JP2005280926A - 巻心構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面粗さの小さい材料を巻き取る際にも、しわを発生させないようにする。
【解決手段】補強繊維を使用した強化プラスチック製巻芯1において、前記巻芯1の表面2を研削盤加工により凹凸成形するとともに、その表面粗さを用途に応じて調整可能とする。この巻芯1を用いて、薄膜状の樹脂製フィルムを巻き取る。所定の表面粗さを有する凹凸が巻芯1の表面2に介在することにより、巻き取り材料であるフィルムが薄く、ダイン数が小さく水による巻芯との密着が期待できない素材であっても、きれいに巻き取ることが可能である。また、既存の巻芯を、巻き取る材料に合わせて表面仕上げすることができるので、巻芯材料の有効活用が可能である。
【選択図】図1
【解決手段】補強繊維を使用した強化プラスチック製巻芯1において、前記巻芯1の表面2を研削盤加工により凹凸成形するとともに、その表面粗さを用途に応じて調整可能とする。この巻芯1を用いて、薄膜状の樹脂製フィルムを巻き取る。所定の表面粗さを有する凹凸が巻芯1の表面2に介在することにより、巻き取り材料であるフィルムが薄く、ダイン数が小さく水による巻芯との密着が期待できない素材であっても、きれいに巻き取ることが可能である。また、既存の巻芯を、巻き取る材料に合わせて表面仕上げすることができるので、巻芯材料の有効活用が可能である。
【選択図】図1
Description
この発明は、合成樹脂や紙等によって形成されたフィルムあるいはシート等の薄い長尺材料を巻き取るために使用する強化プラスチック製巻芯に関するものである。
フィルムやシート等の薄い長尺材料を巻き取るための巻芯は、ガラス繊維、プラスチック繊維、カーボン繊維、その他繊維材料を主構成材料としたものが種々提案されている。
例えば、補強繊維等からなる所定長さのコア芯材の外表面に、熱可塑性樹脂からなる表面層を形成した巻き取りコアがある。この巻芯の表面層は、巻き取る材料であるフィルム等に直接触れることから、その材料にしわ等を生じさせないように充分な平滑性を確保している。巻芯表面に凹凸があると、巻き取り材料がその凹凸に沿って変形して、しわを発生することがあるからである。さらに、その巻芯表面層が傷ついた際には、表面を再研磨することにより元の平滑性を確保することができるように、表面層は、研磨に耐え得る所定の厚さを有するものとしている(例えば、特許文献1参照)。
また、炭素繊維と補強繊維とを組み合わせることにより、適度な重量、弾性率、強度、線膨張係数を有する巻芯を形成する技術も開示されている。この表面層も、特許文献1と同様、充分な平滑性を確保しているものである(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−226039号公報
特開2001−163524号公報
しかし、昨今は、フィルムやシート等の素材や用途が多様化したことにより、その厚さが極端に薄い薄膜状のフィルム素材が登場しており、このような材料を巻き取る場合には、従来の巻芯を使用するときれいに巻き取れない場合が多い。例えば、その材料の巻芯への巻き始め部分に公知技術である粘着テープを使用すると、その巻き取りに伴って粘着テープ周囲の巻芯表面との段差部分に空気が入り込み、その空気の入った部分に「かた」を形成してうまく巻き取ることができないなどである。
このとき、フィルムと巻芯との間に水を介在させ、その水の表面張力を利用してうまくフィルムを巻き取る方法もあるが、そのフィルムが水との馴染みがよくない素材である場合には、水を介在させてもなおきれいに巻き取ることができない。
このとき、フィルムと巻芯との間に水を介在させ、その水の表面張力を利用してうまくフィルムを巻き取る方法もあるが、そのフィルムが水との馴染みがよくない素材である場合には、水を介在させてもなおきれいに巻き取ることができない。
なお、前述のフィルムが水に馴染まない程度の表面粗さの目安としては、32dyne/cm未満(JIS K6768参照)であれば、フィルムに水性や油性のインクで何かを書こうとしても書けないことがわかっている。
そこで、この発明は、水と馴染みのよくない薄膜状の材料をきれいに巻き取ることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、研削盤により平滑な巻芯の表面を削り、所定の表面粗さに仕上げるようにしたのである。巻芯に適度な凹凸があれば、ダイン数の小さいフィルムであっても、フィルムと巻芯との間に水を介在させることによりきれいに巻き取ることが可能である。
具体的には、補強繊維を使用した強化プラスチック製巻芯において、前記巻芯の表面を研削盤加工により凹凸成形するとともに、その表面粗さをその巻芯の用途に応じて調整可能としたのである。一般的には、巻き取るフィルム素材が、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムや、あるいはそれよりも柔らかい、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)製フィルムであって、しかも非常に薄膜の素材(例えば、厚さ3.5μm〜50μm)であれば、そのフィルムは、前述のように、例えば、巻芯への巻き始め部分に粘着テープを貼り付けると、その巻き取りに伴って粘着テープ周囲の巻芯表面との段差部分に空気が入り込み、その空気の入った部分が「かた」としてフィルムに形成されてしまうことが多い。また、粘着テープの影響のみならず、フィルムが薄膜状であれば、巻芯とフィルムとの間に空気が入りやすく、場合によっては、「しわ」を形成する場合もある。
このとき、そのフィルムが、水に馴染む素材であれば、この巻芯表面に水を介在させることにより、この粘着テープによる段差がフィルムに与える影響や、その他空気が入り込みやすいフィルムの特性を抑制して、その巻芯とフィルムとの間に空気が入るのを防ぐことができるが、フィルムのダイン数が小さく、フィルムに水が馴染みにくい場合には、水の介在による効果も期待できない。そこで、巻芯表面に凹凸を介在させることにより、その巻芯とフィルム間での水の表面張力を大きく作用できるようにし、水の馴染みの悪い薄膜状のフィルムであっても、その水の表面張力を利用してきれいに巻き取ることができるようにしたのである。
この巻芯の表面粗さは、巻芯の用途、つまり、巻き取る材料の特性(巻き取る材料の種別や表面粗さ、材質等)に応じて自由に設定可能であり、この薄膜状の樹脂製フィルムを巻き取るために、そのフィルムに見合った表面張力を確保し得る凹凸を巻芯表面に付与して、そのフィルムの素材に合わせた凹凸成形がなされた上記強化プラスチック巻芯を用いれば、「かた」や「しわ」の発生防止の効果が顕著である。
ここで、薄膜状とは、例えば、厚さ3.5μm〜50μm程度の素材を示すものである。特に、そのフィルムが、水に馴染まない素材、すなわち、この巻芯表面に水を介在させることにより、フィルムをきれいに巻き取ることができない素材である場合に、その効果が顕著である。ダイン数が小さな素材で、表面粗さが非常に小さくて滑らかな素材である場合には、前記水の介在による効果も期待できないからである。
この発明は、以上のようにしたので、表面粗さの小さい材料を巻き取る際にも、その巻き取り材料にしわを発生させないようにすることができ、また、既存の巻芯を、巻き取る材料に合わせて表面仕上げすることができるので、巻芯材料の有効活用が可能である。
図1は、一実施形態の強化プラスチック製巻芯を示している。この実施形態の巻芯1は、補強繊維としてガラス繊維を使用した円筒状の強化プラスチック製(FRP製)のものであり、その長さは定尺のものが用意されるが、適宜切断により長さ調整が可能である。また、巻芯の外径は、自由に設定可能である。
この巻芯1の端面3において、その外周寄りの縁と内周寄りの縁には、面取り部5が設けられており、また、その端面3の適宜の場所には切り欠き4が設けられて、巻き取りの際の機能性を向上させて使いやすくしている。また、巻芯1の表面2(周面)には、図示するように表示エリア6が設けられて、製造内容に関する各種情報や、品番、重量などを表示できるようになっている。
巻芯1の表面2は、一般的なフィルムやシート等の巻き取り材料に対応して、規格値以下の表面粗さを有するようにあらかじめ平滑に形成されており、この巻芯1を、表面粗さが小さく薄いフィルム等の巻き取りに対応できるように、その表面2の表層を研削して表面粗さを大きいものに加工する。
その研削方法は、周知の方法が使用可能であるが、例えば、巻芯1を、軸方向に移動可能に、軸回りに回転可能に研削盤(旋盤)に支持し、その研削盤のバイトや研磨砥粒を固着させたペーパ等を使用して、順次研削していく手法を採用し得る。具体的な研削手法の一例として、まず、前記巻芯1を軸周りに回転させて、図2に示す環状領域Aを研削する。その後、前記巻芯1又は研削盤のバイト等を軸方向に移動させながら、隣接する他の環状領域A’を研削する。この操作を繰り返し、前記帯状領域A’に隣接する別の帯状領域A’’へと順次、図中の矢印の方向へと研削して、巻芯1の周面全周に亘って研削する。
この研削の際に、研削部分の表面粗さを、巻芯1に巻き取るフィルム等の厚さや表面粗さ、あるいはそのフィルムの厚さ、材質等に合わせて、巻芯とフィルム等との間の空気を排出するのに支障ない数値に決定すれば、そのフィルム等の特性を反映してしわの発生しにくい表面を形成することができる。表面粗さは、前記研削盤のバイトと送りスピードを調整、あるいは砥粒の粒径、密度等を調整することにより管理することができ、その研削部分は、この実施形態のように、巻芯1の表面2を構成する周面全周に亘って形成してもよいし、必要部分にのみ断続的に形成してもよい。
この研削盤を使用する手法によれば、既存の平滑な巻芯であっても、巻き取る材料に合わせて求められる表面粗さに仕上げることができるので、様々な巻き取り材料に対して一つの巻芯材料を共通に利用でき、巻芯の製作コスト低減に寄与し得る。さらに、その巻芯表面を再研削すれば、別の巻き取り材料にも対応させることが可能であるので、巻芯材料の有効活用が可能である。
上記巻芯1の実施例としては、その巻芯1表面を、上記研削盤加工により凹凸成形して、その表面粗さを0.4mm乃至0.6mmとしたものがある。この巻芯1に巻き取るフィルムとしては、上述の厚さ3.5μm〜50μm程度を有し、32dyne/cm未満(JIS K6768参照)の表面粗さを有するPP(ポリプロピレン)、又はPE(ポリエチレン)製フィルムで有効な効果が確認されている。
なお、巻芯の表面を研削することにより凹凸成形するか否かの判断基準としては、図3に示すように、そのフィルムが水に馴染む素材であるかどうかが第一の判断基準となる。水に馴染む程度のダイン数を有する素材であれば、巻芯表面に水を介在させることにより、粘着テープを使用せずに巻き取ることが可能となり、この「かた」や「しわ」の発生を抑止することができるからである。ダイン数の非常に小さな素材である場合には、その水の介在による効果も期待できないので、巻芯表面に凹凸を介在させるように研削盤加工することとなる。
ちなみに、フィルムを加工することが許容される場合には、図中に示すように、そのフィルムの表面に凹凸を介在させて表面粗さを粗くする手法も採用可能である。具体的には、そのフィルムの生産工程時に表面を粗す手法や、コロナ放電処理などによる技術が開示されているが、フィルム厚さが、例えば、3.5μmである場合など非常に薄膜の場合には、フィルムの損傷が懸念されるので、その手法は素材に応じて使い分けられる。
1 巻芯
2 巻芯周面
3 巻芯端面
4 切り欠き
5 面取り部
6 表示部
2 巻芯周面
3 巻芯端面
4 切り欠き
5 面取り部
6 表示部
Claims (2)
- 補強繊維を使用した強化プラスチック製巻芯1において、前記巻芯1の表面2を研削盤加工により凹凸成形し、その表面粗さを用途に応じて調整可能としたことを特徴とする強化プラスチック製巻芯。
- 請求項1に記載の強化プラスチック製巻芯1を用いて、薄膜状の樹脂製フィルムを巻き取ることを特徴とするフィルムの巻き取り構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004098287A JP2005280926A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 巻心構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004098287A JP2005280926A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 巻心構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005280926A true JP2005280926A (ja) | 2005-10-13 |
Family
ID=35179727
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004098287A Pending JP2005280926A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 巻心構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005280926A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20180002135A1 (en) * | 2016-06-30 | 2018-01-04 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Separator core and separator roll |
-
2004
- 2004-03-30 JP JP2004098287A patent/JP2005280926A/ja active Pending
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US20180002135A1 (en) * | 2016-06-30 | 2018-01-04 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Separator core and separator roll |
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