JP2005277877A - スキャナの光源ユニット - Google Patents

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Masayuki Tamai
雅之 玉井
Shinji Azuma
信二 東
Shigetaka Nakamura
滋孝 中村
Shoichi Nakano
正一 中野
Hidekazu Ohiro
秀和 大廣
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Abstract

【課題】 発光ダイオードを用いた構造のスキャナの光源の光量を増大させる。
【解決手段】 良好に熱を伝える熱伝導材料で成る基板Pの表面に対して複数のチップ状の発光ダイオード1を固定し、この基板の裏面側にペルチェ素子14と熱伝導体15とを備え、この熱伝導体15の熱を液状の熱媒体で光源ケースの外部フィン16に送り強制的な冷却を行う熱交換機構EXを備え、この熱交換機構EXを制御して、基板Pの温度を発光ダイオード1の熱的破壊温度未満に維持する発光ダイオード1に供給する電流を高める制御を行う制御装置を備えた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、R(赤)、G(緑)、B(青)の三原色を構成する3種の光源部のうちの少なくとも1つの光源部が複数の発光ダイオードを備えて構成されている光源ユニットに関する。
上記のように構成された光源ユニットと関連する技術として特許文献1に示されるものが存在する。この特許文献1は写真フィルムの画像を取得するCCDエリアセンサ型の光源部として、基板に多数のLED素子(本発明の発光ダイオード)を2次元的に配置したLED光源を備えており、基板の裏面側にペルチェ素子とサーミスタとを接触固定し、更に、ペルチェ素子に放熱フィンを備え、この放熱フィンを冷却するファンを備えている。そして、温度制御部が、サーミスタによって温度を検知してペルチェ素子とファンとを駆動することにより基板の温度を予め設定した温度に維持するものとなっている。
特開2001‐346002号公報 (段落番号〔0026〕〜〔0074〕、図5、図7、図8)
フィルムスキャナを例に挙げると、スキャニング速度を高めるために光量の増大が望まれている。そこで、基板に支持する発光ダイオードの数を増大させることも考えられるが、単位面積に発光ダイオードを備え得る数は限られているため限度がある。また、光量を増大させる手段として発光ダイオードに供給する電力を増すことも考えられるが、電力を増大した場合には発光ダイオードを構成する半導体のジャンクション部での温度が上昇し、発光ダイオードが熱的に破壊するため実現し難いものとなっている。
ちなみに、1つの発光ダイオードの光量を増大させることが可能であるならば、光源の光量の増大が可能となるため、光源を構成する発光ダイオードの数を低減できる良好な面が現れる。
本発明の目的は、発光ダイオードを用いた構造のスキャナの光源の光量を増大させる点にある。
本発明の特徴は、R(赤)、G(緑)、B(青)の三原色を構成する3種の光源部のうちの少なくとも1つの光源部が複数の発光ダイオードを備えて構成されているスキャナの光源ユニットにおいて、
前記光源部が、熱伝導性材料で成る基板の表面に対してチップ状の前記発光ダイオードを複数個固定し、前記基板の裏面に前記発光ダイオードを過冷却する冷却手段を備えている点にある。
この構成により、チップ状の発光ダイオードを熱伝導性材料で成る基板に固定し、この基板の裏面側に備えた冷却手段で発光ダイオードを過冷却することにより、発光ダイオードに対して過剰な電流(例えば、許容電流を超える電流)を流した際の発光ダイオードの熱を直接的に基板に吸収する形態で過冷却することが可能となり、この発光ダイオードの半導体のジャクション部の温度上昇を抑制できる。その結果、発光ダイオードに供給可能な電流を増大させて光源部の光量を増大できる光源ユニットを構成できたのである。特に、本発明によると1つの発光ダイオードの光量を増大させるものであるため光源部に使用する発光ダイオードの数を低減することも可能となる。
本発明は、前記基板において前記発光ダイオードに近接する位置に温度センサを備え、前記冷却手段を制御する制御装置を備え、この制御装置は、前記発光ダイオードに過剰に電流を流した場合にも前記温度センサで検出される温度を前記発光ダイオードのジャンクションの熱的破壊温度未満に維持するよう制御形態を設定しても良い。
温度センサで検出される基板の温度は発光ダイオードの温度を反映したものであるので、この検出温度に基づいて制御装置が基板の温度を発光ダイオードのジャンクションの熱的破壊温度未満に維持するので、発光ダイオードに過剰に電流を流した場合でも、この基板に固定されている発光ダイオードの温度も熱的破壊温度未満に維持され、発光ダイオードに大電流を流す状態を確実に継続させるものとなる。
本発明は、前記基板がアルミニウム材で形成され、前記チップ状の発光ダイオードが前記基板にダイボンディングによって固定され、前記冷却手段が前記基板の裏面に密着配置されたペルチェ素子と、このペルチェ素子からの熱を液状の熱媒体で取り出してフィンで放熱させる熱交換機構とを備えて構成しても良い。
アルミニウム材を用いることで良好な熱伝導性となる基板に対して発光ダイオードからの熱をダイボンディングによる接着面を介して直接的に伝え、また、熱交換機構によって強制的な放熱が図られるペルチェ素子によって基板を積極的に冷却するので、発光ダイオードの温度上昇を容易に抑制できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、光源ユニットA、フィルムキャリアB、レンズユニットC、光電変換部としての光電変換ユニットDを備えて写真フィルムFの画像情報をデジタル信号化して取り込むフィルムスキャナが構成されている。
このフィルムスキャナは、現像済みの写真フィルムFのサイズ(135サイズ、240サイズ、120・220サイズ等)に対応したフィルムキャリアBを装着自在に構成されると共に、光源ユニットAからの光線をフィルムキャリアBに支持された写真フィルムFに照射する照明光学系と、写真フィルムFを透過した光線をレンズユニットCから前記光電変換ユニットDに導く結像光学系とを備えている。結像光学系としてのレンズユニットCは、写真フィルムFの主走査方向に沿う領域からの可視光画像を光電変換ユニットDに内蔵したCCD( Charge Coupled Device)型のラインセンサの光電変換面に結像させると同時に、写真フィルムFの主走査方向に沿う領域からの赤外光画像を光電変換ユニットDに内蔵した赤外光(IR)用のCCD( Charge Coupled Device)型のラインセンサの光電変換面に結像させるよう機能するものであり、前記光電変換ユニットDは、写真フィルムFの可視光画像をR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色に対応したデジタル信号化した画像データ(可視光データ)として取得すると同時に、写真フィルムFのゴミや傷に起因する赤外光画像をゴミや傷に対応する欠陥データ(赤外光データ)として取得するよう構成されている。
前記光源ユニットAは、図2〜図5に示すように、前記三原色及び赤外光を送り出すよう、多数の発光ダイオード1をアルミニウム材(良好に熱を伝導する熱伝導性材料)で成る基板P(後述する第1、第2、第3基板P1、P2、P3の3つの基板の総称)において主走査方向に直線状に配置した光源部としての発光ダイオードアレイLED(後述する発光ダイオードアレイG−LED、B−LED、R・IR−LEDの3種の発光ダイオードアレイの総称)を具備し、この発光ダイオードアレイLEDからの光線を合流させ白色光線とした状態で上方に向けて送り出すよう構成されている。前記フィルムキャリアユニットBは、長手方向を主走査方向に沿う姿勢に設定したスリット状のスキャンゲートSGが形成されたケース20を備えると共に、写真フィルムFを長手方向(副走査方向)に往復搬送させる複数の圧着型の搬送ローラ21と、下面側の集光レンズ22とを備えて構成されている。
前記レンズユニットCは、フィルムキャリアBに支持された写真フィルムFの画像を前記光電変換ユニットDに内蔵した前記CCDラインセンサ6の光電変換面に対して任意の拡大率で結像させるようズーム型の光学レンズ5を備えている。前記光電変換ユニットDは、R(赤)、G(緑)、B(青)の三原色に対応した3ライン型のCCDラインセンサ6と赤外光(IR)を感知する1ライン型のCCDラインセンサ7とを内蔵すると共に、前記光学レンズ5からの可視光を透過させ、赤外光を反射させるダイクロイック型のスプリッター8を内蔵している。
スキャニングを行う際には、光学レンズ5による拡大率(主走査方向での画素数)が設定されると同時に、フィルムキャリアBでの写真フィルムFの搬送速度(副走査方向での画素数)が設定され、この設定の後に、写真フィルムFに対して光線を照射する状態で、前記搬送ローラ21を駆動することにより写真フィルムFを設定された速度で搬送し、この搬送速度と同期したタイミングで光電変換ユニットDのCCDラインセンサ6、7において主走査方向に沿うライン状の画像情報を取り込む処理が行われる。この処理が行われることにより、写真フィルムFのコマに対応する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の2次元の画像データを得ると同時に、写真フィルムFのコマに対応する赤外光(IR)の2次元画像データの構造を有する欠陥データを得るものとなる。この欠陥データを生成した後には、欠陥データに基づき、画像データにおける傷や塵埃等の欠陥位置が特定され、この欠陥位置の画像データに対して、輝度調整処理や、ニアレストネイバー法、バイリニア法、バイキュービック法等による補間処理を行うことにより、画像データの欠陥部分の修復が可能となる。
前記照明光学系は、前記発光ダイオードアレイLEDからの光線を合流させて上方に送り出す合流光学系と、この合流光学系からの光線を拡散させるよう前記光源ユニットAに内蔵された拡散板10とで構成されている。
具体的に説明すると、前記光源ユニットAは樹脂成形品で成る上壁部11と、アルミニウム合金で成る側壁部12と、同じくアルミニウム合金で成る底壁部13とでケース状に形成されている。前記上壁部11の内部には、その表面側に前記発光ダイオードアレイLEDを形成した第1基板P1と、第2基板P2と、第3基板P3とを支持してあり、これら第1基板P1、第2基板P2、第3基板P3の裏面側にペルチェ素子14を密着状態で備え、更に、このペルチェ素子14における基板Pと反対側に良好に熱を伝える熱伝導性材料としてのアルミニウム製の熱伝導体15を密着状態で備え、この熱伝導体15を強制的に冷却する熱交換機構EXを備えている。
前記熱交換機構EXは、ファン16からの冷却風で冷却されるフィン17に対して前記熱伝導体15で熱せられた液状の熱媒体を間にポンプ18Pによって循環させる管路18を形成して構成されている。また、ペルチェ素子14と、熱伝導体15と、ファン16と、フィン17と、管路18と、ポンプ18Pで前記発光ダイオード1を過冷却する冷却手段が構成され、更に、この冷却手段のうちファン16と、フィン17と、管路18と、ポンプ18Pとで前記熱交換機構EXが構成されている。尚、基板Pの裏面とペルチェ素子との間、及び、ペルチェ素子と熱伝導体15との間にはシリコンオイルの膜を形成することによって良好に熱伝導を行えるようにしている。
前記第1基板P1にチップ状の多数の緑色の発光ダイオード1を主走査方向に直線状に配置して成る緑色の発光ダイオードアレイG−LEDを備え、第2基板P2にチップ状の多数の青色の発光ダイオード1を主走査方向に直線状に配置して成る青色の発光ダイオードアレイB−LEDを備え、第3基板P3にチップ状の多数の第1、第2赤色の発光ダイオード1と、チップ状の多数の赤外光の発光ダイオード1とを交互に主走査方向に配置した赤色・赤外光の発光ダイオードアレイR・IR−LEDを備えている。夫々の発光ダイオードアレイLEDに対応する位置に、夫々の発光ダイオードアレイからの光線を平行光線化するよう、夫々の発光ダイオード1に焦点位置を設定した平行化レンズ25を備え、これらの平行化レンズ25を介して送り出された光線を合流させるダイクロイック型のミラーM(後述する第1ミラーM1、第2ミラーM2の総称)を備えている。
つまり、緑色の発光ダイオードアレイG−LEDからの光線を上方に送る縦向き姿勢の第1光軸L1上に前記平行化レンズ25と、第1ミラーM1とを配置し、青色の発光ダイオードアレイB−LEDからの光線を上方に送る縦向き姿勢の第2光軸L2上に前記平行化レンズ25を配置し、赤色・赤外光の発光ダイオードアレイR・IR−LEDからの光線を水平方向に送る横向き姿勢の第3光軸L3上に前記平行化レンズ25と、第2ミラーM2とを配置している。前記第1、第2、第3光軸L1、L2、L3は、夫々の発光ダイオードアレイLEDの形成方向(主走査方向)での中央位置で、かつ、前記基板Pに垂直となる仮想直線として設定されたものであり、第1光軸L1の延長上方に前記集光レンズ22とスキャンゲートSGが配置され、前記第2光軸L2は前記第2ミラーM2において前記第3光軸L3と合流する位置に配置されている。
前記青色の発光ダイオード1の波長は400〜480nm、緑色の発光ダイオード1の波長は520〜560nm、赤色の発光ダイオード1の波長は620〜750nm、赤外光の発光ダイオード1の波長は830〜950nmのものが使用されている。前記第1ミラーM1は緑色の発光ダイオード1からの光線(520〜560nm)を透過し、これ以外の光線を反射する性能のものであり、前記第2ミラーM2は赤色光と赤外光の発光ダイオード1からの波長(620〜750nm及び830〜950nm)の光線を透過し、青色の発光ダイオード1からの波長(400〜480nm)の光線を反射する性能のものを使用している。
このような構造から、前記緑色の発光ダイオードアレイG−LEDから第1光軸L1に沿って送り出される光線は、平行化レンズ25で平行光線化した状態で第1ミラーM1を透過して第1光軸L1に沿って上方に送られ、前記青色の発光ダイオードアレイB−LEDから第2光軸L2に沿って送り出される光線は、平行化レンズ25で平行光線化した後に第2ミラーM2で反射して第3光軸L3と合流し、赤色・赤外光の発光ダイオードアレイR・IR−LEDから第3光軸L3に沿って送り出される光線は、平行化レンズ25で平行光線化した状態で第2ミラーM2を透過するものとなり、このように第3光軸L3に沿って送られる青色の発光ダイオードアレイB−LEDからの光線と、赤色・赤外光の発光ダイオードアレイR・IR−LEDからの光線とは第1ミラーM1で反射され、第1光軸L1に沿って上方に送られる結果、この第1光軸L1では、緑色の光線、青色の光線、赤色の光線(赤外線を含む)が合流した白色の光線が送られ、前記拡散板10で拡散されるのである。
緑色の発光ダイオードアレイG−LEDを備えた部位を例に挙げて基板Pの詳細を説明すると、図6に示すように、前記基板Pは、熱伝導率が高いアルミニウム材で成る基材(良好に熱を伝導する熱伝導性材料の一例)の表面にセラミック材料等の絶縁層を薄く形成した積層構造であり、この表面に対して前述したチップ状の発光ダイオード1を主走査方向に沿って直線状にダイボンディングにより固定している。また、この基板Pにおいて前記発光ダイオード1の近傍位置に対して矩形の枠体2、反射体3夫々を発光ダイオードアレイLEDの形成方向(主走査方向)と並行する姿勢で固定し、チップ状の発光ダイオード1と、基板Pに形成したプリント配線部Paとをボンディングワイヤ4で結線することにより、プリント配線部Paからの電力により発光ダイオード1を発光させ得るものにしている。
前記枠体2と反射体3とは耐熱性に優れた液晶性ポリマーによって一体形成されたものであり、前記反射体3は、発光ダイオード1と対向する側に対して傾斜姿勢の反射面3aを備えており、図8に示すように、この複数の発光ダイオード1の形成方向(主走査方向)の中央位置の基板Pの表面にはサーミスタ等で成る温度センサSを備えている。
前記拡散板10は、主走査方向での長さが、前記発光ダイオードアレイLEDの主走査方向の長さより充分に長く、副走査方向での幅が、前記平行化レンズ25の副走査方向での幅より充分に大きい幅に形成されたサイズのビーム整形ディフューザ(LSD)が使用されている。この拡散板10は、図7に示すように、平坦な板状の樹脂製の素材の表面に微細な突出部10aを多数形成した拡散面を備えており、素材の表面に対して直交する姿勢の軸Xに沿って入射した光線を設定された角度θとなる範囲に拡散させる機能を有するものである。この拡散板10では、同図に示す如く入射した光線を拡散させる角度θとして30〜40度程度の性能のもの(軸Xを中心として頂点の角度θが30〜40度程度となる円錐形に拡散する性能のもの)を使用している。
図9に示すように、フィルムスキャナの制御系が構成されている。この制御装置は第1基板P1と、第2基板P2と、第3基板P3夫々に対して独立した制御を実現するものであるが、同図においては1つの基板Pに対する制御系の構成要素を示している。
つまり、マイクロプロセッサを備えた制御装置30に対して前記温度センサSからの計測信号がA/D変換器31を介して入力する入力系が形成されると共に、制御装置30から複数の発光ダイオード1で構成される発光ダイオードアレイLED、ペルチェ素子14、一対のファン16夫々に対してPWM式に電力を制御するドライバ32を介して電力を供給する出力系、及び、ポンプ18Pを制御する出力系が形成され、更に、前記発光ダイオードアレイLEDに供給された電流値をA/D変換器31を介してフィードバック信号として入力する入力系が形成されている。
また、発光ダイオードアレイLEDに供給された電流を抵抗値が小さい抵抗器rからグランドに流すように電力系を形成してあり、この抵抗器rでは電流値に正比例した電圧が発生することを利用して、この電圧を前記A/D変換器32を介して制御装置30にフィードバックするように前記フィードバック信号系が構成されている。
制御装置30は前記入力系からの信号の入力を許し、前記出力系に対する信号の出力を許すインタフェース35(I/O)を備えると共に、半導体メモリRAM/ROM及びEEPROMを備え、また、発光ダイオード1への供給電力を制御する電流制御手段36と、発光ダイオードアレイLEDを構成する複数の発光ダイオード1の温度を制御する温度制御手段37とを備えている。
前記電流制御手段36と、温度制御手段37とはソフトウエアで構成されているが、これらをソフトウエアとハードウエアとの組み合わせで構成することや、ハードウエアで構成することも可能である。
この制御装置30では、発光ダイオード1に供給する電流と、基板Pの温度とを制御する処理を実現するものであり、その処理の概要を図10のように示すことが可能である。つまり、イニシャライズにおいて前記EEPROMに保存された目標温度Txと、目標電流Ixとを取得して制御目標としてセットし、温度センサSで計測された計測値Tsと、発光ダイオード1に供給された電流値Isとを取得する(#01、#02ステップ)。尚、前記目標温度Txは150℃であり、前記目標電流Ixは85mAである。
次に、温度センサSで計測される温度が目標温度Txから温度dだけ減じた温度(Tx−d)に達した場合、及び、この温度(Tx−d)を超えた場合には前記冷却手段を駆動して基板Pの温度を目標温度Tx以下に維持する制御を行い、更に、計測された電流値Isが85mA程度に維持される制御を行い、この制御を終了するまで継続して行うように処理形態を設定している(#03〜#05ステップ)。
また、前述のように150℃に設定された目標温度Txは発光ダイオード1のジャンクション部の温度であり、このジャンクション部が150℃に達した場合の基板Pの温度は120℃程度(基板Pの種類によって温度は多少異なる)であるので、前記温度dは30℃より少し大きい値に設定され、現実には基板Pの温度(温度センサSで計測された計測値Ts)を120℃未満に維持する制御が実行される。尚、基板Pの温度は目標温度Tx未満となるように単純な制御で実現しているが、電流値を制御する際には電流値が大きく変動しないようにPID制御により電流値を制御している。
特に、図10のフローチャートでは基板Pの温度が低下し過ぎた場合には冷却を停止する制御を行う点が示されているが、このような制御は冷却手段の冷却性能が極めて高い場合を想定したものであり、実施形態に記載した構造の冷却手段では基板Pの温度が低下し過ぎる現象は発生せず、発光ダイオード1に電流を供給している状況では冷却を継続的に行う必要がある。具体的には、図2〜図4に示す構造の光源ユニットAにおいて、20℃程度の環境温度で、電流を供給していない発光ダイオード1のジャンクション部の温度を5℃程度に維持する性能の冷却手段を用いた場合には、この冷却手段で冷却を継続的に行っている状態で発光ダイオード1に電流を供給して、ジャンクション部の温度が150℃に達した時点で発光ダイオード1を熱的に破壊させることなく、85mAの電流の供給が可能であることを実験により確認している。
つまり、前記発光ダイオード1を熱的に破壊する電流値は65mA程度であり、この電流値を超えた場合には、発光ダイオード1を構成する半導体のジャンクション部の温度が150℃を大きく超えることに起因して熱的破壊を生ずるものである。しかしながら、発光ダイオード1のジャンクション部の温度を150℃未満に維持するように過冷却を行った場合には、65mAを超える電流を流した場合でも熱的破壊は発生させないものであり、実験の結果85mAを超える電流を流すことが可能となり、これにより光量が22%以上増大することを確認している。また、前記過冷却とは発光ダイオード1に対して許容電流以上の電流を流すために、基板Pを過剰に冷却することを意味するものである。
このような理由から基板Pの温度が目標温度Txを超えないように温度制御を行い乍ら、発光ダイオード1に対して通常の使用では熱的破壊を超える電流を流す制御を行うことによって光量の増大を実現しているのである。尚、発光ダイオード1に対して目標電流Ixとなる電流を供給した場合には、大きい発熱を伴うものであるため熱交換機構EXでは冷却作動を継続して行うことになる。
このように本発明によると、温度制御と電流制御とを組み合わせることにより、一般的な使用形態では得られなかった大きな光量を得ることが可能となり、スキャニングの速度を高くできるものにしている。また、このように発光ダイオード1から得られる光量を増大できるので、この光源ユニットに使用している発光ダイオード1の数を低減することも可能となる。
〔別実施の形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
(イ)例えば、G(緑)、B(青)の光線を得る光源部にだけ発光ダイオードを備え、R(赤)の光源として比較的長い波長が多く含まれるハロゲンランプを用いるように光源ユニットを構成し、G(緑)、B(青)の発光ダイオードの制御を行うよう温度制御と電流制御とを行うように構成する。
(ロ)冷却手段として大型のヒートシンクと大型のファンとを組み合わせて構成することや、ヒートポンプのように冷媒を用いた冷却を行うように構成しても良い。
(ハ)複数の発光ダイオードを2次元的に配列して光源部を構成する。このように構成した場合には、光電変換部に2次元型のCCD等を用いて写真フィルムを移動させずに画像データを取得することが可能となる。
(ニ)前記熱伝導性材料で成る基板として、アルミニウムの他に銅やセラミック等、熱伝導が良好な材質を用いても良い。
フィルムスキャナの斜視図 光源ユニット部の縦断正面図 光源ユニットの熱交換系を示す横断平面図 光源ユニットの縦断側面図 フィルムスキャナの光学系の斜視図 発光ダイオードの支持構造を示す断面図 散光板の拡大断面図 温度センサの配置を示す平面図 制御系のブロック回路図 温度・電流制御のフローチャート
符号の説明
1 発光ダイオード
14 ペルチェ素子
17 フィン
30 制御装置
EX 熱交換機構
P 基板
S 温度センサ

Claims (3)

  1. R(赤)、G(緑)、B(青)の三原色を構成する3種の光源部のうちの少なくとも1つの光源部が複数の発光ダイオードを備えて構成されているスキャナの光源ユニットであって、
    前記光源部が、熱伝導性材料で成る基板の表面に対してチップ状の前記発光ダイオードを複数個固定し、前記基板の裏面に前記発光ダイオードを過冷却する冷却手段を備えているスキャナの光源ユニット。
  2. 前記基板において前記発光ダイオードに近接する位置に温度センサを備え、前記冷却手段を制御する制御装置を備え、この制御装置は、前記発光ダイオードに過剰に電流を流した場合にも前記温度センサで検出される温度を前記発光ダイオードのジャンクションの熱的破壊温度未満に維持するよう制御形態が設定されている請求項1記載のスキャナの光源ユニット。
  3. 前記基板がアルミニウム材で形成され、前記チップ状の発光ダイオードが前記基板にダイボンディングによって固定され、前記冷却手段が前記基板の裏面に密着配置されたペルチェ素子と、このペルチェ素子からの熱を液状の熱媒体で取り出してフィンで放熱させる熱交換機構とを備えて構成されている請求項1又は2記載のスキャナの光源ユニット。
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