JP2005281225A - 新規塩基性抗菌ペプチド及びその利用 - Google Patents
新規塩基性抗菌ペプチド及びその利用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005281225A JP2005281225A JP2004098896A JP2004098896A JP2005281225A JP 2005281225 A JP2005281225 A JP 2005281225A JP 2004098896 A JP2004098896 A JP 2004098896A JP 2004098896 A JP2004098896 A JP 2004098896A JP 2005281225 A JP2005281225 A JP 2005281225A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cell
- peptide
- cell growth
- antibacterial
- promotion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K7/00—Peptides having 5 to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
- C07K7/04—Linear peptides containing only normal peptide links
- C07K7/08—Linear peptides containing only normal peptide links having 12 to 20 amino acids
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P1/00—Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
- A61P1/02—Stomatological preparations, e.g. drugs for caries, aphtae, periodontitis
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/04—Antibacterial agents
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N5/00—Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
- C12N5/06—Animal cells or tissues; Human cells or tissues
- C12N5/0602—Vertebrate cells
- C12N5/0652—Cells of skeletal and connective tissues; Mesenchyme
- C12N5/0662—Stem cells
- C12N5/0663—Bone marrow mesenchymal stem cells (BM-MSC)
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2501/00—Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
- C12N2501/998—Proteins not provided for elsewhere
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Developmental Biology & Embryology (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Zoology (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Hematology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Immunology (AREA)
- Rheumatology (AREA)
- Oncology (AREA)
- Communicable Diseases (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Biophysics (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Materials For Medical Uses (AREA)
- Cosmetics (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
【課題】 生体に対しての副作用や阻害作用がきわめて小さく、かつ、有用な活性を有する新規抗菌ペプチドを提供すること、及び、該抗菌ペプチドの抗菌剤又は細胞増殖促進剤としての利用を提供すること。
【解決手段】 特定のアミノ酸配列からなる新規塩基性抗菌ペプチドは、口腔内微生物に対しての広いスペクトルと強い抗菌性をもち、特に虫歯菌であるミュータンス菌に対して強い殺菌作用を有する。更に、この抗菌ペプチドは、間葉系幹細胞や線維芽細胞のような細胞の増殖促進活性を有する。該抗菌ペプチドのアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸を欠失、置換、或いは付加した誘導体である塩基性抗菌ペプチドを包含する。また、該塩基性抗菌ペプチドの抗菌剤又は細胞増殖促進剤としての利用を包含する。
【選択図】なし
【解決手段】 特定のアミノ酸配列からなる新規塩基性抗菌ペプチドは、口腔内微生物に対しての広いスペクトルと強い抗菌性をもち、特に虫歯菌であるミュータンス菌に対して強い殺菌作用を有する。更に、この抗菌ペプチドは、間葉系幹細胞や線維芽細胞のような細胞の増殖促進活性を有する。該抗菌ペプチドのアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸を欠失、置換、或いは付加した誘導体である塩基性抗菌ペプチドを包含する。また、該塩基性抗菌ペプチドの抗菌剤又は細胞増殖促進剤としての利用を包含する。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規塩基性抗菌ペプチド、及び、該塩基性抗菌ペプチドの抗菌剤及び細胞増殖促進剤としての利用に関する。
生物は外界の微生物に対して自らを防御するため、様々な防御機構を備えているが、その一つに抗菌性ペプチドを挙げることができる(デンタルダイヤモンド 26, No.356, 85-90, 2001)。かかる抗菌性ペプチドは、本来生物自らが産生しているものであるため、生体に対しての副作用あるいは阻害作用は極めて小さく、しかも細菌(グラム陽性、陰性を含む)及び真菌と広い抗菌スペクトルを持っているために、抗生物質に代わり得るものとして大きな期待を集めている。
かかる抗菌性のペプチドとして、ヒスタチン(Histatin)、ディフェンシン(Defensin)、ラクトフェリン(Lactoferrin)、ラクトフェリンの分解産物であるラクトフェリシン(Lactoferrcin)、マガイニン(Magainin)、セクロピン(Cecropin)、メリチチン(Melititin)、マキュラチン(maculatin)等の天然由来の抗菌性ペプチドや、オランダのACTAグループによりヒスタチン誘導体として合成されたDhvar4及びDhvar5(FEBS Lett, 449, 105-110, 1999)、更に、本発明者により合成された2つの抗菌ペプチド(特開2002−179698号公報、特開2002−179699号公報)等の設計された抗菌ペプチドが知られている。
天然のヒトヒスタチンファミリーとして、ヒトの顎下及び耳下の唾液分泌液中に見られる、ヒスチジンに富む12種類の低分子量ペプチド群が知られている(J.Biol.Chem., 261, 1177-1182, 1986;J.Biol.Chem., 263, 7472-7477, 1988
;J.Dent.Res., 69, 2-6, 1990)。これらヒスタチン類の中でも、それぞれ38、32及び24アミノ酸残基から構成されているヒスタチン1、3及び5がヒト唾液中に多く存在しており、成人健常者の唾液中に50〜450μg/mlの濃度で存在している(J.Biol.Chem., 273, 20438-20447, 1998)。抗カンジダ作用が最も高いとされているヒスタチン5は、ヒスタチン3の32のアミノ酸残基の1〜24残基と共通したアミノ酸配列を有している。
;J.Dent.Res., 69, 2-6, 1990)。これらヒスタチン類の中でも、それぞれ38、32及び24アミノ酸残基から構成されているヒスタチン1、3及び5がヒト唾液中に多く存在しており、成人健常者の唾液中に50〜450μg/mlの濃度で存在している(J.Biol.Chem., 273, 20438-20447, 1998)。抗カンジダ作用が最も高いとされているヒスタチン5は、ヒスタチン3の32のアミノ酸残基の1〜24残基と共通したアミノ酸配列を有している。
ディフェンシンファミリーは、6個のシステイン残基が3対の分子内ジスルフィド結合を形成するカチオン性のペプチドとして特徴づけられている。これらのシステイン残基のジスルフィド結合の組合せにより、ヒトディフェンシンファミリーは、α−及びβ−の2種のサブファミリーに分類される。1985年にGanzらにより初めて見出されたヒトα−ディフェンシンについては、現在6個の異なる分子が報告されている。また、ヒトβ−ディフェンシンには、腎臓、膵臓、尿管、気道、その他数種の上皮組織で構成的に発現するヒトβ−ディフェンシン−1と、皮膚、肺、口腔粘膜、唾液などにも存在することが確認され、41アミノ酸残基から成るシステインリッチのカチオン性ペプチドであるヒトβ−ディフェンシン−2とが知られている(Eur J Oral Sci; 109, 121-124, 2002)。また、ヒトβディフェンシン1及びヒトβディフェンシン2が、歯周炎の原因菌の1つであるグラム陰性菌のActinobacillus actinomycetemcomitanに強い抗菌活性があることや、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythus、Prevotella intermedia、Campylobacter rectus、Fusobacteriumspecies、Eubacterium species、Treponema speciesなどの歯周炎原因菌にも抗菌活性があることが知られている(特開2001−288105号公報)。
抗菌性のペプチドについては、近年、特許公報に、上記記載のもの以外にも、各種のものが開示されている。例えば、特開平2−53799号公報及び特開平5−271096号公報にはカブトガニ由来の抗菌ペプチドが、特表平2−500084号公報には蜜蜂の血リンパから単離された抗菌ペプチドが、特開平5−78392号公報、特開平5−92994号公報、特開平5−148295〜7号公報、特開平9−124504号公報、特開平9−165342号公報、及び特開平11−92375号公報にはラクトフェリン分解物から単離された抗菌ペプチドが、特開平6−80695号公報にはカエルの皮膚から分離された抗菌ペプチドが、それぞれ開示されている。
また、特開平8−119995号公報には蚕の体液から単離された抗菌ペプチド(モリシン)が、特開平10−1498号公報にはウシ胎児血清から単離された抗菌ペプチドが、特開2000−26499号公報にはカブトムシの生産する抗菌ペプチドが、特開2000−217578号公報にはヒト血漿成分由来の抗菌ペプチドが、特表2002−503641号公報にはカゼインのトリプシン消化物から単離された抗菌ペプチドが、特表2002−522556号公報にはアメリカガエルの皮膚から分離された抗菌ペプチドが、特開2003−267805号公報にはリゾチウムのトリプシン分解物から単離された抗菌ペプチドがそれぞれ開示されている。
一般に,抗菌性のペプチドは塩基性〜中性であり、かつ両親媒性である。微生物の細胞膜あるいは細胞壁は生体細胞に比べて陰性荷電が非常に高く、このようなペプチドの塩基性(pI値が高い)という性質は、微生物の細胞膜との(非特異的ではあるが)選択的な初期結合を促進するために必要であると考えられている。したがって、pI値が低く生理学的pH域で陽性(+)に荷電しにくいペプチドの場合、その多くが抗菌性はあっても細胞毒性が高いことが知られている。このように、抗菌ペプチドは、本来自然免疫と関連して、外来性の微生物刺激に反応して分泌される。このようなペプチドは、だ液などのイオン強度の低い溶液中では非常に強い抗菌活性を示す事が知られている(J.Biol.Chem., 273, 20438-20447, 1998;Biochim Biophys Acta., Dec 15;1462(1-2), 55-70, 1999)。
例えば、ヒスタチン5は20〜50mMPBSで抗菌活性を失うことが知られている。また、歯肉線維芽細胞や歯根膜細胞によっても産生されるβ−ディフェンシンは組織内ではほとんど抗菌活性は示さない(Jpn. J. Med Mycol, 41, 77-81, 2000)。これは組織液や血液のイオン強度が高いため抗菌活性が失われていると考えられている。
例えば、ヒスタチン5は20〜50mMPBSで抗菌活性を失うことが知られている。また、歯肉線維芽細胞や歯根膜細胞によっても産生されるβ−ディフェンシンは組織内ではほとんど抗菌活性は示さない(Jpn. J. Med Mycol, 41, 77-81, 2000)。これは組織液や血液のイオン強度が高いため抗菌活性が失われていると考えられている。
一方、現在、医科歯科領域において組織再生医学に関する研究及び臨床応用が趨勢を極めている。このような組織再生には、主として患者から採取した自己細胞(特に幹細胞)を体外で培養/増殖/分化させ、再生した組織を移植するという型がとられている。例えば、間葉系幹細胞を培養/増殖させる場合に、主として塩基性線維芽細胞増殖因子(塩基性FGF)が用いられている(特開2003−52365号公報)。しかし、この塩基性FGFは非常に高価であり、このため大量培養や増殖が非常に高価なものになる。また、培養途中、あるいは生体移植時に感染の恐れがあり、感染した場合には術後経過・予後が非常に悪くなるという問題が残っている。したがって、生体に対して安全であり、しかも安価な細胞増殖因子の開発が切に要望されているのが現状である。
特開平2−53799号公報。
特開平5−271096号公報。
特表平2−500084号公報。
特開平5−78392号公報。
、特開平5−92994号公報。
特開平5−148295〜7号公報。
特開平9−124504号公報。
特開平9−165342号公報。
特開平11−92375号公報。
特開平6−80695号公報。
特開平8−119995号公報。
特開平10−1498号公報。
特開2000−26499号公報。
特開2000−217578号公報。
特開2001−288105号公報。
特開2002−179698号公報。
特開2002−179699号公報。
特表2002−503641号公報。
特表2002−522556号公報。
特開2003−52365号公報。
特開2003−267805号公報。
デンタルダイヤモンド 26, No.356, 85-90, 2001。
FEBS Lett, 449, 105-110, 1999。
J.Biol.Chem., 261, 1177-1182, 1986。
J.Biol.Chem., 263, 7472-7477, 1988。
J.Dent.Res., 69, 2-6, 1990。
J.Biol.Chem., 273, 20438-20447, 1998。
Eur J Oral Sci; 109, 121-124, 2002。
J.Biol.Chem., 273, 20438-20447, 1998。
Biochim Biophys Acta., Dec 15;1462(1-2), 55-70, 1999。
Jpn. J. Med Mycol, 41, 77-81, 2000。
本発明の課題は、生体に対しての副作用や阻害作用がきわめて小さく、かつ、有用な活性を有する新規抗菌ペプチドを提供すること、及び、該抗菌ペプチドの抗菌剤又は細胞増殖促進剤としての利用を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、新規抗菌ペプチドについて鋭意探索する中で、本発明者が人為的に設計した新規なアミノ酸配列を有する塩基性抗菌ペプチドが、口腔内微生物に対しての広いスペクトルと強い抗菌性をもち、特に虫歯菌であるミュータンス菌に対して強い殺菌作用を有し、更に、この抗菌ペプチドが、間葉系幹細胞や線維芽細胞のような細胞の増殖促進活性を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。本発明の新規抗菌ペプチドは、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなり、本発明は、該抗菌ペプチドのアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸を欠失、置換、或いは付加した誘導体である塩基性抗菌ペプチドを包含する。また、本発明は、本発明の塩基性抗菌ペプチドの抗菌剤又は細胞増殖促進剤としての利用を包含するものである。
本発明の開発の経緯について説明すると、抗菌ペプチドは、本来自然免疫と関連して、外来性の微生物刺激に反応して分泌される。このようなペプチドは、だ液などのイオン強度の低い溶液中では非常に強い抗菌活性を示す事が知られている(J Biol Chem 273:20438-47,1998; Biochim Biophys Acta. 1999 Dec 15;1462(1-2):55-70))。例えば、ヒスタチン5は20〜50mMPBSで抗菌活性を失う事が知られている。一方で、歯肉線維芽細胞や歯根膜細胞によってもβデフェンシンという抗菌ペプチドが産生されるが、組織内ではほとんど抗菌活性は示されない(安部茂,山口英世;真菌感染に対する生体防御, Jpn. J. Med Mycol, 41, 77-81, 2000)。これは組織液や血液のイオン強度が高いため抗菌活性が失われていると考えられている。
本発明者は、これまでに天然の抗菌ペプチドの細胞増殖作用並びに人為的に設計したアミノ酸配列を持つ抗菌ペプチドについて合成を行い、その抗菌作用及び細胞増殖作用等についてを鋭意研究を行なってきたが、今回、人為的に設計した新規なアミノ酸配列を持つペプチド(JH8944)を合成し、その抗菌性並びにラット間葉系幹細胞に対する細胞増殖効果を検討した。その結果として、今回、人為的に設計したぺプチドが、カンジダ属酵母に弱いながら殺菌効果を示すと共に、虫歯菌であるミュータンス菌に強い殺菌活性を示す事を見い出した。これは図1に示す如くGroeninkらが、グラム陽性菌,グラム陰性菌に広いスペクトルを持つと報告( FEMS Microbiol Lett. 1999 Oct 15;179(2):217-22.)しているLFBshortよりも有意に強い効果であった。
更に、本発明者が、今回人為的に設計した新規なアミノ酸配列を持つペプチドについて、その細胞増殖作用について検討したところ、該ペプチドが、ラット間葉系幹細胞に対する細胞増殖効果を示す(図2)ことを見い出し、本発明を完成するに至った。本発明の抗菌ペプチドに類するものは、本来自然界に存在するものであるので、生体に対しての副作用や阻害作用がきわめて小さく、生物に投与した場合に、安全に効能を発揮させることができ、抗生物質などのような生体に対する為害性や副作用を回避することが可能である。しかも、本発明の抗菌性ペプチドは、塩基性FGFに比べて非常に安価であり、細胞増殖促進剤としての利用に際して、安価な薬剤としての利用が可能である。また、本発明の抗菌性ペプチドは、口腔内微生物に対しての広いスペクトルと強い抗菌性を持っており、これらの微生物に対する有効な抗菌剤としての利用が可能である。更に、抗菌剤としての使用に対する耐性菌の出現に対しても、自然免疫の成分ということから現在、その可能性は非常に低いことが期待される。
すなわち具体的には本発明は、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する塩基性抗菌ペプチド、又は、該ペプチドのアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸を欠失、置換、或いは付加した誘導体である塩基性抗菌ペプチド(請求項1)や、請求項1の塩基性抗菌ペプチド、又は、その薬学的に許容される誘導体或いはその薬学的に許容される塩類を有効成分とする抗菌剤(請求項2)や、抗菌剤が、口腔内微生物用の殺菌剤であることを特徴とする請求項2記載の抗菌剤(請求項3)や、口腔内微生物が、ミュータンス菌であることを特徴とする請求項3記載の抗菌剤(請求項4)や、請求項1記載の塩基性抗菌ペプチドからなる細胞増殖促進因子(請求項5)や、細胞増殖の促進が、間葉系幹細胞又は線維芽細胞の細胞増殖促進であることを特徴とする請求項5記載の細胞増殖促進因子(請求項6)や、間葉系幹細胞の細胞増殖促進が、歯槽骨の骨髄、口蓋又は歯槽骨の骨膜から分離された間葉系幹細胞の細胞増殖促進であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の細胞増殖促進因子(請求項7)や、線維芽細胞の細胞増殖促進が、歯肉線維芽細胞の細胞増殖促進であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の細胞増殖促進因子(請求項8)や、請求項5〜8のいずれか記載の細胞増殖促進因子を有効成分としてなる細胞増殖促進剤(請求項9)からなる。
また本発明は、請求項9記載の細胞増殖促進剤を用いて、インビトロ又はインビボの細胞増殖における細胞増殖促進を行なうことを特徴とする細胞の増殖方法(請求項10)や、インビトロの細胞増殖における細胞増殖促進が、間葉系幹細胞の細胞増殖における細胞増殖促進であることを特徴とする請求項10記載の細胞の増殖方法(請求項11)や、インビボの細胞増殖における細胞増殖促進が、組織移植における、移植組織細胞の増殖促進であることを特徴とする請求項10記載の細胞の増殖方法(請求項12)からなる。
本発明の新規抗菌ペプチドは、生体に対しての副作用や阻害作用がきわめて小さく、生物に投与した場合に、安全に効能を発揮させることができ、しかも、本発明の抗菌ペプチドは、塩基性FGFに比べて非常に安価であるので、生体内に投与する抗菌剤として、安全かつ有効な効能の薬剤としての利用が可能であり、また、細胞増殖促進剤として、安価で有効な薬剤としての利用が可能である。特に、本発明の抗菌ペプチドは、口腔内微生物に対しての広いスペクトルと強い抗菌性を持っており、これらの微生物に対する有効な抗菌剤としての利用が可能であり、更に、抗菌剤としての使用に対する耐性菌の出現に対しても、自然免疫の成分ということから現在、その可能性は非常に低いことが期待される。
また、本発明の抗菌ペプチドは、細胞増殖促進剤として用いて、インビトロ又はインビボの細胞増殖における有効な細胞増殖促進を行なうことができる。そして、本発明の抗菌ペプチドは、安価に提供できるとという利点から、本発明の塩基性抗菌ペプチドを有効成分とする細胞増殖剤として用いて、各種細胞、特に幹細胞などをインビトロで、経済的にかつ効率よく増殖させることが可能となる。特に、本発明の細胞増殖促進剤は、インビボにおける実際の臨床応用における組織移植の際の細胞増殖促進剤として有効に利用することができ、かかる場合に抗菌性を有するペプチドとしての細胞の移植後組織内での増殖促進は、術後感染の防止という観点からも非常に重要な意味を持つものである。
本発明は、 配列表の配列番号1に示される新規アミノ酸配列を有する塩基性抗菌ペプチド、又は、該ペプチドのアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸を欠失、置換、或いは付加した誘導体である塩基性抗菌ペプチドよりなり、該塩基性抗菌ペプチド、又は、その薬学的に許容される誘導体或いはその薬学的に許容される塩類を有効成分とする抗菌剤、或いは、該塩基性抗菌ペプチドからなる細胞増殖促進剤を提供することからなる。
本発明において、抗菌作用の対象となる微生物としては特に限定されないが、本発明の塩基性抗菌ペプチドが広い抗菌スペクトルと強い抗菌作用を有する口腔内微生物が、対象となる微生物として挙げることができる。また、本発明の塩基性抗菌ペプチドが特に強い殺菌作用を示す虫歯菌であるミュータンス菌が、特に対象となる微生物として挙げることができる。本発明の塩基性抗菌ペプチドからなる細胞増殖促進剤の細胞増殖促進の対象となる細胞としては、特に限定されないが、間葉系幹細胞又は線維芽細胞等の動物細胞を増殖促進の対象として挙げることができ、該細胞の増殖は、細胞増殖促進剤を用いて、インビトロ又はインビボで行なうことができる。間葉系幹細胞の細胞増殖促進としては、歯槽骨の骨髄、口蓋又は歯槽骨の骨膜から分離された間葉系幹細胞(特開2003−52365号公報)の細胞増殖促進をあげることができる。また、インビボの細胞増殖における細胞増殖促進としては、組織移植における、移植組織細胞の増殖促進等を挙げることができる。
更に、本発明の細胞増殖促進の対象となる細胞を具体的に挙げれば、骨髄未分化間葉系幹細胞、骨格筋幹細胞、造血系幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、脂肪組織幹細胞、脂肪前駆細胞、血管内皮前駆細胞、軟骨前駆細胞、リンパ球系前駆細胞、NK前駆細胞、胚性幹細胞等の幹細胞を挙げることができ、中でも骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、筋肉細胞、腱細胞、歯根膜、セメント質などの細胞へと分化しうる又はそれらの修復を促進しうる多能性を有する未分化な細胞である間葉系幹細胞を適合した対象として挙げることができる。幹細胞の場合、本発明の細胞の増殖方法には、細胞の分化誘導培養方法も含まれ、例えば、間葉系幹細胞の分化誘導培養は、特開2003−52360号公報に記載の方法で行うことができる。
非ヒト動物体内などインビボで細胞を増殖させる場合、本発明の細胞増殖剤を局所に添加することにより対象とする細胞を、汚染微生物の増殖抑制下に増殖することができる。この場合、抗菌性ペプチドなどの細胞増殖剤を発現しうるDNAベクターの形態で添加することもできる。インビトロや、細胞が生体から摘出され、一時的にインビトロで培養されて、生体内に戻されるエクスビボで細胞を増殖させる場合、当該細胞の培養に通常用いられている培地条件下で培養することができる。
本発明の塩基性抗菌ペプチドは、遺伝子工学的手法により作製することもできるが、ペプチド合成法により化学的に合成することができる。ペプチド合成には、液相法及び固相法が存在するがいずれの方法も使用することができる。液相法は、反応を溶液状態で行い反応混合物から生成物を単離精製し、この生成物を中間体として次のペプチド伸長反応に用いる方法である。一方、固相法は、反応溶媒に不溶の固相担体にアミノ酸を結合させ、このアミノ酸に準じ縮合反応を行いペプチド鎖を伸長させていく方法である。
ペプチドの化学合成は、カルボキシル基を保護したアミノ酸にアミノ基を保護したアミノ酸を脱水縮合させ、ペプチド結合を形成させ、次にアミノ保護基を除去後、遊離したアミノ基に次のアミノ基保護アミノ酸を順次、C末端からN末端に向かって一つずつ延長していく方法が基本である。脱水縮合反応では、カルボキシル基を活性化して、結合させようとするアミノ基と反応させる。この活性化には、ジシクロへキシカルボジイミド(DCC)法、活性エステル法、酸無水物法、アジド法等があるがその反応性の高さとラセミ化その他の副反応を考慮して選ばれる。縮合反応時の副反応を防止するためにアミノ酸のアミノ基、カルボキシル基、側鎖(R)の官能基には保護基が導入される。これらの保護基は、縮合反応の条件で安定であり、必要なときには速やかに除去されるものが好ましい。また、アミノ基の保護基とカルボキシル基の保護基とは互いに選択的に除去されることが好ましい。
アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(Bz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、p−ビフェニルイソプロピロオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(fmoc)等を挙げることができる。カルボキシ基の保護基としては、たとえばアルキルエステル、ベンジルエステル等を形成し得る基を挙げることができる。但し、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹脂、P−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤の存在下、あるいはN−保護アミノ酸活性エステル又はペプチド活性エステルを用いて実施する。縮合反応終了後、保護基は除去されるが、固相の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合を切断する。更に、化学合成されたペプチドは通常の方法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等により精製される。合成したペプチドは、エドマン分解法でC−末端からアミノ酸配列を読み取るプロティンシークエンサー、GC−MS等で分析することができる。
本発明の抗菌ペプチドは、遺伝子工学的手法を用いて調製することもできる。遺伝子工学的手法としては、例えば、本発明の新規ペプチドをコードするDNA配列を合成し、該DNA配列からなる遺伝子が挿入された発現ベクターにより形質転換又は形質導入された宿主細胞を用いて遺伝子を発現し、新規ペプチドを生産する。該遺伝子工学的手法に用いられる宿主細胞としては、宿主細胞としては、真核細胞及び原核細胞のいずれをも用いることができる。真核細胞としては動物、植物、昆虫、酵母等の細胞が、また原核細胞としては大腸菌、枯草菌、放線菌等適宜の宿主細胞を用いることができる。また、該遺伝子工学的手法に用いられるベクターとしては、公知の宿主細胞に適合した適宜のベクターを用いることができる。
本発明の抗菌ペプチドは、製薬学的に許容される誘導体或いは塩の形態で用いることもできる。抗菌ペプチドの誘導体としては、抗菌ペプチドの一部置換体または付加化合物等のペプチド誘導体であり、例えば、カルボキシル基をアミド化またはアシル化した誘導体を例示することができる。また、かかる塩としては、塩酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩、及び、p−トルエンスルホン酸塩、メタスルホン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。本発明の抗菌剤及び/又は細胞増殖促進剤は、他の抗菌剤及び/又は細胞増殖促進剤と併用することもできる。本発明の抗菌剤は、医薬組成物又は食品の形態として使用することができる。医薬組成物は、医薬品、医薬部外品のいずれも含む。これらは、常法により錠剤、顆粒剤、粉末剤、ゲル、カプセル剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、液剤、軟膏、外用剤等の種々の剤型とすることができる。これらの医薬組成物は、抗菌ペプチド 又はその製薬学的に許容される塩に、必要に応じてプロテアーゼ阻害剤、さらに製薬学的に許容される担体を配合して製造することができる。
具体的には、固形製剤の場合は、抗菌ペプチド 等に、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤、増量剤、被覆剤、糖衣剤等を加え、常法により製造することができる。あるいはリポソーム等で抗菌ペプチド 等を包接した製剤形態とすることもできる。液体製剤の場合は、様々な塩及び緩衝剤によって緩衝化された溶液、懸濁液、乳濁液等の形態とすることができる。塩としては、アルカリもしくはアルカリ土類ハロゲン化物、リン酸塩、又は硫酸塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、又は硫酸ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤としては、例えばクエン酸塩、リン酸塩、HEPES、トリス等を、この種の緩衝剤が処置される対象に、生理学的に許容され得る程度で使用することができる。注射剤の場合は、抗菌ペプチド 等を、注射用蒸留水等の水性担体に予め溶解、分散、乳化等して注射用液剤とするか、または注射用粉末にして用時に溶解すればよい。
投与方法に特に制限はなく、医薬組成物の形態及び投与対象の性状等に応じて、種々の様式で投与することができる。例えば、経口、静脈内、皮下、経皮、筋肉内、腹膜内、鼻咽頭等投与が可能である。食品の場合は、ジュース、お茶等の飲料;うどん、そば、トウフ、カマボコ、ゼリー等のゲル状食品等任意の形態の食品とすることができる。これらは、各食品の原料に抗菌ペプチド 等を添加し、常法にしたがって製造することができる。また、口腔内微生物を対象にした場合は、うがい薬やハミガキ等、口腔内に適用される製品に配合することも可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(塩基性抗菌ペプチドの化学合成)
fmoc法による固相合成法により7種類の塩基性抗菌ペプチドの化学合成をTANA laboratories., Texas, USAに依頼した。fmoc法による固相合成法で縮合剤としてはHATU・N, N-dimethylformamidを使用した。合成後、HPLC及び逆相クロマトグラフィーにより精製した後、Mass spectrometry (Matrix Assisted Laser Desorption lonization-TOF/MS)いわゆるトフマスにて分子量を確認した。本化学合成により、本発明の塩基性抗菌ペプチド(JH8944)[配列表の配列番号1]:FKCKKVVISLRRY(Phe Lys Cys Lys Lys Val ValIle Ser Leu Arg Arg Tyr )を得た。
fmoc法による固相合成法により7種類の塩基性抗菌ペプチドの化学合成をTANA laboratories., Texas, USAに依頼した。fmoc法による固相合成法で縮合剤としてはHATU・N, N-dimethylformamidを使用した。合成後、HPLC及び逆相クロマトグラフィーにより精製した後、Mass spectrometry (Matrix Assisted Laser Desorption lonization-TOF/MS)いわゆるトフマスにて分子量を確認した。本化学合成により、本発明の塩基性抗菌ペプチド(JH8944)[配列表の配列番号1]:FKCKKVVISLRRY(Phe Lys Cys Lys Lys Val ValIle Ser Leu Arg Arg Tyr )を得た。
(S.mutansに対する殺菌活性)
殺菌活性の試験は、Edgertonらの方法で行った( Edgerton M, Koshlukova SE, Lo TE, Chrzan BG, Straubinger RM, Raj PA. Candidacidal activity of salivary histatins. Identification of a histatin 5-binding protein on Candida albicans.J Biol Chem. 1998 Aug 7;273(32):20438-47)。
試験の結果、殺カンジダ作用においては、殺カンジダ作用が強いと報告されていたJH8194では( FEMS Microbiol Lett. 1999 Oct 15;179(2):217-22)、100μMで100%±0の殺菌率を示したのに対して、本発明の抗菌ペプチド(JH8944)では10μMで100%±0の殺菌率を示し,グラム陽性菌,グラム陰性菌に広いスペクトルを持つと報告されているLFBshortよりも有意に強い効果を示した。結果を、図1に示す。
殺菌活性の試験は、Edgertonらの方法で行った( Edgerton M, Koshlukova SE, Lo TE, Chrzan BG, Straubinger RM, Raj PA. Candidacidal activity of salivary histatins. Identification of a histatin 5-binding protein on Candida albicans.J Biol Chem. 1998 Aug 7;273(32):20438-47)。
試験の結果、殺カンジダ作用においては、殺カンジダ作用が強いと報告されていたJH8194では( FEMS Microbiol Lett. 1999 Oct 15;179(2):217-22)、100μMで100%±0の殺菌率を示したのに対して、本発明の抗菌ペプチド(JH8944)では10μMで100%±0の殺菌率を示し,グラム陽性菌,グラム陰性菌に広いスペクトルを持つと報告されているLFBshortよりも有意に強い効果を示した。結果を、図1に示す。
(塩基性抗菌ペプチドの間葉系幹細胞に対する細胞増殖効果)
塩基性抗菌ペプチド:fmoc法により合成した。
ラビット間葉系幹細胞 :ラビット腸骨より採取
細胞増殖培地 :血清加MEM培地,
細胞増殖培養条件 :5%CO2下,37℃
細胞数測定法法 :細胞内ATP量をルシフェリン/ルシフェラーゼ反応により測定した。
本発明の抗菌ペプチド(JH8944)を用いて、ラビット間葉系細胞(rabit
MSC)、ヒト歯肉繊維芽細胞(HGFB)、及びラットembryo/fetus由来(3Y1)に対する細胞増殖効果を検討した。各ペプチドの濃度は0〜10μg/mlとし、濃度0の時の細胞増殖を100として相対比率で検討した。細胞の培養にはDMEMメディウムを用い、対数増殖期後期にペプチドの添加を行った。結果は、0.1〜1μg/mlで、本発明の抗菌ペプチド(JH8944)は、非常に高い細胞増殖を示し、どの細胞に対してもβFGFと同等かそれ以上の増殖促進効果を示した(図2−A、図2−B)更に、本発明の抗菌ペプチドは、細胞増殖を有意に促進し、無添加の場合と比較して約200%の増殖効果を示した。
塩基性抗菌ペプチド:fmoc法により合成した。
ラビット間葉系幹細胞 :ラビット腸骨より採取
細胞増殖培地 :血清加MEM培地,
細胞増殖培養条件 :5%CO2下,37℃
細胞数測定法法 :細胞内ATP量をルシフェリン/ルシフェラーゼ反応により測定した。
本発明の抗菌ペプチド(JH8944)を用いて、ラビット間葉系細胞(rabit
MSC)、ヒト歯肉繊維芽細胞(HGFB)、及びラットembryo/fetus由来(3Y1)に対する細胞増殖効果を検討した。各ペプチドの濃度は0〜10μg/mlとし、濃度0の時の細胞増殖を100として相対比率で検討した。細胞の培養にはDMEMメディウムを用い、対数増殖期後期にペプチドの添加を行った。結果は、0.1〜1μg/mlで、本発明の抗菌ペプチド(JH8944)は、非常に高い細胞増殖を示し、どの細胞に対してもβFGFと同等かそれ以上の増殖促進効果を示した(図2−A、図2−B)更に、本発明の抗菌ペプチドは、細胞増殖を有意に促進し、無添加の場合と比較して約200%の増殖効果を示した。
Claims (12)
- 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する塩基性抗菌ペプチド、又は、該ペプチドのアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸を欠失、置換、或いは付加した誘導体である塩基性抗菌ペプチド。
- 請求項1の塩基性抗菌ペプチド、又は、その薬学的に許容される誘導体或いはその薬学的に許容される塩類を有効成分とする抗菌剤。
- 抗菌剤が、口腔内微生物用の殺菌剤であることを特徴とする請求項2記載の抗菌剤。
- 口腔内微生物が、ミュータンス菌であることを特徴とする請求項3記載の抗菌剤。
- 請求項1記載の塩基性抗菌ペプチドからなる細胞増殖促進因子。
- 細胞増殖の促進が、間葉系幹細胞又は線維芽細胞の細胞増殖促進であることを特徴とする請求項5記載の細胞増殖促進因子。
- 間葉系幹細胞の細胞増殖促進が、歯槽骨の骨髄、口蓋又は歯槽骨の骨膜から分離された間葉系幹細胞の細胞増殖促進であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の細胞増殖促進因子。
- 線維芽細胞の細胞増殖促進が、歯肉線維芽細胞の細胞増殖促進であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の細胞増殖促進因子。
- 請求項5〜8のいずれか記載の細胞増殖促進因子を有効成分としてなる細胞増殖促進剤。
- 請求項9記載の細胞増殖促進剤を用いて、インビトロ又はインビボの細胞増殖における細胞増殖促進を行なうことを特徴とする細胞の増殖方法。
- インビトロの細胞増殖における細胞増殖促進が、間葉系幹細胞の細胞増殖における細胞増殖促進であることを特徴とする請求項10記載の細胞の増殖方法。
- インビボの細胞増殖における細胞増殖促進が、組織移植における、移植組織細胞の増殖促進であることを特徴とする請求項10記載の細胞の増殖方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004098896A JP2005281225A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 新規塩基性抗菌ペプチド及びその利用 |
PCT/JP2005/005724 WO2005095445A1 (ja) | 2004-03-30 | 2005-03-28 | 新規塩基性抗菌ペプチド及びその利用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004098896A JP2005281225A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 新規塩基性抗菌ペプチド及びその利用 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005281225A true JP2005281225A (ja) | 2005-10-13 |
Family
ID=35063724
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004098896A Pending JP2005281225A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 新規塩基性抗菌ペプチド及びその利用 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005281225A (ja) |
WO (1) | WO2005095445A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012108518A1 (ja) * | 2011-02-10 | 2012-08-16 | 国立大学法人広島大学 | ラクトバチルス・ラムノーサス由来のバクテリオシン |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5561107A (en) * | 1993-06-04 | 1996-10-01 | Demeter Biotechnologies, Ltd. | Method of enhancing wound healing by stimulating fibroblast and keratinocyte growth in vivo, utilizing amphipathic peptides |
EP1379265A4 (en) * | 2001-03-28 | 2005-09-14 | Helix Biomedix Inc | SHORT BIOACTIVE PEPTIDES AND METHODS OF USE |
-
2004
- 2004-03-30 JP JP2004098896A patent/JP2005281225A/ja active Pending
-
2005
- 2005-03-28 WO PCT/JP2005/005724 patent/WO2005095445A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2005095445A1 (ja) | 2005-10-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN111944057B (zh) | 一种重组人胶原蛋白肽及其应用 | |
US8524861B2 (en) | Treatment of bacterial infections | |
JPH05504566A (ja) | 生物学的活性を有するペプチドを使用した創傷処置方法 | |
KR102137941B1 (ko) | 항균 펩티드 | |
JP4423542B2 (ja) | 抗菌性ポリペプチド及びその利用 | |
JP4293889B2 (ja) | 塩基性抗菌性ペプチドを有効成分とする細胞増殖剤 | |
JP2011521902A (ja) | 抗菌ペプチド多量体 | |
CN101300269A (zh) | 机械生长因子肽及其用途 | |
JP4932731B2 (ja) | シグナルペプチド、核酸分子及び治療方法 | |
CA2371794C (en) | Human antibiotic proteins | |
EP1071718A1 (en) | Matrix binding factor | |
KR101728784B1 (ko) | 변형된 펩타이드 및 자가면역 질환 치료를 위한 이의 용도 | |
CN117229386A (zh) | 一种具有164.88°三螺旋结构低分子量胶原蛋白 | |
JP4817335B2 (ja) | 新規抗菌性ペプチド | |
JP2005281225A (ja) | 新規塩基性抗菌ペプチド及びその利用 | |
US5969098A (en) | Yeast-toxin-related protein for antimicrobial vaccine and sterilizing preservative use | |
WO1998040091A1 (en) | Microbicidal peptides and methods of use | |
WO2011077086A2 (en) | Agents having tissue generative activity | |
US20150072922A1 (en) | Rnase 7 antimicrobial peptides | |
CN106478811B (zh) | 虎纹蛙蛋白酶抑制肽及其基因和在制药中的应用 | |
JP3770624B2 (ja) | ウィルス感染・増殖抑制剤 | |
KR101796678B1 (ko) | 피부 각질 줄기세포 증식 및 활성화 활성을 갖는 트리펩티드 및 이의 용도 | |
US20130225479A1 (en) | Methods and Compositions for Treating Inflammation | |
JP5218843B2 (ja) | 抗菌ペプチド及びその利用 | |
WO2004030689A1 (ja) | 好酸球カチオン性タンパク質を含有する組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060301 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081029 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090304 |