JP2005287958A - 貼付用使い捨てカイロ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面には、粘着層23を介して剥離紙24が配設され、ヒートシール層21と基材層22からなる多層基材2と、ポリプロピレン系スパンボンド不織布31と多孔質フィルム層32からなる通気性基材3を備え、多層基材2のヒートシール層21が、融点が105℃以下の低融点樹脂材料及び/またはエラストマー40〜100質量%と、融点が105℃を越える高融点樹脂材料60〜0質量%からなる貼付用使い捨てカイロ1であり、多層基材2の基材層22a,22bを、融点が110℃以上の樹脂材料とすることが好ましい。
【選択図】図3
Description
この本発明によれば、ヒートシール層が、融点が105℃以下の低融点樹脂材料及び/またはエラストマー材料と、融点が105℃を超える高融点樹脂材料を、配合割合を特定範囲とした混合材料からなるようにしている。このため、ヒートシール温度が低温域であってもヒートシール性が良好となり、通気性基材の構成材料としてポリプロピレン系スパンボンド不織布を使用した場合において、シール部にテンションがかかった状態でヒートシールした場合であっても、貼り合わせた部分におけるシワの発生を防止することができる。この結果、多層基材と通気性基材のヒートシールを安定して行うことができ、高速生産においても外観不良の発生を抑制し、量産性にも優れた貼付用使い捨てカイロを提供することが可能となる。
この本発明によれば、多層基材を構成する基材層が、融点が110℃以上の特定種類のものとしているので、カイロ実包生産の機械停止時における、ダイロールの予熱によるシワの発生を防止することができ、品質の安定した貼付用使い捨てカイロを提供可能とする。
この本発明によれば、構成材料である多層基材のMD方向(押出方向)の引張弾性率が特定範囲であるので、貼付用使い捨てカイロとして適度な風合いを保持しつつ、粘着層形成における粘着剤の塗布、剥離紙の被着等の諸加工性を良好なものとし、また、製袋時においてシール部の伸びやシワの発生を好適に防止することができる。
この本発明によれば、多層基材と通気性基材のシール強度が特定範囲であるので、貼付用使い捨てカイロにおいて十分なシール強度を発揮して、実用上も問題がない高品質の貼付用使い捨てカイロを提供することができる。
図1は、本発明の貼付用使い捨てカイロの一態様を示した概略図であり、図2は図1のII−II断面図である。図1及び図2中、1は貼付用使い捨てカイロ、2は多層基材、3は通気性基材、21はヒートシール層、22は基材層、23は粘着層、24は剥離紙、25は非粘着部、31はポリプロピレン系スパンボンド不織布、32は多孔質フィルム層、40は発熱体組成物、をそれぞれ示す。
なお、基材層22の表面には、粘着層23を介して剥離紙24が被着されている一方、本実施形態においては、カイロ1の略中央部は非粘着部25とされ、基材層22と剥離紙24は被着されていない状態となっている。
本発明のカイロ1において、多層基材2を構成するヒートシール層21は、ヒートシール性を有した熱可塑性樹脂等の樹脂材料を適宜採用することができるが、融点が105℃以下の熱可塑性樹脂(低融点樹脂材料)及び/またはエラストマーと、融点が105℃を超える熱可塑性樹脂(高融点樹脂材料)の混合材料からなるようにすることが好ましい。
なお、これらの樹脂材料を製造する際に用いられる触媒としては、マルチサイト触媒であってもよく、シングルサイト触媒(メタロセン触媒等)であってもよく、その種類は特に制限はない。
すなわち、本発明のカイロ1において、多層基材2を構成するヒートシール層21の構成材料を選択するに際しては、前記した樹脂材料のうち、融点が105℃以下のものを低融点樹脂材料と、また、融点が105℃を超えるものを高融点樹脂材料として、前記した配合割合において適宜選択すればよい。
なお、同種の樹脂材料であっても、共重合モノマーの組成比等の相違によりその融点の高低があるため、この場合にあっても、融点が105℃以下のものを低融点樹脂材料として、融点が105℃を超えるもので高融点樹脂材料として選定すればよい。
なお、これらの樹脂材料は、その一種を単独で使用してもよく、あるいは、二種以上を組み合わせたブレンド材料として使用してもよい。
また、各層を着色する目的で、各層を構成する樹脂材料に対して、従来公知の着色顔料を添加してもよい。
なお、図2及び図3にあっては、カイロ1の略中央部に、非粘着部25が形成されている態様が示されている。
一方、本発明の貼付用使い捨てカイロ1を構成し、前記した多層基材2と貼り合わされる通気性基材3は、ポリプロピレン系スパンボンド不織布31と、多孔質フィルム層32との積層体からなる。
なお、ポリプロピレン系スパンボンド不織布31は汎用品であり、生産性が高く低コストであるから、通気性基材の構成材料として採用することにより、ポリアミド(ナイロン)不織布を使用する場合と比較して、貼付用使い捨てカイロ1のコストの大幅な削減を図ることができる。
ここで、部分熱融着とは、不織ウェブを熱接着等により接合する場合、全面を接合するのではなく、部分的に接合させることをいう。この部分熱融着する方法については、特に制限はないが、具体的には、ドット(点)や破線、さらには碁盤目状や格子状を凸状部として有するエンボスロール等を用いる方法が好ましい。また、本発明においては、好適なスパンボンド不織布として、部分熱融着されたものが用いられるが、熱融着部分の面積の割合は全体の10〜30%であることが好ましく、12〜20%であることが特に好ましい。熱融着部分の面積割合が10%より小さいと風合いは柔らかくなるものの、毛羽立ちが生じやすく、繊維が脱落する場合があり、使い捨てカイロの用途としては好ましくない。一方、面積割合が30%を超えると、不織布の感触が硬くなる場合がある。
く、30〜80μmとすることが特に好ましい。多孔質フィルム層32の厚さが10μm
より小さいと、多層基材2のヒートシール層21とヒートシールして製袋化した際に、所
望のシール強度を発現できない場合がある。一方、多孔質フィルム層32の厚さが150
μmより大きいと、カイロ1が固くなりすぎてしまい、肌触り等が悪くなる場合があり、
人肌に触れる用途として適さなくなるため好ましくない。
本発明の貼付用使い捨てカイロ1を製造する方法としては、例えば、多層基材2のヒートシール層21と通気性基材3の多孔質フィルム層32が直接重なり合うようにした後、その間に鉄粉、水、木粉、活性炭、無機塩等からなる発熱体組成物40を所定量充填しながら、四方を熱シール機等でヒートシールすることにより袋状に加工する等の方法が挙げられる。
多層基材2のヒートシール層21と通気性基材3の多孔質フィルム層32が直接重なり合うようにして、四方をヒートシールすることして製袋化し、シール部を引張試験機を用いて、引張速度を200mm/分として、180°剥離(T型剥離)を行った場合の25mmあたりの最大強度を測定すればよい(シール温度 100℃、圧力 0.2MPa、シール時間 1秒)。
下記(i)〜(xi)に示す熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂エラストマー含む)を使用して、表1に示した構成により、下記に示す製造方法を用いて、実施例1〜8の貼付用使い捨てカイロを構成する、厚さが80μmの多層基材を製造した。
なお、下記の樹脂材料の密度は、JIS一K7112(23℃)に準拠した方法で、また、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠した方法で、それぞれ測定したものである。
グレード: モアテック0168N(出光石油化学(株)製)
融点: 125℃
密度: 935kg/m3
メルトフローレート(MFR):1.0g/10分
グレード: カーネルKF360T(日本ポリエチレン(株)製)
融点: 90℃
密度: 898kg/m3
メルトフローレート(MFR):3.5g/10分
グレード: ウルトラセン637(東ソー(株)製)
酢酸ビニル量:20%
融点: 83℃
密度: 941kg/m3
メルトフローレート(MFR):8.0g/10分
グレード: ウルトラセン520F(東ソー(株)製)
酢酸ビニル量:8%
融点: 98℃
密度: 928kg/m3
メルトフローレート(MFR):2.0g/10分
グレード: レクスパールET184M(日本ポリエチレン(株)製)
融点: 86℃
密度: 945kg/m3
メルトフローレート(MFR):10.0g/10分
グレード: ニュクレルAN4213C(三井・デュポンポリケミカル(株)製)
融点: 88℃
密度: 940kg/m3
メルトフローレート(MFR): 10.0g/10分
グレード: ハイミラン1855(三井・デュポンポリケミカル(株)製)
融点: 86℃
密度: 960kg/m3
メルトフローレート(MFR): 1.0g/10分
グレード: アクリフトCM8014(住友化学(株)製)
融点: 79℃
密度: 940kg/m3
メルトフローレート(MFR): 3.5g/10分
グレード: タフマーA0585X(三井化学(株)製)
密度: 885kg/m3
メルトフローレート(MFR): 0.5g/10分
グレード: WINTEC WFX4TA(日本ポリプロ(株)製)
融点: 125℃
密度: 900kg/m3
メルトフローレート(MFR): 7.0g/10分
グレード: Y2045GP(出光石油化学(株)製)
融点: 138℃
密度: 900kg/m3
メルトフローレート(MFR): 20.0g/10分
実施例1〜7の貼付用使い捨てカイロを構成する多層基材は、インフレーション法を用いて、下記の製造条件により、ヒートシール層:基材層(ヒートシール層側):基材層(粘着層側)が1:2:1であり、全体の厚さが80μmになるようにして共押出しして成形した。
なお、基材層の表面には、常法によりコロナ放電処理を施した。
ダイス径: 250mm
ダイスリップ間隔: 2.5mm
加工温度: 200℃
ブローアップ比: 1.6
実施例8の貼付用使い捨てカイロを構成する多層基材は、Tダイキャスト法を用いて、下記の製造条件により、ヒートシール層:基材層(ヒートシール層側):基材層(粘着層側)が1:5:1であり、全体の厚さが80μmになるようにして共押出しして成形した。なお、フィルム基材層の表面には、前記した製造方法(1)と同様に、常法によりコロナ放電処理を施した。
ダイス面長: 800mm
ダイスリップ間隔: 1.5mm
加工温度: 200℃
押出量: 80kg/hr
冷却温度: 40℃
シール温度: 100℃
シール圧力: 2kg/cm2
シール時間: 1秒
前記のようにして得られた実施例1〜8のサンプルについて、下記の条件でシール強度を測定し、比較・評価した。また、それぞれの多層基材について、下記の条件で、MD方向の引張弾性率を測定するとともに、市販のカイロ用実包機を用いて、実施例1〜8の貼付用使い捨てカイロを製造して、シワの発生の有無を確認し、併せて比較・評価した。結果を表2に示す。
引張試験機を用いて、引張速度を200mm/分として、180°剥離(T型剥離)を行った場合の25mmあたりの最大強度を測定した。3N/25mm巾を基準として、シール強度がその値以上であれば、シール強度が優れるものと判定した。
多層基材のMD方向(押出方向)の引張弾性率について、JIS K7113に準拠して測定した。引張弾性率が200〜1500MPaであれば、引張弾性率が優れるものと判定した。
市販のカイロ用実包機(東洋機械(株)製)を用いて、多層基材における粘着層側のダイロール温度を165℃、通気性基材のポリプロピレン系スパンボンド不織布側のダイロール温度を135℃として、1t/cm2をかけ、多層基材と通気性基材を2つのダイロールの間に30分間挟み込み、粘着層におけるシワ発生の有無を確認した。
従って、本発明は、貼付用使い捨てカイロとして必要とされる諸特性に優れ、実用上にも問題ないものであることが確認できた。
そして、実施例1〜8にあっては、不織布としてポリプロピレン系スパンボンド不織布を採用しているので、貼付用使い捨てカイロを低コストで提供できるものである。
2… 多層基材
3… 通気性基材
21… ヒートシール層
22… 基材層
22a,22b… 基材層
23… 粘着層
24… 剥離紙
25… 非粘着部
31… ポリプロピレン系スパンボンド不織布
32… 多孔質フィルム層
40… 発熱体組成物
Claims (6)
- ヒートシール層と基材層を有する多層基材と、多孔質フィルム層とポリプロピレン系スパンボンド不織布を有する通気性基材を備え、前記ヒートシール層と多孔質フィルム層がヒートシールされてなることを特徴とする貼付用使い捨てカイロ。
- 請求項1に記載の使い捨てカイロにおいて、
前記多層基材の表面には、粘着層を介して剥離紙が配設され、
前記ヒートシール層が、融点が105℃以下の低融点樹脂材料及び/またはエラストマー材料40〜100質量%と、
融点が105℃を越える高融点樹脂材料60〜0質量%からなることを特徴とする貼付用使い捨てカイロ。 - 請求項2に記載の貼付用使い捨てカイロにおいて、
前記低融点樹脂材料が、融点が105℃以下のポリエチレン、エチレン−α−オレフィ
ン共重合体及びエチレン−極性ビニル共重合体及びアイオノマーよりなる群から選ばれた一種または二種以上であって、
前記高融点樹脂材料が、融点が105℃を超えるポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−極性ビニル共重合体よりなる群から選ばれた一種または二種以上であることを特徴とする貼付用使い捨てカイロ。 - 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の貼付用使い捨てカイロにおいて、
前記基材層が、融点が110℃以上のポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−極性ビニルモノマー共重合体及びポリプロピレン系樹脂よりなる群から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする貼付用使い捨てカイロ。 - 請求項1ないし請求項4の何れかに記載の貼付用使い捨てカイロにおいて、
前記多層基材のMD方向の引張弾性率が200〜1500MPaであることを特徴とする貼付用使い捨てカイロ。 - 請求項1ないし請求項5の何れかに記載の貼付用使い捨てカイロにおいて、
前記多層基材と前記通気性基材とのシール強度が、3N/25mm巾以上であることを特徴とする貼付用使い捨てカイロ。
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