9Bが設けられている。さらに、図5及び図6に示すように、流路制御弁9A,9Bと、記録ヘッド7A,7Bにおいてインクを吐出するための圧力室73A,73Bとの間のインク流路6A,6Bには、インク中の異物を除去するためのフィルタが設置されている。
前記フィルタとしては、ステンレス繊維をフェルト状に積層して焼結した焼結フィルタである第1インク用フィルタ61Aが、前記第1インク用インク流路6Aに設置され、ステンレス繊維を綾畳み織りした綾畳み織りフィルタである第2インク用フィルタ61Bが前記第2インク用インク流路6Bに設置されている。第1インク用フィルタの具体例としては7μmのステンレス繊維を焼結したもの(商品名:メタルファイバー(光栄モスフィルター工業株式会社製))、第2インク用フィルタの具体例としては25μmのステンレス繊維を綾畳み織りしたもの(商品名:サスクリーン(光栄モスフィルター工業株式会社製))が挙げられる。
また、前記第2インク用インクタンク5Bと第2インク用フィルタ61Bとの間の第2インク用インク流路6Bに、ステンレス繊維を綾畳み織りした綾畳み織りフィルタであり、かつ前記第2インク用フィルタ61Bよりメッシュの大きな第2フィルタ62Bを更に備えるようになっている。
また、後述する吸引装置11によるインク吸引の際、フィルタ構造の違いにより第1インク用フィルタ61Aによる圧力損失が、第2インク用フィルタ61Bによる圧力損失より小さいので、前記第2インク用インクタンク5Bと第2インク用フィルタ61Bとの間の第2インク用インク流路6Bにおける圧力損失が、前記第1インク用インクタンク5Aと第1インク用フィルタ61Aとの間の第1インク用インク流路6Aにおける圧力損失より小さくなるようにインク流路の断面積、長さ、形状等が構成されている。
そして、結果として、吸引装置によるインク吸引の際、前記第1インク用インクタンク5Aと第1インク用吐出口72Aとの間の第1インク用インク流路6A全体の圧力損失と、前記第2インク用インクタンク5Bと第2インク用吐出口72Bとの間の第2インク用インク流路6B全体の圧力損失とが略等しくなるように構成されている。
なお、図5及び図6においては、吐出口72A,72Bはそれぞれ1つのみ記載されているが、吐出口72A,72Bはそれぞれ、図5,図6における前後方向に複数配設されているものである。また、図5,図6,図7には図示されていないが、第1インク用インクタンク5A、第2インク用インクタンク5B、第1インク用インク流路6A、第2インク用フィルタ61B、ダンパー8A,8B、流路制御弁9A,9B、第1インク用フィルタ61A、第2インク用フィルタ61B、第1インク用記録ヘッド7A、第2インク用記録ヘッド7B等は、各インクの色毎に設けられているものである。
また、本実施形態のインクタンク5A,5Bは、大型のインクジェットプリンタのように記録ヘッドと離して配設される比較的大きなインク容器であるが、インクを貯蔵するインクタンクとしては、これに限るものではなく、記録ヘッドに近接して配置し、走査型のプリンタではヘッドと一体に走査される、所謂、インクカートリッジと称されるようなインク容器も含むものである。
さらに、インクを貯留するインクタンクとして、大容量のメインインクタンクと小容量のサブインクタンクを備える場合がある。このときには、メインインクタンクからサブインクタンクにインクが供給されて当該サブインクタンクで一旦インクが貯留され、その後、サブインクタンクから記録ヘッドにインクが供給されるようになっている。この際、フィルタは少なくともサブインクタンクと記録ヘッドの間に設けられるようになっている。
キャリッジ4の移動可能範囲であってプラテン2の設けられている記録領域Yの外側一端はメンテナンス領域Zとなっており、当該メンテナンス領域Zには、記録ヘッドに対してヘッドメンテナンスを行うメンテナンスユニット10が設けられている。このメンテナンスユニット10には、吐出口からインクを吸引する吸引装置11、ブレード16、インク受器17等が設けられている。
前記吸引装置11には、記録ヘッドの吐出面を覆う吸引キャップ12が記録ヘッドの数に対応して設けられている。また、当該吸引キャップ12の底面には、吸引キャップ12の内部に連通するインク連通管13が設けられている。このインク連通管13の途中に、吸引ポンプ14が設けられており、インク連通管13の下端には、吸引したインクを受ける廃インクタンク15が設けられている。なお、吸引ポンプ14は、第1インク用吐出口72Aと第2インク用吐出口72Bとで吸引力が変更可能となっていても良い。
また、吸引キャップ12の一端近傍に、記録ヘッドの吐出口からインクを空吐出させた際に吐出されたインクを受けるインク受器17が設けられており、このインク受器17に隣接して吐出面に付着したインクを拭き取るブレード16が設けられている。
吸引ポンプ14はシリンダーポンプやチューブポンプを有して構成されていて、吸引キャップ12が吐出面を覆った状態で作動することにより、吐出口から記録ヘッド内部のインクを異物や気泡と共に吸引するための吸引力を発生するようになっている。
なお、前記メンテナンスユニット10におけるブレード16の代わりに、記録ヘッドの吐出面に付着したインクを吸い取る役割を担うインク吸収装置が設けられていても良い。
当該インク吸収装置としては、例えばシート形状のインク吸収体と、インク吸収体を巻回するためにインク吸収体の両端に設けるロール軸と、2つのロール軸の間のインク吸収体の下面側に設けて当該インク吸収体を温めるヒータと、ロール軸駆動機構等により構成されるものが挙げられる。
また、キャリッジ4の移動範囲の他の一端部であってプラテン2を挟んで前記メンテナンス領域Zと反対の位置はホームポジション領域Xとされており、当該ホームポジション領域Xには、記録ヘッド7A,7Bを保湿する保湿ユニット20が設けられている。保湿ユニット20には、記録ヘッドが待機状態にあるとき、吐出面を覆うことで記録ヘッドのインクを保湿する4個の保湿キャップ21が設けられている。これら4個の保湿キャップ21は、4個の記録ヘッドの吐出面を同時に覆うことができるよう、記録ヘッドの配列に対応して配列されている。
次に、図8を参照しつつ本実施形態における制御構成について説明する。
本実施形態において、インクジェットプリンタ1には、図8に示すように、キャリッジ駆動機構42、記録媒体搬送機構41、記録ヘッド7A,7B、メンテナンスユニット10、保湿ユニット20、流路制御弁9A,9B等を制御する制御部30が設けられている。なお、制御部30は、CPU31、RAM32、ROM33等で構成されており、当該制御部30はインターフェイス(図示省略)を介してキャリッジ駆動機構42、記録媒体搬送機構41、記録ヘッド7A,7B、メンテナンスユニット10、保湿ユニット20、流路制御弁9A,9B、入力部45等と接続されている。
制御部30は、キャリッジ4を主走査方向Aに往復移動させるとともに、キャリッジ4の動作に合わせて記録媒体Pの搬送と停止とを繰り返し、記録媒体Pを間欠的に搬送方向に搬送させるように、キャリッジ駆動機構42及び記録媒体搬送機構41の動作を制御するようになっている。
さらに、制御部30には、画像情報を入力するホストコンピュータやスキャナ、画像記録条件を入力するキーボード等からなる入力部45及び記録ヘッド7A,7Bが接続されており、制御部30は、入力部45から入力された所定の信号に基づいて記録ヘッド7A,7Bを動作させ、記録媒体P上にインクを吐出させて所定の画像を記録させるようになっている。
また、制御部30は、、所定のメンテナンス開始条件に当てはまった場合や、電源投入から所定時間が経過する毎及び手動操作によって、メンテナンスユニット10及び流路制御弁9A,9Bを作動させてヘッドメンテナンスを行わせるように制御している。
さらに、制御部30は、画像形成時でもヘッドメンテナンス時でもない待機状態の際に、保湿ユニット20に、保湿キャップ21による保湿動作を行わせるように制御する。
次に、以上のように構成されたインクジェットプリンタ1の動作について説明する。
まず、本実施形態において、画像記録時及びヘッドメンテナンス時以外のときには記録ヘッドを搭載したキャリッジ4は保湿ユニット20の上に待機した待機状態となっており、この保湿ユニット20に設けた保湿キャップ21によって記録ヘッドにおける吐出口が覆われることにより、吐出口を保護している。
次に、画像記録時の動作について説明する。
ユーザが記録媒体Pをインクジェットプリンタ1にセッティングし、インクジェットプリンタ1の電源をオン状態とすると、インクジェットプリンタ1の各部に対して給電が行われる。そして、インクジェットプリンタ1の制御部30に対して、入力部45から画像情報が送られると共に各種画像記録条件の設定情報が送られると、制御部30は、画像記録を開始させ、記録ヘッドを搭載したキャリッジ4がプラテン2の上方に移動する。その際、保湿ユニット20が下降することにより、保湿キャップ21が記録ヘッド7A,7Bから外される。
キャリッジ4が所定の位置に到達すると、記録媒体搬送機構41によって記録媒体Pが搬送方向に搬送され、同時にキャリッジ4が主走査方向Aに沿って往復移動する。ここで、記録媒体搬送機構41は搬送及び搬送停止を順に繰り返し、記録媒体Pを間欠的に搬送する。
間欠的搬送における停止中に、キャリッジ4がプラテン2上を主走査方向Aに往動し、復動し又は往復移動する。キャリッジ4の移動に伴って複数の記録ヘッドもキャリッジ4と一体となって移動するが、これら記録ヘッド7A,7Bは移動中に吐出面の各吐出口から記録媒体Pに向けてインクを液滴として吐出し、飛翔したインク液滴が、停止している記録媒体Pに着弾する。これを繰り返すことにより記録媒体Pに所定の画像が記録される。
次に、ヘッドメンテナンス時の動作について説明する。
記録ヘッド7A,7Bのヘッドメンテナンス時には、まず、キャリッジ4がガイドレール3に沿ってメンテナンスユニット10の吸引装置11の上方に移動し、吸引キャップ12により記録ヘッド7A,7Bの吐出口72A,72Bを覆う。それから、流路制御弁9A,9Bを閉じ、吸引ポンプ14を作動させ、吸引が開始され、記録ヘッドにおける吐出口からインクと共に気泡が吸い出される。このような吸引動作により、気泡を除去する。なお、1回の吸引動作でフィルタ上流側の気泡が全て除去できないときは、同様の吸引動作を数回繰り返す。
その後、吸引キャップ12を離間させて、キャリッジ4をブレード16の位置まで移動させ、ブレード16により吐出面を拭き取らせる等のメンテナンス動作が行われる。
そして、ブレード16を離間させ、キャリッジ4をインク受器17まで移動させて空吐出を行い、ヘッドメンテナンス動作を終了する。
なお、本発明のインクジェットプリンタは、図9に示すような構成のものでも良い。
すなわち、図9に示すインクジェットプリンタ100は、プラテン102の上方に、主走査方向Bに沿って延在する2つのガイドレール103A,103Bが配置されている。このガイドレール103A,103Bにはキャリッジ104A,104Bが支持されており、このキャリッジ104A,104Bは、記録媒体Pに対してインクを吐出する記録ヘッドを搭載し、キャリッジ駆動機構によりガイドレール103A,103Bに沿って、ホームポジション領域からメンテナンス領域にかけて主走査方向Bに往復移動するようになっている。
このインクジェットプリンタ100は、色材を溶剤中に溶解した第1のインクとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の均一系インクを吐出可能となっており、当該インクを吐出する第1インク用記録ヘッド107Aをキャリッジ104Aに備えている。また、色材を溶剤中に分散した第2のインクとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の分散系インクを吐出可能となっており、当該インクを吐出する第2インク用記録ヘッド107Bをキャリッジ104Bに備えている。つまり、合計で8個の記録ヘッドが設置されている。
これら各記録ヘッド107A,107Bにおける記録媒体Pと対向する吐出面171A,171Bには、インクを吐出する多数の吐出口(図示省略)が配設されている。
また、各記録ヘッド107A,107Bには、第1のインクを貯蔵する第1インク用インクタンク105Aと第2のインクを貯蔵する第2インク用インクタンク105Bとが、それぞれインク供給管などの第1インク用インク流路106A、第2インク用インク流路106Bを介して連結されている。また、インクタンク105A,105Bと記録ヘッド107A,107Bの間のインク流路106A,106Bには、ダンパー(図示省略)や、インク流路の開閉を行う流路制御弁(図示省略)が設けられている。さらに、流路制御弁と、記録ヘッド107A,107Bにおいてインクを吐出するための圧力室との間のインク流路106A,106Bには、インク中の異物を除去するためのフィルタが設置されている。
前記フィルタとしては、ステンレス繊維をフェルト状に積層して焼結した焼結フィルタである第1インク用フィルタ161Aが、前記第1インク用インク流路106Aに設置され、ステンレス繊維を綾畳み織りした綾畳み織りフィルタである第2インク用フィルタ161Bが前記第2インク用インク流路106Bに設置されている。
また、前記第2インク用インクタンク105Bと第2インク用フィルタ161Bとの間の第2インク用インク流路106Bに、ステンレス繊維を綾畳み織りした綾畳み織りフィルタであり、かつ前記第2インク用フィルタ161Bよりメッシュの大きな第2フィルタ162Bを更に備えるようになっている。
なお、メンテナンスユニット、保湿ユニット等の他の構成は前記した実施形態のインクジェットプリンタ1と同様であるので、図示及び説明を省略する。
次に、本発明のインクジェットプリンタに使用可能なインクの例及び当該インクとフィルタの組み合わせについて示す。
「実施例1」
本発明の図4に示したインクジェットプリンタ1に使用可能なインクとフィルタの組み合わせについて説明する。
実施例1は、Y,M,Cインクに染料インクを使用して当該インクをそれぞれ焼結フィルタを介して吐出し、Kインクに顔料インクを使用して当該インクを綾畳み織りフィルタを介して吐出した例である。
<染料イエローインク(Y)>
C.I.ダイレクトイエロー120 3重量%
ジエチレングリコール 8.9重量%
プロパンジオール 13.7重量%
2−ピロリドン 1.9重量%
サーフィノール465 0.2重量%
イオン交換水 残部
<染料マゼンタインク(M)>
C.I.アシッドレッド289 3重量%
エチレングリコール 6.1重量%
ジエチレングリコール 4.1重量%
グリセリン 13.4重量%
プロピレングリコール 5.3重量%
2−プロパノール 3重量%
サーフィノール465 0.2重量%
尿素 5重量%
イオン交換水 残部
<染料シアンインク(C)>
C.I.ダイレクトブルー199 3重量%
プロピレングリコール 13重量%
2−ピロリドン 9.1重量%
2−プロパノール 3重量%
サーフィノール465 0.1重量%
エチレンウレア 9重量%
イオン交換水 残部
<顔料ブラックインク(K)>
カーボンブラック分散液 16重量%
エチレングリコール 15重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量%
ペレックスOT−P(花王株式会社製) 0.2重量%
プロキセル(バイエル社製) 0.2重量%
イオン交換水 残部
上記組成を分散し、孔径1ミクロンのミリポアフィルタ濾過機を2度通過させ、体積平均粒径44nmのインクを得た。
なお、前記カーボンブラック分散液は、次のようにして得たものである。
<カーボンブラック分散液>
トーカブラック #8500(東海カーボン株式会社製) 120g
ジョンクリル62(ジョンソンポリマー株式会社製) 69g
レベノールWX(花王株式会社製) 3g
ジエチレングリコール 100g
イオン交換水 300g
以上を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、カーボンブラック分散液を得た。その後、遠心分離器で沈降物を除去した。
Y,M,Cの染料インクをそれぞれ第1インク用インクタンクに入れ、焼結フィルタを介して、第1インク用吐出口から吐出した。Kの顔料インクを第2インク用インクタンクに入れ、綾畳み織りフィルタを介して、第2インク用吐出口から吐出した。
フィルタは、光栄モスフィルター工業株式会社製の7μmのステンレス繊維を焼結したものと、25μmのステンレス繊維を綾畳み織りしたものを使用した。
ヘッドは、ノズル径26μm、ノズル数512個、ノズル密度180dpiのピエゾヘッドを使用した。全ノズルから吐出したときのフィルタ圧力損失は、焼結フィルタで水頭値10cm、綾畳み織りフィルタで水頭値20cmであった。この顔料インクのノズルにおけるインクメニスカスがブレイクする水頭値が40cmの負圧であるので、顔料インクタンクと綾畳み織りフィルタ間の圧力損失が20cmになるように、配管長で制御した。一方、染料インクのノズルにおけるインクメニスカスがブレイクする水頭値が45cmの負圧であるので、染料インクタンクと焼結フィルタ間の圧力損失が35cmになるように、配管長で制御した。
圧電素子に15Vの矩形波を掛けて、10kHZで10pl滴を10m/secで吐出した。全ノズルから1時間連続吐出したが、吐出滴の重量、速度、飛行方向が変化することはなかった。
「実施例2」
Y,M,Cの染料インクをそれぞれ第1インク用インクタンクに入れ、焼結フィルタを介して、第1インク用吐出口から吐出し、Kの顔料インクを第2インク用インクタンクに入れ、実施例1のフィルタより穴径の大きなフィルタ、実施例1のフィルタの順で2枚の綾畳み織りフィルタを介して、第2インク用吐出口から吐出した。フィルタ以外のヘッド構成及びインク組成は、実施例1と同じである。
圧電素子に15Vの矩形波を掛けて、10kHZで10pl滴を10m/secで吐出した。全ノズルから1時間連続吐出したが、吐出滴の重量、速度、飛行方向が変化することはなかった。
「比較例1」
顔料インクに対するフィルタを綾畳み織りフィルタから焼結フィルタに交換し、顔料インクを焼結フィルタを介して吐出したこと以外は、実施例1と同じである。
圧電素子に15Vの矩形波を掛けて、10kHZで10pl滴を10m/secで吐出した。全ノズルから1時間連続吐出したが、染料インクの吐出は正常であった。しかし、顔料インクの吐出量と吐出速度が次第に低下し、画像の乱れが発生した。フィルタが短時間で閉塞したためである。
「比較例2」
各染料インクに対するフィルタを焼結フィルタから綾畳み織りフィルタに交換し、染料インクを綾畳み織りフィルタを介して吐出したこと以外は、実施例1と同じである。
圧電素子に15Vの矩形波を掛けて、10kHZで10pl滴を10m/secで吐出した。全ノズルから1時間連続吐出したが、顔料インクの吐出は正常であった。しかし、染料インクの吐出量が次第に低下し、部分滴に不吐出ノズルが発生して、画像の乱れが発生した。染料インクのノズルが不定形物で閉塞していた。
「実施例3」
本発明の図9に示したインクジェットプリンタ100に使用可能なインクとフィルタの組み合わせについて説明する。
反応性染料インクを第1インク用インクタンクに入れ、焼結フィルタを介して第1インク用吐出口から吐出した。
分散染料インクを第2インク用インクタンクに入れ、綾畳み織りフィルタを介して第2インク用吐出口から吐出した。
分散染料インクの調製は、分散染料の分散液を作り、それから、分散染料インクを作成した。
<分散液1>
C.I.Disperse Yellow160 24重量%
ジエチレングリコール 30重量%
イオン交換水 30.6重量%
前記成分に加えて、分散剤バニレックスRN(日本製紙社製)を混合して、高圧ホモジナイザーで分散圧力1000barで分散を10時間行った。
<分散染料イエローインク(Y)>
C.I.Disperse Yellow160 5重量%
ジエチレングリコール 46.8重量%
トリエチレングリコール 0.05重量%
イオン交換水 残部
前記分散液1を用いて前記イエローインクの組成になるように調製した。これを1ミクロンのメンブランフィルタで濾過してインクを作製した。
<分散液2>
分散染料をC.I.Disperse Red302に変え、その他は分散液1と同様にして、同様の分散を行った。
<分散染料マゼンタインク(M)>
C.I.Disperse Red302 6.4重量%
ジエチレングリコール 43重量%
グリセリン 42.5重量%
イオン交換水 残部
前記分散液2を用いて前記マゼンタインクの組成になるように調製した。これを1ミクロンのメンブランフィルタで濾過してインクを作製した。
<分散液3>
分散染料をC.I.Disperse Blue60に変え、その他は分散液1と同様にして、同様の分散を行った。
<分散染料シアンインク(C)>
C.I.Disperse Blue60 8.5重量%
グリセリン 10.5重量%
エチレングリコール 10重量%
トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル 15.5重量%
ジエチレングリコール 10.6重量%
エマルゲン911 0.05重量%
イオン交換水 残部
前記分散液3を用いて前記シアンインクの組成になるように調製した。これを1ミクロンのメンブランフィルタで濾過してインクを作製した。
<分散染料ブラックインク(K)>
C.I.Disperse Yellow160 3重量%
C.I.Disperse Red302 3.5重量%
C.I.Disperse Blue60 4.5重量%
グリセリン 7.5重量%
エチレングリコール 10重量%
トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル 7.5重量%
ジエチレングリコール 10.6重量%
エマルゲン911 0.05重量%
イオン交換水 残部
前記分散液1〜3を用いて前記ブラックインクの組成になるように調製した。これを1ミクロンのメンブランフィルタで濾過してインクを作製した。
これら分散染料インクをそれぞれ第2インク用インクタンクに入れ、綾畳み織りフィルタを介して、第2インク用吐出口から吐出した。
フィルタは、光栄モスフィルター工業株式会社製の25μmのステンレス繊維を綾畳み織りしたものを使用した。
ヘッドは、ノズル径26μm、ノズル数512個、ノズル密度180dpiのピエゾヘッドを使用した。全ノズルから吐出したときのフィルタ圧力損失は、水頭値20cmであった。
圧電素子に15Vの矩形波を掛けて、10kHZで10pl滴を10m/secで吐出した。全ノズルから1時間連続吐出したが、吐出滴の重量、速度、飛行方向が変化することはなかった。こららの分散染料インクは分子量3000以上のポリマー分散剤(バニレックスRN)を含有するが、フィルタの目詰まりは起こらなかった。
反応性染料インクの調製は、以下のように行った。
<反応性染料イエローインク(Y)>
C.I.Reactive Yellow95 11重量%
ジエチレングリコール 25重量%
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01重量%
イオン交換水 残部
<反応性染料マゼンタインク(M)>
C.I.Reactive Red24 10重量%
ジエチレングリコール 29重量%
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01重量%
イオン交換水 残部
<反応性染料シアンインク(C)>
C.I.Reactive Blue72 13重量%
ジエチレングリコール 25重量%
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01重量%
イオン交換水 残部
<反応性染料ブラックインク(K)>
C.I.Reactive Black8 10重量%
ジエチレングリコール 25重量%
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01重量%
イオン交換水 残部
これら反応性染料インクをそれぞれ第1インク用インクタンクに入れ、焼結フィルタを介して、第1インク用吐出口から吐出した。
フィルタは、光栄モスフィルター工業株式会社製の7μmのステンレス繊維を焼結したものを使用した。
ヘッドは、ノズル径26μm、ノズル数512個、ノズル密度180dpiのピエゾヘッドを使用した。全ノズルから吐出したときのフィルタ圧力損失は、水頭値10cmであった。
圧電素子に15Vの矩形波を掛けて、10kHZで10pl滴を10m/secで吐出した。全ノズルから1時間連続吐出したが、吐出滴の重量、速度、飛行方向が変化することはなかった。
「比較例3」
各インクに対する綾畳み織りフィルタと焼結フィルタを入れ替えたこと以外は、実施例3と同じである。つまり、反応性染料インクを綾畳み織りフィルタで、分散染料インクを焼結フィルタを介して吐出した。
圧電素子に15Vの矩形波を掛けて、10kHZで10pl滴を10m/secで吐出した。全ノズルから1時間連続吐出したが、吐出滴の重量と速度が次第に低下して、画像の乱れが発生した。フィルタとノズルの詰まりが原因であった。
「実施例4」
本発明の図9に示したインクジェットプリンタ100に使用可能なインクとフィルタの他の組み合わせについて説明する。
Y,M,C,Kインクに、染料インクを使用して、それぞれ第1インク用インクタンクから、焼結フィルタを介して吐出した。
フィルタは、光栄モスフィルター工業株式会社製の7μmのステンレス繊維を焼結したものを使用した。
同時に、Y,M,C,Kインクに、顔料インクを使用して、それぞれ第2インク用インクタンクから、綾畳み織りフィルタを介して吐出した。
フィルタは、光栄モスフィルター工業株式会社製の25μmのステンレス繊維を綾畳み織りしたものを使用した。
ヘッドは、ノズル径26μm、ノズル数512個、ノズル密度180dpiのピエゾヘッドを使用した。
圧電素子に15Vの矩形波を掛けて、10kHZで10pl滴を10m/secで吐出した。全ノズルから1時間連続吐出したが、吐出滴の重量と速度が低下して、画像の乱れが発生することはなかった。
<染料イエローインク(Y)>
C.I.ダイレクトイエロー120 3重量%
ジエチレングリコール 8.9重量%
プロパンジオール 13.7重量%
2−ピロリドン 1.9重量%
サーフィノール465 0.2重量%
イオン交換水 残部
<染料マゼンタインク(M)>
C.I.アシッドレッド289 3重量%
エチレングリコール 6.1重量%
ジエチレングリコール 4.1重量%
グリセリン 13.4重量%
プロピレングリコール 5.3重量%
2−プロパノール 3重量%
サーフィノール465 0.2重量%
尿素 5重量%
イオン交換水 残部
<染料シアンインク(C)>
C.I.ダイレクトブルー199 3重量%
プロピレングリコール 13重量%
2−ピロリドン 9.1重量%
2−プロパノール 3重量%
サーフィノール465 0.1重量%
エチレンウレア 9重量%
イオン交換水 残部
<染料ブラックインク(K)>
フードブラック2 3.5重量%
ジエチレングリコール 6.4重量%
グリセリン 9.1重量%
トリメチロールプロパン 6.8重量%
尿素 7重量%
安息香酸 1重量%
サーフィノール465 0.3重量%
イオン交換水 残部
<顔料イエローインク(Y)>
C.I.ピグメントイエロー128 5重量%
分散剤1 3重量%
エチレングリコール 7重量%
グリセリン 4重量%
2−ピロリドン 7重量%
サーフィノール465 0.3重量%
イオン交換水 残部
分散剤1:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸=78/22、平均分子量12000
<顔料マゼンタインク(M)>
C.I.ピグメントレッド122 4重量%
分散剤1 2.5重量%
グリセリン 7重量%
2−ピロリドン 4重量%
1,2,6−ヘキサントリオール 2重量%
エチレンウレア 10重量%
サーフィノール465 0.2重量%
イオン交換水 残部
<顔料シアンインク(C)>
C.I.ピグメントブルー15:3 5重量%
分散剤1 3重量%
エチレングリコール 8重量%
グリセリン 5重量%
2−ピロリドン 5重量%
トリエチレングリコール 4重量%
エチレンウレア 10重量%
サーフィノール465 0.2重量%
イオン交換水 残部
<顔料ブラックインク(K)>
カーボンブラック 3.5重量%
分散剤1 1.5重量%
グリセリン 7重量%
2−ピロリドン 5重量%
トリエチレングリコール 6重量%
エチレンウレア 10重量%
サーフィノール465 0.2重量%
イオン交換水 残部
「比較例4」
各インクに対する綾畳み織りフィルタと焼結フィルタを入れ替えたこと以外は、実施例4と同じである。つまり、染料インクを綾畳み織りフィルタで、顔料インクを焼結フィルタを介して吐出した。全ノズルから1時間連続吐出したが、不吐出ノズルが発生して、画像に白筋が目立った。フィルタやノズルの詰まりが原因であった。
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタによれば、第1インク用インク流路に設けたステンレス繊維をフェルト状に積層して焼結した第1インク用フィルタと、第2インク用インク流路に設けたステンレス繊維を綾畳み織りした第2インク用フィルタとを備えるため、それぞれのインクに適した異物除去が可能なインク供給系を実現することができる。
例えば、均一系インクである第1のインクの場合、異物として含まれている少量の固形物を除く必要があるだけでなく、必ずしも固形物とは言えない不定形の色材の凝集物を除く必要があり、ランダムな穴径を持ち、かつ空隙が広いために粒径がランダムな異物を良く捕集できる焼結フィルタが適している。一方、分散系インクである第2のインクは、顔料などの色材と、異物として含まれている固形物を精密に分離する必要があり、穴径、サイズの揃った綾畳み織りフィルタが適している。
これにより、色材を溶剤中に溶解した第1のインクと色材を溶剤中に分散した第2のインクを共に吐出可能としたインクジェットプリンタでありながら、それぞれのインク供給系における異物や気泡の除去が最適化され、フィルタの目詰まりを起こし難く、また、それぞれの吐出口からのインクの吐出不良の発生を抑制することができる。その結果、良好なインク吐出を行うことができ、良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態では、第1インク用吐出口及び第2インク用吐出口からインクを吸引する吸引装置を備え、吸引装置によるインク吸引の際、第1インク用フィルタによる圧力損失が、第2インク用フィルタによる圧力損失より小さいため、気泡の溜まりやすい均一系インクである第1のインクのフィルタに溜まった気泡を、吸引時に効果的にフィルタを通過させて除去することができる。
これにより、記録ヘッドのヘッドメンテナンスにおける吸引時の気泡の除去を確実かつ容易に行うことができる。
さらに、本実施形態では、第2インク用インクタンクと第2インク用フィルタとの間の第2インク用インク流路における圧力損失が、第1インク用インクタンクと第1インク用フィルタとの間の第1インク用インク流路における圧力損失より小さく、吸引装置によるインク吸引の際、第1インク用インクタンクと第1インク用吐出口との間の第1インク用インク流路全体の圧力損失と、第2インク用インクタンクと第2インク用吐出口との間の第2インク用インク流路全体の圧力損失とが略等しくなるため、均一系インクと分散系インクのフィルタの圧力損失の大きさの差に関わらず、インク供給系全体の圧力損失を同等として、記録ヘッドの背圧の設定や吸引負圧の設定を均一系インクと分散系インクとで同じ設定とすることができる。これにより、異なる種類のインクを使用する部分の部品及び機構を共通化させることができる。
これにより、高コスト化を抑制することができる。
またさらに、本実施形態では、第1インク用吐出口からインクを吸引する際と、第2インク用吐出口からインクを吸引する際とで、例えば吸引装置であるチューブポンプのモータ回転数を変えることで吸引力が変更可能となっているため、環境条件が変化してもインク粘度の変化状況に応じて吸引力を変更することができる。
これにより、環境条件が変化してもより確実に気泡の除去を行うことができる。
また、本実施形態では、第1インク用吐出口を備える第1インク用記録ヘッドと、第2インク用吐出口を備える第2インク用記録ヘッドとを備え、第1インク用記録ヘッドと第2インク用記録ヘッドとがそれぞれ別体で構成されているため、均一系インクと分散系インクを混合させないようにすることができる。
また、均一系インクと分散系インクを同時に吐出すると、相互に反応して凝集が起こるが、均一系インクを吐出してインクが媒体に吸収された後、分散系インクを吐出するようにできるため、これを防ぐことができる。
これにより、均一系インクと分散系インクが混合してヘッドの表面で凝集してノズルを詰まらせたり、媒体表面で反応して滲みや色調が変化することを防ぐことができる。
さらに、本実施形態では、第1インク用吐出口と第2インク用吐出口が同数になるように構成されているため、ヘッドサイズが同じとなり、シリアル方式のプリンタにおいては記録媒体搬送方向の印刷幅が同じとなって、記録ヘッドやその周辺部品及び機構を共通化することができる。
これにより、高コスト化を抑制することができる。
またさらに、本実施形態では、第2インク用インクタンクと第2インク用フィルタとの間の第2インク用インク流路に、ステンレス繊維を綾畳み織りし、かつ第2インク用フィルタよりメッシュの大きなフィルタを更に備えるため、メッシュの大きな綾畳み織りフィルタにより、予め大きな固形の異物を除去することができる。そのため、綾畳み織りフィルタの目詰まりが生じ難く、特にメッシュの小さな綾畳み織りフィルタを長期間交換せずに使用することができ、フィルタを小型化し、フィルタの交換時期を延ばすことができる。
これにより、コストを抑えることができる。
また、本実施形態では、フィルタ繊維に吸着してフィルタの目詰まりを起こし易い分子量3000以上の高分子化合物を含有する分散インクを使う場合でも、本発明により目詰まりを起こし難いインク供給系とすることができる。
これにより、フィルタ繊維に吸着してフィルタの目詰まりが比較的起こり易い分子量3000以上の高分子化合物を含有するインクであっても、綾畳み織りフィルタは、焼結フィルタと異なり、フィルタの目詰まりを起こし難く、長期間安定したインクの吐出を行うことができる。
以上、本実施形態のインクジェットプリンタによれば、染料インクに焼結フィルタを介し、顔料インクに綾畳み織りフィルタを介して吐出することで、フィルタ詰まり、ノズル詰まりが起こり難く、長期間、高画質を維持することができる。
なお、本発明に係るインクジェットプリンタは、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、記録ヘッドは、圧電素子を備える構成とは限らず、例えばヒータを備える構成としてもよい。
また、記録ヘッドの数も本実施の形態に挙げたものに限らず、適宜の数を備えるもので良い。
またさらに、本実施形態において、本発明に係るインクジェットプリンタは、キャリッジに搭載された記録ヘッドを走査方向に往復移動させるとともに、記録媒体を搬送方向に搬送させながら、記録ヘッドからインクを吐出させて、画像を形成するシリアル方式のインクジェットプリンタとしたが、プリンタ本体に固定された記録ヘッドからインクを吐出させると共に、記録媒体を搬送させて、画像を形成するライン方式のインクジェットプリンタに適用することも可能である。
第1インク用フィルタである焼結フィルタを示す図である。 第2インク用フィルタである綾畳み織りフィルタを示す図である。 綾畳み織りフィルタの拡大図である。 本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成を示す図である。 本実施形態のインクジェットプリンタにおける第1インク用フィルタ付近を示す概略図である。 本実施形態のインクジェットプリンタにおける第2インク用フィルタ付近を示す概略図である。 本実施形態のインクジェットプリンタにおけるインクタンクから記録ヘッドの間の構成を示す概略図である。 本実施形態のインクジェットプリンタにおける主要な制御構成を示す制御ブロック図である。 本発明の他の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成を示す図である。
符号の説明
1,100 インクジェットプリンタ
3,103A,103B ガイドレール
4,104A,104B キャリッジ
5A,105A 第1インク用インクタンク
5B,105B 第2インク用インクタンク
6A,106A 第1インク用インク流路
6B,106B 第2インク用インク流路
7A,107A 第1インク用記録ヘッド
7B,107B 第2インク用記録ヘッド
9A 第1インク用流路制御弁
9B 第2インク用流路制御弁
10 メンテナンスユニット
11 吸引装置
12 吸引キャップ
14 吸引ポンプ
20 保湿ユニット
30 制御部
61A,161A 第1インク用フィルタ
61B,161B 第2インク用フィルタ
62B,162B 第2フィルタ
72A 第1インク用吐出口
72B 第2インク用吐出口
A,B 主走査方向
P 記録媒体

Claims (8)

  1. 色材を溶剤中に溶解した第1のインクを貯蔵する第1インク用インクタンクと、
    色材を溶剤中に分散した第2のインクを貯蔵する第2インク用インクタンクと、
    前記第1のインクを吐出する第1インク用吐出口と、
    前記第2のインクを吐出する第2インク用吐出口と、
    前記第1インク用インクタンクから第1インク用吐出口に第1のインクを供給する第1インク用インク流路と、
    前記第2インク用インクタンクから第2インク用吐出口に第2のインクを供給する第2インク用インク流路と、
    前記第1インク用インク流路に設けたステンレス繊維をフェルト状に積層して焼結した第1インク用フィルタと、
    前記第2インク用インク流路に設けたステンレス繊維を綾畳み織りした第2インク用フィルタと、
    を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 前記第1インク用吐出口及び第2インク用吐出口からインクを吸引する吸引装置を備え、
    前記吸引装置によるインク吸引の際、前記第1インク用フィルタによる圧力損失が、前記第2インク用フィルタによる圧力損失より小さいことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
  3. 前記第2インク用インクタンクと第2インク用フィルタとの間の第2インク用インク流路における圧力損失が、前記第1インク用インクタンクと第1インク用フィルタとの間の第1インク用インク流路における圧力損失より小さく、
    前記吸引装置によるインク吸引の際、前記第1インク用インクタンクと第1インク用吐出口との間の第1インク用インク流路全体の圧力損失と、前記第2インク用インクタンクと第2インク用吐出口との間の第2インク用インク流路全体の圧力損失とが略等しくなることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記第1インク用吐出口からインクを吸引する際と、前記第2インク用吐出口からインクを吸引する際とで、吸引装置の吸引力が変更可能となっていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
  5. 前記第1インク用吐出口を備える第1インク用記録ヘッドと、
    前記第2インク用吐出口を備える第2インク用記録ヘッドと、
    を備え、
    前記第1インク用記録ヘッドと第2インク用記録ヘッドとがそれぞれ別体で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
  6. 前記第1インク用吐出口と第2インク用吐出口が同数になるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
  7. 前記第2インク用インクタンクと第2インク用フィルタとの間の第2インク用インク流路に、ステンレス繊維を綾畳み織りし、かつ前記第2インク用フィルタよりメッシュの大きなフィルタを更に備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
  8. 前記第2のインクは、分子量3000以上の高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
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