JP2005280735A - 積層包装材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルコール成分含有の内容物を長期間包装した場合でも、白濁化やデラミネーションが発生しない積層包装材料を提供することにある。
【解決手段】基材フィルムの一方の面に酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物の蒸着薄膜層、ポリビニルアルコールからなる水溶性高分子と(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものからなるガスバリア性被膜層が順次複数回積層されてなるガスバリア性積層フィルムの最外側のガスバリア性被膜層面に、少なくとも、ヒートシール性を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂からなるシーラント層を積層した積層体からなり、前記金属アルコキシドがテトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】基材フィルムの一方の面に酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物の蒸着薄膜層、ポリビニルアルコールからなる水溶性高分子と(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものからなるガスバリア性被膜層が順次複数回積層されてなるガスバリア性積層フィルムの最外側のガスバリア性被膜層面に、少なくとも、ヒートシール性を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂からなるシーラント層を積層した積層体からなり、前記金属アルコキシドがテトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、工業製品等の包装分野で使用される包装材料に関し、さらに詳しくはアルコール含有内容物を包装した場合でも、優れた内容物耐性を有する包装材料に関するものである。
工業製品等の包装に用いられる積層包装材料には、主に基材層にガスバリア層、シーラント層をそれぞれ接着剤を介して積層した構成のものが多く使用され、ガスバリア層として、アルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムを使用したものが多く使用されていた。しかし、ガスバリア層としてアルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムを使用した積層包装材料は廃棄され、焼却する際に焼却炉を傷める等の弊害があり、代替えの材料が要望されていた。代替えの材料として、基材フィルムに酸化珪素などの無機酸化物の蒸着薄膜層を積層し、さらにその上にガスバリア性被膜層を積層したガスバリア性フィルムにシーラント層を積層した積層包装材料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第2790054号公報
しかし、前記提案されている積層包装材料は、アルコール成分含有の工業製品、例えばアルコール含有固形燃料を包装し、高温高湿条件下で長期間保存した場合に、アルコール成分がシーラント層を通過して、接着剤層の接着剤を膨潤させて白濁化させ、最終的にはデラミネーションが生じてしまっていた。
本発明の課題は、アルコール成分含有の内容物を長期間包装した場合でも、白濁化やデラミネーションが発生しない積層包装材料を提供することにある。
本発明の請求項1に係る発明は、基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着薄膜層、水溶性高分子と(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものからなるガスバリア性被膜層が順次複数回積層されてなるガスバリア性積層フィルムの最外側のガスバリア性被膜層面に、少なくとも、ヒートシール性を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂からなるシーラント層を積層した積層体からなることを特徴とする積層包装材料である。
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る発明において、前記無機酸化物が酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする積層包装材料である。
本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は請求項2に係る発明において、前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする積層包装材料である。
本発明の請求項4に係る発明は、上記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明において、前記金属アルコキシドがテトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする積層包装材料である。
本発明の積層包装材料は、ガスバリア性積層フィルムが無機酸化物の蒸着薄膜層及びガスバリア性被膜層をそれぞれ2層以上有しているので、ガスバリア性が優れており、基材フィルム側からの水蒸気等のガス侵入を防ぐと共に、シーラント層がヒートシール性を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂からなっているので、シール性を有すると共に、包装した内容物に含まれるアルコール成分がシーラント層を通過して接着剤層側へ侵入するのを防止する機能を有しており、アルコール含有の内容物を包装する積層包装材料として広く利用できる。
本発明の積層包装材料を実施の形態に沿って以下に詳細に説明する。図1は本発明の積層包装材料の一実施形態を示す側断面図であり、基材フィルム(11)の片面に無機酸化物の蒸着薄膜層(12)、ガスバリア性被膜層(14)、無機酸化物の蒸着薄膜層(13)、ガスバリア性被膜層(15)を順次積層したガスバリア性積層フィルム(10)のガスバリア性被膜層(15)面に、接着剤層(16)、シーラント層(17)を積層した構成になっている。
さらに、前記ガスバリア性被膜層(15)と接着剤層(16)の間に印刷層を積層しても良く、また、積層体の機械的強度を向上させる為に単層若しくは多層フィルムからなる中間層をさらに接着剤層を介して積層しても良い。
前記基材フィルム(11)は無色透明な高分子材料からなり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン(Ny)樹脂などの機械的強度、寸法安定性を有するものが好ましく、これらをフイルム状に加工、さらには二軸方向に延伸したものが用いられる。また、この基材フィルム(11)の他の層が積層される面に密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施しておいてもよく、さらに薬品処理、溶剤処理などを施してもよい。
前記基材フィルム(11)の厚さは特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、他のフィルムを積層あるいは蒸着薄膜層を形成する場合の加工性等を考慮すると、5〜50μmの範囲が好ましい。
前記蒸着薄膜層(12、13)の無機酸化物は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物であり、透明性を有し、かつ、優れたガスバリア性を有する。
前記蒸着薄膜層(12、13)の厚さは5〜400nmの範囲内であることが望ましい。膜厚が5nm以下になると均一な薄膜が形成されないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない。また、膜厚が400nmを超えた場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じる恐れがあるため良くない。
前記蒸着薄膜層(12、13)を形成する方法としては種々あり、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、化学気相成長法などを用いることもできる。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式が好ましく、蒸着薄膜の密着性及び蒸着薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着薄膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなどを吹き込んだりする反応蒸着を行ってもよい。
前記ガスバリア性被膜層(14、15)は、より高いガスバリア性を付与するために蒸
着薄膜層の上にさらに積層されるものであり、その成分は水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物または(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものであり、その成分の水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を積層して形成する。水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接または予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を蒸着薄膜層の上に積層し、加熱乾燥し形成したものである。
着薄膜層の上にさらに積層されるものであり、その成分は水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物または(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものであり、その成分の水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を積層して形成する。水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接または予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を蒸着薄膜層の上に積層し、加熱乾燥し形成したものである。
前記ガスバリア性被膜層(14、15)に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAとする)を用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分鹸化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全鹸化PVAまでを含み、特に限定されない。
また、前記塩化錫は塩化第一錫(SnCl2 )、塩化第二錫(SnCl4 )あるいはこれらの混合物であっても良く、無水物でも水和物でも良い。
さらに、前記金属アルコキシドはテトラエトキシシラン又はトリイソプロポキシアルミニウムあるいはそれらの混合物が好ましい。
前記ガスバリア性被膜層(14、15)は、通常用いられるグラビアコーティング法、ロールコーティング法などの従来公知の手段を用いて積層する。乾燥後の被膜厚さが0.01μm以上あればよいが、厚さが50μmを超えると膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲が好ましい。
前記接着剤層(16)は、一般的にポリウレタン系接着剤を使用し、グラビアコート方式で積層する。塗布量は1〜5g/m2 (乾燥状態)である。
前記シーラント層(17)は、ヒートシール性を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなっている。前記のEVOH樹脂を使用すれば、優れたヒートシール性とガスバリア性の両機能を付与できる。従って、例えば、アルコール含有内容物を本発明の積層包装材料で包装しても、アルコール成分がシーラント層(17)を通って接着剤層(16)の接着剤を膨潤させ、白濁化させることもない。積層方法は前記EVOH樹脂を溶融押出して積層するか、あるいは前記EVOH樹脂のフィルムを積層する。厚みは20〜150μmの範囲である。
以下に、本発明の積層包装材料を具体的な実施例に従って説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
〈ガスバリア性被膜層の塗布液の調整〉
テトラエトキシシラン10.4gに0.1N塩酸を89.6g加え、30分攪拌し加水分解させた固形分3重量%(SiO2 換算)の溶液とポリビニルアルコール3重量%水/イソプロピルアルコール溶液(水/イソプロピルアルコ−ルは重量%比で90/10)を重量%比で60/40に混合し、塗布液を調整した。
テトラエトキシシラン10.4gに0.1N塩酸を89.6g加え、30分攪拌し加水分解させた固形分3重量%(SiO2 換算)の溶液とポリビニルアルコール3重量%水/イソプロピルアルコール溶液(水/イソプロピルアルコ−ルは重量%比で90/10)を重量%比で60/40に混合し、塗布液を調整した。
基材フィルム(11)として厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフイルム(PETフイルム)を使用し、そのPETフィルムの片面に、真空成膜装置を用いて、厚さ50nm
の酸化珪素の蒸着薄膜層(12)を積層して、二層構成の積層フィルムを作成し、前記二層構成の積層フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜層(12)面上にグラビアコーター機を用いて前記調整した塗布液をコーティングして厚さ0.5μmのガスバリア性被膜層(14)を積層して、三層構成の積層フィルムを作成した。引き続き、前記三層構成の積層フィルムのガスバリア性被膜層(14)面に、真空成膜装置を用いて、厚さ50nmの酸化珪素の蒸着薄膜層(13)を積層して、四層構成の積層フィルムを作成し、前記四層構成の積層フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜層(13)面上にグラビアコーター機を用いて前記調整した塗布液をコーティングして厚さ0.5μmのガスバリア性被膜層(15)を積層して、五層構成のガスバリア性積層フィルム(10)を作成し、前記五層構成のガスバリア性積層フィルム(10)のガスバリア性被膜層(15)面上に、ドライラミネート機で塗布量3g/m2(乾燥状態)のポリウレタン系接着剤からなる接着剤層(16)を積層し、その上にシーラント層(17)して、ヒートシール性EVOH樹脂(クラレ(株)、商品名:エバールEF−HS)からなる厚さ30μmのフィルムを積層して、本発明の積層包装材料を作成した。
の酸化珪素の蒸着薄膜層(12)を積層して、二層構成の積層フィルムを作成し、前記二層構成の積層フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜層(12)面上にグラビアコーター機を用いて前記調整した塗布液をコーティングして厚さ0.5μmのガスバリア性被膜層(14)を積層して、三層構成の積層フィルムを作成した。引き続き、前記三層構成の積層フィルムのガスバリア性被膜層(14)面に、真空成膜装置を用いて、厚さ50nmの酸化珪素の蒸着薄膜層(13)を積層して、四層構成の積層フィルムを作成し、前記四層構成の積層フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜層(13)面上にグラビアコーター機を用いて前記調整した塗布液をコーティングして厚さ0.5μmのガスバリア性被膜層(15)を積層して、五層構成のガスバリア性積層フィルム(10)を作成し、前記五層構成のガスバリア性積層フィルム(10)のガスバリア性被膜層(15)面上に、ドライラミネート機で塗布量3g/m2(乾燥状態)のポリウレタン系接着剤からなる接着剤層(16)を積層し、その上にシーラント層(17)して、ヒートシール性EVOH樹脂(クラレ(株)、商品名:エバールEF−HS)からなる厚さ30μmのフィルムを積層して、本発明の積層包装材料を作成した。
以下に、本発明の比較用の実施例を説明する。
シーラント層として、厚さ50μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして比較用の積層包装材料を作成した。
〈評価〉
実施例1の本発明の積層包装材料及び実施例2の比較用の積層包装材料を用いて、内寸115mm×85mmの三方シール袋を作成し、その袋中に固形燃料((株)ニイタカ、商品名:カエンニューエース)30gを充填、密封したものを40℃、90%RHの高温高湿槽中に8日間保存し、外観変化とデラミネーションの有無を観察し、評価した。その結果を表1に示す。
実施例1の本発明の積層包装材料及び実施例2の比較用の積層包装材料を用いて、内寸115mm×85mmの三方シール袋を作成し、その袋中に固形燃料((株)ニイタカ、商品名:カエンニューエース)30gを充填、密封したものを40℃、90%RHの高温高湿槽中に8日間保存し、外観変化とデラミネーションの有無を観察し、評価した。その結果を表1に示す。
10…ガスバリア性積層フィルム
11…基材フィルム
12,13…蒸着薄膜層
14,15…ガスバリア性被膜層
16…接着剤層
17…シーラント層
11…基材フィルム
12,13…蒸着薄膜層
14,15…ガスバリア性被膜層
16…接着剤層
17…シーラント層
Claims (4)
- 基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着薄膜層、水溶性高分子と(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものからなるガスバリア性被膜層が順次複数回積層されてなるガスバリア性積層フィルムの最外側のガスバリア性被膜層面に、少なくとも、ヒートシール性を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂からなるシーラント層を積層した積層体からなることを特徴とする積層包装材料。
- 前記無機酸化物が酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載の積層包装材料。
- 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の積層包装材料。
- 前記金属アルコキシドがテトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の積層包装材料。
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JP2004094540A JP2005280735A (ja) | 2004-03-29 | 2004-03-29 | 積層包装材料 |
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JP2004094540A JP2005280735A (ja) | 2004-03-29 | 2004-03-29 | 積層包装材料 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009113355A (ja) * | 2007-11-07 | 2009-05-28 | Toppan Printing Co Ltd | バリアフィルム |
JPWO2014133037A1 (ja) * | 2013-02-26 | 2017-02-02 | マグ・イゾベール株式会社 | 真空断熱材 |
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2004
- 2004-03-29 JP JP2004094540A patent/JP2005280735A/ja active Pending
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