JP2005279653A - 溶接状態の検査方法と検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 突合せ接合した溶接部の溶接ビードの溶け込み状態、板厚の変化状態などを簡単にかつ迅速に検知することができる溶接状態の検査方法と検査装置を提供する。
【解決手段】 一対の板材11,13を突合せ溶接した溶接ビードBを、入熱方向下流側から観察する溶接状態の検査する場合、入熱方向下流側の板面から突出する溶接ビードBの先端までの突出高さaを非破壊で測定し、突出高さaから溶接部の実効板厚Tを演算し、この実効板厚Tと板材の一方の板厚Tと比較し溶接の良否を判断することを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、プラズマ溶接などにより板材を突合せ溶接した溶接状態の検査方法と検査装置に関する。
近年、自動車の車体あるいは部品は、テーラードブランク材を使用し、プレス成形することが多用されている。テーラードブランク材は、板厚、材質、強度などが異なる異種板材の端面を突合せ溶接したものであるが、この接合状態は慎重に検査する必要がある。
このテーラードブランク材をプレス成形する場合、接合部の接合状態が不十分で、例えば、溶接ビードに溶け込み不足、穴明きあるいは割れなどがあれば、良好なプレス成形ができない虞がある。
従来から行なわれている接合状態の検査方法としては、突合せ接合部の溶接ビードを板材の裏側から観察する方法がある。この検査方法は、溶接ビードが板厚方向に貫通している状態を目視あるいは何らかの方法で直接観察するので、溶接ビードの溶け込み深さの良否の判定を直接的に確実にかつ迅速に行なうことができ、極めて有効な方法である。
しかし、溶接作業は、板材をクランプした状態で上方から溶接することが多く、反対の裏面から観察することは検査作業が困難で非能率となる場合が多い。
そこで、最近提案された検査方法として下記特許文献1がある。この検査方法は、突合せ溶接における溶接ビードの幅と溶け込み深さが正の相関関係にあることを前提とし、溶接ビードを光切断法などによりプロファイルを測定し、ワークの上底面を含む平面の座標データと、溶接ビードの表面を表す形状曲線の座標データとに基づいて、溶込みに対応する有効なビード幅を数値演算処理により算出するものである。
しかし、突合せ溶接は、種々の条件によって接合状態が変化することから、溶接ビードの幅と溶け込み深さが常に所定の相関関係にあるものでもなく、また、この方法では板材の裏側から観察しないので、例えば、製品に対し全量検査する場合には、検査の信頼性が低減し、確実に製品品質の向上を図ることは難しい。
特開平10−296481号公報(図1、要約など参照)
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決し、突合せ接合した溶接部の溶接ビードの溶け込み状態、板厚の変化状態などを簡単にかつ迅速に検知することができる溶接状態の検査方法と検査装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、一対の板材を突合せ溶接した溶接部の溶接ビードを、入熱方向下流側から観察する溶接状態の検査する場合、入熱方向下流側の板面から突出する前記溶接ビードの先端までの突出高さを非破壊で測定し、当該突出高さから前記溶接部の実効板厚を演算し、この実効板厚と前記板材の一方の板厚と比較し溶接の良否を判断することを特徴とする。
本発明は、突合せ溶接した後の板材を、例えば、次の工程に搬送する途中に反転した状態で、溶接部の入熱方向下流側となる板面からの溶接ビードの先端までの突出高さを測定するので、一義的に溶接ビードの溶け込み状態が確認できる。つまり、溶接ビードが板面から突出していると、溶接ビードが板厚方向に貫通していることになり、確実に溶け込んでいることが簡単に確認できる。
また、測定した突出高さから溶接部の実効板厚を演算し、この実効板厚と前記板材の一方の板厚と比較すれば、溶接時に板材の肉が溶接ビードに流れ込むことにより薄肉化した板厚の変化状態が判断でき、製品品質の良否を簡単に判断できる。
前記溶接部の実効板厚は、測定した突出高さと両板材の目違い量とから演算すれば、目違いがある板材の溶接状態までも判断できる。
前記溶接ビードの入熱側に生じる凹み深さと入熱方向下流側の突出量が所定の相関関係を有していることを前提にし、測定した突出高さと両板材の目違い量とから板材の板厚減少率を前記式(1)により算出し、品質確保の上から許容される限界値と比較すれば、溶接時に板材の肉が溶接ビードに流れ込むことにより薄肉化した板厚の変化状態が数値的に判断できる。
特に、テーラードブランク材のように薄板材の板厚が限界まで薄肉化されていると、薄板材の板厚と比較すれば、強度的品質の良否が極めて簡単にかつ速やかに判断できる。
しかも、溶接にプラズマ溶接を用いると、両板材の突合せが容易となるので、作業性、製品の品質などが向上し、極めて実利的である。
さらに、溶接ビードの入熱方向下流側の突出高さを非破壊で測定するので、製品を全量にわたり簡単に検査することができる。特に、流れ作業により生産している場合に、全量検査し、検査結果を直ちに作業開始部にフィードバックすれば、不良品の発生を防止できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1はプレス成形品の一例を示す斜視図、図2は同プレス成形品用のテーラードブランク材を示す斜視図、図3は図2のY部を示し、(A)はプラズマ溶接している状態を示す縦断面図、(B)は同横断面図、(C)は溶接完了後の状態を示す縦断面図である。
たとえば、自動車の車体とアクスルを連結するサスペンション部品は、図1に示すように、サイドメンバ1,2と、クロスメンバ3,4とを有し、サイドメンバ1,2の端部をクロスメンバ3,4を介して連結した閉構造体である。
このサスペンション部品は、図2に示すように、4枚の板材を相互に溶接したテーラードブランク材Tを使用し、プレス成形している。このテーラードブランク材Tは、サイドメンバ1,2を形成するための2枚の厚板材11,12と、クロスメンバ3,4を形成するための2枚の薄板材13,14とからなり、水平な基板(不図示)上に厚板材11,12を多少末広がりとなるように相互に離間して設置し、その間に薄板材13,14を配置し、相互に溶接接合する。
この接合時には、板材相互の隙間の大きさが突合せ溶接の良否に直接影響するので、各板材の配置は、位置決めピン(不図示)により高精度に位置合わせし、図3(A)に示すように、厚板材11と薄板材13の端部を突合せた状態とする。そして、クランプした状態で厚板材11と薄板材13の端部をプラズマ溶接すると、溶接ビードBが形成され、両板材11,13が接合する。
正常に形成された溶接ビードBは、図3(C)に示すように、入熱側の表面が厚板材11側から薄板材13側に向かってなだらかに傾斜した凹曲面状を呈し、入熱方向下流側となる面が垂れ下がった凸曲面状をしている。実験によれば、この溶接ビード表面に生じた凹み部rの凹み量dと、入熱方向下流側の溶接ビードBの突出量cとは、相関関係を有していることが判明している。具体的には、両者は略等しい関係を有している。
ただし、プラズマ溶接の状態によっては、薄板材13がより多くの熱を受けて溶融し、板厚が薄くなるので、テーラードブランク材Tの成形には、入熱に注意を払う必要がある。例えば、両板材11,13を支持する支持台16に、逃し溝17を形成し、両板材11,13の突合せ溶接時に、この逃し溝17を通ってシールドガスを流し、溶接ビードBを下方から温度制御すると、成長する溶接ビードBの大きさを制御でき、入熱方向下流側まで溶け込ませることもでき、テーラードブランク材Tの成形には好ましい。
本実施形態は、プラズマ溶接を使用している。これは板材相互の隙間の大きさをレーザ溶接より大きくでき、作業性が向上するからである。なお、実験によれば、3.2mmの厚板材11と1.8mmの薄板材13を突合せた状態で、レーザ溶接を行なった場合には、厚板材11と薄板材13の隙間は、0.1mm以下に管理しなければ、溶け落ちが生じ、溶接されないこともあるが、プラズマ溶接の場合には、前記隙間は、0.3〜0.5mm程度でも溶け落ちがなく、良好に溶接されることが判明している。
プラズマ溶接時のトーチ15の傾斜状態についても検証した。トーチ15の傾斜は、両板材11,13の突合せ面に対し0°〜20°の傾斜角αで薄板材側に傾斜させ、進行方向(白抜き矢印方向)で10°〜20°の傾斜角βで後傾させると、薄板材の肉厚が低減せず良好な溶接状態が得られることが判明している。
このようにして形成されたテーラードブランク材Tは、基本的には入熱方向下流側の板面から溶接ビードBが突出した良好な溶接状態が得られるが、各板材を所定位置に設置する場合に使用する位置決めピンの摩耗あるいは各板材端面の切断不良などがあれば、各板材の整合性、突合せ不良あるいは真直度が不十分となり、両板材の突合せ面に大きな隙間が生じ、プラズマ溶接であっても穴明きやアンダーフィルなどの溶接不良を起こすことがある。したがって、溶接後には各テーラードブランク材Tの溶接状態を検査することが好ましい。
本実施形態の溶接状態の検査方法は、例えば、テーラードブランク材Tを次の工程に搬送する途中に反転し、入熱方向下流側の面を上にした状態で、検査装置20を使用して、板面からの溶接ビードBの突出高さaを非破壊で測定するものである。
図4は本実施形態に係る検査装置を示す斜視図、図5は図4の溶接ビード部分を拡大して示す要部斜視図、図6は溶接ビードの画像データを示す図である。
検査装置20は、図4に示すように、6軸ロボットからなる作動部21と、この作動部21の先端に設けられ、レーザ光を溶接ビードBに照射するレーザ変位計などの光照射部22と、この光照射部22から照射され板面や溶接ビードBで反射されたレーザ光を受光するCCDカメラ等の撮像部23と、撮像部23で得られたデータを演算処理し所定の画像データにするコンピュータなどの演算処理部(不図示)と、を備えている。
なお、前記作動部21は、水平な基板上に立設され、光照射部22は、この基板の水平な上面を基準に反転されたテーラードブランク材Tを検査することになっている。
溶接ビードBの板面からの突出高さaは、溶接ビードBにスリット光を照射する光切断法や、溶接ビードBの幅方向(溶接方向に対し直交する方向)にスポット光を走査させるスキャン測距法などにより測定できるが、前者の場合につき例示的に説明する。
光照射部22は、作動部21により所定位置に移動しセットされ、スリット的なレーザ光を溶接ビードBや板面に対し所定の角度で照射するように位置調節されている。撮像部23は、溶接ビードBや板面からの反射光を受光し、受光位置と輝度などを検知し、検知したデータは、演算処理部に入力され演算された後、モニターに画像データとして表示される。
例えば、図5に示す溶接ビードBに照射するレーザ光は、溶接ビードBの略中央部分から所定のマージンm,m’分だけ離れた間とし、その端部をエンドラインl,lとすると、撮像部23は、エンドラインl,l上の点p,pと、その間の5点p〜pの8箇所で受光位置と輝度などを検知し、データを取得する。なお、後述する目違い量b、つまり、両板材11,13の下面11a,13aがずれている量は、水平面で溶接する場合には、ほとんど無視できる量であることから、本実施形態では照射レーザ光は、溶接ビードBを含む板面を照射している。
これら8箇所のデータは、演算処理部に入力され演算され、図6に示す溶接ビードBの画像データとしてモニターに表示される。この画像データも、図5に示すレーザ光照射部と対応し、前記エンドラインl,lに対応するエンドラインL,Lが表示され、溶接ビードBの各測定点p〜pに対応して、その高さ値が、エンドラインL,Lと交差する基準線Lからの離間量としてプロットされ、表示されている。基準線Lは、測定点pとpに対応するプロットPとPを結ぶ線分である。
したがって、図6に示す画像データでは、プロットP〜Pが基準線Lから上方に位置すれば、溶接ビードBが板面より突出し、入熱方向下流側の板面まで溶け込み、正常な溶接ビードBが形成されていることを意味し、逆に、図中一点差線で示すように、前記プロットP〜Pが基準線Lから下方にある場合は、溶接ビードBが下面まで溶け込んでおらず、正常に溶接されていないことを意味する。また、場合によっては、プロットP〜Pが基準線Lと同一線上に並んだ状態あるいは交差した状態なども生じるが、これらはいずれも正常に溶接されていないことを意味する。
さらに、本実施形態の検査では、溶接ビードBの突出高さaも測定できることから、この突出高さaに基づき板材の状態、つまり、薄板材13の板厚減少率までも後述の式により算出し、溶接による板厚の変化状態までも検査可能である。
溶接ビードBの突出高さから板厚減少率を求める点に関し詳述する。
図7,8は図3(C)に相当する図で、図7は厚板材と薄板材を突合せ溶接したとき、厚板材の下面が薄板材の下面より上位に位置する状態を示す断面概略図、図8は逆に厚板材の下面が薄板材の下面より下位に位置する状態を示す断面概略図である。
例えば、図7に示すように、薄板材13の下面13aが厚板材11の下面11aより低い位置で、目違いに突合せ溶接した場合を想定し、各部の長さあるいは位置を次のように定めたとする。
a:P,Pを結んだ線分と溶接ビードBの最下端までの距離であり、溶接ビード先端までの突出高さ。
b:両板材11,13の下面11a,13aがずれている量であり、両板材11,13の目違い量。
c:両板材11,13の内、反転測定時には高位に位置する板面からの最大突出量であり、図7では薄板材13の下面13aから溶接ビードBの最下端までの距離。
d:溶接部の入熱側に生じる溶接ビードBの凹み部rの深さ。
:溶接ビードBを中心とし所定のマージンmだけ離れた位置の厚板材11の下面11a上の点。
:溶接ビードBを中心とし所定のマージンm’だけ離れた位置の薄板材13の下面13a上の点。
T:実効板厚。ここに、「実効板厚」とは、溶接ビードBの凹み部rの最下部と、厚板材11の下面11aまたは薄板材13の下面13aの内、前記最下部に近いものとの間の板厚をいう。
:薄板材13の板厚。
図7から、実効板厚Tを数式で示すと、
Figure 2005279653
ここに、薄板材13の下面13aが厚板材11の下面11aより下方に位置している場合には、「b」に(+)符号を付す。なお、逆に上方に位置している場合には、(−)符号を付す。
前述したように実験により、両板材を突合せ溶接した溶接部の入熱側に生じる凹み部rの深さdは、入熱方向下流側の板面での溶接ビードBの突出量cに略等しいことが判明していることから、d=cとすれば、前記式(1)は、
Figure 2005279653
となる。
図7から
Figure 2005279653
つまり、
Figure 2005279653
であるため、この式(3)を式(2)に代入すると
Figure 2005279653
となる。
したがって、(4)式から明らかなように、突出高さaと両板材の目違い量bが判明すれば、溶接部の実効板厚Tを求めることができる。
この結果、板厚減少率(T/T)は、次の式で表される。
Figure 2005279653
一方、図8に示すように、薄板材13の下面13aが厚板材11の下面11aより高い位置で、目違いに突合せ溶接した場合には、前記各式は、次のようになる。
図8から、実効板厚Tを数式で示すと、
Figure 2005279653
前記同様、d=c とすれば、前記式(1’)は、
Figure 2005279653
となる。
ここに、薄板材13の下面13aが厚板材11の下面11aより上方に位置している場合には、「b」に(−)符号を付すと、
図8から
Figure 2005279653
つまり、
Figure 2005279653
であるため、この式(3’)を式(2’)に代入すると
Figure 2005279653
となる。
この結果、板厚減少率(T/T)は、次の式で表される。
Figure 2005279653
つまり、
Figure 2005279653
したがって、式(6)と式(6’)とは、「b」に「+」「−」の概念があれば、同じ式となるので、溶接ビードBの突出高さaから板厚減少率T/Tを求める場合には、式(6)を使用することができる。
前述したものは、板厚が相違する場合の突き合わせ溶接であるが、板厚が同厚の場合についても、溶接ビードBの突出高さaと板厚減少率T/Tの関係式を求めると、下記のようになる。
図9は同厚の板材31と33を突合せ溶接したとき、板材31の下面31aが板材33の下面33aより上位に位置する状態を示す断面図、図10は逆に板材31の下面31aが板材33の下面33aより下位に位置する状態を示す断面図である。なお、図9,10においても、各部の長さあるいは位置は、前記図7,8のものと同様とする。
図9を用いて、板厚減少率(T/T)を数式で示すと、前記式(6)と同様の下記の式(6’’)で表すことができる。
Figure 2005279653
一方、図10を用いて、板厚減少率(T/T)を数式で示すと、前記式(6’)と同様の下記の式(6’’’)で表すことができる。
Figure 2005279653
なお、いずれの式も重複を避けるため、計算過程は省略する。
したがって、同厚の板材の場合も、同じ式となるので、溶接ビードBの突出高さaと両板材の目違い量bから板厚減少率T/Tを求める場合には、式(6)を使用することができる。
このようにして算出した板厚減少率T/Tの値が、品質確保の上からどの程度かを実験により検証した結果、限界値としては、0.8程度が好ましいことが判明した。
つまり、
T/T≧0.8
という関係を有することが好ましい。ただし、この限界値は、特に限定されるものではなく、品質確保の上から任意に定めることができるものである。
したがって、検査結果の板厚減少率と、品質確保の上から定めた限界値と比較すれば、溶接時に板材の肉が溶接ビードBに流れ込むことにより薄肉化した状態が品質確保の上から好ましいか否かが分かり、板厚の変化状態からも溶接の良否、製品品質の良否が判断できる。
特に、テーラードブランク材Tのように板厚が薄い側の板材は限界まで薄肉化されている場合に、板厚減少率T/Tが前記限界値と比較すると、強度的な面での品質の良否判定ができ、しかもこの判定を極めて良好にかつ速やかに行なうことができる。
次に、突合せ溶接した成形品の検査を説明する。
厚板材11と薄板材13を水平な支持台16上で突合せた状態でクランプし、上方からトーチ15を用いて溶接すると、両板材の突合せ端部に溶接ビードBが形成されたテーラードブランク材Tとなる。
このテーラードブランク材Tの溶接状態の検査は、図4に示すように、反転した状態で行なう。反転されたテーラードブランク材Tが検査装置20の下部に移動すると、作動部21により光照射部22が作動され、溶接ビードBに対し所定位置にセットされる。
光照射部22からは、所定の角度でスリットレーザ光が照射され、板面や溶接ビードBで反射し、撮像部23に受光される。撮像部23では、受光した光から受光位置と輝度などが検知され、この検知した値は、コンピュータで演算され、所定のモニターに、図6に示すような溶接ビードBの突出高さaを示す画像データとして表示される。
板面より円弧状に突出している溶接ビードBの場合には、画像データは、溶接方向と平行な所定のエンドラインL,Lと直交する基準線Lより上方に滑らかな円弧状をしたプロットP〜Pとして表示される。したがって、この溶接ビードBは、入熱方向下流側の板面まで溶け込んでおり、正常に形成されていることが分かる。
しかし、円弧状でない他の状態の溶接ビードBの場合には、基準線Lより下方または同一線上、あるいは基準線LとクロスしたプロットP〜Pとして表示される。この溶接ビードBは、確実に板面から突出していないため、溶け込み不足であることが分かる。この場合は、プロットP〜Pのどの部分が不良であるか、高さ不足となっているかなどの情報を、直ちに溶接作業開始部にフィードバックし、位置決めピンの交換、逃し溝17に適用されたシールドガスの量を調節するなど、所定の溶接不良の原因を除去すると、製品品質の低下を防止することができる。
また、前記式(6)との関係について言えば、薄板材13の板厚「T」は既知であり、溶接ビード先端までの突出高さ「a」は、円弧状に配列されたプロットP〜Pの内、ピークとなるプロットPの基準線Lからの離間量から分かる。両板材11,13の目違い量「b」は、水平な支持台16上でクランプした状態で溶接しているので、殆ど無視できる。ただし、この目違い量bを測定する場合は、反転されたテーラードブランク材Tが載置されている基板の表面を基準に前記プロットPとPを定め、その値の差を求めればよい。
したがって、これらの数値を用いて演算処理部に入力し、前記式(6)を用いて演算すれば、板厚減少率T/Tを求めることができる。
求めた板厚減少率の値と、品質確保の上から定めた限界値である0.8と比較し、その結果を、前記画像データの一部としてモニターに表示すると、溶接による板厚減少状態が許容範囲か否かも分かる。
以上説明したように、本実施形態によれば、熱方向下流側の板面から突出する溶接ビードBの突出高さを非破壊で測定するので、この突出高さaから直ちに溶接ビードBの溶込み深さが分かり、溶接状態の良否を高い信頼度で簡単にかつ迅速に判断できる。
また、溶接ビードBの突出高さaや、場合によっては目違い量bの測定結果が分かると、板厚減少率T/Tも求めることができるので、この板厚減少の点からも溶接状態の良否が分かる。特に、テーラードブランク材Tのように板厚が薄い側の板材は限界まで薄肉化されていると、薄板材13の板厚減少率と限界値を比較すれば、強度に関する品質維持が可能か否かも判断でき、極めて有効なものとなる。特に、相互に板厚の相違するテーラードブランク材の場合には、薄板材の板厚減少率が分かると、強度的な品質を保持できることから極めて有効なものである。相互に同厚の板材の場合も、同様に、強度的な品質保持から有効となる。さらに、溶接にプラズマ溶接を用いると、端面の隙間を不必要に厳格にすることもないので、作業性の面で好ましいものとなる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。例えば、前記実施形態では、溶接状態の測定を溶接ビードBの溶接方向の1箇所で行なっているが、これを複数箇所で行い、それぞれの箇所でプロットP〜Pを取得すれば、略溶接ビードB全体の溶接状態を検査することもできる。
また、前記実施形態では、液圧成形品Wとして自動車の車体構造材であるサイドメンバについて説明したが、これのみでなくドアプレート、バンパーなど他の構造材でもよい。
本発明にかかる溶接状態の検査方法と検査装置は、サイドメンバなどの自動車の車体構造材に使用するテーラードブランク材の溶接部分の検査に適している。
プレス成形品の一例を示す斜視図である。 同プレス成形品用のテーラードブランク材を示す斜視図である。 図2のY部を示し、(A)はプラズマ溶接している状態を示す縦断面図、(B)は同横断面図、(C)は溶接完了後の状態を示す縦断面図である。 本発明の実施形態に係る検査装置を示す斜視図である。 図4の溶接ビード部分を拡大して示す要部斜視図である。 溶接ビードの画像データを示す図である。 厚板材と薄板材を突き合わせた状態の概略図である。 厚板材と薄板材を突き合わせた状態の概略図である。 同厚板材を突き合わせた状態の概略図である。 同厚板材を突き合わせた状態の概略図である。
符号の説明
11,12…厚板材、
13,14…薄板材、
22…光照射部、
23…撮像部、
a…溶接ビード先端の突出高さ、
b…両板材の目違い量の絶対値、
c…溶接ビードの板面からの突出量、
d…凹み部の深さ、
r…凹み部、
B…溶接ビード、
T…実効板厚、
…薄板材の板厚、
…テーラードブランク材。

Claims (10)

  1. 一対の板材を突合せ溶接した溶接部の溶接ビードを、入熱方向下流側から観察する溶接状態の検査方法であって、入熱方向下流側の板面から突出する前記溶接ビードの先端までの突出高さを非破壊で測定し、当該突出高さから前記溶接部の実効板厚を演算し、この実効板厚と前記板材の一方の板厚と比較し溶接の良否を判断することを特徴とする溶接状態の検査方法。
  2. 前記溶接状態の検査方法は、前記突出高さと両板材の目違い量から前記溶接部の実効板厚を演算することを特徴とする請求項1に記載の溶接状態の検査方法。
  3. 前記溶接状態の検査方法は、前記溶接ビードの入熱側に生じる凹み部の深さが、入熱方向下流側の板面の内、高位に位置する板面からの最大突出量に相当することを前提とし、前記突出高さから前記板材の板厚減少率を次式(1)により演算し、許容される限界値と比較し溶接の良否を判断することを特徴とする請求項2に記載の溶接状態の検査方法。
    Figure 2005279653
    ここに、T/T:板厚減少率、
    T :実効板厚、
    :一方の板材の板厚、
    a :溶接ビード先端までの突出高さ、
    b :両板材の目違い量の絶対値、
    である。
  4. 前記実効板厚と比較する板材は、薄板材である請求項1〜3のいずれかに記載の溶接状態の検査方法。
  5. 前記溶接は、プラズマ溶接である請求項1〜4のいずれかに記載の溶接状態の検査方法。
  6. 一対の板材を突合せ溶接した溶接部の溶接ビードを、入熱方向下流側から観察する溶接状態の検査装置であって、入熱方向下流側の板面から突出する前記溶接ビードの先端までの突出高さを非破壊で測定し、当該突出高さから前記溶接部の実効板厚を演算し、この実効板厚と前記板材の一方の板厚と比較し溶接の良否を判断することを特徴とする溶接状態の検査装置。
  7. 前記溶接状態の検査装置は、前記突出高さと両板材の目違い量から前記溶接部の実効板厚を演算することを特徴とする請求項6に記載の溶接状態の検査装置。
  8. 前記溶接状態の検査装置は、
    レーザ光を溶接ビードに照射する光照射部と、
    該光照射部から照射され板面や溶接ビードで反射されたレーザ光を受光する撮像部と、
    該撮像部で得られたデータを演算処理し所定の画像データにする演算処理部と、
    を備え
    一対の板材を突合せ溶接した溶接部の入熱側に生じる凹み部の深さが、入熱方向下流側の板面の内、高位に位置する板面からの最大突出量に相当することを前提とし、
    該突出高さから前記板材の板厚減少率を次式(1)により算出し、許容される限界値と比較し溶接の良否を判断することを特徴とする請求項7に記載の溶接状態の検査装置。
    Figure 2005279653
    ここに、T/T:板厚減少率、
    T :実効板厚、
    :薄板材の板厚、
    a :溶接ビードの突出高さ、
    b :両板材の目違い量の絶対値、
    である。
  9. 前記実効板厚と比較する板材は、薄板材である請求項6〜8のいずれかに記載の溶接状態の検査装置。
  10. 前記溶接は、プラズマ溶接である請求項6〜9のいずれかに記載の溶接状態の検査装置。
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