JP2005288323A - 光触媒材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大気条件下で窒素酸化物の除去効果が高く、水洗再生が可能な光触媒材料及びその製造方法の提供。
【解決手段】 基材の表面に、光触媒(例えばTiO2)粒子、含フッ素共重合体(好ましくはフッ素含有率20質量%以上)、溶剤を含むニスを除去し、形成された塗着層から溶剤を除去して、20℃、75%RHにおいて3〜10質量%の平衡含水率を示し、かつ50〜300m2/gの比表面積と、好ましくは光触媒層1kg当り2mmol以上のNO2吸着量を有する多孔質構造の光触媒層を形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光を利用して空気中等の窒素酸化物(NOx)等を除去して環境を浄化するための光触媒材料に関する。より詳しく述べるならば、本発明は、大気中NOxを除去することを主たる目的としてトンネル内、駐車場等に設置されるNOx除去装置、並びに道路防音壁、ビル外壁、歩道パネルなどの外装建材などに使用される、NOx浄化用光触媒材料およびその製造方法に関するものである。
大気中の窒素酸化物を除去する技術開発は、主として自動車、工場等の発生源対策を中心に行われており、特定大規模工場から排出する高濃度の窒素酸化物(NOx)に対しては、高温においてアンモニアと反応させて、窒素酸化物を窒素と水に還元する「選択的接触還元法」が実用化されてきた。また、ガソリンエンジン車からの窒素酸化物の排出技術は、「三元触媒」、及び「リーンバーン」等の導入により改善されてきた。
近年、酸化チタン光触媒を用い、太陽光を利用して大気中の窒素酸化物を浄化する技術も知られるようになり、最近では、舗装道路や防音壁等の道路構造物に酸化チタン光触媒を塗布することが、地方自治体の道路沿道で行われ、その効果が実証されている。(竹内浩士、「光触媒による環境大気の浄化、・修復技術」、大気環境学会誌、33、139−150、1998年、非特許文献1)。また、道路トンネルの排気設備に酸化チタンを用いた例も報告されている。(西方聡、「低濃度脱硝装置」、工業材料、45,86−88、1997年、非特許文献2)。
また、光触媒による窒素酸化物除去処理の際に問題となる二酸化窒素(NO2)の副生成を抑制するための技術としては、「汚染物質の除去方法および浄化材」(特開平6−315614号公報、特許文献1)に光触媒粒子に活性炭を混合担持させる技術が開示されている。また、「大気中の窒素酸化物の除去処理装置」(特開2002−126451号公報、特許文献2)には吸着剤としてヒドロキシアパタイト粒子を担持させる技術が開示されている。「トンネル空気浄化装置」(特開平8−151899号公報、特許文献3)、「トンネル内空気浄化装置およびその装置に用いられるトンネル内装板」(特開平9−271635号公報、特許文献4)、「高速道路上の汚染空気の浄化方法」(特開平10−151323号公報、特許文献5)、「気体浄化・吸音部材、気体浄化装置及び気体浄化システム」(特開平10−249167号公報、特許文献6)等が公知である。
光触媒を基材に担持させる方法としては、表面にフッ素樹脂微粒子を融着させた光触媒を塗布、加熱融着させる方法が「光触媒層を形成する担持方法」(特開平7−265714号公報、特許文献7)に、汚れ防止のためガラス繊維とPTFE複合基材表面に酸化チタンを担持させる技術が、「膜構造材およびその製造方法」(特開平9−207289号公報、特許文献8)に開示されている。また、光触媒シートの製造方法としては、有機物シートの表面に光触媒ゾル液を塗布し、熱をかけながら圧力をかける方法が「光触媒シート及びその製造方法」(特開平9−111022号公報、特許文献9)に開示されている。
しかし、これらの方法を空気中の窒素酸化物除去のための材料に使用しても、高湿度環境で中間生成物であるNO2の発生が十分抑制できなかったり、除去容量(能力)が不十分であるなどの理由により満足すべき性能のものは得られていなかった。
竹内浩士、「光触媒による環境大気の浄化、・修復技術」、大気環境学会誌、33、139−150、1998年 西方聡、「低濃度脱硝装置」、工業材料、45、86−88、1997年 特開平6−315614号公報「汚染物質の除去方法および浄化材」 特開2002−126451号公報「大気中の窒素酸化物の除去処理装置」 特開平8−151899号公報「トンネル空気浄化装置」 特開平9−271635号公報「トンネル内空気浄化装置およびその装置に用いられるトンネル内装板」 特開平10−151323号公報「高速道路上の汚染空気の浄化方法」 特開平10−249167号公報「気体浄化・吸音部材、気体浄化装置及び気体浄化システム」 特開平7−265714号公報「光触媒層を形成する担持方法」 特開平9−207289号公報「膜構造材およびその製造方法」 特開平9−111022号公報「光触媒シート及びその製造方法」
従来のNOx浄化用光触媒材料は、特に高湿度環境になると光触媒表面に水蒸気が多く吸着し、NO2吸着力が低下するため有害なNO2が副生成しやすく、これがNOx除去率や除去容量の低下に繋がっていた。また、光触媒基材はNOxの処理最終生成物である硝酸イオンが蓄積すると水洗や雨水によって再生する必要があるが、活性炭等の吸着剤を添加すると洗浄による再生が困難になることや吸着剤の安定性が不十分であるなどの問題があった。
本発明は、これら従来のNOx浄化用光触媒酸化チタン基材が抱えていた問題点を解決し、吸着剤を添加することなくNO2の副生成が少なく高いNOx浄化率を有し、水洗によって容易に再生が可能で且つ外装材としての使用にも耐える密着性を備え、これらの性能が維持される実用性の高いNOx浄化用光触媒材料およびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の光触媒材料は、
基材と、この基材表面に形成され、かつ光触媒粒子と、含フッ素共重合体とを含む光触媒層とを含み、
前記光触媒層が、温度20℃、及び相対湿度75%の環境条件下において、3〜10質量%の平衡含水率を有し、かつ50〜300m2/gの比表面積を有する
ことを特徴とするものである。
本発明の光触媒材料において、前記光触媒層に含まれる前記光触媒粒子の前記含フッ素共重合体に対する質量比が3:1〜15:1の範囲内にあることが好ましい。
本発明の光触媒材料において、前記光触媒粒子が、複数の微細二酸化チタン一次粒子の凝集体からなる二次粒子であることが好ましい。
本発明の光触媒材料において、前記光触媒材料が前記含フッ素共重合体により粘着保持され、かつ光触媒層は、その外界大気に連通する多孔質構造を有し、前記光触媒粒子表面が、直接、又は前記外孔質構造を介して前期外界大気に露出していることが好ましい。
本発明の光触媒材料において、前記光触媒層が、その質量1kg当り2ミリモル以上のNO2吸着量を示すことが好ましい。
本発明の光触媒材料において、前記基材が、金属板、樹脂、不織布、その他の繊維製品、及びこれらの複合体または成型体のうち少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の光触媒材料において、前記含フッ素共重合体のフッ素含有率が20質量%以上であることが好ましい。
本発明の光触媒材料において、前記フッ素共重合体のフッ素含有率が35〜75質量%であることがより好ましい。
光触媒材料を製造する本発明方法は、含フッ素共重合体と、その溶剤とを含むフッ素樹脂ワニス中に、光触媒粒子を分散させ、この光触媒粒子含有フッ素樹脂ワニスを、基材の表面に塗着し、この塗着層から前記溶剤分を除去することを含むものである。
本発明方法において、前記塗着層から溶剤を除去したのち、得られた塗膜を5〜200MPaの圧力下に、基材に圧着することをさらに含むことができる。
本発明方法において、前記光触媒粒子が、複数の微細二酸化チタン一次粒子の凝集体からなる二次粒子であることが好ましい。
本発明方法において、前記光触媒層に紫外線を照射して、その初期性能を向上させることをさらに含んでいてもよい。
本発明の光触媒材料は、空気浄化用NOx除去装置、道路材及びビル外壁材などに使用して従来の方法では得られなかった高い実用性と優れた除去効率を示し、かつ長寿命を得ることが可能であり、本発明の製造方法は、このような光触媒材料を容易に、かつ効率よく製造することを可能にする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、光触媒酸化チタンの表面特性がNOx除去性能に及ぼす影響について実験研究を重ねた。発明者らは、これらの研究の中で、光触媒材料の性能を試験するために1〜3ppmの低濃度に調製したNOガスを、紫外線を照射しながら光触媒試験基板と平行に連続的に接触、通過させる試験セル(平行板型拡散スクラバー)を用い、試験セル(平行板型拡散スクラバー)の出口側のNO、NO2濃度を連続的にモニタリングする方法を採用した。
本発明者らはまず、光触媒二酸化チタンをSiO2などの無機系親水性物質で表面処理した場合と、エポキシ系樹脂又はフッ素樹脂などの有機系疎水性物質で表面処理した場合との性能を比較し、その結果親水性物質を使用した場合は、NO2の副生成が多く、短時間で出口側濃度が上昇してしまうのに対し、有機系疎水性物質で表面処理した場合には、NO2の副生成が少なく、安定した除去率を示すことを確認した。
本発明者らは、さらに親水性物質で二酸化チタン粒子を表面処理した場合にはNO2の副生成量が多くなる理由を検討し、これは、二酸化チタン表面に吸着した水分量が多いと、二酸化チタン粒子のNO2の吸着能力が低下し、中間生成物であるNO2が、そのまま処理されずに残るためであると考え、光触媒層中に吸着されている水分量を測定し、一定湿度・温度における平衡含水率とNOx除去性能との相関性を検討した。その結果、温度が20℃、相対湿度が75%の条件で測定された光触媒層の平衡含水率が10質量%以下のものでは、有害なNO2がほぼ発生しないことを新たに見出した。また、長時間の連続除去試験により吸着、飽和した硝酸イオンを除去・再生するために、連続除去試験後の被試験板を流水で水洗い、乾燥したのち同様の試験を行ったところ、除去能力は初期の程度に回復することを確認した。
一方、光触媒表面に高疎水性樹脂成分を多く付着させ、同条件における平衡含水率を3質量%未満となるよう調製した光触媒では、同じく試験初期においてNO2が発生しなかったが、長時間の連続試験により吸着、飽和した硝酸イオンを除去するために水洗い、乾燥したのち同様の試験を行ったところ、除去能力の回復が不十分であり、水洗による再生が困難であることが認められた。
本発明者らは、これらの研究において、NOx除去用光触媒材料が、光触媒層の温度が20℃、相対湿度が75%の環境条件下における平衡含水率を3〜10質量%の範囲内にコントロールすることにより、最も良好な性能を発揮することを見出したのである。
次に本発明者らは、光触媒層の比表面積とNO除去率との関係に着目し、それを詳細に検討した。その結果、比表面積が大きい光触媒粒子を疎水性有機樹脂材料と混合、被覆、乾燥した場合、有機樹脂材料の配合比が高いほど、その比表面積が減少することが比表面積測定装置を使用して見出された。この場合、比表面積が50〜300m2/gの範囲内にある光触媒粒子を使用したときのNO除去率は、90%以上であり、比表面積が50m2未満のときのNO除去率およびNOx除去率が著しく低いことを見出した。
また同時に、光触媒層の質量1kgあたりのNO2吸着量を測定し、NOx除去率の優れた光触媒材料のNO2吸着容量(能力)が全て2mmol以上であることを見出した。
さらに発明者らは、表面処理に使用する疎水性有機樹脂の種類と組成、基材の種類、およびこれを基材に強固に密着させる光触媒基材の製造方法についても検討し、本発明を完成させた。
即ち本発明の光触媒材料は、基材と、この基材の表面に形成されかつ光触媒粒子と、含フッ素共重合体とを含む光触媒層とを含むものであって、この光触媒層は温度が20℃、相対湿度が75%の環境条件下における平衡含水率が3〜10質量%の範囲内にあり、かつその比表面積は50〜300m2/gの範囲内にあるものである。
また、本発明の光触媒基材の製造方法は、含フッ素共重合体と、その溶剤と、を含む含フッ素樹脂ワニス中に、光触媒粒子を分散し、この光触媒粒子含有含フッ素樹脂ワニスを基材の表面に塗着し、この塗着層から前記溶剤を除去することを含むものである。
本発明の光触媒材料表面には光触媒を含む光触媒層が形成されていることが必要である。本発明に使用される光触媒粒子としては二酸化チタンを用いることが最も好ましい。その他に使用できる光触媒としてはチタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどがある。二酸化チタンの種類には、特に限定はないが、光触媒活性の高いアナターゼ型、ルチル型、またはブルッカイト型の結晶体であることが好ましい。光触媒粒子の好ましい粒子径は、平均で概ね5〜40nmである。光触媒として使用される二酸化チタン粒子は、四塩化チタンの燃焼によって製造する乾式法によって得られるものや、四塩化チタンや硫酸チタン水溶液の加水分解、チタンアルコキシドやアセチルアセトネートの加水分解によって得る湿式法によっても製造される。
本発明に用いられる二酸化チタン粒子は、複数個の微細二酸化チタン一次粒子の凝集体からなる二次粒子であることが好ましい。一次粒子の粒径は3〜40nmの範囲内にあり、その平均一次粒子径は5〜30nmであることが好ましく、二次粒子の粒径が40〜1000nmの範囲内にあり、その平均二次粒子径は50〜300nmであることが好ましい。
本発明の光触媒材料において、光触媒粒子は含フッ素共重合体により粘着保持され、かつ、前記光触媒層は、その外界大気に連通する多孔質構造を有し、前記光触媒粒子の表面が、直接、又は前記多孔質構造を介して、前記外界大気に露出していることが好ましい。
本発明において、基材表面に形成された光触媒層は、温度が20℃で、かつ相対湿度が75%の環境雰囲気中で測定される平衡含水率が3〜10%の範囲にあることが必要であり、4〜8%の範囲内にあることが好ましい。上記条件下における平衡含水率が、10%を超えると、窒素酸化物の光触媒反応において、NO2の副生成量が多くなり、NOx除去率が不十分になる。また、平衡含水率が3%未満であると、層内に蓄積した硝酸イオンを水洗により十分に除去することが困難になり、実用期間が短縮するという不都合を生ずる。平衡含水率の測定は、恒温恒湿試験器中に、試験片を十分な時間にわたり設置したのち取り出して質量を計測し、完全乾燥質量との差から水分吸着量を算出し、これを、試験片全体の質量から光触媒層担持前の基材の質量を差し引いて求めた光触媒層全体の質量で除すことにより簡便に算出することができる。
また、本発明においては、光触媒層の比表面積が50〜300m2/gの範囲であることが必要で、50m2/g未満ではNO除去率が低下するため好ましくなく、またそれが300m2/gを超える光触媒層は、基材からの脱落が起きやすくなる。より好ましい比表面積範囲は、70〜200m2/gである。
前記光触媒層のNO2吸着容量(能力)は光触媒層の質量1kgあたり1mmol以上であることが好ましい。光触媒層の質量1kgあたり1mmol以上の光触媒層を有する材料は、例外なく、高いNOx除去率を示すが、それが1mmol未満のものは、NO2の副生成量が大きく高いNOx除去率を得ることができない。
本発明の光触媒材料に使用される基材の種類としては、金属板、樹脂、不織布、その他の繊維製品、並びにこれらの複合体、及び成型体のうち少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、不織布は、軽量で密着性に優れ、光触媒担持量を多くできることから最も好ましい。不織布形成材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリエステルなどが好ましい。
また、本発明光触媒材料の光触媒層には、含フッ素共重合体を含むフッ素樹脂が付着している酸化チタン光触媒粒子を用いることが好ましい。エポキシ樹脂、又はアクリル樹脂等のようにフッ素を含有しない樹脂を光触媒層に用いた場合は、長時間の紫外線照射によって平衡含水率が上昇し、光触媒層の性能の経時劣化する。同様の理由により含フッ素共重合体のフッ素含有率は20%質量以上であることが好ましく、35〜75質量%であることがさらに好ましい。フッ素含有率が20質量%未満の共重合体は、紫外線劣化に対する抵抗性が、不十分になることがある。またそれが75質量%を超えると、水洗による性能再生が難しくなることがある。含フッ素モノマーのみの重合体、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、紫外線に対しては安定であるが、溶剤に溶解し難く、光触媒粒子を十分に粘着保持することができないため、本発明においては含フッ素共重合体を含むフッ素樹脂に匹敵する性能を提供することができない。
本発明の光触媒層を基材の上に形成する本発明方法は、光触媒粒子を含フッ素共重合体とその溶剤とを含む含フッ素樹脂ワニス中に混合、分散し、この分散液を、基材表面に塗着し、この塗着層を乾燥により前記溶剤を除去して固化することを含むものである。この方法により含フッ素共重合体で光触媒粒子が粘着保持された光触媒粒子を基材表面に固定させることができる。
本発明で使用される含フッ素樹脂ワニスは、含フッ素樹脂共重合体とその溶液とを含むものである。乾燥等により前記溶剤を除去したのち、形成された光触媒層を、さらに5〜200MPaの圧力で、基材に圧着してもよく、この圧着処理により、基材と光触媒との密着性を向上させることができる。圧力が5MPa未満では上記密着性向上効果が不十分になることがあり、またそれが200MPaを超えると、光触媒層の密度が高くなり、つまり多孔質構造の多孔度が低下することがあり、ガス透過性が低下することがある。
基材表面に光触媒層を形成したのち、この光触媒層に紫外線を照射することにより、層中に残存している有機溶剤成分等を分解し除去し、光触媒層の初期性能を高めてもよい。
本発明で好ましく使用されるフッ素共重合体の種類には、それが本発明の光触媒層に所望の性能を付与し得る限り特に限定はないが、例えばフルオロオレフィンと、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステル、パーフルオロアルキルアクリレート、パーフルオロアルキルメタクリレート、及び反応性シリコーンなどから選ばれた1種以上との共重合体があげられる。これらコモノマーを適当に選択し組み合わせることにより、適度のF含有率を有し、有機溶媒に可溶な含フッ素共重合体を得ることができる。
実施例
本発明を、下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例によって何ら制約されるものではない。
〔実施例1〜8及び比較例1〜3〕
実施例1〜8及び比較例1〜3に用いられた材料及び方法は下記の通りである。
(1)基材
光触媒層を形成するための基材として、実施例1〜4及び比較例1〜2においては寸法:幅100×長さ350×厚さ0.6mmのステンレス鋼板(SUS 304)を使用し、実施例5〜8及び比較例3〜4においてはポリプロピレン製不織布(厚さ:約0.6mm)を使用した。
(2)含フッ素共重合体
光触媒粒子の粘着保持用樹脂バインダーとして、実施例1、実施例3〜5、実施例7〜8、比較例4においては、含フッ素共重合体含有フッ素樹脂(1)(フッ素含有量;約45質量%)を使用し、実施例2、実施例6においては、含フッ素共重合体含有フッ素樹脂(2)(フッ素含有量;約30質量%)を使用した。また比較例1では、水系シリカゾルを使用し、比較例2では、ポリシリケートを使用し、比較例3ではポリアクリルアミド樹脂を使用した。
(3)光触媒層の形成
光触媒粒子として、アナターゼ型二酸化チタン粒子(粒径7nm、比表面積:約300m2/g)を使用した。実施例1〜8、および比較例4においては、前記光触媒粉体を、前記(2)に記載の重合体を有機溶剤で希釈して調製されたフッ素樹脂ワニスに混合、攪拌し、この光触媒粒子含有含フッ素樹脂ワニスを基材表面に、二酸化チタン付着量が約100g/m2となるようスプレーガンで塗布し、この塗着層を100℃で60分間乾燥させた。光触媒層に含まれる光触媒粒子のフッ素共重合体に対する質量比は、実施例1〜8では7:1とし、比較例4では1:1とした。また、比較例1〜3では、前記(2)に記載の親水性の無機系または樹脂系被覆剤溶液と光触媒粒子と混合し、この混合液を上記と同様に塗布し、100℃で乾燥させた。
(4)NOx除去試験
有効面積100×350mmの光触媒試験片2枚を、5mm間隔で平行に保持し(光触媒面は内側向き)、その隙間に極細の紫外線ランプ(東芝ライテック社製、冷陰極蛍光ランプ)を配置して試験セル(平行板型拡散スクラバー、図1参照)を組み立て、この試験セルの紫外線ランプを点灯(平均紫外線照射強度:0.96mW/cm2)し、そのままの状態で濃度3ppmに調整したNO含有空気を、通気流量10リットル/minで連続的に流して光触媒層と接触させた。試験セル(平行板型拡散スクラバー)出口側のNO、NO2濃度を低濃度NOx分析装置で連続的にモニタリングした。2時間連続してガスの処理を行ったのち、試験セルの出口側におけるNO、NO2、NOxの空気中濃度を記録し、それぞれの除去率(%)を算出した。また、試験片を純水により洗浄して硝酸イオンを洗浄除去し、乾燥し、さらに2時間前記処理を行う操作を7回繰り返して、2時間処理後のセル出口側の空気中のNO、NOx濃度を、前記と同様に測定し、繰り返し再生後の試験片によるNOx除去率(%)を測定した。
図1に示された試験セル(平行板型拡散スクラバー)は、上下1対の平行板2、上記平行板2の内側面に形成された上下1対の光触媒層3と、その中間間隙に配置された紫外線(UV)ランプ2と、上記間隙を保持するためのスペーサー4と、これらの組み合わせを両端で保持する保持部材5とから構成されている。
(5)比表面積の測定
光触媒層の比表面積の測定に際し、光触媒層をカッターで基材から剥離し、その質量を測定し、かつ、比表面積測定装置[島津製作所(株)製 フローソーブII型]を用いて、BET吸着法により、光触媒層の比表面積を測定した。
(6)平衡含水率の測定
光触媒層の平衡含水率の測定に際し、寸法:70×150mmのステンレス板上に形成した光触媒層について、100℃で減圧乾燥したときのの乾燥質量を精密天秤で測定し、この光触媒層付きステンレス板を、温度が20℃、相対湿度が75%となるように調整された恒温恒湿器にいれ、24時間後に取り出して直ちにその質量を測定し、前後の質量差から平衡含水率を算出した。
(7)NO2吸着容量
前記試験用セルに、紫外線の存在しない暗所下で、1ppmのNO2含有空気を通気し、試験片に吸着したNO2の量が飽和し、セルの出口側の空気中のNO2濃度がほぼ1ppmに達するまでの、試験片のNO2吸着量(NO2吸着容量)を、出口側大気中のNO2ガス濃度のチャートから算出した。
(8)後処理
光触媒層を形成したのち、実施例4、実施例7では圧着プレス機を使用して、光触媒層に圧着処理を施し、また実施例4では圧力20MPaで、圧着処理を施し、実施例7では80MPaの圧力下で圧着処理を施した。また、実施例8では光触媒層を形成したのち、これに、ブラックライト(20W)を使用し、1mW/cm2の紫外線を24時間照射した。
上記試験結果を表1及び表2に示す。
Figure 2005288323
Figure 2005288323
表1および表2の実施例および比較例の結果から明らかなように、本発明の範囲外の光触媒基材である比較例1〜4では、初期または繰り返し再生後のNOx除去率が低く、吸着容量も小さい。一方、本発明に係る実施例1〜8の窒素酸化物除去用光触媒基材は、繰り返し使用が可能で、高いNOx除去性能と大きな除去容量を有していることが確認された。
本発明の窒素酸化物除去用光触媒基材は、長時間にわたって高いNOx除去率が維持され、水洗いだけで再生が可能であり、除去容量の大きさも従来の光触媒材料では実現できなかったものである。また、窒素酸化物以外にも、硫黄酸化物やトルエン、キシレンなどの炭化水素やアルデヒドなどの空気汚染物質についても処理浄化することができる。特に処理ガス流量が大きい拡散スクラバー法による窒素酸化物除去用空気浄化装置に適用して特に大きな効果を得ることができ、UV光源を設置しない場合でも、太陽光を利用することによりNOx浄化や室内のNOx浄化ができるなどその実用的価値が高い。窒素酸化物以外の気体、・液体の浄化にも適用することができ、特に、光触媒による酸化還元反応を利用したVOC、悪臭等の有害ガスの除去に有効である。
窒素酸化物除去試験セル(平行板型拡散スクラバー)の構造の説明図。
符号の説明
1…平行板
2…UVランプ
3…光触媒層
4…スペーサー
5…保持部材

Claims (12)

  1. 基材と、この基材表面に形成され、かつ光触媒粒子と、含フッ素共重合体とを含む光触媒層とを含み、
    前記光触媒層が、温度20℃、及び相対湿度75%の環境条件下において、3〜10質量%の平衡含水率を有し、かつ50〜300m2/gの比表面積を有する
    ことを特徴とする光触媒材料。
  2. 前記光触媒層に含まれる前記光触媒粒子の前記含フッ素共重合体に対する質量比が3:1〜15:1の範囲内にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光触媒材料。
  3. 前記光触媒粒子が、複数の微細二酸化チタン一次粒子の凝集体からなる二次粒子である請求項1に記載の光触媒材料。
  4. 前記光触媒粒子が前記含フッ素共重合体により粘着保持され、かつ光触媒層は、その外界大気に連通する多孔質構造を有し、前記光触媒粒子表面が、直接、又は前記外孔質構造を介して前記外界大気に露出している、請求項1に記載の光触媒材料。
  5. 前記光触媒層が、その質量1kg当り2ミリモル以上のNO2吸着量を示す、請求項1に記載の光触媒材料。
  6. 前記基材が、金属板、樹脂、不織布、その他の繊維製品、及びこれらの複合体または成型体のうち少なくとも1種である、請求項1に記載の光触媒材料。
  7. 前記含フッ素共重合体のフッ素含有率が20質量%以上である、請求項1に記載の光触媒材料。
  8. 前記フッ素共重合体のフッ素含有率が35〜75質量%である、請求項7に記載の光触媒材料。
  9. 含フッ素共重合体と、その溶剤とを含むフッ素樹脂ワニス中に、光触媒粒子を分散させ、この光触媒粒子含有フッ素樹脂ワニスを、基材の表面に塗着し、この塗着層から前記溶剤分を除去することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光触媒材料を製造する方法。
  10. 前記塗着層から溶剤を除去したのち、得られた塗膜を5〜200MPaの圧力下に、基材に圧着することをさらに含む、請求項8に記載の光触媒材料の製造方法。
  11. 前記光触媒粒子が複数の微細二酸化チタン一次粒子の凝集体からなる二次粒子である、請求項9に記載の光触媒材料の製造方法。
  12. 前記光触媒層に紫外線を照射して、その初期性能を向上させることをさらに含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の光触媒材料の製造方法。
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