JP2005274765A - 電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】高水準の電子写真特性を有すると共に、その電子写真特性を長期にわたって安定的に維持することが可能な電子写真感光体、並びにその電子写真感光体を用いた長寿命の電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】電子写真感光体は、導電性支持体上に、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン及び式(I)で表されるアリールアミン化合物を含有する感光層を備える。
Figure 2005274765

【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジに関する。
従来、電子写真感光体(以下、場合により単に「感光体」という)としては、感光層の構成材料としてセレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム、シリコーン等の無機材料を用いた無機感光体が知られている。しかし、無機感光体は熱安定性、耐久性等の点で必ずしも満足し得るものではなく、また、製造上又は取扱い上の問題がある。
一方、感光層の構成材料として有機材料を用いた有機感光体は、製造が比較的容易であること、安価であること、取扱いが容易であること、熱安定性が優れていることなどの多くの利点を有しており、無機感光体に代わるものとして期待されている。かかる有機感光体の構成としては、電荷を発生させる層(電荷発生層)と発生した電荷を輸送する層(電荷輸送層)とに機能を分離した感光層を備える積層型感光体が主流となりつつある。
有機感光体の構成材料のうち、電荷発生材料としてはヒドロキシガリウムフタロシアニン等のフタロシアニン系化合物など(例えば、特許文献1、2及び非特許文献1を参照)、電荷輸送材料としてはテトラアリールベンジジン化合物等のアリールアミン系化合物など(例えば、特許文献3〜10を参照)がそれぞれ知られている。
特開平5−263007号公報 特開平7−53892号公報 米国特許第4,047,948号明細書 米国特許第4,299,897号明細書 特開昭61−132955号公報 特開昭62−267749号公報 特開平3−138654号公報 特開平4−290851号公報 特開平6−11854号公報 特開平7−36203号公報 Journal of Imaging Science and Technology,Vol.40,No.3,May/June,249(1996)
しかしながら、上記の電荷発生材料及び電荷輸送材料を用いた有機感光体であっても、その電子写真特性は必ずしも十分とは言えず、より高水準の画質を得るためには未だ改善の余地がある。また、通常、感光体は通常、帯電、露光、現像、転写等の工程を含む画像形成プロセスに繰り返し供されるが、初期に良好な画質を与えることが可能な感光体であっても、繰り返し使用するうちにその電子写真特性が低下し、良好な画質を得ることが困難となる場合がある。
本発明者は、このような実情に鑑みてなされたものであり、高水準の電子写真特性を有すると共に、その電子写真特性を長期にわたって安定的に維持することが可能な電子写真感光体、並びにその電子写真感光体を用いた長寿命の電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
ところで、電荷発生材料として用いられるフタロシアニン系化合物の結晶型は、その製造方法または処理方法の相違により異なることが知られている。例えば、無金属フタロシアニン結晶の結晶型としてはα型、β型、π型、γ型、X型などがあり、また、ガリウムフタロシアニン結晶としてはCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンなどが知られている。このようなフタロシアニン系化合物の結晶型は、フタロシアニン系化合物自体の光電変換特性並びに感光層又は塗布液中での分散性、ひいてはそれを用いた感光体の光感度、繰り返し特性及び環境安定性などの特性に影響を及ぼすものと考えられる。
また、上述した電子写真感光体の特性は、電荷発生材料と電荷輸送材料との組み合わせによっても異なる。より具体的には、例えば積層型感光体において、電荷発生物と電荷輸送材料の両者の特性が単に良くても、電荷発生層から電荷輸送層への電荷の注入効率が悪いと、繰り返し安定性や応答性、画質といった点で十分満足の行く特性を得ることが出来ない。この電荷の注入効率は、電荷発生材料又は電荷輸送材料それぞれの特性の他に、電荷発生層と電荷輸送層と界面など、上記2つの材料が共存し得る領域の状態の影響を受けやすいもの本発明者らは推察する。
そこで、本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討し、先ず、特定の分光吸収特性を有する新規なヒドロキシガリウムフタロシアニンを開発した。そして、そのヒドロキシガリウムフタロシアニンと、特定構造を有するアリールアミン化合物とを併用した感光体により上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に設けられており、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、及び下記一般式(I)で表されるアリールアミン化合物を含有する感光層と、を備えることを特徴とする。
Figure 2005274765
[式(I)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、RとR、RとR、RとR、RとRとはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよく、a、b、c及びdは各々独立に0〜4の整数を示し、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示し、p、q及びrは各々独立に0又は1を示し、p、q又はrが0のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、p、q又はrが1のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示し、kは0又は1を示し、kが0のときArは置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、kが1のときArは置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示し、Xは単結合又は2価の有機基を示す。]
本発明の電子写真感光体によれば、上記特定のヒドロキシガリウムフタロシアニンと上記特定のアリールアミン化合物とを感光層に含有せしめることで、高水準の電子写真特性を達成することが可能となり、また、その電子写真特性を長期にわたって安定的に維持することが可能がとなる。
なお、本発明により上記の効果が得られる理由は必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように推察する。
一般的に、フタロシアニン系顔料の場合は、結晶構造(結晶中の分子配列)によって分子間の相互作用が異なるため、その相違が分光吸収スペクトルに反映される。例えば、従来の電荷発生材料として知られるV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて840〜870nmに吸収極大を有するが、このことは強い分子間相互作用の存在を示唆している。このような電荷発生材料を用いると、その強い分子間相互作用により感光層又は塗布液中で分散状態の不均一化や凝集による粗大粒子の生成が起こりやすいため、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニンが本来的に有する電荷発生能が十分に発揮されないものと考えられる。
これに対し、本発明で用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmに最大ピーク波長を有するものであり、かかる分光吸収スペクトルからは従来の電荷発生材料と比較して分子間相互作用が小さいことが示唆される。したがって、当該ヒドロキシガリウムフタロシアニンを電荷発生材料として用いた場合には、感光層又は塗布液中での電荷発生材料の分散状態が十分に均一化され、その優れた電荷発生能が有効に発揮されるものと考えられる。
また、本発明で用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、上記特定のアリールアミン化合物に対する適合性に優れるため、両者が共存し得る領域(例えば、機能分離型感光体の場合の電荷発生層と電荷輸送層との界面)においてヒドロキシガリウムフタロシアニンからアリールアミン化合物への電荷の注入効率が高められ、その結果、繰り返し安定性や応答性、画質といった点で十分満足の行く特性を得ることができるものと考えられる。
本発明で用いられるアリールアミン化合物は、下記一般式(I−1)で表されるテトラアリールベンジジン化合物であることが好ましい。かかるテトラアリールベンジジン化合物を用いることで、ヒドロキシガリウムフタロシアニンとの共存領域における電荷の注入効率をより向上させることができ、一層高水準の電子写真特性を達成することができるようになる。
Figure 2005274765
[式(I−1)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、RとR、RとR、RとR、RとRとはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよく、a、b、c及びdは各々独立に0〜4の整数を示し、Arは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示し、p、q及びrは各々独立に0又は1を示し、p、q又はrが0のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、p、q又はrが1のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示す。]
また、本発明で用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、その平均一次粒子径が0.20μm以下であり、かつ、BET法による比表面積値が45m/g以上であるものが好ましい。更に、本発明で用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有することが好ましい。このように、上述した分光吸収特性に関する条件に加えて、平均一次粒子径及びBET法による比表面積値、更にはX線回折スペクトルの回折ピークがそれぞれ上記の条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いることで、感光層又は塗布液中でのヒドロキシガリウムフタロシアニンの分散均一性、更にはアリールアミン化合物との適合性を更に向上させることができるようになる。
また、本発明の電子写真感光体は、好ましくは、その感光層が、上記特定のヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する電荷発生層と、該電荷発生層に隣接して配置された、上記特定のアリールアミン化合物を含有する電荷発生層とを有することを特徴とする。上述した通り、本発明で用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンとアリールアミン化合物とは優れた適合性を示すため、各化合物を電荷発生層又は電荷輸送層に含有せしめ、これらの層が密接して配置された感光層とすることで、電荷発生層と電荷輸送層との層の界面において前者から後者に電荷を効率よく注入することができるようになるため、機能分離型感光体としての優れた機能を有効に達成できる電子写真感光体が実現可能となる。
また、本発明の電子写真装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像装置と、トナー像を電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写装置と、を備えることを特徴とする。
また更に、本発明のプロセスカートリッジは、上記本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電装置、静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像装置、トナー像を電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写装置、及び転写後の電子写真感光体に付着したトナーを除去するクリーニング装置から選ばれる少なくとも1種と、を備えることを特徴とする。
本発明の電子写真装置及びプロセスカートリッジによれば、上述の通り優れた特性を有する本発明の電子写真感光体を用いることで、高水準の画質を長期にわたって安定的に維持できる長寿命の電子写真装置及びプロセスカートリッジが実現可能となる。
本発明によれば、高水準の電子写真特性を有すると共に、その電子写真特性を長期にわたって安定的に維持することが可能な電子写真感光体、並びにその電子写真感光体を用いた電子写真装置及びプロセスカートリッジが提供される。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
先ず、本発明で電荷発生材料として用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンについて説明する。
本発明で用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルは、810〜839nmに吸収極大を有するものであり、従来の製造方法により作製されたヒドロキシガリウムフタロシアニンと異なるものである。また、810〜835nmのものは分散性に優れ、より好ましい。
本発明におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径は、好ましくは0.20μm以下、より好ましくは0.08μm以下であり、ナノサイズのレベルまで粒径制御されたものであり、かつ、BET法による比表面積値が好ましくは45m/g以上、より好ましくは50m/g以上、さらに好ましくは55m/g以上である。また、更に、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの一次粒子径の最大値は0.30μm以下であることが特に好ましい。本発明にかかるヒドロキシガリウムフタロシアニンにおいては、粒子の結晶配列が好適に制御されたことと、分散性向上に適した微細化によって分光吸収スペクトルが短波長側にシフトしたものと推定される。平均一次粒子径が0.20μmより大きい場合、もしくは比表面積値が45m/g未満である場合は、粒子が粗大化しているか、もしくは粒子の凝集体の形成が生じており、電子写真特性や画質特性上の欠陥を与えやすくなる。
また、本発明で電荷発生材料として用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、好ましくは、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するものである。なお、Journal of Imaging Science and Technology,Vol.40,No.3,May/June,249(1996)、特開平5−263007号公報、特開平7−53892号公報などに記載されている従来の製造方法により作製される高感度なV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有しているが、その分光吸収スペクトルは840〜870nmに吸収極大を有するものであり、本発明で電荷発生材料として用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルが810〜839nmに吸収極大を有するものとは異なることが明らかである。
通常、フタロシアニン顔料は、結晶中の分子配列によってフタロシアニン分子間の相互作用が変化し、結果として分子配列の状態がスペクトルに反映される。前記従来の製造方法により作製されたV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンが840〜870nmに吸収極大を有する場合には、吸収が長波長に伸びる、すなわち分子間の相互作用が強いことを意味し、これによって結晶中を電荷が流れ易い状態となり、暗電流の増大やバックグラウンドのかぶりや黒点などを発生しやすくなっていたものと推察される。結晶合成時の条件をコントロールすることで、分子配列を制御し、810〜839nmに吸収極大を有し、平均一次粒子径は0.20μm以下、であり、かつ、BET法による比表面積値が45m/g以上とすることで、優れた電子写真特性や画質特性を得ることが可能となった。
本発明で電荷発生材料として用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法において、原料として使用されるI型ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、従来より公知の方法によって得ることができる。以下にその一例を示す。
先ず、o−フタロジニトリルまたは1,3−ジイミノイソインドリンと三塩化ガリウムとを所定の溶媒中で反応させる方法(I型クロロガリウムフタロシアニン法);o−フタロジニトリル、アルコキシガリウムおよびエチレングリコールを所定の溶媒中で加熱し反応させてフタロシアニン二量体(フタロシアニン・ダイマー)を合成する方法(フタロシアニン・ダイマー法)、等により粗ガリウムフタロシアニンを製造する。上記の反応における溶媒としては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メトキシナフタレン、ジメチルアミノエタノール、ジフェニルエタン、エチレングリコール、ジアルキルエーテル、キノリン、スルホラン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミドなどの不活性且つ高沸点の溶剤を用いることが好ましい。
次に、上記の工程で得られた粗ガリウムフタロシアニンについてアシッドペースティング処理を行うことによって、粗ガリウムフタロシアニンを微粒子化するとともにI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に変換する。ここで、アシッドペースティング処理とは、具体的には、粗ガリウムフタロシアニンを硫酸などの酸に溶解させたものあるいは硫酸塩などの酸塩としたものを、アルカリ水溶液、水または氷水中に注ぎ、再結晶させることをいう。前記アシッドペースティング処理に用いる酸としては硫酸が好ましく、中でも濃度70〜100%(特に好ましくは95〜100%)の硫酸がより好ましい。
本発明で電荷発生材料として用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、上記のアシッドペースティング処理によって得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を溶剤とともに湿式粉砕処理して結晶変換することによって得られるが、本発明で電荷発生材料として用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法では、該湿式粉砕処理が、外径0.1〜3.0mmの球形状メディアを使用した粉砕装置が好ましく、外径0.2〜2.5mmの球形状メディアを用いることが特に好ましい。メディアの外形が3.0mmより大きい場合、粉砕効率が低下するため粒子径が小さくならずに凝集体が生成し易い。また、0.1mmより小さい場合、メディアとヒドロキシガリウムフタロシアニンを分離し難くなる。さらに、メディアが球形状でなく、円柱状や不定形状等、他の形状の場合、粉砕効率が低下するとともに、粉砕によってメディアが磨耗し易く、磨耗粉が不純物となりヒドロキシガリウムフタロシアニンの特性を劣化させ易くなる。
メディアの材質は、いかなるものでも使用できるが、顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生しにくいものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノーなどを好ましく使用できる。
容器材質もいかなるものでも使用できるが、顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生しにくいものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー、ポリプロピレン、テフロン、ポリフェニレンサルファイドなどを好ましく使用できる。また、鉄、ステンレスなどの金属容器の内面にガラス、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイドなどをライニングしても良い。
メディアの使用量は、使用する装置によっても異なるが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部に対して通常1〜1000重量部、好ましくは10〜100重量部が選択される。また、メディアの外径が小さくなると同じ重量でも装置内に占めるメディア密度が高まり、混合溶液の粘度が上昇して粉砕効率が変化するため、メディア外径を小さくするに従い、適宜メディア使用量と溶剤使用量をコントロールすることによって最適な混合比で湿式処理を行うことが望ましい。
また、該湿式粉砕処理の温度は、0〜100℃、好ましくは、5〜80℃、より好ましくは10〜50℃の範囲で行う。温度が低い場合には、結晶転移の速度が遅くなり、また、温度が高すぎる場合にはヒドロキシガリウムフタロシアニンの溶解性が高くなり結晶成長しやすく微粒化が困難となってしまう。
本発明にかかる湿式粉砕処理に使用される溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−アミルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルiso−ブチルケトンなどのケトン類の他に、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶剤の使用量はヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部に対して通常1〜200重量部、好ましくは1〜100重量部が選択される。
湿式粉砕処理に用いられる装置としては、振動ミル、自動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボールミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミルなどのメデイアを分散媒体として使用する装置を用いることができる。
結晶変換の進行スピードは、湿式粉砕処理工程のスケール、攪拌スピード、メディア材質などによって大きく影響されるが、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルが、810〜839nmの範囲内に吸収極大を有するように、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターしながら、本発明で電荷発生材料として用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンに変換されるまで継続する。一般的には、湿式粉砕処理の処理時間は5〜500時間の範囲、好ましくは7〜300時間の範囲で行われる。処理時間が5時間より少ないと、結晶変換が完結せず、電子写真特性の低下、特に感度不足の問題が生じやすい。また、処理時間が500時間より増えると、粉砕ストレスの影響により感度低下を生じたり、生産性低下、メディアの摩滅粉の混入などの問題が生じる。湿式粉砕処理時間をこのように決定することにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニン粒子が均一に微粒子化した状態で湿式粉砕処理を完了することが可能となり、複数ロットの繰り返し湿式粉砕処理を実施した場合における、ロット間の品質ばらつきを抑えることが可能となる。
上記製造方法によって得られるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、顔料、染料、電子写真感光体、光ディスク、太陽電池、センサー、脱臭剤、抗菌剤、非線形光学材料などの種々の用途に利用することができる。中でも、本発明で電荷発生材料として用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンを電子写真感光体の電荷発生材料として用いた場合には、感光体の最適な感度や優れた光電特性を得ることができる点、および感光膜に含まれる結着樹脂中への分散性に優れているので画質特性に優れる点で特に有効である。
次に、本発明において電荷輸送材料として用いられるアリールアミン化合物について説明する。
本発明で用いられるアリールアミン化合物は、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物であり、好ましくは下記一般式(I−1)で表される構造を有するテトラアリールベンジジン化合物である。
Figure 2005274765
Figure 2005274765
上記一般式(I)又は(I−1)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示す。なお、RとR、RとR、RとR、RとRはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。また、その場合には、例えばRとRとが直接結合して環を形成してもよく、あるいは他の原子又は官能基(置換基)を介して結合することにより環を形成してもよい。
〜R10で示されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。かかるアルキル基は直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。また、R〜R10で示されるシクロアルキル基としては、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基がより好ましい。また、R〜R10で示されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。また、R〜R10で示される1価の複素環基としては、芳香族性を有する1価の複素環基が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。これらの中でも、R〜R10としては、メチル基及びフェニル基が特に好ましい。
また、R〜R10が置換基を有する場合、かかる置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ビニル基、アリル基等の炭素数1〜6のアルケニル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジアリルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等の置換アミノ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、及びハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、水酸基、シアノ基、及びハロゲン原子が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基がより好ましい。
また、一般式(1)又は(I−1)中のa、b、c及びdは各々独立に0〜4の整数を示す。
また、一般式(1)又は(I−1)中、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示す。
Ar又はArで示されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等が挙げられ、中でもフェニレン基が好ましい。また、Ar及びArで示される2価の複素環基としては、芳香族性を有する複素環基が好ましく、例えば、フリレン基、チエニレン基、ピリジレン基等が挙げられる。
また、一般式(1)又は(I−1)中のp、q及びrは各々独立に0又は1を示し、p、q、rの値によりAr、Ar及びArで示される基の内容は異なる。
すなわち、p、q又はrが0のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示す。Ar、Ar又はArで示されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フルオレニル基等が挙げられ、中でもフェニル基、ビフェニル基が好ましい。また、Ar、Ar又はArで示される1価の複素環基としては、芳香族性を有する1価の複素環基が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
また、p、q又はrが1のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示す。Ar、Ar及びArで示されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等が挙げられ、中でもフェニレン基が好ましい。また、Ar、Ar又はArで示される2価の複素環基としては、芳香族性を有する2価の複素環基が好ましく、例えば、フリレン基、チエニレン基、ピリジレン基等が挙げられる。
また、一般式(1)中のkは0又は1を示し、kの値によりArで示される基の内容は異なる。
すなわち、kが0のときArは置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示す。Arで示されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フルオレニル基等が挙げられ、中でもフェニル基、ビフェニル基が好ましい。また、Ar、Ar又はArで示される1価の複素環基としては、芳香族性を有する1価の複素環基が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
また、kが1のときArは置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示す。Arで示されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等が挙げられ、中でもフェニレン基が好ましい。また、Ar、Ar又はArで示される2価の複素環基としては、芳香族性を有する2価の複素環基が好ましく、例えば、フリレン基、チエニレン基、ピリジレン基等が挙げられる。
また、Ar〜Arが置換基を有する場合、かかる置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基)、炭素数1〜6のアルコキシル基(好ましくはメトキシ基、エトキシ基)、又は下記一般式(II)で表される基などが挙げられる。
Figure 2005274765
[式(II)中、R及びR10は各々独立して置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは1価の複素環基、又は水素原子を示し、RとR10とは、直接又は他の原子若しくは官能基を介して、互いに結合して環を形成してもよく、eは各々独立して0〜4の整数を示す]
また、kが1のとき、一般式(I)で表されるアリールアミン化合物はArとArとがXを介して結合した構造を有する。ここで、Xは単結合又は2価の有機基を示す。Xで示される2価の有機基としては、例えば、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のシクロアルキレン基、置換若しくは未置換のアリーレン基、あるいはそれら各基が酸素原子又は硫黄原子を介して結合された2価の有機基[例えば、−O−X’−O−、−X’−O−X’−、−S−X’−S−、−X’−S−X’−など(X’は、アルキレン基又はシクロアルキレン基又はアリーレン基を示す]などが挙げられる。
Xで示されるアルキレン基としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。また、Xで示されるシクロアルキレン基としては、炭素数5〜8のシクロアルキレン基が好ましく、シクロペンチレン基及びシクロヘキシレン基がより好ましい。また、Xで示されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基等が挙げられ、中でもフェニレン基が特に好ましい。
尚、Xのアルキレン基、シクロアルキレン基、及びアリーレン基における置換基としては、例えば、炭素数が通常1〜6のアルキル基、炭素数が通常5〜8のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等の炭素数が通常1〜6のアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
以上の中で、本発明におけるアリールアミン化合物としては、一般式(I−1)で表されるテトラアリールベンジジン化合物のように、Xが単結合である化合物が好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体の好適な実施形態について説明する。
図1(a)は、本発明の電子写真感光体の第1実施形態を示す断面図である。図1(a)に示した電子写真感光体100はいわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性支持体層3上には、電荷発生層1及び電荷輸送層2をこの順序で積層して形成された感光層6が設けられている。そして、後述するように、電荷発生層1は上記特定のヒドロキシガリウムフタロシアニンを電荷発生材料として含有し、一方、電荷輸送層6は上記特定のアリールアミン化合物を電荷輸送材料として含有する。
導電性支持体層3は、特に限定されるものはなく、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製ドラム;ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着することによって導電処理したドラム状、シート状又はプレート状の支持体;ポリマー製シート、紙、プラスチック又はガラスなどの基体上に、酸化インジウム・酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着するか、又は金属箔をラミネートすることによって導電処理したドラム状、シート状又はプレート状の支持体;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等をバインダー樹脂に分散し、ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に塗布することによって導電処理したドラム状、シート状、プレート状の支持体などが挙げられる。
ここで、金属製ドラムを導電性支持体層3として用いる場合、その外周面(感光層6が形成される側の面)は素管のままであってもよいが、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理などの処理を行うことが好ましい。感光層6が形成される側の面を表面処理により粗面化することで、レーザービームのような可干渉光源を用いた場合に発生しうる感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
電荷発生層1は、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、並びに当該ヒドロキシガリウムフタロシアニンを分散させる結着樹脂を含有する。
本発明において使用される結着樹脂としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリイミド、ポリエステルカーボネート、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、酢酸ビニル単独重合体又は共重合体、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリブタジエン、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの部分架橋硬化物等が挙げられ、これらの結着樹脂のうちの1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、電荷発生層1上に電荷輸送層2などの上層を形成する際に、上層を形成するための塗工液に使用される溶剤によって電荷発生層1が溶解あるいは膨潤することのないように、電荷発生層1の結着樹脂と、上層を形成するための塗布液の溶剤との組み合わせを適宜選択することが望ましい。また、電荷発生層1の結着樹脂と後述する電荷輸送層2の結着樹脂とは、互いの屈折率同士が近いものを組み合わせて使用することが好ましく、具体的には、互いの屈折率の差が1以下であることが好ましい。このように屈折率の近い結着樹脂を組み合わせて用いると、電荷発生層1と電荷輸送層2との界面での光の反射が抑制され、干渉縞防止効果が向上する傾向にある。
電荷発生層1において、上記特定のヒドロキシガリウムフタロシアニンと結着樹脂との配合比(重量比)は、好ましくは40:1〜1:4であり、より好ましくは20:1〜1:2である。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの配合量が結着樹脂の配合量の40倍を超えると、電子写真感光体の製造工程において使用される分散液中の顔料の分散性が不十分となる傾向にあり、他方、結着樹脂の配合量の1/4未満であると電子写真感光体の感度が不十分となる傾向にある。
電荷発生層1は、本発明で用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンに加えて、他の金属含有または無金属フタロシアニン、アゾ顔料、ペリレン顔料、縮環芳香族系顔料、セレン含有微粒子などの電荷発生材料を含有してもよい。ここで、本発明に使用される他の電荷発生材料としては、金属含有または無金属のフタロシアニンを用いることが好ましく、中でも、本発明で用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニン以外のヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニンまたはオキシチタニルフタロシアニンを用いることが特に好ましい。また、これらの他の電荷発生材料の配合量は、電荷発生層中に含まれる物質全量基準で50重量%以下であることが好ましい。
電荷発生層1は、上記特定のヒドロキシガリウムフタロシアニン及び結着樹脂を所定の溶剤に加えて分散処理し、得られる塗布液を導電性支持体層3上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。電荷発生層1の塗布液に用いる溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いもよい。また、分散処理は、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ダイノーミル、ジェットミル、コボールミル、ロールミル、超音波分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー、マイルダーなどを用いて行うことができる。また、塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法などが挙げられる。このようにして得られる電荷発生層1の膜厚は、良好な電気特性と画質を与えるために、0.05〜5μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。電荷発生層1の厚みが0.05μm未満であると、十分な感度を与えることができない。一方、電荷発生層1の厚みが5μmを超えると、帯電性の不良などの弊害を生じさせ易い。
電荷輸送層2は、上記一般式(I)で表されるアリールアミン化合物及び結着樹脂を含んで構成される。電荷輸送層2に含有される結着樹脂は特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができるが、電機絶縁性のフィルムを形成することが可能な樹脂が好ましい。好ましい結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂。シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂が電荷輸送材との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れているので好ましく用いられる。ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂の具体例を下記に示すがこれに限るものではなく、場合によっては下記構造の2種以上の共重合体でも良い。
Figure 2005274765
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電荷輸送層2におけるバインダー樹脂と一般式(I)で表されるアリールアミン化合物との配合比(質量比)は電気特性低下、膜強度低下に考慮しつつ任意に設定することができる。
また、本発明の電荷輸送層2に含有される電荷輸送材料は一般式(I)で示されるアリールアミン化合物を単独で用いても良いが、2種以上混合して用いることも出来る。2種以上混合する場合は混合する電荷輸送材料は、特に限定されるものではなく、一般式(I)で示されるアリールアミン化合物以外に公知の物質を使用することができる。例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質等が挙げられる。更には、電荷輸送材料は、以上例示した化合物の基本構造を主鎖又は側鎖に有する重合体等を使用することもできる。
電荷輸送層2は、一般式(I)で表されるアリールアミン化合物及び結着樹脂を所定の溶媒に加えて得られる塗布液を、上記の電荷発生層1上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。電荷輸送層2の形成用の塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。このようにして形成される電荷輸送層2の厚みは、5〜50μmであることが好ましく、10〜35μmであることがより好ましい。
図1(b)は、本発明の電子写真感光体の第2実施形態を示す断面図である。図1(b)に示した電子写真感光体110は、導電性支持体層3と感光層6との間に下引層4を備えること以外は図1(a)に示した電子写真感光体100と同様の構成を有する。
下引層4は、感光層6の帯電時において、導電性支持体層3から感光層6への電荷の注入を阻止する機能を有する。また、この下引層4は、感光層6を導電性支持体層3に対して一体的に接着保持せしめる接着層としても機能する。更に、この下引層4は、導電性支持体層3の光反射を防止する機能を有する。
下引層4は、樹脂、有機又は無機の粉末、電子輸送性物質等から任意に選択されて構成される。樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。そして、これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。更にこれらの中でも、ジルコニウムキレート化合物、シランカップリング剤は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
上記のシランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも特に好ましく用いられるシリコン化合物としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
下引層4中には、電気特性の向上や光散乱性の向上などの目的により、各種の有機化合物の微粉末もしくは無機化合物の微粉末を添加することができる。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やテフロン(登録商標)樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子などが有効である。添加微粉末の粒径は0.01〜2μmのものが用いられる。微粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引層4の固形分の総質量に対して、質量比で10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。
また、下引層4中には、先に説明した電子輸送性物質、電子輸送性顔料等を含有させることも低残留電位化や環境安定性の観点から有効である。更に、下引層4の厚みは0.01〜30μm、好ましくは0.05〜25μmが好ましい。また、下引層4を形成するための塗布液を調製する際に、微粉末状の物質を添加する場合には樹脂成分を溶解した溶液中に添加して分散処理が行われる。この分散処理方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。更に、この下引層4は導電性支持体層3上に下引層4を形成するための塗布液を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。このときの塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
図1(c)は、本発明の電子写真感光体の第3実施形態を示す断面図である。図1(c)に示す電子写真感光体120は、導電性支持体層3を備え、更に、感光層6上(感光層6の導電性支持体層3から遠い側の面上)に保護層5を備えること以外は図1(a)に示した電子写真感光体100と同様の構成を有する。
保護層5は、電子写真感光体120の帯電時の電荷輸送層2の化学的変化を防止したり、感光層6の機械的強度をさらに改善する為に用いられる。この保護層5は、導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させた塗布液を感光層6上に塗布することにより形成される。この導電性材料は特に限定されるものではなく、例えば、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体の担体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、或いは、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を被覆したものが挙げられる。
保護層5に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が用いられる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
保護層5の厚みは1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。この保護層5を形成するための塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。また、保護層5を形成するための塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、できるだけこの塗布液が塗布される感光層6を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
以上、本発明の電子写真感光体の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の電子写真感光体は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図2(a)に示す電子写真感光体130のように、導電性支持体層3と感光層6との間に下引層4を備え、更に感光層6上に保護層5を備えるものであってもよい。
また、上記の実施形態の電子写真感光体100、110、及び120においては、感光層6が2層構造を有している場合について説明したが、本発明の電子写真感光体は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、図2(b)に示す電子写真感光体140のように、感光層6が単層構造であってもよい。この場合、感光層6には本発明に係るヒドロキシガリウムフタロシアニン及びアリールアミン化合物の双方が含まれる。また、図2(b)には図示していないが、導電性支持体層3と感光層6との間に下引層4を備えるものでもよく、感光層6上に保護層5を備えるものであってもよく、下引層4と保護層5を共に有するものであってもよい。
本発明の電子写真感光体は、近赤外光もしくは可視光に発光するレーザービームプリンター、デジタル複写機、LEDプリンター、レーザーファクシミリどの電子写真装置や、このような電子写真装置に備えれれるプロセスカートリッジに搭載することができる。また本発明の電子写真感光体は一成分系、二成分系の正規現像剤あるいは反転現像剤とも合わせて用いることができる。
次に、本発明の電子写真感光体を載した電子写真装置及びプロセスカートリッジについ説明する。
図3は、本発明の電子写真装置の好適な一施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図3に示す電子写真装置200は、電子写真感光体7と、電子写感光体7を帯電させる非接触帯電方式の帯電装置8と、帯電装置8に接続された電源9と、帯電装置8により帯電した電子写真感光体7を露光して静電潜像を形成させる露光装置10と、形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像装置11と、トナー像を電子写真感光体7から被転写媒体に転写する転写装置12と、クリーニング装置13と、除電器14と、定着装置15とを備える。
また、図4は、図3に示す本発明の電子写真装置の別の実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図4に示す電子写真装置210は、電子写真感光体7を接触帯電方式により帯電させる帯電装置8を備えていること以外は、図3に示した電子写真装置200と同様の構成を有する。なお、この場合には、除電器14が設けられていないものもある。
本発明で用いられる非接触帯電方式の帯電装置8としては、コロナ放電を利用したコロトロン、スコロトロンなどが挙げられる。また、接触帯電方式の帯電装置8としては、帯電ローラーや帯電ブラシなどの接触帯電用部材を用いた帯電器が挙げられる。
接触帯電部材としては、アルミニウム、鉄、銅などの金属、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子材料、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッソゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のエラストマー材料にカーボンブラック、沃化銅、沃化銀、硫化亜鉛、炭化けい素、金属酸化物などの金属酸化物粒子を分散したものなどを用いることができる。この金属酸化物の例としてはZnO、SnO、TiO、In、MoO等、あるいはこれらの複合酸化物が挙げられる。また、接触帯電用部材にはエラストマー材料中に過塩素酸塩を含有させて導電性を付与したものを使用しても良い。
更に、接触帯電用部材の表面に被覆層を設けてもよい。被覆層を形成する材料としては、N−アルコキシメチル化ナイロン、セルロース樹脂、ビニルピリジン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、メラミン等が単独、あるいは併用して用いられる。また、エマルジョン樹脂系材料、たとえば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、ポリウレタン、特にソープフリーのエマルジョン重合により合成されたエマルジョン樹脂を用いることも出来る。これらの樹脂にはさらに抵抗率を調整するために、導電剤粒子を分散してもよいし、劣化を防止するために酸化防止剤を含有させることもできる。また、被覆層を形成する時の成膜性を向上させるために、エマルジョン樹脂にレベリング剤または界面活性剤を含有させることもできる。また、この接触帯電用部材の形状としては、ローラー型、ブレード型、ベルト型、ブラシ型、などが挙げられる。
接触帯電用部材の電気抵抗値は、好ましくは10〜1014Ωcm、さらに好ましくは10〜1012Ωcmの範囲が良い。また、この接触帯電用部材への印加電圧は、直流、交流いずれも用いることができる。又、直流+交流の形で印加することもできる。
また、露光装置10としては、電子写真感光体7の表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体1の導電性基体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
また、現像装置11としては、従来公知の現像装置等を用いることができる。また、使用される現像剤の種類及びその製造方法は特に制限されず、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が使用できる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナー母材は結着樹脂と着色剤、離型剤とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。平均粒径は2〜12μmのトナー、好ましくは3〜9μmのトナー母材を用いることができる。トナーの平均形状指数(ML/A)が100〜140のものを用いることにより高い現像、転写性、及び高画質の画像を得ることができる。
トナーに使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等をあげることができる。
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本発明におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
本発明に用いるトナーは上記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
本発明で用いられるトナーに添加される滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用でき、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。滑性粒子の平均粒径は0.1〜10μmが好ましく、必要に応じて粉砕して粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は好ましくは0.05〜2.0重量%、より好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲である。
本発明で用いられるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子などを加えることができるが、研磨性に優れる無機微粒子が特に好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。上記無機微粒子にテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などで処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理することも好ましく使用される。
有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
無機又は有機微粒子の粒子径としては、小さすぎると研磨能力に欠け、また、大きすぎると電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなるため、平均粒子径で5nm〜1000nm、好ましくは5nm〜800nm、より好ましくは5nm〜700nmでのものが使用される。また、滑性粒子の添加量との和が0.6重量%以上であることが好ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては粉体流動性、帯電制御等の為、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなる。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂コーテイングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
転写装置12としては、ローラー状の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。
転写後の電子写真感光体7の表面には未転写のトナーが残存し得るが、かかる残存トナーはクリーニング装置13により除去することができる。クリーニング装置13としては、ブレード、磁気ブラシ、導電性ファイバーブラシなどのクリーニング部材を備えるものが好ましく使用される。以下、クリーニング装置13の一例としてブレード部材を備えるクリーニング装置について詳述する。
ブレードの材料は特に限定されないが、例えばポリエチレンアジぺート、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオールなどのポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー、並びに1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの架橋剤を原料とするものが、得られるブレード部材が耐摩耗性にすぐれ、機械的強度が大きいという点から好ましい。また、ブレード部材の構成材料であるウレタンプレポリマーとしては、たとえばNCO基の含有量が4〜10重量%程度、70℃での粘度が1000〜3000cP程度のものが好ましく用いられる。
ブレード部材の厚さは、感光体の表面の残存トナーを除去するために十分な強度を有するような程度であればよく、特に限定されないが、通常1〜3mm程度であることが好ましい。また、例えば紫外線などを照射することによって反応硬化する接着剤などを用いて、ブレード部材と後述する取付金具とを接着せしめてクリーニングブレードを得ようとする場合、ブレード部材は、透明で、紫外線などを透過しうる厚さを有することが好ましい。また、ブレード部材のゴム硬度は、電子写真感光体7の表面の残存トナーを除去するために十分な強度を有するような程度であればよく、特に限定されないが、通常65〜80(JIS A)程度であることが好ましい。
ブレード部材の製造の際には、例えば以下のような方法を採用することができる。まず、所望の配合量となるように調整したブレード材料の原料をたとえばアジターなどの混合撹拌装置を用いて1〜3分間程度撹拌、混合して混合液とし、これを120〜160℃程度で100〜300rpm程度で回転している、たとえば遠心成形機の成形ドラム型内へ注入したのち、成形ドラム型の回転数を600〜1200rpm程度にあげ、注入された混合液が成形ドラム型の内面に均一に拡がって注入時に巻き込まれた気泡がその表面に浮かび上がった状態のブレード材料とする。なお、ここで成形ドラム型内に注入する混合液の量は、たとえば前記したような所望の厚さのブレード部材がえられるように調整すればよい。つぎに、成形ドラム型の回転数を600〜1200rpm程度、温度を120〜160℃程度に維持しながら、前記ブレード材料が架橋硬化する前に、例えばスプレーガンなどを用いて研磨材微粒子が均一に分散された懸濁液をブレード材料に噴霧したのち、成形ドラム型を回転させながら該ブレード材料を硬化させて研磨材微粒子を少なくともクリーニング面に存在させる。前記研磨材微粒子が均一に分散された懸濁液をうるための媒体は、研磨材微粒子およびブレード材料との相互作用を呈さないものであればよく、とくに限定がないが、例えばブレード材料をうる際に通常用いられている、消泡を促進する作用を呈する、たとえばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリフルオロプロピルメチルポリシロキサンなどのシリコーンオイルなどを用いたばあいには、研磨材微粒子を均一にブレード材料表面へ移行させることができるので好ましい。前記研磨材には研磨材微粒子が均一に分散されていればよいが、該懸濁液における研磨材微粒子の配合量によってクリーニング面に存在させる研磨材微粒子の量を調整することができるので、該研磨材微粒子は、媒体100部(重量部、以下同様)に対して1〜20部程度配合されていることが好ましい。また、ブレード材料の原料中に所望量の研磨材微粒子を直接混合、分散した後、成形することもできる。
懸濁液をブレード材料に噴霧するにはスプレーガンなどが用いられ、かかる噴霧の際のエアー圧や噴霧量は、クリーニング面に存在させようとする研磨材微粒子の量などに応じて調整すればよいが、通常エアー圧は1〜10kg/cm2程度、噴霧量は0.5〜5mg/cm2程度であることが好ましい。懸濁液をブレード材料に噴霧する時期は、ブレード材料が成形ドラム型内で均一に拡がった後、ブレード材料の表面に気泡が浮かび上がった状態で、該ブレード材料が硬化する前であればよく、たとえば研磨材微粒子をブレード部材の内部へ含浸させる場合の目的とする深さ等によって異なるので一概には決定することができないが、成形ドラム型内へブレード材料を入れた後、通常2〜10分間程度経過時とすることが好ましい。このようにして得られるブレード部材は、研磨材微粒子が少なくともクリーニング面に強固に付着したり、内部に浸漬しており、引張強度、引裂強度などの物性や取付金具との接着性は低下せずに優れた耐久性を有するものである。また、遠心力によって研磨材微粒子を少なくともクリーニング面に存在せしめるので、該研磨材微粒子の懸濁液の噴霧量や噴霧する時期、成形ドラム型の回転数などを調整することによって研磨性能の程度や研磨性能の持続性をコントロールすることができる。
ブレード部材は、たとえばホットメルト接着剤、両面テープなどを用いるなどして取付金具と一体化させてクリーニングブレードとし、たとえばPPC用、PPP用、PPF用などの電子写真装置に装着して用いることができる。なお、前記取付金具にはとくに限定がなく、たとえば通常クリーニングブレードに用いられている剛体の金属や弾性を有する金属、プラスチック、セラミックなどからなる取付金具などを用いることができるが、これらのなかでは、無処理の鋼板、リン酸亜鉛処理やクロメート処理などの表面処理を施した鋼板、そのほかメッキ処理を施した鋼板などからなる取付金具が、とくに腐蝕などの経時変化を起こさないという点から好ましい。また、ブレード部材は単層でも良いし、複数の材質を貼り合わせた積層でも良い。
図5はは本発明の電子写真装置の他の実施形態の基本構成を示す概略構成図である。図4に示す電子写真装置220はタンデム方式によりカラー画像を形成する電子写真装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体1a〜1d(例えば、電子写真感光体1aがイエロー、電子写真感光体1bがマゼンタ、電子写真感光体1cがシアン、電子写真感光体1dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
ここで、電子写真装置220に搭載されている電子写真感光体1a〜1dは、それぞれ本発明の電子写真感光体である。
電子写真感光体1a〜1dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体1a〜1dに当接している。
さらに、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体1a〜1dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体1a〜1dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体417が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20質量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していてもよい。
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
なお、本発明にかかる被転写媒体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体から直接、紙等の被転写媒体に転写する場合は、紙等が被転写媒体である。また、中間転写体を用いる場合には、中間転写体が被転写媒体である。
更に、図6は、本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ300は、電子写真感光体7とともに、帯電装置8、現像装置11、クリーニング装置13、露光のための開口部18、及び除電器14を取り付けレール16を用いて組み合せて一体化したものである。そして、このプロセスカートリッジ300は、転写手段12と、定着装置15と、図示しない他の構成部分とからなる電子写真装置本体に対して着脱自在としたものであり、電子写真装置本体とともに電子写真装置を構成するものである。このようなプロセスカートリッジ300は、例えば図3〜5に示した電子写真装置のいずれにも適用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[I型ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造]
1,3−ジイミノイソインドリン30重量部および三塩化ガリウム9.1重量部をジメチルスルホキシド230重量部に加え、160℃で6時間攪拌しながら反応させて赤紫色結晶を得た。得られた結晶をジメチルスルホキシドで洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥してI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶28重量部を得た。次に、得られたI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶10重量部を60℃に加熱した硫酸(濃度97%)300部に十分に溶解したものを、25%アンモニア水600重量部とイオン交換水200重量部との混合溶液中に滴下した。析出した結晶を濾過により採取し、さらにイオン交換水で洗浄し、乾燥してI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン8.2重量部を得た。
[ヒドロキシガリウムフタロシアニンの作製]
(作製例1)
上記の工程で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン5重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド75重量部、外径0.9mmのガラス製球形状メディア290重量部とともに、ガラス製ボールミルを使用して25℃で48時間湿式粉砕処理した。結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λ MAX が826nmであることを確認した。次いで、得られた結晶をアセトンを用いて洗浄し、乾燥してCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4.6重量部を得た。なお、本実施例におけるX線回折スペクトルの測定は、粉末法によりCuKα特性X線を用いて、以下の条件で行った。
使用測定器:理学電機社製X線回折装置Miniflex
X線管球:Cu
管電流:15mA
スキャン速度:5.0deg./min
サンプリング間隔:0.02deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):35deg.
X線管球:Cu
管電流:15mA
スキャン速度:5.0deg./min
サンプリング間隔:0.02deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):35deg.
ステップ角度(2θ):0.02deg.
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、およびBET法による比表面積値、さらには透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
分光吸収スペクトル測定は、日立製作所製のU−2000型分光光度計を用い、測定液は、室温下で酢酸nブチル8mLにヒドロキシガリウムフタロシアニンを0.6g分散させて調製した。比表面積値は、BET式の比表面積測定器(フローソープII2300:島津製作所社製)を用いて測定した。また、透過型電子顕微鏡(H−9000、日立製作所社製)を用いて、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの粒形状態を観察した。
(作製例2)
作製例1において、湿式粉砕処理時間を48時間から96時間に代えた。結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によってモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAXが824nmであることを確認した。これ以外は、作成例1と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料4.6重量部を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、BET法による比表面積値、および透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
(作製例3)
作製例1において、湿式粉砕処理時間を48時間から192時間に代えた。結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によってモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAXが818nmであることを確認した。これ以外は、実施例1と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料4.6重量部を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、BET法による比表面積値、および透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
(作製例4)
作製例1において、外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径2.0mmのガラス製球形状メディア290重量部を用いた。結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によってモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAXが828nmであることを確認した。これ以外は、作製例1と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料4.6重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトル及び、分光吸収スペクトルは作製例1と同様のスペクトルをそれぞれ示した。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、BET法による比表面積値、および透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
(作製例5)
作製例1において、外径0.9mmのガラス製球形状メディア290重量部に代えて外径0.3mmのガラス製球形状メディア400重量部を用い、N,N−ジメチルホルムアミドの使用量を90重量部から120重量部に替えた。結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によってモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAXが827nmであることを確認した。これ以外は、実施例1と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料4.6重量部を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、BET法による比表面積値、及び透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
(比較作製例1)
上記の工程で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン5重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド80重量部とともに25℃で48時間、撹拌装置を有するガラス製撹拌槽を用いて撹拌した。結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によってモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAXの最小値が854nmであることを確認した。次いで、得られた結晶をアセトンを用いて洗浄し、乾燥して、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン4.6重量部を得た。
得られたV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、およびBET法による比表面積値、さらには透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
(比較作製例2)
作製例1において、外径0.9mmのガラス製球形状メディア290重量部の代わりに、外径5.0mmのガラス製球形状メディア290重量部を使用した。結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によってモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAXの最小値が845nmであることを確認した。これ以外は作製例1と同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料4.6重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンはCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンであった。
得られたV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、およびBET法による比表面積値、さらには透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
(作製例6)
1,3?ジイミノイソインドリン30部および三塩化ガリウム9.1重量部をキノリン230重量部中に添加し、200℃において3時間反応させた後、生成物を濾別した。次いで、アセトン、メタノールで洗浄し、湿ケーキを乾燥してクロロガリウムフタロシアニン結晶28重量部を得た。上記のクロロガリウムフタロシアニン結晶3重量部を濃硫酸60部に0℃にて溶解後、この溶液を5℃の蒸留水450重量部中に滴下して結晶を析出させた。蒸留水、希アンモニア水等で洗浄後、乾燥してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶2.5重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を自動乳鉢にて5.5時間粉砕し、非晶質のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶1重量部をジメチルホルムアミド30部および直径1mmのガラスビーズ60部と共にミリングした。結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によってモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λ MAX の経時変化を250時間まで追跡し、吸収極大波長λ MAX が最小値を示した150時間のミリング処理で結晶変換を終了し、その後、メタノールで洗浄、乾燥してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶0.9部を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、BET法による比表面積値、及び透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
(比較作製例3)
作製例6と同一条件で結晶変換処理を24時間行った後、メタノールで洗浄、乾燥してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶0.4重量部を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、BET法による比表面積値、及び透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
(比較作製例4)
実施例6と同一条件で結晶変換処理を48時間行った後、メタノールで洗浄、乾燥してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶0.4重量部を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルにおける吸収極大波長λMAX、BET法による比表面積値、及び透過型電子顕微鏡写真より求めたヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径の値を表1に示す。
Figure 2005274765
[電子写真感光体の作製]
(実施例1)
ポリビニルブチラール樹脂(BM‐1、積水化学社製)6重量部、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)12重量部、酸化亜鉛(Nano Tech ZnO、シーアイ化成社製、平均一次粒子径30nm)41重量部、シリコーンボール(トスパール120、東芝シリコーン)1重量部、レベリング剤(シリコーンオイルSH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製)100ppm、メチルエチルケトン52重量部からなる材料をバッチ式ミルにて10時間の分散を行い、下引層用の分散液を作製した。この塗布液を50μm厚のアルミニウムシート上に浸漬塗布し、150℃で40分間加熱乾燥し、膜厚20.0μmの下引層を作製した。
次に、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)1重量部を酢酸n−ブチル100重量部に溶解させた溶液と作製例1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン1重量部とを混合し、外径1mmのガラスビーズ150重量部とともに、5時間サンドミルで分散して、電荷発生層形成用塗布液を調製した。得られた塗布液を上記の下引層上に浸漬塗布し、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.20μmの電荷発生層を作製した。
さらに、電荷輸送材料としての下記式(A)で表されるアリールアミン化合物4重量部、結着樹脂としてのビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)6重量部、テトラヒドロフラン80重量部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部を混合し、電荷輸送層形成用の塗布液を調製した。得られた溶液を浸漬塗布装置によって、上記の電荷発生層上に塗布し、115℃で60分間加熱乾燥して、膜厚26μmの電荷輸送層を作製し、目的の電子写真感光体シートを作製した。
Figure 2005274765
また、84mmφ×347mm、肉厚1mmのアルミニウムパイプを研磨剤(昭和タイタニウム社製、商品名;アルミナビーズCB−A30S、平均粒径D50=30μm)を用いて液体ホーニング処理することにより粗面化し、中心線平均粗さRaが0.18μmとなるように粗面化したものを導電性支持体として用いたこと以外は上記の手順と同様にして、下引層、 電荷発生層、電荷輸送層を順次作製し、目的の電子写真感光体ドラムを作製した。
(実施例2)
実施例1における式(A)で表されるアリールアミン化合物を下記式(B)で表されるアリールアミン化合物に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
Figure 2005274765
(実施例3)
実施例1における式(A)で表されるアリールアミン化合物を下記式(C)で表されるアリールアミン化合物に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
Figure 2005274765
(実施例4)
実施例1における式(A)で表されるアリールアミン化合物を下記式(D)で表されるアリールアミン化合物に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
Figure 2005274765
(実施例5)
実施例1における式(A)で表されるアリールアミン化合物を下記式(E)で表されるアリールアミン化合物に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
Figure 2005274765
(実施例6)
実施例1における式(A)で表されるアリールアミン化合物を下記式(F)で表されるアリールアミン化合物に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
Figure 2005274765
(実施例7〜11)
実施例1における作製例1のヒドロキシガリウムフタロシアニンをそれぞれ作成例2〜6のヒドロキシガリウムフタロシアニンに代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
(比較例1)
実施例1における式(A)で表されるアリールアミン化合物を下記式(G)で表されるアリールアミン化合物に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
Figure 2005274765
(比較例2)
作製例1のヒドロキシガリウムフタロシアニンを作製例2のヒドロキシガリウムフタロシアニンに代えた以外は比較例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
(比較例3〜6)
作製例1のヒドロキシガリウムフタロシアニンをそれぞれ比較作製例1〜4のヒドロキシガリウムフタロシアニンに代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
(比較例7)
作製例1のヒドロキシガリウムフタロシアニンを比較作製例1のヒドロキシガリウムフタロシアニンに代えたこと、及び式(A)で表されるアリールアミン化合物を式(E)で表されるアリールアミン化合物に代えたこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
(比較例8)
作製例1のヒドロキシガリウムフタロシアニンを比較作製例1のヒドロキシガリウムフタロシアニンに代えたこと、及び式(A)で表されるアリールアミン化合物を式(G)で表されるアリールアミン化合物に代えたこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
(比較例9)
作製例1のヒドロキシガリウムフタロシアニンを比較作製例2のヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物に代えたこと、及び式(A)で表されるアリールアミン化合物を下記式(H)で表されるアリールアミン化合物に代えたこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを作製した。
Figure 2005274765
[電子写真感光体の電子写真特性評価試験]
(使用初期の特性評価)
実施例1〜11及び比較例1〜9の電子写真感光体シートについて、以下の手順で電子写真特性の評価を行った。すなわち、電子写真感光体シートに20mmφの小面積マスクを使用し、20℃、50%RHの環境下において、静電複写紙試験装置(EPA8200:川口電機社製)を用いて−5.0kVのコロナ放電により感光体を負帯電させた後、干渉フィルターを用いて780nmに分光したハロゲンランプ光を感光体表面上に載置し、5.0μW/cm2となるように調整して照射した。そのときの初期表面電位V0[V]、表面電位がV0の1/2になるまでの半減露光量E1/2[μJ/cm2]および露光開始から10秒後の残留電位VR[V]を測定した。これらの結果を表2に示す。
(繰り返し特性の評価)
上記帯電、露光および除電の操作を1万回繰り返し、そのときの表面電位V0[V]、表面電位がV0の1/2になるまでの半減露光量E1/2[μJ/cm2]および露光開始から10秒後の残留電位VR[V]を測定した。これらの結果を表2に示す。
(画質評価)
先ず、実施例1〜11及び比較例1〜9の各電子写真感光体ドラムを用いて、図5に示す構成を有する電子写真装置を作製した。作製した電子写真装置は、帯電装置としてローラー帯電器(BCR)、露光装置として780nmの半導体レーザーを使用したROS、現像方式として2成分系反転現像方式、転写装置としてローラー帯電器(BTR)、転写装置としてベルト中間転写方式を採用したもので、電子写真感光体ドラム以外の要素はフルカラープリンターDocuPrint C620(富士ゼロックス社製)と同様とした。
次に、得られた電子写真装置を用いて連続プリントテストを行い、初期と1万枚後の画質評価を行った。その結果を表2に示す。
(電荷発生材料の分散性の評価)
実施例1〜11及び比較例1〜9で用いた各ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分散性の評価を行うために、ガラスプレート上に電荷発生層を形成し、顕微鏡を用いてその分散状態を観察した。その結果を表2に示す。なお、表2中、「良好」とは電荷発生層中に凝集体が見られなかったことを意味し、「不良」とは凝集体が観察されたり塗膜表面がざらついていたことを意味する。
Figure 2005274765
表2に示したように、分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピークが810〜839nmに吸収極大を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンと一般式(I)で表されるアリールアミン化合物とを用いた実施例1〜11の電子写真感光体は、優れた電子写真特性を有し、分散性が良好で、細線の太りや細り、かぶりなどの現象を生じることなく良好な画質が得られ、長期にわたり良好な画質が維持できることが確認された。
また、上記良好な結果が得られた実施例1〜11の感光体について、10℃、15%RHの環境下で評価した以外は前記と同様にして、使用初期の特性評価及び繰り返し特性の評価を実施した。結果を表3に示す。表3には、繰り返し特性の指標として、1万回後のVの初期のVからの変動量ΔVを併せて示した。
Figure 2005274765
表3に示したように、実施例1〜11の電子写真感光体の中でも、一般式(I−1)で表されるテトラアリールベンジジン化合物を用いたものが、低湿かつ低温化であっても残留電位変化が少ない特性を示し、電子写真感光体としてより好ましいことが確認された。
(a)、(b)及び(c)はそれぞれ本発明の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 (a)及び(b)はそれぞれ本発明の電子写真感光体の他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真装置の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真装置の他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真装置の他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
符号の説明
1…電荷発生層、2…電荷輸送層、3…導電性支持体層、4…下引層、5…表面保護層、6…感光層、7…電子写真感光体、8…帯電装置、9…電源、10…露光装置、11…現像装置、12…転写装置、13…クリーニング装置、14…除電器、15…定着装置、16…取り付けレール、18…露光のための開口部、100、110、120、130、140…電子写真感光体、200、210、220…電子写真装置、300…プロセスカートリッジ、400…ハウジング、402a〜402d…帯電ロール、403…レーザー光源(露光装置)、404a〜404d…現像装置;405a〜405d…トナーカートリッジ、406…駆動ロール、407…テンションロール、408…バックアップロール、409…中間転写ベルト、410a〜410d…1次転写ロール、411…トレイ(被転写媒体トレイ)、412…移送ロール、413…2次転写ロール、414…定着ロール、415a〜415d…クリーニングブレード、416…クリーニングブレード、417、500…被転写媒体。

Claims (7)

  1. 導電性支持体と、
    該導電性支持体上に設けられており、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、及び下記一般式(I)で表されるアリールアミン化合物を含有する感光層と、
    を備えることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2005274765
    [式(I)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、RとR、RとR、RとR、RとRとはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよく、a、b、c及びdは各々独立に0〜4の整数を示し、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示し、p、q及びrは各々独立に0又は1を示し、p、q又はrが0のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、p、q又はrが1のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示し、kは0又は1を示し、kが0のときArは置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、kが1のときArは置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示し、Xは単結合又は2価の有機基を示す。]
  2. 前記アリールアミン化合物が下記一般式(I−1)で表されるテトラアリールベンジジン化合物であることを特徴とする、請求項1記載の電子写真用感光体。
    Figure 2005274765
    [式(I−1)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、RとR、RとR、RとR、RとRとはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよく、a、b、c及びdは各々独立に0〜4の整数を示し、Arは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示し、p、q及びrは各々独立に0又は1を示し、p、q又はrが0のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換の1価の複素環基を示し、p、q又はrが1のときAr、Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリーレン基又は置換若しくは未置換の2価の複素環基を示す。]
  3. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンの平均一次粒子径が0.20μm以下であり、かつ、BET法による比表面積値が45m/g以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンが、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有することを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記感光層が、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する電荷発生層と、該電荷発生層に隣接して配置された、前記アリールアミン化合物を含有する電荷発生層とを有することを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
    帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、
    前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像装置と、
    前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写装置と、
    を備えることを特徴とする電子写真装置。
  7. 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像装置、前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写装置、及び転写後の前記電子写真感光体に付着したトナーを除去するクリーニング装置から選ばれる少なくとも1種と、
    を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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