JP2005287100A - 圧電素子、圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータ装置 - Google Patents

圧電素子、圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 長さ方向の伸縮振動を利用した圧電素子であって、所望でないベンディングモードの振動を抑圧することができ、かつ小型化を進めることが可能である圧電素子を提供する。
【解決手段】 圧電体12内において、圧電体層を介して第1,第2の内部電極13,14が積層されており、圧電体12の第1,第2の端面12a,12b間を結ぶ方向に伸縮するように構成されており、圧電体12の第1の端面12a側において接着剤等により固定部材に固定され、第2の端面12b側において他の部材を駆動するように用いられる圧電素子であって、第1の端面12a側の不活性部において、圧電体12の下面に一方の側面から他方の側面まで貫くように切欠17が形成されている、圧電素子11。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばインクジェット方式のプリンタのヘッド部分に用いられる圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータに適した圧電素子に関し、より詳細には、長さ方向の伸縮モードを利用しており、所望でないベンディング振動を抑制する構造が備えられた圧電素子、圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータ装置に関する。
インクジェット方式のプリンタなどのヘッド部分を駆動・制御するのに圧電アクチュエータが広く用いられている。この種の圧電アクチュエータは、複数の内部電極が圧電体層を介して積層されている積層型圧電素子を用いて構成されている。この積層型圧電素子では、圧電体が長さ方向、幅方向及び積層方向である厚み方向を有し、電圧の印加により長さ方向に伸縮するように構成されている。
この種の圧電アクチュエータの一例が下記の特許文献1に開示されている。図11は、特許文献1に開示されている圧電アクチュエータを示す部分切欠斜視図である。
圧電アクチュエータ101では、固定部材としての基板102の上面に、接着剤103を用いて、複数の圧電素子104,105が固定されている。圧電素子104を例にとると、圧電素子104は、長さ方向、幅方向及び積層方向である厚み方向を有する直方体状の圧電体106を有する。圧電体106内において、第1の内部電極107と、第2の内部電極108とが交互に積層されている。第1の内部電極107と第2の内部電極108とが重なり合っている部分が電圧の印加により圧電効果により変位する活性部である。活性部の長さ方向両側に不活性部が配置されていることになる。
ここでは、活性部の一方側に配置された不活性部において、圧電体106の下面が接着剤103により固定部材102に固定されている。電圧が印加されると、活性部が変位し、長さ方向に伸縮する。従って、圧電体106の固定されていない側の端面106aが圧電体106の長さ方向に移動する。この端面106aを、ヘッドなどの被動部材に接触もしくは連結することにより、被動部材を移動させることができる。
圧電素子104は、圧電体106の下面側において接着剤103により固定部材102に固定されている。従って、圧電体106の下面側においては、上記長さ方向の変位が接着剤103による固定により拘束され、相対的に変位が小さくなる。これに対して、圧電体106の上面側は固定されていないため、相対的に変位が大きくなる。そのため、圧電体106の上面と下面の変位の上記非対称性によりベンディングモードの振動が生じるという問題があった。
ベンディングモードの変位が生じると、駆動部分である端面106aが上下方向に移動し、被動部材の駆動・制御を高精度に行うことができなくなる。
上記のような問題を解決するために、特許文献1に記載の圧電アクチュエータ101では、固定部材102に固定される部分、すなわち接着剤103により圧電体106を固定する部分が活性部と不活性部との境界からできるだけ離されている。すなわち、固定部材102に固定されていない自由部分の長さを長くすることにより、圧電体106の下面側の固定による影響の低減が図られている。
特許第3347346号公報
特許文献1に記載の構造によれば、活性部と不活性部との境界から離された位置で圧電体106が固定部材に接着剤により固定されている。従って、ベンディングモードの振動の抑制を図ることが一応可能とされている。
しかしながら、上記構造によりベンディングモードの振動を抑制するには、活性部と不活性部との間の境界と、接着剤による固定部分とをできるだけ遠ざけねばならず、そのため圧電体106の寸法が必然的に長くならざるを得なかった。よって、圧電素子104を用いた圧電アクチュエータ101の小型化を図ることが困難であった。
加えて、固定部材102に固定されていない自由部分の長さが長くなると、固定部分の固定部材102への接着領域が小さくなり、十分な接着強度を得ることができないという問題もあった。加えて、十分な接着強度を得るように、接着領域の寸法をも大きくした場合には、圧電素子104を用いた圧電アクチュエータの全体の寸法がさらに大きくならざるを得なかった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、圧電体の下面側における固定により生じるベンディングモードの振動を効果的に抑制することができるだけでなく、小型化を図ることができる圧電素子、圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータ装置を提供することにある。
本発明によれば、圧電体と、圧電体内において圧電体層を介して積層されている第1,第2の内部電極とを有し、第1,第2の内部電極が異なる電位に接続され、第1,第2の内部電極が積層されている部分が圧電効果により変位する活性部であり、前記圧電体の第1,第2の端面と前記活性部との間に第1,第2の不活性部が形成されており、第1の不活性部において固定され、第2の不活性部側において他の部材を駆動するように用いられる圧電素子であって、前記第1の不活性部において、圧電体の下面に、前記圧電体の一方の側面から他方の側面まで貫くように切欠が形成されていることを特徴とする圧電素子が提供される。
本発明に係る圧電素子では、好ましくは、圧電体の上面にも、第1の不活性部において、前記圧電体の一方の側面から他方の側面まで貫くように切欠が設けられている。
本発明に係る圧電素子のある特定の局面では、切欠は、第1の不活性部と活性部との境界付近に設けられている。
本発明に係る圧電素子のさらに他の特定の局面では、前記切欠の深さが、最下層の内部電極と圧電体の下面との間の圧電体層の厚みよりも小さくされている。
本発明に係る圧電素子のさらに別の特定の局面では、前記圧電体が第1,第2の端面を結ぶ方向に伸縮するように、前記内部電極及び内部電極間に挟まれた圧電体層の分極構造が構成されている。
本発明に係る圧電素子のさらに他の特定の局面では、前記圧電素子が圧電体の下面側から固定された際に、前記切欠の一部が開口するように圧電体が固定されることを可能とするように前記切欠が設けられている。
本発明に係る圧電素子のさらに別の特定の局面では、前記切欠の開口部の全てが開口するように圧電素子が固定部分に固定されるように、前記切欠が設けられている。
本発明に係る圧電アクチュエータは、本発明に従って構成された圧電素子を用いて構成されており、圧電素子の第2の端面から第1の端面に向かって、ただし第1の端面には至らないように伸びる複数本のスリットが形成されており、隣り合うスリット間の圧電素子部分によりそれぞれ圧電アクチュエータ部が構成されていることを特徴とする。
本発明に係る圧電アクチュエータ装置は、本発明に従って構成された圧電素子もしくは圧電アクチュエータの不活性部において、圧電体の下面側から圧電素子が固定部材に固定されており、第2の不活性部側が他の部材を駆動する駆動部を構成しており、切欠の開口部の一部が開口するように固定部材に圧電素子が固定されていることを特徴とする。
本発明に係る圧電素子では、積層型の圧電素子において、圧電体の第1,第2の端面間に、活性部と、活性部の両側に設けられた不活性部とが配置されており、第1の不活性部において、圧電体の下面に上記切欠が形成されているため、第1の不活性部において圧電体の下面側から固定部材に接着剤などを用いて固定するに際し、切欠の少なくとも一部が開口するように固定することにより、固定による拘束力が緩和され、ベンディングモードの振動の発生を効果的に抑制することができる。
加えて、接着剤が余分に付着したとしても、余分な接着剤が切欠内に収納されることになるため、接着剤の活性部への付着を防止することができる。
従って、本発明によれば、上記切欠の形成により接着固定による拘束力に起因する所望でないベンディングモードの振動の発生を抑制することができるため、大型化を招くことなくベンディングモードの振動を抑圧することができる。しかも、余分な接着剤を切欠内に吸収することができるので、活性部への接着剤の付着による振動阻害も生じ難い。
圧電体の上面にも、第1の不活性部において、前記圧電体の一方の側面から他方の側面まで貫くように切欠が設けられている場合には、上下の対称性が高められるため、より一層ベンディングモードの振動の発生を抑圧することができる。
切欠は、第1の不活性部に設けられておればよいが、第1の不活性部と活性部との境界付近に設けられていることが好ましく、その場合には、より一層の小型化を図ることができる。
切欠の深さが最下層の内部電極と圧電体の下面との間の圧電体層の厚みよりも小さい場合には、切欠が最下層の内部電極に至らないため、最下層の内部電極の断線が生じ難い。また、深い切欠を形成する必要がないため、切欠の形成を容易に行うことができる。
圧電体が第1,第2の端面を結ぶ方向に伸縮するように、前記内部電極及び内部電極間に挟まれた圧電体層の分極構造が構成されている場合には、本発明に従って、ベンディングモードの振動が抑圧され、上記第1,第2の端面を結ぶ長さ方向の伸縮を利用することができる圧電素子を提供することができる。
圧電素子が圧電体の下面側から固定された際に、切欠の一部が開口するように圧電体が固定されることを可能とするように切欠が設けられている場合には、本発明に従って、上記切欠の開口部の少なくとも一部が露出するように圧電体を固定することにより、ベンディングモードの振動を効果的に抑圧することができる。
切欠の開口部の全てが開口するように圧電素子が固定部分に固定されるように切欠が設けられていてもよく、その場合においても、切欠の存在により、固定部分への固定による拘束力に起因するベンディングモードの振動を効果的に抑圧することができる。
本発明に係る圧電アクチュエータでは、本発明に従って構成された圧電素子の第2の端面から第1の端面に向かって、ただし第1の端面には至らないように複数本のスリットが形成されており、隣り合うスリット間の圧電素子部分によりそれぞれ圧電アクチュエータ部が構成されている。従って、各圧電素子部分において、上記切欠の少なくとも一部が露出するように固定部材に固定することにより、各圧電アクチュエータ部におけるベンディングモードの振動の発生を抑圧しつつ、大型化を招くことなく圧電アクチュエータ部を構成することができる。従って、多数の圧電アクチュエータ部を有する小型の圧電アクチュエータを提供することが可能となる。
本発明に係る圧電アクチュエータ装置では、本発明に従って構成された圧電素子の第1の不活性部において、圧電体の下面側から圧電素子が固定部材に固定されており、第2の不活性側が他の部材を駆動する駆動部を構成しており、切欠の開口部の少なくとも一部が開口するように固定部材に圧電素子が固定されているので、圧電アクチュエータ装置において、圧電素子の固定部材への固定による拘束力に基づくベンディングモードの振動が、上記切欠の形成により効果的に抑圧される。従って、大型化を招くことなく、ベンディングモードの振動が抑圧された圧電アクチュエータ装置を提供することができる。固定部材への圧電素子の固定が接着剤を用いて行われている場合、接着剤が余分に付着したとしても、余分な接着剤が切欠内に収納されることになるため、接着剤の活性部への付着による振動阻害も生じ難い。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより本発明を明らかにする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電アクチュエータ装置を説明するための部分切欠斜視図である。
圧電アクチュエータ装置1では、固定部材2上に、接着剤3を用いて、圧電素子11が固定されている。
圧電素子11は、直方体状の圧電体12を有する。圧電体12は、第1の端面12aと、第1の端面と対向している第2の端面12bとを有する。第1の端面12aと、第2の端面12bとを結ぶ方向を、長さ方向とすることとする。すなわち、図1の圧電体12では、第1,第2の端面12a,12bを結ぶ方向の長さよりも、該方向及び厚み方向と直交する方向の長さ寸法が長いように図示されているが、圧電素子11は、最終的には、後述のスリットを形成することにより複数の圧電アクチュエータ部を有するように加工されるものである。そして、各圧電アクチュエータ部では、上記第1,第2の端面12a,12bを結ぶ方向が長さ方向となる。従って、圧電素子11においても、第1,第2の端面12a,12bを結ぶ方向を長さ方向として説明を行うこととする。
圧電体12内には、複数の第1の内部電極13と、複数の第2の内部電極14とが圧電体層を介して重なり合うように配置されている。複数の第1の内部電極13は、第1の端面12aに引き出されている。第2の内部電極14は、第2の端面12bに引き出されている。
他方、第1の内部電極13が形成されている高さ位置においては、第1の内部電極13の内側端の前方に第1の内部電極13とギャップを隔ててダミー電極15が形成されている。ダミー電極15は、第2の端面12bに引き出されている。同様に、第2の内部電極14が積層されている部分においては、第2の内部電極14の前方にギャップを隔ててダミー電極16が配置されている。ダミー電極16は第1の端面12aに引き出されている。
なお、ダミー電極15,16は本発明において必ずしも設けられずともよいが、ダミー電極15,16を形成することにより、内部電極パターンの数を減らすことができる。これを、圧電体12の製造方法を参照して説明する。
圧電体12を得るにあたっては、図2(a)に示す内部電極パターン21及び図2(b)に示す内部電極パターン22がそれぞれ印刷された第1,第2の圧電グリーンシートを交互に積層する。そして、最上部に無地の圧電グリーンシートを積層する。このようにしてマザーの積層体を得る。
図3(a)及び(b)に示すように、上記のようにして得られたマザーの積層体31を、一点鎖線X,Yに沿ってダイシングソーなどを用いて切断することにより個々の圧電体12を得るための積層体が得られる。
なお、上記X及びY方向への切断の前に、予め同じダイシングソーを用い、切欠17を形成しておけばよい。すなわち、切欠17を形成した後、X方向及びY方向の切断を行う。このようにして、切欠17を有する積層体を得ることができる。そして、得られた積層体を焼成することにより、図1に示した圧電体12を得ることができる。
上記のように、ダミー電極15,16を設けるように、図2(a)及び(b)に示した2種類の内部電極パターン21,22を用意するだけで、上記圧電体12を得ることができる。
なお、上記製造方法では、焼成前に切欠17が形成されていたが、個々の圧電体12を得た後に、切欠17をダイシングソーなどを用いて形成してもよい。すなわち、切欠17は、焼成前及び焼成後のいずれにおいて形成されてもよい。
なお、本実施形態では、切欠17,18の横断面形状は矩形であるが、切欠17,18の横断面形状は半円形、三角形等の適宜の形状とされ得る。
次に、上記圧電体12の第1の端面12a及び第2の端面12bを覆うように、第1,第2の外部電極19,20を形成する。図4に示されているように、第1の外部電極19は、端面12a上だけでなく、上面12cの一部に至るように形成されている。同様に、第2の外部電極20は、端面12bを覆うだけでなく、上面12cに至るように形成されており、かつ第2の外部電極20は、最上部の第1の内部電極13と圧電体層を介して重なり合うように配置されている。すなわち、第2の外部電極20は、活性部に至るように形成されている。
上記のようにして、図1及び図2に示されている圧電素子11が得られる。
なお、上記圧電体12を構成する圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスやチタン酸鉛系セラミックスのような適宜の圧電セラミックスを用いることができる。また、内部電極13,14及び外部電極19,20を構成する材料についても、CuやAgなどの適宜の金属もしくは合金を用いることができる。第1,第2の外部電極19,20の形成方法としては、スパッタリングや蒸着などの薄膜形成方法、あるいは導電ペーストの塗布・硬化や焼成などの適宜の方法を用いることができる。
上記のようにして得られた圧電素子11では、第1,第2の外部電極19,20間に交流電界を印加することにより圧電素子11が第1,第2の端面12a,12bを結ぶ方向である長さ方向に伸縮する。この伸縮挙動を利用して、被動部材を駆動・制御することができる。
すなわち、図1に示されているように、固定部材2上に接着剤3を用いて圧電素子11を固定する。この場合、圧電素子11では、第1,第2の内部電極13,14が圧電体層を介して重なり合っている部分が、電圧の印加により変位する活性部を構成している。そして、活性部と第1の端面との間に第1の不活性部が、活性部と第2の端面との間に第2の不活性部が配置されている。切欠17は、圧電体12の下面において、一方の側面から他方の側面に至るように形成されている。固定部材2に圧電素子11を固定するに際しては、切欠17の開口部の少なくとも一部が露出するように、すなわち切欠の開口が露出するように接着剤3を用いて圧電素子11が固定される。また、切欠17は、前述したように、第1の不活性部において設けられている。
従って、図1に示す圧電アクチュエータ装置では、圧電素子11が、切欠17の開口の一部が露出するようにして接着剤2により固定部材1に固定されているため、電圧を印加して駆動した場合、ベンディングモードによる振動が生じ難い。これは、切欠17の存在により、固定部分による拘束力が活性部に伝わり難いため、言い換えれば固定による拘束力が低減されるため、固定されていない自由部分の変位が上下ほぼ対称となることによる。それを、図6及び図7を参照して説明する。
図6は、従来の圧電アクチュエータ装置111におけるベンディングモードの振動が生じる状態を示す模式図であり、図7は本実施形態の圧電アクチュエータ装置1による変位状態を示す模式図である。
図6に示すように、圧電アクチュエータ装置111では、固定部材112上に、接着剤113を用いて、切欠17が設けられていないことを除いては上記実施形態と同様に構成された積層型の圧電素子114が接着固定されている。この構造では、接着剤113による固定に起因する拘束力が圧電体の下面側に作用する。そのため、圧電素子114の下面側における変位が小さくなり、上面側の変位が相対的に大きくなる。従って、図示の一点鎖線で示す初期状態から、交流電圧を印加し圧電素子114を長さ方向に伸縮させた場合、実線で示す振動姿態と、破線で示す振動姿態との間で振動が生じることになる。言い換えれば、長さ方向の伸縮だけでなく、ベンディングモードの振動が生じざるを得ない。
従って、圧電素子114の自由端を被動部材に連結もしくは接触させて被動部材を変位させようとした場合、長さ方向だけでなく、厚み方向にも圧電素子114の先端面が移動することになるため、被動部材の駆動を高精度に行うことができない。
これに対して、本実施形態の圧電アクチュエータ装置1では、図7に示すように、切欠17の一部が露出するようにして、圧電素子11が固定部材2に接着剤3を用いて固定されている。従って、接着固定による拘束力が活性部に作用し難いため、交流電圧を印加して変位させた場合、実線で示す振動姿態と、破線で示す振動姿態との間で振動することとなる。なお、一点鎖線で示す姿態は、交流電圧を印加する前の状態である。
図7から明らかなように、圧電素子11は、長さ方向に伸縮し、ベンディングモードの振動は生じ難い。従って、圧電素子11の第2の端面12bを被動部材に接触もしくは連結させて被動部材を駆動した場合、被動部材を高精度に駆動することができる。
しかも、切欠17の形成により上記接着固定による拘束力の活性部への影響を低減した構造を有するため、固定部分の長さを長くしたり、自由部分の長さを長くしたりする必要がない。よって、大型化を招くことなく、ベンディングモードの振動を効果的に抑圧することができる。
図8は、上記切欠17が設けられている実施形態の圧電アクチュエータ装置、及び切欠17が設けられていないことを除いては同様にして構成された圧電アクチュエータ装置における張出し長さLと、ベンディングモードの振動による上下端変位量偏差との関係を示す図である。なお、張出し長さLとは、実施形態の圧電アクチュエータ装置1では、切欠17の第1の端面と第2の端面とを結ぶ方向の寸法をいうものとする。また、切欠17が形成されていない比較のために用意した圧電アクチュエータ装置では、張出し長さLとは、接着剤による固定部分の端部と、活性部との間の第1,第2の端面12a,12bを結ぶ方向の寸法をいうものとする。
他方、ベンディングモードの振動の程度を示す上下端変位量偏差とは、上下端変位量偏差=(第2の端面12bの上端の変位量−第2の端面12bの下端の変位量)/厚み方向平均変位量}×100(%)で求めた。図8から明らかなように、切欠17が設けられている実施形態の圧電アクチュエータ装置では、張出し長さLに相当する切欠の第1,第2の端面を結ぶ方向の寸法が大きくなるにつれて、上下端変位量偏差が小さくなり、従ってベンディングモードの振動を効果的に抑圧し得ることがわかる。
同様に、切欠が設けられていない従来例の圧電アクチュエータ装置では、上記張出し長さLを大きくすることにより、ベンディングモードの振動を抑圧し得ることがわかる。しかしながら、張出し長さLが等しい場合、従来例に比べて、切欠を設けた実施形態では、ベンディングモードの変位を効果的に抑圧し得ることがわかる。例えば、上下端変位量偏差が0.3%と、ほぼベンディングモードによる振動が発生しない結果を得るには、切欠が設けられていない構造では、張出し長さLを0.4mmとしなければならないのに対し、本実施形態によれば、L=0.18mm程度とすればよく、従って圧電素子の長さ方向寸法を効果的に小さくし得ることがわかる。
図1に示した圧電アクチュエータ装置1では、上記圧電素子11が接着剤3を用いて固定部材2に固定されていた。もっとも、本発明の圧電アクチュエータ装置を、例えば、インクジェット方式のプリンタのヘッドを制御する用途に用いる場合には、多数の圧電アクチュエータ部が必要とされる。このような用途に用いるには、図5に模式的平面図で示すように、圧電アクチュエータ1に用いられている圧電素子11において、第2の端面12bから第1の端面12a側に向かって延びるように、ただし第1の端面12aには至っていない複数本のスリット41を形成すればよい。この場合、スリット41は、第2の外部電極20を分断する長さとされる必要がある。このようなスリット41を形成することにより、隣り合うスリット41間の圧電素子部分において個々の圧電アクチュエータ部を構成することができる。従って、1つの圧電素子11を用い、多数の圧電アクチュエータ部を構成することができ、多数の被動部材を駆動する必要がある、例えばインクジェット方式のプリンタのヘッドの制御に好適な圧電アクチュエータ装置を提供することができる。
加えて、本実施形態では、上記接着剤3による固定に際し、余分な接着剤が付着したとしても、該接着剤が切欠17内に収納され、活性部への接着剤の展延を抑制することができる。従って、活性部への接着剤の付着による振動阻害も生じ難い。
図9は、上記圧電アクチュエータ装置1の変形例を示す正面断面図である。図9に示す圧電アクチュエータ装置51では、圧電体12の上面側にも、切欠17Aが設けられ、かつダミー電極15,16が設けられていないことを除いては、図1に示した圧電アクチュエータ装置1と同様に構成されている。圧電アクチュエータ装置51から明らかなように、圧電体12の上面にも切欠17Aを設けてもよい。上面に切欠17Aを設けることにより、圧電体12の上面と下面との振動の対称性を高めることにより、より一層ベンディングモードの振動を抑圧することができる。
好ましくは、振動の対称性をより一層高める上で、切欠17Aは、下面に設けられている切欠17と対向する位置において切欠17と同じ寸法に形成されていることが望ましい。
また、図9では、接着剤3の一部が切欠17内に入り込んでいる。このように、余分な接着剤が切欠17内に入り込んだとしても、余分な接着剤が切欠17内に収納され、第1,第2の内部電極13,14が重なり合っている活性部に接着剤が展延し難い。従って、前述したように、余分な接着剤による活性部の振動阻害が生じ難い。
図10(a)及び(b)は、図1に示した圧電アクチュエータ装置1のさらに他の変形例を示す各部分切欠正面断面図である。
図10(a)に示す圧電アクチュエータ装置61では、切欠17の開口の全部が露出するように、圧電素子11が接着剤3を用いて固定部材2に固定されている。言い換えれば、切欠17は第1の不活性部において、第1の不活性部と活性部との境界付近に設けられているが、接着剤3による固定部分は、切欠17よりも第1の端面12a側に寄せられている。従って、切欠17の開口部の全部が露出するようにして、圧電素子11が固定部材2に接着剤3を用いて固定されている。このように、圧電素子11の接着剤3による固定に際しては、切欠17の開口の全部が露出するようにして、圧電素子11が固定部材2に固定されていてもよい。
さらに、図10(b)に示す圧電アクチュエータ装置71のように、切欠17の一対の側壁17a,17bのうち、第1の端面12a側の側壁17aと圧電体12の下面12cの端縁まで接着剤3が付着するようにして、接着剤3により圧電素子11が固定部材2に固定されていてもよい。この場合においても、切欠17の開口部の全部が露出されることになる。従って、図1、図10(a)及び(b)から明らかなように、圧電素子11を接着剤3により固定部材2に固定するに際しては、切欠17の開口部の少なくとも一部が開口するように固定されておりさえすればよく、いずれの場合においても、接着剤による固定に起因する拘束力の活性部側への作用を効果的に抑圧することができる。
なお、上記接着剤3としては、エポキシ系接着剤などの適宜の樹脂系接着剤、あるいは金属からなる接合剤などを用いることができる。
本発明の一実施形態に係る圧電アクチュエータ装置を示す部分切欠斜視図。 (a)及び(b)は、図1に示した圧電アクチュエータ装置の圧電体を制作するのに用意された内部電極パターンを説明するための圧電グリーンシートの各平面図。 (a)及び(b)は、図1に示した圧電アクチュエータ装置に用いられている圧電体を得るのに用意されたマザーの積層体の平面図及び正面断面図。 図1に示した圧電アクチュエータ装置に用いられている圧電素子の正面断面図。 図1及び図4に示した圧電素子にスリットを形成することにより構成された圧電アクチュエータを示す模式的平面図。 切欠が設けられていない従来の圧電素子を用いた圧電アクチュエータ装置における振動姿態を示す模式的正面断面図。 切欠が設けられている本実施形態の一実施形態に係る圧電アクチュエータ装置における振動姿態を示す模式的正面断面図。 実施形態及び比較のために用意した従来の圧電アクチュエータ装置における張出し長さLと、ベンディングモードの振動の大きさに関連する上下端振動偏差との関係を示す図。 本発明の圧電アクチュエータ装置の変形例を示す正面断面図。 (a)及び(b)は、本発明の圧電アクチュエータ装置のさらに他の変形例を示す各部分切欠正面断面図。 従来の圧電アクチュエータ装置を示す斜視図。
符号の説明
1…圧電アクチュエータ装置
2…固定部材
3…接着剤
11…圧電素子
12…圧電体
12a,12b…第1,第2の端面
12c…上面
12d…下面
13…第1の内部電極
14…第2の内部電極
15,16…ダミー電極
17…切欠
17A…切欠
19,20…第1,第2の外部電極
21,22…内部電極パターン
41…スリット
51…圧電アクチュエータ装置
61…圧電アクチュエータ装置
71…圧電アクチュエータ装置

Claims (9)

  1. 圧電体と、圧電体内において圧電体層を介して積層されている第1,第2の内部電極とを有し、第1,第2の内部電極が異なる電位に接続され、第1,第2の内部電極が積層されている部分が圧電効果により変位する活性部であり、前記圧電体の第1,第2の端面と前記活性部との間に第1,第2の不活性部が形成されており、第1の不活性部において固定され、第2の不活性部側において他の部材を駆動するように用いられる圧電素子であって、
    前記第1の不活性部において、圧電体の下面に、前記圧電体の一方の側面から他方の側面まで貫くように切欠が形成されていることを特徴とする、圧電素子。
  2. 前記圧電体の上面にも、前記第1の不活性部において、前記圧電体の一方の側面から他方の側面まで貫くように切欠が設けられている、請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記切欠が前記第1の不活性部と活性部との境界付近に設けられている、請求項1または2に記載の圧電素子。
  4. 前記切欠の深さが、最下層の内部電極と圧電体の下面との間の圧電体層の厚みよりも小さい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電素子。
  5. 前記圧電体が第1,第2の端面を結ぶ方向に伸縮するように、前記内部電極及び内部電極間に挟まれた圧電体層の分極構造が構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電素子。
  6. 前記圧電素子が圧電体の下面側から固定された際に、前記切欠の一部が開口するように圧電体が固定されることを可能とするように前記切欠が設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電素子。
  7. 前記切欠の開口部の全てが開口するように圧電素子が固定部分に固定されるように、前記切欠が設けられている、請求項6に記載の圧電素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧電素子を用いて構成されている圧電アクチュエータであって、
    前記圧電素子の第2の端面から第1の端面に向かって、但し第1の端面には至らないように延びる複数本のスリットが形成されており、隣り合うスリット間の圧電素子部分によりそれぞれ圧電アクチュエータ部が構成されている、圧電アクチュエータ。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧電素子または請求項8に記載の圧電アクチュエータの第1の不活性部において、圧電体の下面側から該圧電素子が固定部材に固定されており、第2の不活性部側が他の部材を駆動する駆動部を構成しており、前記切欠の開口部の少なくとも一部が開口するように固定部材に圧電素子が固定されている、圧電アクチュエータ装置。


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