JP2005273833A - 自動二輪車における無段変速機の制御機構 - Google Patents

自動二輪車における無段変速機の制御機構 Download PDF

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Abstract

【課題】 自動二輪車を走行抵抗に拘わらず、適正な状態で走行させることのできる低コストで簡単な構造の自動二輪車における無段変速機の制御機構を提供すること。
【解決手段】 自動二輪車10の無段変速機30を制御する制御機構を、スロットル開度センサ17と、車速センサ18と、エンジン回転センサ27と、セカンダリーシープ回転センサ39と、モード切換スイッチ19と、基本変速比算出ブロック41と、変速比補正量算出ブロック42とで構成した。そして、スロットル開度センサ17と車速センサ18が検出する検出値から基本変速比算出ブロック41が算出する基本変速比と、各センサ17,18,27,39が検出する各検出値とモード切換スイッチ19の操作状態から変速比補正量算出ブロック42が算出する変速比補正量とによって、無段変速機30の変速比を制御するようにした。
【選択図】 図6

Description

本発明は、自動二輪車の走行に対する抵抗となる路面勾配や車両の重量等を考慮して変速比を制御することにより、状況に応じた適正な運転が可能になる自動二輪車における無段変速機の制御機構に関する。
従来から、車両においては、例えば、スロットル開度と走行速度に基づいて作成された変速比マップによって変速比の制御が行われている。このような変速比マップを平地走行を前提として作成すると、上り勾配の路面で加速する際には、重力加速度の路面水平成分の減速度が車両に掛かることから平地走行と比較して加速度が低下する。一方、下り勾配の路面で減速する際には、スロットル開度を小さくする操作にともない減速比がトップ(高速)側に制御され、十分なエンジンブレーキがかからなくなる。このため、運転者による加速減速の操作と実際の走行状態との間に相違が生じて運転者に違和感を与えることがある。
このため、路面からの勾配抵抗に相当する力に応じて目標駆動力を設定することにより、車両が走行する路面に勾配があっても、運転者に違和感を与えることなく車両を適正な状態で走行させることのできる車両駆動力制御装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この車両駆動力制御装置は、アクセル操作量と車両速度に応じた平坦路での通常目標駆動力を演算する手段と、重量勾配抵抗を検出する手段とを備えている。さらに、前述した各手段によって求められた通常目標駆動力と重量勾配抵抗から勾配対応目標駆動力を演算する手段と、勾配対応目標駆動力の変化速度を調整して最終目標駆動力を演算する手段とを備えている。そして、最終目標駆動力に応じて車両の走行が制御される。
また、このような車両駆動力制御装置には、一般にノーマルモードと呼ばれる燃費を重視する変速比マップと、パワーモードと呼ばれる加減速性能を重視する変速比マップとが備わっており、運転者によるモード切換スイッチの操作によりそれぞれのモードに切り換えて車両を走行させることができる。
特許第3463566号公報
しかしながら、前述したような車両駆動力制御装置を用いた車両では、エンジントルクの制御手段として、電子制御スロットルが必要であったり、車両駆動力制御装置で複雑な計算をする必要が生じたりする。このため、車両を構成する各装置の数が多くなり構造が複雑になるという問題や、車両駆動力制御装置への負荷が増大するという問題がある。また、ノーマルモードと、パワーモードとのそれぞれの変速比マップを用いるため、車両駆動力制御装置が備える記憶装置として容量の大きなものが必要になるという問題もある。また、自動二輪車の場合には、低コスト化が要求されるため、簡単な構造の制御装置を用いることが好ましい。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、自動二輪車を走行抵抗に拘わらず、運転者に違和感を与えることなく適正な状態で走行させることのできる低コストで簡単な構造の自動二輪車における無段変速機の制御機構を提供することである。
前述した目的を達成するため、本発明にかかる自動二輪車における無段変速機の制御機構の構成上の特徴は、自動二輪車におけるエンジンの出力をプライマリーシープとセカンダリーシープとを備えた無段変速機を介して駆動輪に伝達する自動二輪車における無段変速機の制御機構であって、運転者による操作部材の操作に応じてスロットル開度が変位するスロットルバルブと、スロットルバルブのスロットル開度を検出するスロットル開度検出装置と、自動二輪車の走行速度を検出する車速検出装置と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出装置と、セカンダリーシープの回転数を検出するセカンダリーシープ回転数検出装置と、運転者の操作によって自動二輪車の走行モードを切り換えるモード切換スイッチと、スロットル開度検出装置および車速検出装置が検出する検出値から基本変速比を算出する基本変速比算出装置と、スロットル開度検出装置、車速検出装置、エンジン回転数検出装置およびセカンダリーシープ回転数検出装置の各装置が検出する検出値と、モード切換スイッチの切換状態とから変速比補正量を算出する変速比補正量算出装置とを備え、基本変速比算出装置と変速比補正量算出装置との算出値によって、無段変速機の変速比を決定することにある。
このように構成した本発明に係る自動二輪車における無段変速機の制御機構では、スロットル開度と自動二輪車の走行速度とから基本変速比、例えば、自動二輪車が平坦路を走行する際の変速比を求め、この基本変速比と、路面勾配や車両重量等による走行状態の変化と、モード切換スイッチによる走行モードの切り換えに応じて算出される変速比補正量とから無段変速機の変速比を決定するようにしている。この場合の走行状態の変化は、スロットル開度、走行速度、エンジン回転数およびセカンダリーシープ回転数から算出することができ、路面の勾配、空気抵抗および転がり抵抗等の状況によって変化するこれらの検出値に応じて求める。また、モード切換スイッチの切換操作によって、変速比補正量の算出方法が変更し、例えば、走行モードをノーマルモードとパワーモードとに変更できるようにすることができる。
したがって、簡単な方法で運転者による操作部材の操作に応じた滑らかな変速制御が可能になる。また、これによると、エンジンの駆動力が伝達される駆動軸における入出力間のトルク差が変速比に換算される自動二輪車特有のトルクカム機構に似た変速動作を実現することができ、良好な加減速感が得られる。このため、自動二輪車にトルクカム機構を設けなくても済むようになる。さらに、電子制御スロットル等の装置が不要であるとともに、簡単な計算で基本変速比と変速比補正量とを算出できるため、モータ制御装置にかかる負荷が小さくなり、自動二輪車に適した無段変速機の制御機構が安価で得られる。
また、本発明に係る自動二輪車における無段変速機の制御機構の他の構成上の特徴は、スロットル開度検出装置、車速検出装置、エンジン回転数検出装置およびセカンダリーシープ回転数検出装置の各装置が検出する検出値から自動二輪車の走行抵抗を算出し、走行抵抗の値と、モード切換スイッチの切換状態とから変速比補正量を算出することにある。この場合、走行抵抗を、転がり抵抗と、空気抵抗と、勾配抵抗との和とすることができる。
転がり抵抗は、所定の転がり抵抗係数、搭乗者を含む車両総重量および重力加速度から算出できる。また、空気抵抗は、所定の空気抵抗係数、車両の前面投影面積、空気密度および車速から算出できる。さらに、勾配抵抗は、路面勾配、搭乗者を含む車両総重量および重力加速度から算出できる。また、車両総重量は、各検出装置が検出する検出値に基づいて計算によって求めてもよいし、車軸にセンサを設けて検出してもよい。また、既知の車両重量に搭乗者の体重、例えば一人の体重を60kgとして、運転者だけが乗っていれば60kg、運転者以外にもう一人乗っていれば120kgを加算して求めてもよい。
本発明に係る自動二輪車における無段変速機の制御機構のさらに他の構成上の特徴は、モード切換スイッチが、走行モードをノーマルモードとパワーモードとに変更するものであり、モード切換スイッチの操作に応じて、変速比補正量の算出の際に所定の係数を算入することによりノーマルモードに対応する変速比補正量からパワーモードに対応する変速比補正量に変更することにある。これによると、ノーマルモードの変速比マップとパワーモードの変速比マップとの二つのマップを設けることなく、例えば、ノーマルモードの変速比マップを作成しておき、必要に応じて、変速比補正量を算出するための計算式に所定の係数を加えるだけでパワーモードへの変更ができる。このため、制御機構が備える記憶装置の容量が小さくても済むようになる。
本発明に係る自動二輪車における無段変速機の制御機構のさらに他の構成上の特徴は、所定の係数を、勾配抵抗を算出するために求められる路面勾配の値を補正するための係数としたことにある。これによると簡単な方法でモードに応じた加減速性能の変化を明確にすることができる。
本発明に係る自動二輪車における無段変速機の制御機構のさらに他の構成上の特徴は、プライマリーシープが、駆動軸を介して設置されたプライマリーフィクスドシープとプライマリースライディングシープとで構成され、無段変速機が、プライマリーフィクスドシープに対してプライマリースライディングシープを駆動軸の軸方向に移動させるモータと、モータの駆動を制御するためのモータ制御装置とを備えており、モータ制御装置が、基本変速比算出装置が算出した基本変速比と変速比補正量算出装置が算出した変速比補正量との算出値に応じてモータを駆動させることにより、無段変速機の変速比を制御することにある。
この自動二輪車における無段変速機の制御機構においては、基本変速比算出装置と変速比補正量算出装置との算出値に応じてモータを駆動させることにより、プライマリーフィクスドシープとプライマリースライディングシープとの間隔を調節する。すなわち、プライマリーシープとセカンダリーシープの間には、駆動力を伝達するためのVベルトが掛け渡されており、プライマリーフィクスドシープとプライマリースライディングシープとの間隔が狭くなると、Vベルトは、プライマリーシープの外周側部分とセカンダリーシープの中心軸側部分とに位置してロー(低速)側に変速する。
また、プライマリーフィクスドシープとプライマリースライディングシープとの間隔が広くなると、プライマリーシープとセカンダリーシープの間に掛け渡されたVベルトは、プライマリーシープの駆動軸側部分とセカンダリーシープの外周側部分とに位置してトップ(高速)側に変速する。したがって、基本変速比算出装置と変速比補正量算出装置との算出値に応じて、プライマリーフィクスドシープとプライマリースライディングシープとの間隔を調節することにより、走行抵抗に対応した加減速制御が行える。
以下、本発明に係る自動二輪車における無段変速機の制御機構の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は本発明に係る無段変速機の制御機構を備えた自動二輪車10を示しており、図2はその要部、図3は要部の概略構成図である。自動二輪車10は、前輪11aと後輪11bとを備えており、前輪11aと後輪11bとの間に形成された車体に、エンジン20、無段変速機30、燃料タンク12、吸気ボックス13、スロットルバルブ14、一次減速機構15aおよび二次減速機構15b等が設けられている。また、自動二輪車10の車体前側の上部には、アクセルグリップ16aとクラッチレバー16bを備えたハンドル16が設けられている。
エンジン20は水冷式の4サイクルDOHCエンジンからなっており、図2に示したように内部にピストン21が前後方向に往復移動可能な状態で収容されている。このピストン21の往復移動は、コネクティングロッド22を介してクランクシャフト23に伝達されてクランクシャフト23を中心軸を中心として回転させる。また、エンジン20と吸気ボックス13とを結ぶ吸気管には、支持軸を中心として回転することにより吸気管を開閉するスロットルバルブ14が配置されており、このスロットルバルブ14の開度によって吸気ボックス13から吸気管を介してエンジン20に供給される空気の量が調節される。
また、エンジン20には、燃料供給装置(図示せず)を介して燃料タンク12から燃料が供給される。この燃料供給装置は、燃料ポンプ、燃料噴射装置等で構成され、燃料ポンプの作動によって、燃料タンク12から供給される燃料は、燃料噴射装置によって霧状にされてエンジン20内に噴射される。この際、燃料は吸気ボックス13から供給される空気と混合され混合気となってエンジン20の気筒内に送られる。
また、エンジン20は点火装置を備えており、この点火装置の点火によって混合気は爆発する。この爆発によって、ピストン21が前後に往復移動しその往復移動によってクランクシャフト23が回転駆動する。この際、エンジン20に供給される混合気の量によってエンジン20の回転数が制御される。すなわち、スロットルバルブ14の開度が大きい場合には、エンジン20の回転数は増加し、スロットルバルブ14の開度が小さい場合には、エンジン20の回転数は減少する。また、スロットルバルブ14の開度の調節は、アクセルグリップ16aを回転操作することによって行われる。
無段変速機30は、クランクシャフト23に連結されてクランクシャフト23の回転にしたがって回転するプライマリーシーブ31と、セカンダリーシーブ32と、プライマリーシーブ31の回転力をセカンダリーシーブ32に伝達するVベルト33とを備えている。プライマリーシーブ31は、クランクシャフト23に固定されたプライマリーフィクスドシープ31aと、クランクシャフト23の軸方向に沿って移動でき軸回り方向にはクランクシャフト23に対して固定されクランクシャフト23とともに回転する場合のみ回転可能なプライマリースライディングシープ31bとで構成されている。
また、プライマリースライディングシープ31bの表面側(外側)には、プライマリースライディングシープ31bをクランクシャフト23の軸方向に沿って移動させるモータ34が設けられている。このモータ34の駆動によって、プライマリースライディングシープ31bは、プライマリーフィクスドシープ31aとの間隔を変更される。
セカンダリーシーブ32は、クランクシャフト23の後方にクランクシャフト23と平行して設置されたセカンダリーシャフト35に取り付けられている。そして、このセカンダリーシーブ32は、セカンダリーシャフト35に固定されたセカンダリーフィクスドシープ32aと、セカンダリーシャフト35の軸方向に沿って移動でき軸回り方向にはセカンダリーシャフト35に対して固定されセカンダリーシャフト35とともに回転する場合のみ回転可能なセカンダリースライディングシープ32bとで構成されている。
また、セカンダリーフィクスドシープ32aの表面側(外側)には、セカンダリーシャフト35の外周面に沿って延びる円筒部36が形成され、この円筒部36にトルクカム37が設けられている。このトルクカム37は、円筒部36に設けられた溝部37aと、セカンダリースライディングシープ32bに連結されて、溝部37a内を移動可能になったピン37bとで構成されている。このトルクカム37を構成するピン37bが溝部37a内を移動することによって、セカンダリースライディングシープ32bが、セカンダリーフィクスドシープ32aに対して進退する際の移動がスムーズになる。すなわち、溝部37aは円筒部36の軸方向に対して斜めに形成されており、この角度によって、セカンダリーフィクスドシープ32aに対するセカンダリースライディングシープ32bの移動がスムーズになるようにコントロールされる。
プライマリーフィクスドシープ31aとプライマリースライディングシープ31bとの対向面およびセカンダリーフィクスドシープ32aとセカンダリースライディングシープ32bとの対向面はそれぞれ互いに向って突出した円錐状に形成され、両対向面でV型溝が形成されている。そして、プライマリーシーブ31のV型溝とセカンダリーシーブ32のV型溝との間に断面形状が略V形のVベルト33が掛け渡されて、クランクシャフト23からセカンダリーシャフト35に回転力が伝達される。この場合、図4および図5に示した範囲で、プライマリースライディングシープ31bがプライマリーフィクスドシープ31aに対して進退するとともに、セカンダリースライディングシープ32bがセカンダリーフィクスドシープ32aに対して進退し、その際に変化するVベルト33の位置に応じて無段階で変速比が変更される。
すなわち、図4は、プライマリーフィクスドシープ31aとプライマリースライディングシープ31bとの間隔が広くなったローギアの状態を示しており、Vベルト33は、クランクシャフト23の近傍に位置している。また、セカンダリーフィクスドシープ32aとセカンダリースライディングシープ32bとの間隔は狭くなって、Vベルト33はセカンダリーシーブ32の外周側に位置している。この場合、エンジン20の回転は減速されてセカンダリーシャフト35に伝わり、低速で駆動力が大きな状態になる。
また、図5は、プライマリーフィクスドシープ31aとプライマリースライディングシープ31bとの間隔が狭くなったトップギアの状態を示しており、Vベルト33は、プライマリーシーブ31の外周側に位置している。また、セカンダリーフィクスドシープ32aとセカンダリースライディングシープ32bとの間隔は広くなって、Vベルト33はセカンダリーシャフト35の近傍に位置している。この場合、エンジン20の回転は加速されてセカンダリーシャフト35に伝わり、高速で駆動力が小さな状態になる。
このようにして、セカンダリーシャフト35に伝達されたエンジン20の駆動力は、一次減速機構15aおよび二次減速機構15bを介して後輪11bに伝わり、後輪11bを回転駆動させる。これによって、自動二輪車10は後輪11bの駆動力に応じて走行する。また、セカンダリーシャフト35には、セカンダリーシャフト35の回転力を一次減速機構15aに伝達させたり遮断したりする遠心クラッチ38が取り付けられている。
この遠心クラッチ38は、セカンダリーシャフト35側に連結された部分と、一次減速機構15a側に連結された部分とを備えており、双方をクラッチレバー16bの操作によって連結したり、その連結を解除したりすることができる。すなわち、クラッチレバー16bから手を放してバネの付勢力によってクラッチレバー16bをアクセルグリップ16aから遠ざけたときには、遠心クラッチ38は連結状態になり、クラッチレバー16bをアクセルグリップ16a側に付勢して近づけたときには、遠心クラッチ38の連結は解除された状態になる。そして、遠心クラッチ38の連結が解除されたときには、自動二輪車10は、停止状態またはアイドリング状態になる。
また、この自動二輪車10は、エンジン20の駆動によって作動することにより発電し、各部分に電気を供給するフライホイルマグネットからなる発電機25やエンジン20の各部分に冷却水を供給し、エンジン20の過熱を防止するラジエター26も備えている。さらに、この自動二輪車10は、スロットル開度センサ17、エンジン回転センサ27、セカンダリーシーブ回転センサ39および車速センサ18の各種のセンサと、モード切換スイッチ(図6,7参照)19とを備えている。
スロットル開度センサ17は、スロットルバルブ14の支持軸近傍に設けられてスロットルバルブ14の回転角であるスロットル開度を検出する。エンジン回転センサ27は、エンジン20のクランクシャフト23近傍に設けられてエンジン回転数を検出し、セカンダリーシーブ回転センサ39は、セカンダリーシャフト35近傍に設けられてセカンダリーシーブ32の回転数を検出する。また、車速センサ18は、後輪11bの駆動軸に設けられて自動二輪車10の走行速度を検出する。モード切換スイッチ19は、ハンドル16に設けられて運転者の操作により自動二輪車10の走行モードをノーマルモードとパワーモードとに切り換える。ここでは、モード切換スイッチ19を押してオン操作することによりパワーモードに設定され、モード切換スイッチ19を再度押してオフ操作することによりノーマルモードに設定されるとする。
つぎに、自動二輪車10が備える本発明のモータ制御装置としての変速制御装置40について、図6および図7を用いて説明する。この変速制御装置40は、CPU、ROM、RAM、タイマーなど(図示せず)を有するマイクロコンピュータによって構成されている。また、図6および図7では、説明の便宜上、変速制御装置40を機能ブロックで示しており、変速制御装置40は、無段変速機30の基本変速比を算出する基本変速比算出ブロック41と基本変速比の補正量を算出するための変速比補正量算出ブロック42とを備えている。また、変速比補正量算出ブロック42は、路面勾配算出部43、車重算出部44および変速比補正量算出部45で構成されている。
変速制御装置40は、前述したスロットル開度センサ17、車速センサ18、エンジン回転センサ27、セカンダリーシーブ回転センサ39およびモード切換スイッチ19に接続されている。そして、変速制御装置40は、各センサ17,18,27,39が検出し、信号として送られる検出値と、モード切換スイッチ19から送られるモード信号から基本変速比と変速比補正量とを算出し、その算出値に基づいてモータ34の駆動を制御する。このモータ34の駆動によって、プライマリーフィクスドシープ31aとプライマリースライディングシープ31bとの間隔が変更され、変速比がその間隔に応じたものに設定される。
また、図8に、基本変速比算出ブロック41における基本変速比の算出および変速比補正量算出ブロック42における変速比補正量の算出のための変速比制御プログラムを示しており、この変速比制御プログラムは、ROMに記憶されている。そして、CPUがこの変速比制御プログラムを所定時間ごとに繰り返し実行する。
変速比制御プログラムは、運転者がスタートスイッチ(図示せず)をオン操作することにより実行が開始される。まず、変速比制御プログラムは、ステップ100において開始され、ステップ102において基本変速比の算出が行われる。この基本変速比の算出は、基本変速比算出ブロック41において行われ、スロットル開度センサ17から送信されるスロットル開度の検出値と、車速センサ18から送信される車速の検出値とから求められる。
この基本変速比については、図9に示した変速比マップが予め作成されてROMに記憶されており、この変速比マップにおける車速とスロットル開度の値に基づいて基本変速比が決定される。図9に示したように、基本変速比は、車速の値が大でスロットル開度が小のときに小さな値になり、車速の値が小でスロットル開度が大のときに大きな値になるように設定されている。すなわち、この変速比マップは、高速、低スロットル開度でトップ側の変速比になり、低速、高スロットル開度でロー側の変速比になるように作成されている。
つぎに、ステップ104において、変速比補正量の算出が行われる。この変速比補正量の算出は、変速比補正量算出ブロック42において行われる。変速比補正量算出ブロック42では、スロットル開度の検出値と車速の検出値に加えて、エンジン回転センサ27から送信されるエンジン回転数の検出値と、セカンダリーシーブ回転センサ39から送信されるセカンダリーシーブ回転数の検出値と、モード切換スイッチ19から送られるモード信号とを用いて変速比補正量が求められる。すなわち、これらの各検出値から、後輪駆動力と走行抵抗を算出し、これらの差から後述する余裕駆動力(加速抵抗)を算出する。そして、余裕駆動力と路面勾配算出値を利用して、車両の加速、減速の判断結果に応じて、加速補正量または減速補正量を算出する。この変速比補正量の算出プログラムを図10に示している。
この変速比補正量算出プログラムは、まず、ステップ200において開始され、CPUは、ステップ202において、後輪駆動力の算出を行う。この後輪駆動力は、下記の数1に基づいて求められ、エンジン駆動力Fegと変速比ratioとの積が後輪駆動力Fdとなる。
Figure 2005273833
数1におけるエンジン駆動力Fegは、無段変速機30の変速比に関係なくエンジントルクが後輪11bの外周面で発生する場合の駆動力である。このエンジン駆動力Fegを、一次減速機構15aによる一次減速比と二次減速機構15bによる二次減速比を考慮した値とした駆動力マップを予め作成してROMに記憶しておく。この駆動力マップは、互いに直交する3つの各軸が、それぞれエンジン駆動力Fegの大小、スロットル開度の大小およびエンジン回転数の大小を示すように作成されたマップに構成しておく。そして、スロットル開度センサ17から送信されるスロットル開度の検出値と、エンジン回転センサ27から送信されるエンジン回転数の検出値とを参照値として、エンジン駆動力Fegを検索できるようにしておく。
また、変速比ratioについては、エンジン回転数のセカンダリーシーブ回転数による商の値とする。エンジン回転数は、エンジン回転センサ27から送信される検出値であり、セカンダリーシーブ回転数は、セカンダリーシーブ回転センサ39から送信される検出値である。また、遠心クラッチ38が連結された状態では、セカンダリーシーブ回転数と車速は比例関係にあるため、セカンダリーシーブ回転数に代えて、車速センサ18から送信される車速の検出値を変速比ratioの算出に用いてもよい。この数1にエンジン駆動力Fegと変速比ratioとの値を入れることによって、後輪駆動力Fdが求められる。
ついで、ステップ204において、走行抵抗の算出を行う。この走行抵抗は、前輪11aと後輪11bとが路面から受ける転がり抵抗と、自動二輪車10が空気から受ける空気抵抗と、路面の勾配によって自動二輪車10に生じる勾配抵抗の和とする。これらの各抵抗は、下記の数2〜4によって算出される。
Figure 2005273833
Figure 2005273833
Figure 2005273833
数2は、転がり抵抗Rrを算出するための数式であり、転がり抵抗Rrは、予め設定された転がり抵抗係数μrと、車両総重量Wと、重力加速度gとの積で求められる。数3は、空気抵抗Raを算出するための数式であり、空気抵抗Raは、予め設定された空気抵抗係数Cdと、自動二輪車10の前面投影面積Aと、空気密度ρと、車速vの2乗との積の二分の一の値となる。また、数4は、勾配抵抗Rgを算出するための数式であり、勾配抵抗Rgは、車両総重量Wと、重力加速度gと、sinθとの積で求められる。θは路面勾配である。
数2,4における車両総重量Wと路面勾配θとの値としては、前回のプログラム実行の際に算出した既得の算出値が用いられ、初期状態では「0」に設定されている。したがって、ここでは、転がり抵抗Rrと勾配抵抗Rgとは「0」になり、プログラムの実行が繰り返されるごとにその値は算出処理によって求められた算出値に更新される。また、前面投影面積Aは、自動二輪車10の形状や大きさによって予め求められる値である。そして、下記の数5に示したように、後輪駆動力Fdと走行抵抗の差を加速抵抗すなわち余裕駆動力Fsとして算出する。
Figure 2005273833
つぎに、ステップ206において、モード切換スイッチ19がオンに操作されているか否かを判定する。ここで、運転者によりモード切換スイッチ19がオンに操作されていれば、「YES」と判定してステップ208に進み、自動二輪車10の加減速状態の判定を行う。加減速の判定は、車速値の微分値として算出される加速度と、後輪駆動力Fdとの双方が正の値のときを加速状態とし、それ以外のときを減速状態として行う。加減速の判定に後輪駆動力Fdを用いるのは、自動二輪車10が下り勾配の路面を走行しているときに、スロットルバルブ14が全閉であるにもかかわらず加速している状態を加速状態として処理すると不都合であるためである。
自動二輪車10が加速される状態にあり、ステップ208において、「YES」と判定すると、プログラムは、ステップ210に進み、加速補正量の算出が行われる。この加速補正量(変速比補正量)の算出は、下記の数6を用いて行われる。
Figure 2005273833
数6において、勾配係数kθは、勾配に応じた補正量の変化量を規定する係数であり、加減速補正係数kαは、変速比補正量Δratioを実際の変速比の次元に合わすための係数である。また、θ0は、路面勾配θを補正するための値であり、選択されたモードに基づいて、ノーマルモードにおいては「0」、パワーモードにおいては、「0」以外の所定値に設定されている。この所定値θ0は、加速の場合と減速の場合とで異なる値に設定することもできる。変速比補正量Δratioは、余裕駆動力Fsと、路面勾配θと所定値θ0との和の値と、勾配係数kθと、加減速補正係数kαとの積として算出される。数6から算出されるこの場合の変速比補正量Δratioの概略図を図11に示している。図11では、余裕駆動力Fsを一定値としており、数6は、実線aで示した加速補正の状態になる。
図11に実線aで示したように、自動二輪車10が、勾配が−θ0よりも大きい路面を加速走行しているときには、変速比補正量Δratioが大きくなるように、すなわち変速比がロー側に補正される。このため、大きな加速度が得られ、自動二輪車10は、勾配が−θ0よりも大きい路面を余裕を持って走行できる。また、自動二輪車10が、勾配が−θ0よりも小さい路面を加速走行しているときには、変速比補正量Δratioが小さくなるように、すなわち変速比がトップ側に補正される。このため、急激な加速を抑制することができ、勾配が−θ0よりも小さい路面を安定して走行できる。
ステップ210において、加速補正量の算出処理が終了すると、プログラムはステップ212に進み一旦終了する。また、算出された変速比補正量Δratioの値は、図8に示したフローチャートのステップ104において変速比補正量として設定される。また、自動二輪車10が減速される状態にあり、ステップ208において、「NO」と判定すると、プログラムは、ステップ214に進み、減速補正量の算出が行われる。この減速補正量の算出は、下記の数7を用いて行われる。
Figure 2005273833
数7は、変速比補正量Δratioの値が負になり、加速時に用いた(θ+θ0)に代えて(θ−θ0)を用いていること以外は、数6と同一である。すなわち、加速時には、路面勾配θが大きくなるように補正するが、減速時には路面勾配θが小さくなるように補正する。これによって、全体がロー側に補正されるようになり加減速性能を重視したパワーモードが得られる。
数7から算出される変速比補正量Δratioの概略図を図11に破線bで示している。破線bで示したように、自動二輪車10が、勾配がθ0よりも大きい路面を減速走行しているときには、変速比補正量Δratioが小さくなるように、すなわち変速比がトップ側に補正される。このため、減速量を小さくできる。また、自動二輪車10が、勾配がθ0よりも小さい路面を減速走行しているときには、変速比補正量Δratioが大きくなるように、すなわち変速比がロー側に補正される。このため、エンジンブレーキを効果的に付与することができる。
また、減速時には、スロットルバルブ14が全閉にされている頻度が高いことから、余裕駆動力Fsを無視して、変速比補正量Δratioを下記の数8を用いて算出してもよい。
Figure 2005273833
さらに、数6〜8において、加減速補正係数kαは、エンジン回転数の関数としてもよい。ステップ214において、減速補正量の算出処理が終了すると、プログラムはステップ212に進み一旦終了する。また、算出された変速比補正量Δratioの値は、図8に示したフローチャートのステップ104において変速比補正量として設定される。
また、ステップ206において、モード切換スイッチ19が操作されてなくオフ状態であれば、プログラムは、ステップ216に進み、ノーマルモードにおける自動二輪車10の加減速状態の判定を行う。この加減速状態の判定は、前述したステップ208での処理と同様の処理によって行われる。ここで、自動二輪車10が加速される状態にあり、ステップ216において、「YES」と判定すると、プログラムは、ステップ218に進み、加速補正量の算出が行われる。この加速補正量の算出は数6を用いて行われる。
この場合、モード切換スイッチ19が操作されてなくノーマルモードであるため、所定値θ0は「0」になる。このため、変速比補正量Δratioは、余裕駆動力Fsと、路面勾配θと、勾配係数kθと、加減速補正係数kαとの積として算出される。この場合に、数6から算出される変速比補正量Δratioの概略図を図12に示している。図12では、数6から求められる変速比補正量Δratioは、実線cで示した加速補正の状態になる。
この場合、平坦路を境として、自動二輪車10が上り勾配の路面を加速走行しているときには、変速比補正量Δratioが大きくなるロー側に補正され、自動二輪車10が下り勾配の路面を加速走行しているときには、変速比補正量Δratioが小さくなるトップ側に補正される。そして、ステップ218において、加速補正量の算出処理が終了すると、プログラムはステップ212に進み一旦終了する。また、算出された変速比補正量Δratioの値は、図8に示したフローチャートのステップ104において変速比補正量として設定される。
また、自動二輪車10が減速される状態にあり、ステップ216において、「NO」と判定すると、プログラムは、ステップ220に進み、減速補正量の算出が行われる。この減速補正量の算出は数7を用いて行われる。この場合の数7から算出される変速比補正量Δratioの概略図を図12に破線dで示している。破線dで示したように、平坦路を境にして、自動二輪車10が上り勾配の路面を減速走行しているときには、変速比補正量Δratioが小さくなるトップ側に補正され、自動二輪車10が下り勾配の路面を減速走行しているときには、変速比補正量Δratioが大きくなるロー側に補正される。
そして、ステップ220において、減速補正量の算出処理が終了すると、プログラムはステップ212に進み一旦終了する。また、算出された変速比補正量Δratioの値は、図8に示したフローチャートのステップ104において変速比補正量として設定される。そして、図8に示したプログラムは、ステップ106に進み、変速比制御目標値の算出が行われる。この変速比制御目標値は、ステップ102において、基本変速比算出ブロック41が算出した基本変速比と、ステップ104において、変速比補正量算出ブロック42が算出した変速比補正量との和として算出される。
つぎに、プログラムはステップ108に進み、車両総重量W(車重)の算出が行われる。この車両総重量Wの算出は、車重算出部44によって、下記の数9を用いて行われる。
Figure 2005273833
この車両総重量Wは、時刻tと時刻t+1の微小時間間隔に計測される加速度α(車速センサ18が検出する車速vの微分値として算出)、空気抵抗Ra、後輪駆動力Fdから求めることができる。これらの値から数9を導出する過程を以下に示す。まず、走行抵抗の一つである加速抵抗Rac(余裕駆動力Fsと等しい)は下記の数10で表される。
Figure 2005273833
数10において、ΔWは、慣性相当重量であり、加速抵抗Racは、車両総重量Wと慣性相当重量ΔWとの和の値と加速度αとの積に等しい関係になる。また、加速抵抗Racは、余裕駆動力Fsと等しいため、数5の余裕駆動力Fsを加速抵抗Racに置き換えると、数5と数10とから自動二輪車10の加速度αは、下記の数11で表される。
Figure 2005273833
ここで、アクセルグリップ16aの操作によりスロットル開度が変化する際の時刻t、時刻t+1における自動二輪車10の加速度αから車両総重量Wを算出する。それぞれの時間において計測される加速度は、下記の数12、数13で表される。
Figure 2005273833
Figure 2005273833
数12,13において、変速比の関数である慣性相当重量ΔWは一定であると近似する。また、転がり抵抗Rrは時刻に依存しない値である。さらに、ここでは、時刻tと時刻t+1との間に路面勾配θが変化しないと仮定する。したがって、両時刻t、t+1間での加速度αの差分は下記の数14によって算出される。
Figure 2005273833
この数14から、車両総重量Wを算出するための数9が導き出される。そして、車両総重量Wは、駆動力、空気抵抗および加速度の所定時刻間の偏差を数9に代入することにより求められる。ここで算出された車両総重量Wの値は、信号として、変速比補正量算出部45に送信される。また、この車両総重量Wの値は、一旦RAMに記憶されて、つぎのプログラム実行の際に、ステップ104での転がり抵抗Rrと勾配抵抗Rgの算出に用いられる。また、この車両総重量Wの値は、プログラムを実行するごとに新たな算出値に更新される。
つぎに、プログラムは、ステップ110に進み、路面勾配算出部43によって路面勾配θの算出が行われる。この路面勾配θの算出は、ステップ108において算出した車両総重量Wの値を利用して、下記の数15を用いて算出される。
Figure 2005273833
ここで算出された路面勾配θの値は、信号として、変速比補正量算出部45に送信される。変速比補正量算出部45は、車重算出部44から送信される車両総重量Wの値と、路面勾配算出部43から送信される路面勾配θの値に加えて、モード切換スイッチ19から送信されるモード信号を考慮して前述した変速比補正量を算出する。また、この路面勾配θの値は、一旦RAMに記憶されて、つぎのプログラム実行の際に、ステップ104での勾配抵抗Rgの算出に用いられる。また、この車両総重量Wの値は、プログラムを実行するごとに新たな算出値に更新される。
ついで、プログラムは、ステップ112に進み、モータ34に、ステップ106で求めた変速比制御目標値を実現させるためのモータ制御量を出力する。このモータ制御量の出力は変速制御装置40がモータ34に対して行い、これによって、モータ34はモータ制御量に応じて駆動する。このモータ34の駆動により、プライマリースライディングシープ31bがプライマリーフィクスドシープ31aに対して進退し、その際に変化するVベルト33の位置に応じて無段階で変速比が変更される。
そして、プログラムは、ステップ114に進み、一旦終了する。この制御プログラムは繰り返し実行され、自動二輪車10は、路面の勾配等の走行状態に応じて変速比を制御され適正な運転状態を維持する。また、その際、モード切換スイッチ19の操作に応じて、ノーマルモードとパワーモードとに制御される。
このように本実施形態に係る自動二輪車における無段変速機の制御機構では、自動二輪車10が平坦路を走行する際の変速比を基本変速比として求め、この基本変速比と、路面勾配や車両重量等による走行状態の変化に応じて算出される変速比補正量とから無段変速機の変速比を決定するようにしている。また、その際、モード切換スイッチ19の操作により、ノーマルモードとパワーモードとに走行モード変更可能にしている。したがって、運転者によるアクセルグリップ16aの操作に応じた滑らかな変速制御が可能になる。
また、変速比補正量の算出が、転がり抵抗Rr、空気抵抗Raおよび勾配抵抗Rgからなる自動二輪車10に対する走行抵抗とモードの設定に基づいて行われ、算出された変速比補正量を基本変速比に加算した和の値を、無段変速機の変速比としている。そして、転がり抵抗Rr、空気抵抗Raおよび勾配抵抗Rgは、それぞれ各センサ17,18,27,39の検出値や計算によって求めることができる。
したがって、一般的に自動二輪車に備わっている各センサ17,18,27,39と簡単な演算処理を行える変速制御装置40と、モード切換スイッチ19とで無段変速機30の変速比を制御でき、電子制御スロットルや他のセンサ等の装置を新たに設置する必要がない。これによって、自動二輪車10の低コスト化が図れるとともに、変速制御装置40にかかる負荷が小さくなり、自動二輪車に適した無段変速機の制御機構が得られる。
また、変速制御装置40は、基本変速比算出ブロック41と変速比補正量算出ブロック42との算出値に応じてモータ34を駆動させて、プライマリーフィクスドシープ31aとプライマリースライディングシープ31bとの間隔を調節することにより変速比を制御する。これによって、トルクカム機構に似た変速動作を実現することができ、良好な加減速感が得られる。したがって、前述した自動二輪車10には、トルクカム37が設けられているが、このトルクカム37は省略することができる。
また、前述した実施形態では、車両総重量Wを、計算によって求めているが、この車両総重量Wは、車軸にセンサを設けてこのセンサの検出値から求めてもよい。また、既知の車両重量に搭乗者の体重、例えば一人の体重を60kgとして、運転者だけが乗っていれば60kg、運転者以外にもう一人乗っていれば120kgを加算して求めてもよい。さらに、本発明は、前述した実施形態に限定するものでなく、本発明の技術的範囲で適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、車重算出をステップ108において行い、路面勾配算出をステップ110において行っているが、これらの処理は、基本変速比算出や変速比補正量算出の前に行ってもよい。
本発明の一実施形態による無段変速機の制御機構を備えた自動二輪車を示す斜視図である。 図1に示した自動二輪車の要部を示す斜視図である。 自動二輪車の要部を示す概略構成図である。 ローギア状態の無段変速機を示しており、(a)は側面図、(b)はプライマリーシープの断面図、(c)はセカンダリーシープの断面図である。 トップギア状態の無段変速機を示しており、(a)は側面図、(b)はプライマリーシープの断面図、(c)はセカンダリーシープの断面図である。 変速制御装置を示すブロック図である。 変速制御装置が備える変速比補正量算出ブロックを示すブロック図である。 変速比制御プログラムを示すフローチャートである。 変速比マップを示すグラフである。 変速比補正量算出プログラムを示フローチャートである。 パワーモードにおける変速比補正量と路面勾配との関係を示すグラフである。 ノーマルモードにおける変速比補正量と路面勾配との関係を示すグラフである。
符号の説明
10…自動二輪車、14…スロットルバルブ、16a…アクセルグリップ、17…スロットル開度センサ、18…車速センサ、19…モード切換スイッチ、20…エンジン、27…エンジン回転センサ、30…無段変速機、31…プライマリーシーブ、31a…プライマリーフィクスドシープ、31b…プライマリースライディングシープ、32…セカンダリーシーブ、34…モータ、39…セカンダリーシーブ回転センサ、40…変速制御装置、41…基本変速比算出ブロック、42…変速比補正量算出ブロック、43…路面勾配算出部、44…車重算出部、45…変速比補正量算出部、Ra…空気抵抗、Rg…勾配抵抗、Rr…転がり抵抗。

Claims (6)

  1. 自動二輪車におけるエンジンの出力をプライマリーシープとセカンダリーシープとを備えた無段変速機を介して駆動輪に伝達する自動二輪車における無段変速機の制御機構であって、
    運転者による操作部材の操作に応じてスロットル開度が変位するスロットルバルブと、
    前記スロットルバルブのスロットル開度を検出するスロットル開度検出装置と、
    前記自動二輪車の走行速度を検出する車速検出装置と、
    前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出装置と、
    前記セカンダリーシープの回転数を検出するセカンダリーシープ回転数検出装置と、
    運転者の操作によって前記自動二輪車の走行モードを切り換えるモード切換スイッチと、
    前記スロットル開度検出装置および前記車速検出装置が検出する検出値から基本変速比を算出する基本変速比算出装置と、
    前記スロットル開度検出装置、前記車速検出装置、前記エンジン回転数検出装置および前記セカンダリーシープ回転数検出装置の各装置が検出する検出値と、前記モード切換スイッチの切換状態とから変速比補正量を算出する変速比補正量算出装置とを備え、
    前記基本変速比算出装置と前記変速比補正量算出装置との算出値によって、前記無段変速機の変速比を決定することを特徴とする自動二輪車における無段変速機の制御機構。
  2. 前記スロットル開度検出装置、前記車速検出装置、前記エンジン回転数検出装置および前記セカンダリーシープ回転数検出装置の各装置が検出する検出値から前記自動二輪車の走行抵抗を算出し、前記走行抵抗の値と、前記モード切換スイッチの切換状態とから変速比補正量を算出する請求項1に記載の自動二輪車における無段変速機の制御機構。
  3. 前記走行抵抗を、転がり抵抗と、空気抵抗と、勾配抵抗との和とした請求項2に記載の自動二輪車における無段変速機の制御機構。
  4. 前記モード切換スイッチが、走行モードをノーマルモードとパワーモードとに変更するものであり、前記モード切換スイッチの操作に応じて、前記変速比補正量の算出の際に所定の係数を算入することによりノーマルモードに対応する変速比補正量からパワーモードに対応する変速比補正量に変更する請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の自動二輪車における無段変速機の制御機構。
  5. 前記所定の係数を、前記勾配抵抗を算出するために求められる路面勾配の値を補正するための係数とした請求項4に記載の自動二輪車における無段変速機の制御機構。
  6. 前記プライマリーシープが、駆動軸を介して設置されたプライマリーフィクスドシープとプライマリースライディングシープとで構成され、前記無段変速機が、前記プライマリーフィクスドシープに対して前記プライマリースライディングシープを前記駆動軸の軸方向に移動させるモータと、前記モータの駆動を制御するためのモータ制御装置とを備えており、前記モータ制御装置が、前記基本変速比算出装置が算出した基本変速比と前記変速比補正量算出装置が算出した変速比補正量との算出値に応じて前記モータを駆動させることにより、前記無段変速機の変速比を制御する請求項1ないし5のうちのいずれか一つに記載の自動二輪車における無段変速機の制御機構。
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