JP2007054839A - プラズマ溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワークがチタン、ニッケル等の極薄板であっても、高精度の溶接が可能であり、接合後のワークが、その溶接部において強度的優れるプラズマ溶接装置を提供する。
【解決手段】ワークWを支持するワーク支持体1と、電流をデジタル制御すると共に、パルス信号使用可能なインバータ制御のマイクロプラズマ電源2と、相互に直交する3軸方向に溶接トーチ3を移動させる溶接ロボット4とを備える。ロボット制御手段5にて、溶接ロボット4を制御して、予めティーチングされた溶接経路に沿って溶接トーチ3を移動させる。レーザーセンサ6にて、ワーク支持体1に支持されているワークWの溶接位置を検出する。経路制御手段7にて、レーザーセンサ6にて検出された溶接位置に基づいて溶接経路を補正する。
【選択図】図1
【解決手段】ワークWを支持するワーク支持体1と、電流をデジタル制御すると共に、パルス信号使用可能なインバータ制御のマイクロプラズマ電源2と、相互に直交する3軸方向に溶接トーチ3を移動させる溶接ロボット4とを備える。ロボット制御手段5にて、溶接ロボット4を制御して、予めティーチングされた溶接経路に沿って溶接トーチ3を移動させる。レーザーセンサ6にて、ワーク支持体1に支持されているワークWの溶接位置を検出する。経路制御手段7にて、レーザーセンサ6にて検出された溶接位置に基づいて溶接経路を補正する。
【選択図】図1
Description
この発明は、プラズマ溶接装置に関するものである。
プリント基板の回路パターン印刷やモバイル・バッテリ等に使用される薄板は、チタン、ニッケル等の極薄板である。そして、これらの場合、極薄板同士を接合する必要がある。その接合方法としては、従来から、ろう付けや抵抗スポット溶接等の方式、または、レーザ溶接や電子ビーム溶接等の方式が採用されている。
しかしながら、ろう付け等にて接合を行う場合は、完全な溶融溶接ではないために、接合部の強度、シール性、及び耐腐食性等が不十分であった。また、レーザ溶接にて接合を行う場合は、溶融溶接であるが、装置コスト及び装置維持コストが高く、しかも装置操作の困難性も問題であった。
ところで、近年、薄板等を溶接する場合、プラズマ溶接装置が使用される。この場合、例えば、溶接部位に対してプラズマ溶接トーチを左右にウィービングまたは回転させ、溶接部位との位置関係で変化する電流や電圧を検出することにより溶接線を認識し、この溶接線に倣って溶接を行うものである。そして、溶接部位が薄板の重ね部である場合は、この重ね部の段差に比例して表される電流や電圧変化から、段差を挟んだ左右部位での電流の差、もしくは電圧の差が等しくなるように制御することで、溶接線に倣った溶接を可能としている。
しかしながら、上記のようなプラズマ溶接装置では、薄板の肉厚(板厚)が極めて小さい極薄板であれば、重ね部での段差が小さくなる。このため、検出感度が低下し、溶接線に倣った精度のよい溶接ができないおそれがある。特に、電圧変化に対する感度特性が得られないことで、チタン、ニッケル等の極薄板の溶接には不利であった。
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、ワークがチタン、ニッケル等の極薄板であっても、高精度の溶接が可能であり、接合後のワークが、その溶接部において強度的に優れるプラズマ溶接装置を提供することにある。
そこで請求項1のプラズマ溶接装置は、ワークWを支持するワーク支持体1と、電流をデジタル制御すると共に、パルス信号使用可能なインバータ制御のマイクロプラズマ電源2と、相互に直交する3軸方向に溶接トーチ3を移動させる溶接ロボット4と、この溶接ロボット4を制御して、予めティーチングされた溶接経路に沿って上記溶接トーチ3を移動させるロボット制御手段5と、上記ワーク支持体1に支持されているワークW、Wの溶接位置を検出するレーザーセンサ6と、このレーザーセンサ6にて検出された上記溶接位置に基づいて上記溶接経路を補正する経路制御手段7とを備えたことを特徴としている。
請求項2のプラズマ溶接装置は、上記マイクロプラズマ電源2は、1アンペア単位でデジタル制御が可能であることを特徴としている。
請求項3のプラズマ溶接装置は、上記ワークWが、チタン、ニッケル、又はステンレス等の極薄板であることを特徴としている。
請求項1のプラズマ溶接装置によれば、マイクロプラズマ電源によって、プラズマ電極と溶接トーチのノズルとの間に電圧を加えることによって、プラズマジェットが発生して溶接が行われる。この場合、プラズマ電源が、電流をデジタル制御すると共に、パルス信号使用可能なインバータ制御を行うことができるマイクロプラズマ電源であるので、溶接トーチに印加する電圧の調整を精度良く行うことができる。この際、ワーク(母材)と溶接トーチのノズルとの間の距離を一定に保持することができ、高精度の接合を行うことができる。このため、溶接部において、従来のろう付けや抵抗スポット溶接に比べて十分な強度を有し、しかもこの溶接装置にて溶接を行えば低コスト化を達成できる。また、この溶接装置によって溶接された製品はその溶接部においては漏れや腐食等を安定して防止することができ、耐久性に優れたものとなる。さらに、レーザーセンサにて検出された溶接位置に基づいて溶接経路を補正する経路制御手段を備えているので、溶接線がジグザグ線や複雑な曲線であっても、ロボット制御手段にて溶接トーチを移動させて、その溶接線に対応した溶接経路に確実に追従して溶接することができる。このため、安定した溶接作業を行うことができ、高品質の製品を安定して提供することができる。
請求項2のプラズマ溶接装置によれば、溶接時において、1アンペア単位でデジタル制御が可能であるので、高精度の溶接が一層可能となる。
請求項3のプラズマ溶接装置によれば、ワークが、チタン、ニッケル、又はステンレス等の極薄板であっても、確実に溶接することができる。
次に、この発明のプラズマ溶接装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1はこのプラズマ溶接装置の全体斜視図である。このプラズマ溶接装置は、プラズマ電極(図示省略)と溶接トーチ3のノズルとの間に電圧を加える非移行アーク型のプラズマ溶接装置であり、ワークWを支持するワーク支持体1(図2参照)と、マイクロプラズマ電源2と、相互に直交する3軸方向に溶接トーチ3を移動させる溶接ロボット4と、この溶接ロボット4を制御するロボット制御手段5と、上記ワーク支持体1に支持されているワークWの溶接位置を検出するレーザーセンサ6と、このレーザーセンサ6にて検出された溶接位置に基づいて上記溶接経路を補正する経路制御手段7とを備える。
ワークWは、例えば、チタン、ニッケル、又はステンレス等の極薄板であり、この溶接装置によって、2枚のワークW、Wを、図3のように突合せ溶接したり、図示省略するが拝み溶接等したりすることができる。また、ワーク支持体1は、例えば、図2に示すように、2枚のワークW、Wのうち一方のワークWの反溶接部側を挟持状に保持する第1保持体8と、他方のワークWの反溶接部側を挟持状に保持する第2保持体9とを備える。このため、第1保持体8と第2保持体9との間に突合せ部(溶接部30)が形成される。
マイクロプラズマ電源2は、電流をデジタル制御すると共に、パルス信号使用可能なインバータ制御を行うものである。また、1アンペア単位でデジタル制御が可能である。レーザーセンサ6は、レーザ光を照射する照射部と、反射光を受ける受光部とを有するセンサ本体10を備える。すなわち、照射部からレーザ光を溶接部(溶接線)30に照射し、この溶接部30にて反射された反射光を受光部にて受けて、溶接部30の位置を検出する。
溶接ロボット4は相互に直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)に変位(移動)可能な3次元ロボットであり、X軸方向に移動するX方向移動体12と、Y軸方向に移動するY方向移動体13と、Z軸方向に移動するZ方向移動体14とを備える。X方向移動体12はX軸方向に沿って配設されたガイドレール15にスライド自在に配置され、また、X方向移動体12にY軸方向に移動可能としてY方向移動体13が付設されている。そして、このY方向移動体13にZ軸方向に移動可能としてZ方向移動体14が付設されている。
また、Z方向移動体14には上記溶接トーチ3が付設される。このため、ロボット制御手段5にて制御されて、溶接トーチ3が相互に直交する3軸方向に沿って移動する。すなわち、X方向移動体12をX軸方向に沿って移動させることによって、溶接トーチ3をX軸方向に沿って移動させることができ、Y方向移動体13をY軸方向に沿って移動させることによって、溶接トーチ3をY軸方向に沿って移動させることができ、Z方向移動体14をZ軸方向に沿って移動させることによって、溶接トーチ3をZ軸方向に沿って移動させることができる。
また、この溶接装置は、図1に示すように、操作ペンダント(チィーチペンダント)25を備える。すなわち、作業者(オペレータ)がこの操作ペンダント25を操作しながら、溶接ロボット4を駆動させて、この溶接ロボット4にさせたい仕事の順に順序良く教示していくことになる。
レーザーセンサ6は、ワーク支持体1に支持されているワークW、Wの溶接部30の溶接位置を検出し、この検出値を経路制御手段7に入力する。経路制御手段7では、溶接経路がずれていれば、検出した溶接位置に基づいて、ロボット制御手段5を駆動させて溶接トーチ3の位置の修正を行うことになる。
次に、上記のように構成された溶接装置を使用した溶接方法を説明する。まず、ワークW、Wを、図2に示すように、ワーク支持体1に支持させる。次に、ティーチングされた溶接経路に従って、溶接トーチ3を移動させて溶接する。すなわち、予め、溶接準備工程(ティーチング工程)で、上記したように、操作ペンダント25を操作することによって、ワークW、Wの溶接部30の溶接トーチ3に対するティーチング(教示)が行われる。
この際、溶接ロボット4を駆動させて上記ティーチングされた溶接経路に沿って溶接トーチ3を移動させつつ、レーザーセンサ6によって、ワーク支持体1に支持されているワークW、Wの溶接部30の溶接位置を検出する。そして、上記ティーチングされている溶接経路がずれている場合に、経路制御手段7にて修正しつつ溶接することになる。
また、溶接時には、マイクロプラズマ電源によって、プラズマ電極と溶接トーチのノズルとの間に電圧を加える。これによって、プラズマジェットが発生して溶接が行われる。
上記溶接装置では、プラズマ電源2が、電流をデジタル制御すると共に、パルス信号使用可能なインバータ制御を行うことができるマイクロプラズマ電源2であるので、溶接トーチ3に印加する電圧の調整を精度良く行うことができる。この際、ワーク(母材)Wと溶接トーチ3のノズルとの間の距離を一定に保持することができ、高精度の接合を行うことができる。このため、溶接部30において、従来のろう付けや抵抗スポット溶接に比べて十分な強度を有し、しかもこの溶接装置にて溶接を行えば低コスト化を達成できる。また、この溶接装置によって溶接された製品はその溶接部30においては漏れや腐食等を安定して防止することができ、耐久性に優れたものとなる。さらに、レーザーセンサ6にて検出された溶接位置に基づいて溶接経路を補正する経路制御手段7を備えているので、溶接線がジグザグ線や複雑な曲線であっても、ロボット制御手段5にて溶接トーチ3を移動させて、その溶接線に対応した溶接経路に確実に追従して溶接することができる。このため、安定した溶接作業を行うことができ、高品質の製品を安定して提供することができる。特に、溶接時において、1アンペア単位でデジタル制御が可能であるので、高精度の溶接が一層可能となる。
このように、この溶接装置を使用すれば、ワークWが、溶接の最も困難な素材であるチタンを使用した板厚0.1mm〜0.5mm程度の極薄板であっても、突合せ溶接(図3参照)や拝み溶接等を行うことができる。すなわち、オペレータが熟練技能者でなくても、チタンやニッケル等の種々の材質からなる極薄板を接合する際(その溶接線が3次元的に曲がるものであっても)に、自動溶接が可能である。
この溶接装置を使用した溶接では、溶接速度、溶接入熱、継手の信頼性、装置の価格(コスト)、ワーク固定の簡便性、及び継手形状の自由度等に優れる。これに対して、レーザ溶接及び抵抗溶接では、装置の価格、ワーク固定の簡便性、及び継手形状の自由度に劣り、TIG溶接及びろう付けでは、溶接速度、溶接入熱、及び継手の信頼性に劣り、超音波溶接では、装置の価格、及び継手形状の自由度に劣る。
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、ワーク支持体1は、ワークWを支持できて、溶接トーチ3の移動の妨げにならないものであればよいので、図2に示すようなものに限るものではない。また、溶接ロボット4として、上記実施形態では、X軸方向に移動するX方向移動体12と、Y軸方向に移動するY方向移動体13と、Z軸方向に移動するZ方向移動体14とを備えたものであったが、三次元に駆動することができおるアームを供えた多関節ロボットであってもよい。
板厚が0.2mmのチタン極薄板の突合せ溶接を行って、その溶接部のマクロ・ミクロ試験を行った。この結果、溶接部金属は母材(ワーク)に比べて結晶粒が細粒化していたことが分った。また、溶接部のビッカース硬さ試験(JIS Z 2244)を行った。その結果を次の表1に示す。なお、表1において、母材部とはチタン材の極薄板であり、溶接金属部とはこの発明にかかる溶接装置にて溶接を行うことによって形成される溶接部である。また、試験はそれぞれ2回行った。
この結果(表1)から分るように、溶接金属の平均の硬度Hvは121.5であり、母材(ワーク)の平均の硬度Hvは100である。すなわち、溶接金属は結晶の細粒下により若干母材に比べて硬度が上昇していることが分った。
次に板厚が0.2mmのチタン材の突合せ溶接継手の引張り試験(JIS Z 2241)の結果を次の表2及び図4に示す。この表2において、母材とは、板厚が0.2mmのチタン材であり、A及びBの継手とは、それぞれ2枚のチタン材(板厚が0.2mm)を突合せ溶接で接合したものである。
この表2及び図4(a)(b)から分るように、継手引張りによる破断はすべて母材部分であり、溶接継手部が十分な強度を有して完全溶融していることが確認された。なお、図4(a)は溶接部を有さないワーク(母材)に引張り試験を行った場合を示し、図4(b)は溶接部を有するワーク(母材)に引張り試験を行った場合を示している。
さらに、板厚が0.1mmのチタン材の突合せ溶接部でのX線による非破壊検査を行った。この結果、溶接ビード部分は無欠陥であった
このように、強度試験、マクロ・ミクロ試験、X線試験等により溶接部の性能を評価した場合、以下のような結果が得られた。すなわち、溶接部が母材と同等以上の性能を有し、特に変色もなく、ビード高さも10ミクロン程度で溶接後のビード切削を必要とせず、作業性に優れると共に、溶接作業時間の短縮を図ることができた。
1・・ワーク支持体、2・・マイクロプラズマ電源、3・・溶接トーチ、4・・溶接ロボット、5・・ロボット制御手段、6・・レーザーセンサ、7・・経路制御手段、W・・ワーク
Claims (3)
- ワーク(W)を支持するワーク支持体(1)と、電流をデジタル制御すると共に、パルス信号使用可能なインバータ制御のマイクロプラズマ電源(2)と、相互に直交する3軸方向に溶接トーチを移動させる溶接ロボット(4)と、この溶接ロボット(4)を制御して、予めティーチングされた溶接経路に沿って上記溶接トーチ(3)を移動させるロボット制御手段(5)と、上記ワーク支持体(1)に支持されているワーク(W)(W)の溶接位置を検出するレーザーセンサ(6)と、このレーザーセンサ(6)にて検出された上記溶接位置に基づいて上記溶接経路を補正する経路制御手段(7)とを備えたことを特徴とするプラズマ溶接装置。
- 上記マイクロプラズマ電源(2)は、1アンペア単位でデジタル制御が可能であることを特徴とする請求項1のプラズマ溶接装置。
- 上記ワーク(W)が、チタン、ニッケル、又はステンレス等の極薄板であることを特徴とする請求項1又は請求項2のプラズマ溶接装置。
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JP2005239667A JP2007054839A (ja) | 2005-08-22 | 2005-08-22 | プラズマ溶接装置 |
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2005
- 2005-08-22 JP JP2005239667A patent/JP2007054839A/ja not_active Withdrawn
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