JP2005273478A - ベーンロータリ型真空ポンプ - Google Patents

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Tatsuya Nakamoto
達也 中本
Kiyoshi Sawai
澤井  清
Noboru Iida
飯田  登
Atsushi Sakuta
作田  淳
Ryuichi Ono
竜一 大野
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】 ベーンならびにその対向する摺動面の摩耗量を抑制し、高信頼性を確保したベーンロータリ型空気ポンプを提供する。
【解決手段】 ベーン材質をショア硬さ80以上120以下の高硬度カーボンとすることで、ベーン8の先端と摺動するシリンダ5の内壁や、ベーン8の側面と摺動するロータ6に形成したスリット7の表面の摩耗を低減し、併せて高硬度カーボンの結晶構造に方向性を持たせてベーン8自身の摩耗を低減する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、空気圧縮機あるいは真空ポンプとして使用される回転式流体機械に関するものである。
従来、この種ベーンロータリ型ポンプとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがあった。図5は、特許文献1に記載された従来のベーンロータリ型ポンプの構成を示すものである。
図において、アルミニウム製のシリンダ100が、内壁に鉄系薄膜100aを設け、また、吸入ポート101、吐出ポート102が配設されている。ロータ103には、このロータ103に設けたスリット103a内をアルミニウム製のベーン104が摺動自在に動くように構成されている。アルミニウム製のベーン104は、その先端をアルミニウム製のシリンダ100の内壁に当接して摺動し、前記シリンダ100とフロントプレートならびにエンドプレート(ともに図示せず)の間で形成されるポンプ空間105を仕切ることになる。このような構成において、ロータ103に外部より動力が伝達され、ロータ103が回転し、吸入ポート101より冷媒を吸入して前記ポンプ空間105内で冷媒が圧縮されて吐出ポート102より吐出される。
特開平6−33883号公報
しかしながら、前記従来の構成では、機器の摺動部の潤滑性は、冷媒中に溶け込んだ潤滑油を利用し、アルミニウムシリンダ100の内壁とアルミニウムベーン104の先端の間ならびにアルミニウムベーン104の側面とロータ103のスリット103aの間の円滑な摺動を保っているが、潤滑油が欠乏していた場合、アルミニウムベーン104が前記部分で焼き付きを起こし、ポンプが運転不可能になる問題を有している。
本発明は、前記課題を解決し、長期の運転においても性能低下が少なく、静音で、長寿命なベーンロータリ型真空ポンプを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のベーンロータリ型真空ポンプは、ポンプ機構部と、前記ポンプ機構部と結合し、共通のシャフトを介して前記ポンプ機構部を駆動するモータ部とを備えたベーンロータリ型真空ポンプであって、前記ポンプ機構部は、シリンダと、前記シリンダ内で回転し、シリンダとの間でポンプ空間を形成するロータと、前記ロータのスリットに摺動自在に保持されて前記ポンプ空間を可変的に区画する板状のベーンと、前記シリンダの軸方向両端を閉塞するフロントプレートならびにエンドプレートとを有し、前記ベーンとロータのスリットの間をオイルレスとすると共に、前記ベーンの材質に自己潤滑性を有する高硬度カーボンもしくは炭素繊維強化プラスチックを用いたことを特徴とする。
また、ベーンを形成する高硬度カーボンの硬度を80〜120とすると好適である。
また、ベーンを形成する高硬度カーボンの結晶構造の積層方向をロータの回転中心軸方向に一致するようにすると、ベーンの先端部ならびに側面部の摩耗低減に好適である。
さらに、ベーンを形成する高硬度カーボンの結晶構造の積層をロータのスリットの対向する2面に平行に配列すると、ベーンの先端部の摩耗低減に一層好適である。
また、ベーンを形成する炭素繊維強化プラスチックの繊維の積層方向をロータの回転中心軸方向に一致させると、高硬度カーボンの場合同様の効果が得られる。
さらに、ベーンを形成する炭素繊維強化プラスチックの繊維の積層方向をロータのスリットの対向する2面に平行にしても同様の好適な結果が得られる。
ベーン材質に高硬度カーボンを用いることにより、潤滑油を必要とせず、ベーン先端とシリンダの内壁およびベーンの側面とロータのスリットの円滑な摺動が可能になり、ベーンの焼き付きによるポンプロックを防止できる。また、ベーンの摩耗量も抑えることができ、ベーンの長寿命化とベーンの摺動時に削られるカーボン量の抑制が可能となる。そして、ポンプから吐出される排気汚染を抑制することができるものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1、2は、本実施形態におけるベーンロータリ型真空ポンプの断面図を示すものである。図において、ベーンロータリ型真空ポンプ1は、ポンプ機構部2とモータ部3と冷却回路部4より構成されている。ポンプ機構部2は、材質をアルミニウムとする筒状内壁を有するシリンダ5と、円筒形状のロータ6と、このロータ6に形成されたスリット7に摺動自在に保持されたベーン8と、これらを挟み込んで、複数のポンプ空間9を形成するフロントプレート10ならびにエンドプレート11から構成されている。前記ベーン8は、結晶構造の方向性が規定された高硬度カーボンで構成され、この結晶構造の方向は、図3に示すように、ロータ6の回転中心軸の方向に配列されている。ロータ6は、回転中心軸としてのシャフト12に固定されており、このシャフト12がモータ部3の回転中心軸と共通してポンプ機構部2と連結している。ロータ6は、その中心軸とシリンダ5の中心軸とを偏心させた状態で配置され、このロータ6の中心軸方向に設けられた複数のスリット7にベーン8が摺動自在に保持されている。
モータ部3は、ステータ13と、モータロータ14と、モータケーシング15から構成されている。ステータ13は、前記ポンプ機構部2のエンドプレート11とモータケーシング15で挟み込まれ、その内部に、モータロータ14が配置されている。モータロータ14は、前記共通のシャフト12に固定され、シャフト12は、軸受16、17により軸支されている。前記軸受16、17は、グリス封入型のボールベアリングが用いられる。なお、シャフト12は、ポンプ機構部2ならびにモータ部3のシャフト部が一体に形成され、モータロータ14の回転が直接ロータ6に伝達される。
冷却回路部4は、冷却ファン18ならびにエアガイド19を備えており、冷却ファン18は、シャフト12のモータ部3側に取付けられており、冷却ファン18の周りをエアガイド19が包囲している。そして、モータケーシング15の軸方向端面には、複数の貫通孔15aが設けられ、冷却ファン18で形成した気流をモータ部3に導き、モータ部3を冷却している。
上記構成のベーンロータリ型真空ポンプ1において、モータ部3に通電され、モータロータ14が回転すると、この回転力がシャフト12に伝達され、ポンプ機構部2のロータ6も一体になって回転する。これに伴って、ベーン8がその先端をシリンダ5の内壁面に当接しながら、ロータ6のスリット7内を摺動することにより、ポンプ空間9が仕切られ、吸入、圧縮、吐出の各行程を実行してポンプ機能を果たしている。
次に、ベーン8の材質について述べる。すなわち、ベーン8は、ショア硬さ80以上120以下の高硬度カーボンが用いられる。これにより、ベーン8自身の摩耗量の低減が可能となる。同時に、上記カーボンは摺動する相手材であるアルミニウムより柔らかいため、ベーン8の先端と摺動するシリンダ5の内壁や、ベーン8の側面と摺動するロータ6のスリット7の表面の摩耗を低減し、これらの部分の表面粗さの悪化を抑制する。そして、摺動音の悪化を低減し、ベーン8の先端とシリンダ5の内面の密着性の低下による空気漏れを低減すると共に、摺動のよって発生したアルミニウム粉がベーン8に悪作用することで発生するベーン8の異常摩耗も防止できる。
また、本実施形態では、図3に示すように、ベーン8の高硬度カーボンの結晶構造の積層方向をロータ6の回転中心軸方向と一致させており、これにより、ベーン8のカーボン結晶の積層方向と垂直方向に摺動する面をベーン8の先端部およびベーン8の側面部とすることができ、これらの面の摩耗量をさらに低減でき、ベーン8の長寿命化とベーン8の摺動時に削られるカーボン量の抑制が可能となり、ポンプから吐出される排気汚染を抑制することが可能になる。
また、ベーン8の側面に働く圧力差によって、ベーン8を曲げようとする力が積層方向に沿って働くが、本実施形態では、この方向の曲げに強く、ベーン8の破損ならびにポンプロックの防止に寄与する。
図4は、本発明の他の実施形態を示し、この場合は、ベーン8の結晶構造の積層をロータ6のスリット7の対向する2面と平行に配列し、これにより、ベーン8のカーボン結晶の積層と垂直方向に摺動する面をベーン8の先端部とすることで、ベーン8の先端の摩耗量を低減できる。
また、ベーン8の側面に働く圧力差によって、ベーン8を曲げようとする力や、ベーン8の下面と上面に働く摩擦力の差によってベーン8を曲げようとする力がベーン8の積層方向に沿って働くが、本実施形態でも、この方向の曲げに強く、ベーン8の破損防止に効果を発揮する。
なお、本発明のいずれの実施形態においても、ベーン8の材質として、高硬度カーボンに代えて、炭素繊維強化プラスチックを用いても同様の効果が発揮される。
本発明にかかるベーンロータリ型真空ポンプは、ベーン材質として、高硬度カーボンもしくは炭素繊維強化プラスチックを使用することで潤滑油を必要とせず、さらにベーンの摩耗量を抑えることで排出される気体の汚染低減が必要な家庭用健康器具や医療用治療器具等の用途にも広く適用できる。
本発明の1実施形態におけるベーンロータリ型真空ポンプの断面図。 図1のA−A’断面図。 本発明の1実施形態におけるベーンロータリ型真空ポンプの要部斜視図。 本発明の他の実施形態におけるベーンロータリ型真空ポンプの要部斜視図。 従来のベーンロータリ型真空ポンプの断面図。
符号の説明
1 ベーンロータリ型空気ポンプ
2 ポンプ機構部
3 モータ部
4 シャフト
5 シリンダ
6 ロータ
7 スリット
8 ベーン
9 ポンプ空間
10 フロントプレート
11 エンドプレート

Claims (6)

  1. ポンプ機構部と、前記ポンプ機構部と結合し、共通のシャフトを介して前記ポンプ機構部を駆動するモータ部とを備えたベーンロータリ型真空ポンプであって、前記ポンプ機構部は、シリンダと、前記シリンダ内で回転し、シリンダとの間でポンプ空間を形成するロータと、前記ロータのスリットに摺動自在に保持されて前記ポンプ空間を可変的に区画する板状のベーンと、前記シリンダの軸方向両端を閉塞するフロントプレートならびにエンドプレートとを有し、前記ベーンとロータのスリットの間をオイルレスとすると共に、前記ベーンの材質に自己潤滑性を有する高硬度カーボンもしくは炭素繊維強化プラスチックを用いたことを特徴とするベーンロータリ型真空ポンプ。
  2. ベーンを形成する高硬度カーボンの硬度を80〜120としたことを特徴とする請求項1記載のベーンロータリ型真空ポンプ。
  3. ベーンを形成する高硬度カーボンの結晶構造の積層方向をロータの回転中心軸方向に一致させたことを特徴とする請求項1もしくは2記載のベーンロータリ型真空ポンプ。
  4. ベーンを形成する高硬度カーボンの結晶構造をロータのスリットの対向する2面に平行に配列したことを特徴とする請求項1もしくは2記載のベーンロータリ型真空ポンプ。
  5. ベーンを形成する炭素繊維強化プラスチックの繊維の積層方向をロータの回転中心軸方向に一致させたことを特徴とする請求項1記載のベーンロータリ型真空ポンプ。
  6. ベーンを形成する炭素繊維強化プラスチックの繊維の積層をロータのスリットの対向する2面に平行に配列したことを特徴とする請求項1記載のベーンロータリ型真空ポンプ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101865135A (zh) * 2010-07-21 2010-10-20 北京北仪创新真空技术有限责任公司 真空泵转子轴向浮动定位装置
CN102678560A (zh) * 2011-03-18 2012-09-19 Ulvac机工株式会社 油旋转真空泵
JP2016519702A (ja) * 2013-03-22 2016-07-07 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 乾式運転能力を有するポリマー摺動材料および乾式運転能力を有するメカニカルシール

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