JP2005276402A - 光学的情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面粗さが改善され、かつ高冷却能である金属膜を有する光学的情報記録媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光学的情報記録媒体において、案内溝を有する基板の上に、少なくとも第1の金属層、バリア層、第2の金属層をこの順に並ぶ積層する金属多層膜を有し、あるいは、少なくとも金属層と記録層をこの順に積層する金属単層膜を有し、第2の金属層、および金属単層膜の金属層がAlと金属元素(添加物)を主成分とする材料から成る構成であることを満たす。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レーザ光線照射等の光学的手法によって、高密度、高速度での情報の記録、再生、消去、書き換えが可能な光学的情報記録媒体とその製造方法に関するものである。
相変化型の光学的情報記録媒体は、結晶相と非晶質相との間で可逆的に相変態を起こす記録層を利用して、情報の記録、消去および書き換えを行う。この記録層に高パワーのレーザビームを照射した後に急冷すると、照射された部分が非晶質相となる。また、記録層の非晶質部分に低パワーのレーザビームを照射した後に徐冷すると、照射された部分が結晶相となる。したがって、相変化型の光学的情報記録媒体では、高パワーレベルと低パワーレベルとの間でパワーを変調させたレーザビームを記録層に照射することによって、記録層を非晶質相または結晶相に自由に変化させることができる。この光学的情報記録媒体では、非晶質相における反射率と結晶相における反射率との差を利用して情報の記録を行う。
このような光学的情報記録媒体の1枚あたりに蓄積できる情報量を増やすための基本的な手段として、レーザ光の波長を短くしたり、レーザ光を集光する対物レンズの開口数NAを大きくすることによりレーザ光のスポット径を小さくしたりすることにより、光学的情報記録媒体の記録面密度を向上させるという方法がある。近年では、波長400nm近傍の青色レーザが実用化されつつある。この青色レーザを光学的情報記録媒体の記録再生を行う光学系に適用し、さらに光学系の対物レンズの開口数NAを高く(例えばDVD−RAM等で用いられている0.60から0.85程度に)することで、レーザスポット径を小さくして記録面密度を向上させることが提案されている。この高記録密度化、すなわち1ビットあたりの記録面積が縮小することによって、膜の表面粗さがディスク特性に大きな影響を与えるようになってきている。
相変化型の光学的情報記録媒体の構成は、例えば図1に示すような多層膜構成のものが代表的である(なお、図1は本発明の一実施形態を表す図であるが、ここでは従来技術の説明に用いる)。すなわち、光学的情報記録媒体は、ポリカーボネイトやポリメチルメタクリレート(PMMA)の樹脂或いはガラス等で形成される基板1上に金属多層膜5、上側誘電体層6、上側界面層7、記録層8、下側界面層9、下側誘電体層10を順次スパッタリングや蒸着等の方法で積層する構成からなっている。
上側誘電体層6と下側誘電体層10としては、ZnS−SiO2が代表的に用いられている。これらの誘電体層は、光の干渉効果によりディスクの反射率、吸収率などを調整する働きと記録層の蒸発や基板の熱損傷を防ぐ働きを併せ持つ。
上側界面層7および下側界面層9は、記録層8の結晶化を促進して消去特性を向上させ、さらに記録層8と、それぞれ上側誘電体層6および下側誘電体層10との間の原子相互拡散を防いで繰り返し耐久性を向上させるという役割を果たす。
金属多層膜5は熱伝導率の高い材料からなり、レーザ光を反射して光の利用効率を高めるだけでなく、記録層8で発生した熱を速やかに放散する熱拡散層の役目も果たしている。金属多層膜5の材料としては、例えば、Al、Ag等の熱伝導率の高い単体金属材料、或いはこれらのうちの1つまたは複数の元素を含み、耐湿性の向上あるいは熱伝導率の調整あるいは光反射率・光吸収率・光透過率の調整のために、1つまたは複数の元素を添加した材料が用いられている。具体的には、Al−Cr、Al−Ti、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Pd−Tiなどの合金材料が用いられている。このように、それぞれ層の中でも金属多層膜5が最も結晶性の強い材料を用いているため、上述した膜の表面粗さは金属多層膜5の表面粗さに依存している。
金属多層膜5としてAgを主成分とする材料を適用した場合には、Alを主成分とする材料に比べて、熱伝導率が高いため冷却能が優れているという利点を持っている。しかし、上述したように、上側誘電体層6としてはZnS−SiO2が代表的に用いられており、金属多層膜5のAgを主成分とする材料と上側誘電体層6のZnS−SiO2とが接すると、AgとSの反応に起因した腐食が発生することから、Agを主成分とする材料では耐食性の低さが問題となっている。
この耐食性と膜の表面粗さを解決するために、これを防止するため、上側誘電体層6と金属層2との間にバリア層を新たに挿入する構成などが考えられている(例えば、特許文献1参照)。また、金属多層膜5として、Agからなる金属膜(30nm)、Beからなる高熱伝導率膜(5nm)、Alからなる金属膜(30nm)を順次積層した構成などが考えられている(特許文献2参照)。この場合、Agからなる金属膜とZnS−SiO2からなる上側誘電体層の間に腐食に対するバリア層としてBeからなる高熱伝導率膜とAlからなる金属膜が挿入されている。そのため、Agからなる金属膜はZnS−SiO2に接することがないので、腐食を防ぐことができる。また、この構成では、Alからなる金属膜の前に、Alを主成分とする材料よりも結晶粒径が小となる金属材料を成膜しているため、Alの結晶粒形を微細化させることができる。
特開2003−338083号公報 特開2002−237098号公報(第5−7頁、図3)
Alの結晶粒形をさらに微細化させる方法としては、第2元素の添加がある。これは、添加された第2元素が、Alの結晶成長を抑制するために微細化される。しかしながら、前記従来の構成のAlからなる金属膜中に、第2元素を添加した場合、通常では表面粗さは改善するが熱伝導率が悪化するため、表面粗さの改善と高冷却能を両立することができないという課題を有する。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、表面粗さが改善され、かつ高冷却能である金属多層膜、あるいは金属単層膜を有する光学的情報記録媒体を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の第1の光学的情報記録媒体およびその製造方法は、レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光学的情報記録媒体において、案内溝を有する基板の上に、少なくとも第1の金属層、バリア層、第2の金属層、記録層をこの順に有し、第2の金属層がAlと金属元素(添加物)を主成分とすることを特徴とする。
Al合金は、添加する元素の種類と添加量によって結晶粒径の大きさと熱伝導率が変化する。添加材料が多すぎる場合は、熱伝導率が低下するためC/N比が悪化し、また、少なすぎる場合においても、ノイズが増加することでC/N比が悪化する。以上を考慮した結果、Alに添加する金属元素は、0.1原子%以上15.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、Sn、もしくはZn、0.1原子%以上10.0原子%未満のNi、SiもしくはPt、または、0.1原子%以上7.5原子%未満のTa、Cr若しくはTiから選ばれる少なくとも一つの元素であることが好ましい。特に、0.1原子%以上10.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、0.1原子%以上7.5原子%未満のNi、SiもしくはPt、または0.1原子%以上5.0原子%未満のTa、CrもしくはTiから選ばれる少なくとも一つの元素を添加することが好ましい。
第2の金属層の膜厚は、10nm以上100nm未満であることが好ましい。第2の金属層の膜厚が10nmより薄い場合には熱伝導率が低下し、C/N比が低下する。また、100nm以上の場合には結晶粒径が粗大化し、金属層の表面あれに起因するノイズが増加してC/N比が低下するため、ディスク特性に悪影響を及ぼす。さらに好ましくは、膜厚が、10nm以上30nm未満の場合である。
バリア層は、C、Si、Cr、Ni、Mo、WおよびTaから選ばれる少なくとも一つの元素を主成分とする材料、あるいは、Al、Ti、Zr、Hf、Ta、CrおよびSiから選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物もしくはこれらの窒化物を主成分とする材料からなることが好ましい。
バリア層の膜厚は1nm以上20nm未満であることが好ましい。この範囲以外の膜厚では、冷却能が低下するためC/N比が低下し、ディスク特性に悪影響を及ぼす。
第1の金属層は、Agを主成分とする材料からなることが好ましい。第2の金属層の主成分となる材料がAlの場合、Agを主成分とする材料に比べて熱伝導率が小さいが、基板と第2の金属層の間に熱伝導率が大きいAgを主成分とする第1の金属層を設けることにより、金属多層膜としての冷却能を向上させることができる。また、室温で保持していても徐々に第1の金属層のAg元素が第2の金属層のAl中に拡散するため、第2の金属層の反射率が低下することが考えられるが、両者の間にバリア層を設けることにより、反射率低下を防止している。
第1の金属層の膜厚は、20nm以上300nm未満であることが好ましい。第1の金属層の膜厚が20nmより薄い場合には熱伝導率が低下し、C/N比が低下する。また、300nmより厚い場合には、生産性が悪くなるためである。
さらに、本発明による第1の光学的情報記録媒体は、第2の金属層と記録層との間に上側誘電体層を、記録層の上側誘電体層側と反対側に下側誘電体層をさらに有する構造をとることを特徴とする。
上側誘電体層はSを含有していることが好ましい。例えば上側誘電体層はZnSからなる。特に、ZnS−SiO2は、非晶質材料で、屈折率が高く、成膜速度が速く、機械特性および耐湿性が良好である。
第1の金属層の主成分はAg、バリア層の主成分はNi、第2の金属層の主成分はAl、上側誘電体層の主成分はZnSまたは酸化物、記録層の主成分はGeとSbとTe、下側誘電体層の主成分はZnSまたは酸化物であることが好ましい。
また、各層の膜厚は、第1の金属層の膜厚が20nm以上200nm未満、バリア層の膜厚が1nm以上20nm未満、第2の金属層の膜厚が10nm以上100nm未満、上側誘電体層の膜厚が15nm以上40nm未満、記録層の膜厚が5nm以上15nm未満、下側誘電体層の膜厚が30nm以上100nm未満であることが好ましい。
本発明の第2の光学的情報記録媒体およびその製造方法は、レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光学的情報記録媒体において、案内溝を有する基板の上に、少なくとも金属層と記録層をこの順に有し、金属層が、Alと金属元素(添加物)を主成分とする材料からなることを特徴とする。
すでに述べたように、添加材料が多すぎる場合は、熱伝導率が低下し、C/N比が悪化する。また、少なすぎる場合も、ノイズが増加することでC/N比が悪化する。これらを考慮した結果、Alに添加する金属元素は、1.0原子%以上15.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、または、1.0原子%以上10.0原子%未満のSiもしくはPtから選ばれる少なくとも一つの元素であることが好ましい。特に、1.0原子%以上10.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、Sn、Zn、もしくは、1.0原子%以上5.0原子%未満のSiもしくはPtから選ばれる少なくとも一つの元素であることが好ましい。
金属層の膜厚は、20nm以上300nm未満であることが好ましい。膜厚が薄すぎる場合には熱伝導率が低下し、C/N比が悪化する。また、厚すぎる場合には生産性が悪くなる。
さらに、本発明による第2の光学的情報記録媒体は、金属層と記録層の間に配置された上側誘電体層と、記録層の上側誘電体層側と反対側に配置された下側誘電体層とをさらに有する構造をとることを特徴とする。
上側誘電体層はSを含有していることが好ましい。例えば上側誘電体層はZnSからなる。特に、ZnS−SiO2は、非晶質材料で、屈折率が高く、成膜速度が速く、機械特性および耐湿性が良好である。
前記上側誘電体層の主成分がZnSまたは酸化物、記録層の主成分がGeとSbとTe又はGeとBiとTe、下側誘電体層の主成分がZnSまたは酸化物であることが好ましい。
また、各層の膜厚は、金属層の膜厚が20nm以上300nm未満、上側誘電体層の膜厚が15nm以上40nm未満、記録層の膜厚が5nm以上15nm未満、下側誘電体層の膜厚が30nm以上100nm未満であることが好ましい。
以上説明したように、本発明の光学的情報記録媒体およびその製造方法によれば、レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光学的情報記録媒体において、案内溝を有する基板の上に、少なくとも第1の金属層、バリア層、第2の金属層をこの順に積層する金属多層膜を有し、あるいは、少なくとも金属層と記録層をこの順に積層する金属単層膜を有し、前記第2の金属層、あるいは前記金属単層膜の金属層がAlと金属元素(添加物)を主成分とする材料から成る構成をとることにより、金属多層膜または金属単層膜の表面粗さの改善と高冷却能の両立という効果を有する。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は一例であり、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、以下の実施形態では、同一の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
〈実施の形態1〉
図1は、本発明の実施の形態1における光学的情報記録媒体の積層構成の概略を示す半径方向の断面図である。図1に示すように、光学的情報記録媒体13において、基板1、第1の金属層2、バリア層3、第2の金属層4、上側誘電体層6、上側界面層7、記録層8、下側界面層9、下側誘電体層10およびカバー層11が順次積層される。第1の金属層2、バリア層3、第2の金属層4、上側誘電体層6、上側界面層7、記録層8、下側界面層9、下側誘電体層10などの各層の形成方法としては、通常、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、CVD法、レーザスパッタリング法などが適用される。
また、図2に示すように、本発明の光学的情報記録媒体17は、基板上に第2の情報層14、分離層15、第1の情報層16、カバー層11がこの順に設けられて構成されている。図2は情報層が2つの場合であるが、さらに追加の情報層を、分離層を介して設けてもよい。ここで、少なくとも基板から最も近い情報層は、図1に示した層構成と同じように、基板に近い側から、少なくとも第1の金属層、バリア層、第2の金属層、上側誘電体層、上側界面層、記録層、下側界面層、下側誘電体層がこの順に設けられて構成されている。また、基板から最も近い情報層以外の情報層についても、図1に示した層構成と同じように、基板に近い側から、少なくとも第2の金属層、上側誘電体層、記録層、下側誘電体層がこの順に設けられて構成されてもよい。ただし、その際には、十分な透過率が得られるように第2の金属層を例えば膜厚を20nm以下のように薄くするか、省略するか、あるいは透過率を向上させるために屈折率が2.2以上のように高い光学干渉層を第2の金属層の基板側に設ける等の必要がある。これら光学的情報記録媒体の各情報層に対し、カバー層の側からレーザ光を照射して記録再生を行う。第2の情報層14の記録再生は第1の情報層16を透過したレーザ光12によって行う。
なお、第1の情報層16か第2の情報層14のいずれかを、再生専用タイプの情報層(ROM(Read Only Memory)、あるいは1回のみ書き込み可能な追記型の情報層(WO(Write Once))としてもよい。
レーザ光12の波長λは、レーザ光12を集光した際のスポット径が波長λによって決まってしまう(波長λが短いほど、より小さなスポット径に集光可能)ため、高密度記録の場合、特に450nm以下であることが好ましく、また、350nm未満では分離層15に用いる樹脂やカバー層11などによる光吸収が大きくなってしまうため、350nm〜450nmの範囲内であることがより好ましい。
以下に、光学情報記録媒体の各構成部分について説明する。
基板1の材料としては、透明な円盤状のポリカーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、紫外線硬化性樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせたもの等を用いることができる。基板1の表面には、必要に応じてレーザ光を導くための案内溝が形成されていてもよい。基板1の第1の金属層2側と反対側の表面は、平滑であることが好ましい。なお、基板1の厚さは、特に限定されないが、0.01〜1.5mm程度のものを用いることができる。また、カバー層の厚さが0.1mm程度(NA=0.85で良好な記録再生が可能)の場合、1.05mm〜1.15mmの範囲内であることが好ましい。
カバー層11の材料としては、使用するレーザ光12の波長に対して光吸収が小さく、短波長域において光学的に複屈折率が小さいことが好ましく、透明な円盤状のポリカーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、紫外線硬化性樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせたもの等を用いることができる。また、カバー層11の厚さは特に限定されないが、0.01〜1.5mm程度のもの好ましく、対物レンズの開口数が0.85の場合、チルトに対する許容幅を小さくするため、0.02mm以下であることがより好ましい。
分離層15の材料としては、カバー層と同様に透明な円盤状のポリカーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、紫外線硬化性樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせたもの等を用いることができる。分離層15の厚さは、第1の情報層16および第2の情報層14のいずれか一方を再生する際に他方からクロストークが小さくなるように、少なくとも対物レンズ18の開口数NAとレーザ光12の波長λにより決定される焦点深度以上の厚さであることが必要であり、また、全ての情報層が集光可能な範囲に収まる厚さであることも必要である。例えば、λ=405nm、NA=0.85の場合は、分離層15の厚さは少なくとも5μm以上50μm以下であることが必要である。光学分離層15において、レーザ光12の入射側の表面には、必要に応じてレーザ光を導くための案内溝が形成されていてもよい。
上側誘電体層6は、記録層8の酸化、腐食、変形を防止する働きと、光学距離を調整して記録層8の光吸収効率を高める働き、および記録前後の反射光量の変化を大きくして信号振幅を大きくする働きとを有する。上側誘電体層6には、例えばSiOx(xは、0.5〜2.5)、Al23、TiO2、Ta25、ZrO2、ZnO、Te−Oなどの酸化物を用いることができる。また、C−N、Si−N、Al−N、Ti−N、Ta−N、Zr−N、Ge−N、Cr−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−Nなどの窒化物を用いることもできる。また、ZnSなどの硫化物やSiCなどの炭化物を用いることもできる。また、上記材料の混合物を用いることもできる。例えば、ZnSとSiO2との混合物であるZnS−SiO2は、上側誘電体層6の材料として特に優れている。ZnS−SiO2は、非晶質材料で、屈折率が高く、成膜速度が速く、機械特性および耐湿性が良好である。
上側誘電体層6の膜厚は、マトリクス法(例えば久保田広著「波動光学」岩波書店、1971年、第3章を参照)に基づく計算により、記録層8の結晶相である場合とそれが非晶質相である場合の反射光量の変化が大きい条件を満足するように厳密に決定することができる。上側誘電体層6の好ましい膜厚は15nm以上40nm未満である。上側誘電体層6の膜厚が薄くなるほど記録層における光吸収率は低下する。このため膜厚が15nmよりも薄いと記録感度の悪化が顕著となる。一方、上側誘電体層6の膜厚が厚くなるほど、記録層が結晶状態における光学情報記録媒体の光反射率が低下する。このため、膜厚が40nm以上であると反射率の不足が顕著となる。
下側誘電体層10は、光学距離を調整して記録層8の光吸収率を高める働き、および記録前後の反射光量の変化を大きくして信号振幅を大きくする働きとを有する。下側誘電体層10には、例えばSiO2、Al23、Bi23、Nb25、TiO2、Ta25、ZrO2、ZnOなどの酸化物を用いることができる。また、C−N、Si−N、Al−N、Ti−N、Ta−N、Zr−N、Ge−N、Cr−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−N、Nb−Nなどの窒化物を用いることもできる。また、ZnSなどの硫化物やSiCなどの炭化物、およびCを用いることもできる。また、上記材料の混合物を用いることもできる。また、ZnSとSiO2との混合物であるZnS−SiO2は、非晶質材料で、屈折率が高く、成膜速度が速く、機械特性および耐湿性が良好であるため、下側誘電体層10として優れた材料である。
下側誘電体層10の膜厚は、上側誘電体層6と同様に、マトリクス法に基づく計算により、記録層8の結晶相である場合とそれが非晶質相である場合の反射光量の変化が大きい条件を満足するように厳密に決定することができる。下側誘電体層10の好ましい膜厚は30nm以上100nm未満である。下側誘電体層10の膜厚が薄くなり、記録層と基板1の間隔が狭くなると、基板1は、記録のためのレーザ照射により記録層の温度上昇の影響を受けて基板上の案内溝が変形し、記録消去の繰り返し特性が大幅に劣化する。このため膜厚が30nmよりも薄いと記録消去の繰り返し特性の悪化が顕著となる。一方、下側誘電体層10の膜厚が厚くなるほど、記録層が結晶状態における光学情報記録媒体の光反射率が低下する。このため、膜厚が100nm以上であると反射率の不足が顕著となる。
上側界面層7は、繰り返し記録によって上側誘電体層6と記録層8との間で生じる物質移動を防止する働きがある。上側界面層7には、例えばTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、WおよびSi等の酸化物またはこれらの複合酸化物、C−N、Ti−N、Zr−N、Nb−N、Ta−N、Si−N、Ge−N、Cr−N、Al−N、Ge−Si−N、Ge−Cr−Nなどの窒化物、もしくはこれらの系を含む窒化酸化物、炭素およびTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、WおよびSi等の炭化物を用いることができる。上側界面層7の膜厚は、高い再生光耐久性および大きな反射率変化による良好な信号品質を得るために1nm以上10nm未満の範囲内であることが望ましく、2nm以上5nm未満の範囲内にあることがより好ましい。
記録層8と下側誘電体層10との間に下側界面層9を配置してもよい。この場合、下側界面層9には、上側界面層7について説明した材料を用いることができる。下側界面層9が厚いと、反射率や吸収率が大きく変化して記録・消去性能に影響を与える。従って、下側界面層9の膜厚は1nm以上10nm未満の範囲内であることが望ましく、2nm以上5nm未満の範囲内にあることがより好ましい。
本発明の光学的情報記録媒体13では、記録層8は結晶状態と非晶質状態との間で構造変化をおこす物質であればよく、例えばTe、InまたはSeなどを主成分とする相変化材料である。よく知られた相変化材料の主成分としては、Te−Sb−Ge、Te−Ge、Te−Ge−Sn、Te−Ge−Sn−Au、Sb−Se、Sb−Te、Sb−Se−Te、In−Te、In−Se、In−Se−Tl、In−Sb、In−Sb−Se、In−Sb−Te、In−Se−Te、Te−TeO2、Te−TeO2−Au、Te−TeO2−Pdなどがあげられる。なかでも記録消去の繰り返し特性が良好な材料およびその材料組成を実験によって調べたところ、Ge、Sb、Teの3元素系を主成分とした構成が好ましいことがわかった。それぞれの元素の原子量比をGexSbyTezと表すと、0.1≦x≦0.6、y≦0.5、0.4≦z≦0.65(ここにx+y+z=1)で表される組成が特に優れている。
記録層8の膜厚は、5nm以上15nm未満とすれば、十分なC/N比を得ることができる。記録層8が5nm未満の膜厚では十分な反射率および反射率変化が得られないためC/N比が低く、また、15nm以上の膜厚では記録層8の薄膜面内の熱拡散が大きいため高密度記録においてC/N比が低くなってしまう。
また、記録層8には、熱伝導率・光学定数等の調整、あるいは耐熱性・環境信頼性の向上等の目的でO、N、F、C、S、Bから選ばれる1つまたは複数の元素を必要に応じて記録層8全体の10原子%以内の組成割合の範囲で適宜添加してもよい。
本発明の金属多層膜5は、記録層8に吸収される光量を増大させるという光学的な機能を有する。また、金属多層膜5は記録層8で生じた熱を速やかに拡散させ、記録層8を非晶質化しやすくするという熱的な機能も有する。さらに、金属多層膜5は使用する環境から多層膜を保護するという機能も有する。
金属多層膜5は3層から成り、基板側から第1の金属層2、バリア層3、第2の金属層4の順に並ぶ積層構成である。
第2の金属層4は記録層8に吸収される光量を増大させるという光学的な役割を果たす。Alを主成分とする材料の特徴は以下のようである。
(1)熱伝導率がAgを主成分とする材料に比べて熱伝導率が小さい。
(2)Agを主成分とする層に隣接して設けた場合、室温で保持していても徐々にAgがAl層中に拡散するため、反射率が低下する。
(3)Alが柱状構造になりやすい材料であるため、表面粗さが課題となる。
上記の特徴(1)に対しては、基板1と第2の金属層4の間に熱伝導率が大きいAgを主成分とする第1の金属層2を設けることにより、金属多層膜5としての冷却能を向上させることができる。
特徴(2)に対しては、第2の金属層4とAgを主成分とする第1の金属層2の間にバリア層3を設けることにより、反射率低下を防止することができる。
特徴(3)に対しては、第2の金属層4として、Alに、0.1原子%以上15.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、0.1原子%以上10.0原子%未満のNi、SiもしくはPt、または、0.1原子%以上7.5原子%未満のTa、Cr若しくはTiを添加、さらに好ましくは、0.1原子%以上10.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、0.1原子%以上7.5原子%未満のNi、SiもしくはPt、または、0.1原子%以上5.0原子%未満のTa、CrもしくはTiを添加した合金を適用することにより、熱伝導率を低下させたりノイズの増加によって、C/N比を悪化させたりすることなく、結晶粒径を微細化することができる。また、バリア層として、Alと金属元素を主成分とする材料よりも結晶粒径が小となる材料、或いは成膜後にアモルファスとなる材料を用いることも効果的である。第2の金属層4としては、熱伝導率と表面平坦性の観点から、Alに4原子%のCuもしくは4原子%のNiを添加した合金が特に好ましい。
第2の金属層4の膜厚は、10nm以上100nm未満の範囲内であることが好ましく、10nm以上30nm未満の範囲内にあることがより好ましい。第2の金属層4の膜厚が10nmより薄い場合には熱伝導率が低下するため好ましくない。また、第2の金属層4が100nm以上の場合には結晶粒径が粗大化し、ノイズが大きくなりC/N比が悪化し、ディスク特性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
バリア層3は前述したように以下の機能を有する。
(1)第1の金属層2の主成分であるAgと第2の金属層4の主成分であるAlの反応をバリアする。
(2)第2の金属層4の下地になるため、Alと金属元素を主成分とする材料よりも結晶粒径が小となる材料、或いはアモルファス構造をとる材料を用いることにより、Alと金属元素を主成分とする材料の結晶粒径を微細化することができる。
これらの機能を果たすために、バリア層3の材料としてC、Si、Cr、Ni、Mo、WおよびTaから選ばれる少なくとも一つの元素を主成分とする材料を適用することができる。また、Al、Ti、Zr、Hf、Ta、CrおよびSiから選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物もしくはこれらの窒化物を主成分とする材料も適用することができる。バリア層3としては、AgとAlの反応におけるバリア能と熱伝導率の観点から、NiもしくはCrが特に好ましい。
バリア層3の膜厚は、1nm以上20nm未満の範囲内であることが好ましく、3nm以上10nm未満の範囲内にあることがより好ましい。バリア層3の膜厚が1nmより薄い場合にはAgとAlの反応を抑制するというバリア層としての役割を果たせないため好ましくない。また、バリア層3が20nm以上の場合には金属多層膜5としての冷却能を低下させるため好ましくない。
第1の金属層2の材料には、熱伝導率の高い単体金属Agを用いることができる。また、Agを主成分とし、耐湿性の向上または熱伝導率の調整等のために1つまたは複数の他の元素を添加した合金を用いることができる。具体的には、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Pd−Ti、Ag−Ru−Au、Ag−Nd−Au或いはAg−Nd−Cuといった合金を用いることができ、耐食性の観点からAg−Nd−Auが特に好ましい。特にAg合金は、熱伝導率が大きく、耐湿性に優れているため、第1の金属層2の材料として好ましい。
第1の金属層2の膜厚は20nm以上300nm未満の範囲内であることが好ましく、50nm以上100nm未満の範囲内であることがより好ましい。第1の金属層2の膜厚が20nmより薄い場合には冷却能が不十分となるため好ましくない。また、第1の金属層2が200nmより厚い場合には、反射率が飽和するため、第1の金属層2の膜厚がこれ以上厚くなっても反射率が向上しない。このため、第1の金属層2を200nm以上積層することは、生産性の観点から材料のコストを考えると好ましくない。
第2の金属層4として、主成分をAlとし、添加物として1.0原子%以上15.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZnまたは、1.0原子%以上10.0原子%未満のSiもしくはPt、さらに好ましくは、1.0原子%以上10.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、または、1.0原子%以上5.0原子%未満のSiもしくはPtから選ばれる少なくとも一つの元素を添加した合金を用いても良い。
〈実施の形態2〉
図4は、本発明の実施の形態2における光学的情報記録媒体の積層構成の概略を示す半径方向の断面図である。図4に示すように、光学的情報記録媒体24において、基板1、金属層4、上側誘電体層6、上側界面層7、記録層8、下側界面層9、下側誘電体層10およびカバー層11が順次積層される。金属層4、上側誘電体層6、上側界面層7、記録層8、下側界面層9、下側誘電体層10などの各層の形成方法としては、実施の形態1と同様、通常は、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、CVD法、レーザスパッタリング法などが適用される。
また、媒体13の時と同様、図2に示すように、本発明の光学的情報記録媒体24も、基板上に第2の情報層14、分離層15、第1の情報層16、カバー層11がこの順に設けられて構成されている。図2は情報層が2つの場合であるが、さらに追加の情報層を、分離層を介して設けてもよい。ここで、少なくとも基板から最も近い情報層は、図4に示した層構成と同じように、基板に近い側から、少なくとも金属層、上側誘電体層、上側界面層、記録層、下側界面層、下側誘電体層がこの順に設けられて構成されている。また、基板から最も近い情報層以外の情報層についても、図4に示した層構成と同じように、基板に近い側から、少なくとも金属層、上側誘電体層、記録層、下側誘電体層がこの順に設けられて構成されてもよい。ただし、その際には、十分な透過率が得られるように金属層を例えば膜厚を20nm以下のように薄くするか、省略するか、あるいは透過率を向上させるために屈折率が2.2以上のように高い光学干渉層を金属層の基板側に設ける等の必要がある。これら光学的情報記録媒体の各情報層に対し、カバー層の側からレーザ光を照射して記録再生を行う。第2の情報層14の記録再生は第1の情報層16を透過したレーザ光12によって行う。
なお、第1の情報層16か第2の情報層14のいずれかを、再生専用タイプの情報層(ROM(Read Only Memory)、あるいは1回のみ書き込み可能な追記型の情報層(WO(Write Once))としてもよい。
レーザ光12の波長λは、実施の形態1と同様に決定する。
次に、光学情報記録媒体の各構成部分について説明する。なお、基板1、カバー層11、分離層15、上側誘電体層6、下側誘電体層10、かつ上側界面層7の構成は実施の形態1と同様である。
本発明において、記録層8の膜厚は、5nm以上15nm未満とすれば、十分なC/N比を得ることができる。5nm未満の膜厚では十分な反射率及び反射率変化が得られないためC/N比が低く、また、15nm以上の膜厚では記録層8の薄膜面内の熱拡散が大きいため高密度記録においてC/N比が低くなってしまう。
また、記録層8には、熱伝導率・光学定数等の調整、あるいは耐熱性・環境信頼性の向上等の目的でO、N、F、C、S、Bから選ばれる一つまたは複数の元素を必要に応じて記録層5全体の10原子%以内である組成割合の範囲で適宜添加してもよい。
本発明の金属層4は、記録層8に吸収される光量を増大させるという光学的な機能(反射層としての機能)と、記録層8で生じた熱を速やかに拡散させ、記録層8を非晶質化しやすくするという熱的な機能(放射層としての機能)とを有する。さらに、金属層4は、使用する環境から多層膜を保護するという機能も有する。この金属層4には、実施の形態1と同様、Al合金が用いられている。Al合金の利点としては、上側誘電体層3にZnSまたはZnS−SiO2を用いた場合でも、Agとは異なり、腐食が生じにくい点がある。その結果、バリア層を設ける必要がなく、層数を減らすことができコストを低く抑えることができる。しかし、Al合金を反射層として用いる場合には、以下の2つの問題が生じる。
(1)Alが柱状構造になりやすい材料であるため、表面が凹凸になりやすい。
(2)熱伝導率がAg合金に比べて小さいため、記録時のマーク間干渉が大きい。
これらを解決するために、Alに添加物元素を加えていくと、柱状構造を抑制でき、表面凹凸を減少させることができる。しかし、従来Al合金に第2成分を加えた場合、熱伝導率の大幅な低下が見られ、その場合に記録時のマーク間干渉が大きくなるという課題が生じていた。そこで、Al合金に添加しても熱伝導率が低下しない第2成分を検討した。
本発明においては、金属層4として、主成分をAlとし、添加物として1.0原子%以上15.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZnまたは、1.0原子%以上10.0原子%未満のSiもしくはPt、さらに好ましくは、1.0原子%以上10.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、または、1.0原子%以上5.0原子%未満のSiもしくはPtから選ばれる少なくとも一つの元素を添加した合金を適用することにより、表面凹凸を減少しさらに高熱伝導率を維持できることから、上記2つの課題を両立させることができた。なお、Au、Pt、Gaはコスト面の問題、Cd、Pbは環境面の問題を有しているための、他の元素に比べて優位ではない。
金属層4の膜厚は、後述するように20nm以上300nm未満の範囲内であることが好ましい。膜厚が20nmより薄い場合には結晶部の熱伝導率が低下し、好ましくない。また、膜厚が300nmより厚い場合には、これ以上厚くなっても冷却能が向上しない。このため、金属層4を300nm以上積層することは、生産性の観点から材料のコストを考えると好ましくない。金属層4の組成としては、熱伝導率と表面平坦性の観点から、主成分をAlとし第2成分として4原子%のCu、又は2原子%未満のSi若しくはPtから選ばれる少なくとも一つの元素を添加した合金が特に好ましい。
なお、実施の形態1および2に記載の上記のような多層薄膜は、オージェ電子分光法、X線光電子分光法および2次イオン質量分析法等の方法(例えば応用物理学会/薄膜・表面物理分科学会編「薄膜作成ハンドブック」共立出版株式会社、1991年等)により各層の材料および組成を調べることが可能である。
〈実施の形態3〉
実施の形態1の光学的情報記録媒体13、実施の形態2の光学的情報記録媒体24は、以下に説明する方法によって製造できる。
本発明の媒体の製造方法について、金属多層膜を有する媒体13を例として説明する。金属単層膜を有する媒体24の製造方法についても、第1の金属層、バリア層部分を除き、同様である。予めレーザ光12を導くための案内溝が形成された基板1(例えば、厚さ1.1mm)を成膜装置に配置する。成膜装置には、本発明の第1の金属層2を成膜する工程(工程1)、バリア層3を成膜する工程(工程2)、第2の金属層4を成膜する工程(工程3)、上側誘電体層6を成膜する工程(工程4)、上側界面層7を成膜する工程(工程5)、記録層8を成膜する工程(工程6)、下側界面層9を成膜する工程(工程7)、下側誘電体層10を成膜する工程(工程8)が備えられており、この順に各層を形成する。
最初に、本発明の工程1にて基板1上(案内溝が形成された側)に第1の金属層2を成膜する。工程1では、直流電源または高周波電源を用いて、Agを主成分とする材料よりなるスパッタリングターゲットをArガスを導入してスパッタリングする。
次に、工程2において第1の金属層2上にバリア層3を成膜する。工程2では、直流電源または高周波電源を用いて、C、Si、Cr、Ni、Mo、W、Taなどの単体材料、これらの混合材料、或いは誘電体材料よりなるスパッタリングターゲットを、Arガスを導入することによりスパッタリングする。
次に、工程3においてバリア層3上に第2の金属層4を成膜する。工程3では、直流電源または高周波電源を用いて、Al−M(M=Cu、Ni、Si)からなるスパッタリングターゲットをArガスを導入することによりスパッタリングする。
次に、工程4において第2の金属層4上に上側誘電体層6を成膜する。工程4では、高周波電源を用いて、ZnS−SiO2よりなるスパッタリングターゲットを、Arガスを導入するかもしくはArガスとN2ガスの混合ガスもしくはArガスとO2ガスの混合ガスを導入することによりスパッタリングする。
次に、工程5において上側誘電体層6上に上側界面層7を成膜する。工程5では、直流電源または高周波電源を用いて、例えばCなどのスパッタリングターゲットをArガスもしくはArガスとN2ガスの混合ガスを導入することによりスパッタリングする。
次に、工程6において上側界面層7上に記録層8を成膜する。工程6では、直流電源を用いて、Ge−Sb−TeまたはGe−Sn−Sb−TeまたはAg−In−Sb−TeまたはSb−Teのうち、何れか一つを含むスパッタリングターゲットを、ArガスもしくはArガスとN2ガスの混合ガスを導入することによりスパッタリングする。成膜後の記録層5は非晶質状態である。
次に、工程7において記録層8上に下側界面層9を成膜する。工程7では、高周波電源を用いて、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、CrおよびSiより選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を含む材料よりなるスパッタリングターゲットを、Arガスを導入することによりスパッタリングする。また、さらにSiの酸化物を含む材料よりなるスパッタリングターゲットを用いることもできる。また、ZrO2−SiO2−Cr23を主成分とする材料よりなるスパッタリングターゲットを用いることもできる。
最後に、工程8において下側界面層9上に下側誘電体層10を成膜する。工程8では、高周波電源を用いて、ZnS−SiO2よりなるスパッタリングターゲットを、Arガスを導入するかもしくはArガスとN2ガスの混合ガスもしくはArガスとO2ガスの混合ガスを導入することによりスパッタリングする。
下側誘電体層10の成膜後は、成膜装置から下側誘電体層10まで成膜した基板1を取り出す。貼り合わせ工程に下側誘電体層10まで成膜した基板1を配置し、下側誘電体層10上に紫外線硬化性樹脂を例えばスピンコート法にて塗布する。そして塗布面に例えばポリカーボネイトシートを密着させて、紫外線をポリカーボネイトシート側から照射して樹脂を硬化させる。
貼り合わせ工程終了後は、必要に応じて初期化工程を実施する。初期化工程は、非晶質状態である記録層8を、例えば半導体レーザにより、結晶化温度以上に昇温して結晶化させる工程である。初期化工程は貼り合わせ工程の事前に実施してもよい。以上のようにして光学的情報記録媒体13を製造できる。
〈実施の形態4〉
実施の形態1で説明した本発明の光学的情報記録媒体13、17、または24の記録再生方法について説明する。本発明の記録再生方法に用いられる記録再生装置について説明する。本発明の記録再生方法に用いられる記録再生装置23の一部の構成を図3に模式的に示す。図3を参照して、記録再生装置23は、光学的情報記録媒体22を回転させるためのスピンドルモータ21と、半導体レーザ19を備える光学ヘッド20と、半導体レーザ19から出射されるレーザ光12を集光する対物レンズ18とを備える。
光学的情報記録媒体13、17、または24への情報の記録、消去、および上書き記録は、レーザ光12のパワーを、高パワーのピークパワー(Pp(mW))と低パワーのバイアスパワー(Pb(mW))とに変調させることによって行う。ピークパワーのレーザ光12を照射することによって、記録層8の局所的な一部分に非晶質相が形成され、その非晶質相が記録マークとなる。記録マーク間では、バイアスパワーのパワーのレーザ光12が照射され、結晶相(消去部分)が形成される。なお、ピークパワーのレーザ光12を照射する場合には、パルスの列で形成する、いわゆるマルチパルスとするのが一般的である。なお、マルチパルスはピークパワー、バイアスパワーのパワーレベルだけで変調されてもよいし、0mW〜ピークパワーの範囲のパワーレベルによって変調されてもよい。
また、ピークパワー、バイアスパワーのいずれのパワーレベルよりも低く、そのパワーレベルでのレーザ光12の照射によって記録マークの光学的な状態が影響を受けず、且つ光学的情報記録媒体13、17、または24から記録マーク再生のための十分な反射光量が得られるパワーを再生パワー(Pr(mW))とし、再生パワーのレーザ光12を照射することによって得られる光学的情報記録媒体13、17、または24からの信号を検出器で読み取ることにより、情報信号の再生が行われる。
対物レンズ18の開口数NAは、レーザビームのスポット径を0.4μm〜0.7μmの範囲内に調整するため、0.5〜1.1の範囲内(より好ましくは、0.6〜1.0の範囲内)であることが好ましい。レーザ光12の波長は、450nm以下(より好ましくは、350nm〜450nmの範囲内)であることが好ましい。情報を記録する際の光学的情報記録媒体13、17、または24の線速度は、再生光による結晶化が起こりにくく、且つ十分な消去率が得られる3m/秒〜20m/秒の範囲内(より好ましくは、4m/秒〜15m/秒の範囲内)であることが好ましい。
光学的情報記録媒体17の場合、第1の情報層16に対して記録を行う際には、レーザ光12の焦点を第1の情報層の記録層に合わせ、カバー層11を透過したレーザ光12によって情報を記録する。再生は、第1の情報層の記録層によって反射され、カバー層11を透過してきたレーザ光12を用いて行う。第2の情報層14に対して記録を行う際には、レーザ光12の焦点を第2の情報層の記録層に合わせ、カバー層11、第1の情報層16、および分離層15を透過したレーザ光12によって情報を記録する。再生は、第2の情報層の記録層によって反射され、分離層15、第1の情報層16、およびカバー層11を透過してきたレーザ光12を用いて行う。
なお、基板1、分離層15にレーザ光12を導くための案内溝が形成されている場合、情報はレーザ光12の入射側から近い方の溝面(グルーブ)に記録してもよいし、遠い方の溝面(ランド)に記録してもよい。グルーブとランドの両方に情報を記録してもよい。
記録性能は、(8−15)変調方式で2T長さのマークを記録し、このC/N比(Carrier to Noise Ratio:CNR)をスペクトラムアナライザーで測定した。消去性能は、(8−15)変調方式で2T長さのマークを記録して振幅をスペクトラムアナライザーで測定し、その上から9T長さのマークをオーバーライトして再度2T信号の振幅を測定し、2T信号の減衰率を計算することによって評価した。以下、この2T信号の減衰率を消去率という。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
本実施例は、本発明の光学的情報記録媒体13、および24の記録再生特性、中でも特にAlを含む金属層材料および前記金属層膜厚とC/N比の依存性を示すものである。
(実施例1−1)
まず、金属多層膜を有する光学的情報記録媒体13の場合について述べる。
第2の金属層4の材料が異なる媒体13を作製し、カバー層11を形成したサンプルを作製した。形成したサンプルについてC/N比を測定した。
サンプルは以下のようにして製造した。まず、基板としてポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ1100μm、屈折率1.62)を用意した。そして、そのポリカーボネート基板上に第1の金属層2としてAgPdCu層(厚さ:80nm)、バリア層3としてNi層(厚さ:5nm)、第2の金属層4、上側誘電体層6としてZnS−SiO2層(厚さ:30nm)、上側界面層7としてC層(厚さ:2nm)、記録層8としてGeSbTe層(厚さ:9nm)、下側界面層9としてZr−Si−Cr−O層(厚さ:5nm)、下側誘電体層10としてZnS−SiO2層(厚さ:60nm)を順次スパッタリング法によって積層した。第2の金属層4としては、Al−Cu、Al−Ni、Al−Crをそれぞれ用いた。最後に、紫外線硬化樹脂を下側誘電体層10上に塗布し、ポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ90μm)を下側誘電体層10に密着させてスピンコートした後、紫外線を照射して樹脂を硬化させることによって、光学的情報記録媒体13を形成した。以上のようにして、第2の金属層4の材料と膜厚が異なる複数のサンプルを製造した。このようにして得られたディスクについて、最初に記録層8を結晶化させる初期化工程を行った。実際に作成したディスクの第2の金属層材料と膜厚の組み合わせを(表1)に示す。
Figure 2005276402
上記ディスクのグルーブ、即ちレーザ光入射側から見て凸になっている部分に対し、波長405nm・レンズ開口数0.85の光学系を用い、線速4.5m/sで回転させながら、12.2MHzおよび3.3MHzの単一信号を交互に記録した。記録に用いたパルス波形はピークパワーP1およびバイアスパワーP2の間で変調された矩形パルスである。
この条件で、未記録のトラックに12.2MHzおよび3.3MHzの信号を交互に合計10回記録を行い、その上に12.2MHzの信号を記録した場合のC/N比をスペクトラムアナライザーで測定した。以上のようにして求めた各ディスクのC/N比を(表1)にあわせて示す。なお、C/N比が55dB以上であれば◎、54dB以上であれば○、54dB未満であれば×と判定した。
(表1)によると、第2の金属層4の材料がAl−Cu(膜厚:20nm)においては、Cu量が15.0原子%未満のディスク1、2、3、8、9でC/N比が54.0dB以上であることがわかった。特に、10.0原子%未満の場合、C/N比は55dB以上を示している。また、Cu量が5.0原子%のディスク4、7では、C/N比が54.0dB未満であり、ディスク特性としては不十分であることがわかった。なお、Cu量が5原子%のディスク3〜7を比較すると、反射層膜厚が5nmのディスク4と120nmのディスク7のC/N比が不十分であることがわかった。これより、反射層膜厚は、10nm以上100nm未満が好ましいことがわかった。さらには、10nm以上30nm未満の範囲が特に好ましい。
また、第2の金属層4の材料がAl−Ni(膜厚:20nm)においては、Ni量が10.0原子%未満のディスク11〜15でC/N比が54.0dB以上、特に、7.5原子%未満のディスク11〜14でC/N比が55.0dB以上であることがわかった。Ni量が15.0原子%のディスク16では、C/N比が54.0dB未満であり、ディスク特性としては不十分であることがわかった。
さらに、第2の金属層4の材料がAl−Cr(膜厚:20nm)においては、Cr量が7.5原子%未満のディスク17〜21でC/N比が54.0dB以上、特に、5.0原子%未満のディスク17〜20でC/N比が55.0dB以上であることがわかった。Cr量が10.0原子%のディスク22では、C/N比が54.0dB未満であり、ディスク特性としては不十分であることがわかった。
以上の結果から、C/N比が少なくとも54.0dB以上であるためには、第2の金属層としてAlと本実施例より0.1原子%以上15.0原子%未満のCu、0.1原子%以上10.0原子%未満のNi、又は0.1原子%以上7.5原子%未満のCrから選ばれる少なくとも一つの金属元素を適用することが好ましい。
(実施例1−2)
次に、金属単層膜を有する光学的情報記録媒体24の場合について述べる。
金属層4の材料が異なる媒体24を作製し、カバー層11を形成したサンプルを作製した。形成したサンプルについて(実施例1−1)と同様にC/N比を測定した。サンプルの作成方法は、第1の金属層2とバリア層3を除き、(実施例1−1)と同様である。実際に作成したディスクの金属層材料とC/N比との組み合わせを(表2)に示す。
Figure 2005276402
(表2)によると、金属層4の材料がAl−Cu(膜厚:20nm)においては、Cu量が15.0原子%未満のディスク1、2、7、8でC/N比が54.0dB以上であることがわかった。特に、10.0原子%未満の場合、C/N比は55dB以上を示している。また、Cu量が20.0原子%のディスク9では、C/N比が54.0dB未満であり、ディスク特性としては不十分であることがわかった。
また、金属層4の材料がAl−Si(膜厚:20nm)においては、Si量が10.0原子%未満のディスク10〜13でC/N比が54.0dB以上、特に、5.0原子%未満のディスク10、11でC/N比が55.0dB以上であることがわかった。Si量が15.0原子%のディスク14では、C/N比が54.0dB未満であり、ディスク特性としては不十分であることがわかった。
以上の結果から、C/N比が少なくとも54.0dB以上であるためには、金属層としてAlと本実施例1.0原子%以上15.0原子%未満のCu、1.0原子%以上10.0原子%未満のSiから選ばれる少なくとも一つの金属元素を適用することが好ましい。
本実施例は、本発明の光学的情報記録媒体13の記録再生特性、中でも特にC/N比と加速試験後の反射率低下の、バリア層3の膜厚に対する依存性を示すものである。具体的には、バリア層3の材料がNiであり膜厚が異なる光学的情報記録媒体13からなるサンプルを実施例1と同様の方法で作製した。実際に作成したディスクのバリア層材料と膜厚の組み合わせを(表3)に示す。
Figure 2005276402
上記サンプルのC/N比を実施例1と同様の方法で測定した。以上のようにして求めた各ディスクのC/N比を(表3)にあわせて示す。なお、C/N比が54dB以上であれば○、54dB未満であれば×と判定した。また、前述したようにバリア層3が無い場合には、室温で保持していてもAg元素がAl層中に拡散して反射率が低下する。そこでAg元素の拡散性に対するバリア層3の膜厚依存性を評価するために、加速試験後の反射率の評価を行った。加速試験後の反射率が低下している場合は、バリア層3がAgの拡散を防止できていないため、好ましくない。
以下に、反射率低下の評価条件について説明する。
初期化工程が終了した、バリア層材料の膜厚が異なる光学的情報記録媒体13を温度90℃で相対湿度20%の恒温層に50時間放置した。放置後、反射率が低下していないか、記録再生装置23を使って反射率を測定した。以上のようにして求めた各ディスクの加速試験後の反射率低下を(表3)にあわせて示す。なお、加速試験後の反射率低下が2%未満であれば○、2%以上であれば×と判定した。
(表3)によると、バリア層3の膜厚が0.5nmのディスク20では加速試験後の反射率低下が2%以上であり、膜厚が20nm未満のディスク21〜23ではC/N比が54.0dB以上であった。また、膜厚が20nmのディスク24では、C/N比が54.0dB未満であり、ディスク特性としては不十分であることがわかった。以上の結果から、C/N比が54.0dB以上であるためには、バリア層として1nm以上20nm未満のNiを適用することが好ましい。
本実施例は、本発明の光学的情報記録媒体13の記録再生特性、中でも特にC/N比の第1の金属層2の膜厚に対する依存性を示すものである。具体的には、第1の金属層2の材料がAl−Pd−Cuであり、膜厚が異なる光学的情報記録媒体13からなるサンプルを実施例1と同様の方法で作製した。実際に作成したディスクの第1の金属層と膜厚の組み合わせを(表4)に示す。
Figure 2005276402
上記サンプルのC/N比を実施例1と同様の方法で測定した。以上のようにして求めた各ディスクのC/N比を(表4)にあわせて示す。なお、C/N比が54dB以上であれば○、54dB未満であれば×と判定した。
(表4)によると、第1の金属層2(Al−Pd−Cu)の膜厚において、20nm以上200nm以下のディスク26〜29でC/N比が54.0dB以上であった。さらに、膜厚が300nmのディスクでは、C/N比が54.0dB以上であったものの、200nmの場合と比べてC/N比は飽和しており、生産性の観点から材料のコストを考えると好ましくない。また、膜厚が10nmのディスク25では、C/N比が54.0dB未満であり、ディスク特性としては不十分であることがわかった。
以上の結果から、C/N比が54.0dB以上であるためには、第1の金属層として20nm以上200nm以下のAl−Pd−Cuを適用することが好ましい。
本実施例は、光学的情報記録媒体24の金属層4の膜厚に対する(記録層8の)結晶部と非晶質部の反射率依存性を示すものである。具体的には、金属層4の材料がAl−Cuであり膜厚が異なる媒体24からなるサンプルを実施例1と同様の方法で作製した。そして、このようにして得られたサンプルについて、記録層8を結晶化させる初期化工程を行い、結晶部と非晶質部の反射率を測定した。反射率の測定には、図3の記録再生装置23を用いた。具体的には、スピンドルモータ21でサンプルを回転させ、波長405nmのレーザ光12をサンプルに集光して照射し、反射率を測定した。
測定結果を(表5)に示す。なお、結晶部の反射率が18.0%以上であり且つ非晶質部の反射率が2.0%未満であれば○、いずれか一方が範囲外であれば×と判定した。
Figure 2005276402
この結果、反射層の膜厚が20〜400nmであるサンプル2−b、2−c、2−d、2−e、2−fにおいて結晶部の反射率が18.0%以上であり且つ、非晶質部の反射率が2.0%以下であり、十分なコントラストが得られることがわかった。
また、膜厚が10nmのサンプル2−aにおいては、結晶部の反射率が18.0%未満であり且つ、非晶質部の反射率が2.0%以上であるため、コントラストが不十分であることがわかった。さらに、膜厚が400nmのサンプル2−fでは、結晶部の反射率は飽和していることが分かった。このため、生産性の観点から材料のコストを考えると好ましくない。
以上の結果から、十分なコントラストが得られ、かつ生産性も好ましい金属層4の膜厚は20nm〜300nmであることが明らかとなった。
本発明にかかる光学的情報記録媒体は、レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光学的情報記録媒体であって、ディスク特性に関わる膜の信頼性と記録特性の向上に有用である。
本発明の光学的情報記録媒体における金属多層膜を含む一構成例の断面図 本発明の光学的情報記録媒体における多層の情報層を含む一構成例の断面図 本発明の光学的情報記録媒体の記録再生に用いられる記録再生装置について構成の一部を模式的に示す図 本発明の光学的情報記録媒体における金属単層膜を含む一構成例の断面図
符号の説明
1 基板
2 第1の金属層
3 バリア層
4 第2の金属層
5 金属多層膜
6 上側誘電体層
7 上側界面層
8 記録層
9 下側界面層
10 下側誘電体層
11 カバー層
12 レーザ光
13、17、22、24 光学的情報記録媒体
14 第2の情報層
15 分離層
16 第1の情報層
18 対物レンズ
19 半導体レーザ
20 光学ヘッド
21 スピンドルモータ
23 記録再生装置

Claims (22)

  1. レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光学的情報記録媒体において、
    案内溝を有する基板の上に、少なくとも第1の金属層、バリア層、第2の金属層および記録層をこの順に有し、
    前記第2の金属層が、Alと添加物としての金属元素を主成分とする材料からなり、
    前記金属元素が0.1原子%以上15.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、0.1原子%以上10.0原子%未満のNi、SiもしくはPt、または、0.1原子%以上7.5原子%未満のTa、CrもしくはTiから選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料からなることを特徴とする光学的情報記録媒体。
  2. 前記金属元素が0.1原子%以上10.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、0.1原子%以上7.5原子%未満のNi、SiもしくはPt、または、0.1原子%以上5.0原子%未満のTa、CrもしくはTiから選ばれる少なくとも一つの元素を主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
  3. 前記第2の金属層の膜厚が、10nm以上100nm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報記録媒体。
  4. 前記第2の金属層の膜厚が、10nm以上30nm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報記録媒体。
  5. 前記バリア層が、C、Si、Cr、Ni、Mo、WおよびTaから選ばれる少なくとも一つの元素を主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。
  6. 前記バリア層が、Al、Ti、Zr、Hf、Ta、CrおよびSiから選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物もしくはこれらの窒化物を主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。
  7. 前記バリア層の膜厚は、1nm以上20nm未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。
  8. 前記第1の金属層が、Agを主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。
  9. 前記第1の金属層の膜厚が、20nm以上300nm未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。
  10. 前記第2の金属層と前記記録層との間に上側誘電体層を、前記記録層の前記上側誘電体層側と反対側に下側誘電体層をさらに有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。
  11. 前記上側誘電体層が、Sを含有していることを特徴とする請求項10に記載の光学的情報記録媒体。
  12. 前記第1の金属層の主成分がAg、前記バリア層の主成分がNi、前記第2の金属層の主成分がAl、前記上側誘電体層の主成分がZnSまたは酸化物、記録層の主成分がGeとSbとTe、前記下側誘電体層の主成分がZnSまたは酸化物であることを特徴とする請求項10に記載の光学情報記録媒体。
  13. 前記第1の金属層の膜厚が20nm以上300nm未満、前記バリア層の膜厚が1nm以上20nm未満、前記第2の金属層の膜厚が10nm以上100nm未満、前記上側誘電体層の膜厚が15nm以上40nm未満、前記記録層の膜厚が5nm以上15nm未満、前記下側誘電体層の膜厚が30nm以上100nm未満であることを特徴とする請求項10に記載の光学情報記録媒体。
  14. レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光学的情報記録媒体において、
    案内溝を有する基板の上に、少なくとも第1の金属層、バリア層、第2の金属層、上側誘電体層、記録層、および下側誘電体層、をこの順に形成し、
    前記第2の金属層が、Alと添加物としての金属元素を主成分とする材料からなり、
    前記金属元素が0.1原子%以上15.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、0.1原子%以上10.0原子%未満のNi、SiもしくはPt、または、0.1原子%以上7.5原子%未満のTa、CrもしくはTiから選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料からなることを特徴とする光学的情報記録媒体の製造方法。
  15. レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光学的情報記録媒体において、
    案内溝を有する基板の上に、少なくとも金属層と記録層をこの順に有し、
    前記金属層が、Alと添加物としての金属元素を主成分とする材料からなり、
    前記金属元素が、1.0原子%以上15.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、または1.0原子%以上10.0原子%未満のSiもしくはPtから選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料からなることを特徴とする光学的情報記録媒体。
  16. 前記金属元素が、1.0原子%以上10.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、または、1.0原子%以上5.0原子%未満のSiもしくはPtから選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料からなることを特徴とする請求項15に記載の光学的情報記録媒体。
  17. 前記金属層の膜厚が、20nm以上300nm未満であることを特徴とする請求項15または16に記載の光学的情報記録媒体。
  18. 前記金属層と前記記録層の間に配置された上側誘電体層と、前記記録層の前記上側誘電体層側と反対側に配置された下側誘電体層とをさらに有することを特徴とする請求項15、16、または17に記載の光学的情報記録媒体。
  19. 前記上側誘電体層は、Sを含有していることを特徴とする請求項18に記載の光学的情報記録媒体。
  20. 前記上側誘電体層の主成分がZnSまたは酸化物、前記記録層の主成分がGeとSbとTe又はGeとBiとTe、前記下側誘電体層の主成分がZnSまたは酸化物であることを特徴とする請求項18に記載の光学的情報記録媒体。
  21. 前記金属層の膜厚が20nm以上300nm未満、前記上側誘電体層の膜厚が15nm以上40nm未満、前記記録層の膜厚が5nm以上15nm未満、前記下側誘電体層の膜厚が30nm以上100nm未満であることを特徴とする請求項15に記載の光学情報記録媒体。
  22. レーザ光を用いて情報の記録および再生が可能な光学的情報記録媒体において、
    案内溝を有する基板の上に、少なくとも金属層、上側誘電体層、記録層、下側誘電体層をこの順に形成し、
    前記金属層が、Alと添加物としての金属元素を主成分とする材料からなり、
    前記金属元素が、1.0原子%以上15.0原子%未満のCu、Ag、Au、B、Bi、Cd、Ga、Ge、Pb、SnもしくはZn、または1.0原子%以上10.0原子%未満のSiもしくはPtから選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料からなることを特徴とする光学的情報記録媒体の製造方法。
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