JP2005281766A - 無電解めっき方法とその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリマー基板等の基材の表面に高い密着性を有するめっき層を形成し得る無電解めっき方法を提供すること。
【解決手段】 本発明によって提供される無電解めっき方法では、ポリマー基材等の基材10の被処理面10Aに、該被処理面を感受性化及び/又は活性化し得る金属12を付着させる工程と、酸素含有雰囲気中において前記金属12が吸着した被処理面10Aに紫外光を照射する工程と、前記被処理面10Aにめっき層18を形成する工程とを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明によって提供される無電解めっき方法では、ポリマー基材等の基材10の被処理面10Aに、該被処理面を感受性化及び/又は活性化し得る金属12を付着させる工程と、酸素含有雰囲気中において前記金属12が吸着した被処理面10Aに紫外光を照射する工程と、前記被処理面10Aにめっき層18を形成する工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ポリマー等から成る基材に無電解めっきを施す技術に関し、詳しくは、基材表面に密着力に優れるめっき層を形成する技術に関する。
プラスチック製基板即ちポリマー基板あるいはガラス基板、セラミック基板のような非導電性基材上に、ニッケル等の金属から成る導体皮膜(導体層)を形成する手段として、いわゆる無電解めっき方法が利用されている。
従来の一般的な無電解めっき方法は、先ず、非導電性基材の被処理面(めっきを施したい面をいう。以下同じ。)を種々のエッチング手段によって粗面化及び/又は親水化し、次いで、感受性化処理(sensitization)を行う。典型的には、塩化第一スズの酸性溶液中に被処理物を浸漬する。これにより、被処理面が感受性化される。即ち、還元剤として作用し得る金属(具体的には2価のスズイオン)が被処理面に付着する。そして、感受性化された被処理面に対して活性化処理(activation)即ち被処理面に触媒として機能し得る金属を吸着させる処理を行う。例えば、塩化パラジウムの酸性溶液中に被処理物を浸漬する。これにより、溶液中のパラジウムイオンは還元剤である金属(スズイオン)によって還元され、活性なパラジウム触媒核として被処理面に付着する。その後、一連の無電解めっき液に逐次浸漬していくことにより、ニッケル等から成る膜状の導体(金属)層(以下、無電解めっき処理により形成される層(膜)を「めっき層」と総称する。)が被処理面上に形成される。
従来の一般的な無電解めっき方法は、先ず、非導電性基材の被処理面(めっきを施したい面をいう。以下同じ。)を種々のエッチング手段によって粗面化及び/又は親水化し、次いで、感受性化処理(sensitization)を行う。典型的には、塩化第一スズの酸性溶液中に被処理物を浸漬する。これにより、被処理面が感受性化される。即ち、還元剤として作用し得る金属(具体的には2価のスズイオン)が被処理面に付着する。そして、感受性化された被処理面に対して活性化処理(activation)即ち被処理面に触媒として機能し得る金属を吸着させる処理を行う。例えば、塩化パラジウムの酸性溶液中に被処理物を浸漬する。これにより、溶液中のパラジウムイオンは還元剤である金属(スズイオン)によって還元され、活性なパラジウム触媒核として被処理面に付着する。その後、一連の無電解めっき液に逐次浸漬していくことにより、ニッケル等から成る膜状の導体(金属)層(以下、無電解めっき処理により形成される層(膜)を「めっき層」と総称する。)が被処理面上に形成される。
ところで、非導電性基材に無電解めっきを施す際の問題点の一つは、めっき層の基材に対する密着性が比較的低いことである。このため、従来、無電解めっき方法により形成されるめっき層の基材に対する密着性を向上させるべく、種々の創意工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、触媒として機能するパラジウム等の貴金属の化合物及び樹脂浸透性を有する化合物を含有する液体を樹脂成形体(基材)表面に塗布し、次いで常圧で励起するガスプラズマを用いて常圧で当該表面をプラズマ処理することを特徴とする無電解めっき方法が記載されている。また、特許文献2には、ガラス基板にニッケル−リン(NiP)めっき層を形成する無電解めっき方法として、感受性化処理及び活性化処理を行った後、60℃以上且つ70℃未満の温度で無電解めっき処理(めっき浴)を行うことを特徴とする方法が記載されている。しかしながら、これら文献に記載の方法は、操作が煩雑であったり或いはめっき対象が限定的であり、より簡易に密着性のよいめっき層が得られる無電解めっき方法が望まれている。
また、特許文献3には、樹脂材料(基材)の素地表面に対して波長350nm以下の遠紫外線を照射することによって、樹脂材料の表面を改質することを特徴とする無電解めっき方法が記載されている。しかしながら、かかる紫外線照射によるエッチング方法(基材表面改質方法)では、めっき層の十分な密着性を得ることが困難であった。
例えば、特許文献1には、触媒として機能するパラジウム等の貴金属の化合物及び樹脂浸透性を有する化合物を含有する液体を樹脂成形体(基材)表面に塗布し、次いで常圧で励起するガスプラズマを用いて常圧で当該表面をプラズマ処理することを特徴とする無電解めっき方法が記載されている。また、特許文献2には、ガラス基板にニッケル−リン(NiP)めっき層を形成する無電解めっき方法として、感受性化処理及び活性化処理を行った後、60℃以上且つ70℃未満の温度で無電解めっき処理(めっき浴)を行うことを特徴とする方法が記載されている。しかしながら、これら文献に記載の方法は、操作が煩雑であったり或いはめっき対象が限定的であり、より簡易に密着性のよいめっき層が得られる無電解めっき方法が望まれている。
また、特許文献3には、樹脂材料(基材)の素地表面に対して波長350nm以下の遠紫外線を照射することによって、樹脂材料の表面を改質することを特徴とする無電解めっき方法が記載されている。しかしながら、かかる紫外線照射によるエッチング方法(基材表面改質方法)では、めっき層の十分な密着性を得ることが困難であった。
そこで本発明は、かかる従来の課題を解決すべく開発されたものであり、種々の基材(典型的には非導電性基材)上に密着性に優れた所望のめっき層を形成し得る無電解めっき方法を提供することを目的とする。また、その方法を利用してめっき層が形成された基板、チップその他の構造物を提供することを他の目的とする。
本発明により提供される無電解めっき方法の一つは、基材の被処理面に、(1).該被処理面を感受性化及び/又は活性化し得る金属を付着させる工程と、(2).酸素含有雰囲気中において、前記金属が吸着した被処理面に紫外光を照射する工程と、(3).前記被処理面にめっき層を形成する工程とを包含する。
本明細書において「基材の被処理面を感受性化し得る金属」とは、無電解めっきの技術分野におけるいわゆる「感受性化(センシタイゼーション):即ち基材表面に還元剤を付着させること」に適する金属(イオンその他金属単体で存在する場合および該金属を構成要素とする化合物として存在する場合を含む。以下同じ。)をいう。従って、いわゆるセンシタイザー−アクチベータ法において用いられるスズ(Sn)は当該金属に包含される典型例である。
また、本明細書において「基材の被処理面を活性化し得る金属」とは、無電解めっきの技術分野におけるいわゆる「活性化(アクチべーション):即ち基材表面に触媒を付着させること」に適する金属(イオンその他金属単体で存在する場合および該金属を構成要素とする化合物として存在する場合を含む。以下同じ。)をいう。従って、いわゆるセンシタイザー−アクチベータ法において用いられるパラジウム(Pd)は当該金属に包含される典型例である。
本明細書において「基材の被処理面を感受性化し得る金属」とは、無電解めっきの技術分野におけるいわゆる「感受性化(センシタイゼーション):即ち基材表面に還元剤を付着させること」に適する金属(イオンその他金属単体で存在する場合および該金属を構成要素とする化合物として存在する場合を含む。以下同じ。)をいう。従って、いわゆるセンシタイザー−アクチベータ法において用いられるスズ(Sn)は当該金属に包含される典型例である。
また、本明細書において「基材の被処理面を活性化し得る金属」とは、無電解めっきの技術分野におけるいわゆる「活性化(アクチべーション):即ち基材表面に触媒を付着させること」に適する金属(イオンその他金属単体で存在する場合および該金属を構成要素とする化合物として存在する場合を含む。以下同じ。)をいう。従って、いわゆるセンシタイザー−アクチベータ法において用いられるパラジウム(Pd)は当該金属に包含される典型例である。
本構成の無電解めっき方法では、先ず、基材(例えばポリマー基材)の被処理面に感受性化のための金属(以下「感受性化剤」ともいう。)及び/又は活性化のための金属(以下「金属触媒」ともいう。)を付与し、その後に酸素含有雰囲気中において紫外線を照射することを特徴とする。かかる紫外光照射によって基材被処理面において光化学反応(典型的には光酸化反応)を誘起し得、これによって基材被処理面の改質(例えば表面の不動態の破壊等による化学的反応性の向上)に加え、さらに当該被処理面に付着する感受性化剤(例えばSn)及び/又は金属触媒(例えばPd)と基材表面との密着性を向上させることができる。典型的には化学結合の形成により、基材(典型的にはポリマー基材)と異種物質(例えば感受性化剤として基材表面に付与されたSn等の金属又は金属酸化物)との間(界面)の密着性を高度に向上させることができる。
ここで開示される無電解めっき方法によると、特にポリマー基材その他非導電性基材の表面に高い密着力を有するめっき層(被膜)を形成することができる。
従って、本発明は、他の側面として、ここで開示されるいずれかの態様の無電解めっき方法により基材(典型的にはポリマー基材等の非導電性基材)上に形成された密着性の高いめっき層を有する基板、チップその他の構造物を提供する。
ここで開示される無電解めっき方法によると、特にポリマー基材その他非導電性基材の表面に高い密着力を有するめっき層(被膜)を形成することができる。
従って、本発明は、他の側面として、ここで開示されるいずれかの態様の無電解めっき方法により基材(典型的にはポリマー基材等の非導電性基材)上に形成された密着性の高いめっき層を有する基板、チップその他の構造物を提供する。
好ましくは、前記紫外光照射工程において波長200nm以下のいわゆる真空紫外光を照射する。
これにより、酸素含有雰囲気(典型的には大気)中において、本発明の目的を実現するのに好適な高い効力の光化学反応(典型的には光酸化反応)を誘起させることができる。
これにより、酸素含有雰囲気(典型的には大気)中において、本発明の目的を実現するのに好適な高い効力の光化学反応(典型的には光酸化反応)を誘起させることができる。
また、好ましくは、前記被処理面を感受性化し得る金属即ち感受性化剤(還元剤)がスズである。
紫外光(好適には真空紫外光)を基材表面に付着したスズ(典型的にはSn2+)に照射することにより、その光化学反応によって当該スズ(典型的にはスズ含有酸化物)を基材表面に強固に結合することが可能である。
紫外光(好適には真空紫外光)を基材表面に付着したスズ(典型的にはSn2+)に照射することにより、その光化学反応によって当該スズ(典型的にはスズ含有酸化物)を基材表面に強固に結合することが可能である。
また、好ましくは、前記紫外光が照射された被処理面に触媒として機能し得る金属をさらに付与する工程を含む。
本明細書において「触媒として機能し得る金属(即ち基材の被処理面を活性化し得る金属)」とは、無電解めっき処理において種々の金属を被処理面に析出させ得る金属(金属単体で存在する場合および該金属を構成要素とする化合物として存在する場合を含む。以下同じ。)をいう。パラジウム、白金等の白金属その他貴金属に属する金属はここでいう触媒の典型例である。
本明細書において「触媒として機能し得る金属(即ち基材の被処理面を活性化し得る金属)」とは、無電解めっき処理において種々の金属を被処理面に析出させ得る金属(金属単体で存在する場合および該金属を構成要素とする化合物として存在する場合を含む。以下同じ。)をいう。パラジウム、白金等の白金属その他貴金属に属する金属はここでいう触媒の典型例である。
ここで開示される無電解めっき方法として好適な一態様は、基材上に所定のパターンでめっき層を形成する方法である。即ち、本方法は、前記紫外光照射工程において前記被処理面を感受性化及び/又は活性化し得る金属が付着した被処理面に所定のパターンで紫外光を照射するとともに、前記パターン部分以外の紫外光非照射部分に付着する該金属を被処理面から除去する。そして、前記パターン部分に選択的にめっき層を形成することを特徴とする。好ましくは、前記所定のパターンに対応する紫外光透過部が設けられたフォトマスクを介して、前記被処理面に該パターンで紫外光を照射する。
本明細書において「パターン」とは、紫外光(好ましくは真空紫外光)の照射によって被処理面に形成される任意の形態(形状及び/又は模様)の処理された部分をいう。ここで処理された部分とは紫外光照射前と物理的及び/又は化学的に異なった部分をいう。
本明細書において「パターン」とは、紫外光(好ましくは真空紫外光)の照射によって被処理面に形成される任意の形態(形状及び/又は模様)の処理された部分をいう。ここで処理された部分とは紫外光照射前と物理的及び/又は化学的に異なった部分をいう。
この方法によると、基材上の所望する部分に所望するパターンで選択的に高密着性のめっき層を形成することができる。このため、例えば、ポリマー基板の表面に、マイクロパターン化前処理を行うことなく高密着性めっきパターンを形成して成る微細な電子部品等を提供することができる。
従って、本発明は、他の側面において、ここで開示されるいずれかの態様の無電解めっき方法により基材(典型的にはポリマー基材等の非導電性基材)上に形成された所定のパターンの密着性の高いめっき層を有する基板、マイクロチップその他の構造物を提供し得る。
従って、本発明は、他の側面において、ここで開示されるいずれかの態様の無電解めっき方法により基材(典型的にはポリマー基材等の非導電性基材)上に形成された所定のパターンの密着性の高いめっき層を有する基板、マイクロチップその他の構造物を提供し得る。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば紫外光の照射条件)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば無電解めっき処理に使用される各種薬剤の調製方法)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の無電解めっき方法に用いられる基材としては、紫外光(UV)、好ましくは真空紫外光(VUV)の照射によって該基材の紫外光照射面が活性化又は改質し得るものであれば特に制限なく用いることができる。ポリマー基材その他の非導電性基材がめっき対象物として好ましい。
なお、本明細書において「非導電性基材」とは、少なくとも無電解めっきを施す部分(被処理面)が実質的に導電性を有しない基材をいい、特定の材質に限定されない。ポリイミド樹脂等のプラスチック製基材(ポリマー基材)がその典型例である。また、ガラス基材その他の非導電性セラミック基材もここでいう非導電性基材に包含される基材であり得る。
例えば、ポリマーから成る基材(樹脂製基材)としては、種々の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から成る基板が用いられ得る。例えば、ポリアミド、アラミド(芳香族ポリアミド)、ポリイミド、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂が好適な材料として挙げられる。
また、ポリマー以外にも各種の半導体、磁性体等から成る基材が好適に使用し得る。例えば、セラミック(シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等を構成元素とする金属酸化物、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の非酸化物セラミックを包含する。)等から成る基材やガラス(シリカガラス等)製基材が使用し得る。
なお、本明細書において「非導電性基材」とは、少なくとも無電解めっきを施す部分(被処理面)が実質的に導電性を有しない基材をいい、特定の材質に限定されない。ポリイミド樹脂等のプラスチック製基材(ポリマー基材)がその典型例である。また、ガラス基材その他の非導電性セラミック基材もここでいう非導電性基材に包含される基材であり得る。
例えば、ポリマーから成る基材(樹脂製基材)としては、種々の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から成る基板が用いられ得る。例えば、ポリアミド、アラミド(芳香族ポリアミド)、ポリイミド、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂が好適な材料として挙げられる。
また、ポリマー以外にも各種の半導体、磁性体等から成る基材が好適に使用し得る。例えば、セラミック(シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等を構成元素とする金属酸化物、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の非酸化物セラミックを包含する。)等から成る基材やガラス(シリカガラス等)製基材が使用し得る。
次に、図1を参照しつつ本発明の無電解めっき方法の好適な実施形態について説明する。本実施形態では、典型的なポリマー基材としてポリイミド製の基板10上に所定のめっき層を形成する場合について説明するが、材料をこれに限定することを意図したものではない。
ここで開示される方法においても、従来の無電解めっき方法と同様、ポリマー基板10の被処理面10Aに後述するような感受性化処理を施す前に、種々のエッチング処理を行うことができる。例えば、被処理面を種々の界面活性剤やアルカリ溶液により洗浄又は脱脂した後、基材の材質に応じて過マンガン酸塩、クロム酸、フッ化水素酸等を適宜用いて化学的に被処理面をエッチングすることができる。或いは、適当なガスを被処理面に供給しつつグロー放電を発生させるいわゆるプラズマ処理を行うことによって、物理的に被処理面をエッチングすることができる。例えば、かかるプラズマ処理によって被処理面の親水性を向上させることができる。
ここで開示される方法においても、従来の無電解めっき方法と同様、ポリマー基板10の被処理面10Aに後述するような感受性化処理を施す前に、種々のエッチング処理を行うことができる。例えば、被処理面を種々の界面活性剤やアルカリ溶液により洗浄又は脱脂した後、基材の材質に応じて過マンガン酸塩、クロム酸、フッ化水素酸等を適宜用いて化学的に被処理面をエッチングすることができる。或いは、適当なガスを被処理面に供給しつつグロー放電を発生させるいわゆるプラズマ処理を行うことによって、物理的に被処理面をエッチングすることができる。例えば、かかるプラズマ処理によって被処理面の親水性を向上させることができる。
次いで、感受性化処理を行う。具体的には、還元剤として機能する金属又は該金属の化合物を被処理面に付着させる。特に限定しないが、この種の金属として好適なものに、スズ(Sn)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)が挙げられ、典型的にはこれら金属から成る2価の金属イオンを吸着させる。例えば、適当な濃度(例えば0.01〜0.1g/L)の塩化第一スズ水溶液を用意し、該水溶液に基板10の被処理面10Aを常温で所定時間(例えば1〜60分)浸漬する。これにより、図1(2)に示すように、Sn2+イオン(即ち該イオンを含む酸化第一スズ)12が被処理面に付着し、当該表面を感受性化することができる。
次いで、図1(3)に示すように、本発明の無電解めっき方法では酸素含有雰囲気(典型的には大気)中に配置した基板10の感受性化された被処理面に対して紫外光を照射する。使用する光源は特に限定されない。種々の波長の紫外光を照射し得るランプ或いはレーザーを使用することができる。好適なUV光源としては、低圧水銀ランプ、エキシマランプ、バリア放電ランプ、マイクロ波無電極放電ランプ、過渡放電ランプ等のUVランプ類、或いは、エキシマレーザー等のレーザー類を用いることができる。波長が概ね200nm又はそれ以下のいわゆる真空紫外光を照射し得る光源が好ましい。この種の光源として、例えば、重水素ランプ、キセノンランプ、KrFレーザー、ArFレーザー、F2レーザーが挙げられる。
而して、上記感受性化処理後のポリマー基板10を乾燥後、大気中に配置して真空紫外光を照射する。そして、真空紫外光照射により生じた原子状酸素等のラジカルによる光化学反応(典型的には光酸化反応)によって、感受性化された基材表面及び感受性化剤(ここではSn2+を構成要素とする酸化スズ)の活性化や改質を行うことができる。特に作用機作を限定するものではないが、典型的には該光酸化反応によって、感受性化剤として被処理面に存在する金属を酸化することができる。例えば2価の金属イオン(Sn2+等)がより高いイオン価の金属イオン(Sn4+等)に変換され得る。これにより、図1(4)に示すように、酸化された感受性化剤(ここではSn4+を有する酸化第二スズ)14と基板10との強固な結合を実現することができる。
なお、紫外光照射の具体的態様は、基材の形状、めっき処理に要する感受性化剤の内容、目的とするめっき層の規模、等に応じて適宜異なり得るので、特に限定されない。真空紫外光を利用する場合には雰囲気ガスによる減衰を防止するべく、好ましくは例えば特開2001−324816号公報に記載されるような、基材の被処理面周囲に至るまでの光学系(即ち真空紫外光の光路)を真空もしくは不活性雰囲気(実質的に酸素を含まないガス雰囲気、例えば窒素ガス若しくはAr、Heのような希ガス)中に構成するとよい。これにより真空紫外光の減衰を抑止し得、光化学反応を起こすのに十分な高エネルギーの紫外光を基材の被処理面に照射することができる。特に限定しないが、例えば、感受性化剤としてスズが付着したポリイミド樹脂等のポリマーから成る基板を使用する場合、出力10mWcm−2の仕事密度から生じる真空紫外光(例えば光源がエキシマランプ)によって1〜20分程度の照射が好ましい。
なお、紫外光照射の具体的態様は、基材の形状、めっき処理に要する感受性化剤の内容、目的とするめっき層の規模、等に応じて適宜異なり得るので、特に限定されない。真空紫外光を利用する場合には雰囲気ガスによる減衰を防止するべく、好ましくは例えば特開2001−324816号公報に記載されるような、基材の被処理面周囲に至るまでの光学系(即ち真空紫外光の光路)を真空もしくは不活性雰囲気(実質的に酸素を含まないガス雰囲気、例えば窒素ガス若しくはAr、Heのような希ガス)中に構成するとよい。これにより真空紫外光の減衰を抑止し得、光化学反応を起こすのに十分な高エネルギーの紫外光を基材の被処理面に照射することができる。特に限定しないが、例えば、感受性化剤としてスズが付着したポリイミド樹脂等のポリマーから成る基板を使用する場合、出力10mWcm−2の仕事密度から生じる真空紫外光(例えば光源がエキシマランプ)によって1〜20分程度の照射が好ましい。
紫外光の照射後、感受性化剤自体が活性化剤(即ち金属触媒)として機能し得ない場合には、好ましくは、触媒(活性化剤)として機能する金属を付与する処理(即ち活性化処理)を行う。かかる活性化処理は、従来の無電解めっきにおいて実施される手法と同様でよく、特に制限はない。典型的には、図1(5)に示すように、パラジウム、白金等の白金族に属する金属、金、銀のような貴金属を含有する酸性水溶液(例えば塩化パラジウムを含む塩酸水溶液)に適当な時間(例えば室温〜50℃で1〜10分)浸漬することによって、金属触媒(ここではPd)16を被処理面(典型的には感受性化された部分)に析出させる。また、必要に応じて触媒の活性促進化処理、典型的には析出させた貴金属触媒を0.1〜1mol/L程度の薄い硫酸、塩酸等の酸に適当な時間(例えば室温〜50℃で1〜10分)浸漬してより活性化させる処理を行ってもよい。
次いで、無電解めっき処理を施して、図1(6)に示すように、被処理面10A(典型的には触媒16が付与された部分)上に所望するめっき層18を形成する。めっきの組成は特に限定されず、無電解めっき可能ないずれの金属種であってもよい。例えば、ニッケル、銅、金、銀、スズ、亜鉛、鉄、コバルト、クロム、白金その他白金族元素が挙げられる。なお、めっき層は一層に限られず二層以上形成してもよい。例えば、先ず無電解めっき処理によりニッケル層(下地めっき層)を形成し、その後、無電解めっき処理或いは電気めっき処理により別のめっき層(例えば金めっき層)を積層してもよい。
本発明の実施において、めっき層形成処理は従来の無電解めっき処理と同様でよく、特別な操作を必要としない。即ち、めっきの組成に応じて適宜選択される種々のめっき液に基材を順次浸漬させていくことによってめっき層を形成することができる。例えば、ニッケルめっきを行う場合には、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル等を純水とともに使用するとよい。また、めっき液に添加する還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、ホウ水素化ナトリウム、ヒドラジン、ホルムアルデヒド等が例示される。
以上、図1を参照しつつ説明した好適な無電解めっき方法によって、高い密着力で基板10に密着しためっき層18を形成することができるが、本発明は、この形態に限られず、種々の態様で実施することができる。
例えば、上述のプロセスは、いわゆるセンシタイザー−アクチベータ法(典型的には、Sn2+を含む溶液(例えば塩化第一スズ水溶液)に基板を浸漬後、Pd2+を含む溶液(例えば塩化パラジウム水溶液)に基板を浸漬して無電解めっき反応を促進させる方法。)に基づいているが、これに限定されない。例えば、従来より無電解めっき法において一般的に用いられているいわゆるキャタライザー−アクセラレータ法(典型的には、Sn2+とPd2+とが混合するように調製されたスズ・パラジウム合金コロイド粒子含有溶液に基板を浸漬し、次に塩酸溶液(アクセラレータ液)に基板を浸漬して無電解めっき反応を促進させる方法。)に基づいてもよい。
例えば、上述のプロセスは、いわゆるセンシタイザー−アクチベータ法(典型的には、Sn2+を含む溶液(例えば塩化第一スズ水溶液)に基板を浸漬後、Pd2+を含む溶液(例えば塩化パラジウム水溶液)に基板を浸漬して無電解めっき反応を促進させる方法。)に基づいているが、これに限定されない。例えば、従来より無電解めっき法において一般的に用いられているいわゆるキャタライザー−アクセラレータ法(典型的には、Sn2+とPd2+とが混合するように調製されたスズ・パラジウム合金コロイド粒子含有溶液に基板を浸漬し、次に塩酸溶液(アクセラレータ液)に基板を浸漬して無電解めっき反応を促進させる方法。)に基づいてもよい。
次に、図2を参照しつつ本発明の無電解めっき方法の好適な他の実施形態について説明する。本実施形態は、典型的なポリマー基材としてポリイミド製の基板10上に所定のパターンでめっき層(例えば所定のパターンの微細な導体ライン)を形成する場合について説明する。なお、図1に示す形態の方法と同様の処理については重複した説明は省略する。
先ず、図2の(1)及び(2)に示すように、上記実施形態と同様に基板10の被処理面10Aに対して感受性化処理を行う。ここでは、図1(2)に示した場合と同様、Sn2+イオン(即ち該イオンを含む酸化第一スズ)12を被処理面10Aに付着させることによって当該表面を感受性化する。
先ず、図2の(1)及び(2)に示すように、上記実施形態と同様に基板10の被処理面10Aに対して感受性化処理を行う。ここでは、図1(2)に示した場合と同様、Sn2+イオン(即ち該イオンを含む酸化第一スズ)12を被処理面10Aに付着させることによって当該表面を感受性化する。
次いで、本実施形態においては図2(3)に示すように、フォトマスク20を図示しない光源と基板10との間に配置し、酸素含有雰囲気中に配置した基板10の被処理面に該フォトマスク20を介して紫外光を照射する。このことによって、基板10の被処理面に所定のパターンで紫外光を照射することができる。即ち、フォトマスク20は真空紫外光が透過可能な基材(例えばフッ化カルシウム製マスクブランク)22と紫外光が透過し得ない遮光部(クロム形成部分)21とから構成されている。かかる遮光部21の形成部分と非形成部分(透光部分)とにより所定のパターンがフォトマスク20上に形成される。従って、図示されるように、かかるフォトマスク20の上面に紫外光を投射することにより、その下方に配置された基板10の被処理面を当該マスク20に形成されたパターン(透光部分)通りに照射することができる。なお、フォトマスク20の製造それ自体は従来公知の方法でよく、本発明を特徴付けるものではないため詳細な説明は省略する。
上記フォトマスク20を介した紫外光の照射によって、図2(4)に示すように、所定のパターンで紫外光が照射された部分のみが光化学反応によって上述のように改質される。ここでは典型的には酸化第一スズ12が酸化第二スズ14へと酸化され、これによって基板10と感受性化剤14との強固な結合を実現することができる。
次いで、図2(5)に示すように、適当な洗浄処理を施すことによって紫外光非照射部分に付着している感受性化剤(ここでは酸化第一スズ)12を除去する。かかる洗浄処理としては、紫外光非照射部分に付着している感受性化剤12(即ち基板10に強固に付着していない感受性化剤12)を基板10の被処理面10Aから選択的に除去し得る手段であれば特に制限はない。例えば、基板10(被処理面)を純水等に浸漬するとともに、適当な強度の超音波洗浄を行うことによってかかる除去を行うことができる。
次いで、図2(5)に示すように、適当な洗浄処理を施すことによって紫外光非照射部分に付着している感受性化剤(ここでは酸化第一スズ)12を除去する。かかる洗浄処理としては、紫外光非照射部分に付着している感受性化剤12(即ち基板10に強固に付着していない感受性化剤12)を基板10の被処理面10Aから選択的に除去し得る手段であれば特に制限はない。例えば、基板10(被処理面)を純水等に浸漬するとともに、適当な強度の超音波洗浄を行うことによってかかる除去を行うことができる。
その後、上記活性化処理を行い、図2(6)に示すように、感受性化剤14が残留する部分(所定のパターンに対応した紫外光照射部分)に金属触媒(ここではPd)16を析出させる。次いで、適当な無電解めっき処理を施すことにより、図2(7)に示すように、被処理面10A(典型的には触媒16が付与された部分)上に所定のパターンでめっき層18を形成することができる。
なお、本発明の無電解めっき方法におけるパターニングは、図2に示すようなフォトマスク20を利用する形態に限定されない。例えば、光源として紫外光を発射するレーザー装置を使用し、該レーザー装置から発射される紫外光の基材上における照射スポット位置を適宜移動させてもよい。例えば、レーザー装置自体の移動や基材を配置したステージ装置のXY方向への移動によっても本発明における所定のパターンでの紫外光照射を実現することができる。
なお、本発明の無電解めっき方法におけるパターニングは、図2に示すようなフォトマスク20を利用する形態に限定されない。例えば、光源として紫外光を発射するレーザー装置を使用し、該レーザー装置から発射される紫外光の基材上における照射スポット位置を適宜移動させてもよい。例えば、レーザー装置自体の移動や基材を配置したステージ装置のXY方向への移動によっても本発明における所定のパターンでの紫外光照射を実現することができる。
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1>
40mm×40mm×2mmのポリマー基板(ポリイミド製シート)を用意した。この基板を市販の活性化溶液(商品名Activator for Plating,P−1、日本高純度化学(株)製品)50mL(25℃)を入れた反応槽に10分間浸漬した。これにより、基材表面に酸化第一スズを付着させた状態とした。浸漬終了後、基板に窒素ガスを吹き付けることによって該基板を乾燥した。
次いで、大気中、エキシマランプ(ウシオ電気株式会社製品、型式UER20−172V、波長λ=172で出力10mWcm−2の仕事密度)を用いて、基板の表面(被処理面)に真空紫外線光を約10分間照射した。なお、本実施例では、ランプから基材までの空気中における距離は10mmとした。これにより、ポリマー基板表面に付着する酸化第一スズを酸化して酸化第二スズに改質した。紫外光の照射を終了した後、超純水で基板を洗浄した。
40mm×40mm×2mmのポリマー基板(ポリイミド製シート)を用意した。この基板を市販の活性化溶液(商品名Activator for Plating,P−1、日本高純度化学(株)製品)50mL(25℃)を入れた反応槽に10分間浸漬した。これにより、基材表面に酸化第一スズを付着させた状態とした。浸漬終了後、基板に窒素ガスを吹き付けることによって該基板を乾燥した。
次いで、大気中、エキシマランプ(ウシオ電気株式会社製品、型式UER20−172V、波長λ=172で出力10mWcm−2の仕事密度)を用いて、基板の表面(被処理面)に真空紫外線光を約10分間照射した。なお、本実施例では、ランプから基材までの空気中における距離は10mmとした。これにより、ポリマー基板表面に付着する酸化第一スズを酸化して酸化第二スズに改質した。紫外光の照射を終了した後、超純水で基板を洗浄した。
次いで、以下のように浸漬及び洗浄工程を順に行うことにより、ポリマー基板の表面にNiめっき層を形成した。市販の反応促進溶液(商品名Stabilizer for Plating(反応促進)剤、日本高純度化学(株)製品)50mL、Ni無電解めっき液(商品名Ni−701AL、Ni−P(P5%含有)、日本高純度化学(株)製品)50mL、及び超純水各50mLずつを入れためっき用槽をそれぞれ用意した。
まず、反応促進溶液を入れためっき用槽中に25℃で1分間浸漬した。次いで、基板をこの溶液から取り出し、第一の超純水槽中に浸漬して洗浄した。洗浄液から取り出した基板を次にNi無電解めっき液を入れためっき用槽中に浸漬し、80℃で2分間処理した。これを取り出し、第二の超純水槽中に浸漬するとともに、超音波洗浄を5分間行った。
以上の工程によって、ニッケルめっき層を基板表面に形成した(図1(6)参照)。
まず、反応促進溶液を入れためっき用槽中に25℃で1分間浸漬した。次いで、基板をこの溶液から取り出し、第一の超純水槽中に浸漬して洗浄した。洗浄液から取り出した基板を次にNi無電解めっき液を入れためっき用槽中に浸漬し、80℃で2分間処理した。これを取り出し、第二の超純水槽中に浸漬するとともに、超音波洗浄を5分間行った。
以上の工程によって、ニッケルめっき層を基板表面に形成した(図1(6)参照)。
このようにして得られためっき層の表面(10mm×10mm)に室温環境下で市販のセロハン粘着テープを貼り付けそれを剥がすことを6回繰り返し、めっき層の密着性を試験した。その結果、光学顕微鏡及び外観(視認)上、マクロなレベルでの剥離は認められなかった。
<実施例2>
40mm×40mm×2mmのポリマー基板(ポリイミド製シート)を用意した。この基板を市販の活性化溶液(商品名Activator for Plating,P−1、日本高純度化学(株)製品)50mL(25℃)を入れた反応槽に10分間浸漬した。これにより、基材表面に酸化第一スズを付着させた状態とした。浸漬終了後、基板に窒素ガスを吹き付けることによって該基板を乾燥した。
次いで、フォトマスクを用いて所定のパターンで紫外光を基板表面に照射した。即ち、実施例1と使用したのと同じエキシマランプ光を所定のパターンで光透過部が形成されたフォトマスク越しに照射し、そのパターンに従ってフォトマスクを透過した波長172nmの真空紫外光によってポリマー基板表面に付着する酸化第一スズを酸化して酸化第二スズに改質した。紫外光照射終了後、超音波を付与しつつ超純水で基板を洗浄した。この超音波洗浄処理によって真空紫外光が照射されなかった部分の感受性化剤(塩化第一スズ)を除去した。
その後、実施例1と同様の処理を行い、紫外光照射領域に対応する部分(即ちパターン部分)に選択的にニッケルが析出して成るめっき層(導体パターン)を形成した。その表面の一部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。写真中の薄い畦状部分がめっき層形成部分であり、その他のいくつかの相互に離隔した濃い部分がポリマー基板の非めっき部分を示している。
また、基板表面の組成分析を一般的なエネルギー分散型X線分析方法(FE−SEM−EDS)に基づいて行った。結果を図4に示す。図4(2)に示すように、めっき層部分に選択的にニッケル元素が存在することが確認された。これにより、本実施例に係る方法によって所望するパターンで基板表面にめっき層が形成し得ることが確認された。
また、実施例1と同様のセロハン粘着テープによる密着性試験を行った結果、本実施例で作製しためっき層においても、光学顕微鏡及び外観(視認)上のマクロなレベルでの剥離は認められなかった。
40mm×40mm×2mmのポリマー基板(ポリイミド製シート)を用意した。この基板を市販の活性化溶液(商品名Activator for Plating,P−1、日本高純度化学(株)製品)50mL(25℃)を入れた反応槽に10分間浸漬した。これにより、基材表面に酸化第一スズを付着させた状態とした。浸漬終了後、基板に窒素ガスを吹き付けることによって該基板を乾燥した。
次いで、フォトマスクを用いて所定のパターンで紫外光を基板表面に照射した。即ち、実施例1と使用したのと同じエキシマランプ光を所定のパターンで光透過部が形成されたフォトマスク越しに照射し、そのパターンに従ってフォトマスクを透過した波長172nmの真空紫外光によってポリマー基板表面に付着する酸化第一スズを酸化して酸化第二スズに改質した。紫外光照射終了後、超音波を付与しつつ超純水で基板を洗浄した。この超音波洗浄処理によって真空紫外光が照射されなかった部分の感受性化剤(塩化第一スズ)を除去した。
その後、実施例1と同様の処理を行い、紫外光照射領域に対応する部分(即ちパターン部分)に選択的にニッケルが析出して成るめっき層(導体パターン)を形成した。その表面の一部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。写真中の薄い畦状部分がめっき層形成部分であり、その他のいくつかの相互に離隔した濃い部分がポリマー基板の非めっき部分を示している。
また、基板表面の組成分析を一般的なエネルギー分散型X線分析方法(FE−SEM−EDS)に基づいて行った。結果を図4に示す。図4(2)に示すように、めっき層部分に選択的にニッケル元素が存在することが確認された。これにより、本実施例に係る方法によって所望するパターンで基板表面にめっき層が形成し得ることが確認された。
また、実施例1と同様のセロハン粘着テープによる密着性試験を行った結果、本実施例で作製しためっき層においても、光学顕微鏡及び外観(視認)上のマクロなレベルでの剥離は認められなかった。
以上、本発明の好適な実施態様を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した態様を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
本発明の無電解めっき方法によると、高密着性無電解めっきを行うことができる。従って、高い密着性が要求されるめっき層を形成する用途に好適に適用され得る。
また、本発明の無電解めっき方法によると、上述のフォトマスクを介した手法等により、所定のパターンで紫外光を基材の表面(被処理面)に照射し、当該パターンに対応するめっき層(例えば導体パターン)を作製することができる。このため、本発明は、所定のパターン(好ましくは微細なパターン)のめっき層(導体層)を有する構造物の製造分野において利用することができる。例えば、高密度実装用プリント配線基板その他の電子機器製造分野、マイクロ化学/生化学分析チップ等の製造分野、分析化学装置又は医療用診断装置の製造分野、或いはマイクロマシン等の微小機械部品の製造分野において本発明の無電解めっき方法を好適に利用することができる。
また、本発明の無電解めっき方法によると、上述のフォトマスクを介した手法等により、所定のパターンで紫外光を基材の表面(被処理面)に照射し、当該パターンに対応するめっき層(例えば導体パターン)を作製することができる。このため、本発明は、所定のパターン(好ましくは微細なパターン)のめっき層(導体層)を有する構造物の製造分野において利用することができる。例えば、高密度実装用プリント配線基板その他の電子機器製造分野、マイクロ化学/生化学分析チップ等の製造分野、分析化学装置又は医療用診断装置の製造分野、或いはマイクロマシン等の微小機械部品の製造分野において本発明の無電解めっき方法を好適に利用することができる。
10…基板
12…感受性化剤(塩化第一スズ)
14…感受性化剤(塩化第二スズ)
16…金属触媒(パラジウム)
18…めっき層
20…フォトマスク
28…めっき層(導体パターン)
12…感受性化剤(塩化第一スズ)
14…感受性化剤(塩化第二スズ)
16…金属触媒(パラジウム)
18…めっき層
20…フォトマスク
28…めっき層(導体パターン)
Claims (7)
- 基材の被処理面にめっき層を形成する無電解めっき方法であって、
該基材の被処理面に、該被処理面を感受性化及び/又は活性化し得る金属を付着させる工程と、
酸素含有雰囲気中において、前記金属が付着した被処理面に紫外光を照射する工程と、
前記被処理面にめっき層を形成する工程と、
を包含する無電解めっき方法。 - 前記紫外光照射工程において、波長200nm以下の真空紫外光を照射する、請求項1に記載の方法。
- 前記金属がスズである、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記紫外光が照射された被処理面に触媒として機能し得る金属をさらに付与する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記紫外光照射工程において前記被処理面を感受性化及び/又は活性化し得る金属が付着した被処理面に所定のパターンで紫外光を照射するとともに、前記パターン部分以外の紫外光非照射部分に付着する該金属を被処理面から除去することによって、前記パターン部分に選択的にめっき層を形成する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記所定のパターンに対応する紫外光透過部が設けられたフォトマスクを介して、前記被処理面に該パターンで紫外光を照射する、請求項5に記載の方法。
- 基材と、該基材上に形成された所定のパターンのめっき層とを有する構造物であって、
前記めっき層が請求項5に記載の無電解めっき方法により得られためっき層であることを特徴とする構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004097102A JP2005281766A (ja) | 2004-03-29 | 2004-03-29 | 無電解めっき方法とその利用 |
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KR100610749B1 (ko) | 2004-09-15 | 2006-08-08 | 얼라이드 인터그레이티드 패터닝 코포레이션 | 크롬 포토 마스크의 제조 방법 |
KR101377273B1 (ko) * | 2011-11-17 | 2014-03-26 | 한국기계연구원 | 레이저를 이용한 연성 회로 기판의 제조 시스템 및 그 제조 방법 |
JP5830596B1 (ja) * | 2014-12-25 | 2015-12-09 | キヤノン・コンポーネンツ株式会社 | めっき皮膜付樹脂製品並びに樹脂製品及びめっき皮膜付樹脂製品の製造方法 |
-
2004
- 2004-03-29 JP JP2004097102A patent/JP2005281766A/ja not_active Withdrawn
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