JP2005283593A - イオントラップ質量分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
イオントラップ質量分析計を用いた有機化合物の分析において、高感度で高信頼性の定量分析を達成する。
【解決手段】
同位体ピークを含む広質量範囲のイオンを単離した後、複数のイオンを同時に衝突誘起解離を行う。娘イオンマススペクトルを得る。
得られる娘イオンの同位元体ピークのイオン電流値を積算する。娘イオンの同位体パターンと計算値を比較することにより、分析の良否判定を行うことができる。
【選択図】図3

Description

本発明はイオントラップ質量分析計による質量分析方法に係り、特に測定感度を向上させるとともに測定が正しく行われたか否かを判断できる手段を提供する質量分析方法に関する。
最近、多くの化学物質が環境を汚染し大きな社会問題になってきている。特に、ダイオキシンの環境中の挙動を知る事は緊急な案件となってきた。ダイオキシン類はジオキシン骨格の水素原子が塩素原子に置換されたもので多くの異性体が存在する。ダイオキシン類の中で特に2,3,7,8位の水素が塩素に置換された四塩化ダイオキシン(2,3,7,8−TCDD)が発癌性,毒性等の点で最強のもので、環境中への拡散が懸念されている。ダイオキシン類等の環境汚染物質は非常に複雑な系の中に極微量しか存在しない。ダイオキシン類の環境への拡散の抑制のためには、ごく微量のダイオキシン類の高感度分析が必要である。これら物質の分析には、非常に複雑で手間と時間を必要とする前処理が必要である。さらに、これら物質の分析は高感度で、妨害物質から分析対象物質を識別できる高い選択性が要求される。そのため、質量分析計の前段に分離手段であるガスクロマトグラフが配置したガスクロマトグラフ直結質量分析計(GC/MS)が広く用いられている。
イオントラップ質量分析計は、特許文献1や特許文献2や特許文献3に記載されている。
質量分析領域から分析対象イオンの損失を防ぐことを目的とした質量分析計が特許文献4に記載されている。
本発明で述べるダイオキシン類とはポリ塩化ジベンゾ−p−ジオキシン(PCDDs)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)の総称として用いる。
米国特許2,939,952号 特許第1,321,036号公報 特公平8−21365号公報 特開平10−213566号公報
ダイオキシン類の分析の際の最大の問題点は、妨害物質(例えば、PCBやDDTなどの塩素系農薬など)が複雑な前処理によっても取り除けずに試料中に多数存在する事である。これら妨害物質は、ガスクロマトグラフのキャピラリカラムでも分離できず、ダイオキシンと同じ保持時間に試料成分(ダイオキシン類)に重畳して溶出し質量分析計で検出される。この妨害物を一般に化学ノイズと呼んでいる。化学ノイズがマススペクトルの全質量範囲に渡り出現し、微量のダイオキシンの信号を識別不可能にする。ダイオキシンの分子量領域を拡大して観察すると図5の上段のようなマススペクトルが得られる。ダイオキシンの信号に化学ノイズが重畳している。イオントラップ質量分析計の分解能ではこれら化学ノイズとダイオキシンの信号を識別できない。このマススペクトルにおいて、化学ノイズは白抜き、ダイオキシンの信号は塗りつぶしの棒グラフで示す。化学ノイズは試料毎,分析毎に異なるため、化学ノイズが存在する限り、ダイオキシンの分析は不確実なものになる。この化学ノイズとダイオキシンを識別するために、大型の磁場,電場を用いた高分解能二重収束質量分析計が使われている。この高分解能二重収束質量分析計はPCBやDDTとダイオキシンのわずかな質量差を基に分離検出するものである。高分解能二重収束質量分析計は非常に高価であり、操作は複雑で多くの経験を必要とする。
高分解能二重収束質量分析計による測定の他、短時間でより多くの試料を測定するため、また簡便に分析するため小型の質量分析計QMS,イオントラップ質量分析計による分析が試みられてきた。
試料、例えばダイオキシンは化学的に非常に安定な化合物であるが、MS/MS手法を用いてダイオキシン類のCIDを行うと、非常に特徴的な解裂を与える。前駆イオンの質量をMとすると、分子イオンMからCOClが脱離した(M−COCl)のイオン即ち質量(M−63)の娘イオンが生成する。これはPCDD,PCDFのダイオキシン類の特徴的な解裂パターンである。先ず、前駆イオンとしてのMを特定し単離した後、CIDにより(M−63)の娘イオンの生成,検出を行う事により、ダイオキシンの存在が確実になる。このMS/MS法を用いるなら、化学ノイズとダイオキシンの信号を明確に識別可能になる。イオントラップ質量分析計の分解能が不十分でも、MS/MS法により選択性を一挙に高める事ができる。
このMS/MS法は上述のような高い識別能力がある反面、以下のような問題がある。MS/MSの過程には、前駆イオンの単離と衝突誘起解離(CID)と、さらに質量分析が必要である。前駆イオンの単離のステップで、目的の前駆イオンの損失は一切なかったのか、前駆イオンの単離が完全に行われたか(単一の質量のイオンのみがイオントラップ空間に残ったのか。他の質量のイオンが一緒に残っていないか。)測定者は判断しなければならない。しかし、従来のMS/MS手法では前駆イオンの単離の段階での損失の有無や単離の程度を判断できる情報を一切提供していない。当然装置の条件により単離の状況が変化しても、測定者は測定中も後にも気付くことはできない。そのため、日々同一条件を作る事すら困難である。
CIDは励起された前駆イオンがHeガス原子との衝突により励起され解裂するものである。そのため、CIDは一種の化学反応である。この化学反応がどの程度の効率で行われたか否かを常に把握できなければ、正確な定量分析はできない。しかし、従来のMS/MS法では、事前に標準物質の測定を行う以外に、CIDの効率を把握する事は極めて困難である。
前駆物質の単離,CIDの効率の問題点を少しでも改善するために、内部標準物質が用いられる。一般に、化学構造が大きく異なる化合物を標準物質として使用できないから、安定同位体を含む化合物が用いられる。例えばTCDDの場合ダイオキシン骨格の炭素を全て13Cに置き換えた化合物を用いる。この場合試料のTCDDと13C−TCDDの質量差は12となる。先ず試料のTCDDのMS/MSに引き続いて内部標準物質の13C−TCDDのMS/MSの測定を行う。ダイオキシン類の内で毒性の高い化合物は塩素4個以上の異生体である。そのため、毒性の高いダイオキシンだけでも5つの質量の異なる異生体が存在する。これに内部標準物質の5つを加えて、実際のダイオキシン分析の際には10個の前駆イオンのMS/MS測定が必要である。一回のMS/MS測定には、0.2秒程度必要である。そのため、10回のMS/MSを直列的に行えば一周期2秒程度必要である。定量分析には一成分のクロマトピークを最低10点以上サンプリングする必要がある。一周期2秒では、一成分の10点のサンプリングに20秒必要である。GCクロマトグラムではダイオキシンピークが5秒程度で溶出することから、これでは正確な定量分析ができない。逆に一周期0.5秒以内の測定周期が必要である。さらに、詳細な分析のためには更なる内部標準物質の測定が必要である。これは測定周期が延びるのみで、精度ある定量分析はほど遠くなる。図8にTCDDと内部標準物質の従来のMS/MS法のステップを示す。(1)でイオン化により、TCDD,内部標準物質は一緒にイオン化される。次の(2)において内部標準物質の特定イオン(m/z332等)を前駆イオンとして単離する。(3)CIDによりm/z332を解離させ、娘イオン(m/z268)を得る。質量スペクトルから娘イオンの電流値を計測する。次に試料(TCDD)の測定ステップに移る。(4)にてイオン化を行い、試料(TCDD)と内部標準物質をイオン化する。TCDDのイオンの中から前駆イオン(m/z320等)を選び単離する(5)。単離されたTCDDの前駆イオン(m/z320)をCIDで解離する。娘イオン(m/z257)を得る(6)。(1)から(6)を繰り返えす。ダイオキシンの塩素4から8個の異性体を全て測定する場合はこのステップを更に5回繰り返す必要がある。
このように従来のMS/MS法を用いた定量分析は、測定対象を増やせず、測定時間が延びる。また、MS/MS法が正しく行われたか否かの判定ができないなどの欠点を有していた。
本発明の目的はかかるMS/MS法の欠点を克服し、ダイオキシンなどの試料について高感度で信頼性の高い質量分析を達成しようとするものである。
本発明は、以上の問題を解決するため、以下のステップで測定を行う。
イオントラップ質量分析計による試料の質量分析方法であって、前記前駆イオンは2質量以上の質量範囲のイオンであり、この質量範囲に含まれる前駆イオンの衝突誘起解離を行い、生成した娘イオンの電流値を検出するようにした。
本発明は、具体的には次に掲げる方法を提供する。
本発明は、質量対電荷比が所定の質量範囲内にあるイオンをトラップするように構成された三次元四重極電界を有するイオントラップ空間を形成し、前記トラップ空間の中でイオンを生成するかまたは外部からイオンを注入して前記質量対電荷比が所定の範囲内にあるイオンを前記イオントラップ空間の中にトラップし、前駆イオンをイオントラップ空間に残しそれ以外のイオンを除去し、トラップした前駆イオンの衝突誘起解離を行い、娘イオンを生成してイオントラップ空間にトラップし、四重極電界を変化させ娘イオンのイオン電流を検出する質量分析方法において、一回で単離する前駆イオンが、2質量以上の質量範囲内にある同位体を含む2質量以上の前駆イオンをイオントラップ空間に残し、この質量範囲に含まれる前記前駆イオンに対して同時に衝突誘起解離を行う質量分析方法を提供する。
本発明は、更に衝突誘起解離は、イオントラップ空間に残した前駆イオンの質量範囲の最小質量と最大質量のイオンの固有振動数に対応した帯域の周波数を含む補助交流をエンドキャップ電極間に印加して行う質量分析方法を提供する。
本発明は、更にイオントラップ空間に残す前駆イオンの質量範囲は前駆イオンの同位体パターンで5%以上の強度を示すイオンを含む質量範囲である質量分析方法を提供する。
本発明は、更にイオントラップ空間に残す前駆イオンの質量範囲は前駆イオンの同位体パターンで10%以上の強度を示すイオンを含む質量範囲である質量分析方法を提供する。
本発明は、更にイオントラップ空間に残す前駆イオンの質量範囲は測定対象の前駆イオンと内部標準物質の前駆イオンを含む質量範囲である質量分析方法を提供する。
本発明は、更に検出された複数の娘イオンのイオン電流値を積算して定量分析する質量分析方法を提供する。
本発明は、更に検出された複数の娘イオンのイオン電流値から同位体比を求め、当該求められた同位対比をあらかじめ定めた同位体比と比較する事により測定の良否の判定を行う質量分析方法を提供する。
本発明は、更に検出された娘イオンのイオン電流に基づいて定量計算を行い、定量計算結果と予め設定された閾値とを比較して測定の良否判定を行うことを特徴とする質量分析方法を提供する。
本発明は、定量計算は予め作成された複数の9同位体娘イオンに対応した複数の検量線に基づきなされる質量分析方法を提供する。
本発明は、更に検出された複数の同位体娘イオンに対応した各々のイオン電流量から定量分析により複数の定量値を求め、複数の定量値の偏差が所定の閾値内であるとき定量測定を良とし、前記複数の定量値の偏差が所定の閾値越えたとき定量測定を不良として測定データ上に表示、記録する質量分析方法を提供する。
本発明は、更に四重極高周波電界が印加されたイオントラップを用い、前駆イオンを前記イオントラップ内にトラップするステップと、前記前駆イオンを励起して衝突誘起解離を行なうステップを1周期とする周期を繰り返えしてMS/MS法を行なう質量分析方法おいて前記前駆イオンは1つ以上の同位体を含み、複数の質量の同位体イオンより成り、2質量以上の質量範囲に分布する同位体前駆イオンであり、前記同位体前駆イオンを前記イオントラップ内に同時にトラップし、トラップする質量範囲は少なくとも、同位体イオンの中で最小質量のイオンから最大質量のイオンを連続的に含むものであり、前記質量範囲外のイオンはイオントラップから排除された後、前記同位体前駆イオンを同時に励起し、衝突誘起解離(CID)を行い、1つ以上の同位体を含み、複数の質量の同位体イオンより成り、2質量以上の質量範囲に分布する複数の同位体娘イオンを前記1周期において同時に得るMS/MS法を行なう質量分析方法を提供する。
本発明は、更に(a)複数の電極問に形成されたイオントラップ空問の中に所定の質量範囲内のイオンを同時にトラップできる四重極高周波電界を形成し、(b)前記トラップ空問の中でイオンを生成するかまたは外部からイオンを注入してイオンを前記イオントラップ空問の中にトラップし、(c)分析対象の前駆イオンを前記イオントラップ空間内に選択的に残し、それ以外のイオンをイオントラップ外に放出除去し、(d)トラップした前記前駆イオンの衝突誘起解離を行い、娘イオンを生成してイオントラップ空問内にトラップし、(e)その後前記イオントラップ空間外に排出された娘イオンのイオン電流を検出し、(b)〜(e)のステップを時分割で繰り返しマススペクトルを取得する質量分析方法において、ステップ(c)において分析対象の前駆イオンは一つ以上の同位体を有し、同位体前駆イオンの最小質量から最大質量までの質量範囲のイオンをイオントラップ内に残し、該質量範囲外の質量のイオンをイオントラップ外に排除し、トラップされた分析対象の前駆イオンを同時に励起して衝突誘起解離を行い、同位体を有する複数の質量の同位体娘イオンを同時に生成して同位体娘イオンの電流値を検出する質量分析方法を提供する。
本発明により、イオントラップ質量分析計を用いて高感度で信頼性の高い定量分析を達成できる。
以下、本発明にかかる一実施例を図面に基づいて説明する。
イオントラップ質量分析計は、図1に示すような一つのリング電極7と2つのエンドキャップ電極6,8で構成される。リング電極7に主高周波電源(主RF電源)15から主高周波を印加すると、所定の質量範囲のイオンを捕捉できる三次元四重極電界がイオントラップ空間9内に形成される。このイオントラップ空間9の中にフィラメント電源1を電源として、フィラメント2から放出された電子4を注入して試料分子をイオン化したり、イオンを外部より注入すると、所定の質量範囲のイオンはイオントラップ空間9内に安定にトラップされる。次に主高周波の電圧を掃引するとトラップされたイオン10は、質量の順に不安定となり、イオントラップ空間9から順次排出される。排出されたイオン11は検出器12により検出されマススペクトルを与える。このイオン化から検出までの手順を繰り返し質量分析を行う。
イオントラップ質量分析計は、上記測定手順にMS/MSのステップを加えると、公告番号特公平8−21365号に示したようなMS/MSの分析が可能である。
MS/MS測定は、イオン化によりイオントラップ空間9内に所定の質量範囲のイオンを捕捉した後、分析対象のイオン(前駆イオン)を選びだし(単離)、次にこのイオンを共鳴励起し、その結果化学結合が解裂した娘イオンを得る手法である。この手法は前駆イオンの構造情報を得るための良く用いられる。また、前駆イオンの単離,励起解裂,娘イオンの選択検出と多くのステップ、即ち多くの信号フィルタを通した事になり、化学ノイズを著しく軽減できる手法でもある。
試料溶液はガスクロマトグラフ23の注入口31に注入され、気化の後キャリアガスのHeによりキャピラリカラム32に送られる。ここで試料ガスは、カラム内面に塗られた液相と気体(He)との分配の違いにより、成分毎に分離される。分離された試料成分は、試料ガスガイドパイプ16を経て真空排気された容器内に収められたイオントラップ質量分析計33に送られる。イオントラップ質量分析計33は、フィラメント2や電子ゲート(電極)5,エンドキャップ電極6,リング電極7,エンドキャップ電極8,検出器12,直流増幅器13,主RF電源15,データ処理装置14等で構成される。回転放物面を持つリング電極7と、この回転対称軸の両面から隣接する2つのエンドキャップ電極6,8はイオントラップ質量分析計の心臓部をなすものである。エンドキャップ電極6,8とリング電極7の間には主高周波が印加される。その結果、3つの電極に囲われた空間(イオントラップ空間)9には、イオンをこの空間9内にトラップする四重極高周波電界が生成する。補助高周波電源(補助RF電源)21から電圧0から10V程度の補助高周波がトランス19で経てエンドキャップ電極6,8に、補助高周波が印加される。
イオントラップ質量分析計は、時間経過に従いいくつかの段階(モード)に分割して動作する。一つのマススペクトルを得る一周期は0.1 秒から数秒程度である。
主RF電源15や電子ゲート電源18等はデータ処理装置14より信号ライン22,20を通じて制御される。
エンドキャップ電極6の外側に配置されたフィラメント2とその周囲を囲うグリッド電極3は電子加速電源17から供給される−15Vの電圧が印加されている。電子ゲート5はフィラメント2とエンドキャップ電極6の間に置かれ、電子ゲート電源18から供給された+200V(−200V)程度の電圧が印加される。フィラメント2から放出された熱電子4は、電子ゲート電極5とフィラメント2間の電位により加速され、エンドキャップの中心に開けられた細孔から、イオントラップ空間9内に導入される。熱電子はここで、ガスクロマトグラフ(GC)23などから試料ガスガイドパイプ16を経て導入された試料ガスと衝突し、試料ガス分子をイオン化する。生成したイオンはイオントラップ空間9内に安定なイオン軌道10を作りトラップされる。イオン化の間(10μ秒から0.1秒程度)電子はイオントラップ空間9に導入されイオン化を継続し、イオンの蓄積を行う。
比較のため、図7にダイオキシンのMS/MSによる従来の分析例を示す。ダイオキシンのマススペクトルは図7の上段に示すように多くの化学ノイズが重畳したものとなる。TCDDの場合分子イオンがm/z320から326までに広い質量領域に現れる。これは塩素の同位体に由来するパターンである。まず、前駆イオンをm/z320と定め、単離する。図7の中段のようにm/z320以外のイオンが排除される。このm/z320を励起して解裂させると、図7の下段のような娘イオンマススペクトルが得られる。m/z257に娘イオンが単独で出現する。この娘イオンの電流値を測定して、TCDDの定量測定を行う事ができる。
図1に示すように、イオントラップ質量分析計33内のイオントラップ空間9にトラップされたイオン10はイオンの質量に対応した固有振動数(secular motion)ωで振動しながら、安定にトラップされる。固有振動数ωは(1)式から求めることができる。
ω=βΩ/2 (1)
ここでΩはリング電極に印加する主高周波の振動数であり、βは質量に依存する定数である。イオントラップにトラップできる最小の質量のイオンの場合、β=1となり、最大の質量のイオンの場合、β=0となる。即ちβは0から1の値を取る。もし、リング電極7に印加する主高周波の周波数を1MHzとすると、(1)式からωは0から500kHzの値を得る。質量の小さいイオンは高い振動数で振動し、大きな質量のイオンは低い周波数で(ゆっくりと)振動する。
いま、補助交流電源21からトランス19を経て2つのエンドキャップ電極6,8間に、補助交流を印加すると、イオントラップ空間9内に二重極(ダイポール)電界が発生する。この二重極電界の振動数とイオンの固有振動数が一致するとイオンは共鳴状態となり、二重極電界からエネルギを吸収しイオンの固有振動の振幅が急激に大きくなる。イオンはイオントラップ空間内を満たした0.1Pa程度の圧力のHeガス(バッファガス)原子と衝突し、その運動エネルギーの一部を失う。繰り返し共鳴,衝突を繰り返す過程で、運動エネルギの一部がイオンの内部エネルギに転換蓄積される。内部エネルギが上昇して、イオン内の原子間の結合エネルギを上回るようになるとイオンは解裂し、質量の小さなフラグメントイオン(娘イオンまたは生成物イオンと言う)になる。この過程が衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation CID)と呼ばれるものである。CIDのため、エンドキャップ電極に印加する補助交流電圧の電圧は0.5Vから1.5V程度である。この補助交流電圧を3V以上にするとイオンは共鳴励起されてその軌道がイオントラップ空間を超えるものとなり、イオンはエンドキャップ電極6,8の内壁面に衝突したり、エンドキャップ電極6,8の中央の孔からイオントラップ外に排出される。
図2に本発明の動作シーケンス図を示す。図3に本発明の流れ図を示す。これらの図に基づいて本発明の分析方法を説明する。
イオントラップの質量分析は、時間経過に従い測定モードを次々に変えながら進行する。
(1)イオン化ステップ(tからt,tからt…)
電子ゲート5に+200Vが印加され、イオン化が開始される。この時主高周波電圧は低い電圧が設定されている。これにより、イオントラップ空間9に、広質量範囲のイオンを蓄積できる。図6に示すように、多くの化学ノイズの中にダイオキシンの信号は埋れている。
(2)定められた質量範囲内の前駆イオンの単離(tからt,tからt…)
イオン化時間が終了し(tとなり)電子ゲート5には−200Vが印加され、電子がイオントラップ空間9に侵入しないようにする。次に、特公平8−21365号に記載されたような方法に従って四重極高周波電界を変化させて質量範囲のイオンをトラップ内に残留させる。即ち、測定対象外の低質量,高質量のイオンはイオントラップ外に排除される。
イオンの単離には、エンドキャップに印加する補助交流を用いて行う事もできる。すなわち、図10の上段(イ)図に示したようなノッチを持った広帯域ノイズを補助交流として印加する。ここで、横軸は周波数、縦軸は交流電圧を示している。広帯域ノイズは1kHzからω1まで、またω2から500kHzまで連続した周波数成分を含んでいる。逆に周波数ω1とω2の間の交流成分は含まれない。補助交流の電圧は3から10V程度で良い。このノッチを含む広帯域ノイズをエンドキャップ電極に印加すると、ノッチω1とω2の間の周波数に対応した固有振動数(secular motion)を持つイオン(質量m1とm2との間)がイオントラップ内に取り残される。それ以外のイオンは補助交流との共鳴により励起されイオントラップ外に排除される。
例えば、ダイオキシンTCDDの場合、分子量領域のイオンとして図6の上段,中段に示すようにm/z320から324までのイオンをイオントラップ内に残すようにし、他のイオンは排除する。
(3)衝突誘起解離(CID)(tからt,tからt…)
つぎに、図10の下段(ロ)図のようなノイズ成分の補助交流を印加する。周波数ω1からω2の間の周波数成分を有するノイズを印加する。(2)のノイズと逆にイオントラップ内に取の残されたイオンの固有振動数に対応した広範囲補助交流を印加する事になる。トラップした最大の質量の固有振動数と最小の固有振動数の範囲の周波数を含む補助交流を印加する。印加する補助交流電圧は1.5V 程度で良い。上述のTCDDの場合この補助交流の照射によりダイオキシンの質量320から324の範囲のイオンは一度に励起され娘イオンに解裂する。CIDの時間は数m秒から数10m秒である。図6の中段,下段に示したように、単離された広範囲の質量のイオン(m/z320から324)は補助交流の照射により一度に衝突誘起解離をうけ、娘イオンを生成する。
(4)質量分析
CIDの時間が終了すれば補助交流をoffとする。次に、データ処理装置14からの指示により主高周波電圧が掃引を開始し、質量順に排出されるイオンを検出器12で検出する。イオン電流は直流増幅器13を経てデータ処理装置14に送られマススペクトルを収集する。このマススペクトル収集は、日本特許第1,321,036号や特公平8−21365号に示された方法で行えば良い。
(5)リセット
所定のマスレンジまたは掃引すれば、主高周波電源はリセットされ零となる。これにより、イオントラップ内に残っていた、イオンは全て排除される。二回目のスキャンとなり、(1)に戻り再びイオン化が開始される。この繰り返しを行いマススペクトルを取得する。
CIDのステップでホワイトノイズの補助交流の印加により、図5の上段のように化学ノイズに埋もれたダイオキシンのマススペクトルは、図5下段のようなノイズの少ない娘イオンマススペクトルになる。ここで分子イオンの同位体ピーク全て同時にCIDをおこなった場合、生成する娘イオンは同位体に対応した同位体パターンを示す事である。TCDDは分子内にCl原子4個を持つことからこの分子イオンは図6の中段のように2質量毎に3:4:2の強度比を示す。娘イオンは分子イオンからCOCl脱離したイオンであるから、分子内の塩素のイオンは3個である。そのため、この娘イオンは図6の下段に示したように2質量毎に3:3:1の同位体比を示す。
ダイオキシンのように同位体パターンが広質量範囲に分布する化合物をCIDする場合、図7に示したように一質量のイオンを文字どおり単離すると、他の同位体ピークの情報を廃棄する事になる。本発明の場合、娘イオンはm/z257から261に出現する。m/z257,259,261は強度が高く、しっかりした強度比3:3:1を示している。娘イオンの内、同位体比が5%以上、または10%以上のマスピークを積算し、この積算値で定量分析すれば、全体の信号量は増加し、より微量の測定が可能になる。TCDDの場合、全娘イオンの総電流値に対するm/z257単独のイオン電流の比率は約38%である。もし5%以上の娘イオンの電流値を積算すると、積算値は全娘イオン電流値の92%となる。また10%以上の娘イオンの電流値を積算すると、積算値は全娘イオン電流値の88%となる。このように少なくとも単独のイオンで定量するより同位体比の強度の大きいイオンを積算した方がイオン強度的に数倍有利であることがわかる。実際の分析においては、ノイズの影響を避けるため、5から10%以上の閾値を定め、これを超え同位体比を示すイオンを定量計算に用いればよい。
また、同位体ピークを同時にMS/MSする事で、生じた娘イオンも同位体パターンを示す。
前述のように、娘イオンは分子内に含まれる同位元素のパターンを示すから、これ等同位体ピーク毎に検量線を用意して定量を行う事ができる。一回の測定で複数の同位体ピークが測定できるから、定量結果も一回の測定で複数の結果が得られる。得られた複数の定量結果は理想的には一致することが期待できる。現実には、化学ノイズや装置,分析条件の揺らぎ、等で誤差がでる。この誤差を管理する事で定量の判定ができる。例えば求められた定量値の偏差が10%以内なら定量測定が正しく行われたとし、10%以上の差が出たときは測定をやり直すなどとの判定基準を用意できる。例えば、TCDDの娘イオンのm/z257のイオンの場合、同位体比が10%を超えるピークとしてm/z257,259,261の3つのイオンがある。図4に示すように、3つの同位体ピークについて、検量線1,2,3をあらかじめ作成しておく。同位体のマスクロマトグラムの各成分の面積をS1,S2,S3と求まれれば、検量線1,2,3から定量値Q1,Q2,Q3が求まる。これから偏差Δを求め、あらかじめ設定した判断基準以内であれば定量測定は正しく行われたとする事ができる。測定対象のイオンは同位体を含むイオンであるから、定量結果は本来一致するはずである。定量値とともに、偏差値を記録管理する事で、後日でも、また第三者によっても定量の信頼性を検証することができる。
さらに、化学ノイズが重畳したり、CIDが不十分な場合、娘イオンの同位体パターンも計算値と大きく狂ってくる。同位体パターンはイオンの組成が求まれば容易に計算で求める事ができる。例えばTCDDの娘イオンであるm/z257のイオンはC11OClの組成を持ち、その1マス毎の同位体パターンは、計算によりm/z257から、おおよそ27:3:27:3:9:1:1として求まる。実際の分析で得られた同位体パターンを計算値と比較する事により、化学ノイズの重畳やCIDの効率等の判断ができる。同位体比が計算値から大きくずれた場合、測定を否とするか、同位体比の異なるイオンを定量測定から排除するなど測定の良否を判断する尺度になる。同位体比を定量結果とともに、記録し、結果として表示すれば測定の判定が何時でも可能である。
定量測定の場合、より精度の高い測定を行うために内部標準物質の使用が必要である。試料と同時に注入された内部標準物質はガスクロマトグラフを経て質量分析計に導入され、試料と全く同じ条件で分析される。ダイオキシン分析の場合ダイオキシン骨格の炭素原子全てが13Cに置き換わった化合物が内部標準物質として使用される。
TCDDのMS/MSの場合、試料の分子イオンの組成は1212Cl、内部標準物質の娘イオンは1312Clであるからそれらの質量差は12となる。試料の分子イオンの内で強度の高いイオンはm/z320,322,324である。内部標準物質の分子イオンの内強度の高いイオンはm/z332,334,336である。そのため、図9の中段の様にm/z320からm/z336までのイオンをトラップ空間に残留させた後、これらイオンを広帯域CIDにより衝突誘起解離させることができる。図9下段のような娘イオンが得られる。試料の娘イオンm/z257,259,261のイオン電流値を積算し、これと内部標準物質の娘イオンのm/z268,270,272のイオン電流値の比を求め、検量線から試料の定量を行う。本発明によれば、試料と内部標準物質を一回で測定できる。これにより、図7に示した従来のMS/MS法に比して測定時間の短縮(1/2)可能になる。試料と内部標準物質の前駆イオンの単離,CIDを一回で行う事が可能となり、測定誤差が軽減できる。また、広質量領域の前駆イオンの単離が一質量の単離に比べ、条件の変化や外的な影響を受け難い。
ここで、微量有機化合物の分析の例として、ダイオキシンを示した。ダイオキシンが分子内に塩素原子を多数有しているため、塩素元素に由来する同位体パターンが顕著に分子イオンや娘イオン等に現れる。有機化合物を構成する炭素C,水素H,酸素O,窒素N,硫黄S,塩素Cl,臭素Br等はいずれも同位体を有する元素であり、それらの集合体で有するイオンは同位体に由来する同位体のパターンをマススペクトル上に示す。そのため、本発明はダイオキシン以外の多くの微量有機化合物の分析に応用できる。また、ここで示したガスクロマトグラフの代わりに、液体クロマトグラフ(LC),キャピラリ電気泳動(CZE),超臨界流体クロマトグラフ(SFC)など質量分析計に接続され分析に供されているクロマトグラフにも応用可能である。
尚、本発明によれば、臭素イオンあるいは塩素イオンについてもイオントラップによる質量分析を行うことができる。
本発明の一実施例を説明するためのイオントラップ質量分析計の模式図。 本発明の実施例の動作シーケンス図。 本発明の一実施例の流れ図。 本発明の説明図。 本発明の説明図。 本発明の説明図。 従来のMS/MS法の説明図。 従来のMS/MS法の説明図。 本発明の説明図。 ノッチ付き広帯域ノイズの説明図。
符号の説明
1…フィラメント電源、2…フィラメント、3…グリッド電極、4…熱電子、5…電子ゲート、6…エンドキャップ電極、7…リング電極、8…エンドキャップ電極、9…イオントラップ空間、10…トラップされたイオン、11…イオン、12…検出器、13…直流増幅器、14…データ処理装置、15…主高周波電源、16…試料ガスガイドパイプ、17…グリッド電源、18…電子ゲート電源、19…トランス、20…信号線、21…補助交流電源、22…信号線、23…ガスクロマトグラフ、31…注入口、32…キャピラリカラム、33…イオントラップ質量分析計。

Claims (13)

  1. 質量対電荷比が所定の質量範囲内にあるイオンをトラップするように構成された三次元四重極電界を有するイオントラップ空間を形成し、
    前記トラップ空間の中でイオンを生成するかまたは外部からイオンを注入して前記質量対電荷比が所定の範囲内にあるイオンを前記イオントラップ空間の中にトラップし、
    前駆イオンをイオントラップ空間に残しそれ以外のイオンを除去し、トラップした前駆イオンの衝突誘起解離を行い、娘イオンを生成してイオントラップ空間にトラップし、四重極電界を変化させ娘イオンのイオン電流を検出する質量分析方法において、
    一回で単離する前駆イオンが、2質量以上の質量範囲内にある同位体を含む2質量以上の前駆イオンをイオントラップ空間に残し、この質量範囲に含まれる前記前駆イオンに対して同時に衝突誘起解離を行う事を特徴とする質量分析方法。
  2. 請求項1の質量分析方法において、衝突誘起解離は、イオントラップ空間に残した前駆イオンの質量範囲の最小質量と最大質量のイオンの固有振動数に対応した帯域の周波数を含む補助交流をエンドキャップ電極間に印加して行う事を特徴とする質量分析方法。
  3. 請求項1の質量分析方法において、イオントラップ空間に残す前駆イオンの質量範囲は前駆イオンの同位体パターンで5%以上の強度を示すイオンを含む質量範囲である事を特徴とする質量分析方法。
  4. 請求項1の質量分析方法において、イオントラップ空間に残す前駆イオンの質量範囲は前駆イオンの同位体パターンで10%以上の強度を示すイオンを含む質量範囲である事を特徴とする質量分析方法。
  5. 請求項1の質量分析方法において、イオントラップ空間に残す前駆イオンの質量範囲は測定対象の前駆イオンと内部標準物質の前駆イオンを含む質量範囲である事を特徴とする質量分析方法。
  6. 請求項1の質量分析方法において、検出された複数の娘イオンのイオン電流値を積算して定量分析する事を特徴とする質量分析方法。
  7. 請求項1の質量分析方法において、検出された複数の娘イオンのイオン電流値から同位体比を求め、当該求められた同位対比をあらかじめ定めた同位体比と比較する事により測定の良否の判定を行う事を特徴とする質量分析方法。
  8. 請求項1記載の質量分析方法において、
    検出された娘イオンのイオン電流に基づいて定量計算を行い、定量計算結果と予め設定された閾値とを比較して測定の良否判定を行うことを特徴とする質量分析方法。
  9. 請求項8記載の質量分析方法において、
    前記定量計算は予め作成された複数の同位体娘イオンに対応した複数の検量線に基づきなされることを特徴とする質量分析方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の質量分析方法において、
    検出された娘イオンのイオン電流値に基づき定量分析を行った定量値、該定量値の偏差、該定量値の良否判断のために予め定めた閾値、を同一画面上に表示することを特徴とする質量分析方法。
  11. 請求項1から10のいずれかの質量分析方法において、検出された複数の同位体娘イオンに対応した各々のイオン電流量から定量分析により複数の定量値を求め、複数の定量値の偏差が所定の閾値内であるとき定量測定を良とし、前記複数の定量値の偏差が所定の閾値越えたとき定量測定を不良として測定データ上に表示、記録することを特徴とする質量分析方法。
  12. 四重極高周波電界が印加されたイオントラップを用い、
    前駆イオンを前記イオントラップ内にトラップするステップと、前記前駆イオンを励起して衝突誘起解離を行なうステップを1周期とする周期を繰り返えしてMS/MS法を行なう質量分析方法おいて
    前記前駆イオンは1つ以上の同位体を含み、複数の質量の同位体イオンより成り、2質量以上の質量範囲に分布する同位体前駆イオンであり、
    前記同位体前駆イオンを前記イオントラップ内に同時にトラップし、トラップする質量範囲は少なくとも、同位体イオンの中で最小質量のイオンから最大質量のイオンを連続的に含むものであり、
    前記質量範囲外のイオンはイオントラップから排除された後、前記同位体前駆イオンを同時に励起し、衝突誘起解離(CID)を行い、
    1つ以上の同位体を含み、複数の質量の同位体イオンより成り、2質量以上の質量範囲に分布する複数の同位体娘イオンを前記1周期において同時に得るMS/MS法を行なうことを特徴とする質量分析方法。
  13. (a)複数の電極問に形成されたイオントラップ空問の中に所定の質量範囲内のイオンを同時にトラップできる四重極高周波電界を形成し、
    (b)前記トラップ空問の中でイオンを生成するかまたは外部からイオンを注入してイオンを前記イオントラップ空問の中にトラップし、
    (c)分析対象の前駆イオンを前記イオントラップ空間内に選択的に残し、それ以外のイオンをイオントラップ外に放出除去し、
    (d)トラップした前記前駆イオンの衝突誘起解離を行い、娘イオンを生成してイオントラップ空問内にトラップし、
    (e)その後前記イオントラップ空間外に排出された娘イオンのイオン電流を検出し、
    (b)〜(e)のステップを時分割で繰り返しマススペクトルを取得する質量分析方法において、
    ステップ(c)において分析対象の前駆イオンは一つ以上の同位体を有し、同位体前駆イオンの最小質量から最大質量までの質量範囲のイオンをイオントラップ内に残し、該質量範囲外の質量のイオンをイオントラップ外に排除し、
    トラップされた分析対象の前駆イオンを同時に励起して衝突誘起解離を行い、同位体を有する複数の質量の同位体娘イオンを同時に生成して同位体娘イオンの電流値を検出することを特徴とする質量分析方法。
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