JP2005285165A - 情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、高融点相変化記録層材料を使用した情報記録媒体において、多数回書換性能に優れ、なおかつ加湿環境下での保存寿命に優れた界面層を備える情報記録媒体を提供する。
【解決手段】基板と、レーザービームの照射による、相変化反応により情報の記録が行われ、複数回書換え可能な記録層を備え、上記レーザービームを相対的に走査することで情報の記録が行われ、基板上に少なくとも保護層、記録層、保護層、反射層を有する情報記録媒体において、上記記録層に接した界面層を少なくとも一層以上有し、上記界面層のうち少なくとも一層にCrとTaとOが含有され、その膜厚が0.8nm以上8nm以下であることを特徴とする情報記録媒体を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】基板と、レーザービームの照射による、相変化反応により情報の記録が行われ、複数回書換え可能な記録層を備え、上記レーザービームを相対的に走査することで情報の記録が行われ、基板上に少なくとも保護層、記録層、保護層、反射層を有する情報記録媒体において、上記記録層に接した界面層を少なくとも一層以上有し、上記界面層のうち少なくとも一層にCrとTaとOが含有され、その膜厚が0.8nm以上8nm以下であることを特徴とする情報記録媒体を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エネルギービームの照射により情報の記録が行われる情報記録媒体に係り、特に、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の赤色レーザー対応の光ディスク、Blu−ray等の青色レーザー対応の相変化光ディスクに関する。
近年、DVD−ROM、DVD−Video等の再生専用型光ディスク市場が拡大している。また、DVD−RAMやDVD−RW、DVD+RWといった書き換え可能なDVDが市場投入され、コンピュータ用バックアップ媒体、VTRに代わる映像記録媒体として、市場が急拡大しつつある。
書換可能相変化ディスクでは、多数回書換を行うと保護膜材料が記録膜へ溶け込み、多数回書換性能が劣化することがわかっている。そこで、保護層と記録膜との間に熱安定性の良い界面層を設け、保護層材料の記録膜への溶け込みを抑制することが知られている。
例えば、特開2003−178487号では記録層のエネルギービーム入射側にTa2O5とCr2O3の混合物を、26nm製膜することによって、多数回書換えによる反射率低下を抑制できるとしている。
以上の従来技術は、どの方法も極めて有効な方法であるが、発明者らの検討結果によると、これらの技術を、30Mbpsを越えるような高速記録が可能なDVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等に適応した場合、1万回を超えるような多数回書換え時の劣化を抑制することは困難であることが判明した。発明者らは鋭意研究の結果、高速記録を実現するために、記録膜として使用される相変化記録材料の融点を上昇させていることが、多数回書換え時の劣化が引き起こしていることを明らかにした。以下に、高速記録を実現しようとすると、なぜ、記録膜の融点が上昇してしまうのか、詳細に説明する。
高速記録が可能な相変化記録層材料としては、Ge、Sb、Teのそれぞれを頂点とする三角形の中で、GeTeとSb2Te3を結ぶ線上のGe−Sb−Te系材料が、結晶化速度が速いためによく使われている。相変化記録方式において高速記録が可能ということは、相変化ディスクを高速で回転させた場合(線速度が高速になった場合)においても、レーザービームが通過する短時間の間に結晶化が完了するということであるからである。具体的なものとしては、Ge2Sb2Te5、Ge6Sb2Te9やGe8Sb2Te11などがある。更なる高線速化に対して、相変化記録層材料の性能も更なる結晶化速度が速いことが求められてきている。この要求に応えるため、様々な相変化材料の研究がなされており、上記Ge−Sb−Te系相変化材料中のGeTeにSnTeを置換することで結晶化速度が上がることが知られている。GeTeの融点が725℃であるのに対して、SnTeの融点は約800℃と高温である。このため、GeTeをSnTeで置換したGe−Sb−Sn−Te系材料の融点も高くなるのである。
また、上記高速記録が可能な書換え型DVD媒体には、高速記録が可能であることと同時に、従来の低速記録でも、良好に記録される性能が要求される。例えば、4.7GB-DVD−RAMの場合、低速記録の規格書において定義されている記録線速度(2倍速)は8.2m/sであるが、3倍速記録対応のDVD−RAMでは、12.3m/sとなる。さらに、5倍速記録対応のDVD−RAMでは8.2m/s〜20.5m/sと極めて広い線速度範囲において良好な記録性能が得られることが要求される。この条件を満足するためには、高融点であるGeTeやSnTeの含有量を増加させる必要がある。発明者らの検討結果によると、Ge−Sb−Sn−Te系相変化材料においてはGeTeやSnTeの含有量を増加させると、結晶化の活性化エネルギーが増大することが判明した。結晶化の活性化エネルギーを増大させると、低速記録時においては、アモルファスマークの安定性が増大し、高速記録時においても高速結晶化が可能となるのである。さらに、Ge−Sb−Sn−Te系相変化材料中のGeTeやSnTeの含有量を増大させると、比較的低融点なSb2Te3(620℃)の含有量が少なくなるため、Ge−Sb−Sn−Te系相変化材料の融点としては、およそ650℃以上と高融点になってしまうのである。
以上のように、高速記録を実現する際には、(1)Ge−Sb−Te系相変化材料中のGeTeをSnTeで置換し、Ge−Sb−Sn−Te系相変化材料とする必要があること、(2)Ge−Sb-Sn−Te系相変化材料中のGeTe,あるいはSnTeの含有量を増大させる必要があること、の二つの理由により、650℃以上と高融点のGe−Sb−Sn−Te系相変化材料を使用する必要が生じるのである。
このような記録膜材料を情報記録媒体で使用するには、保護層と記録層の間に熱的に極めて安定な界面層を設けることが必要となる。具体的にはCr2O3、Ta2O5、Al2O3、SiO2などの高融点酸化物、CrNやGeNなどの高融点窒化物、SiCなどの高融点炭化物が熱的に安定である。
そこで本発明者らは、高融点の相変化記録膜材料に上記界面層を使った情報記録媒体を作製し、多数回書換性能と加湿環境下での保存寿命について調べてみた。多数回書換性能では、Cr2O3以外の材料では良好なことがわかった。特開平10−154352号では界面層にCr2O3を使用することで多数回書換性能が向上すると記載されているが、発明者らの実験で記録膜材料に高融点材料を使用した場合は、多数回書換性能が劣ることが分かった。一方、加湿環境下での保存寿命については、多数回書換性能では他よりも劣っていたCr2O3のみが良好な特性を示すことがわかった。
さらに、後述するような考えに基づいて、界面層として特開2003−178487号に記載されているCr2O3とTa2O5の混合材料系を使用し、多数回書換え性能と加湿環境下における保存寿命を詳細に調べたところ、多数回書換え時の反射率低下に関しては大きな改善が得られたが、その組成比、膜厚によっては、実用上最も重要な多数回書換え後のジッター、加湿環境下におけるエラーレートに関しては良好な結果が得られなかった。
したがって、本発明の目的は、高融点相変化記録層材料を使用した情報記録媒体において、多数回書換性能に優れ、なおかつ加湿環境下での保存寿命に優れた界面層を備える情報記録媒体を提供することに有る。
まず始めに本発明者らは、界面層にCr2O3を使用して、多数回書換性能の向上を製膜条件など検討し試みたが、目標に達する情報記録媒体は得られなかった。
そこで本発明者らはCr2O3について物質特性を調べてみた。するとCr2O3はCr2-xO3(x<0.077)とCr欠損の不定性化合物になりうることがわかった。高融点記録膜材料を使用した場合に、Cr2O3の多数回書換性能が他の界面層材料に比べて劣っていたのは、このCr欠損による結合していない酸素が存在するため、記録膜材料を酸化させているためだとわかった。
この物性を考え、本発明者らはCr欠損を打ち消す材料の添加、つまり酸素欠損または窒素欠損がある酸化物、窒化物または酸化窒化物、特に遷移金属で酸素欠損または窒素欠損がある酸化物、窒化物または酸化窒化物の材料をCr2O3に添加する方法が有効であると考えた。さらに、遷移金属の中でも、融点が高く、酸化物、窒化物が安定に存在しうる材料としてTa2O5を選定するに至った。発明者らが検討した結果、Ta2O5のみでも多数回書換え時の信号劣化の目標を満足するが、加湿環境下における保存寿命の目標を満足することはできないことが判明した。本発明のポイントの一つは、Cr2O3に対してTa2O5を添加することにより、多数回書換え時の信号劣化、加湿環境下における保存寿命ともに、良好となることを明らかにした点である。
さらに、発明者らの検討によると、本発明のCr-Ta-O系材料を界面層として使用する場合、その膜厚が厚すぎても、薄すぎても、多数回書換え時に再生信号のジッターが劣化することを明らかにした。薄すぎる場合、多数回書換えに伴って、記録膜中に保護層材料が拡散するのである。厚すぎる場合に、多数回書換え時の再生信号ジッターが劣化する原因は明らかになっていないが、恐らく、Cr−Ta−O系材料の熱膨張係数が大きいため、膜厚が厚すぎる場合、熱膨張によりレーザービームが照射された部分と、それ以外の部分の間に亀裂が生じ、結果として記録膜中に保護層材料が拡散してしまうためと考えられる。詳細に検討した結果、最適膜厚は0.8nm以上8nm以下、望ましくは1.0nm以上3.0nm以下であった。
したがって、本発明の目的を達成するためには、以下に示した情報記録媒体を用いればよい。
(1)基板と、レーザービームの照射による、相変化反応により情報の記録が行われ、複数回書換え可能な記録層を備え、上記レーザービームを相対的に走査することで情報の記録が行われ、基板上に少なくとも保護層、記録層、保護層、反射層を有する情報記録媒体において、上記記録層に接した界面層を少なくとも一層以上有し、上記界面層のうち少なくとも一層にCrとTaとOが含有され、その膜厚が0.8nm以上8nm以下であることを特徴とする情報記録媒体。
また、本発明者らが、多数回書換え時の信号劣化、加湿環境下における保存寿命ともに目標を満足するCr−Ta−O系界面層の最適組成範囲を調べた結果は以下のとおりである。
(2)(1)記載の情報記録媒体であって、少なくとも上記界面層中のCrとTaの組成比がCrxTay(0.05≦y/x≦0.7)から選択されることを特徴とする情報記録媒体。
またこの界面層は下記に示す高融点記録膜材料との組合せにおいて格別の効果を発揮する。
(3)(1)記載の情報記録媒体であって、少なくとも上記記録層にSn、Ge、Sb、Teが含有されていることを特徴とする情報記録媒体。
さらに、発明者らは記録層に接して、レーザービーム入射側に第一界面層、記録層のレーザービーム入射側とは反対側に第2界面層を備える場合、第1界面層に本発明の界面層材料を使用した場合に大きな効果があることを明らかにした。第2界面層に本発明の界面層を使用した場合には、記録膜組成との組合せによっては、記録膜の結晶化速度が低下してしまうという弊害が発生するからである。しかしながら、多数回書換え時の信号劣化を抑制する効果は、大きいため、第2界面層にもCr−Ta−O系界面層を使用することができる。しかし、この場合、最適Ta含有比率は、上記弊害を考慮し第一界面層に含有されるTa含有比率と比較して小さい方が良い。
(4)(1)に記載の情報記録媒体であって、上記記録層に接して、レーザービーム入射側に第一界面層、記録層のレーザービーム入射側とは反対側に第2界面層を備え、第一界面層に含有されるTa含有比率と比較して、第二界面層のTa含有比率の方が小さいことを特徴とする情報記録媒体。
なお、本発明では、Cr−Ta−O系界面層の膜厚制御がきわめて重要である。以上の膜厚を実現する手段としては、予め、精度良く測定が可能な膜厚(たとえば、50nm程度)のCrTaO系材料をスパッタリング等で製膜し、単位時間当たりの製膜レートを求め、その製膜レートを用い、以上の膜厚に対応した時間だけ製膜すればよい。また、所望の特性が得られない場合、断面TEM(透過型電子顕微鏡)等により、正確な膜厚を測定すればよい。断面TEM等で膜厚を測定した場合、必ずしも膜厚が均一でない場合があるが、この場合には、平均的な膜厚を、Cr−Ta−O界面層の膜厚と定義しても差し支えなく、上記平均膜厚が上記範囲であれば、本発明の効果は失われない。
本発明のCr−Ta−O系界面層により、高融点相変化記録層材料を使用した場合においても、多数回書換え性能に優れ、なおかつ加湿環境下での保存寿命に優れた情報記録媒体を得ることができる。
以下に図を用いて本発明の実施例を示す。
<媒体構成>
図1は本発明の情報記録媒体の基本構成である。すなわち、基板上に第一保護層、第一界面層、記録層、第二界面層、第二保護層、吸収率制御層、熱拡散層、紫外線硬化性保護層が順次積層された構造である。ここで、基板にはポリカーボネート製の厚さ0.6mmの基板を使用しており、基板にはあらかじめ4.7GBDVD−RAMと同じフォーマットの溝形状、および、プリピット形状が形成されている。
<媒体構成>
図1は本発明の情報記録媒体の基本構成である。すなわち、基板上に第一保護層、第一界面層、記録層、第二界面層、第二保護層、吸収率制御層、熱拡散層、紫外線硬化性保護層が順次積層された構造である。ここで、基板にはポリカーボネート製の厚さ0.6mmの基板を使用しており、基板にはあらかじめ4.7GBDVD−RAMと同じフォーマットの溝形状、および、プリピット形状が形成されている。
以下に、本発明の、情報記録媒体の製造プロセスの一部を説明する。はじめに、スパッタリングプロセスにより、上記基板上に、第1保護層として(ZnS)80(SiO2)20を135nm、第一界面層としてCr−Ta−Oを2nm、記録層としてSn-Ge-Sb-Teを10nm、第二界面層としてCr−Ta-Oを2nm、第二保護層として(ZnS)80(SiO2)20を34nm、吸収率制御層としてCr90−(Cr−O)10を35nm、熱拡散層としてAl99Ti1を100nm製膜した。さらに、UV樹脂をこの上に塗布し、UV照射しながら、厚さ0.6mmの透明基板を張り合わせることにより情報記録媒体を得た。
<本実施例に使用した情報記録再生装置>
以下に本発明の情報記録媒体の情報記録、再生、及び装置の動作を説明する。
次に、記録再生の過程を以下に示す。まず、記録装置外部からの情報は8ビットを1単位として、8−16変調器伝送される。情報記録媒体(以下、光ディスクと呼ぶ)上に情報を記録する際には、情報8ビットを16ビットに変換する変調方式、いわゆる8−16変調方式を用い記録が行う。この変調方式では媒体上に、8ビットの情報に対応させた3T〜14Tのマーク長の情報の記録を行っている。なお、ここでTとは情報記録時のクロックの周期を表しており、ここではディスク線速度が12.3m/sのときは11.4nsとした。
以下に本発明の情報記録媒体の情報記録、再生、及び装置の動作を説明する。
次に、記録再生の過程を以下に示す。まず、記録装置外部からの情報は8ビットを1単位として、8−16変調器伝送される。情報記録媒体(以下、光ディスクと呼ぶ)上に情報を記録する際には、情報8ビットを16ビットに変換する変調方式、いわゆる8−16変調方式を用い記録が行う。この変調方式では媒体上に、8ビットの情報に対応させた3T〜14Tのマーク長の情報の記録を行っている。なお、ここでTとは情報記録時のクロックの周期を表しており、ここではディスク線速度が12.3m/sのときは11.4nsとした。
8−16変調器により変換された3T〜14Tのデジタル信号は記録波形発生回路に転送され、高パワーパルスの幅を約T/2とし、高パワーレベルのレーザー照射間に幅が約T/2の低パワーレベルのレーザー照射を行い、上記一連の高パワーパルス間に中間パワーレベルのレーザー照射が行われるマルチパルス記録波形が生成される。この際、記録マークを形成するための、高パワーレベルと、記録マークの結晶化が可能な中間パワーレベルを、測定する媒体ごとに最適な値に調整した。また、上記記録波形発生回路内において、3T〜14Tの信号を時系列的に交互に「0」と「1」に対応させ、「0」の場合には中間パワーレベルのレーザーパワーを照射し、「1」の場合には高パワーレベルのパルスを含む一連の高パワーパルス列を照射するようにしている。この際、光ディスク上の中間パワーレベルのレーザービームが照射された部位は結晶となり、高パワーレベルのパルスを含む一連の高パワーパルス列のレーザービームが照射された部位はアモルファス(マーク部)に変化する。また、上記記録波形発生回路内は、マーク部を形成するための高パワーレベルを含む一連の高パワーパルス列を形成する際に、マーク部の前後のスペース長に応じて、マルチパルス波形の先頭パルス幅と最後尾のパルス幅を変化させる方式(適応型記録波形制御)に対応したマルチパルス波形テーブルを有しており、これによりマーク間に発生するマーク間熱干渉の影響を極力排除できるマルチパルス記録波形を発生している。
記録波形発生回路により生成された記録波形は、レーザー駆動回路に転送され、レーザー駆動回路はこの記録波形をもとに、光ヘッド内の半導体レーザーを発光させる。本記録装置に搭載された光ヘッドには、情報記録用のレーザービームとして光波長655nmの半導体レーザーが使用されている。また、このレーザー光をレンズNA0.6の対物レンズにより上記光ディスクの記録層上に絞り込み、上記記録波形に対応したレーザーのレーザービームを照射することにより、情報の記録を行った。
一般的に、レーザー波長λのレーザー光をレンズ開口数NAのレンズにより集光した場合、レーザービームのスポット径はおよそ0.9×λ/NAとなる。したがって、上記条件の場合、レーザービームのスポット径は約0.98ミクロンである。この時、レーザービームの偏光を円偏光とした。
また、本記録装置はグルーブとランド(グルーブ間の領域)の両方に情報を記録する方式(いわゆるランドグルーブ記録方式)に対応している。本記録装置ではL/Gサーボ回路により、ランドとグルーブに対するトラッキングを任意に選択することができる。記録された情報の再生も上記光ヘッドを用いて行った。レーザービームを記録されたマーク上に照射し、マークとマーク以外の部分からの反射光を検出することにより、再生信号を得る。この再生信号の振幅をプリアンプ回路により増大させ、8−16復調器に転送する。8−16復調器では16ビット毎に8ビットの情報に変換する。以上の動作により、記録されたマークの再生が完了する。以上の条件で上記光ディスクに記録を行った場合、最短マークである3Tマークのマーク長はおよそ0.42μm、最長マークである14Tマークのマーク長は約1.96μmとなる。
なお、ジッター測定を行う際には上記3T〜14Tを含むランダムパターンの信号の記録再生を行い、再生信号に波形等価、2値化、PLL(Phase Locked Loop)処理を行い、ジッターを測定した。
ドライブでのエラーレート測定方法は線速12.3m/sでランダム信号を記録したものを測定した。1/160トラックおきにランダム信号を記録し、内周から外周の全てのゾーンで測定を行った。
<界面層の評価基準>
書換寿命の試験を行うため、線速度12.3m/sで8万回書換え後のジッター値を測定した。測定位置は中周で行ったが、内周や外周で行っても結果は同様であることはいうまでもない。また、保存寿命の評価を行うため作製されたディスクを、90℃80%RHの恒温槽に16時間放置し、乾燥を行った後、ドライブで記録を行いエラーレートの測定を行った。
書換寿命の試験を行うため、線速度12.3m/sで8万回書換え後のジッター値を測定した。測定位置は中周で行ったが、内周や外周で行っても結果は同様であることはいうまでもない。また、保存寿命の評価を行うため作製されたディスクを、90℃80%RHの恒温槽に16時間放置し、乾燥を行った後、ドライブで記録を行いエラーレートの測定を行った。
書換寿命の目標値は8万回書換後ジッターが14%以下であること、90℃80%RHの恒温槽に16時間放置したのちのエラーレートが1×10−3以下であることである。
<界面層の評価結果>
<界面層の評価結果>
第一界面層、第二界面層をそれぞれで組成を振ったディスクを作成し評価を行った。以下にそれぞれの界面層の組成について、Cr2O3にTa2O5量を添加した際のTa量を表1に示した。これより、Ta量と8万回書換後のジッター、加湿環境下での保存寿命との関係を調べた。第一界面層、第二界面層それぞれの関係は、表1及び図2、3に示した結果となった。
ここで図2、3の左縦軸のジッター、右縦軸のはエラーレートはそれぞれ低いと記録再生特性が良好となる。これより多数回書換性能と加湿環境下での保存寿命、両方が良好である第二界面層のTa量は2原子%以上14原子%以下の範囲にあることが好ましい。一方第二界面層についても、2原子%以上14原子以下の範囲であることが好ましい。このように、多数回書換え後のジッターと加湿環境下での保存寿命を想定した加速試験後のエラーレートを測定した結果からは、第一界面層と第二界面層のTa含有量の使用可能範囲は同範囲であるが、実際には第一界面層と第二界面層の最適Ta量は異なっている。第一界面層では、この範囲内ではTa量が多ければ多いほど良く、第2界面層ではTa量が多すぎると、以下に示したように、記録膜の結晶化速度が低下してしまうため、多数回書き換え劣化を防止する効果を勘案すると、7原子%程度が最適である。
第二界面層中のTa量(原子%) 書換え10回後のジッター
(カッコ内はCr量)
0(40) 7.5%
2(37) 7.7%
4(34) 7.9%
7(30) 8.2%
14(20) 8.9%
20(12) 9.7%
29(0) 10.5%
(カッコ内はCr量)
0(40) 7.5%
2(37) 7.7%
4(34) 7.9%
7(30) 8.2%
14(20) 8.9%
20(12) 9.7%
29(0) 10.5%
また条件Mのように第一、第二界面層のTa量をそれぞれ14原子%、7原子%にした場合、多数回書換性能、加湿環境下での保存寿命がともに格段に向上していることがわかった。
以上のように、界面層に含有されるTa量が2原子%以上14原子%以下の範囲で選択することで、多数回書換性能と加湿環境下での保存寿命の特性を満足する界面層を得ることができる。すなわち、以下の組成比範囲のCrとTaが存在していることが重要である。
2/37≦Ta/Cr≦14/20
また、CrとTaの組成比をxとyを用いてあらわすと以下のようになる。
CrxTay(0.05≦y/x≦0.7)
2/37≦Ta/Cr≦14/20
また、CrとTaの組成比をxとyを用いてあらわすと以下のようになる。
CrxTay(0.05≦y/x≦0.7)
実施例1の第一界面層をCr20Ta14O66、第二界面層をCr37Ta2O61とし、第二界面層の膜厚を実施例1と同じ2nmとし、第一界面層の膜厚を0〜30nmの間で変化させ、8万回書換え後のジッターと第一界面層膜厚の関係を調べた。この際、第一界面層の膜厚を変化させることによる光学的影響を排除するため、第一保護層の膜厚を調整し、光学的な性能は同等となるよう調整を行った。結果を以下、および図4に示す。
第一界面層膜厚(nm) 多数回書換え性能
0.0 25.5%
0.5 25.8%
0.8 12.5%
1.0 9.5%
1.5 8.5%
2.0 7.8%
3.0 9.3%
3.5 10.8%
4.0 11.5%
5.0 12.3%
6.0 13.0%
8.0 15.8%
10.0 25.2%
15.0 26.7%
20.0 25.0%
25.0 25.1%
30.0 25.9%
0.0 25.5%
0.5 25.8%
0.8 12.5%
1.0 9.5%
1.5 8.5%
2.0 7.8%
3.0 9.3%
3.5 10.8%
4.0 11.5%
5.0 12.3%
6.0 13.0%
8.0 15.8%
10.0 25.2%
15.0 26.7%
20.0 25.0%
25.0 25.1%
30.0 25.9%
以上の結果のように、Cr-Ta-O系材料を界面層として使用する場合、8万回書換え後のジッターは第一界面層の膜厚に大きく依存しており、その膜厚が厚すぎても、薄すぎても、多数回書換え時に再生信号のジッターが劣化する。この理由は、薄すぎる場合、多数回書換えに伴って、記録膜中に保護層材料が拡散することにより再生信号が劣化し、厚すぎる場合には、恐らく、Cr−Ta−O系材料の熱膨張係数が大きいため、熱膨張によりレーザービームが照射された部分と、それ以外の部分の間に亀裂が生じ、結果として記録膜中に保護層材料が拡散してしまうためと考えられる。また、明らかな効果が得られる膜厚は0.8nm以上8nm以下であり、1.0nm以上3.0nm以下の場合、8万回書換え後においても10%以下の良好なジッター値を得ることができた。
1 ポリカーボネート基板
2、2´ (ZnS)80(SiO2)20
3、3´ Cr-O または Cr-Ta-O
4 SnGeSbTe
5 Cr90−(Cr−O)10
6 Al99Ti1
7 UV樹脂
2、2´ (ZnS)80(SiO2)20
3、3´ Cr-O または Cr-Ta-O
4 SnGeSbTe
5 Cr90−(Cr−O)10
6 Al99Ti1
7 UV樹脂
Claims (4)
- 基板上に、少なくとも保護層、記録層、保護層、反射層を有する情報記録媒体において、前記記録層は、レーザービームの照射による相変化反応により情報の記録が行われる複数回書換え可能な記録層であり、前記レーザービームを相対的に走査することで情報の記録が行われ、前記記録層に接した界面層を少なくとも一層以上有し、前記界面層のうち少なくとも一層はCrとTaとOが含有され、その膜厚が0.8nm以上8nm以下であることを特徴とする情報記録媒体。
- 請求項1記載の情報記録媒体において、前記界面層中のCrとTaの組成比が
CrxTay(0.05≦y/x≦0.7)であることを特徴とする情報記録媒体。 - 請求項1記載の情報記録媒体において、前記記録層はSn、Ge、Sb、Teを含有することを特徴とする情報記録媒体。
- 請求項1に記載の情報記録媒体において、前記記録層に接して、レーザービーム入射側に第一界面層、記録層のレーザービーム入射側とは反対側に第2界面層を備え、前記第一界面層に含有されるTa含有比率と比較して、第二界面層のTa含有比率の方が小さいことを特徴とする情報記録媒体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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2004
- 2004-03-26 JP JP2004093615A patent/JP2005285165A/ja active Pending
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