JP2005281494A - 光学材料用接着剤組成物 - Google Patents

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智三 長澤
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Abstract

【課題】本発明は、耐湿熱性に優れ、湿気硬化が可能で、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れる光学材料用接着剤組成物を提供する。また、上記の特性を有し、さらに硬化物が高い透明性を有する光学材料用接着剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体100質量部と、(B)シランカップリング剤1〜100質量部と、(C)エポキシ樹脂1〜100質量部と、(D)硬化触媒1〜50質量部とを含有する光学材料用接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料用接着剤組成物に関する。より詳しくは、光ファイバー同士の接続または光ファイバーとフェルールとの接着に好適に用いられる光学材料用接着剤組成物に関する。
近年、インターネットの普及により、通信容量を増大させる技術の重要性が増しており、光ファイバーネットワークが拡大されている。この光通信システムに用いられる光学材料、光学素子の組み立てに用いられる接合技術については、現在、コネクタを用いて光ファイバー同士を接続するのが主流であるが、このコネクタ内のフェルールに光ファイバーを固定するために用いられる接着剤組成物には高い接着強度が求められる。特に、光ファイバーがフェルールの長軸方向に引っ張られて大きな荷重が掛かる場合があるので、高い剪断強度が求められる。
また、コネクタを用いず、光ファイバーの端部同士の間に接着剤を充填し、光路を形成して接着することもある。該光路の形成に用いられる接着剤組成物には、高い接着強度の他、光損失を抑えるために、光学的に高い透明性を有することが求められる。
また、いずれの態様においても、光ファイバーは屋外や屋根裏等に設置される場合もあるので、高温高湿等の過酷な環境下でも十分な接着力を維持できる特性が要求される。
また、従来から光ファイバーの材料としては石英やガラスが用いられてきたが、安価で、加工が容易であり、曲げに強く非常に折れにくい性質を有するプラスチック光ファイバー(POF)が開発され、ホームネットワークやデジタル家電等の短距離通信の用途で実用化されてきており、光学材料用接着剤組成物には、ガラスのみならず、プラスチック(主にアクリル系プラスチック)に対する接着性も要求されている。
従来、光学材料用接着剤組成物としては、エポキシ系接着剤等が用いられているが、近年の研究で、エポキシ系接着剤は接着耐久性に問題があるとされている。また、エポキシ系接着剤の硬化には110℃程度の加熱が必要であることから、実際に接続しようとする現場で容易に施工できないという問題がある。
また、特許文献1には、耐熱性に優れ、硬化における泡の発生を減じ、泡等による白濁等の欠点を生じないことを目的とした接着剤組成物が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の接着剤組成物は、ポリシロキサンを主成分とするため、高湿度の環境下に長時間置かれたとき、水分が浸透して接着力が低下するおそれがある。
特開2002−173661号公報
本発明は、耐湿熱性に優れ、湿気硬化が可能で、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れる光学材料用接着剤組成物を提供することを目的とする。また、上記の特性を有し、さらに硬化物が高い透明性を有する光学材料用接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体と、シランカップリング剤と、エポキシ樹脂と、硬化触媒とを特定の割合で混合することにより、湿気硬化が可能で、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れ、さらに、耐湿熱性にも優れる光学材料用接着剤組成物となることを知見した。また、特定の硬化触媒を用いることにより、硬化物が高い透明性を有する光学材料用接着剤組成物となることを知見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)および(2)を提供する。
(1)(A)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体100質量部と、
(B)シランカップリング剤1〜100質量部と、
(C)エポキシ樹脂1〜100質量部と、
(D)硬化触媒1〜50質量部と
を含有する光学材料用接着剤組成物。
(2)前記(D)硬化触媒が、4価の錫または4価のジルコニウムを含む上記(1)に記載の光学材料用接着剤組成物。
本発明の光学材料用接着剤組成物は、耐湿熱性に優れ、湿気硬化が可能で、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れる。また、特に、硬化触媒が4価の錫または4価のジルコニウムを含む場合には、硬化物が高い透明性を有する。
以下、本発明の光学材料用接着剤組成物を詳細に説明する。
本発明の光学材料用接着剤組成物(以下、単に「本発明の組成物」とも言う。)は、(A)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(以下、単に「重合体(A)」とも言う。)100質量部と、(B)シランカップリング剤1〜100質量部と、(C)エポキシ樹脂1〜100質量部と、(D)硬化触媒1〜50質量部とを含有する。
<重合体(A)>
本発明に用いる重合体(A)は、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体である。主鎖が、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含むものであれば、主にアクリル系プラスチックを原料とするプラスチック光ファイバーと高い接着性を有し、また、シランカップリング剤との相溶性に優れ、得られる光学材料用接着剤組成物の硬化物が高い透明性を有する。
アクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ビフェニルが挙げられる。
また、メタクリル酸エステル単量体単位としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ビフェニルが挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(A)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含むものであれば特に限定されないが、これらの単量体単位の割合が50質量%を超えるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましい。
重合体(A)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位を含んでいてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシ基を含有する単量体単位;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を含有する単量体単位;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有する単量体単位;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含有する単量体単位;ポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート等は、湿分硬化性および内部硬化性の点で共重合効果を期待することができる。
そのほかに、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位が挙げられる。
重合体(A)の単量体組成は、用途、目的等により適宜選択される。
例えば、単量体のアルキルエステル部分のアルキル鎖が長い場合には、ガラス転移温度が低くなり、硬化物の物性は軟らかいゴム状弾性体となる。逆に、短い場合には、ガラス転移温度が高くなり、硬化物の物性も硬くなる。
一方、硬化後の物性は、重合体の分子量にも大きく依存する。
したがって、重合体の単量体組成は、分子量を考慮しつつ、所望の粘度、硬化後の物性等に応じて、適宜選択すればよい。
重合体(A)の主鎖は、制御されたビニル重合の方法等によって得ることができる。例えば、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法等によって、溶液重合法、塊重合法等を行って得ることができるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
連鎖移動剤法においては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合を行うことにより、末端に官能基を有する重合体が得られる。
リビングラジカル重合法においては、重合生長末端が停止反応等を起こさずに生長することにより、ほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる。
連鎖移動剤法は、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないが、リビングラジカル重合法は、停止反応が起こりにくいため分子量分布が狭く(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)、粘度が低い重合体を得ることができ、特定の官能基を有する単量体を重合体のほぼ任意の位置に導入することができるので好ましい。本発明においては、特開2003−313397号公報に記載されている方法が好適に用いられる。
反応は、通常、上述した単量体単位、ラジカル開始剤、連鎖移動剤、溶剤等を混合させて50〜150℃で反応させることにより行われる。
ラジカル開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドが挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類;含ハロゲン化合物が挙げられる。
溶剤としては、例えば、エーテル類、炭化水素類、エステル類等の非反応性の溶剤が好適に挙げられる。
加水分解性ケイ素含有基は、ケイ素原子に結合した1〜3個のヒドロキシ基および/または加水分解性基を有し、湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こしてシロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基である。例えば、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基が挙げられる。具体的には、下記式で例示される、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基等が好適に用いられる。
Figure 2005281494
中でも、取扱いが容易である点で、アルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基は、特に限定されないが、原料の入手が容易なことからメトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が好適に挙げられる。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基は、特に限定されず、例えば、水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数が20以下である、アルキル基、アルケニル基もしくはアリールアルキル基が好適に挙げられる。
重合体(A)が有する加水分解性ケイ素含有基の数は、1分子あたり少なくとも1個である。また、加水分解性ケイ素含有基の結合位置は、主鎖の末端であるのが好ましく、主鎖の末端のみであるのがより好ましい。また、主鎖の両末端にそれぞれ加水分解性シリル基を有するのが、接着性、耐湿熱性の点から好ましい。
重合体(A)の主鎖に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法は、特に限定されず、例えば、(i)連鎖移動剤として加水分解性ケイ素含有基を含有するメルカプタンの存在下、上記単量体単位を重合させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(ii)連鎖移動剤としてメルカプト基と加水分解性ケイ素含有基以外の反応性官能基とを有する化合物(例えば、アクリル酸)の存在下、上記単量体単位を重合させ、生成した共重合体を加水分解性ケイ素含有基とY基と反応しうる官能基とを有する化合物(例えば、イソシアネート基と−Si(OCH33基とを有する化合物)と反応させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(iii)加水分解性ケイ素含有基を含有する化合物(例えば、アゾビスニトリル化合物、ジスルフィド化合物)を開始剤として上記単量体単位を重合させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(iv)リビングラジカル重合法によって上記単量体単位を重合させて分子末端に加水分解性ケイ素含有基を導入する方法、(v)重合性不飽和結合と加水分解性ケイ素含有基とを有する化合物と上記単量体単位とを、加水分解性ケイ素含有基が1分子あたり少なくとも1個導入されるように単量体単位の使用比率、連鎖移動剤量、ラジカル開始剤量、重合温度等の重合条件を選定して共重合させる方法が挙げられる。
中でも、重合体(A)が、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体に加水分解性ケイ素含有基を有するヒドロシランをハイドロシリルレーションにより付加することにより製造されるのが好ましい態様の一つである。
末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、例えば、有機ハロゲン化合物またはハロゲン化スルホニル化合物を、開始剤と、触媒として周期表の第8族、第9族、第10族または第11族の元素を中心金属とする金属錯体とを用いて、重合することにより得られる、(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基を、アルケニル基に変換することにより製造することができる。
ここで、末端にハロゲン基を有する(メタ)アクリル系重合体は、従来、連鎖移動剤として、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化合物を用いて重合する方法により製造されてきた。
しかしながら、この方法では、重合体の両末端に確実にハロゲンを導入することが困難であった。
これに対して、特開平1−247403号公報には、アルケニル基を有するジチオカーパメートまたはジアリルジスルフィドを連鎖移動剤として用いることにより、両末端にアルケニル基を有するアクリル系重合体の製造方法が記載されている。また、特開平6−211922号公報には、水酸基含有ポリスルフィドまたはアルコール系化合物を連鎖移動剤として、末端に水酸基を有するアクリル系重合体を製造し、更に、水酸基の反応を利用して末端にアルケニル基を有するアクリル系重合体を製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法では、通常、重合体末端に確実にアルケニル基を導入することは困難である。
一方、アルケニル基を経ないで加水分解性ケイ素含有基を有する(メタ)アクリル系重合体を得る方法として、特公平3−14068号公報には、(メタ)アクリル系モノマーを加水分解性ケイ素含有基含有メルカプタン、加水分解性ケイ素含有基含有ジスルフィドおよび加水分解性ケイ素含有基を有するラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法が記載されている。また、特公平4−55444号公報には、アクリル系モノマーを加水分解性ケイ素含有基含有ヒドロシラン化合物またはテトラハロシラン化合物の存在下に重合させる方法が記載されている。更に、特開平5−97921号公報には、加水分解性ケイ素含有基を有する安定カルバニオンを開始剤としてアクリル系モノマーをアニオン重合させ、重合末端を2官能性の求電子化合物と反応させて、末端に加水分解性ケイ素含有基を有するアクリル系重合体を製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法では、側鎖に官能基が導入される等の問題があった。即ち、末端に確実に加水分解性ケイ素含有基を導入することは困難であった。また、これらのラジカル重合で得られる重合体は、分子量分布が広く、粘度が高いという問題もあった。
そこで、近年、アクリル系重合体の末端に官能基が確実に導入される方法として、リビングラジカル重合が注目されている。リビングラジカル重合は、特開平9−272714号公報等に記載されている。
特に、特開2000−154205号公報および特開2000−178456号公報には、リビングラジカル重合法の中でも、原子移動ラジカル重合法について詳しく記載されている。ここでは、開始剤として、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物が用いられ、触媒として、周期表第8族、第9族、第10族または第11族の元素を中心金属とする金属錯体が用いられる。また、末端に官能基を有する(メタ)アクリル系重合体を得るために、開始点を2個以上有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いられる。
また、特開2003−96106号公報には、(メタ)アクリル酸エステル単量体のラジカル重合を、開始剤として、2,2’−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)を用い、連鎖移動剤として、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等を用いて行うことが記載されている。ここでは、重合溶媒として2−プロパノール、イソブタノール等を用いると、第三級炭素原子に結合した水素原子を有するため、連鎖移動剤としても作用し、連鎖移動剤の使用量を低減することができる等の点で好ましいこと、および、芳香族溶剤を用いる場合よりも分子量分布を狭く制御することができることのため有用であると記載されている。
以上のような、いずれかの重合法により得られる(メタ)アクリル系重合体から製造される重合体(A)は、分子量分布が、通常のラジカル重合により得られる(メタ)アクリル系重合体が通常2.0以上であるのに対し、1.5以下と極めて狭いため、低粘度である。また、末端への官能基導入率も極めて高い。
重合体(A)の分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算での数平均分子量が500〜100,000であるものが、重合時の難易度、相溶性、取扱い粘度の点で好ましい。中でも、数平均分子量1,000〜50,000のものが強度と粘度とのバランスの点で好ましく、2,000〜30,000のものが、作業性等取扱いの容易さ、接着性等の点で、より好ましい。
重合体(A)は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
重合体(A)としては、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、鐘淵化学工業社製のSMAP(カネカテレケリックポリアクリレート) SA100S、SA110S、SA120S、およびSA200SX、鐘淵化学工業社製のカネカMSポリマーS943が挙げられる。
<(B)シランカップリング剤>
本発明の組成物はシランカップリング剤を、重合体(A)100質量部に対して、1〜100質量部含有する。本発明の組成物は、シランカップリング剤を含有するので、接着強度、耐湿熱性に優れる。また、後述するエポキシ樹脂を添加する場合や、後述するように本発明の組成物を2液型の接着剤組成物として水を添加する場合、シランカップリング剤が相溶化剤として働くので、本発明の組成物の硬化物は高い透明性を有する。
また、シランカップリング剤の含有量が上記の範囲であると、接着性、耐湿熱性に優れ、低粘度になるため作業性がよい。この特性により優れる点で、10〜100質量部が好ましく、30〜100質量部が特に好ましい。
本発明に用いるシランカップリング剤は、特に限定されず、例えば、エポキシ基、アミノ基(ウレイド基)、メルカプト基、(ポリ)スルフィド基、ビニル基、メタクリロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、ハロゲンおよびシクロプロピル基からなる群より選択される少なくとも1種の有機官能基を持つシランカップリング剤が挙げられる。
より具体的には、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン化合物;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等の(ポリ)スルフィド基含有シラン化合物;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニル基含有シラン化合物;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ基含有シラン化合物;
β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン化合物;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートエチルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートエチルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートエチルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン化合物;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン化合物;メチルシリルエステル等のシリルエステル;オルソケイ酸エステル等のシラン化合物等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
中でも、重合体(A)およびエポキシ樹脂との相溶性に優れ、硬化物の透明性を高くすることができ、プラスチック光ファイバーとの接着性にも優れる点で、エポキシ基含有シラン化合物、アミノ基含有シラン化合物、メタクリロキシ基含有シラン化合物、メチルシリルエステルおよびオルソケイ酸エステルが好ましい。
上記シランカップリング剤は、市販品を用いてもよく、製造してもよい。製造条件は特に限定されず、公知の方法、条件で行うことができる。
<(C)エポキシ樹脂>
本発明の組成物はエポキシ樹脂を、重合体(A)100質量部に対して、1〜100質量部含有する。本発明の組成物は、エポキシ樹脂を含有するので、接着強度、耐熱性に優れ、貯蔵安定性が良い。
また、エポキシ樹脂の含有量が上記の範囲であると、接着性に優れ、貯蔵安定性が良い。この特性により優れる点で、10〜100質量部がより好ましく、30〜100質量部が特に好ましい。
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レソルシノール、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレソルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルエステル型;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型;アニリン、トルイジン、トリブロモアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等から誘導されるグリシジルアミン型;さらにエポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレート等;ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル、スチレンオキサイド等のモノエポキシ化合物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
中でも、ビスフェノールA、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が、入手の容易さおよび硬化物の性質(性能)のバランスが良好であることから好ましい。
上記エポキシ樹脂は市販品を用いてもよく製造してもよい。製造条件は特に限定されず、公知の方法、条件で行うことができる。
<(D)硬化触媒>
本発明の組成物は硬化触媒を、重合体(A)100質量部に対して、1〜50質量部含有する。本発明の組成物から硬化触媒を除いたものでも、湿気によって硬化することは可能であるが、硬化時間が長いため実用的ではない。硬化触媒を含有することにより、本発明の組成物は、硬化反応の進行を促進して硬化に到る作業時間の短縮を図ることができ、これによりタックフリータイムも短縮され、実用上優れる。
また、硬化触媒の含有量が上記の範囲であると、硬化触媒の作用を十分に発揮でき、他の成分との相溶性に関しても問題がなく、硬化時に局所的な発熱や発泡が生じることもないという点で、1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部が特に好ましい。
硬化触媒としては、特に限定されず、例えば、オクタン酸亜鉛、オクタン酸鉄、オクタン酸マンガン、オクタン酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉄、ブタン酸錫、カプリル酸錫、オレイン酸錫のようなカルボン酸金属塩;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジフェニル錫ジアセテート、酸化ジブチル錫、酸化ジブチル錫とフタル酸エステルとの反応生成物、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫(トリエトキシシロキシ)、ジブチル錫シリケートのような有機錫化合物;ジブチル錫ジアセチルアセトナートのような錫キレート化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ−2−エチルヘキシルオキシチタン、テトライソプロペニルオキシチタンのようなチタン酸エステル;ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(アセチルアセトナート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタントリス(アセチルアセトナート)のようなチタンキレート化合物;テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムステアレートのようなジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)のようなジルコニウムキレート化合物;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウムのようなアルミニウムアルコキシド;ジイソプロポキシアルミニウム(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)のようなアルミニウムキレート化合物;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミンのような第1級アミン;ジブチルアミンのような第2級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミンのようなポリアミン;トリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンのような環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのようなアミノフェノール化合物等のアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタートのような第4級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が挙げられる。これらの硬化触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、保存中および取り扱い中に揮発しにくいことから、金属化合物が好ましく、中でも微量の配合で優れた触媒能が得られることから、有機錫化合物、錫キレート化合物およびチタン酸エステルが好ましい。
また、本発明の組成物の硬化物が高い透明性を有する硬化触媒が好ましい。具体的には、4価の錫または4価のジルコニウムを含む硬化触媒が好ましい。該硬化触媒を含有する本発明の組成物は、接着性が高く、硬化物が高い透明性を有するので、光ファイバー同士を接合する際の光路用接着剤組成物として好適に用いられる。
4価の錫を含む硬化触媒としては、例えば、上記有機錫化合物等が挙げられる。市販品としては、例えば、ジブチル錫シリケート(U303、日東化成社製)、ジブチル錫ジラウレート(U−100、日東化成社製 )、ジブチル錫ジアセテート(U−220、日東化成社製 )、ジブチル錫ジメトキシド(SCAT−27、三共有機合成社製 )等が挙げられる。
4価のジルコニウムを含む硬化触媒としては、例えば、上記ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムキレート化合物等が挙げられる。市販品としては、例えば、テトラノルマルプロポキシジルコニウム(オルガチックスZA−40、松本製薬工業社製)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(オルガチックスZC−150、松本製薬工業社製)、ジルコニウムトリブトキシステアレート(オルガチックスZB−320、松本製薬工業社製)等が挙げられる。
<添加剤>
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、上記重合体(A)以外のポリマー、反応遅延剤、補強剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラー等の各種添加剤等を含有することができる。
本発明の組成物は、補強剤を添加することにより、強度を向上することができる。補強剤としては、有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。耐熱性の観点から無機微粒子が好ましい。無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの補強剤の添加量は、上記重合体(A)100質量部に対して、100質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。これらの補強剤の粒子径は、接着層の透明性を確保するために、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。また添加する補強剤の屈折率は、マトリクスの屈折率と実質的に等しくすることが、透明性の観点から好ましい。
本発明の組成物は、湿気硬化型であり、1液型光学材料用接着剤組成物にも2液型光学材料用接着剤組成物にも用いることができる。本発明の組成物は、湿気にさらすと、加水分解性ケイ素含有基の加水分解により、硬化反応が進行する。1液型光学材料用接着剤組成物は、空気中の水分により硬化されるので、作業性に優れる。
本発明の組成物は、硬化触媒の量を増やすことにより、空気中の湿気により数分間で硬化させることができる。また、硬化触媒の量を減らすことにより数時間のポットライフを有する光学材料用接着剤組成物とすることができる。
また、上記重合体(A)100質量部と、上記(B)シランカップリング剤1〜100質量部と、上記(C)エポキシ樹脂1〜100質量部と、上記(D)硬化触媒1〜50質量部とを含有する光学材料用接着剤組成物をA液、水をB液とする2液型の光学材料用接着剤組成物とした場合、硬化速度および深部硬化性に優れる。B液(水)は、上記重合体(A)100質量部に対して、1〜50質量部混合するのが好ましい。この範囲であれば、硬化速度が適度で、接着作業をするのに十分なポットライフを有する。また、深部硬化性に優れるため接着強度が高い光学材料用接着剤組成物を得ることができる。この特性により優れる点で、1〜30質量部混合するのがより好ましい。
また、1液型と2液型の光学材料用接着剤組成物のいずれにおいても、必要に応じて、加熱処理することにより硬化時間を短縮することができる。
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上記各種成分と、所望により添加する添加剤とを、好ましくは減圧下または不活性雰囲気下で、ボールミル等の混合装置を用いて十分に混練し、均一に分散させることにより得られる。
本発明の組成物は、主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体(重合体(A))と、シランカップリング剤と、エポキシ樹脂と、硬化触媒とを特定の割合で含有するので、湿気硬化が可能で、接着性、特にガラスおよびプラスチックに対する接着性に優れ、さらに、耐湿熱性にも優れる。また、特定の硬化触媒を用いる場合、硬化物は高い透明性を有するものになる。したがって、本発明の組成物は、光学材料の接合に好適に用いることができる。
本発明の組成物の接着対象となる光学材料としては、例えば、光ファイバー、レンズ、フィルタ、光導波路、回折格子、光アクティブ素子、フェルール等が挙げられる。光ファイバーとしては、シングルモード光ファイバー、マルチモード光ファイバーが挙げられる。レンズとしては、例えば、屈折率分布レンズ、球面レンズ、非球面レンズ、平凸レンズ等が挙げられる。光フィルタとしては、例えば、誘電体多層膜からなる狭帯域フィルタ、バンドパスフィルタ、偏光フィルタ等が挙げられる。光導波路としては、例えば、シングルモード光導波路、マルチモード光導波路およびこれらの光導波路に、周期的に屈折率を変調させたブラッグ回折格子を有するもの等が挙げられる。フェルールとしては、酸化ジルコニウム製フェルール、結晶化ガラス製フェルール等が挙げられる。
これらの光学材料を構成する材料としては、例えば、ガラス材料、プラスチック材料、金属、有機無機複合材料等が挙げられる。
すなわち、本発明の組成物は、例えば、ガラス製光ファイバー、プラスチック光ファイバー、ジルコニア製フェルール、結晶化ガラス製フェルール等の接着に好適に用いることができ、ガラス製またはプラスチック製の光ファイバー同士を接着したり、ガラス製またはプラスチック製の光ファイバーとジルコニア製または結晶化ガラス製のフェルールとを接着することができる。
これらの光学材料を組み立てる場合、第1の光学材料(例えば、光ファイバー)と第2の光学材料(例えば、フェルール)の間に、本発明の組成物を配置した後、硬化させて所望の強度を有する結合部を形成することができる。
また、本発明の組成物を用いて接合する接着体の面にプライマー層を形成してもよい。プライマー層を形成することにより、接着性を高くすることができる。これらのプライマー層を形成する化合物としては、例えば、1分子内に少なくとも1個の硫黄原子を有しかつケイ素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも2個有する含硫黄アルコキシシラン化合物、1分子内に少なくとも1個の窒素原子を有しかつケイ素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも2個有する含窒素アルコキシシラン化合物、1分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有しかつケイ素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも2個有する含エポキシアルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤およびそれらの加水分解・脱水縮合化合物等が挙げられる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。
(実施例1〜3および比較例1〜2)
下記第1表に示す量の各成分を混合し1液型の接着剤組成物を得た。
第1表中の各成分は、下記のとおりである。
重合体(A):商品名 SMAP SA100S、鐘淵化学工業社製
エポキシシラン:商品名 A187、日本ユニカー社製
メチルシリルエステル:商品名 MSE100、旭化成ワッカー社製
アクリルシラン:商品名 A174、日本ユニカー社製
エポキシ樹脂(ビスフェノールAグリシジルエーテル):商品名 YD128、東都化成社製
硬化触媒(ジブチル錫シリケート):商品名 U303、日東化成社製
得られた接着剤組成物を、20℃、湿度65%RHの環境下で3日間養生した後、JIS K6852−1994に準拠して、被着材としてガラス板を用いた場合と、アクリル板(PMMA)を用いた場合の圧縮剪断強度(それぞれ、第1表および第2表中、初期圧縮剪断強度(ガラス)、初期圧縮剪断強度(アクリル)とする。)を測定した。
次に、得られた接着剤組成物を、20℃、湿度65%RHの環境下で3日間養生した後、さらに、80℃、湿度95%RHの環境下で10日間湿熱劣化させた後、上記と同様の方法で、被着材としてガラスを用いた場合と、アクリル板を用いた場合の圧縮剪断強度(それぞれ、第1表および第2表中、湿熱劣化後の圧縮剪断強度(ガラス)、湿熱劣化後の圧縮剪断強度(アクリル)とする。)を測定した。
また、得られた接着剤組成物を、20℃、湿度65%RHの環境下で3日間養生して、厚さ20μmのフィルム状にした後、分光光度計を用いて、波長400〜900nmにおける可視光透過率(%)を測定した。
結果を下記第1表に示す。
Figure 2005281494
実施例1〜3の接着剤組成物は、ガラス板、アクリル板のいずれにも高い初期圧縮剪断強度を有し、湿熱劣化後の圧縮剪断強度の低下が小さく、可視光透過率にも優れていた。
一方、比較例1および2の接着剤組成物は、ガラス板、アクリル板のいずれに対しても初期圧縮剪断強度が低く、湿熱劣化後の圧縮剪断強度が著しく低下しており実用化するには問題があった。
(実施例4〜6、比較例3〜5)
下記第2表に示す量のA液の各成分を混合してA液とした後、さらに第2表に示す量のB液の成分を加えて混合し、混合させた状態の2液型の接着剤組成物を得た。
第2表中、エポキシ系接着剤組成物(商品名 エポテック353ND、ムロマチテクノス社製)以外の各成分は、上記第1表の各成分と同様である。
次に、得られた2液型の接着剤組成物を用いて実施例1〜3および比較例1〜2と同様の条件、方法で、初期圧縮剪断強度(ガラス)、初期圧縮剪断強度(アクリル)、湿熱劣化後の圧縮剪断強度(ガラス)、湿熱劣化後の圧縮剪断強度(アクリル)、および波長400〜900nmにおける可視光透過率(%)を測定した。
結果を第2表に示す。
Figure 2005281494
実施例4〜6の接着剤組成物は、ガラス板、アクリル板のいずれにも高い初期圧縮剪断強度を有し、湿熱劣化後の圧縮剪断強度の低下が小さく、可視光透過率にも優れていた。
一方、比較例3および4の接着剤組成物は、ガラス板、アクリル板のいずれに対しても初期圧縮剪断強度が低く、湿熱劣化後の圧縮剪断強度が著しく低下しており実用化するには問題があった。
また、比較例5は、従来より光学材料用接着剤組成物として用いられている2液型のエポキシ系接着剤組成物であるが、湿熱劣化後の圧縮剪断強度の低下が著しく、可視光透過率も低かった。
(実施例7)
<光ファイバー同士の接合>
図1は、本発明の組成物を用いて光ファイバー同士を接合したものの一例の模式的な断面図である。図1に示すように、それぞれポリマー被覆層4、コア部2およびクラッド部3を有する第1および第2の2本のシングルモードのガラス製光ファイバー(長さそれぞれ約1m)1,21のそれぞれの端部を長さ2cmにわたってポリマー被覆層4を除去し、それらの端部を約25μmの間隔が開くように突き合わせて光学ベンチ(図示せず)の上で調芯する。次に、波長が1550nmのレーザー光を第1の光ファイバー1の他の端部から入射させて第1の光ファイバー1内に通し、第2の光ファイバー21の他の端部から出射させたときの光の損失値が最低になるように、ファイバーの配置を調節した。この状態で、実施例1の接着剤組成物を2本のファイバーの間に塗布し、20℃、65%RHの環境下で3日間静置して、接着層(光路)5を介して第1の光ファイバー1と第2の光ファイバー21を接合させた。
次に、この第1の光ファイバーと第2の光ファイバーを接合させたもの、および、これを80℃、湿度95%RHの環境下に10日間放置したものについて、接着部分が両手の間にくるように光ファイバを掴んで軽く引っ張ったが、いずれも接着部分が破壊されることはなかった。また、接着剤組成物を硬化させた後の光損失値は、接着剤組成物塗布前の光損失値とほぼ同じ値だった。
(実施例8)
<光ファイバーとフェルールとの接合>
図2は、本発明の組成物を用いて光ファイバーとフェルールを接合したものの一例の模式的な断面図である。図2に示すように、ポリマー被覆層4、コア部2およびクラッド部3を有するシングルモードのガラス製光ファイバー(長さ約1m)31の端部を長さ2cmにわたってポリマー被覆層4を除去した部分に、実施例1の光学材料用接着剤組成物を塗布し、プラグ8に固定されているフェルール7の空洞部に挿入し、20℃、65%RHの環境下で3日間静置して、接着層6を介して光ファイバー31とフェルール7を接合させた。その後、フェルールの端面を精密に研磨した。
次に、この光ファイバーとフェルールを接合させたもの、および、これを80℃、湿度95%RHの環境下に10日間放置したものについて、それぞれフェルールと光ファイバを掴んで軽く引っ張ったが、いずれも接着部分が破壊されることはなかった。
図1は、本発明の組成物を用いて光ファイバー同士を接合したものの一例の模式的な断面図である。 図2は、本発明の組成物を用いて光ファイバーとフェルールを接合したものの一例の模式的な断面図である。
符号の説明
1、21、31 光ファイバー
2 光ファイバーのコア
3 光ファイバーのクラッド
4 ポリマー被覆層
5 接着層(光路)
6 接着層
7 フェルール
8 プラグ

Claims (2)

  1. (A)主鎖がアクリル酸アルキルエステル単量体単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体100質量部と、
    (B)シランカップリング剤1〜100質量部と、
    (C)エポキシ樹脂1〜100質量部と、
    (D)硬化触媒1〜50質量部と
    を含有する光学材料用接着剤組成物。
  2. 前記(D)硬化触媒が、4価の錫または4価のジルコニウムを含む請求項1に記載の光学材料用接着剤組成物。
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