しかし、このような従来の制御装置では、特性及び負荷が同一の複数の電動機を同期制御するのには適しているが、特性及び負荷の一方又は双方が異なる複数の電動機の同期制御を行う場合には、予測位置の演算や速度制御等のためにそれぞれの電動機に応じて異なる演算処理を行う必要があるため、電動機の数に比例して制御装置の演算負担が大きくなる。したがって、特性及び負荷の一方又は双方が異なる多数の電動機の同期制御を行う場合には、高機能な演算処理装置を用いることが求められることになり、コストアップの要因になるという問題がある。
また、通常は、電動機がハンチングを起こすことを防止するために、目標位置の前後に一定の許容範囲を設け、その許容範囲内に電動機の位置が制御されれば、それ以上の細かな速度制御を行わず、その許容範囲内に電動機の位置を維持するように制御が行われる。しかしながら、特性及び負荷の一方又は双方が異なる複数の電動機においてこのような制御を行った場合、制御の状態が安定してくると、その状態での動作速度がその電動機の上限の動作速度に対してどれだけ余裕があるかにより、余裕がある電動機は進み側で安定し、余裕がない電動機は遅れ側で安定することになるので、最終的には、最も進んだ電動機と最も遅れた電動機との間で、前記許容範囲内での位置の差ができる場合がある。また、そのような電動機の位置の差により動作の停止時期にも差が生じざるを得ないが、全ての電動機を同時に停止させることはできないとしても、電動機による駆動対象側の要求により、電動機を所定の順序で停止させるように制御することが必要な場合もある。これらの場合には、前記許容範囲内での各電動機の位置差やそのような位置の差に基づく停止順序を調整する制御が必要になる。
更に、前記許容範囲内での各電動機の位置差やそのような位置の差に基づく停止順序を調整する制御を行っている場合において、前記複数の電動機が動作中にその動作方向を反転した際には、他の電動機に対して遅れ側に位置しており速度を速くする方向に制御されていた電動機は一転して他の電動機に対して進み側の位置となって速度を遅くする方向に制御されることとなり、反対に、他の電動機に対して進み側に位置しており速度を遅くする方向に制御されていた電動機は一転して他の電動機に対して遅れ側の位置となって速度を速くする方向に制御されることとなるため、そのままでは、制御装置が各電動機の位置を揃えようとして各電動機の速度を急激に変更するような制御が行われる場合がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、特性及び負荷の一方又は双方が異なる複数の電動機の同期制御を行うのに際して、制御のための演算処理を簡略化し、装置のコストダウンを図ることを可能とするとともに、各電動機の特性や負荷或いは電動機に対する動作要求に基づいて、制御の許容範囲内での進みや遅れの程度を調整する制御を可能し、更には、そのような調整制御を行っている場合において前記複数の電動機の動作方向が反転した際にも急激な速度変更制御が行われるのを回避することを可能とする電動機の制御装置を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る電動機の制御装置の第1特徴構成は、各電動機の実動作量を検知してそれを実動作量情報として出力する検知部と、各電動機の前記実動作量情報に対して、前記複数の電動機の任意の時点における理論動作量を一致させるように変換する変換係数をそれぞれ乗じ、各電動機の基準動作量情報に変換して出力する変換部と、各電動機の前記基準動作量情報に基づいて、前記複数の電動機の任意の時点における基準動作量が一定の許容範囲内に収まるように各電動機の動作制御を行う制御部と、前記各変換係数に対して、前記制御部における許容範囲内での各電動機の基準動作量の進み又は遅れの程度を調整する調整係数を乗じる調整部と、前記複数の電動機の動作方向が反転した際に、前記調整部による調整方向と反対の方向に、各電動機の基準動作量の調整方向を切り替える反転切替部と、を備える点にある。
この第1特徴構成によれば、特性及び負荷の一方又は双方が異なる複数の電動機の動作制御を、基準動作量という統一した尺度に基づいて行うので、特性及び負荷が同一の複数の電動機の動作制御を行うのと同様の演算処理とすることができ、制御のための演算処理の簡略化、及び装置のコストダウンを図ることができる。また、電動機がハンチングを起こすことを防止するために、制御部が制御対象である各電動機の動作量を一定の許容範囲内に収めるような制御を行う場合において、この許容範囲内で生じる各電動機の進み又は遅れを適切に調整することができる。更には、そのような調整のための制御を行っている場合において前記複数の電動機の動作方向が反転した際にも、制御装置が各電動機の位置を揃えようとして急激な速度変更制御が行われるのを回避することができ、安定した制御を行うことが可能となる。
本発明に係る電動機の制御装置の第2特徴構成は、前記変換係数が、前記複数の電動機の各理論動作量の比に基づいて各電動機毎に定めた定数である点にある。
この第2特徴構成によれば、変換部で用いる変換係数を、装置の設計段階で予め定めておくことができる。
本発明に係る電動機の制御装置の第3特徴構成は、前記調整係数が、前記複数の電動機のそれぞれについて、その電動機の理論上の動作速度と上限の動作速度との差及び動作停止を遅らせる要求の高さの一方又は双方に基づいて値を設定する点にある。
この第3特徴構成によれば、電動機がハンチングを起こすことを防止するために、制御部が制御対象である各電動機の動作量を一定の許容範囲内に収めるような制御を行う場合において、この許容範囲内で生じる各電動機の進み又は遅れを、各電動機の動作停止を遅らせる要求の高さに基づいて調整し、複数の電動機のうちの動作停止を遅らせたい電動機を後に停止させ、或いは少なくとも他の電動機と同時に停止させる制御が可能となる。また、前記許容範囲内で生じる各電動機の進み又は遅れを、各電動機の特性に応じて、各電動機の理論上の動作速度と上限の動作速度との差に基づいて調整し、各電動機の進み又は遅れの差を少なくすることが可能となる。
本発明に係る電動機の制御装置の第4特徴構成は、前記反転切替部が、前記複数の電動機の動作方向が反転した際に、前記調整部による調整後の基準動作量情報に対して、所定の切替係数の加算又は減算を行う点にある。
この第4特徴構成によれば、簡易な演算処理により、前記複数の電動機の動作方向が反転した際に、前記調整部による調整方向と反対の方向に、各電動機の基準動作量の調整方向を切り替えることができるので、前記複数の電動機の動作方向が反転した際にも、急激な速度変更制御が行われるのを回避することができ、安定した制御を行うことが可能となる。
なお、前記切替係数として、例えば、各電動機の一の動作方向の動作の終端における、前記調整部による調整後の基準動作量情報と前記調整部による調整前の基準動作量情報との差に基づいて定めた定数を用いることも可能である。このような切替係数を用いれば、前記複数の電動機が一の動作方向に動作する場合の調整部による調整に対して、調整部による調整を行わない場合を基準として、調整方向及び調整量がともに反対となる調整を行うことができるので、前記複数の電動機の動作方向が反転した後にも、前記複数の電動機が一の動作方向に動作していたときと同程度の調整を行う制御とすることができる。
以下に、本発明に係る電動機の制御装置を、座席1を車外側へ振出し又は車内側へ格納することが可能な福祉車両2における座席1の駆動用電動機の同期制御に適用した場合の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る福祉車両2の座席1の移動の態様を示す模式図であり、図2は、本実施形態に係る電動機の制御装置の機能ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る福祉車両2の座席1は、回転方向A、前後スライド方向B、内外スライド方向Cの3方向に同時に動作することにより、ドアや車体等に当ることのない適切な軌跡Eを通って車外側へ振出し又は車内側へ格納することができるようになっている。このように座席1を上記3方向のそれぞれについて適切な速度で同時に移動させるため、本実施形態においては、図2に示すように、3方向のそれぞれの動作用に第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3の3個の電動機を設けている。すなわち、第1電動機M1は回転方向A、第2電動機M2は前後スライド方向B、第3電動機M3は内外スライド方向Cの座席1の動作をそれぞれ担当し、図示しないアーム等を介して座席1を動作させる。
第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3は、座席1の振出し又は格納の際における動作の始端から終端までに要する動作量がそれぞれ異なり、その間の動作速度や荷重もそれぞれに異なる。すなわち、これら第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3は、それぞれに負荷が異なっており、それに応じてそれぞれに特性が異なる電動機が用いられている。
また、図2に示すように、上記の第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3には、動作量(ここでは回転量)に応じてパルス信号を出力する第1センサS1、第2センサS2及び第3センサS3と、これらの第1センサS1、第2センサS2及び第3センサS3から出力されたパルス信号の数を積算して実パルス数を演算し、それを実パルス数情報として出力する第1積算器I1、第2積算器I2及び第3積算器I3とがそれぞれ設けられている。この「実パルス数」は各電動機M1〜M3の動作開始から現時点までの実際の動作量を表しており、本発明における「実動作量」に相当する。よって、「実パルス数情報」は本発明における「実動作量情報」に相当する。本実施形態においては、これらの第1センサS1、第2センサS2及び第3センサS3と、第1積算器I1、第2積算器I2及び第3積算器I3とにより検知部3が構成されている。以下では、座席1の振出し又は格納の際における動作の始端から終端までの各電動機M1〜M3の全動作量すなわち全パルス数が、第1電動機M1は250パルス、第2電動機M2は500パルス、第3電動機M3は1000パルスである場合を例として説明する。ここでは、説明を簡単にするため、各電動機M1〜M3の上記全パルス数を比較的単純なパルス数とし、各電動機M1〜M3同士の全動作量の比も1:2:4と単純なものになるようにしている。
第1積算器I1、第2積算器I2及び第3積算器I3から出力される実パルス数情報は、変換部4に入力される。そして、変換部4では、各電動機M1〜M3の実パルス数情報に対して、第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3の任意の時点における理論パルス数を一致させるように変換する変換係数a1、a2及びa3をそれぞれ乗じ、各電動機M1〜M3の基準パルス数情報に変換して出力する。この「基準パルス数情報」は本発明における「基準動作量情報」に相当する。ここで、「理論パルス数」とは、各電動機M1〜M3が設計通りの理想的な動作を行った場合における第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3のそれぞれの各時点のパルス数のことであり、この理論パルス数が本発明における「理論動作量」に相当する。そして、変換係数a1、a2、及びa3は、第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3の任意の時点におけるそれぞれの理論パルス数に乗算することにより、それらの乗算した結果が互いに一致するような値をとる係数である。したがって、本実施形態においては、この変換係数a1〜a3は、制御対象の各電動機M1〜M3の理論パルス数(理論動作量)の比に基づいて定めた定数となる。すなわち、第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3の全パルス数の比が1:2:4であり、全ての電動機M1〜M3が設計通りの理想的な動作を行った場合には動作中の任意の時点においても各電動機M1〜M3のパルス数の比は変わらないので、理論パルス数の比は各電動機M1〜M3の動作中の全ての時点で1:2:4となる。よって、変換係数a1、a2、及びa3の比を、各電動機M1〜M3の理論パルス数の比1:2:4の逆比4:2:1とすれば、各電動機M1〜M3の任意の時点におけるそれぞれの理論パルス数に変換係数a1、a2、及びa3を乗算した結果が互いに一致することになる。したがって、ここでは、変換係数はa1=4、a2=2、a3=1とする。これらの変換係数a1〜a3は記憶部5に格納されており、変換部4における変換処理の際に読み出される。
この変換部4における各電動機M1〜M3の実パルス数情報から基準パルス数情報への変換の処理を、図3を用いて具体的に説明する。図3は、第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3のそれぞれの実パルス数を表す軸であるM1軸、M2軸、M3軸の3つの軸を横軸(x軸)とし、第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3の基準パルス数を表す軸を縦軸(y軸)として、各電動機M1〜M3の実パルス数情報を変換係数a1、a2及びa3により基準パルス数情報に変換する際の変換関数を表すグラフである。この図に示すように、第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3のそれぞれの実パルス数をx、第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3の基準パルス数をyとすると、各電動機M1〜M3の変換関数はそれぞれ「y=a1x」、「y=a2x」、「y=a3x」となる。ここで、変換係数は、a1=4、a2=2、a3=1であるので、変換部4における基準パルス数情報への変換関数は、具体的には、第1電動機M1については「y=4x」、第2電動機M2については「y=2x」、第3電動機M3については「y=x」となる。例えば、ある時点における第1電動機M1の実パルス数が「155」、第2電動機M2の実パルス数が「300」、第3電動機M3の実パルス数が「580」のとき、変換部4における変換後の各電動機M1〜M3の基準パルス数は、それぞれ第1電動機M1が「620」、第2電動機M2が「600」、第3電動機M3が「580」となる。ここで、全ての電動機M1〜M3が設計通りの理想的な動作を行った場合、すなわち各電動機M1〜M3の実パルス数が理論パルス数と等しい場合には、全ての電動機M1〜M3の基準パルス数が一致することから、各電動機M1〜M3の基準パルス数の差異が制御の誤差と考えることができる。したがって、このように各電動機M1〜M3の実パルス数情報を基準パルス数情報に変換することにより、制御部6においては、統一された尺度である基準パルス数の比較のみによって容易に制御の誤差としての基準パルス数の進み又は遅れを検知することが可能となる。
本実施形態においては、制御部6は、各電動機M1〜M3の基準パルス数情報を比較し、基準パルス数が進んでいる電動機の速度を低減し、基準パルス数が遅れている電動機の速度を増加させる制御を行う。図4は、座席1を車外側へ振出す際(以下単に「振出時」とする。)の制御部6による各電動機M1〜M3の動作制御の方法を示す説明図であり、図5は、各電動機M1〜M3の動作方向を反転して座席1を車内側へ格納する際(以下単に「格納時」とする。)の制御部6による各電動機M1〜M3の動作制御の方法を示す説明図である。これらの図に示すように、制御部6は、基準パルス数の進み又は遅れがわずかな場合にまで電動機の速度を変更する制御を行うことにより電動機がハンチングを起こすことを防止するため、各電動機M1〜M3の基準パルス数の進み又は遅れについて一定の許容範囲Rを設け、その許容範囲R内に各電動機M1〜M3の位置が制御されれば、それ以上の細かな速度制御を行わず、その許容範囲R内に各電動機M1〜M3の位置を維持するような制御が行われる。したがって、各電動機M1〜M3は、許容範囲R内で基準パルス数の進み又は遅れが生じ得ることになる。なお、制御部6による各電動機M1〜M3の動作制御については後で詳細に説明する。
調整部7は、このような制御部6における許容範囲R内での各電動機M1〜M3の基準パルス数の進み又は遅れの程度を調整する調整係数α1、α2及びα3を、変換部4における各電動機M1〜M3の変換係数a1、a2及びa3に対して乗じる処理を行う。本実施形態においては、図2に示すように、変換部4で変換後の基準パルス数情報が調整部7に入力されるので、調整部7では、入力された各電動機M1〜M3の基準パルス数情報に対して調整係数α1、α2及びα3をそれぞれ乗じることにより、各電動機M1〜M3の調整後の基準パルス数情報(以下単に「調整後の基準パルス数情報」とする。)を出力する。これにより、変換係数a1、a2及びa3に対して調整係数α1、α2及びα3を乗じる処理を行ったことになる。なお、調整部7の機能的構成は、図2に示すものに限定されることはなく、結果的に変換係数a1、a2及びa3に対して調整係数α1、α2及びα3を乗じて調整することとなればよいので、例えば、変換部4による変換前の実パルス数情報に対して先に調整係数α1、α2及びα3を乗じ、その結果に対して変換部4において変換係数a1、a2及びa3を乗じる構成や、変換部4の中に調整部7を設け、変換係数a1、a2及びa3に調整係数α1、α2及びα3を予め乗じた係数により実パルス数情報を変換する構成とすることも可能である。
反転切替部8は、電動機M1〜M3の動作方向が反転した際に、調整部7による調整方向と反対の方向に、各電動機M1〜M3の基準パルス数の調整方向を切り替える処理を行う。本実施形態においては、図2に示すように、調整部7で調整後の基準パルス数情報が反転切替部8に入力される。そして、反転切替部8は、電動機M1〜M3の動作方向が振出時の方向(以下単に「振出方向」とする。)の時には各電動機M1〜M3の調整後の基準パルス数情報をそのまま制御部6に対して出力し、電動機M1〜M3の動作方向が格納時の方向(以下単に「格納方向」とする。)の時には各電動機M1〜M3の調整後の基準パルス数情報に対して、それぞれ切替係数b1、b2、及びb3の減算を行うことにより調整方向の切り替えを行い、そのような調整方向の切替えを行った後の調整後の基準パルス数情報(以下単に「切替調整後の基準パルス数情報」とする。)を制御部6に対して出力する。反転切替部8における電動機M1〜M3の動作方向の判断は、各電動機M1〜M3の動作制御を行う制御部6から、現在の電動機M1〜M3の動作方向が振出方向又は格納方向のいずれであるかを示す振出/格納信号を受け取ることにより行う。なお、本実施形態においては、反転切替部8において切替係数b1、b2、及びb3の減算を行うこととしているが、この反転切替部8において、切替係数b1、b2、及びb3の減算を行うか加算を行うかは、調整部7による調整の方向及び切替係数b1、b2、及びb3の値によって定まるものであり、いずれの場合もあり得る。ただし、いずれにしても切替係数b1、b2、及びb3の加算又は減算を行うことにより調整部7による調整方向と反対の方向に、各電動機M1〜M3の基準パルス数の調整方向を切り替えることができるようにする。
次に、調整部7及び反転切替部8による振出時及び格納時の各電動機M1〜M3の基準パルス数の進み又は遅れの程度の調整の処理を、図6及び図7を用いて具体的に説明する。図6は、第1電動機M1の実パルス数を表す軸であるM1軸を横軸(x軸)とし、第1電動機M1の基準パルス数を表す軸を縦軸(y軸)として、第1電動機M1の振出時及び格納時のそれぞれにおける調整後(切替調整後)の基準パルス数情報への変換の際の変換関数を表すグラフであり、図7は、第2電動機M2についての同様のグラフである。なお、本実施形態においては、第3電動機M3は、調整係数α3が後述するように「1」であり、振出時及び格納時のいずれの際にも調整後(切替調整後)の基準パルス数情報への変換の際の変換関数は、図3に示す「y=a3x(y=x)」と同じとなるので別途の図示は省略する。
これらの図に示すように、各電動機M1〜M3の実パルス数をx、各電動機M1〜M3の調整後の基準パルス数をyとすると、振出時における各電動機M1〜M3の変換関数は、それぞれ「y=α1・a1x」、「y=α2・a2x」、「y=α3・a3x」となり、格納時における各電動機M1〜M3の変換関数は、それぞれ「y=α1・a1x−b1」、「y=α2・a2x−b2」、「y=α3・a3x−b3」となる。調整係数α1、α2及びα3、並びに切替係数b1、b2、及びb3の値の設定方法については後で詳しく説明するが、本実施形態においては、α1=1.05、α2=1.02、α3=1とし、b1=50、b2=20、及びb3=0としている。また、上記のとおり、変換係数は、a1=4、a2=2、a3=1である。したがって、調整後(切替調整後)の基準パルス数情報への変換関数は、振出時には、図6及び図7において実線で示されるように、第1電動機M1については「y=4.2x」、第2電動機M2については「y=2.04x」となり、格納時には、図6及び図7において一点鎖線で示されるように、第1電動機M1については「y=4.2x−50」、第2電動機M2については「y=2.04x−20」となる。なお、上記のとおり、第3電動機M3については、振出時及び格納時のいずれの際にも調整後(切替調整後)の基準パルス数情報への変換関数は、「y=x」となる(図3参照)。
したがって、振出時に用いる調整後の基準パルス数情報への変換関数は、第1電動機M1及び第2電動機M2についてみれば、図6及び図7において2点鎖線で示される変換部4のみによる基準パルス数情報への変換関数(図3参照)に対して傾きが変化したものとなる。例えば、ある時点における第1電動機M1の実パルス数が「155」、第2電動機M2の実パルス数が「300」のとき、調整後の基準パルス数は、それぞれ第1電動機M1が「651」、第2電動機M2が「612」となり、図3に示すような調整前の基準パルス数と比較して、第1電動機M1では基準パルス数が「31」、第2電動機M2では基準パルス数が「12」大きい(進んだ)値に変換される。このように調整後の基準パルス数が調整前の基準パルス数に対して大きい値となるように調整された電動機は、制御部6においては、その調整前と調整後との基準パルス数の差の分だけ実際の状態よりも進んでいるものと判断されるため、その調整前と調整後との基準パルス数の差に応じて他の電動機に対して遅れ側に制御されることになる。したがって、調整係数α1、α2及びα3の値が大きいほど、その調整係数α1、α2及びα3が用いられる電動機は遅れ側に制御されるように調整される。なお、調整係数α1、α2及びα3は、1以下の値とすることも可能である。その場合には、調整後の基準パルス数が調整前の基準パルス数に対して小さい値となるように調整され、制御部6においては、その調整前と調整後との基準パルス数の差の分だけ実際の状態よりも遅れているものと判断されるため、各電動機M1〜M3は、その調整前と調整後との基準パルス数の差に応じて他の電動機に対して進み側に制御されることになる。その場合、調整係数α1、α2及びα3の値が小さいほど、その調整係数α1、α2及びα3が用いられる電動機は進み側に制御されるように調整される。
一方、格納時に用いる切替調整後の基準パルス数情報への変換関数は、第1電動機M1及び第2電動機M2についてみれば、図6及び図7において実線で示される振出時に用いる調整後の基準パルス数情報への変換関数を、変換部4における調整前の基準パルス数情報への変換関数(図3参照)に対して反対側へ平行移動させたものとなる。これにより、電動機M1〜M3の動作方向が反転した際に、調整部7による調整方向と反対の方向に、各電動機M1〜M3の基準パルス数の調整方向を切り替えることができる。すなわち、例えば、ある時点における第1電動機M1の実パルス数が「155」、第2電動機M2の実パルス数が「300」のとき、調整前の基準パルス数は、それぞれ第1電動機M1が「620」、第2電動機M2が「600」となり、調整後の基準パルス数は、それぞれ第1電動機M1が「651」、第2電動機M2が「612」となるところ、切替調整後の基準パルス数は、それぞれ第1電動機M1が「601」、第2電動機M2が「592」となり、振出時に用いる調整後の基準パルス数がいずれも調整前の基準パルス数よりも大きい値であるのに対して、格納時に用いる切替調整後の基準パルス数は、いずれも調整前の基準パルス数よりも小さい値となっている。ここで、振出時には、基準パルス数が大きいほどその電動機は進んでいると制御部6において認識されるが、格納時には、動作方向が振出時とは反転しているので、基準パルス数が小さいほどその電動機は進んでいると制御部6において認識される。したがって、第1電動機M1及び第2電動機M2は、振出時及び格納時のいずれの際にも、調整前の基準パルス数と調整後(切替調整後)の基準パルス数との差に応じて実際の状態よりも進んでいると制御部6において認識されることになり、動作方向の反転によって電動機の進み又は遅れの制御部6による認識まで一転して反対になることを回避できる。すなわち、ここでは、第1電動機M1及び第2電動機M2は、振出時及び格納時のいずれの際にも、調整前の基準パルス数と調整後(切替調整後)の基準パルス数との差に応じて他の電動機に対して遅れ側に制御されることになり、急激な速度変更制御が行われないように調整される。
次に、調整部7の調整係数α1、α2及びα3の値の設定方法について説明する。調整係数α1、α2及びα3は、複数の電動機M1〜M3のそれぞれについて、各電動機M1〜M3の理論上の動作速度と上限の動作速度との差及び動作停止を遅らせる要求の高さの一方又は双方に基づいて値を設定すると好適である。
まず、「各電動機M1〜M3の理論上の動作速度と上限の動作速度との差」について説明する。本実施形態においては、各電動機M1〜M3の速度v1〜v3の制御は、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御により行うので、各電動機M1〜M3の速度v1〜v3の増加又は減少の制御はデューティー比の増加又は減少により行う。このような制御において、動作中のデューティー比が100%に近く実際の動作速度と上限の動作速度との差が小さい電動機は、動作速度の上限に近い速度で動作しているために余裕がなく許容範囲R内で他の電動機に対して遅れがちになる場合が多いのに対して、動作中のデューティー比が低く実際の動作速度と上限の動作速度との差が大きい電動機は、動作速度の上限に対して余裕のある速度で動作していることになるので許容範囲R内で他の電動機に対して進みがちになる場合が多い。ここで、各時点における実際の動作速度を検知して上限の動作速度との差を演算すると演算処理の負担が大きくなるため、実際の動作速度に代えて、各電動機M1〜M3が設計通りの理想的な動作を行った場合における速度である理論上の動作速度を用いることとする。そして、各電動機M1〜M3の理論上の動作速度と上限の動作速度との差が大きい電動機ほど速度に余裕があり進み側で安定するものと推測し、その電動機の調整係数を他の電動機の調整係数に対して大きい値に設定する。これにより、進みがちな電動機の基準パルス数が制御部6において実際よりも進んでいるものと判断されるようにすることができ、進みがちな電動機の速度を遅くする方向に制御されるように調整することができる。
次に、「動作停止を遅らせる要求の高さ」について説明する。上記のとおり、各電動機M1〜M3は、許容範囲R内で基準パルス数の進み又は遅れが生じ得るが、そのような許容範囲R内で生じる進み又は遅れに対して、各電動機M1〜M3による駆動対象側からの要求により、電動機を所定の順序で停止させるように制御することが必要な場合がある。すなわち、本実施形態においては、各電動機M1〜M3は福祉車両2の座席1の回転方向A、前後スライド方向B、内外スライド方向Cの動作をそれぞれ担当するところ、座席1がドアや車体等に当ることなく移動可能な軌跡Eに制約があることや、座席1に座っている人に対して不自然な感じを与えないように動作させる必要があること等により、許容範囲R内での進み又は遅れにより生じる各電動機の停止順序を所定の順序にする必要が生じる場合がある。そこで、このような各電動機M1〜M3の停止順序に対する要求を、各電動機M1〜M3についての動作停止を遅らせる要求の高さとして表し、この動作停止を遅らせる要求の高さが高い電動機ほど、その電動機の調整係数を他の電動機の調整係数に対して大きい値に設定する。これにより、動作停止を遅らせる要求の高い電動機の基準パルス数が制御部6において実際よりも進んでいるものと判断されるようにすることができ、その電動機の速度を遅くする方向に制御されるように調整することができる。
このような調整部7の調整係数α1、α2及びα3の値は、各電動機M1〜M3の基準パルス数の進み又は遅れの差や各電動機M1〜M3の動作停止の順序等が適切になるように実験やシミュレーション等に基づいて予め定めておくとよい。この際、調整係数α1、α2及びα3は、各電動機M1〜M3の任意の時点における理論パルス数に変換係数a1、a2及びa3並びに調整係数α1、α2及びα3をそれぞれ乗じた結果が、制御部6における許容範囲R内に収まる値の範囲内となるように設定すると好適である。このように設定すれば、許容範囲R内での各電動機M1〜M3の基準パルス数の進み又は遅れの調整に十分な調整幅を有し、なおかつ、調整部7による調整前の実際の基準パルス数の差が最大でも許容範囲Rの2倍までとなるので、過剰な調整により各電動機M1〜M3の基準パルス数の進み又は遅れの程度を大きくすることを防止できる。このような調整係数α1、α2及びα3は記憶部5に格納されており、調整部7における調整処理の際に読み出される。
次に、反転切替部8の切替係数b1、b2、及びb3の値の設定方法について説明する。本実施形態においては、上記のとおり、調整部7による調整方向が、振出時において基準パルス数を進ませる方向、すなわち調整後の基準パルス数が調整前の基準パルス数に対して大きい値となる方向であるので、切替係数b1、b2、及びb3は、調整部7による調整方向と反対の方向に、各電動機M1〜M3の基準パルス数の調整方向を切り替えるため、調整部7による調整後の基準パルス数に対してこれらの切替係数b1、b2、及びb3の減算を行った結果が、調整前の基準パルス数よりも小さい値となるように値を設定する。そのためには、切替係数b1、b2、及びb3は、各電動機M1〜M3の振出方向の動作の終端における、調整部7による調整後の基準パルス数と調整前の基準パルス数との差に基づいて定めた定数とすると好適である。ここでは、各電動機M1〜M3それぞれについての振出方向の動作の終端における、調整部7による調整後の基準パルス数と調整前の基準パルス数との差を、切替係数b1、b2、及びb3としている。具体的には、第1電動機M1については、図6に示すように、振出方向の動作の終端における、調整部7による調整後の基準パルス数は「1050」であり、調整前の基準パルス数は「1000」であるので、切替係数b1は「b1=1050−1000=50」としている。また、第2電動機M2については、図7に示すように、振出方向の動作の終端における、調整部7による調整後の基準パルス数は「1020」であり、調整前の基準パルス数は「1000」であるので、切替係数b2は「b2=1020−1000=20」としている。また、第3電動機M3については、図3に示すように、振出方向の動作の終端における、調整部7による調整後の基準パルス数と調整前の基準パルス数とは共に「1000」であるので、切替係数b3は「b3=1000−1000=0」としている。これにより、図6及び図7に示すように、切替調整後の基準パルス数情報への変換関数は、調整後の基準パルス数情報への変換関数に対して、変換部4における調整前の基準パルス数情報への変換関数を対照軸として鏡対照の位置関係となり、振出時と格納時とで調整方向及び調整量がともに反対となる調整を行うことができるので、振出時と格納時とで各電動機M1〜M3の基準パルス数の調整の程度をほぼ同じにすることができる。なお、切替係数b1、b2、及びb3の値をこれより大きい値とした場合にも、調整部7による調整後の基準パルス数に対してこれらの切替係数b1、b2、及びb3の減算を行った結果が、調整前の基準パルス数よりも小さい値となるので、用いることができる。また、上記のとおり、調整部7による調整後の基準パルス数に対してこれらの切替係数b1、b2、及びb3の減算を行うか加算を行うかは、調整部7による調整の方向及び切替係数b1、b2、及びb3の値によって定まるため、調整部7による調整方向が逆の場合や、切替係数b1、b2、及びb3の値を負とした場合には、加算を行うこともある。
次に、制御部6による各電動機M1〜M3の振出時の動作制御について図4に基づいて説明する。振出時には、反転切替部8による調整方向の切り替え処理は行われないので、制御部6では、各電動機M1〜M3の調整部7による調整後の基準パルス数情報に基づいて、全ての電動機M1〜M3の任意の時点における調整後の基準パルス数が一定の許容範囲R内に収まるように各電動機M1〜M3の動作制御が行われる。すなわち、制御部6は、各電動機M1〜M3の調整後の基準パルス数情報を比較し、調整後の基準パルス数が一定の許容範囲Rを超えて進んでいる電動機の速度を低減し、調整後の基準パルス数が一定の許容範囲Rを超えて遅れている電動機の速度を増加させる制御を行う。ここで、許容範囲Rは、各電動機M1〜M3がハンチングを起こさないような範囲とし、実験やシミュレーション等に基づいて予め定めておくことができる。このような制御部6における制御のアルゴリズムや許容範囲R等は、記憶部5に記憶されている。
図4は、このような振出時における制御部6による各電動機M1〜M3の動作制御の方法を示す説明図である。この図に示すように、本実施形態においては、制御部6は、まず各電動機M1〜M3の現在の調整後の基準パルス数の平均値Aveを演算する。例えば、既に説明した図6、図7及び図3に示すように、各電動機M1〜M3の現在の調整後の基準パルス数が、それぞれ第1電動機M1が「651」、第2電動機M2が「612」、第3電動機M3が「580」である場合、これらの平均値Aveは「Ave=614.333・・・」となる。そこで、次に、この平均値Aveを中心とするその前後の一定の許容範囲R内に各電動機M1〜M3の現在の調整後の基準パルス数が入っているか否かを判断する。本実施形態においては、例として、許容範囲Rを、平均値Aveを中心とする前後にそれぞれ「35」の範囲としている。そして、この平均値Aveを中心とする一定の許容範囲Rを超えて調整後の基準パルス数が進んでいる(大きい)電動機がある場合にはその電動機の速度を遅くし、この平均値Aveを中心とする一定の許容範囲Rを超えて調整後の基準パルス数が遅れている(小さい)電動機がある場合にはその電動機の速度を速くする制御を行う。図4の例では、第2電動機M2及び第3電動機M3の調整後の基準パルス数は平均値Aveを中心とする許容範囲R内に入っていることから、第2電動機M2の速度v2及び第3電動機M3の速度v3の制御は行わず、そのままの速度v2、v3が維持されるが、第1電動機M1の調整後の基準パルス数は「650」であって平均値Aveを中心とする許容範囲Rを超えて進んでいることから、第1電動機M1の速度v1を遅くする制御が行われる。この際、第1電動機M1の調整前の基準パルス数は「620」であり、調整部7による調整がなければ速度v1はそのまま維持されるはずであったものが、調整部7による調整の結果、第1電動機M1の速度v1を遅くする制御が行われることになったのであり、これにより第1電動機M1は遅れ側に制御されるように調整されていることがわかる。
各電動機M1〜M3の速度v1〜v3の増加又は減少の制御は、上記のとおりデューティー比の増加又は減少により行う。そして、このデューティー比の増加又は減少の方法としては、例えば、数十ms程度の短時間毎にデューティー比を数%ずつ増加又は減少させることにより行うことが可能である。これにより、各電動機M1〜M3の速度v1〜v3は平均値Aveの演算の度に増加又は減少し、各電動機M1〜M3の基準パルス数が平均値Aveを中心とする許容範囲R内に入るように速度制御されるので、急激に速度を変化させることなく、全ての電動機M1〜M3の調整後の基準パルス数が平均値Aveを中心とする許容範囲R内に入るように制御することができる。また、例えば、各電動機M1〜M3の調整後の基準パルス数の平均値Aveとの差に比例する大きさでデューティー比を増加又は減少させることにより、速度v1〜v3の増加又は減少の制御を行うことも可能である。なお、各電動機M1〜M3の動作開始時の初期デューティー比は、記憶部5に記憶されている。
次に、制御部6による各電動機M1〜M3の格納時の動作制御について図5に基づいて説明する。格納時には、上記のとおり、反転切替部8による調整方向の切り替え処理が行われるので、制御部6では、各電動機M1〜M3のそのような切替調整後の基準パルス数情報に基づいて、全ての電動機M1〜M3の任意の時点における切替調整後の基準パルス数が一定の許容範囲R内に収まるように各電動機M1〜M3の動作制御が行われる。この際の各電動機M1〜M3の動作制御の方法は、先に説明した振出時の場合と全く同様である。
図5は、このような格納時における制御部6による各電動機M1〜M3の動作制御の方法を示す説明図である。この図に示すように、格納時に用いられる切替調整後の基準パルス数は、振出時に用いられる調整後の基準パルス数に対して、調整方向が反対となるように切り替えられている。ここで仮に、電動機M1〜M3が振出方向に動作していた際に実際の状態よりも進み側に調整されている調整後の基準パルス数を、動作方向が格納方向に反転した後にまで用いると、制御部6において進んでいると認識されていたために速度を遅くする方向に制御されていた電動機が、反転後に一転して遅れていると認識されるために速度を速くする方向に急激に速度制御が変更されることになる。そこで、電動機M1〜M3が動作方向を格納方向に反転した際に、反転切替部8において調整方向を切り替え、切替調整後の基準パルス数に基づいて、各電動機M1〜M3の動作制御を行うことにより、電動機M1〜M3の動作方向が格納方向に反転した後も、制御部6において進んでいると認識されていたために速度を遅くする方向に制御されていた電動機は、そのまま進んでいると認識されて速度を遅くする方向に制御されることになるので、急激な速度変更制御を行われることを防止し、安定した制御を行うことが可能となる。具体的には、例えば、既に説明した図6、図7及び図3に示すように、各電動機M1〜M3の調整前の基準パルス数が、それぞれ第1電動機M1が「620」、第2電動機M2が「600」、第3電動機M3が「580」である場合、振出時に用いられる調整後の基準パルス数は、それぞれ第1電動機M1が「651」、第2電動機M2が「612」、第3電動機M3が「580」であり、格納時に用いられる反転切替部8による切替調整後の基準パルス数は、それぞれ第1電動機M1が「601」、第2電動機M2が「592」、第3電動機M3が「580」である。したがって、振出時に用いる調整後の基準パルス数が第1電動機M1及び第2電動機M2では調整前の基準パルス数よりも大きい値であるのに対して、格納時に用いる切替調整後の基準パルス数は、いずれも調整前の基準パルス数よりも小さい値となっており、調整方向が振出時と格納時とで反対となるように切り替えられていることがわかる。
なお、上記実施形態においては、第1電動機M1、第2電動機M2及び第3電動機M3が、同時に動作を開始し、同時に停止する場合について説明したが、実際の電動機の制御装置では、複数の電動機の中に動作の開始時期及び停止時期が異なるものがあり、一部の電動機が遅れて動作を開始し、或いは先に動作を停止するような制御も行う場合がある。そのような制御を行う場合には、動作中の電動機の動作停止又は停止中の電動機の動作開始がない間を一の制御領域とし、各制御領域毎に動作中の複数の電動機を対象として動作制御を行う。このようにすることにより、複数の電動機の中に動作開始時期及び動作停止時期が異なるものがある場合であっても、動作中の複数の電動機のみを対象とすることとなり、上記実施形態と全く同様の構成の制御装置により、制御を行うことが可能となる。