JP2005282352A - 耐震杭 - Google Patents

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Abstract


【課題】杭頭と基礎スラブとの接合部における地震時曲げ破壊を防止する。
【解決手段】本発明に係る耐震杭11は、杭本体12の杭頭側に塑性ヒンジ部13を設けてある。なお、耐震杭11は上部構造物の基礎部材14に接合されることとなるが、耐震杭11の頭部である塑性ヒンジ部13と基礎部材14とをどのように接合するかは任意であり、杭頭側に設けた塑性ヒンジ部13と基礎部材14とを剛接合してもかまわない。杭本体12は普通鉄筋を用いたRCで構成してあるとともに、塑性ヒンジ部13は低降伏点鋼材からなる鉄筋を用いたRCで構成してある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、杭基礎で採用される耐震杭に関する。
杭基礎には支持杭形式と摩擦杭形式とがあり、前者は、良質な支持層が地下深くにある場合に該支持層まで打ち込んだ杭の上に上部構造物を構築することによって、構造物重量を支持層で安定支持する形式であり、後者は、良質な支持層がない場合に周辺地盤との摩擦力によって上部構造物を支持する形式の基礎形式である。
これらの杭は、当然ながら上部構造物の重量を確実に支持できなければならないが、地震時においては、上部構造物からの水平力によって杭頭に大きなせん断力や曲げモーメントが作用するため、設計施工時には地震時安全性に対する十分な配慮が必要となる。
特開平9−144029
従来、杭と基礎スラブとを接合する方法として、場所打ちコンクリート杭の杭頭を基礎スラブに10cm程度埋め込んで予め出しておいた杭の主筋を基礎スラブに定着させたり、既製杭の杭頭を基礎スラブに杭径長さ程度埋め込んだりする方法があったが、これらの接合方法では、固定度αが1.0、すなわちほぼ剛接となり、巨大地震時においては、杭頭に過大なせん断力や曲げモーメントが作用し、杭の破壊ひいては上部構造物の倒壊といった不測の事態を招くおそれがあった。
また、PC杭やPHC杭の杭頭を10cm程度基礎スラブに埋め込んで杭切断のときに残しておいたPC鋼線や鋼棒を基礎スラブに定着させたり、鋼管杭や外殻鋼管付き既製コンクリート杭の杭頭に溶接された接合鉄筋を基礎スラブに定着させたり、杭中空部に杭径の2倍程度の長さで鉄筋コンクリートを充填する中詰め補強を行ったりする方法があったが、これらの接合方法でも、固定度は上述した接合方法よりも小さくなるものの、軸力作用下では、かなりの曲げモーメントが杭頭に発生することが実験で確かめられており、巨大地震の下では、やはり曲げモーメントによる杭頭破壊の懸念を免れない。
一方、地震時においては、地盤の自由振動が杭に強制変形を与え、該強制変形が曲げモーメントやせん断力といった部材力を杭に発生させる。かかる場合においては、比較的深い箇所で大きな部材力が杭に発生することが考えられるが、このような深層部での杭の破壊をいかに防止するかについては未だ検討段階であるのが現状である。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、主として杭頭と基礎スラブとの接合部における地震時曲げ破壊を防止可能な耐震杭を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る耐震杭は請求項1に記載したように、上部杭本体と下部杭本体との間に塑性ヒンジ部を設けたものである。
また、本発明に係る耐震杭は請求項2に記載したように、杭本体の杭頭側に塑性ヒンジ部を設けたものである。
また、本発明に係る耐震杭は請求項3に記載したように、上部杭本体と下部杭本体との間及び前記上部杭本体の杭頭側にそれぞれ塑性ヒンジ部を設けたものである。
また、本発明に係る耐震杭は、前記塑性ヒンジ部をRCで構成したものである。
また、本発明に係る耐震杭は、前記塑性ヒンジ部を鋼材で構成したものである。
また、本発明に係る耐震杭は、前記塑性ヒンジ部の対応位置に配筋する鉄筋を低降伏点鋼材とし、又はその鉄筋量を減少させて構成した鉄筋籠を掘削孔内に挿入してコンクリートを打設したものである。
また、本発明に係る耐震杭は、前記杭本体又は前記上部杭本体及び前記下部杭本体を中空鋼管で構成するとともに前記塑性ヒンジ部を中空鋼管で構成し、それらを材軸方向に相互に接合したものである。
請求項1に係る耐震杭においては、上部杭本体と下部杭本体との間に塑性ヒンジ部を設けてある。
従来、杭を設計するにあたっては、上部構造物の常時鉛直荷重に加えて、地震時に上部構造物に作用する慣性力を地震時水平力として杭頭に作用させ、かかる常時鉛直荷重及び地震時水平力を設計外力として断面設計を行うのが一般的であった。
しかしながら、実際には地震による地盤の自由振動が杭に強制変形を与え、その結果、杭には強制変形による部材力が発生する。そして、杭を設計するにあたっては、上述したような地震時水平力を杭頭に作用させたときの部材力を考慮するだけではなく、地盤の自由振動が与える強制変形による部材力をも考慮する必要があることが分かってきた。
そこで、本出願人は、上述したように上部杭本体と下部杭本体との間に塑性ヒンジ部を設けておけば、地盤の自由振動によって生じる杭の部材力を低減することができることを見いだした。
すなわち、上部杭本体と下部杭本体との間に塑性ヒンジ部を設けておくと、地盤の自由振動によって杭に強制変形が作用したとしても、かかる強制変形は、塑性ヒンジ部における回転変形によって拘束が緩和され、杭に生じる部材力は大幅に低減する。
塑性ヒンジ部をどの位置に設けるかは、周辺地盤から強制変形を受けたときに該強制変形によって発生するであろう杭の部材力を最も低減することができる位置に設定すればよい。具体的には、ボーリング調査等によって地盤構造を予め把握し、その上で塑性ヒンジ部の位置をパラメータとした地盤振動解析を行い、塑性ヒンジ部の位置と杭に生じる部材力との対応関係を調べることにより、最適な塑性ヒンジ部の設置位置を決定することができる。例えば、地盤のせん断剛性やN値が急変する箇所では、地盤の振動振幅も急変し、その箇所を境に杭が受ける強制変形量が大きく異なる。すなわち、該箇所にて大きな曲げモーメントが発生することが考えられるので、この位置に塑性ヒンジ部を設けてピン構造とすることにより、杭に生じる部材力を低減することができる。
請求項2に係る耐震杭においては、杭本体の杭頭側に塑性ヒンジ部を設けてあり、該塑性ヒンジ部を上部構造物の基礎部材に接合してある。
このようにすると、杭本体の頭部側に設けた塑性ヒンジ部が地震による水平力を上部構造物の基礎部材から受けたとき、該塑性ヒンジ部は塑性化して回転変形を生じることとなる。すなわち、本発明に係る耐震杭は、塑性ヒンジ部を介して上部構造物の基礎部材にピン接合に近い状態で接合されることとなる。したがって、耐震杭の杭頭すなわち塑性ヒンジ部に作用していた曲げモーメントが大幅に低減されるとともに、耐震杭が接合される基礎部材に作用する曲げモーメントも低減され、耐震杭及び基礎部材の曲げ破壊を防止することができる。
なお、耐震杭と基礎部材とをどのように接合するかは任意であり、杭頭側に設けた塑性ヒンジ部と基礎部材とを剛接合してもかまわない。
杭本体をどのように構成するのかは任意であり、例えば、RCや鋼管等で構成することが考えられる。
請求項3に係る耐震杭においては、上部杭本体と下部杭本体との間及び上部杭本体の杭頭側にそれぞれ塑性ヒンジ部を設けてなり、上部杭本体の杭頭側に設けた塑性ヒンジ部については、これを上部構造物の基礎部材に接合してある。
このようにすると、地震時においては、上部構造物の慣性力が地震時水平力として杭頭に作用するが、上部杭本体の杭頭側に設けた塑性ヒンジ部は、かかる地震時水平力を受けたときに塑性化して回転変形が生じ、杭頭には曲げモーメントが殆ど作用しない。
一方、地震時においては、杭は上述したような地震時水平力を杭頭で受けて部材力が発生するが、かかる上部構造物の慣性力に起因した部材力のみならず、周辺の地盤から受ける強制変形に起因した部材力も発生する。
すなわち、地震時における地盤の自由振動による強制変形が耐震杭に作用するが、かかる強制変形により上部杭本体と下部杭本体との間に設けた塑性ヒンジ部は塑性化して回転変形が生じるため、地盤からの強制変形による拘束が緩和され、耐震杭に生じる部材力が大幅に低減する。
要するに、本発明に係る耐震杭は、塑性ヒンジ部を介して上部構造物の基礎部材にピン接合に近い状態で接合されるとともに、上部杭本体と下部杭本体もピン接合に近い状態で接合されることとなる。
したがって、上部杭本体の杭頭側に設けた塑性ヒンジ部によって杭の頭部及び基礎部材に作用していた曲げモーメントが大幅に低減されるとともに、地盤状況などによって耐震杭が大きな強制変形を受けるような場合であっても、所定位置に設けられた塑性ヒンジ部によって耐震杭に作用する部材力は大幅に低減し、かくして、頭部及び中間部における耐震杭の破壊と基礎部材の曲げ破壊を防止することができる。
上部杭本体と下部杭本体との間の塑性ヒンジ部をどの位置に設けるかは、請求項1と同様にして、周辺地盤から強制変形を受けたときに該強制変形によって発生するであろう杭の部材力を最も低減することができる位置に設定すればよい。
上部杭本体及び下部杭本体をどのように構成するのかは任意であり、例えば、RCや鋼管等で構成することが考えられる。また、上部杭本体と下部杭本体を同じ構成とするのか、異なる構成とするのかも問わない。
請求項1乃至請求項3に係る塑性ヒンジ部は、低剛性又は低降伏点となるように構成され、所定の外力又は強制変形が作用すると塑性化して回転変形を生じるのであればどのように構成するのかは任意である。
また、塑性ヒンジ部をどのような材料で構成するのかは任意であり、例えば、RCで構成したり、鋼材で構成したりすることができる。
RCで塑性ヒンジ部を構成する場合、例えば、塑性ヒンジ部の対応位置に配筋する鉄筋を低降伏点鋼材とし、又はその鉄筋量を減少させて構成した鉄筋籠を掘削孔内に挿入してコンクリートを打設することが考えられる。
一方、鋼管で塑性ヒンジ部を構成する場合、例えば、杭本体又は上部杭本体及び下部杭本体を中空鋼管で構成するとともに塑性ヒンジ部を中空鋼管で構成し、それらを材軸方向に相互に接合することが考えられる。
ここで、かかる塑性ヒンジ部に用いる中空鋼管は、例えば、低降伏点鋼材からなる鋼管を用いて降伏点を低くしたり、通常よりも肉厚の薄い鋼管や径の小さい鋼管を用いて剛性を低くしたりすることによって構成することが考えられる。
また、塑性ヒンジ部を、上述したように杭本体又は上部杭本体及び下部杭本体と同じ材料で構成してRC耐震杭や鋼管耐震杭としてもよいが、異なる材料のものを組み合わせて複合耐震杭を構成してもかまわない。
例えば、RC杭本体に鋼管で構成される塑性ヒンジ部を接合して耐震杭を構成することが考えられる。かかる場合における接合方法は任意であるが、例えば、塑性ヒンジ部をフランジ付きの中空鋼管で構成するとともにRC杭本体の頂部にアンカーボルトを突設しておき、該アンカーボルトを介して塑性ヒンジ部のフランジをRC杭本体の頂部にボルト接合するようにすることが考えられる。
以下、本発明に係る耐震杭の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
(第1実施形態)
図1(a)は、本実施形態に係る耐震杭11を示した側面図であり、同図に示すように、本実施形態に係る耐震杭11は、杭本体12の杭頭側に塑性ヒンジ部13を設けてある。
なお、耐震杭11は上部構造物の基礎部材14に接合されることとなるが、耐震杭11の頭部である塑性ヒンジ部13と基礎部材14とをどのように接合するかは任意であり、杭頭側に設けた塑性ヒンジ部13と基礎部材14とを剛接合してもかまわない。
杭本体12は普通鉄筋を用いたRCで構成してあるとともに、塑性ヒンジ部13は低降伏点鋼材からなる鉄筋を用いたRCで構成してある。
本実施形態に係る耐震杭11を構築するには、図1(b)に示すように、まず、鉄筋籠15を掘削孔18内に挿入する。ここで、鉄筋籠15は、塑性ヒンジ部13の対応位置に配筋する鉄筋を低降伏点鋼材からなる鉄筋16で構成してあるとともに、杭本体12の対応位置に配筋する鉄筋を普通鉄筋17で構成してある。
次に、掘削孔18内にコンクリートを打設する。
このように構築された耐震杭11においては、杭本体12の頭部側に設けた塑性ヒンジ部13が地震による水平力を上部構造物の基礎部材14から受けたとき、該塑性ヒンジ部は塑性化して回転変形を生じることとなる。すなわち、本実施形態に係る耐震杭11は、塑性ヒンジ部13を介して上部構造物の基礎部材14にピン接合に近い状態で接合されることとなる。
図2は、上部構造物からの地震時水平力が杭に作用した際の曲げモーメントを示した図で、実線が接合部を剛接合とした杭の曲げモーメント、破線が本実施形態に係る耐震杭11の曲げモーメントを表している。この図に示すように、接合部を剛接合としたときは杭の頭部に大きな曲げモーメントが発生するが、本実施形態に係る耐震杭11を用いることによって、耐震杭11の頭部に生じる曲げモーメントが大幅に低減される。
以上説明したように、本実施形態に係る耐震杭11によれば、杭頭に作用する曲げモーメントが大幅に低減されるとともに、該杭頭が接合される基礎部材14に作用する曲げモーメントも低減され、かくして、上部構造物の慣性力による杭頭及び基礎部材での曲げ破壊を防止することができる。
本実施形態では、塑性ヒンジ部13を低降伏点鋼材からなる鉄筋16を用いて低降伏点となるように構成したが、場合によっては、普通鉄筋を用いて塑性ヒンジ部を構成してもかまわない。かかる場合には、塑性ヒンジ部の対応位置に配筋する普通鉄筋の鉄筋量を減少させて低剛性となるように構成することが考えられる。
また、本実施形態では、杭本体12及び塑性ヒンジ部13をRCで構成して耐震杭11をRC耐震杭としたが、場合によっては、杭本体を中空鋼管で構成するとともに塑性ヒンジ部を中空鋼管で構成し、それらを材軸方向に相互に接合して鋼管耐震杭としてもかまわない。
ここで、かかる塑性ヒンジ部に用いる中空鋼管は、例えば、低降伏点鋼材からなる鋼管を用いて降伏点を低くしたり、通常よりも肉厚の薄い鋼管や径の小さい鋼管を用いて剛性を低くしたりすることによって構成することが考えられる。
また、上述したように塑性ヒンジ部と杭本体とを同じ材料で構成してRC耐震杭や鋼管耐震杭としてもよいが、場合によっては、異なる材料のものを組み合わせて複合耐震杭を構成してもかまわない。
図3は、複合耐震杭21を示した斜視図であり、同図に示すようにRCで構成される杭本体22に鋼管で構成される塑性ヒンジ部23を接合してなる複合耐震杭21で本発明の耐震杭を構成してある。塑性ヒンジ部23は、中空鋼管25の両端周縁につば状のフランジ24、24を設けてなり、該塑性ヒンジ部は、杭本体22の頂部に突設されたアンカーボルト26を用いて該杭本体の頂部にボルト接合してある。
なお、かかる複合耐震杭21の作用効果は上述した耐震杭11の作用効果と同様であるので、ここではその説明を省略する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る耐震杭について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
図4(a)は、本実施形態に係る耐震杭31を示した側面図であり、同図に示すように、本実施形態に係る耐震杭31は、上部杭本体32と下部杭本体33との間に塑性ヒンジ部34を設けてある。
上部杭本体32及び下部杭本体33は普通鉄筋を用いたRCで構成してあるとともに、塑性ヒンジ部34は低降伏点鋼材からなる鉄筋を用いたRCで構成してある。
塑性ヒンジ部34をどの位置に設けるかは、周辺地盤から強制変形を受けたときに該強制変形によって発生するであろう耐震杭31の部材力を最も低減することができる位置に設定すればよい。具体的には、ボーリング調査等によって地盤構造を予め把握し、その上で塑性ヒンジ部34の位置をパラメータとした地盤振動解析を行い、塑性ヒンジ部34の位置と耐震杭31に生じる部材力との対応関係を調べることにより、最適な塑性ヒンジ部34の設置位置を決定することができる。
図5(a)は、本実施形態に係る耐震杭31を構築する地盤の構造を示した断面図であり、耐震杭31は軟弱層41、41の間に存在する剛性の高い中間層42を貫通して支持地盤43まで打ち込んである。図5(b)は、かかる地盤のN値を示した図であり、同図に示すように、軟弱層41と中間層42との境界ではN値が急変しており、このように地盤のN値が急変する箇所では、地盤の振動振幅も急変し、その箇所を境に杭が受ける強制変形量が大きく異なる。すなわち、該箇所にて大きな曲げモーメントが発生することが考えられるので、例えば同図に示す境界位置に塑性ヒンジ部34を設けることが考えられる。
本実施形態に係る耐震杭31を構築するには、図4(b)に示すように、まず、鉄筋籠35を掘削孔18内に挿入する。ここで、鉄筋籠35は、塑性ヒンジ部34の対応位置に配筋する鉄筋を低降伏点鋼材からなる鉄筋36で構成してあるとともに、上部杭本体32及び下部杭本体33の対応位置に配筋する鉄筋を普通鉄筋37で構成してある。
次に、掘削孔18内にコンクリートを打設する。
このように、上部杭本体32と下部杭本体33との間に塑性ヒンジ部34を設けておくと、地盤の自由振動によって耐震杭31に強制変形が作用したとしても、かかる強制変形は、塑性ヒンジ部34における回転変形によって拘束が緩和され、耐震杭31に生じる部材力は大幅に低減する。したがって、塑性ヒンジ部34を介して上部杭本体32と下部杭本体33がピン接合に近い状態で接合されることとなる。
図6は、地震時の自由振動による強制変形が杭に作用した際の部材力を示した図で、実線が塑性ヒンジ部34を設けない場合の杭の曲げモーメント及びせん断力、破線が塑性ヒンジ部34を設けた場合の耐震杭31の曲げモーメント及びせん断力をそれぞれ表している。この図に示すように、塑性ヒンジ部34を設けないときは軟弱層41と中間層42との境界近傍で大きな部材力が発生するが、本実施形態に係る塑性ヒンジ部34を設けることによって、耐震杭31に生じる部材力が大幅に低減される。
以上説明したように、本実施形態に係る耐震杭31によれば、地盤状況などによって大きな強制変形を受けるような場合であっても、所定位置に設けられた塑性ヒンジ部34によって耐震杭31に作用する部材力は大幅に低減し、かくして、地盤の自由振動による破壊を防止することができる。
本実施形態では、塑性ヒンジ部34を低降伏点鋼材からなる鉄筋36を用いて低降伏点となるように構成したが、場合によっては、普通鉄筋を用いて塑性ヒンジ部を構成してもかまわない。かかる場合には、塑性ヒンジ部の対応位置に配筋する普通鉄筋の鉄筋量を減少させて低剛性となるように構成することが考えられる。
また、本実施形態では、上部杭本体32、下部杭本体33及び塑性ヒンジ部34を全てRCで構成してなる耐震杭31、すなわちRC耐震杭で本発明の耐震杭を構成したが、場合によっては、図7に示すように、上部杭本体52、下部杭本体53及びそれらの間に配置される塑性ヒンジ部54をそれぞれ中空鋼管で構成するとともにそれらを材軸方向に相互に接合してなる鋼管耐震杭51を本発明の耐震杭としてもかまわない。
ここで、かかる塑性ヒンジ部54に用いる中空鋼管は、例えば、低降伏点鋼材からなる鋼管を用いて降伏点を低くしたり、通常よりも肉厚の薄い鋼管や径の小さい鋼管を用いて剛性を低くしたりすることによって構成することが考えられる。
また、上述したように塑性ヒンジ部と上部杭本体及び下部杭本体とを同じ材料で構成してなるRC耐震杭や鋼管耐震杭を本発明の耐震杭としてもよいが、場合によっては、異なる材料のものを組み合わせてなる複合耐震杭で本発明の耐震杭を構成してもかまわない。
なお、かかる複合耐震杭の作用効果は上述した耐震杭31の作用効果と同様であるので、ここではその説明を省略する。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る耐震杭について説明する。なお、第1実施形態乃至第2実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
図8は、本実施形態に係る耐震杭61を示した図であり、同図に示すように、本実施形態に係る耐震杭61は、上部杭本体62と下部杭本体63との間に塑性ヒンジ部64を設けるとともに、上部杭本体62の杭頭側にも塑性ヒンジ部65を設けてある。
なお、耐震杭61は上部構造物の基礎部材に接合することとなるが、耐震杭61の杭頭側に設けた塑性ヒンジ部65と上部構造物の基礎部材とをどのように接合するかは任意であり、杭頭側に設けた塑性ヒンジ部65と基礎部材とを剛接合してもかまわない。
上部杭本体62及び下部杭本体63は普通鉄筋を用いたRCで構成してあるとともに、塑性ヒンジ部64、65は低降伏点鋼材からなる鉄筋を用いたRCで構成してある。
上部杭本体62と下部杭本体63との間の塑性ヒンジ部64をどの位置に設けるかは、第3実施形態と同様にして、周辺地盤から強制変形を受けたときに該強制変形によって発生するであろう杭の部材力を最も低減することができる位置に設定すればよい。
耐震杭61は、図8に示すように第2実施形態同様、軟弱層41、41の間に存在する剛性の高い中間層42を貫通して支持地盤43まで打ち込んである。軟弱層41と中間層42との境界ではN値が急変しており、このように地盤のN値が急変する箇所では、地盤の振動振幅も急変し、その箇所を境に杭が受ける強制変形量が大きく異なる。すなわち、該箇所にて大きな曲げモーメントが発生することが考えられるので、例えば同図に示す境界位置に塑性ヒンジ部64を設けることが考えられる。
本実施形態に係る耐震杭61を構築するには、図9に示すように、まず、鉄筋籠71を掘削孔18内に挿入する。ここで、鉄筋籠71は、塑性ヒンジ部64、65の対応位置に配筋する鉄筋を低降伏点鋼材からなる鉄筋72で構成してあるとともに、上部杭本体62及び下部杭本体63の対応位置に配筋する鉄筋を普通鉄筋73で構成してある。
次に、掘削孔18内にコンクリートを打設する。
このように構築された耐震杭61においては、地震時に上部構造物の慣性力が地震時水平力として耐震杭61の杭頭に作用するが、上部杭本体62の杭頭側に設けた塑性ヒンジ部65は、かかる地震時水平力を受けたときに塑性化して回転変形が生じ、杭頭には曲げモーメントが殆ど作用しない。
一方、地震時においては、耐震杭61は上述したような地震時水平力を杭頭で受けて部材力が発生するが、かかる上部構造物の慣性力に起因した部材力のみならず、周辺の地盤から受ける強制変形に起因した部材力も発生する。
すなわち、地震時における地盤の自由振動による強制変形が耐震杭61に作用するが、かかる強制変形により上部杭本体62と下部杭本体63との間に設けた塑性ヒンジ部64は塑性化して回転変形が生じるため、地盤からの強制変形による拘束が緩和され、耐震杭61に生じる部材力が大幅に低減する。
要するに、本実施形態に係る耐震杭61は、塑性ヒンジ部65を介して上部構造物の基礎部材にピン接合に近い状態で接合されるとともに、塑性ヒンジ部64を介して上部杭本体32と下部杭本体63もピン接合に近い状態で接合されることとなる。
以上説明したように、本実施形態に係る耐震杭61によれば、上部杭本体62の杭頭側に設けた塑性ヒンジ部65によって耐震杭61の頭部及び基礎部材に作用していた曲げモーメントが大幅に低減されるとともに、地盤状況などによって耐震杭61が大きな強制変形を受けるような場合であっても、所定位置に設けられた塑性ヒンジ部64によって耐震杭61に作用する部材力は大幅に低減し、かくして、頭部及び基礎部材の曲げ破壊並びに中間部における耐震杭61の破壊を防止することができる。
本実施形態では、塑性ヒンジ部64、65を低降伏点鋼材からなる鉄筋72を用いて低降伏点となるように構成したが、場合によっては、普通鉄筋を用いて塑性ヒンジ部を構成してもかまわない。かかる場合には、塑性ヒンジ部の対応位置に配筋する普通鉄筋の鉄筋量を減少させて低剛性となるように構成することが考えられる。
また、本実施形態では、上部杭本体62、下部杭本体63及び塑性ヒンジ部64、65を全てRCで構成してなる耐震杭61、すなわちRC耐震杭で本発明の耐震杭を構成したが、場合によっては、上部杭本体、下部杭本体、それらの間に配置される塑性ヒンジ部及び上部杭本体の杭頭側に配置される塑性ヒンジ部をそれぞれ中空鋼管で構成するとともにそれらを材軸方向に相互に接合してなる鋼管耐震杭を本発明の耐震杭としてもかまわない。
ここで、かかる塑性ヒンジ部に用いる中空鋼管は、例えば、低降伏点鋼材からなる鋼管を用いて降伏点を低くしたり、通常よりも肉厚の薄い鋼管や径の小さい鋼管を用いて剛性を低くしたりすることによって構成することが考えられる。
また、上述したように塑性ヒンジ部と上部杭本体及び下部杭本体とを同じ材料で構成してなるRC耐震杭や鋼管耐震杭を本発明の耐震杭としてもよいが、場合によっては、異なる材料のものを組み合わせてなる複合耐震杭で本発明の耐震杭を構成してもかまわない。
なお、かかる複合耐震杭の作用効果は上述した耐震杭61の作用効果と同様であるので、ここではその説明を省略する。
第1実施形態に係る耐震杭を示した図であり、(a)は側面図、(b)は施工図。 第1実施形態に係る杭頭の接合構造の作用を示した図。 第1実施形態の変形例に係る耐震杭を示した斜視図。 第2実施形態に係る耐震杭を示した図であり、(a)は側面図、(b)は施工図。 第2実施形態に係る耐震杭の作用を示した図。 第2実施形態に係る耐震杭の作用を示した図。 第2実施形態の変形例に係る耐震杭を示した斜視図。 第3実施形態に係る耐震杭を示した全体図。 第3実施形態に係る耐震杭を示した施工図。
符号の説明
11、31、61 耐震杭
12、22 杭本体
13、23、65 塑性ヒンジ部
15、35、71 鉄筋籠
16、36、72 鉄筋
18 掘削孔
21 複合耐震杭(耐震杭)
25 中空鋼管
32、52、62 上部杭本体
33、53、63 下部杭本体
34、54、64 塑性ヒンジ部
51 鋼管耐震杭(耐震杭)

Claims (7)

  1. 上部杭本体と下部杭本体との間に塑性ヒンジ部を設けたことを特徴とする耐震杭。
  2. 杭本体の杭頭側に塑性ヒンジ部を設けたことを特徴とする耐震杭。
  3. 上部杭本体と下部杭本体との間及び前記上部杭本体の杭頭側にそれぞれ塑性ヒンジ部を設けたことを特徴とする耐震杭。
  4. 前記塑性ヒンジ部をRCで構成した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の耐震杭。
  5. 前記塑性ヒンジ部を鋼材で構成した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の耐震杭。
  6. 前記塑性ヒンジ部の対応位置に配筋する鉄筋を低降伏点鋼材とし、又はその鉄筋量を減少させて構成した鉄筋籠を掘削孔内に挿入してコンクリートを打設した請求項4記載の耐震杭。
  7. 前記杭本体又は前記上部杭本体及び前記下部杭本体を中空鋼管で構成するとともに前記塑性ヒンジ部を中空鋼管で構成し、それらを材軸方向に相互に接合した請求項5記載の耐震杭。
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