JP2005282140A - Tld式建物制振システム - Google Patents

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Abstract

【課題】建物の重心位置と剛心位置のずれによる建物開口部側での揺れを効果的に抑制することができ、しかも、それを生活空間を狭めることなく実現することができる建物制振システムを提供する。
【解決手段】建物1の開口部2,2にバルコニー3,3が設けられ、建物重心位置Gが剛心位置Kよりも前記開口部2,2の側に位置しており、前記バルコニー3,3の腰壁4,4が液体を収容可能で、該腰壁4,4に制振用の液体5,5が収容されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、TLD式建物制振システムに関する。
建物では、その重心位置と剛心位置とがずれていると、交通振動や地震等による水平振動によって、重心位置を挟んで剛心位置とは反対側の部分で大きな揺れを生じやすい。例えば、図3(イ)に示すようなアパート等の小規模集合住宅用の建物51において、南向きに開口部52,52とバルコニー53,53とが集中しているような場合、建物重心位置Gが剛心位置Kよりも開口部52,52の側に位置してしまいやすく、そのため、地震等の水平振動によって、バルコニー53,53の備えられた開口部52,52の側で大きな揺れを生じることがある。
そこで、開口部の側にTMD(チューンドマスダンパー)やTLD(チューンドリキッドダンパー)等の制振装置を設置することも考えられるが、装置を設置する専用スペースが必要で、生活空間を狭くしてしまうという問題を生じる。
本発明は、上記のような問題点に鑑み、建物の重心位置と剛心位置のずれによる建物開口部側での揺れを効果的に抑制することができ、しかも、それを生活空間を狭めることなく実現することができる建物制振システムを提供することを課題とする。
上記の課題は、建物開口部にバルコニーが設けられ、建物重心位置が剛心位置よりも前記開口部の側に位置しており、前記バルコニーの腰壁が液体を収容可能で、該腰壁に制振用の液体が収容されていることを特徴とするTLD式建物制振システムによって解決される。
この制振システムでは、建物重心位置が剛心位置よりも開口部の側に位置していても、制振用の液体を収容したバルコニーの腰壁がTLDとなり、粘性抵抗力中心がバルコニーの側に位置して、建物開口部側での揺れを抑制することができる。特に、バルコニーの腰壁を制振用液体収容部とすることで、制振上必要十分な収容容積を確保することができて、建物開口部側での揺れを制振用の液体の応答動作によって効果的に抑制することができる。
しかも、バルコニーの腰壁が制振用の液体の収容部となっているので、生活空間を狭めることなく制振用液体の収容部を確保することができる。
加えて、腰壁高さ寸法のバルコニー腰壁を制振用液体収容部としているので、制振に液体を使用するものでありながら、設置やメンテナンス等も容易に行うことができる。
本発明は、以上のとおりのものであるから、建物の重心位置と剛心位置のずれによる建物開口部側での揺れを効果的に抑制することができ、しかも、それを生活空間を狭めることなく実現することができ、加えて、設置やメンテナンス等も容易に行うことができる。
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示す実施形態の建物制振システムは、南向きに開口部2,2とバルコニー3,3とが集中し、建物重心位置Gが剛心位置Kよりも開口部2,2の側に位置しているアパート等の小規模集合住宅用の建物1を対象とし、バルコニー3,3の腰壁4,4が液体を収容可能な水槽式腰壁からなっており、該腰壁4,4に水などからなる制振用の液体5が収容されている。
図面では、開口部2に対向する腰壁部分4aと、開口部2に直交する腰壁部分4b,4bとが連通していて、すべての腰壁部分4a,4b,4bにわたるように制振用液体5が収容されている状態を示しているが、腰壁部分4aと腰壁部分4b,4bとの間を仕切ってそれぞれに独立して制振用液体を収容するようにしてもよいし、開口部2に対向する腰壁部分4aにのみ制振用液体を収容するようにしてもよい。なお、バルコニー腰壁4はなかの液体を見ることができない構造になっていてもよいし、見ることができる構造になっていてもよい。
上記の制振システムでは、建物重心位置Gが剛心位置Kよりも開口部2,2の側に位置していても、制振用の液体5を収容したバルコニー3の腰壁4がTLDとなり、粘性抵抗力中心Cがバルコニー3,3の側に位置して、地震等により水平振動が起きても、建物開口部2,2の側での揺れを抑制することができる。特に、バルコニー3,3の腰壁4,4を制振用液体収容部としているので、制振上必要十分な収容容積を確保できて、建物開口部2,2側での揺れを制振用の液体5の応答動作によって効果的に抑制することができる。
しかも、バルコニー3,3の腰壁4,4を制振用液体収容部としているので、生活空間を狭めることなく制振用液体収容部を確保することができる。加えて、腰壁高さ寸法のバルコニー腰壁4,4を制振用液体収容部としているので、制振に液体5,5を使用するものでありながら、設置やメンテナンス等も容易に行うことができる。
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、アパート等の小規模集合住宅用の建物に適用した場合を示しているが、本発明の制振システムは、開口部とバルコニーを備え、建物重心位置が剛心位置よりも開口部の側に位置しているような各種建物に広く用いることができるものであることはいうまでもない。
実施形態の建物制振システムを示すもので、図(イ)は建物平面図、図(ロ)はバルコニー部分の斜視図である。 地震時等の水平振動時の制振動作を示すもので、図(イ)は建物平面図、図(ロ)はバルコニー部分の斜視図である。 図(イ)は従来の建物を示す平面図、図(ロ)は水平振動時の揺れの態様を示す平面図である。
符号の説明
1…建物
2…開口部
3…バルコニー
4…バルコニー腰壁
5…制振用液体
C…粘性抵抗力中心
G…重心位置
K…剛心位置

Claims (1)

  1. 建物開口部にバルコニーが設けられ、建物重心位置が剛心位置よりも前記開口部の側に位置しており、前記バルコニーの腰壁が液体を収容可能で、該腰壁に制振用の液体が収容されていることを特徴とするTLD式建物制振システム。
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