JP2005287193A - 電圧補償装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 補償回路2が出力する補償電圧を電源電圧に重畳して負荷3の電圧変動を補償する電圧補償装置において、上流に設けられたブレーカがオフされた場合に、速やかに検知して不要な電圧補償動作を停止させる。
【解決手段】 電源電圧を検出する電圧検出部5が電源電圧の位相を検出する手段を備え、補償動作中に電源電圧位相が基準位相より所定量を超えて変化したことを検出して、上流のブレーカがオフしたと判断し、補償動作を終了させる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、負荷に供給される電源電圧が低下した際に、電源電圧に補償電圧を重畳して電圧低下を補償する電圧補償装置に関するものである。
雷などにより電力系統の電圧が瞬時的に低下し、工場などの精密機器などが誤作動や一時停止することにより、生産ラインで多大な被害を被ることがある。このような被害を防ぐために、電力系統の瞬時的電圧低下(以下、瞬低と称す)などの電圧変動を監視して、電圧低下を補償する電圧変動補償装置が用いられている。
従来の電圧変動補償装置は、電力系統に直列に接続され、正負いずれかの極性で補償電圧を出力する複数の電圧補償回路で構成される。各電圧補償回路には、ダイオードが逆並列に接続された4個の半導体スイッチング素子から成るフルブリッジインバータ、および充電コンデンサが備えられ、充電コンデンサの直流電圧を交流に変換して出力する。また、各電圧補償回路の出力端には、高速機械式の定常短絡スイッチが並列に設けられる。各電圧補償回路内の充電コンデンサは、充電ダイオードと充電用トランスによってそれぞれ異なる電圧が充電され、電圧の比は概ね2のべき乗比に設定される。
定常時、電流は定常短絡スイッチを流れる。また系統電圧に瞬時的に電圧低下が発生すると、電圧変動を監視している検出部にて電圧低下を検出し、それに基づく給電制御により、定常短絡スイッチを開放し、誤差電圧に応じて複数の電圧補償回路内から所望の組み合わせを選択し、その出力電圧の総和で電力系統の電圧低下を補償する(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−359929号公報
上記のような従来の電圧補償装置では、系統電圧の瞬低発生時に補償電圧を系統電圧に重畳することで電圧低下を補償するものであるため、電源側の電圧が例えば100%低下した場合は、不足分の100%の補償電圧を発生して負荷側に電圧供給する。電圧補償装置の上流に設けられたブレーカが何らかの事情によりオフされた場合、電圧補償装置の電源側の電圧変動を監視している検出部では電源電圧が0Vに低下したと判断し、不足分の100%の補償電圧を発生して負荷側に電圧供給しようとする。上流のブレーカがオフしているため、電源側で検出される電圧は、補償電圧の発生により変動し、その変動をさらに補償しようとする不要な補償動作を行ってしまうという問題点があった。
また、電圧低下の検出に基づいて制御部にて制御信号を発生することで給電制御を行っているが、制御部を動作させるための電源回路には、起動時にも、電源電圧の低下時にも電圧供給されるように、該電源回路を電源側と負荷側との双方の端子に接続して、それぞれノイズフィルタを介して電圧供給されるようにしていた。これにより、装置構成の簡略化の妨げになるものであった。
この発明は、上記のような問題点を解消するために成されたものであって、電圧補償装置の上流に設けられたブレーカがオフされた場合に、速やかに検知して不要な電圧補償動作を停止させることを第1の目的とする。
さらに、制御部を動作させるための電源回路に電圧供給するための回路構成を簡略化して小型で安価な装置構成を提供することを第2の目的とする。
この発明に係る電圧補償装置は、エネルギ蓄積手段を有して該エネルギ蓄積手段に蓄積された直流電圧を交流に変換して出力する補償回路を交流電源に直列接続し、該電源電圧を監視する電圧検出部、および該電源電圧に基づく給電制御を行う制御部を備え、上記電圧検出部にて電源電圧の低下を検出すると、上記補償回路により出力する補償電圧を該電源電圧に重畳して負荷に供給する電圧の低下を補償する装置構成である。そして、上記電圧検出部が上記電源電圧の位相を検出する位相検出手段を有し、上記補償回路が上記補償電圧を出力する補償動作中に、上記位相検出手段による電源電圧位相が基準位相より所定量を超えて変化したことを検出して、上記補償回路から上記補償電圧の出力を停止して補償動作を終了するものである。
またこの発明に係る電圧補償装置は、上記補償回路をバイパスするための機械式の短絡スイッチを該補償回路に並列に備え、上記制御部による制御にて、上記電源電圧が定常時には上記短絡スイッチを閉じて上記補償回路をバイパスし、上記電源電圧の電圧低下時には、上記短絡スイッチを開放して上記補償回路からの補償電圧出力により上記電源電圧の低下を補償するものであり、上記制御部を動作させるための制御電源回路を備える。該制御電源回路は、上記補償回路の負荷側端子に接続されると共に、上記補償回路の電源側端子に切換手段を備えて接続されて、装置の起動時に上記短絡スイッチが閉じる前には該電源側端子から電圧供給され、該装置の起動により上記短絡スイッチが閉じると上記切換手段により上記電源側端子からの電圧供給を遮断して上記負荷側端子からの電圧供給に切り換えるものである。
この発明による電圧補償装置では、補償動作中に電源電圧位相が基準位相より所定量を超えて変化したことを検出して、補償回路から上記補償電圧の出力を停止して補償動作を終了するため、電圧補償装置の上流に設けられたブレーカがオフされた場合に、速やかに検知して不要な電圧補償動作を停止させることができる。
またこの発明による電圧補償装置では、制御電源回路は、装置の起動時に電源側端子から電圧供給され、該装置の起動により上記短絡スイッチが閉じると電源側端子からの電圧供給を遮断して負荷側端子からの電圧供給に切り換えるため、電源側端子からの電圧供給に、ノイズフィルタを介する必要が無く、電圧供給するための回路構成を簡略化して小型で安価な装置構成を提供できる。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について説明する。図1はこの発明の実施の形態1による電圧補償装置の概略構成図である。
図1に示すように、交流電源1に電圧発生部である補償回路2が直列に接続され、補償回路2は補償電圧を出力し、この補償電圧を電源電圧に重畳して負荷3の電圧変動を補償する。また、補償回路2をバイパスするための短絡スイッチ4が補償回路2に並列に接続される。さらに、電源電圧を監視している電圧検出部5の情報に基づいて、制御部6にて制御信号を発生し、短絡スイッチ4および補償回路2内のスイッチング素子を制御して給電制御を行う。7は補償回路2の電源端子や電圧検出部5の接続位置よりも上流(電源側)に設けられたブレーカである。
また、電圧検出部5は電源電圧の電圧値を検出するだけでなくその位相を検出する位相検出手段を併せ持つ。そして、電源電圧位相が基準電圧の位相から所定量を超えて大きく変動したことが電圧検出部5にて検出されると、制御部6は補償回路2に制御信号を発生し、補償回路2では補償電圧の発生を停止し補償動作を終了する。
電源電圧が定常時には、短絡スイッチ4を閉じて補償回路2をバイパスする。電圧検出部5にて電源電圧の低下を検出すると、制御部6は、短絡スイッチ4を開放して補償回路2を介した電力供給へ切り換える。補償回路2は補償電圧を出力し、この補償電圧を電源電圧に重畳して負荷3に供給する。
上流のブレーカ7がオフされた場合、電圧検出部5は電源電圧が0Vであると判断し、短絡スイッチ4を開放し、不足分の100%の補償電圧を発生して補償動作を行う。このとき、図2に示すような回路が形成される。ここで、V1は電圧検出部5が検出する電源電圧、V2は補償回路2が出力する補償電圧、V3は負荷3への供給電圧、R1は電圧検出部5の入力インピーダンス5a、Rloadは負荷3のインピーダンスである。
このとき、V1+V2=V3
V2を電源と考えると、V1:−V3=R1:Rload
これにより、V1=(−R1/Rload)V3
となる。補償回路2が出力する補償電圧V2は、負荷3への供給電圧V3が正常時の電源電圧Vtになるように出力されるため、
V1=(−R1/Rload)Vt
となり、電圧検出部5が検出する電源電圧V1は、正常時の電源電圧Vtと位相が約180度異なる逆位相となる。このとき、補償回路2が出力する補償電圧V2は、
V2=Vt−V1=((Rload+R1)/Rload)Vt
となる。
上述したように、電源電圧位相が基準電圧(正常時の電源電圧Vt)の位相から所定量を超えて大きく変動したことが電圧検出部5にて検出されると、制御部6にて補償動作を終了させる。このため、電圧検出部5が検出する電源電圧V1が、正常時の電源電圧Vtと位相が約180度異なる逆位相となると、電圧検出部5が有する位相検出手段により所定量を超えたことを検知し、補償回路2は補償電圧発生を停止して補償動作を終了する。
この実施の形態では、電圧検出部5にて検出される電源電圧位相が基準電圧位相から大きく変動したことを検出して、上流のブレーカ7がオフされたことを検知する。そして速やかに補償動作を終了させるため、不要な補償動作を継続し続けることが無い。このため、電圧補償装置の信頼性の高い運転制御が行える。
なお、通常の位相変動では、60度を超える変動は見られないため、例えば安全電圧である30Vを超える電圧で60度を超える位相変動が検出されると、ブレーカ7がオフされたと判断して速やかに補償動作を終了させる。
上記実施の形態1における補償回路2の例を、図3に基づいて以下に示す。
図に示すように、補償回路2は、ダイオードD1〜D4が逆並列に接続された4個のIGBT(T1〜T4)などの半導体スイッチング素子から成るフルブリッジの単相インバータ8と、エネルギ蓄積手段としてのコンデンサ9とを備え、正負いずれかの極性で補償電圧を出力し、電源電圧に重畳することで負荷3に供給される電圧の低下を補償する。
また、このような構成の補償回路2を複数個備え、各単相インバータ8の交流側を直列に接続して用いても良く、その場合、各単相インバータ8からそれぞれ発生される出力電圧の総和により多段階の補償電圧を出力して、高精度な電圧補償が可能である。
実施の形態2.
次に、上記実施の形態1で示した電圧補償装置において、短絡スイッチ4および補償回路2内のスイッチング素子を制御する制御部6の電源について以下に説明する。
図4は、この発明の実施の形態2による電圧補償装置の構成図である。
図に示すように、制御部6を動作させるための制御電源回路10を制御部6に接続し、制御電源回路10は、補償回路2の電源側端子11aと負荷側端子11bとにそれぞれ接続される。また、制御電源回路10と補償回路2の電源側端子11aとの間には、両極間の電圧が所定電圧を超えるとき通電するインピーダンスとしての定電圧手段12が挿入される。また、制御電源回路10の前段には整流回路13を備え、定電圧手段12の後段のダイオード(整流回路13内)の制御電源回路側の電位を補償回路2の負荷側端子11bから入力するように構成する。そして、補償回路2の電源側端子11aからは定電圧手段12および整流回路13を介して制御電源回路10に電圧供給され、負荷側端子11bからはノイズフィルタ14を備えて該フィルタ14および整流回路13を介して制御電源回路10に電圧供給される。
電圧補償装置の起動時には、短絡スイッチ4は開状態で、この短絡スイッチ4は装置の起動により閉じる。短絡スイッチ4が開状態での電圧補償装置の起動時には、電源側端子11aから定電圧手段12を介して制御電源回路10に電圧供給され、該装置の起動により短絡スイッチ4が閉じると、定電圧手段12後段の上記ダイオードが遮断して定電圧手段12は遮断される。この時点で短絡スイッチ4を介して負荷3側に電力供給されているため、負荷側端子11bから制御電源回路10への電圧供給に切り換わる。なお、定電圧手段12は、起動時の電源電圧がいずれの極性でも使用できるように構成する。
また、この実施の形態では、制御電源回路10と補償回路2の電源側端子11aとの間に挿入するインピーダンスとして定電圧手段12を用いて、制御電源回路10への電圧供給を確実に切り換えるようにしたが、これに限るものではなく、例えばインピーダンスとして抵抗を用いても良い。
このように、制御部6を動作させるための制御電源回路10への電圧供給を、装置の起動時のみ電源側から供給し、その後の装置運転中は負荷側から供給するようにしたため、電源側からの電圧供給経路にフィルタを用いる必要がなくなり、回路構成を簡略化できる。このため小型で安価な装置構成の電圧補償装置が得られる。
この発明の実施の形態1による電圧補償装置の概略構成図である。 この発明の実施の形態1による電圧補償装置の動作を説明する回路図である。 この発明の実施の形態1による補償回路の回路図である。 この発明の実施の形態2による電圧補償装置の構成図である。
符号の説明
1 交流電源、2 補償回路、3 負荷、4 短絡スイッチ、5 電圧検出部、
6 制御部、9 エネルギ蓄積手段としてのコンデンサ、10 制御電源回路、
11a 電源側端子、11b 負荷側端子、12 定電圧手段、14 フィルタ。

Claims (5)

  1. エネルギ蓄積手段を有して該エネルギ蓄積手段に蓄積された直流電圧を交流に変換して出力する補償回路を交流電源に直列接続し、該電源電圧を監視する電圧検出部、および該電源電圧に基づく給電制御を行う制御部を備え、上記電圧検出部にて電源電圧の低下を検出すると、上記補償回路により出力する補償電圧を該電源電圧に重畳して負荷に供給する電圧の低下を補償する電圧補償装置において、
    上記電圧検出部が上記電源電圧の位相を検出する位相検出手段を有し、上記補償回路が上記補償電圧を出力する補償動作中に、上記位相検出手段による電源電圧位相が基準位相より所定量を超えて変化したことを検出して、上記補償回路から上記補償電圧の出力を停止して補償動作を終了することを特徴とする電圧補償装置。
  2. 上記電源電圧位相における所定量を超える変化は、所定の電圧を超える電圧にて上記基準位相よりも約60度を超える変化であることを特徴とする請求項1記載の電圧補償装置。
  3. 上記補償回路をバイパスするための機械式の短絡スイッチを該補償回路に並列に備え、上記制御部による制御にて、上記電源電圧が定常時には上記短絡スイッチを閉じて上記補償回路をバイパスし、上記電源電圧の電圧低下時には、上記短絡スイッチを開放して上記補償回路からの補償電圧出力により上記電源電圧の低下を補償するものであり、
    上記制御部を動作させるための制御電源回路を備え、
    該制御電源回路は、上記補償回路の負荷側端子に接続されると共に、上記補償回路の電源側端子に切換手段を備えて接続されて、装置の起動時に上記短絡スイッチが閉じる前には該電源側端子から電圧供給され、該装置の起動により上記短絡スイッチが閉じると上記切換手段により上記電源側端子からの電圧供給を遮断して上記負荷側端子からの電圧供給に切り換えることを特徴とする請求項1または2記載の電圧補償装置。
  4. 上記制御電源回路と上記補償回路の電源側端子との間に挿入された所定のインピーダンスにより上記切換手段を構成し、該インピーダンスの上記制御電源回路側の電位を上記補償回路の負荷側端子から入力することで、装置の起動により上記短絡スイッチが閉じると上記インピーダンスの通電を遮断させることを特徴とする請求項3記載の電圧補償装置。
  5. 上記制御電源回路と上記補償回路の負荷側端子との間にフィルタを設け、上記負荷側端子から該フィルタを介して上記制御電源回路に電圧供給されることを特徴とする請求項3または4記載の電圧補償装置。
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