JP2005276721A - 燃料電池及び電解質膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、高温に晒されても良好なプロトン伝導性を発揮する電解質膜を備えた燃料電池を提供する。
【解決手段】 燃料極12と、酸化剤極13と、燃料極12及び酸化剤極13に挟持された電解質膜14とを備える燃料電池10であって、電解質膜14は、1分子中に2以上のシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、アルコキシ基及びエポキシ基を有するシランカップリング剤と、無水無機固体酸とを含む組成物を硬化させて得られたことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池及び燃料電池に使用する電解質膜に関する。
従来、燃料電池のMEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極複合体)に使用される電解質膜としては、金属アルコキシドと、この金属アルコキシドの水酸基に水素結合する官能基を有する有機材料との混合物を加水分解処理して得られた組成物を、膜状に成形したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電解質膜は、有機材料を含んでいるので、無機プロトン導電材からなる従来の電解質膜と比較して、割れや反りが発生し難い。
特開2002−15742号公報(段落0042乃至段落0054)
ところで、周知のとおり、改質型の燃料電池システムでは、燃料電池に供給される燃料ガス(改質ガス)の温度が150℃乃至180℃といった高温になる。したがって、燃料電池に組み込まれる電解質膜は高温に晒される。
しかしながら、前記した加水分解処理して得られた組成物からなる電解質膜は、高温に晒されると電解質膜から水が脱離することによってプロトン伝導性が低下する。つまり、この電解質膜を使用した燃料電池は、高温で十分な起電力を生起することができない。また、この電解質膜は、高温に晒されると電解質膜から水が脱離するため、脆化する。
そこで、本発明は、高温に晒されても良好なプロトン伝導性を発揮することができると共に、高温に晒されても優れた機械的強度を維持することができる電解質膜を備えた燃料電池を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための本発明の電解質膜は、1分子中に2以上のシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、アルコキシ基及びエポキシ基を有するシランカップリング剤と、無水無機固体酸とを含む組成物を硬化させて得られたことを特徴とする。
このような電解質膜では、プロトンが無水無機固体酸同士の間でホッピングすることによって電解質膜中を伝導していく。その結果、この電解質膜は、水が存在しなくとも良好なプロトン伝導体となる。
そして、この電解質膜では、無水無機固体酸がシランカップリング剤によってポリオルガノシロキサンに均一に分散しており、しかも無水無機固体酸とポリオルガノシロキサンとがシランカップリング剤を介して化学的に強固に結合している。その結果、この電解質膜は、前記した加水分解処理して得られた組成物からなる従来の電解質膜(例えば、特許文献1参照)のように、高温下に水が脱離することによってプロトン伝導性が低下することがない。
また、この電解質膜は、ポリオルガノシロキサンを含んでいるので、薄膜化が可能になると共に、優れた柔軟性と機械的強度とを有する。
また、このような電解質膜において、前記無水無機固体酸は、CsHSO4、Cs2(HSO4)(H2PO4)、Rb3H(SeO42、(NH43H(SO42及びK3H(SO42から選択される少なくとも1種が好ましい。
また、このような電解質膜において、前記シランカップリング剤は、エポキシ基を有するトリアルコキシシランが好ましく、中でも3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランがさらに好ましい。なお、シランカップリング剤は、1種単独で、あるいはその2種以上が組み合わされて使用されてもよい。
また、このような電解質膜によれば、燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極に挟持された前記電解質膜とを備えることを特徴とする燃料電池を提供することができる。
この燃料電池では、燃料極側に供給される水素によって電解質膜にプロトンが入り込むと、プロトンは、無水無機固体酸同士の間でホッピングすることによって電解質膜中を酸化剤極側に向けて伝導していく。そして、酸化剤極側に伝導したプロトンは、酸化剤極側に供給された酸素との電気化学的反応によって水を生成しながら起電力を生起する。
本発明によれば、高温に晒されても良好なプロトン伝導性を発揮することができると共に、高温に晒されても優れた機械的強度を維持することができる電解質膜を提供することができる。そして、この電解質膜が組み込まれた燃料電池は、燃料ガスの温度を低く設定する必要がないので、燃料ガスを冷却するための熱交換器を必要としない。したがって、本発明によれば、燃料電池システムの小型化を図ることができると共に、その製造コストを低減することができる。
また、本発明によれば、水が存在しなくとも起電力を得ることができる燃料電池を提供することができる。その結果、この燃料電池が組み込まれた燃料電池システムは、燃料電池に水を供給するための加湿器を必要としない。その結果、燃料電池システムの小型化を図ることができると共に、その製造コストを低減することができる。
また、本発明によれば、燃料ガスを冷却する必要がないので燃料電池の運転温度を高めることができる。その結果、燃料極及び酸化剤極に含まれる触媒(白金)の活性を高めることができる。したがって、本発明によれば、燃料電池の発電効率を向上させることができる。
また、本発明によれば、燃料電池の運転温度を高めて、燃料電池の温度を高い温度に維持することができるので、燃料電池が発電する際に生じる熱を効率よく回収することができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る燃料電池が組み込まれた燃料電池システムのブロック図、図2は、本実施形態に係る燃料電池(単セル)の模式図である。
ここでは、本実施形態に係る燃料電池を説明するに先立って、この燃料電池が組み込まれた燃料電池システムについて説明する。
図1に示すように、燃料電池システム1は、主に、脱硫器3、改質器4、シフト反応器5、CO(一酸化炭素)選択酸化器6及び燃料電池スタック7で構成されている。この燃料電池システム1では、例えば、灯油、ガソリン等の炭化水素系燃料がタンク2から脱硫器3に供給される。脱硫器3では、炭化水素系燃料に含まれる硫黄が除去される。硫黄が除去された炭化水素系燃料は、改質器4に供給される。そして、改質器4には水がさらに供給される。改質器4では、炭化水素系燃料及び水が触媒の存在下で反応することによって改質ガス(水素)が生成する。なお、この改質器4は、炭化水素系燃料及び水を反応させるために図示しないバーナで加熱される。
改質器4で生成した改質ガスは、シフト反応器5に送り込まれる。このシフト反応器5は、改質ガス中のCO(一酸化炭素)を低減するものである。このシフト反応器5は、触媒の存在下にCO+H2O→CO2+H2で表される反応を進行させることによって改質ガスを水素リッチにするようになっている。
水素リッチになった改質ガスは、CO選択酸化器6に送り込まれる。そして、CO選択酸化器6には空気(酸素)がさらに供給される。このCO選択酸化器6は、後記する燃料電池10の燃料極12及び酸化剤極13(図3参照)に使用される触媒(白金)の触媒毒となるCO(一酸化炭素)を改質ガスから除去するものである。このCO選択酸化器6は、触媒の存在下に2CO+O2→2CO2で表される反応を進行させることによって改質ガス中のCOを除去するようになっている。
そして、COが除去された改質ガスは、燃料電池スタック7に供給されるようになっている。このとき燃料電池スタック7に供給される改質ガス(水素)の温度は、150℃乃至180℃程度となっている。この改質ガスは、後記するように燃料電池スタック7を構成する燃料電池10(単セル)の燃料極12(アノード)側(図2参照)に供給されるようになっている。
その一方で、燃料電池スタック7には、空気(酸素)が供給されるようになっている。この空気(酸素)は、後記するように燃料電池スタック7を構成する燃料電池10(単セル)の酸化剤極13(カソード)側(図2参照)に供給されるようになっている。
なお、この燃料電池システム1は、図1に示すように、燃料電池スタック7に水を供給する加湿器を有していない点で固体高分子型燃料電池と異なる。
燃料電池スタック7は、図1に示すように、複数の燃料電池10(単セル)が積層された積層体で構成されている。以下に、本実施形態に係る燃料電池10について説明する。
この燃料電池10(単セル)は、図2に示すように、一対のセパレータ11と、燃料極12と、酸化剤極13と、燃料極12及び酸化剤極13に挟持された電解質膜14とを備えている。これら燃料極12、酸化剤極13及び電解質膜14は、MEA15(Membrane Electrode Assembly:膜電極複合体)を構成しており、このMEA15を挟み込むように一対のセパレータ11が配置されている。
図2に示すように、燃料極12側に配置されるセパレータ11には、改質ガス流通路11aが形成されており、この改質ガス流通路11aには、CO選択酸化器6(図1参照)から供給される改質ガスが通流するようになっている。そして、この改質ガス流通路11aを通流する改質ガスは、燃料極12と接触するようになっている。
図2に示すように、酸化剤極13側に配置されるセパレータ11には空気流通路11bが形成されており、この空気流通路11bには、空気(酸素)が通流するようになっている。そして、この空気流通路11bを通流する空気(酸素)は、酸化剤極13と接触するようになっている。
燃料極12は、図2に示すように、燃料極側ガス拡散層12aと燃料極側触媒層12bとで構成されている。燃料極側ガス拡散層12a及び燃料極側触媒層12bは、セパレータ11側からこの順番に配置されている。燃料極側ガス拡散層12aは、カーボンペーパーで形成されており、改質ガス流通路11aを通流する改質ガスを燃料極側触媒層12bに向けて拡散させるようになっている。燃料極側触媒層12bは、触媒(白金)を担持させたカーボンで形成されている。この触媒(白金)は、水素をイオン化してプロトンを生成する反応を促進するためのものである。
酸化剤極13は、図2に示すように、酸化剤極側ガス拡散層13aと酸化剤極側触媒層13bとで構成されている。酸化剤極側ガス拡散層13a及び酸化剤極側触媒層13bは、セパレータ11側からこの順番に配置されている。酸化剤極側ガス拡散層13aは、カーボンペーパーで形成されており、空気流通路11bを通流する空気(酸素)を酸化剤極側触媒層13bに向けて拡散させるようになっている。酸化剤極側触媒層13bは、触媒(白金)を担持させたカーボンで形成されている。この触媒(白金)は、プロトンと酸素とによって水が生成する反応を促進するためのものである。
電解質膜14は、燃料極12で生成したプロトンを酸化剤極13に向けて伝導させるためのものである。この電解質膜14は、1分子中に2以上のシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、アルコキシ基及びエポキシ基を有するシランカップリング剤と、無水無機固体酸とを含む組成物を後記するようにして硬化させて得られたものである。
前記ポリオルガノシロキサンは、1分子中に2以上のシラノール基を有するものであり、このようなポリオルガノシロキサンとしては、例えば、次の平均組成式(1):
(R1aSiO(4-a)/2・・・(1)
(但し、前記式(1)中、R1は同一または異なる置換または非置換の1価炭化水素基を表し、aは0.4乃至1.8の数を表す)
で示されるポリオルガノシロキサンであって、シラノール基がポリオルガノシロキサン100g当たりに少なくとも0.01mol含有するものが挙げられる。
前記式(1)中、R1で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクタデシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;これらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換した基(例えば、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基等)が挙げられる。これらの中で好ましいものは、アルキル基及びアリール基である。また、前記ポリオルガノシロキサンには、複数のR1が含有されるが、これらのR1は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
前記シランカップリング剤は、アルコキシ基及びエポキシ基を有するシランであり、トリアルコキシシランが好ましく、中でも3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランがさらに好ましい。なお、シランカップリング剤は、1種単独で、あるいはその2種以上が組み合わされて使用されてもよい。
前記無水無機固体酸は、無機固体酸の無水物であり、この無水無機固体酸は、可動プロトンを有する固体として周知のものである。この無水無機固体酸としては、固体でありながらブレンステッド酸またはルイス酸の特性を示すものであれば特に制限はない。中でも、無水無機固体酸は、CsHSO4、Cs2(HSO4)(H2PO4)、Rb3H(SeO42、(NH43H(SO42及びK3H(SO42から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
電解質膜14は、このようなポリオルガノシロキサン、シランカップリング剤及び無水無機固体酸を含む組成物を硬化して得られる。この組成物は、例えば、無水無機固体酸の水溶液にシランカップリング剤を加えた後、これにポリオルガノシロキサンを加えることによって得られる。この組成物中のポリオルガノシロキサンの含有率は、20質量%乃至50質量%程度、シランカップリング剤の含有率は、20質量%乃至50質量%程度、無水無機固体酸の含有率は、30質量%乃至60質量%程度に設定すればよい。この組成物の硬化は、例えばこの組成物を乾燥することによって行う。
次に、燃料電池10の動作について図2を適宜参照しながら説明する。
この燃料電池10(単セル)では、改質ガス(水素)が改質ガス流通路11aを介して燃料極12側(図2参照)に供給される。そして、水素は燃料極側ガス拡散層12aを拡散して燃料極側触媒層12bに向かう。燃料極側触媒層12bでは、水素が触媒(白金)によってイオン化されることによってプロトンが生成される。生成されたプロトンは、電解質膜14中を伝導して酸化剤極13側に向かう。この際、プロトンは、無水無機固体酸同士の間でホッピングすることによって電解質膜14中を酸化剤極13側に向けて伝導していく。その結果、この電解質膜14では、プロトンの伝導に水を必要としない。
その一方で、この燃料電池10(単セル)では、空気(酸素)が空気流通路11bを介して酸化剤極13側に供給される。そして、酸素は酸化剤極側ガス拡散層13aを拡散して酸化剤極側触媒層13bに向かう。その結果、酸化剤極側触媒層13bでは、プロトンと酸素とが出会う。そして、プロトンと酸素とは、触媒(白金)の存在下に反応することによって水を生成する。このようにプロトンと酸素とが反応して水が生成される過程において、燃料極12(燃料極側触媒層12b)で水素がイオン化する際に電子e-が生成されるが、この生成された電子e-は、二次電池、モータ等の外部負荷Mを経由して酸化剤極13(酸化剤極側触媒層13b)に達する。つまり、燃料電池10(単セル)は発電する。そして、再び図1を参照すると明らかなように、プロトンと酸素とが反応して水が生成された際に生じる熱は回収される。
以上のような燃料電池10は、その電解質膜14が、無水無機固体酸をシランカップリング剤によってポリオルガノシロキサンに均一に分散させた組成物で形成されている。そして、この電解質膜14では、無水無機固体酸とポリオルガノシロキサンとがシランカップリング剤を介して化学的に強固に結合している。その結果、この電解質膜14は、前記した加水分解処理して得られた組成物からなる従来の電解質膜(例えば、特許文献1参照)のように、高温下に水が脱離することによってプロトン伝導性が低下することがない。
また、この電解質膜14は、ポリオルガノシロキサンを含んでいるので、薄膜化が可能になると共に、優れた柔軟性と機械的強度とを有する。
そして、この電解質膜14を備えた燃料電池10は、燃料ガスの温度を低く設定する必要がないので、燃料ガスを冷却するための熱交換器を必要としない。したがって、この燃料電池10によれば、燃料電池システム1の小型化を図ることができると共に、その製造コストを低減することができる。
また、この電解質膜14を備えた燃料電池10は、水が存在しなくとも起電力を得ることができる。その結果、この燃料電池10が組み込まれた燃料電池システム1は、燃料電池10に水を供給するための加湿器を必要としない。したがって、この燃料電池10によれば、燃料電池システム1の小型化を図ることができると共に、その製造コストを低減することができる。
また、このような燃料電池10によれば、燃料電池10の運転温度を高めることができるので、燃料極側触媒層12b及び酸化剤極側触媒層13bに含まれる触媒(白金)の活性を高めることができる。したがって、この燃料電池10によれば、燃料電池10の発電効率を向上させることができる。
また、このような燃料電池10によれば、燃料電池10の運転温度を高めて、燃料電池10の温度を高い温度に維持することができるので、燃料電池10が発電する際に生じる熱を効率よく回収することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、燃料極側ガス拡散層12a及び燃料極側触媒層12bからなる燃料極12と、酸化剤極側ガス拡散層13a及び酸化剤極側触媒層13bからなる酸化剤極13とを備える燃料電池10を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら燃料極12及び酸化剤極13に代えて、多孔質体に触媒(白金)を担持させた燃料極及び酸化剤極を使用するものであってもよい。
また、本実施形態では、燃料極側触媒層12a及び酸化剤極側触媒層13bに含ませる触媒として白金が使用されているが、本発明は白金に代えてパラジウムが使用されるものであってもよい。
また、本実施形態では、燃料電池システム1として、改質型の燃料電池システムを示すと共に、燃料電池10には燃料ガスとして改質ガスが供給されるものを示したが、本発明に係る燃料電池は、供給される燃料ガスの水素源に制限はなく、例えば、燃料電池10に供給される燃料ガスは、水素吸蔵合金や水素ガスボンベから供給される水素ガスであってもよい。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。この実施例では、次のようにして得られた電解質膜のプロトン伝導度(S/cm)を測定した。
(電解質膜の製造)
水4.3gにCsHSO4(無水無機固体酸)4.5gを溶解させた水溶液に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)5.5gを加えてゾル溶液を調製した。次に、このゾル溶液に、両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(ポリオルガノシロキサン:重量平均分子量550g/mol)5.0gを加えて電解質膜生成用の組成物を得た。
次に、この組成物をシャーレに入れて、70℃で数日間放置した後、150℃で3時間加熱することによって、この組成物を乾燥させて硬化した。その結果、シャーレの底面には、膜厚が100μm乃至数mmの電解質膜が形成されていた。
(プロトン伝導度の測定)
次に、前記のようにして得られた電解質膜について、1013hPa(1気圧)における30℃乃至150℃のときのそのプロトン伝導度(S/cm)を測定した。その結果を図3に示す。また、比較のために、実施例に係る電解質膜の作製に使用したポリジメチルシロキサン(ポリオルガノシロキサン)のみからなる膜のプロトン伝導度(S/cm)を測定した。その結果を図3中、比較例1として記す。また、実施例に係る電解質膜の作製に使用したポリジメチルシロキサン(ポリオルガノシロキサン)及びシランカップリング剤のみからなる膜のプロトン伝導度(S/cm)を測定した。その結果を図3中、比較例2として記す。
図3に示すように、実施例に係る電解質膜は、比較例1及び比較例2に係る膜と比べて優れたプロトン伝導度(S/cm)を示している。また、実施例の電解質膜のプロトン伝導度(S/cm)は、温度が上昇するにしたがって上昇している。したがって、従来の電解質膜を備えた燃料電池と比較して高い温度で運転することができる本発明の燃料電池は、その電解質膜のプロトン伝導度(S/cm)が高い状態で運転することができるので、従来の燃料電池と比較して発電効率がより高められる。
また、比較例3として、次のような膜を作製した。この膜は、前記した実施例において、CsHSO4(無水無機固体酸)の使用量を4.5gから5.0gに変更すると共に、シランカップリング剤を使用しなかった以外は、実施例と同様にして作製された。
次に、実施例の電解質膜並びに比較例1、比較例2及び比較例3の膜について、1013hPa(1気圧)における150℃のときのそのプロトン伝導度(S/cm)を測定した。その結果、実施例の電解質膜は、そのプロトン伝導度(S/cm)が、1.1×10-6S/cm(活性化エネルギ:0.113eV)であり、比較例1の膜は、そのプロトン伝導度(S/cm)が、9.4×10-12S/cm(活性化エネルギ:0.267eV)であり、比較例2の膜は、そのプロトン伝導度(S/cm)が、3.8×10-9S/cmであり、比較例3の膜は、そのプロトン伝導度(S/cm)が、10.0×10-12S/cmであった。
この結果から明らかなように、実施例の電解質膜と比較例1の膜とのプロトン伝導度(S/cm)の比較では、両者に約11万倍の開きがあり、しかも活性化エネルギ(eV)の比較では約2.4倍の開きがある。また、シランカップリング剤を含まない比較例3の膜は、それ自体がプロトン伝導性を有する無水無機固体酸を含みながらも、プロトン伝導度(S/cm)が低い。つまり、比較例3の膜は、ポリジメチルシロキサン(ポリオルガノシロキサン)のみからなる比較例1の膜のプロトン伝導度(S/cm)と略同等であると共に、ポリジメチルシロキサン(ポリオルガノシロキサン)及びシランカップリング剤のみからなる比較例2の膜よりもプロトン伝導度(S/cm)が低い。
なお、本発明者は、ポリオルガノシロキサン中に分散する無水無機固体酸の粒子径が大きくなればなるほど、ポリオルガノシロキサンと無水無機固体酸との界面相互作用により無水無機固体酸の結晶の相転移温度が高くなっていく共に、この相転移温度より低温側では、プロトン伝導性が低下することを確認している。
つまり、前記したプロトン伝導度の測定結果のうち、シランカップリング剤を含まない比較例3の膜では、ポリジメチルシロキサン(ポリオルガノシロキサン)中に分散するCsHSO4(無水無機固体酸)の粒子径が大きくなるために、相転移温度が高くなってプロトン伝導性が低下したものと考えられる。これに対し、実施例の電解質膜は、シランカップリング剤によってポリジメチルシロキサン(ポリオルガノシロキサン)中に分散するCsHSO4(無水無機固体酸)の粒子径が極めて小さくなっており、良好なプロトン伝導性を示したものと考えられる。
(電解質膜の耐熱性評価)
次に、実施例の電解質膜の耐熱性について評価した。この評価は、この電解質膜を室温から230℃付近まで加熱した後に室温まで戻す工程を数回繰り返し、その電解質膜の表面を目視で観察することによって行った。また、比較例3の膜について同様の耐熱性の評価を行った。その結果、比較例3の膜の表面には、亀裂が確認された。これに対し、実施例の電解質膜の表面には、亀裂が確認されなかった。
このことは、比較例3の膜では、ポリジメチルシロキサン(ポリオルガノシロキサン)中に分散するCsHSO4(無水無機固体酸)の粒子径が大きいために、その結晶の相転移の際の体積変化が膜に亀裂を生じさせたものと考えられる。これに対し、実施例の電解質膜に亀裂を生じなかったのは、ポリジメチルシロキサン(ポリオルガノシロキサン)中に分散するCsHSO4(無水無機固体酸)の粒子径が小さいので、その結晶の相転移の際の体積変化が小さいからであると考えられる。
実施形態に係る燃料電池が組み込まれた燃料電池システムのブロック図である。 実施形態に係る燃料電池(単セル)の模式図である。 本発明の実施例における電解質膜並びに比較例1及び比較例2における膜の30℃乃至150℃(at 1013hPa)でのプロトン伝導度(S/cm)を測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
1 燃料電池システム
10 燃料電池
12 燃料極
13 酸化剤極
14 電解質膜

Claims (4)

  1. 1分子中に2以上のシラノール基を有するポリオルガノシロキサンと、
    アルコキシ基及びエポキシ基を有するシランカップリング剤と、
    無水無機固体酸とを含む組成物を硬化させて得られたことを特徴とする電解質膜。
  2. 前記無水無機固体酸は、CsHSO4、Cs2(HSO4)(H2PO4)、Rb3H(SeO42、(NH43H(SO42及びK3H(SO42から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の電解質膜。
  3. 前記シランカップリング剤は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及び2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電解質膜。
  4. 燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極に挟持された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電解質膜とを備えることを特徴とする燃料電池。
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