JP2005279862A - 切削加工方法及び切削加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】切削加工を行う場合において、切削抵抗力の低減と刃部の長寿命化とを図ろうとすれば、切削加工装置の複雑化を招く点である。
【解決手段】まず、円弧運動機構を使用して、バイト1が有する刃部2を円弧状の軌跡5に沿って高速で往復円弧運動させる。次に、被切削部材3のうち切削したい部分に、例えば、切削油(図示なし)を供給しながら、進退機構を使用してバイト1を下降させ、往復円弧運動している刃部2を被切削面4に接触させる。次に、刃部2を往復円弧運動させながらステージ(図示なし)を水平移動させることによって、被切削部材3に刃部2を断続的に接触させる。これにより、被切削面4において被切削部材3を切削する。そして、所望の切削加工が終了すると、進退機構を使用して、バイト1を上昇させて刃部2を被切削面4から引き離す。
【選択図】図1
【解決手段】まず、円弧運動機構を使用して、バイト1が有する刃部2を円弧状の軌跡5に沿って高速で往復円弧運動させる。次に、被切削部材3のうち切削したい部分に、例えば、切削油(図示なし)を供給しながら、進退機構を使用してバイト1を下降させ、往復円弧運動している刃部2を被切削面4に接触させる。次に、刃部2を往復円弧運動させながらステージ(図示なし)を水平移動させることによって、被切削部材3に刃部2を断続的に接触させる。これにより、被切削面4において被切削部材3を切削する。そして、所望の切削加工が終了すると、進退機構を使用して、バイト1を上昇させて刃部2を被切削面4から引き離す。
【選択図】図1
Description
本発明は、切削工具を使用して被切削部材を切削する、切削加工方法及び切削加工装置に関するものである。
従来、刃部を有する切削工具、例えば、バイトを使用して切削加工する場合には、被切削部材の摩擦抵抗力(切削抵抗力)を低減させて被削性を向上させること、及び、摩擦熱による刃部の昇温を抑制して刃部の長寿命化を図ることを目的として、楕円振動切削が使用されている。この楕円振動切削は、切削工具を微小な振幅で高速に楕円振動させ、被切削部材のうち切削したい部分に切削油等を供給しながら、その切削工具を被切削部材に接触させることによって切削加工する方式である。そして、この楕円振動切削は、軸の先端にバイトを固定し、その軸の側面に1対の圧電素子を固定し、各圧電素子が、その軸の中心線にそれぞれ垂直であって、かつ、互いに直交する2方向に変位することによって、実現されている。この構成によれば、1対の圧電素子がそれぞれ変位することによってその軸がたわみ変形するので、その軸の先端に固定されたバイトが楕円振動する(例えば、特許文献1参照)。
ところで、バイトが固定された軸をたわみ変形させることによって楕円振動切削を行う場合には、その軸における各圧電素子の変位に関して、1つの方向における変位が他の方向における変位に干渉して悪影響を与えるおそれがある。これにより、楕円振動の軌跡が乱れて希望の形状にならないので、正確な転写加工が困難であり、被切削部材を高精度に切削加工できないおそれがあるという問題がある。この問題を解決するために、1つの方向における変位が他の方向における変位に干渉する干渉量を、互いに補正する制御方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上述した従来の技術によれば、軸に取り付けられ干渉量をそれぞれ検出する検出器(センサ)と、検出された各干渉量に基づいて圧電素子に印加される電圧の大きさとタイミングとを制御する制御機構とが必要になる。更に、制御機構を適切に動作させる制御プログラムが必要になる。これらにより、従来の技術においては、切削加工装置の複雑化を招き、ひいては、切削加工装置のコストの上昇を招くという問題がある。
特開2000−52101号公報(第4頁−第5頁、図2、図4)
特開2002−254201号公報(第3頁−第4頁、図2、図3、図5)
本発明が解決しようとする課題は、切削加工を行う場合において、切削抵抗力の低減と刃部の長寿命化とを図ろうとすれば、切削加工装置の複雑化を招く点である。
上述の課題を解決するために、本発明に係る切削加工方法は、刃部(2)を有する切削工具(1,8)を使用して被切削部材(3)の被切削面(4)を所定の方向に沿って切削する切削加工方法であって、切削工具(1,8)と被切削部材(3)とを相対的に往復円弧運動させる工程と、刃部(2)を被切削面(4)に接触させる工程と、所定の方向に沿って切削工具(1,8)と被切削部材(3)とを相対的に移動させる工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る切削加工方法は、上述の切削加工方法において、刃部(2)が往復駆動力によって往復円弧運動される切削刃(2)であることを特徴とする。
また、本発明に係る切削加工装置は、刃部(2)を有する切削工具(1,8)を使用して被切削部材(3)の被切削面(4)を所定の方向に沿って切削する切削加工装置であって、切削工具(1,8)と被切削部材(3)とを相対的に往復円弧運動させる円弧運動機構(14)と、刃部(2)を被切削面(4)に向かって進退させることにより刃部(2)を被切削面(4)に接触させ、又は被切削面(4)から引き離す刃部(2)の進退機構(11)と、所定の方向に沿って切削工具(1,8)と被切削部材(3)とを相対的に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、刃部(2)を有する切削工具(1,8)と被切削部材(3)とを相対的に往復円弧運動させることによって、弧に沿って往復運動を行う刃部(2)が、被切削部材(3)の被切削面(4)に対して往復しながら断続的に接触する。これにより、次のような効果が得られる。第1に、所定の方向、すなわち、切削方向に向かって、被切削面(4)から伸びている薄板状の切り屑(6)を引き離しやすくなるとともに、粒子状の切り屑(7A)を排出しやすくなる。その理由は、刃部(2)が、被切削面(4)を切削した後に、切削方向に向かって、円弧状の軌跡(5)を描いて被切削面(4)から離れて行こうとするからである。第2に、刃部(2)が同じ軌跡(5)を描いて逆方向に戻って行くので、その方向に向かって、粒子状の切り屑(7B)を排出しやすくなる。第3に、刃部(2)が、同じ軌跡(5)を描いて逆方向に戻って行くことにより、被切削部材(3)から離れることになるので、その間に刃部(2)が冷却される。これらのことにより、被切削面(4)から切り屑(6,7A,7B)を除去しやすくなるとともに、摩擦熱による刃部(2)の昇温を抑制することができる。したがって、切削加工を行う場合において、切削抵抗力の低減と刃部(2)の長寿命化とを図ることができる。
また、本発明によれば、切削加工装置の円弧運動機構(14)を、揺動軸(10)と、該揺動軸(10)に固定されているとともに切削工具(1,8)が固定されている揺動板(9)と、該揺動板(9)を往復円弧運動における円弧に関する接線方向に沿って交互に突き出す1対の突出機構(12L,12R)とを有することとした。これにより、切削工具(1,8)が取り付けられた揺動板(9)が各突出機構(12L,12R)によって交互に突き出され、その切削工具(1,8)の刃部(2)が再現性に優れた軌跡(5)を描いて往復円弧運動する。したがって、軸のたわみ変形を使用する従来の楕円振動切削方式に比較すると、第1に、従来の方式において発生していた各圧電素子の変位に関する相互干渉が防止され、第2に、干渉量を補正するための検出器、制御機構、及び制御プログラムが不要になる。これにより、微細な切削加工が可能になり、円弧運動機構(14)の簡素化、ひいては、切削加工装置の簡素化が可能になるとともに、コストが低減される。
まず、円弧運動機構(14)を使用して、切削工具(1,8)が有する刃部(2)を軌跡(5)に沿って高速で往復円弧運動させる。次に、被切削部材(3)のうち切削したい部分に、例えば、切削油(図示なし)を供給しながら、進退機構(11)を使用して切削工具(1,8)を下降させ、往復円弧運動している刃部(2)を被切削面(4)に接触させる。次に、刃部(2)を往復円弧運動させながらステージ(図示なし)を水平移動させることによって、被切削部材(3)に刃部(2)を断続的に接触させる。このことによって、被切削面(4)において被切削部材(3)を切削する。そして、所望の切削加工が終了すると、進退機構(11)を使用して、切削工具(1,8)を上昇させて刃部(2)を被切削面(4)から引き離す。ここで、円弧運動機構(14)は、揺動板(9)と揺動軸(10)と圧電素子(12L,12R)とを含んで構成されており、圧電素子(12L,12R)が、往復円弧運動の軌跡(5)が含まれる円(13)の接線方向に沿って、揺動板(9)を交互に突き出す。これにより、揺動板(9)に固定された切削工具(1,8)が、揺動軸(10)を中心にして往復円弧運動を行う。
本発明に係る切削加工装置及び切削加工方法の実施例1を、図1を参照して説明する。図1は、本実施例に係る切削加工装置が被切削部材を切削する状況を順に示す、部分断面図である。なお、以下の説明に使用されるいずれの図も、わかりやすくするために誇張して描かれている。
図1において、バイト1は切削工具であって、その先端に、例えば、ダイヤモンドや超硬合金からなる刃部2を有している。被切削部材3は、ステージ(図示なし)の上に固定され、ステージの移動によって水平方向に移動可能な加工対象物である。また、この被切削部材3は、例えば、金型材料である超工具鋼、通常の樹脂成形体、光学材料である透明プラスチックからなる樹脂成形体、シリコン基板等の半導体基板、半導体チップが基板に樹脂封止されたパッケージ等から構成されている。そして、図における被切削部材3の上面が被切削面4を構成する。この切削加工装置において、バイト1は、円弧運動機構(後述)によって、刃部2が振り子の軌跡を描くような、すなわち、円弧状の軌跡5を描くような揺動運動を行う。この軌跡5は、最下点における被切削面4に対する垂線を挟んでほぼ線対称になるようにして、設定されている。軌跡5からもわかるように、この揺動運動を往復円弧運動と呼ぶことができる。また、バイト1は、往復円弧運動を行い、かつ、円弧運動機構とともに昇降することができるように、言い換えれば、被切削面4に向かって進退することができるように、進退機構(図示なし)に取り付けられている。また、円弧運動機構としては、周知の機構、例えば、円筒溝カムとリンクとによって往復駆動力を発生させる機構を使用することができる。
以下、図1における切削加工装置の動作の概略を説明する。まず、円弧運動機構を使用して、バイト1を軌跡5に沿って高速で往復円弧運動させる。次に、被切削部材3のうち切削したい部分に、例えば、切削油のような流体(図示なし)を供給しながら、進退機構を使用して、バイト1を下降させて刃部2を被切削面4に接触させる。次に、バイト1を往復円弧運動させながらステージを水平移動させることによって、被切削部材3に刃部2を断続的に接触させる。これにより、被切削面4において、被切削部材3を切削方向(図の左方向)に向かって切削する。そして、所望の切削加工が終了すると、進退機構を使用して、バイト1を上昇させて刃部2を被切削面4から引き離す。
ここで、バイト1による被切削部材3の切削を、時系列的に、細かく説明する。まず、図1(1)に示すように、バイト1の刃部2が、往復円弧運動の軌跡5の端点(図では右端)に位置する。そして、バイト1が、その刃部2が軌跡5に沿って円弧運動するようにして、被切削面4に向かって円弧運動する。ここで、被切削面4を切削する方向(図では時計回り方向)を往方向、その逆方向、すなわち、切削した後に被切削部材3から退く方向を復方向(図では反時計回り方向)と呼ぶことにする。
次に、図1(2)に示すように、バイト1が引き続き往方向に円弧運動する。これにより、刃部2が被切削部材3の面に接触する。ここで、刃部2が接触する面は、図1(1)に示された状態において既に切削された面と薄板状の切り屑6として既に引き上げられている部分の面との、境界付近である。したがって、刃部2は、被切削部材3を切削しながら、引き続き往方向に円弧運動する。そして、被切削部材3が切削されることによって、薄板状の切り屑6が更に立ち上がるとともに、粒子状の切り屑7A,7Bが発生する。
次に、図1(3)に示すように、バイト1が引き続き往方向に円弧運動して、刃部2が軌跡5の端点(図では左端)に到着する。これにより、引き続き、被切削部材3が切削され、薄板状の切り屑6が更に立ち上がるとともに、粒子状の切り屑7A,7Bが更に発生する。また、粒子状の切り屑7A,7Bのうち刃部2を基準にして往方向側に発生した粒子状の切り屑7Aは、切削油とともに往方向側に排出される。ここで、図1(1)に示された軌跡5の左側の端点が被切削面4から完全に離れているようにして、軌跡5が定められていることが好ましい。
次に、図1(4)に示すように、バイト1が復方向に円弧運動する。これにより、刃部2は、既に切削加工された面に沿って復方向に円弧運動する。したがって、刃部2は、切削抵抗力を受けることなく移動しながら、切削油によって冷却される。また、粒子状の切り屑7A,7Bのうち刃部2を基準にして復方向側に発生した粒子状の切り屑7Bは、切削油とともに復方向側に排出される。
次に、図1(4)に示された状態から、引き続きバイト1が復方向に円弧運動して、刃部2が往復円弧運動の軌跡5の端点(図では右端)に到着する。すなわち、バイト1は、図1(4)の状態から図1(1)の状態へと戻ったことになる。ここで、図1(4)の状態から図1(1)の状態を経て刃部2が再び被切削部材3に接触するまでの過程においては、刃部2は被切削部材3に接触しない。したがって、この過程において刃部2は、切削抵抗力を受けることなく移動しながら、切削油によっていっそう効果的に冷却される。
以上説明したように、本実施例によれば、往復円弧運動する刃部2が、被切削部材3に断続的に接触しながら、被切削面4において被切削部材3を切削する。したがって、刃部2が、短時間だけ被切削部材3に接触してこれを切削し、往方向−復方向の順に短時間だけ被切削部材3から引き離され、再び短時間だけ被切削部材3に接触してこれを切削することを、繰り返す。これにより、以下の効果が得られる。第1に、被切削部材3を切削する工程全体において、切削抵抗力を低減して被削性を向上させることができる。この効果は、刃部2が被切削部材3から往方向に離れる際に、被切削部材3から薄板状の切り屑6を引き離すこと、及び、粒子状の切り屑7Aを往方向側に排出することによって、更に増大される。また、この効果は、刃部2が被切削部材3から復方向に離れる際に、粒子状の切り屑7Bを復方向側に排出することによっても、更に増大される。第2に、刃部2が効果的に冷却されるので、摩擦熱による刃部2の昇温が抑制される。したがって、刃部2の長寿命化を図ることができるとともに、プラスチック等からなる低耐熱性の被切削部材3の変性を防止することができる。第3に、円弧運動機構として、例えば、円筒溝カムとリンクとを使用した機構を使用することにより、楕円振動切削における検出器(センサ)、制御機構、及び制御プログラムを必要とすることなく、被削性の向上と刃部2の長寿命化とが可能になる。したがって、切削加工装置の簡略化とコスト低減とが可能になる。
加えて、本実施例によれば、ダイヤモンドからなる刃部2を使用して鉄系材料からなる被切削部材3を切削する場合において、刃部2が非常に摩耗しやすいという問題を解決することができる。この問題は、刃部2と被切削部材3との接触部が高温高圧の雰囲気になることによって、炭素と鉄との化学的親和性に起因して炭素が鉄系材料に拡散することによって発生する。本実施例によれば、刃部2と被切削部材3とが断続的に接触する。これにより、刃部2と被切削部材3との接触部が高温高圧になることが抑制されるので、そのような拡散が防止される。したがって、ダイヤモンドからなる刃部2の摩耗を防止して、刃部2の長寿命化を図ることができる。
本発明に係る切削加工装置及び切削加工方法の実施例2を、図2を参照して説明する。本実施例においては、切削加工装置が有する円弧運動機構と、刃部を往復円弧運動させる方法とを、特徴とする。図2は、本実施例に係る切削加工装置が被切削部材を切削する状況を順に示す、部分断面図である。
図2に示されているように、円板状又は円柱状の切削工具8が、揺動板9の下面から突き出すようにして、その揺動板9に固定されている。この揺動板9は、揺動軸10を中心にして揺動可能になるように構成されており、揺動軸10は、昇降機構11に取り付けられている。昇降機構11は、駆動機構(図示なし)によって駆動され、刃部2を被切削面4に向かって進退させることにより、刃部2を被切削面4に接触させ、又は被切削面4から引き離す刃部2の進退機構である。1対の圧電素子12L,12Rは、いずれも昇降機構11に取り付けられており、印加される電圧の極性と大きさとによって、初期位置からそれぞれの先端が突出し又は引っ込むようにして変位する1対の突出機構である。これらの圧電素子12L,12Rは、それぞれの先端が突出して変位することによって、揺動板9の上面の両端(図では左右の両端)を往復円弧運動における円弧に関する接線方向に沿って突き出すことができる位置に、設けられている。すなわち、圧電素子12L,12Rは、往復円弧運動の軌跡(図1の軌跡5を参照)が含まれる円13(円13の同心円を含む)の接線の方向に沿って、揺動板9を突き出す位置に設けられている。ここで、揺動板9と揺動軸10と圧電素子12L,12Rとが、往復駆動力を発生させる円弧運動機構14の主要部を構成する。これにより、円弧運動機構14の簡素化が可能になる。
本実施例に係る切削加工装置について、昇降機構11が所定の位置まで下降して、ステージ(図示なし)により被切削部材3が水平移動しながら、切削工具8が往復円弧運動を行うことにより被切削部材3を切削する際の動作は、次の通りである。まず、図2(1)に示すように、圧電素子12L,12Rに対してそれぞれ所定の電圧を印加することにより、圧電素子12Lが伸長するとともに圧電素子12Rが収縮する。これにより、揺動板9と切削工具8とは、揺動軸10を中心にして復方向に円弧運動を行い、刃部2が往復円弧運動の軌跡の端点(図では右端)に位置する。
次に、図2(2)に示すように、圧電素子12L,12Rに対して印加していた電圧の極性を切り替えることにより、圧電素子12Lが収縮するとともに圧電素子12Rが伸長して、圧電素子12L,12Rの各先端が初期位置に復帰する。これにより、揺動板9と切削工具8とは往方向に円弧運動して、刃部2が被切削部材3の面に接触する。ここで、刃部2が接触する面は、既に切削された面と薄板状の切り屑6として既に引き上げられている部分の面との、境界付近である。したがって、刃部2は、被切削部材3を切削しながら、引き続き往方向に円弧運動する。そして、被切削部材3が切削されることによって、薄板状の切り屑6が更に立ち上がるとともに、粒子状の切り屑7Aが発生する。
次に、図2(3)に示すように、引き続き、圧電素子12Lが収縮するとともに圧電素子12Rが伸長し、揺動板9と切削工具8とが往方向に円弧運動して、刃部2が軌跡の端点(図では左端)に到着する。これにより、引き続き、被切削部材3が切削され、薄板状の切り屑6が更に立ち上がるとともに、粒子状の切り屑7A,7Bが発生する。また、刃部2を基準にして往方向側に発生した粒子状の切り屑7Aは、切削油とともに往方向側に排出される。
次に、図2(3)に示された状態から、圧電素子12L,12Rに対して印加していた電圧の極性を切り替えることにより、圧電素子12Lが伸長するとともに圧電素子12Rが収縮する。これにより、揺動板9と切削工具8とは揺動軸10を中心にして復方向に円弧運動を行い、刃部2は、既に切削加工された面に沿って往復円弧運動の軌跡の端点(図では右端)に復帰する。すなわち、揺動板9と切削工具8とは、図2(3)の状態から図2(1)の状態へと戻ったことになる。ここで、図2(3)の状態から図2(1)の状態を経て刃部2が再び被切削部材3に接触するまでの過程においては、刃部2は被切削部材3に接触しない。したがって、この過程において刃部2は、切削抵抗力を受けることなく移動しながら、切削油によっていっそう効果的に冷却される。また、刃部2を基準にして復方向側に発生した粒子状の切り屑7Bは、切削油とともに復方向側に排出される。
次に、引き続いて、圧電素子12L,12Rが揺動板9を交互に突き出すことにより、図2(1)の状態と図2(3)の状態とを交互に繰り返す。そして、所望の切削加工が終了すると、昇降機構11を使用して、揺動板9と切削工具8とを上昇させて、切削工具8の刃部2を被切削面4から引き離す。
ここで、本実施例の特徴は、圧電素子12L,12Rが、往復円弧運動の軌跡(図1の軌跡5を参照)が含まれる円13(円13の同心円を含む)の接線の方向に沿って、揺動板9を交互に突き出すことである。これにより、揺動板9は、揺動軸10を中心にして、再現性に優れた軌跡を描いて往復円弧運動を行う。したがって、揺動板9に固定されている切削工具8の刃部2が、再現性に優れた軌跡を描いて被切削部材3に断続的に接触しながら、被切削面4において被切削部材3を切削する。これにより、実施例1と同様に、切削抵抗力を低減して被削性を向上させる効果と、刃部2の長寿命化を図る効果とが得られる。また、円弧運動機構として1対の圧電素子12L,12Rを使用することにより、従来の楕円振動切削における圧電素子相互間の変位の干渉についての補正を行うことなく、微細な切削加工が可能になる。これにより、従来必要とされていた検出器(センサ)、制御機構、及び制御プログラムを使用することなく、被削性の向上と刃部2の長寿命化とが可能になる。したがって、切削加工装置の簡略化とコスト低減とが可能になる。
なお、本実施例においては、円板状又は円柱状の切削工具8を揺動板9に固定した。これに限らず、切削工具8に代えて図1に示されたバイト1を揺動板9に固定すれば、実施例1の切削加工装置が得られる。
また、本実施例においては、切削工具8を揺動板9に固定した。これに限らず、揺動板9に回転軸とモータ等の回転機構とを設け、円板状又は円柱状の切削工具をその回転軸に固定して、回転機構が回転軸を回転させることによってその切削工具を回転させることもできる。この場合には、回転軸を中心にして切削工具が自ら回転しながら、その回転軸が固定された揺動板9が往復円弧運動することになる。このような切削工具としては、刃部において砥粒を有する回転刃(ブレード)等を使用することができる。
また、ここまでの各実施例においては、被切削部材3を切削加工することを例に挙げて説明した。いうまでもなく、被切削部材3の厚さ方向の全てにわたって切削加工を行うことにより被切削部材3を切断する場合においても、本発明を適用することができる。
また、バイト1又は切削工具8を、例えば、水平方向に一定の振幅でかつ高速に往復運動(水平運動)させるとともに、その水平運動に同期させて、被切削部材3が固定されたステージ(図示なし)を垂直方向に一定の振幅でかつ高速に往復運動(垂直運動)させてもよい。これら2つの往復運動を組み合わせることにより、バイト1又は切削工具8と被切削部材3とを、相対的に往復円弧運動させることができる。この場合には、2つの往復運動が、次のように同期していればよい。すなわち、バイト1又は切削工具8がその水平運動における中点に位置するタイミングでステージがその垂直運動における最高点に位置し、かつ、バイト1又は切削工具8がその水平運動における両端に位置するタイミングでステージがその垂直運動における最低点に位置していればよい。更に、被切削部材3が固定されたステージ(図示なし)自体を往復円弧運動させるとともに、バイト1又は切削工具8を運動させない状態にしておいてもよい。
また、被切削部材3が固定されたステージ(図示なし)を、所定の水平方向(図では右方向)に沿って移動させることにより、往復円弧運動するバイト1又は切削工具8を使用して、被切削部材3の被切削面4を水平方向(図では左方向)に沿って切削することとした。これに限らず、ステージを固定して、往復円弧運動するバイト1又は切削工具8を図の左方向に移動させてもよい。また、ステージと往復円弧運動するバイト1又は切削工具8とをそれぞれ図の水平方向に移動させてもよい。いずれの場合においても、ステージと往復円弧運動するバイト1又は切削工具8とを水平方向に沿って相対的に移動させ、これらを互いに接触させることができればよい。
また、被切削部材3が固定されたステージ(図示なし)を、所定の水平方向(図では右方向)に沿って移動させた。これに限らず、ステージと往復円弧運動するバイト1又は切削工具8とを、図1又は図2に示された状態から90°又は適当な角度で適宜回転させた状態で、90°又はその適当な角度に沿った方向に、相対的に移動させてもよい。この場合においては、往復円弧運動の軌跡(図1の軌跡5を参照)が、刃部2が切込み深さ方向に最も深く切り込んだ点における被切削面4に対する垂線を挟んでほぼ線対称になるように、その軌跡を設定することが好ましい。
また、バイト1等の切削工具を往復円弧運動させる機構については、他の構成を採用することも可能である。考えられる第1の構成は、棒状の取付部材(揺動板)の一端にバイト等を固定し、他端付近に軸を設けてその取付部材を軸の回りに揺動自在にしておく構成である。そして、取付部材の一端付近を挟んで1対の圧電素子を配置し、それらの圧電素子が取付部材をそれぞれ突き出すことができるようにしておく。ここで、1対の圧電素子に逆位相の電圧を印加して、互いに逆のタイミングでそれらの圧電素子を収縮・伸長させる。これにより、1対の圧電素子によって交互に突き出された取付部材が揺動運動するので、その取付部材の一端に固定されたバイト等が往復円弧運動(揺動運動)する。
また、考えられる第2の構成は、可撓性を有し薄板状でかつ細長い取付部材(揺動板)の一端にバイト等を固定し、他端を装置本体に固定し、その取付部材の両面に、取付部材の長手方向に沿って変位する1対の圧電素子を配置する構成である。ここで、1対の圧電素子に逆位相の電圧を印加して、互いに逆のタイミングでそれらの圧電素子を収縮・伸長させる。これにより、薄板状の細長い取付部材がその両面に対して垂直な方向に沿ってたわみ変形するので、その取付部材の一端に固定されたバイト等が、取付部材の特定の部分を中心にして往復円弧運動(揺動運動)する。この構成によれば、従来の楕円振動切削、すなわち、軸の中心線に垂直であって、かつ、互いに直交する2方向にその軸をたわみ変形させる楕円振動切削とは異なり、各圧電素子の変位に起因する刃部の軌跡の乱れが発生しない。
以上の2つの構成も含めて、円弧運動機構14は、揺動軸10の部分又は揺動運動の中心になる特定の部分と、揺動軸10に固定され又は装置本体に固定されているとともに切削工具1,8が固定されている揺動板9と、揺動板9が往復円弧運動するように揺動板9に作用する1対の圧電素子12L,12Rとを有する。ここで、1対の圧電素子12L,12Rは、1対の突出機構又は伸縮機構として機能する。
また、これまでの説明では、切削工具を往復円弧運動させる機構において、変位を生じさせるアクチュエータとして圧電素子を使用した。これに限らず、磁歪素子等の他のアクチュエータを使用することもできる。
また、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
1 バイト(切削工具)
2 刃部(切削刃)
3 被切削部材
4 被切削面
5 軌跡
6 薄板状の切り屑
7A,7B 粒子状の切り屑
8 切削工具
9 揺動板
10 揺動軸
11 昇降機構(進退機構)
12L,12R 圧電素子(突出機構)
13 円
14 円弧運動機構
2 刃部(切削刃)
3 被切削部材
4 被切削面
5 軌跡
6 薄板状の切り屑
7A,7B 粒子状の切り屑
8 切削工具
9 揺動板
10 揺動軸
11 昇降機構(進退機構)
12L,12R 圧電素子(突出機構)
13 円
14 円弧運動機構
Claims (3)
- 刃部を有する切削工具を使用して被切削部材の被切削面を所定の方向に沿って切削する切削加工方法であって、
前記切削工具と前記被切削部材とを相対的に往復円弧運動させる工程と、
前記刃部を前記被切削面に接触させる工程と、
前記所定の方向に沿って前記切削工具と前記被切削部材とを相対的に移動させる工程とを備えることを特徴とする切削加工方法。 - 請求項1記載の切削加工方法において、
前記刃部が往復駆動力によって往復円弧運動される切削刃であることを特徴とする切削加工方法。 - 刃部を有する切削工具を使用して被切削部材の被切削面を所定の方向に沿って切削する切削加工装置であって、
前記切削工具と前記被切削部材とを相対的に往復円弧運動させる円弧運動機構と、
前記刃部を前記被切削面に向かって進退させることにより前記刃部を前記被切削面に接触させ、又は前記被切削面から引き離す前記刃部の進退機構と、
前記所定の方向に沿って前記切削工具と前記被切削部材とを相対的に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする切削加工装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004098256A JP2005279862A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 切削加工方法及び切削加工装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2004-03-30 JP JP2004098256A patent/JP2005279862A/ja active Pending
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