JP2005281501A - 光学材料用接着剤組成物 - Google Patents

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智三 長澤
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Abstract

【課題】本発明は、耐湿熱性に優れ、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れ、さらに硬化物が高い透明性を有する光学材料用接着剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、炭素−炭素二重結合を有する基を1分子あたり少なくとも2個有する重合体と、(B)1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する化合物と、(C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物と、(D)ヒドロシリル化触媒とを特定の割合で含有する光学材料用接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料用接着剤組成物に関する。より詳しくは、光ファイバー同士の接続または光ファイバーとフェルールとの接着に好適に用いられる光学材料用接着剤組成物に関する。
近年、インターネットの普及により、通信容量を増大させる技術の重要性が増しており、光ファイバーネットワークが拡大されている。この光通信システムに用いられる光学材料、光学素子の組み立てに用いられる接合技術については、現在、コネクタを用いて光ファイバー同士を接続するのが主流であるが、このコネクタ内のフェルールに光ファイバーを固定するために用いられる接着剤組成物には高い接着強度が求められる。特に、光ファイバーがフェルールの長軸方向に引っ張られて大きな荷重が掛かる場合があるので、高い剪断強度が求められる。
また、コネクタを用いず、光ファイバーの端部同士の間に接着剤を充填し、光路を形成して接着することもある。該光路の形成に用いられる接着剤組成物には、高い接着強度の他、光損失を抑えるために、光学的に高い透明性を有することが求められる。
また、いずれの態様においても、光ファイバーは屋外や屋根裏等に設置される場合もあるので、高温高湿等の過酷な環境下でも十分な接着力を維持できる特性が要求される。
また、従来から光ファイバーの材料としては石英やガラスが用いられてきたが、安価で、加工が容易であり、曲げに強く非常に折れにくい性質を有するプラスチック光ファイバー(POF)が開発され、ホームネットワークやデジタル家電等の短距離通信の用途で実用化されてきており、光学材料用接着剤組成物には、ガラスのみならず、プラスチック(主にアクリル系プラスチック)に対する接着性も要求されている。
従来、光学材料用接着剤組成物としては、エポキシ系接着剤等が用いられているが、近年の研究で、エポキシ系接着剤は接着耐久性に問題があるとされている。また、エポキシ系接着剤の硬化には110℃程度の加熱が必要であることから、実際に接続しようとする現場で容易に施工できないという問題がある。
また、特許文献1には、耐熱性に優れ、硬化における泡の発生を減じ、泡等による白濁等の欠点を生じないことを目的とした接着剤組成物が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の接着剤組成物は、ポリシロキサンを主成分とするため、高湿度の環境下に長時間置かれたとき、水分が浸透して接着力が低下するおそれがある。
また、特許文献2には、(A)炭素−炭素二重結合を有する基を1分子あたり少なくとも2個含有する有機化合物と、(B)1分子あたり少なくとも2個のSiH基を含有する化合物と、(C)ヒドロシリル化触媒と、(D)1分子あたり少なくとも1個のエポキシ基を含有する化合物と、(E)1分子あたり少なくとも1個のカルボキシル基を含有する化合物とを含有することを特徴とする光学材料用組成物が記載されている。特許文献2に記載の光学材料用組成物は、優れた耐湿性および高い接着性を有し、熱による着色を少なくすることを目的としているが、これらの性能にはさらに向上させる余地があった。
特開2002−173661号公報 特開2004−2783号公報
本発明は、耐湿熱性に優れ、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れ、さらに硬化物が高い透明性を有する光学材料用接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、炭素−炭素二重結合を有する基を1分子あたり少なくとも2個有する重合体と、(B)1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する化合物と、(C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物と、(D)ヒドロシリル化触媒とを特定の割合で混合して用いることにより、耐湿熱性に優れ、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れ、さらに硬化物が高い透明性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(2)を提供する。
(1)(A)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、炭素−炭素二重結合を有する基を1分子あたり少なくとも2個有する重合体100質量部と、
(B)1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する化合物と、
(C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物1〜150質量部と、
(D)ヒドロシリル化触媒0.001〜1質量部と
を含有する光学材料用接着剤組成物。
(2)前記(C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物に用いられる前記エポキシ化合物が、芳香族エポキシ化合物である上記(1)に記載の光学材料用接着剤組成物。
本発明の光学材料用接着剤組成物は、耐湿熱性に優れ、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れ、さらに硬化物が高い透明性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学材料用接着剤組成物(以下、単に「本発明の組成物」とも言う。)は、(A)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、炭素−炭素二重結合を有する基を1分子あたり少なくとも2個有する重合体(以下、単に「重合体(A)」とも言う。)100質量部と、(B)1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する化合物と、(C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物1〜150質量部と、(D)ヒドロシリル化触媒0.001〜1質量部とを含有する。
<重合体(A)>
本発明に用いられる重合体(A)は、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、炭素−炭素二重結合を有する基を1分子あたり少なくとも2個有する重合体である。主鎖が、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含むものであれば、主にアクリル系プラスチックを原料とするプラスチック光ファイバーと高い接着性を有し、また、後述する(B)1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する化合物、(C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物、および所望により添加されるシランカップリング剤との相溶性に優れ、得られる光学材料用接着剤組成物の硬化物は高い透明性を有する。
アクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ビフェニルが挙げられる。
また、メタクリル酸エステル単量体単位としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ビフェニルが挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(A)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含むものであれば特に限定されないが、これらの単量体単位の割合が50質量%を超えるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましい。
重合体(A)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位を含んでいてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシ基を含有する単量体単位;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を含有する単量体単位;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有する単量体単位;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含有する単量体単位;ポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート等は、湿分硬化性および内部硬化性の点で共重合効果を期待することができる。
そのほかに、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位が挙げられる。
重合体(A)の単量体組成は、用途、目的等により適宜選択される。
例えば、単量体のアルキルエステル部分のアルキル鎖が長い場合には、ガラス転移温度が低くなり、硬化物の物性は軟らかいゴム状弾性体となる。逆に、短い場合には、ガラス転移温度が高くなり、硬化物の物性も硬くなる。
一方、硬化後の物性は、重合体の分子量にも大きく依存する。
したがって、重合体の単量体組成は、分子量を考慮しつつ、所望の粘度、硬化後の物性等に応じて、適宜選択すればよい。
重合体(A)の主鎖は、制御されたビニル重合の方法等によって得ることができる。例えば、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法等によって、溶液重合法、塊重合法等を行って得ることができるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
連鎖移動剤法においては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合を行うことにより、末端に官能基を有する重合体が得られる。
リビングラジカル重合法においては、重合生長末端が停止反応等を起こさずに生長することにより、ほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる。
連鎖移動剤法は、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないが、リビングラジカル重合法は、停止反応が起こりにくいため分子量分布が狭く(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)、粘度が低い重合体を得ることができ、特定の官能基を有する単量体を重合体のほぼ任意の位置に導入することができるので好ましい。本発明においては、特開2003−313397号公報に記載されている方法が好適に用いられる。
反応は、通常、上述した単量体単位、ラジカル開始剤、連鎖移動剤、溶剤等を混合させて50〜150℃で反応させることにより行われる。
ラジカル開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドが挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン,tert−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類;含ハロゲン化合物が挙げられる。
溶剤としては、例えば、エーテル類、炭化水素類、エステル類等の非反応性の溶剤が好適に挙げられる。
炭素−炭素二重結合を有する基は、特に限定されないが、下記一般式(I)で表される構造を有することが反応性の点から好ましい。
Figure 2005281501

(式中R1は水素原子またはメチル基を表す。)
上記一般式(I)で表される構造を有する基のうち、原料の入手が容易である、下記式(II)で表される構造を有する基が特に好ましい。
Figure 2005281501
炭素−炭素二重結合を有する基としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−メチルアリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、および下記式(III)、(IV)で表される基が挙げられる。
Figure 2005281501
(式中、nは2〜5の自然数であり、R2は、下記式(V)で表される2価の基のいずれかを表す。)
Figure 2005281501
中でも、反応性が高いという点で、ビニル基が好ましい。
炭素−炭素二重結合を有する基は、重合体(A)の主鎖に直接共有結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していてもよい。上記2価以上の置換基としては特に限定されないが、炭素数0〜10の置換基が好ましく、構成元素としては、C、H、N、O、Sおよびハロゲン以外の元素を含まない置換基が好ましい。
炭素−炭素二重結合を有する基の結合位置は、重合体(A)の主鎖の末端であるのが好ましく、主鎖の末端のみであるのがより好ましい。
重合体(A)の主鎖に炭素−炭素二重結合を有する基を導入する方法は、特に限定されず、例えば、リビングラジカル重合法によって上記単量体単位を重合させて分子末端に炭素−炭素二重結合を有する基を導入する方法が好適に挙げられる。具体的には、特開平9−272714号公報等に記載されている方法を用いることができる。
末端に炭素−炭素二重結合を有する基を有する(メタ)アクリル系重合体は、例えば、有機ハロゲン化合物またはハロゲン化スルホニル化合物を、開始剤と、触媒として周期表の第8族、第9族、第10族または第11族の元素を中心金属とする金属錯体とを用いて、重合することにより得られる、(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基を、炭素−炭素二重結合を有する基に変換することにより製造することができる。
ここで、末端にハロゲン基を有する(メタ)アクリル系重合体は、従来、連鎖移動剤として、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化合物を用いて重合する方法により製造されてきた。
しかしながら、この方法では、重合体の両末端に確実にハロゲンを導入することが困難であった。
これに対して、特開平1−247403号公報には、炭素−炭素二重結合を有する基を有するジチオカーパメートまたはジアリルジスルフィドを連鎖移動剤として用いることにより、両末端に炭素−炭素二重結合を有する基を有するアクリル系重合体の製造方法が記載されている。また、特開平6−211922号公報には、水酸基含有ポリスルフィドまたはアルコール系化合物を連鎖移動剤として、末端に水酸基を有するアクリル系重合体を製造し、更に、水酸基の反応を利用して末端に炭素−炭素二重結合を有する基を有するアクリル系重合体を製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法では、重合体末端に確実に炭素−炭素二重結合を有する基を導入することは困難である。
そこで、近年、アクリル系重合体の末端に官能基が確実に導入される方法として、リビングラジカル重合が注目されている。リビングラジカル重合は、特開平9−272714号公報等に記載されている。
特に、特開2000−154205号公報および特開2000−178456号公報には、リビングラジカル重合法の中でも、原子移動ラジカル重合法について詳しく記載されている。ここでは、開始剤として、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物が用いられ、触媒として、周期表第8族、第9族、第10族または第11族の元素を中心金属とする金属錯体が用いられる。また、末端に官能基を有する(メタ)アクリル系重合体を得るために、開始点を2個以上有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いられる。
また、特開2003−96106号公報には、(メタ)アクリル酸エステル単量体のラジカル重合を、開始剤として、2,2’−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)を用い、連鎖移動剤として、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等を用いて行うことが記載されている。ここでは、重合溶媒として2−プロパノール、イソブタノール等を用いると、第三級炭素原子に結合した水素原子を有するため、連鎖移動剤としても作用し、連鎖移動剤の使用量を低減することができる等の点で好ましいこと、および、芳香族溶剤を用いる場合よりも分子量分布を狭く制御することができることのため有用であると記載されている。
以上のような、リビングラジカル重合により得られる(メタ)アクリル系重合体から製造される重合体(A)は、分子量分布が、通常のラジカル重合により得られる(メタ)アクリル系重合体が通常2.0以上であるのに対し、1.5以下と極めて狭いため、低粘度である。また、末端への官能基導入率も極めて高い。
重合体(A)の分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算での数平均分子量が500〜100,000であるものが、重合時の難易度、相溶性、取扱い粘度の点で好ましい。中でも、数平均分子量1,000〜50,000のものが強度と粘度とのバランスの点で好ましく、2,000〜30,000のものが、作業性等取扱いの容易さ、接着性等の点で、より好ましい。
重合体(A)は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
重合体(A)としては、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、鐘淵化学工業社製のカネカテレケリックポリアクリレート SA100A、SA120A等が挙げられる。
<(B)1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する化合物>
本発明の組成物は、1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する化合物(以下、単に「化合物(B)」とも言う。)を含有する。
本発明に用いられる化合物(B)は、重合体(A)とヒドロシリル化反応しうるものであれば特に限定されないが、例えば、国際公開第96/15194号パンフレットに記載される化合物で、1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
入手が容易である点から、1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する鎖状および/または環状オルガノポリシロキサンが好ましい。具体的には
Figure 2005281501

Figure 2005281501

等が挙げられる。中でも、重合体(A)との相溶性が良いという点から、下記一般式(VI)
Figure 2005281501

(式中、R3は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンがより好ましい。
一般式(VI)で表される化合物中の置換基R3は、構成元素としてC、HおよびO以外の元素を含まない置換基が好ましく、炭化水素基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
一般式(VI)で表される化合物としては、例えば、入手が容易である点から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好適に挙げられる。
化合物(B)の分子量は、特に限定されず任意のものが使用できるが、より流動性を発現し易いという点から、低分子量のものが好適に用いられる。この場合、好ましい分子量の下限は50であり、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは1,000、さらに好ましくは700である。
重合体(A)と良好な相溶性を有し、また化合物(B)の揮発性が低くなり、得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという点から、化合物(B)は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子あたり1個以上有する有機化合物と、1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する鎖状および/または環状のポリオルガノシロキサンを、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物が好ましい。具体的には、特開2004−2783号公報に記載されている化合物を用いることができる。
化合物(B)は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
化合物(B)の含有量は、特に限定されないが、重合体(A)の炭素−炭素二重結合の数(X)に対する化合物(B)のSiH基の数(Y)の比(Y/X)が後述する範囲になるように適宜調整されるのが好ましい。化合物(B)のSiH基の数(Y)の重合体(A)の炭素−炭素二重結合の数(X)に対する比(Y/X)は、0.3〜3であることが好ましい。該比がこの範囲であれば、十分な強度が得られ、耐熱性に優れる。この特性により優れる点から、0.5〜2であることがより好ましく、0.7〜1.5であることが特に好ましい。
<(C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物>
本発明の組成物は、上記重合体(A)100質量部に対して、(C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物(以下、単に「反応物(C)」とも言う。)を1〜150質量部含有する。本発明の組成物は、反応物(C)が相溶化剤、接着付与剤および接着強度の安定化剤としての役割を果たすので、透明性、接着性、耐湿熱性に優れると考えられる。
また、反応物(C)の含有量が上記の範囲であると、相溶性(透明性)、接着性、耐湿熱性に優れ、高耐候性である。この特性により優れる点で、30〜150質量部が好ましく、50〜150質量部が特に好ましい。
反応物(C)に用いられるエポキシ化合物としては、特に限定されず、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レソルシノール、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレソルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルエステル型;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;さらにエポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレート等;ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル、スチレンオキサイド等のモノエポキシ化合物等が挙げられる。
また、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物を重合させて樹脂としたものを用いることもできる。
これらのエポキシ化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
中でも、接着強度に優れる点で、上記多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型等の芳香族エポキシ化合物が好ましい。ここで、芳香族エポキシ化合物とは、1分子中に芳香環とエポキシ基を各々少なくとも1つ有する化合物である。特に、ビスフェノールA、ビスフェノールF型エポキシ化合物が、入手の容易さおよび硬化物の性質(性能)のバランスが良好であることから好ましい。
上記エポキシ化合物は市販品を用いてもよく製造してもよい。製造条件は特に限定されず、公知の方法、条件で行うことができる。
反応物(C)に用いられるイミノシラン(2級アミノシラン)としては、イミノ基(2級アミノ基)と加水分解性ケイ素含有基を各々少なくとも1つ以上有する化合物であれば特に限定されず、具体的には、例えば、(N−シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)トリメチルオキシシランおよび下記式(VII)、(VIII)で表される構造を有する化合物が好適に用いられる。
Figure 2005281501

上記イミノシランは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記イミノシランは市販品を用いてもよく製造してもよい。製造条件は特に限定されず、公知の方法、条件で行うことができる。市販品としては、例えば、Alink−15(日本ユニカー社製)、Y−9669(日本ユニカー社製)、GENIOSIL(XL924、XL926、XL972、XL973、いずれもワッカー社製)等が挙げられる。
反応物(C)は、エポキシ化合物とイミノシランとを反応させることにより得られる。その反応は、公知の方法により行うことができる。
エポキシ化合物とイミノシランを混合する割合は、特に限定されないが、未反応のイミノ基が反応物(C)の中にあると、該反応物(C)を本発明の組成物に用いた場合、該イミノ基が上記重合体(A)と上記化合物(B)のヒドロシリル化反応を阻害して、本発明の組成物の接着性、耐熱性が劣化するおそれがあるので、エポキシ化合物が有するエポキシ基の数(X)に対するイミノシランの有するイミノ基の数(Y)の比(Y/X)は、1以下であることが好ましい。該比が1以下であれば、実質的に未反応のイミノ基がなくなっているので、エポキシ化合物とイミノシランを反応させた反応物を未精製のまま本発明の組成物に含有させることができる。
好ましい反応物(C)の第1の態様は、1分子中に2つのエポキシ基を有する芳香族エポキシ化合物に対して、1分子中に1つのイミノ基を有するイミノシランを1当量反応させて得られたものである。具体的には、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテルに対して、上記式(VII)で表される構造を有する化合物を1当量反応させて得られる、下記式(IX)で表される構造を有する反応物が挙げられる。
Figure 2005281501

好ましい反応物(C)の第2の態様は、1分子中に2つのエポキシ基を有する芳香族エポキシ化合物に対して、1分子中に1つのイミノ基を有するイミノシランを2当量反応させて得られたものである。具体的には、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテルに対して、上記式(VII)で表される構造を有する化合物を2当量反応させて得られる、下記式(X)で表される構造を有する反応物が挙げられる。
Figure 2005281501

反応物(C)の第1の態様と第2の態様は、単独で用いてもよく、併用してもよいが、硬化速度および貯蔵安定性の両立という点で、併用するのが好ましい。併用する場合、反応物(C)の第1の態様の第2の態様に対する質量比(第1の態様/第2の態様)は、硬化速度および貯蔵安定性の両立という点で、1/9〜9/1が好ましく、2/8〜8/2がより好ましい。
<(D)ヒドロシリル化触媒>
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、具体的には、例えば、白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体;白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2);白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4m);白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu4)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。);ジカルボニルジクロロ白金;カールシュテト(Karstedt)触媒;アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号明細書および米国特許第3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体;ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
白金化合物以外のヒドロシリル化触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
これらの中でも、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。上記ヒドロシリル化触媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物は、ヒドロシリル化触媒を0.001〜1質量部含有する。ヒドロシリル化触媒の含有量が上記の範囲であると、十分な硬化性を有し、かつ本発明の組成物のコストを比較的低く抑えることができる。この特性により優れる点で、0.001〜0.5質量部が好ましく、0.005〜0.1質量部が特に好ましい。
<添加剤>
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、上記重合体(A)以外のポリマー、シランカップリング剤、補強剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラー等の各種添加剤等を含有することができる。
シランカップリング剤を添加することにより、接着性および耐湿熱性を高くすることができる。なお、本明細書において、シランカップリング剤とは、上記反応物(C)以外の分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性ケイ素含有基を各々少なくとも1個有する化合物である。有機基と反応性のある官能基としては特に限定されないが、取扱い性の点から、例えば、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基、エポキシ基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好適に挙げられる。硬化性および接着性の点から、メタクリル基、アクリル基、エポキシ基がより好ましい。加水分解性ケイ素含有基としては特に限定されないが、取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基がより好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物が例示できる。
シランカップリング剤を用いる場合の添加量としては、特に限定されず、種々設定できるが、上記重合体(A)100質量部に対して1〜100質量部が好ましい。添加量がこの範囲であれば、接着性および耐湿熱性を向上させることができ、硬化物の物性に悪影響を与えることがない。この特性により優れる点で、1〜50質量部がより好ましい。
また、本発明の組成物は、補強剤を添加することにより、強度を向上することができる。補強剤としては、有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。耐熱性の観点から無機微粒子が好ましい。無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの補強剤の添加量は、上記重合体(A)100質量部に対して、100質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。これらの補強剤の粒子径は、接着層の透明性を確保するために、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。また添加する補強剤の屈折率は、マトリクスの屈折率と実質的に等しくすることが、透明性の点から好ましい。
本発明の組成物は、湿気硬化型であり、1液型光学材料用接着剤組成物にも2液型光学材料用接着剤組成物にも用いることができる。本発明の組成物は、湿気にさらすと、加水分解性ケイ素含有基の加水分解により、硬化反応が進行する。1液型光学材料用接着剤組成物は、施工現場でそのまま使用できるので、作業性に優れる。1液型光学材料用接着剤組成物とする場合、上記各成分に加えて、さらに反応遅延剤を含有することが、貯蔵安定性の点から好ましい。
反応遅延剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン、2−ヒドロキシ−2−フェニル−3−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマロネート、ジメチルマレエート等のマレイン酸エステル類等が挙げられる。有機リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン等のトリオルガノホスフィン類、ジオルガノホスフィン類、オルガノホスホン類、トリオルガノホスファイト類等が挙げられる。硫黄含有化合物としては、例えば、単体硫黄、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が挙げられる。窒素含有化合物としては、例えば、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が挙げられる。スズ系化合物としては、例えば、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸tert−ブチル等が挙げられる。これらの反応遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、遅延活性が良好で原料の入手が容易である点から、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマロネート、ジメチルマレエート、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
反応遅延剤の添加量は、特に限定されないが、上記重合体(A)100質量部に対して、0.0005〜1質量部であることが貯蔵安定性および反応性の点から好ましい。この特性により優れる点で、0.0005〜0.5質量部であることがより好ましい。
また、上記重合体(A)100質量部と、上記反応物(C)1〜100質量部と、上記ヒドロシリル化触媒0.001〜1質量部とを含有する組成物をA液、上記化合物(B)をB液とする2液型光学材料用接着剤組成物とした場合は、貯蔵安定性に優れ、また、加熱しなくても硬化することができるため、耐熱性の低い光学材料の接着にも好適に用いることができる。
A液、B液のいずれにも所望により上記の添加剤を含有することができる。
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上記各種成分と、所望により添加する添加剤とを、好ましくは減圧下または不活性雰囲気下で、ボールミル等の混合装置を用いて十分に混練し、均一に分散させることにより得られる。
本発明の組成物を硬化させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られ易いという点から加熱して反応させる方法が好ましい。
硬化温度としては、特に限定されず、種々設定できるが、硬化時間が短く、硬化物の成形加工がし易いという点から、20〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましい。
本発明の組成物の硬化は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階であるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより多段階であるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られやすいという点から好ましい。
硬化時間も種々設定できるが、高温短時間で反応させるより、比較的低温長時間で反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られ易いという点において好ましい。
本発明の組成物は、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、炭素−炭素二重結合を有する基を1分子あたり少なくとも2個有する重合体と、1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する化合物と、エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物と、ヒドロシリル化触媒とを特定の割合で混合して用いることにより、耐湿熱性に優れ、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れ、さらに硬化物が高い透明性を有する。したがって、本発明の組成物は、光学材料の接合に好適に用いることができる。
本発明の組成物の接着対象となる光学材料としては、例えば、光ファイバー、レンズ、フィルタ、光導波路、回折格子、光アクティブ素子、フェルール等が挙げられる。光ファイバーとしては、例えば、シングルモード光ファイバー、マルチモード光ファイバーが挙げられる。レンズとしては、例えば、屈折率分布レンズ、球面レンズ、非球面レンズ、平凸レンズ等が挙げられる。光フィルタとしては、例えば、誘電体多層膜からなる狭帯域フィルタ、バンドパスフィルタ、偏光フィルタ等が挙げられる。光導波路としては、例えば、シングルモード光導波路、マルチモード光導波路およびこれらの光導波路に、周期的に屈折率を変調させたブラッグ回折格子を有するもの等が挙げられる。フェルールとしては、酸化ジルコニウム製フェルール、結晶化ガラス製フェルール等が挙げられる。
これらの光学材料を構成する材料としては、例えば、ガラス材料、プラスチック材料、金属、有機無機複合材料等が挙げられる。
すなわち、本発明の組成物は、例えば、ガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー、ジルコニア製フェルール、結晶化ガラス製フェルール等の接着に好適に用いることができ、ガラス製またはプラスチック製の光ファイバー同士を接着したり、ガラス製またはプラスチック製の光ファイバーとジルコニア製または結晶化ガラス製のフェルールとを接着することができる。
これらの光学材料を組み立てる場合、第1の光学材料(例えば、光ファイバー)と第2の光学材料(例えば、フェルール)の間に、本発明の組成物を配置した後、硬化させて所望の強度を有する結合部を形成することができる。
また、本発明の組成物を用いて接合する接着体の面にプライマー層を形成してもよい。プライマー層を形成することにより、接着性を高くすることができる。これらのプライマー層を形成する化合物としては、例えば、1分子内に少なくとも1個の硫黄原子を有しかつケイ素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも2個有する含硫黄アルコキシシラン化合物、1分子内に少なくとも1個の窒素原子を有しかつケイ素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも2個有する含窒素アルコキシシラン化合物、1分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有しかつケイ素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも2個有する含エポキシアルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤およびそれらの加水分解・脱水縮合化合物等が挙げられる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。
(反応物(C1)および反応物(C2)の合成)
まず、上記エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物として用いる反応物(C1)および反応物(C2)の合成を行った。
反応物(C1)は、エポキシ化合物(ビスフェノールAグリシジルエーテル、商品名 YD128、東都化成社製)1モルと、イミノシラン(商品名 Alink−15、日本ユニカー社製)1モルを混合し、窒素雰囲気下、50℃で24時間反応させて反応物(C1)を得た。
反応物(C2)は、イミノシランの量を2モルにした以外は上記反応物(C1)と同様に合成した。
(実施例1〜3および比較例1〜2)
下記第1表に示す量の各成分を混合し1液型の接着剤組成物を得た。
第1表中の各成分は、下記の通りである。
重合体(A):商品名 SA100A、鐘淵化学工業社製
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン:Lancaster Synthesis Inc.製
エポキシシラン:商品名 A187、日本ユニカー社製
メタクリルシラン:商品名 A174、日本ユニカー社製
白金触媒:PT−VTSC−3.0X、OMGプレシャスメタルズ・ジャパン社製
反応遅延剤(ジメチルマロネート):和光純薬工業社製
実施例1〜3および比較例1〜2の接着剤組成物を、100℃で1時間硬化した後、JIS K6852−1994に準拠して、被着材としてガラス板を用いた場合と、アクリル板(PMMA)を用いた場合の圧縮剪断強度(それぞれ、第1表中、初期圧縮剪断強度(ガラス)、初期圧縮剪断強度(アクリル)とする。)を測定した。
次に、実施例1〜3および比較例1〜2の接着剤組成物を、100℃で1時間硬化した後、さらに、80℃、95%RHの環境下で10日間湿熱劣化させて、上記と同様の方法で、被着材としてガラス板を用いた場合と、アクリル板を用いた場合の圧縮剪断強度(それぞれ、第1表中、湿熱劣化後の圧縮剪断強度(ガラス)、湿熱劣化後の圧縮剪断強度(アクリル)とする。)を測定した。
また、実施例1〜3および比較例1〜2の接着剤組成物を、100℃で1時間硬化して、厚さ20μmのフィルム状にした後、分光光度計を用いて、波長400〜900nmにおける可視光透過率(%)を測定した。
結果を下記第1表に示す。
Figure 2005281501
実施例1〜3の接着剤組成物は、ガラス板、アクリル板のいずれにも高い初期圧縮剪断強度を有し、湿熱劣化後の圧縮剪断強度の低下が小さく、可視光透過率にも優れていた。
一方、比較例1の接着剤組成物は、ガラス板、アクリル板のいずれに対しても初期圧縮剪断強度および湿熱劣化後の圧縮剪断強度が低かった。
また、比較例2の接着剤組成物は、実施例1の接着剤組成物に対して反応物(C)を入れずにエポキシシランの添加量を増やしたものであるが、ガラス板、アクリル板のいずれに対しても初期圧縮剪断強度および湿熱劣化後の圧縮剪断強度が実用化するには十分ではなかった。
(実施例4〜6および比較例3〜5)
下記第2表に示す量のA液の各成分を混合してA液とした後、さらにB液の各成分を第2表に示す量加えて混合し、混合させた状態の2液型の接着剤組成物を得た。
第2表中の各成分は、エポキシ系接着剤組成物(商品名 エポテック353ND、ムロマチテクノス社製)以外、上記第1表の各成分と同様である。
実施例4〜6および比較例3〜5の接着剤組成物を、20℃で24時間養生した後、JIS K6852−1994に準拠して、被着材としてガラス板を用いた場合と、アクリル板(PMMA)を用いた場合の圧縮剪断強度(それぞれ、第2表中、初期圧縮剪断強度(ガラス)、初期圧縮剪断強度(アクリル)とする。)を測定した。
次に、実施例4〜6および比較例3〜5の接着剤組成物を、20℃で24時間養生した後、さらに、80℃、95%RHの環境下で10日間湿熱劣化させて、上記と同様の方法で、被着材としてガラスを用いた場合と、アクリル板を用いた場合の圧縮剪断強度(それぞれ、第2表中、湿熱劣化後の圧縮剪断強度(ガラス)、湿熱劣化後の圧縮剪断強度(アクリル)とする。)を測定した。
また、実施例4〜6および比較例3〜5の接着剤組成物を、20℃で24時間養生して、厚さ20μmのフィルム状にした後、分光光度計を用いて、波長400〜900nmにおける可視光透過率(%)を測定した。
結果を下記第2表に示す。
Figure 2005281501
実施例4〜6の接着剤組成物は、ガラス板、アクリル板のいずれにも高い初期圧縮剪断強度を有し、湿熱劣化後の圧縮剪断強度の低下が小さく、可視光透過率にも優れていた。
一方、比較例3の接着剤組成物は、ガラス板、アクリル板のいずれに対しても初期圧縮剪断強度および湿熱劣化後の圧縮剪断強度が低かった。
また、比較例4の接着剤組成物は、実施例4の接着剤組成物に対して反応物(C)を入れずにエポキシシランの添加量を増やしたものであるが、ガラス板、アクリル板のいずれに対しても初期圧縮剪断強度および湿熱劣化後の圧縮剪断強度が実用化するには十分でなかった。
また、比較例5は、従来より光学材料用接着剤組成物として用いられているエポキシ系接着剤組成物であるが、湿熱劣化後の圧縮剪断強度の低下が著しく、また茶褐色になり可視光透過率も低かった。
(実施例7)
<光ファイバー同士の接合>
図1は、本発明の組成物を用いて光ファイバー同士を接合したものの一例の模式的な断面図である。図1に示すように、それぞれポリマー被覆層4、コア部2およびクラッド部3を有する第1および第2の2本のシングルモードのガラス製光ファイバー(長さそれぞれ約1m)1,21のそれぞれの端部を長さ2cmにわたってポリマー被覆層4を除去し、それらの端部を約25μmの間隔が開くように突き合わせて光学ベンチ(図示せず)の上で調芯する。次に、波長が1550nmのレーザー光を第1の光ファイバー1の他の端部から入射させて第1の光ファイバー1内に通し、第2の光ファイバー21の他の端部から出射させたときの光の損失値が最低になるように、ファイバーの配置を調節した。この状態で、実施例4の接着剤組成物を2本のファイバーの間に塗布し、20℃、65%RHの環境下で48時間静置して、接着層(光路)5を介して第1の光ファイバー1と第2の光ファイバー21を接合させた。
次に、この第1の光ファイバーと第2の光ファイバーを接合させたもの、および、これを80℃、95%RHの環境下に10日間放置したものについて、接着部分が両手の間にくるように光ファイバーを掴んで軽く引っ張ったが、いずれも接着部分が破壊されることはなかった。また、接着剤組成物を硬化させた後の光損失値は、接着剤組成物塗布前の光損失値とほぼ同じ値だった。
(実施例8)
<光ファイバーとフェルールとの接合>
図2は、本発明の組成物を用いて光ファイバーとフェルールを接合したものの一例の模式的な断面図である。図2に示すように、ポリマー被覆層4、コア部2およびクラッド部3を有するシングルモードのガラス製光ファイバー(長さ約1m)31の端部を長さ2cmにわたってポリマー被覆層4を除去した部分に、実施例4の光学材料用接着剤組成物を塗布し、プラグ8に固定されているフェルール7の空洞部に挿入し、20℃、65%RHの環境下で48時間静置して、接着層6を介して光ファイバー31とフェルール7を接合させた。
次に、この光ファイバーとフェルールを接合させたもの、および、これを80℃、95%RHの環境下に10日間放置したものについて、それぞれフェルールと光ファイバーを掴んで軽く引っ張ったが、いずれも接着部分が破壊されることはなかった。
図1は、本発明の組成物を用いて光ファイバー同士を接合したものの一例の模式的な断面図である。 図2は、本発明の組成物を用いて光ファイバーとフェルールを接合したものの一例の模式的な断面図である。
符号の説明
1、21、31 光ファイバー
2 光ファイバーのコア
3 光ファイバーのクラッド
4 ポリマー被覆層
5 接着層(光路)
6 接着層
7 フェルール
8 プラグ

Claims (2)

  1. (A)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、炭素−炭素二重結合を有する基を1分子あたり少なくとも2個有する重合体100質量部と、
    (B)1分子あたり少なくとも2個のSiH基を有する化合物と、
    (C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物1〜150質量部と、
    (D)ヒドロシリル化触媒0.001〜1質量部と
    を含有する光学材料用接着剤組成物。
  2. 前記(C)エポキシ化合物とイミノシランとを反応させてなる反応物に用いられる前記エポキシ化合物が、芳香族エポキシ化合物である請求項1に記載の光学材料用接着剤組成物。
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