以下、本発明が適用されたカートリッジについて、図面を参照して説明する。図1乃至図3に示す本発明が適用されたカートリッジ1は、光ディスクを収納して光ディスクの信号記録面3aに塵埃、指紋等の異物が付着することを防ぐものであり、外筐となるカートリッジ本体2の内部に、記録媒体となる光ディスク3と、中シェルとなるインナーロータ4と、一対のシャッタ部材5a,5bとが収納されている。そして、カートリッジ本体2は、一組の上シェル6と下シェル7とを互いに組み合わせて構成されている。
このカートリッジ1に収納された光ディスク3は、図2に示すように、例えばCDやDVDと同じ直径を12cmとなし、中心部に、記録再生装置側のディスク回転駆動機構が係合されるセンタ孔3bが形成されている。
この光ディスク3は、信号記録面3aに、合成樹脂製の基板の一方の面にランドとグルーブからなる所定パターンを形成し、この所定パターン上に光ビームを反射する反射層を設け、この反射層上に相変化材料、有機色素材料等からなる信号記録層を設け、この信号記録層上に光透過層を設けるようにし、光透過層側から光ビームを照射し、ランド及び/又はグルーブにデータを記録するようになっている。
そして、この光ディスク3では、記録及び/又は再生にあたって、波長が400nm程度の光ビームを用い、光ピックアップの対物レンズに、CDやDVDで用いる対物レンズより高開口数のものを用いることで、CDやDVDより高密度に、静止画データ、動画データ、楽曲データ、コンピュータで処理される処理データ等のデータを記録記録面3aに記録することができる。なお、記録媒体としては、この他に、光磁気ディスク、磁気ディスク等を用いてもよい。また、記録媒体としては、その他、再生専用の光ディスク等の記録媒体を用いるようにしてもよい。更に、クリーニングディスクが収納されていても良い。
上シェル6は、図4に示すように、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の熱可塑性を有する樹脂材料を射出成形することにより形成されている。この上シェル6は、全体略矩形状の主面のうち、記録再生装置への挿入端側となる前面が略円弧形状とされている。また、この上シェル6には、カートリッジ本体2の側面をなす外周壁8が主面の外周縁部に沿って立設されている。
外周壁8には、前面側の中央部に位置して、記録再生装置70側の光ピックアップを進入させるための第1のピックアップ進入用凹部9が切り欠き形成されている。また、外周壁8には、背面側の中央部に位置して、下シェル7との位置決めを行うための位置決め用凹部10とが切り欠き形成されている。
外周壁8の内周側には、光ディスク3を回転可能に収納するディスク収納部を構成する略円環状の内周壁11が立設されている。この内周壁11には、前面側の中央部に位置して、後述する記録再生装置70の光ピックアップ75を進入させるための第2のピックアップ進入用凹部12が切り欠き形成されている。
また、内周壁11の外周側には、この内周壁11を囲むようにして更に立ち上がり壁が立設され、内周壁11とこの立ち上がり壁とで略円環状のガイド溝13が形成されている。このガイド溝13には、後述するインナーロータ4が回動可能に係合される。また、ガイド溝13の底面部には、前面側の中央部及び背面側の中央部に位置して、インナーロータ4を上シェル6から離間する方向に移動させるための一対のリフトアップ用凸部14が突出形成されている。
また、上シェル6には、各コーナ部6a,6b,6c,6dのうち、シャッタ部材5a,5bロックするロック部材を収納するロック収納部を形成する前面側の一方コーナ部6aを除く、残りのコーナ部6b,6c,6dに位置して、内部に塵埃等の侵入を防止するための上側コーナ壁15がそれぞれ立設されている。
この上側コーナ壁15は、外周壁8とガイド溝13との間で周囲を囲むようにして形成されている。また、この上側コーナ壁15と外周壁8との間には、第1の溝部16が形成されており、この上側コーナ壁15とガイド溝13との間には、第2の溝部17が形成されている。また、上シェル6には、背面側の一方コーナ部6cに、誤記録防止部材が収納される収納部を構成する上側立ち上がり壁18が立設されている。また、この上側立ち上がり壁18と上側コーナ壁15との間には、第3の溝部19が形成されている。また、上シェル6には、各コーナ部6a,6b,6c,6d近傍に、下シェル7を結合するための位置決めピン20が形成されており、これら位置決めピン20は、中心部に、ねじ止めするためのねじ孔が形成されている。
以上のように構成される上シェル6に結合される下シェル7は、図2、図3及び図5に示すように、上述した上シェル6と同様に、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の熱可塑性を有する樹脂材料を射出成形することにより形成されている。この下シェル7は、全体略矩形状の主面のうち、記録再生装置に挿入される前面側が略円弧形状とされている。この下シェル7には、カートリッジ本体の側面をなす外周壁21が主面の外周縁に沿って立設されている。
また、外周壁21の背面側には、上述した上シェル6側の位置決め用凹部10に係合されることによって、上シェル6と下シェル7との位置決めを行う位置決め壁22が形成されている。また、外周壁21の背面側には、上述した上シェル6側の第1の溝部16に係合されることによって、上シェル6と下シェル7との間から塵埃等が内部に侵入するのを防止する防塵壁23が形成されている。
この下シェル7には、外周壁21の前面側の中央部に光ピックアップが進入できるように開放された開口部24が設けられている。この開口部24は、前面側の開放端から光ディスク3の信号記録面3aの一部が内外周に亘って外方へ臨ませる略矩形状の記録再生用の開口部24aと、開口部24aと連続した光ディスク3の中心孔3bが外部に臨ませる回転駆動用の開口部24bとにより構成されている。
すなわち、記録再生用の開口部24aは、記録再生装置の光ピックアップをカートリッジ本体2の内部に進入させるのに足る大きさに形成されており、回転駆動用の開口部24bは、記録再生装置70のディスク回転駆動機構を構成するディスクテーブル76をカートリッジ本体2の内部へと進入させるのに足る大きさに形成されている。
下シェル7には、各コーナ部7a,7b,7c,7dのうち、ロック収納部を形成する前面側の一方コーナ部7aに位置して、ロック部材29を回動可能に支持する支軸25が突設されている。また、この前面側の一方コーナ部7aを除く、残りの各コーナ部7b,7c,7dには、上述した上シェル6の第2の溝部17に係合する略円弧状の下側コーナ壁26が立設されている。更に、背面側の一方コーナ部7cには、上述した上シェル6の第3の溝部19に係合される下側立ち上がり壁27が立設されている。
また、下シェル7には、上述した上シェル6の位置決めピン20にと嵌合される略円筒状の位置決めキャップ28が突出形成されており、この位置決めキャップ28の底面部には、止めねじが挿通される貫通孔が形成されている。
上シェル6と下シェル7とを結合するとき、上シェル6側の位置決め用凹部10と下シェル7側の位置決め壁22とが係合され、また、上シェル6側の位置決めピン20と下シェル7側の位置決めキャップ28とが嵌合され、さらに、上シェル6側の第1の溝部16、第2の溝部17及び第3の溝部19には、下シェル7側の防塵周壁23、下側コーナ周壁26及び下側立ち上がり壁27がそれぞれ係合される。そして、この位置決めピン20のねじ孔に位置決めキャップ28の貫通孔を通して止めねじが螺合される。このようにして、カートリッジ本体2が構成される。
カートリッジ本体2には、図6に示すように、上シェル6と下シェル7とが重ね合わされることによって、カートリッジ本体2の側面に略内接するようにしてディスク収納部2aが形成される。具体的には、上シェル6と、後述するインナーロータ4の主面4aとで、光ディスク3を回転可能に収納するディスク収納部2aが形成される。
また、カートリッジ本体2においては、前面側の一方コーナ部6a,7aに、ロック部材29が回動可能に収納される収納部と、背面側の一方コーナ部6c,7cに、誤記録防止部材30がスライド可能に収納される収納部とが形成される。
ロック部材29は、後述するインナーロータ4及び一対のシャッタ部材5a,5bがカートリッジ本体2の開口部24を閉塞する閉塞位置にあるときに、インナーロータ4の回転をロックする。
このロック部材29は、図2に示すように、本体に設けられた下シェル7の支軸25に回動可能に係合される係合孔31と、この係合孔31からカートリッジ本体2の一方側面部に向かって延長された操作片32と、この係合孔31からディスク収納部2aに向かって延長されたストッパ片33と、この係合孔31からカートリッジ本体2の前面側の内側面に向かって延長されたバネ片34とを有している。
操作片32の先端部には、カートリッジ本体2の一方側面部に形成されたロック用開口部35aから外部に臨む操作突部32aが設けられている。また、ストッパ片33の先端部には、インナーロータ4のリング部43と摺接するストッパ突部33aが設けられている。バネ片34は、弾性変位した状態でカートリッジ本体2の前面側の内側面と当接されている。したがって、バネ片34の弾性力により操作片32の操作突部32aは、ロック用開口部35aから突出する方向に付勢され、また、ストッパ片33のストッパ突部33aは、インナーロータ4のリング部43に当接される方向に付勢され、インナーロータ4の第2の係合凹部42に係合される。そして、このロック部材29は、操作片32の操作突部32aが押圧されることによって、バネ片34の付勢力に抗してストッパ片33がインナーロータ4のリング部43から離間する方向に移動され、ストッパ突部33aは、第2の係合凹部42との係合状態が解除される。
また、誤記録防止部材30は、カートリッジ本体2の背面側の側面部に沿って操作されることによって、例えば検出孔を開放する記録可能位置と検出孔を閉塞する記録禁止位置とに亘って移動する。
カートリッジ本体2の一方側面部には、カートリッジ1の記録再生装置への誤挿入を防止するためのガイド溝36が前面側から背面側に亘って形成されている。このガイド溝36の底面部には、前面側から順に、上述したロック部材29の操作凸部32aを外部に臨ませるロック用開口部35aと、インナーロータ4の外周部の一部を外部に臨ませるロータ用開口部35bとが形成されている。
下シェル7の内面には、後述するシャッタ部材5a,5bに長孔状に設けられたガイド孔53と係合するガイドピン37が略円柱状に突出形成されている。このガイドピン37は、後述するシャッタ部材5a,5bが支点にして回動したときに、ガイド孔53に係合された状態で孔内を長尺方向に移動してシャッタ部材5a,5bが開口部24を開放したり閉塞したりする開閉動作をガイドする。
このガイドピン37は、基端部37bから先端部37aまでの寸法、いわゆる高さの寸法が、シャッタ部材5a,5bの厚み寸法以下にされている。これにより、ガイドピン37においては、ガイド孔53に係合されたときに、ガイド孔53より先端部37aが突出することがなく、例えば下シェル7に対してシャッタ部材5a,5bを介して対向するインナーロータ4に先端部37aが当たることなく、適切にシャッタ部材5a,5bを所定の方向にガイドできる。
このガイドピン37には、図7に示すように、先端部37aから基端部37bに向かって切り欠かれたスリット溝38が設けられている。これにより、ガイドピン37では、例えばカートリッジ1を記録再生装置70等から取り出したときに誤って床に落下させる等して外部からの衝撃や振動等といった応力が外筐となるカートリッジ本体2を介して内部にまで加わったとしても、切り欠かれた空間部であるスリット溝38で外部からの応力を吸収し、ガイド孔53から外れてしまうことを防ぐことができる。
具体的には、図8に示すように、ガイドピン37に外部から応力が加わったときに、2つ割りにされたガイドピン37のうちの外部より応力が加わった一片が、スリット溝38側に弾性変形して倒れ込むことで外部からの応力を吸収する。なお、外部からの応力が加わって弾性変形したガイドピン37の一片は、外部からの応力を吸収すると、復元して元の状態に戻る。
ところで、カートリッジ1においては、上述したように記録再生装置70から排出させるときに床に落下させる虞がある。すなわち、後述する一対のシャッタ部材5a,5bが開口部24を閉塞しているときに床に落下させる虞があり、このときにガイドピン37がガイド孔53から外れないようにさせることが重要である。また、ガイドピン37においては、落下や振動等をいった外部からの応力は、ガイド孔53の内側面より伝わる、すなわちガイド孔53の短尺方向から伝わることから、この外部からの応力を効率よく吸収することが重要である。
このため、ガイドピン37において、図9に示すように、スリット溝38は、後述する一対のシャッタ部材5a,5bが開口部24を閉塞しているときに、長孔状をなすガイド孔53の長尺方向と略平行な方向に設けられるようにされている。これにより、ガイドピン37においては、一対のシャッタ部材5a,5bが開口部24を閉塞しているときに、外部からの応力がガイド孔53の短尺方向から加わったとしても、スリット溝38がガイド孔53の長尺方向と略平行な方向に設けられていることにより、2つ割りにされたガイドピン37のうち応力が加わった一片をスリット溝38側に適切に倒し込むことができ、効率よく外部からの応力をスリット溝38で吸収することができる。
さらに、下シェル7の内面に設けられたガイドピン37にスリット溝38を設けたことで、下シェル7を射出成形に形成したときに、下シェルの外面、すなわちカートリッジ1の表面のガイドピン37に対応する位置にヒケマーク等が発生することを防止でき、外観不良を抑制できる。
下シェル7が構成するカートリッジ本体2の下面には、図3に示すように、記録再生装置70に装着した際の位置決めを行う複数の位置決め用凹部39が設けられている。また、カートリッジ本体2の両側面部には、記録再生装置70に装着した際の位置決めや、ディスクカートリッジの種類の判別等を行う複数の切欠部40が設けられている。
インナーロータ4は、図10及び図11に示すように、ポリオキシメチレン(POM)等の熱可塑性を有する樹脂材料を射出成形することにより形成されている。このインナーロータ4の主面4aには、光ディスク3が信号記録面3aを対向させるようにして載置される。そして、この主面4aは、図6に示すように、カートリッジ本体2内に配設されたとき、上シェル6の内周壁11とでディスク収納部2aを構成する。
このインナーロータ4は、略円盤状に形成されており、その外周縁部には、上述した上シェル6のガイド溝13に係合される略円環状のリング部43が立設されている。そして、このインナーロータ4は、上シェル6のガイド溝13にリング部43が係合されることによって、カートリッジ本体2に対して回動可能に支持されている。
リング部43と主面4aとの間の角部には、内側に肉厚にされたテーパー部4bが設けられている。これにより、インターロータ4においては、このテーパー部4bに主面4a上に載置される光ディスク3の周縁部3cだけが当接するようにされ、光ディスク3の信号記録面3aが主面4aに当接しないようにされている。すなわち、インナーロータ4においては、主面4a上に載置される光ディスク3の信号記録面3aが主面4aと接触して損傷しないように、主面4aと光ディスク3の信号記録面3aとが所定の間隔を以て離間した状態で光ディスク3が主面4a上に載置される。
インナーロータ4には、図10及び図11に示すように、下シェル7に設けられた開口部24と略同じ大きさの開口部44が形成されている。そして、開口部44が設けられた領域のリング部43は、連結部43aによって連結されている。
また、リング部43の外周面には、インナーロータ4を回動させるためのギヤ部45が形成されている。このギヤ部45は、図12に示すように、インナーロータ4が下シェル7の開口部24の閉塞位置にあるときに、上述したロータ用開口部35bの前面側から外部に臨む位置と、図13に示すインナーロータ4が下シェル7の開口部24を開放した開放位置にあるときに、上述したロータ用開口部35bの背面側から外部に臨む位置との間の領域に亘って形成されている。
このギヤ部45の一方の側には、記録再生装置70側のシャッタ開放機構を構成するシャッタ開放部材の第1の係合突起が係合される第1の係合凹部41が形成され、ギヤ部45の他方の側には、シャッタ開放部材の第2の係合突起が係合される第2の係合凹部42が形成されている。これら係合凹部41,42は、ギヤ部45と共にロータ用開口部35bより外部に臨む。第1の係合凹部41は、カートリッジ1を記録再生装置70に装填したとき、最初にシャッタ開放部材の第1の係合突起が係合される。第2の係合凹部42は、後述するシャッタ部材5a,5bが閉塞位置にあるとき、ロック部材29のストッパ突部33aが係合されると共に、シャッタ部材5a,5bが開口部24,44の開放位置に移動したとき、シャッタ開放部材の第2の係合突起が係合される。
また、リング部43の外周面には、インナーロータ4の回動量を規制するための一対の回動規制突部46a,46bが互いに所定の間隔を有して突出形成されている。一方、上シェル6には、ガイド溝13と上側コーナ壁15との間に位置して、回動規制突部46a,46bと当接される一対の規制部47a,47bが形成されている。図13に示すように、インナーロータ4が開口部24を開放する方向に回転することによって、一方の回動規制突部46aが一方の規制部47aと当接し、インナーロータ4の更なる回転を規制する。
この方向のインナーロータ4の回転が規制されたとき、インナーロータ4は、開口部24の開放位置にあり、インナーロータ4の開口部44とカートリッジ本体2の開口部24とが略一致した状態となる。一方、図12に示すように、インナーロータ4が開口部24を閉塞する方向に回転することによって、他の回動規制突部46bが他の規制部47bと当接し、インナーロータ4の更なる回転を規制する。この方向のインナーロータ4の回転が規制されたとき、インナーロータ4は、開口部24の閉塞位置にあり、インナーロータ4の開口部44がカートリッジ本体2の開口部24に対して最も傾いた状態となる。
リング部43の先端面には、図12及び図13に示すように、上述したガイド溝13の一対のリフトアップ用凸部14と摺接される一対のリフトアップ用凸部48が突出形成されている。インナーロータ4が開口部24の閉塞位置の直近に位置するときには、このリフトアップ用凸部48がガイド溝13のリフトアップ用凸部14と摺接しながら乗り上げることによって、インナーロータ4が上シェル6から離間する方向に持ち上げられる。
また、インナーロータ4には、図10乃至図13に示すように、リング部43が突出する側とは反対側の主面に位置して、一対のシャッタ部材5a,5bをそれぞれ回動可能に支持する一対の支軸49a,49bが突出形成されている。この一対の支軸49a,19bは、インナーロータ4の中心部に対して点対称な位置、すなわち互いに180゜の位相差を有して配置されている。
このようなインナーロータ4に取り付けられる開口部44を開閉する一対のシャッタ部材5a,5bは、図14及び図15に示すように、互いに対称な形状にされており、インナーロータ4の一対の支軸49a,49bを中心に、180゜の位相差を有して回動可能に取り付けられている。なお、一対のシャッタ部材5a,5bにおける同等な部位については、まとめて説明すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
このシャッタ部材5a,5bは、上述したインナーロータ4と同様に、ポリオキシメチレン(POM)等の熱可塑性を有する樹脂材料を射出成形することにより形成されている。このシャッタ部材5a,5bは、略半円平板状に形成されており、基端部には、上述したインナーロータ4の支軸49a,49bに回動可能に係合される係合孔50a,50bが形成されている。
また、一対のシャッタ部材5a,5bの突き合わせ面となる弦線部分には、中央部から基端部に向かって第1の係合部51と、中心部から先端部に向かって第2の係合部52とが形成されている。このうち、第1の係合部51は、下シェル7側が傾斜面とされており、第2の係合部52は、上シェル6側が傾斜面とされている。
そして、一対のシャッタ部材5a,5bは、図16及び図17に示すように、インナーロータ4の支軸49a,49bを中心として、互いに近接離間する方向に回動されることによって、一方のシャッタ部材5aの第1の係合部51と他方のシャッタ部材5bの第2の係合部52とが係合されると共に、他方のシャッタ部材5bの第1の係合部51と一方のシャッタ部材5aの第2の係合部52とが係合される。
また、シャッタ部材5a,5bには、図5に示すように、下シェル7の内面に突出形成された後述する一対のガイドピン37とそれぞれ係合されるガイド孔53が形成されている。このガイド孔53は、図14及び図15に示すように、シャッタ部材5a,5bが開口部44の閉塞位置と開放位置との間で回動されるように、弧線部分の中途部から係合孔50a,50bに向かって所定の長さで形成された長孔である。ガイド孔53の外周側の端部には、シャッタ部材5a,5bが閉塞位置にあるときに、下シェル7のガイドピン37が係合される係合部54と、この係合部54に係合されたガイドピン37を押圧する弾性を有する押圧片55とが形成されている。
ところで、下シェル7の開口部24の周縁部には、図5に示すように、内部に塵埃等が侵入することを防止するための防塵リブ56が設けられている。この防塵リブ56には、下シェル7の前面側及び背面側の外周壁21とそれぞれ連結する部分が高くなるように補助リブ56a,56b,56c,56dが設けられている。この防塵リブ56は、シャッタ部材5a,5bが開口部44を閉塞するとき、シャッタ部材5a,5bに設けられた防塵溝57に係合される。
また、インナーロータ4には、図16及び図17に示すように、一対の支軸49a,49bの近傍に、防塵リブ56と防塵溝57との係合状態を解除する解除用凸部58が突出形成されている。この解除用凸部58は、防塵リブ56と略同等の高さで形成されており、シャッタ部材5が開口部44の閉塞位置から開放位置へと移動する際に、この防塵リブ56と防塵溝57との係合を解除する。
また、一対のシャッタ部材5a,5bは、図14及び図15に示すように、閉塞位置にあるときに、防塵リブ56の一部である補助リブ56a,56cと係合する第1の係合片59aと、補助リブ56b,56dと係合される第2の係合片59bとが形成されている。さらに、シャッタ部材5a,5bには、第2の係合部52の先端部側に、防塵リブ56の一部を構成する補助リブ56b及び補助リブ56dが係合する切欠部60が形成されている。
以上のような構成のカートリッジ1には、上述した構成の他に、図2に示すように、上シェル6の内面略中央部にクランピングプレート61が配設される。このクランピングプレート61は、記録再生装置70のディスク回転駆動部を構成するディスクテーブル76と共に光ディスク3を挟持し、取り付けリング61aによって上シェル6に取り付けられている。
具体的に、クランピングプレート61は、取り付けリング61aと上シェル6の内面略中央部とで挟み込むようにし、取り付けリング61aを上シェル6の内面略中央部に溶着等によって固定することで取り付けられる。そして、光ディスク3は、センタ孔3bにディスクテーブルが係合し、さらにディスクテーブル76とクランピングプレート61とで挟持されることによりディスク収納部2a内で回転可能な状態となる。
次に、以上のように構成されるカートリッジ1の組み立て方法について説明すると、先ず、インナーロータ4の主面4aに光ディスク3を載置した状態でインナーロータ4のリング部43を上シェル6のガイド溝13に係合させる。このとき、インナーロータ4の開口部44と上シェル6の第1及び第2のピックアップ進入用凹部9,12とが一致するように、上シェル6に対するインナーロータ4の位置合わせを予め行っておく。また、光ディスクのセンタ孔3bにも、上シェル6の内面略中央部に取り付けられたクランピングプレート61を係合させる。
次に、このインナーロータ4に一対のシャッタ部材5a,5bを取り付ける。具体的には、一対のシャッタ部材5a,5bの突き合わせ面を互いに対向させた状態で、係合孔50a,50bをインナーロータ4の支軸49a,49bに係合させる。これにより、一対のシャッタ部材5a,5bがインナーロータ4の支軸49a,49bを中心に回動可能に取り付けられる。
また、インナーロータ4の開口部44の端縁部に一対のシャッタ部材5a,5bの突き合わせ面が沿うように、インナーロータ4に対する一対のシャッタ部材5a,5bの位置合わせを予め行っておく。さらに、これと同時或いは前後して、ロック部材29の係合孔31に支軸25を挿通しロック部材29を取り付けると共に、誤記録防止部材30を配設する。
次に、この上シェル6に下シェル7を結合する。すなわち、上シェル6と下シェル7の外周壁8,21を突き合わせ、上シェル6側の位置決め用凹部10と下シェル7側の位置決め壁22とを係合させる。
また、上シェル6側の位置決めピン20と下シェル7側の位置決めキャップ28とが嵌合される。さらに、上シェル6側の第1の溝部16、第2の溝部17及び第3の溝部19には、下シェル7側の防塵周壁23、下側コーナ周壁26及び下側立ち上がり壁27がそれぞれ係合される。
さらに、シャッタ部材5a,5bのガイド孔53には、下シェル7側のガイドピン37を係合させる。このとき、上述したインナーロータ4に対する一対のシャッタ部材5a,5bの位置合わせを予め行っておくことによって、下シェル7と一対のシャッタ部材5a,5bとの位置合わせを容易に行うことができる。
そして、位置決めピン20のねじ孔に位置決めキャップ28の貫通孔を通して止めねじを螺合する。これにより、上シェル6に下シェル7が結合され、カートリッジ本体2が構成される。このとき、インナーロータ4及び一対のシャッタ部材5a,5bは、開口部24,44の開放位置にある。
次に、この状態からギヤ部45を操作して、インナーロータ4を開口部24,44が閉塞する方向に回転させることにより、一対のシャッタ部材5a,5bがカートリッジ本体2の開口部24を閉塞した状態となる。
以上により、カートリッジ1の組み立て作業が完了する。このように、本発明を適用したカートリッジ1では、使用される構成部品の数が少なく、しかも極めて簡単に組み立て作業を行うことができる。また、カートリッジ1は、構成部品にコイルバネや板バネ等の付勢部材等を用いないことから組み立て作業が容易となる。
なお、上シェル6に対する下シェル7の固定方法としては、上述した止めねじ等の手段に限らず、接着剤、超音波溶着等を用いて上シェル6と下シェル7とを接合一体化させることも可能である。
上述したような構成を有するカートリッジ1が記録再生装置に装着される前には、図1、図3及び図18に示すような状態になっている。すなわち、一対のシャッタ部材5a,5bは、インナーロータ4の第2の係合凹部42にロック部材29のストッパ突部33aが係合され、開口部24,44の閉塞位置にロックされている。
このとき、インナーロータ4の第1の係合凹部41は、ロータ用開口部35より外部に臨まされ、ロック部材29の操作突部32aは、ロック用開口部35aより外部に臨まされ、記録再生装置に装填されたとき、記録再生装置側のシャッタ開放機構がシャッタロックを解除し、一対のシャッタ部材5a,5bを回動操作することができるようになっている。
そして、図19に示すように、上シェル6側のリフトアップ用凸部14にインナーロータ4側のリフトアップ用凸部48が乗り上げた状態となり、一対のシャッタ部材5a,5bは、インナーロータ4と下シェル7とによって両側から挟持された状態となる。これにより、一対のシャッタ部材5a,5bは、非使用時において、開口部24,44を適切に閉塞させることになる。この状態で、カートリッジ1は、記録再生装置70に装填されることになる。
以上のように構成されるカートリッジ1では、図20に示すような記録再生装置70が用いられる。この記録再生装置70は、光ディスク3を内部にディスク収納部2aに収納されたディスクカートリッジの記録再生装置であり、本発明が適用されたカートリッジ1は、この記録再生装置70に装填することができるようになっている。
ここで、この記録再生装置70について図20を用いて説明すると、この記録再生装置70は、内部にカートリッジ1の装着部等が設けられた本体部が配設される外装ケース71を有する。そして、この外装ケース71の前面部には、カートリッジ1が挿入される挿入口72が設けられ、この挿入口72は、開閉蓋73により閉塞されている。この開閉蓋73は、カートリッジ1の前面部により押圧されることによって、内方に回動し挿入口72を開放し、カートリッジ1が外装ケース71内に挿入されるようにする。外装ケース71内に配設された本体部は、図21に示すように、カートリッジ1を装着部に装着するためのローディング機構が設けられており、このローディング機構は、挿入口72よりカートリッジ1が前面側を挿入端として挿入されると、このカートリッジ1を装着部まで自動的に引き込む。
この装着部には、光ディスク3をCLV(Constant Linear Velocity)、CAV(Constant Angular Velocity)又はこれらの組み合わせで回転するディスク回転駆動機構74や光ピックアップ75が設けられている。ディスク回転駆動機構74は、スピンドルモータの駆動軸に一体的に回転するように取り付けられたディスクテーブル76を有している。カートリッジ1が装着部に位置決めされた状態で装着されると、ディスクテーブル76は、光ディスク3のセンタ孔3bに係合すると共に、カートリッジ本体2内に設けられたクランピングプレート61とで光ディスク3を回転可能に保持する。そして、スピンドルモータが駆動することによって、ディスクテーブル76は、光ディスク3をCLV、CAV等で回転する。
光ピックアップ75は、半導体レーザより出射された波長が400nm程度の光ビームを対物レンズで集光し、光ディスク3の信号記録面3aに照射し、この信号記録面3aで反射された戻りの光ビームを検出することによって、光ディスク3にデータを記録し、又は光ディスク3に記録されたデータの読み出しを行う。
また、この装着部には、カートリッジ1が装着されるとき、インナーロータ4を回転し、シャッタ部材5a,5bを回動操作するシャッタ開放機構を構成するシャッタ開放部材80が設けられている。このシャッタ開放部材80は、図22に示すように、インナーロータ4のギヤ部45に噛合されるラック部81と、このラック部81の先端側に設けられた初期動作用の第1の係合突部82と、ラック部81の基端側に設けられたストッパ用の第2の係合突部83等を備えている。ラック部81は、ギヤ部45と略同数の歯を有している。
第1の係合突部82は、ラック部81の先端側に設けられた第1の弾性片84の先端部に設けられ、第2の係合突部83は、ラック部81の他端側に設けられた第2の弾性片85の先端側に設けられ、インナーロータ4の係合凹部41,42に確実に係合できるようになっている。
このようなシャッタ開放部材80は、カートリッジ1が装着部に装着されたとき、カートリッジ1に対して直線移動し、シャッタ部材5a,5bの操作をするようにしてもよく、また、本体側に固定しておき、カートリッジ1の装着部までの移動によってシャッタ部材5a,5bを操作するようにしてもよい。
そして、カートリッジ1は、図21に示すように、前面を挿入端として、開閉蓋73を押圧するようにして挿入口に挿入され、シャッタ部材5a,5bの開放動作が開始すると、先ず、図23に示すように、シャッタ開放部材80は、カートリッジ1のガイド溝36に係合し、第1の係合突部82は、ガイド溝36に設けられているロック用開口部35aより外部に臨まされているロック部材32の操作突部32aを押圧する。これにより、ロック部材29は、支軸25を中心に回動し、ストッパ突部33aは、インナーロータ4の第2の係合凹部42との係合状態が解除される。この結果、インナーロータ4は、ロックが解除され、回転可能な状態となる。さらに、シャッタ開放部材80がカートリッジ1の前方に進むと、ラック部81がロック部材32の操作突部32aを押圧し続けることで、インナーロータ4のロック状態を解除した状態を保持する。
そして、第1の係合突部82は、図24に示すように、インナーロータ4のロータ用開口部35bより外部に臨まされている第1の係合凹部41に係合し、インナーロータ4を回動可能な状態にし、更にシャッタ開放部材80がカートリッジ1の前方に進むことでインナーロータ4を回動する。このとき、リフトアップ用凸部14,48の相互の係合は解除され、インナーロータ4は、摩擦力が低減することで、弱い力で円滑に回転するようになる。そして、シャッタ開放部材80のラック部81は、ロータ用開口部35bより外部に臨まされているギヤ部45に噛合する。
さらに、シャッタ開放部材80がカートリッジ1の前方に進むと、インナーロータ4のギヤ部45にラック部81が噛合しているシャッタ開放部材80は、図25に示すように、インナーロータ4を回転する。これによって、インナーロータ4のガイドピン37にガイド孔53が係合され、支軸49a,49bに軸支されたシャッタ部材5a,5bは、支軸49a,49bを回動支点として、開口部24,44を開放する方向に回動する。
そして、シャッタ開放部材80のラック部81とインナーロータ4のギヤ部45との噛合状態が終了すると、図26に示すように、シャッタ部材5a,5bの回動動作が停止し、次いで、シャッタ開放部材80の第2の係合突部83は、インナーロータ4の第2の係合凹部42と係合する。これによって、シャッタ部材5a,5bは、開口部24,44を完全に解放した状態が保持されることになる。
この後、開口部24bからは、ディスク回転駆動機構74を構成するディスクテーブル76が進入し、このディスクテーブル76は、光ディスク3のセンタ孔3bに係合すると共にクランピングプレート61とで光ディスク3を回転可能にクランプする。また、開口部24aからは、光ピックアップ75が進入する。そして、光ディスク3は、ディスク回転駆動機構74によって回転駆動され、信号記録面3aに光ピックアップ75から出射された光ビームが照射され、光ピックアップ75が信号記録面3aで反射された戻りの光ビームを検出することで、データの記録を行い、また、光ディスク3に記録されたデータの読み出しを行う。
一方、この記録再生装置70からカートリッジ1を排出する際は、例えば記録再生装置70の操作部を構成する排出ボタンを操作する。これにより、ローディング機構が排出動作を行い、カートリッジ1は、挿入口72側に移動し、上述したシャッタ開放部材80が相対的にカートリッジ1より後退することになる。このシャッタ開放部材80が後退することによって、インナーロータ4及び一対のシャッタ部材5a,5bが上述したディスク挿入時とは逆の動作、すなわちインナーロータ4が他の方向に回転し、一対のシャッタ部材5a,5bがカートリッジ本体2の開口部24を閉塞する。
以上のようなカートリッジ1では、下シェル7に設けられたガイドピン37に、先端部37aから基端部37bに向かって切り欠かれたスリット溝38が設けられている。これにより、カートリッジ1では、例えば記録再生装置70から挿入するときや排出するとき等に誤って床に落下させる等して外部から衝撃や振動等の応力がガイドピン37に加わったとしても、切り欠かれた空間部であるスリット溝38で外部からの応力を適切に吸収してガイド孔53からガイドピン37が外れてしまうことを防止できる。すなわち、カートリッジ1においては、誤ってカートリッジ1を落下させても、ガイド孔53からガイドピン37が外れることがなく、円滑且つ適切なシャッタ開閉動作を行うことができる。
また、カートリッジ1においては、外筐となる下シェル7の内面に設けられたガイドピン37にスリット溝38を設けたことで、下シェル7を射出成形に形成したときに、下シェル7の外面のガイドピン37に対応する位置にヒケマーク等が発生することを防止でき、外観不良を抑えることができ、歩留まりの向上、低価格化を図ることができる。
以上では、略円柱状をなすガイドピン37にスリット溝38を設けた場合を例に挙げて説明したが、図27に示すように、例えば先端に向かうにつれて太くなる、すなわち基端から先端に向かって拡径するようなガイドピン91にスリット溝92を設けても上述したガイドピン37と同様の作用効果を得ることができる。なお、以下の説明では、ガイドピン91、スリット溝92、ガイド孔93以外の構成は、上述したカートリッジ1と同様な構成及び同様な機能であることから、その説明を省略すると共に図27においては同じ符号を付すものとする。
この場合、ガイドピン91が係合されるガイド孔93は、短尺方向の開口幅が下シェル7側よりインナーロータ4側で幅広となるようにさせ、下シェル7側の短尺方向の開口幅がガイドピン91の先端の幅より幅狭になるようにさせる。
具体的に、ガイドピン91及びガイド孔93は、例えばガイドピン91の先端部91aの直径をA1、ガイドピン91の基端部91bの直径をA2、ガイド孔93のインナーロータ4側の短尺方向の幅をB1、ガイド孔93の下シェル7側の短尺方向の幅をB2としたときに、B1>A1>B2>A2の寸法関係を満たすようにさせる。
これにより、ガイドピン91は、例えば誤ってカートリッジ1を落下させる等して外部から応力が加わっても、先端部91aの直径がガイド孔93の下シェル7側の短尺方向の幅より幅広にされ、抜け止め部となっていることから、先端部91aがガイド孔93から外れることを適切に防止できる。すなわち、ガイドピン91においては、スリット溝92が応力を吸収する作用効果の他に、ガイド孔93から外れることを適切に防止できるといった作用効果も得ることができる。
このガイドピン91は、その先端部91aの直径がガイド孔93の下シェル7側の短尺方向の幅より幅広にされ、抜け止め部となっていることから、ガイド孔93に直接係合させることは困難である。このため、ガイド孔93においては、図28に示すように、長尺方向における係合部54が設けられた一端とは反対側の他端に、先端部91aが幅広にされたガイドピン91を軸方向に挿入することが可能な大きさにされ、ガイドピン91を長孔内に係合させるときの入口となる挿入孔93aを設けている。この挿入孔93aの位置は、シャッタ部材5a,5bが開口部24,44を完全に解放したときのガイドピン91の位置でもある(図26参照)。カートリッジ1は、記録再生装置70に装着されたとき、大きな振動が加わることがないことから、ガイドピン91が挿入孔93aを介してガイド孔93より外れてしまうこともない。
そして、ガイドピン91をガイド孔93に係合させる際は、一旦、ガイドピン91をガイド孔93の他端に設けられた挿入孔93aに挿入した後に、ガイドピン91をガイド孔93の長尺方向に移動させることでガイドピン91をガイド孔93に係合させる。これにより、ガイドピン91を容易にガイド孔93に係合することができる。
また、以上では、基端から先端に向けて徐々に拡径され、ガイド孔93から外れにくいガイドピン91について説明したが、図29に示すガイドピン95のように、例えば先端部95aだけを幅広にして抜け止め部とし、スリット溝96を設けた構成でも上述したガイドピン91と同様の作用効果を得ることができる。
この場合、ガイドピン95が係合されるガイド孔97は、インナーロータ4側にガイドピン95の幅広にされた先端部95aに対応する薄肉の逃げ部97aを設けることでガイドピン95が容易に外れないようにできる。また、この場合も、上述したガイド孔93と同様、ガイド孔97の他端に図示しない挿入孔を設けることで、ガイドピン95を容易にガイド孔97に係合することができる。また、先端部95aは、逃げ部97aより下シェル4側に突出することもなく、インナーロータ4の内面に接触し、摩耗による塵埃等を発生も防止されている。なお、この逃げ部97aは、一方の側に設けるだけであっても良い。
なお、以上の例では、カートリッジ本体2の前面から中央部に亘って開口部24を設けた例を説明したが、本発明は、図30及び図31に示すようなカートリッジ101にも適用可能である。このカートリッジ101は、記録再生装置70への挿入方向と略平行に、前面から背面側に亘って開口部102が設けられている。具体的に、この開口部102は、下面側であって、前面略中央部から背面略中央部に亘って略矩形状に設けられている。そして、この開口部102の前面側と背面側は、光ピックアップが進入する記録再生用の開口部102a,102bとして用いられ、中央部は、ディスク回転駆動機構が進入する駆動用の開口部102cとして用いられる。また、このカートリッジ101に用いられるインナーロータ104にも、開口部102a,102bに対応して略同じ大きさに開口部104aが設けられている。なお、このカートリッジ101は、他の構成を上述したカートリッジ1と共通とするため、詳細な説明は省略すると共に図28においては同じ符号を付すものとする。
そして、このカートリッジ101は、記録再生装置に装填されると、記録再生装置側のシャッタ開放機構によりシャッタ部材5a,5bが操作されることにより開口部102が開放され、光ディスク3が外部に臨まされる。光ディスク3は、開口部102cよりカートリッジ内に進入した記録再生装置側のディスク回転駆動機構によりクランプされ、回転される。
また、開口部102a,102bのそれぞれには、光ピックアップが進入する。そして、それぞれの光ピックアップは、光ディスク3に光ビームを照射し、光ディスク3の信号記録面で反射された戻りの光ビームを検出することによって、データが記録され、また、光ディスク3に記録されているデータの読み出しが行われる。したがって、このカートリッジ101では、記録再生時、2つの光ピックアップを用いてデータの記録再生が行われることから、記録再生に要する時間の短縮を図ることができる。
このカートリッジ101は、連続した開口部102a,102b,102cを設けるために、下シェル7が2分割されている。したがって、2分割された下シェル7a,7bは、カートリッジ1の分割されていない下シェル7と比べて機械的強度が低下し、衝撃等が加わったとき撓み変形しやすくなる。上述したガイドピン91,95は、先端部91a,95aが幅広に形成され、ガイド孔93,97に係合されるものであるから、2分割された下シェル7a,7bのカートリッジ101に特に有効である。
更に上述したガイドピン37,91,95は、、図32に示すように構成することができる。以下の例では、図31に示したカートリッジ101を例に説明する。図32及び図33に示すように、ガイドピン110は、下シェル7a,7bの内面に形成されており、略円柱状の軸部110aの先端部に、略半円状に張り出した抜け止め部111が形成されている。
一方、このガイドピン110が係合されるガイド孔112は、図32及び図33に示すように、ガイドピン110の移動方向に沿った両側の側縁部に、ガイドピン110の先端部の抜け止め部111の逃げ部112aが形成されている。この逃げ部112aは、周囲より薄肉に形成され、周囲より1段低くなるように形成されている。抜け止め部111は、シャッタ部材5a,5bが回動する間、この逃げ部112aに係合することによって、ガイドピン110のガイド孔112からの抜け止めを行っている。また、逃げ部112aは、抜け止め部111が下シェル4側に突出しないようにし、インナーロータ4の内面に接触し、摩耗による塵埃等を発生も防止する。
また、図33に示すように、ガイド孔112の逃げ部112aの端面には、傾斜面部112cが形成されている。この傾斜面部112aは、ガイドピン110の軸部110aと接触する部分であり、軸部110aとの接触を面接触ではなく線接触となるようにし、摩擦抵抗を少なくし、円滑にシャッタ部材5a,5bが移動するようにしている。
このガイドピン110は、その先端部に拡径した抜け止め部111が形成されているため、ガイド孔112に直接係合させることは困難である。このため、ガイド孔112は、シャッタ部材5a,5bが開口部24,44を完全に解放したときのガイドピン91の位置に、ガイドピン110の挿入孔112bが形成されている。この挿入孔112bは、抜け止め部111の大きさに対応して設けられている。挿入孔112bが設けられた位置は、カートリッジ101が記録再生装置70に装着されシャッタ部材5a,5bが開口部24,44を完全に解放したときの位置であり、振動が加わることが少ない状態であるから、挿入孔93aよりガイドピン110が抜けてしまうことも防止することができる。
上述のように、ガイドピン110は、抜け止め部111を形成することによって、アンダーカット形状をなしている。このアンダーカット形状をなすガイドピン110は、図34に示す金型によって成形することができる。すなわち、ガイドピン110が形成される下シェル7a,7bは、外形を成形する金型121と、ガイドピン110の一部を成形するピン成形型122と、ピン成形型122と共にガイドピン110を成形する傾斜ピン123とを有している。
ピン成形型122は、金型121に組み込まれる入れ子であり、ガイドピン110の抜け止め部111が設けられていない側を成形する第1の成形部122aが設けられている。傾斜ピン123は、ガイドピン110の抜け止め部111を成形する第2の成形部123aが設けられており、傾斜ピン123は、ピン成形型122に対して斜めにスライドするようになっている。
図34(A)に示すように、固定型と可動型とが型合わせされ樹脂材料が射出充填されるとき、金型121のキャビティを構成し下シェル7a,7bの内面形成面と面一をなすように、ピン成形型122と傾斜ピン123とが位置しており、ガイドピン110の成形部を構成している。そして、充填された樹脂材料が固化し離型されるとき、図34(B)に示すように、傾斜ピン123がキャビティ方向に突出するように斜めにスライドする。これにより、ガイドピン110が成形された下シェル7a,7bの成形体は、金型121より離型される。
以上のようなカートリッジ101では、図35に示すように、記録再生装置70に装填されていない非使用時にあって、ガイドピン110がガイド孔112の挿入孔112bが設けられていない側の端部に位置している。したがって、非使用時は、カートリッジ101が落下され大きな衝撃が加わることがあるが、ガイドピン110は、抜け止め部111が逃げ部112aに係合していることから、ガイド孔112から外れてしまうことを防止することができる。
そして、カートリッジ101が記録再生装置70に挿入されると、図36に示すように、ガイドピン110は、ガイド孔112の挿入孔112b側に移動する。この際、抜け止め部111は、常に、ガイド孔112の逃げ部112aに係合した状態で挿入孔112b側に移動し、移動時に、ガイドピン110がガイド孔112より抜けてしまうことを防止することができる。ガイド孔112の挿入孔112b側に移動したとき、ガイドピン110は、ガイド孔112の挿入孔112b側に位置し、抜けやすい状態となるが、記録再生装置70内では、カートリッジ101に落下時等に加わる大きな衝撃が加わることはないことから、ガイド孔112の挿入孔112bから抜けてしまうこともない。
以上、ガイドピン110の先端部に半円状の抜け止め部111を形成し、ガイド孔112の一方の側に逃げ部112aを設けた例を説明したが、この他に、抜け止め部111を円形に形成しても良くまた、ガイド孔112aの一方の側側に、逃げ部112aを設け、更に傾斜面部112cを設けるようにしても良い。また、抜け止め部111は、逃げ部112aと係合する程度の張り出しであれば、その形状は特に限定されるものではない。また、この構成は、上述した下シェルが2つに分割されていないカートリッジ1にも適用することもできる。更に、ガイドピン110にも、先端側から基端側に亘ってスリット溝を設けて、襲撃吸収の機能を付加するようにしても良い。
1,101 カートリッジ 2 カートリッジ本体、3 光ディスク、4 インナーロータ、5a,5b シャッタ部材、6 上シェル、7 下シェル、37,91,95 ガイドピン、37a,91a,95a 先端部、37b,91b 基端部、38,92,96 スリット溝、53,93,97 スリット孔、93a 挿入孔、70 記録再生装置、80 シャッタ開放部材