JP2005272517A - ポリエステル樹脂用添加剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエステル樹脂の結晶化の抑制やコントロールをすることができる、ポリエステル樹脂用添加剤、並びに耐ブリード性に優れたポリエステル樹脂組成物の提供。
【解決手段】 式(I)で表される組成を有するアルミノシリケート粒子を含有するポリエステル樹脂用添加剤、並びにこの添加剤を含有するポリエステル樹脂組成物。
sM1 2O・tM2 xy・Al23・uSiO2・vRmn・wH2O (I)
(式中、M1はNa及び/又はK、M2はAg、Cu、Zn及び/又はFe、RはNa、K、Ca、Mg及び/又はH、QはCO3、SO4、NO3、OH及び/又はCl、0≦s≦3、0≦t≦3、0.5≦u≦6、0≦v≦2、w≧0、0≦x≦2、1≦y≦3、1≦m≦2、1≦n≦3である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂用添加剤、並びに該添加剤を含有するポリエステル樹脂組成物及びその製造法に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの石油を原料とする汎用樹脂は、軽量であることや良好な加工性、物性、および耐久性等の性質から、日用雑貨、家電製品、自動車部品、建築材料あるいは食品包装などの様々な分野に使用されている。しかしながらこれらの樹脂製品は、役目を終えて廃棄する段階で良好な耐久性が欠点となり、自然界における分解性に劣るため、生態系に影響を及ぼす可能性がある。
このような問題を解決するために、熱可塑性樹脂で生分解性を有するポリマーとして、ポリ乳酸や、乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステルおよびそれらのユニットを含むコポリマー等の生分解性ポリエステル樹脂が開発されている。
これらの生分解性を有するポリエステル樹脂は、土壌、海水中、あるいは動物の体内などに置かれた場合、自然に生息する微生物の産出する酵素の働きによって、数週間で分解が始まり、約1年から数年の間に消滅する。さらに分解物は、人体に無害な乳酸、二酸化炭素、水などになる。脂肪族ポリエステルの中でもポリ乳酸樹脂は、トウモロコシ、芋などからとれる糖分から発酵法によりL−乳酸が大量に作られ安価になってきたこと、原料が自然農作物なので総二酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また得られたポリマーの性能として剛性が強く透明性が良い等の特徴があるので、現在その利用が期待され、フラットヤーン、ネット、園芸資材、育苗用ポット等の農業土木資材分野、窓付き封筒、買い物袋、コンポストバッグ、文具、雑貨等に使用されている。しかしながら、ポリ乳酸の結晶化速度がポリオレフィン等に比べて著しく遅いため、結晶化不足による耐熱性低下や、成形効率の低下によるコストアップ等の問題があった。
また、ポリ乳酸の場合、脆く、硬く、可撓性に欠ける特性のために硬質成形品分野に限られ、フィルムなどに成形した場合は、柔軟性が不足したり、折り曲げたとき白化などの問題があり、軟質または半硬質分野に使用されていないのが現状である。軟質、半硬質分野に応用する技術として可塑剤を添加する方法が種々提案されている。例えばアセチルクエン酸トリブチル、ジグリセリンテトラアセテート等の可塑剤を添加する技術が開示されている。これら可塑剤をポリ乳酸に添加し、押出成形等でフィルムまたはシートを成形した場合、良好な柔軟性が得られるが、時間の経過、特にガラス転移点以上の温度で保存した場合にポリマーの結晶化が起こり、球晶が大きく成長して著しく透明性が低下する問題があった。一般的に結晶を制御する方法としてタルク等の結晶核剤を添加する方法(特許文献1、特許文献2)が提案されている。しかしながら、シートやフィルムの透明性を著しく低下させる問題は解決できていない。
特許第3334338号公報 特許第3410075号公報
本発明の課題は、ポリエステル樹脂、更には生分解性ポリエステル樹脂の結晶化度のコントロール、また可塑剤を添加した軟質化ポリエステル樹脂、更には軟質化生分解性ポリエステル樹脂の結晶化の抑制やコントロールをすることができる、ポリエステル樹脂用添加剤、並びに結晶化の抑制及び耐ブリード性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の課題は、特に乳酸系ポリエステル樹脂の透明性を保持する、また可塑剤を添加した軟質化乳酸系ポリエステル樹脂の柔軟性及び透明性を保持することができる添加剤、並びに柔軟性及び透明性に優れた乳酸系ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、式(I)で表される組成を有するアルミノシリケート粒子(以下アルミノシリケート粒子(I)という)を含有するポリエステル樹脂用添加剤、並びにこの添加剤とポリエステル樹脂とを含有するポリエステル樹脂組成物、更に、可塑剤を含有するポリエステル樹脂組成物を提供する。
sM1 2O・tM2 xy・Al23・uSiO2・vRmn・wH2O (I)
(式中、M1はNa及びKからなる群より選ばれる1種以上、M2はAg、Cu、Zn及びFeからなる群より選ばれる1種以上、RはNa、K、Ca、Mg及びHからなる群より選ばれる1種以上、QはCO3、SO4、NO3、OH及びClからなる群より選ばれる1種以上、sは0≦s≦3の数、tは0≦t≦3の数、uは0.5≦u≦6の数、vは0≦v≦2の数、wは0以上の数、xは0≦x≦2の数、yは1≦y≦3の数、mは1≦m≦2の数、nは1≦n≦3の数である。)
本発明の添加剤は、ポリエステル樹脂の結晶化の抑制やコントロールをすることができ、耐ブリード性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することができる。
更に本発明の添加剤は、特に乳酸系ポリエステル樹脂の透明性を保持することができ、また可塑剤を添加した軟質化乳酸系ポリエステル樹脂の柔軟性及び透明性を保持することができ、柔軟性及び透明性に優れた乳酸系ポリエステル樹脂組成物を提供することができる。
[添加剤]
本発明の添加剤は、アルミノシリケート粒子(I)を含有する。式(I)において、M1は樹脂の結晶化度のコントロール及び経済性の観点から、Naが好ましい。M2は抗菌性の観点から、Ag及びZnから選ばれる少なくとも1種が好ましい。Rは樹脂の結晶化度のコントロール及び経済性の観点から、Na及びHから選ばれる少なくとも1種が好ましい。Qは粒子の形態制御の容易性の観点から、CO3及びNO3から選ばれる少なくとも1種が好ましい。sはアルミノシリケート粒子(I)のアルカリ性低下(樹脂のアルカリ加水分解抑制)及び樹脂の結晶化度のコントロールの観点から、0≦s≦2が好ましく、0≦s≦1がより好ましい。tは抗菌性発現と経済性の観点から、0≦t≦2が好ましく、0≦t≦1がより好ましい。uは樹脂の結晶化度のコントロールの観点から、0.5≦u≦5が好ましく、1≦u≦4がより好ましく、1.5≦u≦3が特に好ましい。vはアルミノシリケート粒子(I)の形態制御の容易性の観点から、0≦v≦1.5が好ましく、0≦v≦1がより好ましく、0.1≦v≦1が特に好ましい。wは樹脂の加水分解抑制の観点から、0≦w≦5が好ましく、0≦w≦4がより好ましい。
アルミノシリケート粒子(I)の形態は、樹脂の結晶化度コントロールの観点から、針状、板状、柱状あるいはそれらの集合体等の形態が好ましく、特にウニ型カンクリナイト、テトラポッド型カンクリナイト等のカンクリナイト様の形態がより好ましい。
なお、本明細書において、針状の形態とは、太さが500nm以下で、長さが太さに対してアスペクト比で2.0以上のものをいい、板状の形態とは、厚さが300nm以下で、板状径が厚さに対してアスペクト比で2.0以上のものをいい、柱状の形態とは、太さが50nm以上で、長さが太さに対してアスペクト比で1.0以上2.0未満のものをいう。また、カンクリナイト様の形態とは、JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards) No.20−379、20−743、25−776、25−1499、25−1500、30−1170、31−1272、34−176、35−479、35−653、38−513、38−514、38−515及び45−1373からなる群より選ばれる1種以上のX線回折パターンを有するものをいう。また、X線回折パターンでは、d=0.365±0.015nmに主たるピークを有するものが好ましい。
アルミノシリケート粒子(I)は結晶質であっても、非晶質であっても良いが、樹脂の結晶化度コントロールの観点から、結晶質と非晶質の混合物が好ましい。アルミノシリケート粒子(I)は、樹脂の加水分解抑制の観点から、該粒子の1重量%水分散液のpHが4〜11であるものが好ましく、4〜10であるものがより好ましい。アルミノシリケート粒子(I)の吸油能は、該粒子の樹脂組成物中での分散性向上及び樹脂の結晶化度コントロールの観点から、50mL/100g以上が好ましく、100mL/100g以上がより好ましい。また、アルミノシリケート粒子(I)のBET比表面積は、該粒子の樹脂組成物中での分散性向上及び樹脂の結晶化度コントロールの観点から、5m2/g以上が好ましく、10m2/g以上がより好ましい。また、アルミノシリケート粒子(I)の凝集粒径は、該粒子の樹脂組成物中での分散性向上及び樹脂の結晶化度コントロールの観点から、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。なお、アルミノシリケート粒子(I)のpH、吸油能、比表面積、凝集粒径は後述の方法により求めることができる。
アルミノシリケート粒子(I)は、例えば、無水物の組成が式(II)で表される原料アルミノシリケート粒子(以下アルミノシリケート粒子(II)という)を、必要により酸処理することにより得ることができるが、酸処理することが好ましい。また、更に必要により、Ag、Cu、Zn及びFeからなる群より選ばれる1種以上の金属のイオンでイオン交換しても良い。
aM2O・Al23・bSiO2・cRmn (II)
(式中、MはNa及びKからなる群より選ばれる1種以上、aは0.5≦a≦3の数、bは0.5≦b≦6の数、cは0≦c≦2の数であり、R、Q、m及びnは前記の意味を示す。)
式(II)において、Mは、樹脂の結晶化度のコントロール及び経済性の観点から、Naが好ましい。aはアルミノシリケート粒子の製造コスト低下及びアルカリ性低下の観点から、0.5≦a≦2.5が好ましく、0.5≦a≦2がより好ましい。bは樹脂の結晶化度のコントロールの観点から、0.5≦b≦5が好ましく、1≦b≦4がより好ましく、1.5≦b≦3が更に好ましい。cはアルミノシリケート粒子の形態制御の容易性の観点から、0≦c≦1.5が好ましく、0≦c≦1がより好ましく、0.1≦c≦1が更に好ましい。
本発明に用いられる原料アルミノシリケート粒子(II)を製造する方法は特に限定されないが、例えば、アルミナ原料とシリカ原料とをCO3 2- 、SO4 2- 、NO3 -、Cl-等の存在下、アルカリ溶液中で反応させる方法等が挙げられる。アルミナ原料としては、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等が挙げられ、アルミン酸ナトリウムが好適である。シリカ原料としては、例えば、ケイ砂、ケイ石、水ガラス、ケイ酸ナトリウム、シリカゾル等が挙げられ、水ガラスが好適である。あるいは、アルミナ原料及びシリカ原料の両者の原料となるものとして、例えば、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、タルク等の粘土鉱物及びムライト等のアルミノケイ酸塩鉱物を用いてもよい。CO3 2-の原料としては、例えば、炭酸ガス、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、炭酸ナトリウムが好適である。SO4 2-の原料としては、例えば、硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムカリウム等が挙げられ、硫酸、硫酸ナトリウムが好適である。NO3 -の原料としては、例えば、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が挙げられ、硝酸、硝酸ナトリウムが好適である。Cl-の原料としては、例えば、塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられ、塩酸、塩化ナトリウムが好適である。
アルカリ溶液のアルカリとしては、例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の酸化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム等の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩等が使用できる。所望により、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等の炭酸水素塩等を使用してもよい。
原料アルミノシリケート粒子(II)は、前記の各種化合物を所定の割合で配合し混合して反応させることにより得ることができる。配合の割合については、得られる所望の原料アルミノシリケート粒子(II)の組成により、適宜決定される。
また、原料アルミノシリケート粒子(II)を製造する際の反応温度は、原料アルミノシリケート粒子(II)の結晶性を高め、形態を安定させる観点及び反応容器への化学的、耐圧的負荷を低減させる観点から、好ましくは15〜300℃、より好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
アルミノシリケート粒子(II)の酸処理に用いられる酸は、アルミノシリケート粒子のコスト低下の観点から、塩酸、硫酸、硝酸が好ましく、塩酸、硝酸が更に好ましい。酸の量は樹脂の結晶化度のコントロール及び経済性の観点から、原料アルミノシリケート粒子(II)100g当たり、0〜2000meqが好ましく、10〜1000meqがより好ましい。
本発明の添加剤は、アルミノシリケート粒子(I)以外に、アルミノシリケート粒子(I)の製造における未反応分等を含有することができる。
本発明の添加剤中の、アルミノシリケート粒子(I)の含有量は、本発明の目的を達成する観点から、好ましくは80重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上であり、さらに好ましくは95重量%以上である。
本発明の添加剤は、本発明の効果に加え、透明性保持に優れる観点からポリ乳酸樹脂用添加剤として好適に用いられる。
[ポリエステル樹脂]
本発明に係わるポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体との縮合反応により得られるポリエステル、ヒドロキシカルボン酸の縮合反応により得られるポリエステル、これらのポリエステルの混合物、及び混合物のエステル交換反応物等が好適である。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレートを含むポリアルキレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂;アジピン酸と1,4−ブタンジオールとのポリエステル等の脂肪族ポリエステル樹脂;ジオール成分の一部をポリエチレングリコール等のアルキレングリコールに置換したポリエーテルエステル樹脂;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の生分解性脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の生分解性脂肪族芳香族コポリエステルが挙げられる。これらは単独でも複数種を併用することもできる。これらの中では、生態系への影響や、本発明の効果を発現する観点から、生分解性樹脂が好ましい。
本発明で使用される生分解性樹脂とは、JIS K6953(ISO14855)「制御された好気的コンポスト条件の好気的かつ究極的な生分解度及び崩壊度試験」に基づいた生分解性を有するポリエステル樹脂である。
本発明で使用される生分解性樹脂は、自然界において微生物が関与して低分子化合物に分解される生分解性を有していればよく、特に限定されるものではない。例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の脂肪族芳香族コポリエステル;デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等の天然高分子と上記の脂肪族ポリエステルあるいは脂肪族芳香族コポリエステルとの混合物等が挙げられる。
これらのなかで加工性、経済性、大量に入手できることなどから、脂肪族ポリエステルが好ましく、物性の点からポリ乳酸樹脂がさらに好ましい。ここで、ポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位20〜100モル%とそれぞれの対掌体の乳酸単位0〜20モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるものである。これらのポリ乳酸樹脂は、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。但し、主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドが好ましい。
市販されている生分解性樹脂としては、例えば、デュポン社製、商品名バイオマックス;BASF社製、商品名Ecoflex;EastmanChemicals社製、商品名EasterBio;昭和高分子(株)製、商品名ビオノーレ;日本合成化学工業(株)製、商品名マタービー;三井化学(株)製、商品名レイシア;日本触媒(株)製、商品名ルナーレ;チッソ(株)製、商品名ノボン;カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、商品名Nature Works等が挙げられる。
これらの中では、好ましくはポリ乳酸樹脂(例えば三井化学(株)製、商品名レイシアH−100,H−280,H−400,H−440;カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、商品名Nature Works)、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル(例えば昭和高分子(株)製、商品名ビオノーレ)、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)等の脂肪族芳香族コポリエステル(デュポン社製、商品名バイオマックス)が挙げられる。
耐熱性の観点では、L−乳酸純度が高い結晶性生分解性樹脂が好ましく、延伸により配向結晶化させることが好ましい。結晶性生分解性樹脂としては、三井化学(株)製、レイシアH−100、H−400、H−440等が挙げられる。
[可塑剤]
本発明に用いられる可塑剤は特に限定されず、一般のポリエステル樹脂に用いられる可塑剤の他、以下の(1)〜(9)に示すものが挙げられる。
(1) 下記(a)成分と(b)成分とのエステル
(a) 一般式(III)
Figure 2005272517
(式中、X1は水素原子、水酸基、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子を示し、d及びeはそれぞれ1以上の整数で、d+e=5である。fは0〜3の整数を示す。d個のX1は同一でも異なっていてもよい。)
で表されるヒドロキシ芳香族カルボン酸、1分子中に1個以上の水酸基及びカルボキシル基を有するヒドロキシ縮合多環式芳香族カルボン酸、ヒドロキシ脂環族カルボン酸又はこれらカルボン酸の無水物あるいは炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(b)脂肪族アルコール、脂環族アルコール、芳香族アルコール、フェノール及びアルキルフェノールから選択されるヒドロキシ化合物、あるいはこれらヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、アルキレンオキサイド平均付加モル数0より大きく30以下)から選ばれる少なくとも1種。
(2) 下記(c)成分と(d)成分とのエステル
(c) 一般式(IV)
Figure 2005272517
(式中、X2は水素原子、メチル基又はハロゲン原子を示し、g及びhはそれぞれ1以上の整数で、g+h=6である。g個のX2は同一でも異なっていてもよい。)
で表される芳香族カルボン酸、1分子中に1個以上のカルボキシル基を有する縮合多環式芳香族カルボン酸、脂環族カルボン酸又はこれらカルボン酸の無水物あるいは炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(d)脂肪族モノアルコール、脂環族モノアルコール、芳香族モノアルコール、フェノール及びアルキルフェノールから選択されるモノヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、アルキレンオキサイド平均付加モル数1〜30)から選ばれる少なくとも1種。
(3) 芳香族スルホンアミドのN−アルキル化物(アルキル基の炭素数1〜22)
(4) 下記(e)成分と(f)成分とのエステル
(e) 一般式(V)
Figure 2005272517
(式中、X3は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子、iは1〜5の整数を示し、i個のX3は同一でも異なっていてもよい。)
で表される芳香族モノカルボン酸、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖脂肪族モノカルボン酸、縮合多環式芳香族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸あるいはこれらモノカルボン酸の低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)から選ばれる少なくとも1種。
(f)一般式(VI)
Figure 2005272517
(式中、Y及びZは炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を示し、同一でも異なっていてもよい。)
で表される脂肪族2価アルコール、1分子中に3個以上の水酸基を有する炭素数3〜30の多価アルコール、1分子中に2個の水酸基あるいはメチロール基を有する脂環族ジオールから選択されるヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド平均付加モル数0より大きく10以下)から選ばれる少なくとも1種。
(5) 脂肪族ジカルボン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、又は脂肪族多価アルコールと安息香酸とのエステル
(6) 下記(g)成分と(h)成分とのエステル
(g)一般式(VII)
Figure 2005272517
(式中、jは2〜6の整数を示す。)
で表される繰り返し構造単位(以下構造単位(VII)という)を含み、両末端が水酸基であるポリカーボネートジオール。
(h)一般式(VIII)
Figure 2005272517
(式中、X4は水素原子、水酸基、炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子を示し、kは1〜5の整数を示し、k個のX4は同一でも異なっていてもよい。)
で表される芳香族モノカルボン酸、縮合多環式芳香族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、1分子中に1個以上の水酸基を有するヒドロキシ縮合多環式芳香族モノカルボン酸、ヒドロキシ脂環族モノカルボン酸又はこれらカルボン酸の無水物あるいは炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(7) 下記(i)成分と(j)成分とのエステル
(i)シアノ基を少なくとも1個有するカルボン酸又はこれらカルボン酸の無水物あるいは炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(j)脂肪族アルコール、脂環族アルコール、芳香族アルコール、フェノール及びアルキルフェノールから選択されるヒドロキシ化合物、あるいはこれらヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、アルキレンオキサイドの平均付加モル数0より大きく30以下)から選ばれる少なくとも1種。
(8) 下記(k)成分と(l)成分とのエステル
(k)1分子中に3つ以上の水酸基を有する炭素数3以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種。
(l)炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖脂肪酸あるいはその炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(9) 下記(m)成分と、(n)成分とを、アセタール化反応又はトランスアセタール化反応させて得られる環状アセタール。
(m)3価以上の多価アルコールの少なくとも1種。
(n)一般式(IX)で表されるカルボニル化合物、及びこのカルボニル化合物と炭素数1〜6の低級アルコールとから得られるアセタールからなる群から選ばれる少なくとも1種。
Figure 2005272517
(式中、R1及びR2は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜21の直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキル基を示し、R1とR2は一緒になって炭素数2〜24のアルキレン基を形成してもよい。)。
上記(1)のエステルとしては、(a)成分がp−ヒドロキシ安息香酸又はサリチル酸であり、(b)成分が一般式(X)
3O(AO)n1H (X)
(式中、R3は水素原子、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖アルキル基又はアルケニル基、フェニル基、ベンジル基あるいは炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルフェニル基又はアルキルベンジル基であり、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、n1はアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0〜30の数であり、n1個のAは同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物、又は1分子中に3個以上の水酸基を有する炭素数3〜30の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド平均付加モル数0より大きく10以下)である組合せから得られるエステルが好ましい。
上記(2)のエステルとしては、(c)成分が安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの無水物あるいは炭素数1〜3の低級アルキルエステルであり、(d)成分が一般式(XI)
4O(AO)n2H (XI)
(式中、R4は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖アルキル基又はアルケニル基、フェニル基、ベンジル基あるいは炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルフェニル基であり、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、n2はアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す1〜30の数であり、n2個のAは同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物である組合せから得られるエステルが好ましい。
上記(3)の芳香族スルホンアミドのN−アルキル化物としては、一般式(XII)
Figure 2005272517
(式中、R5は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖アルキル基を示す。)
で表されるN−アルキルベンゼンスルホンアミドが好ましい。
上記(4)のエステルとしては、(e)成分が置換基として炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲン原子を有していても良い安息香酸あるいはその低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)であり、(f)成分がネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、ソルビトール、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールのエチレンオキサイド付加物(水酸基1個当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数0より大きく10以下)である組合せから得られるエステルが好ましい。
上記(5)のエステルとしては、ジプロピレングリコール安息香酸ジエステル、エチレングリコール安息香酸ジエステル、ネオペンチルグリコール安息香酸ジエステル、ポリオキシエチレンメチルエーテルアジピン酸ジエステル等が好ましい。
上記(6)のエステルとしては、(g)成分が平均分子量400〜3000のポリカーボネートジオール、特に異なる整数jを有する2種以上の構造単位(VII)を含み、1種の構造単位(VII)のモル分率が85%以下であるランダムあるいはブロックポリカーボネートジオールであり、(h)成分が、安息香酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸又はそれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルである組合せから得られるエステルが好ましい。
上記(7)のエステルとしては、(i)成分が、一般式(XIII)
Figure 2005272517
(式中、X5は水素原子、水酸基、炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子を示し、p、q及びrはそれぞれ1以上の整数で、p+q+r=6である。q個のX5は同一でも異なっていてもよい。)
で表されるシアノ芳香族カルボン酸、一般式(XIV)
NC−(CH2n3−COOH (XIV)
(式中、n3は1〜8の整数を示す。)
で表されるシアノ脂肪族カルボン酸又はこれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルであり、(j)成分が一般式(XV)
6O(AO)n4H (XV)
(式中、R6は水素原子、炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基又はアルケニル基、フェニル基、ベンジル基あるいは炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルフェニル基又はアルキルベンジル基であり、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、n4はアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0〜30の数であり、n4個のAは同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物である組合せから得られるエステルが好ましい。
上記(8)のエステルとしては、(k)成分が1分子中に3〜12個の水酸基を有する炭素数3〜30の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイドの炭素数が2〜4、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が多価アルコールの水酸基1個当たり0.2〜10)であり、(l)成分が炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖脂肪酸、特に酢酸である組合せから得られるエステルが好ましい。
上記(9)の環状アセタールとしては、(m)成分がジグリセリン、ポリグリセリン、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、糖アルコール等の4〜10価の多価アルコールであり、(n)成分が一般式(IX)において、R1が水素原子または炭素数1〜12のアルキル基で、R2が炭素数1〜12のアルキル基であるカルボニル化合物である組合せから得られる環状アセタールが好ましい。
このような本発明に用いられる可塑剤の中では、ポリエステル樹脂の柔軟性、透明性及び耐ブリード性に優れる観点から、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル等のヒドロキシ安息香酸エステル、グリセリンのエチレンオキサイド付加物の酢酸エステル等の多価アルコールエステル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステル、マレイン酸ジ−n−ブチル等のマレイン酸エステル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、リン酸トリクレジル等のアルキルリン酸エステル、トリメリット酸トリオクチル等のトリカルボン酸エステル、1,3,6−ヘキサトリカルボン酸とブチルジグリコールとのエステル等の多価カルボン酸のアルキルエーテルエステル、一般式(XVI)又は(XVII)
Figure 2005272517
(式中、R7及びR8は、R7が水素原子で、R8が炭素数3の分岐鎖アルキル基又は炭素数4〜21の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基であるか、あるいはR7が炭素数1〜21の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基で、R8が炭素数2〜21の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基である。)
で表されるで化合物や、ジグリセリン及びポリグリセリンから得られる環状アセタール等の環状アセタール等が好ましく、上記(1)のエステル、特にヒドロキシ安息香酸エステルがより好ましい。
[ポリエステル樹脂組成物]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、本発明の添加剤とポリエステル樹脂とを含有する。本発明の添加剤の含有量は、耐ブリード性の観点から、ポリエステル樹脂100重量部に対し、好ましくは0.1〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部、特に好ましくは0.3〜1重量部である。
本発明の添加剤は透明性保持に優れる観点から、透明性を有するポリ乳酸樹脂などに好適に用いられ、本発明のポリエステル樹脂組成物を得ることができる。そのポリエステル樹脂組成物の厚さ500μmにおけるヘイズ値は、好ましくは30%以下であり、より好ましくは25%以下である。尚、ここで本発明のポリエステル樹脂組成物のヘイズ値は、実施例に記載された測定法により測定される値である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、柔軟性を付与する観点から、更に可塑剤を含有することができる。ポリエステル樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、柔軟性及び耐ブリード性の観点から、ポリエステル樹脂100重量部に対し、好ましくは1〜70重量部、更に好ましくは3〜50重量部、特に好ましくは5〜45重量部である。
本発明の組成物は、上記以外に、滑剤等の他の成分を含有することができる。滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス類、ステアリン酸等の脂肪酸類、グリセロールエステル等の脂肪酸エステル類、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸類、モンタン酸ワックス等のエステルワックス類、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の芳香環を有するアニオン型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアルキレンオキサイド付加部分を有するアニオン型界面活性剤等が挙げられる。これら滑剤の含有量は、ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2重量部が更に好ましい。
本発明の組成物は、上記以外の他の成分として、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、難燃剤等を、本発明の目的達成を妨げない範囲で含有することができる。
本発明の組成物は、加工性が良好で、例えば130〜190℃等の低温で加工することができるため、カレンダー加工も可能であり、また可塑剤の分解も起こりにくい。本発明の組成物は、フィルムやシートに成形して、各種用途に用いることができる。
以下の例において、%及び部は、特記しない限り重量%及び重量部である。
製造例1
水酸化ナトリウム103gをイオン交換水1000mLに溶解し、さらにアルミン酸ナトリウム溶液(Na2O=19.8%、Al23=25.9%、H2O=54.3%)157gを混合した溶液に、水ガラス(Na2O=9.8%、SiO2=29.6%、H2O=60.6%)259gを1分間かけて投入し、100℃で2時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム32gをイオン交換水110mLに溶解させた溶液と硝酸(61%)124gを混合した溶液を1分間かけて追加添加し、さらに100℃で10時間反応させた。反応後、生成したアルミノシリケート粒子をろ過洗浄し、105℃で12時間乾燥して原料アルミノシリケート粒子の粉末を得た。得られた原料アルミノシリケート粒子の組成は、Na2O・Al23・2.5 SiO2・0.5 NaNO3・0.4 H2Oであった。得られた原料アルミノシリケート粒子は、柱状及び針状結晶が集合してテトラポッド状に発達した形態を有していた。得られた原料アルミノシリケート粒子について、粉末X線回折測定を行った結果、その回折パターンはJCPDS No.38−513に相当していた。
得られた原料アルミノシリケート粒子100gをイオン交換水900mLに懸濁し、100℃に保持した。攪拌下、硝酸(61%)を1mL/分の速度で6mL(79meq)滴下し、滴下終了後さらに1時間100℃で保持して酸処理を行った。その後、酸処理したアルミノシリケート粒子をろ過洗浄し、105℃で12時間乾燥してアルミノシリケート粒子Aの粉末を得た。得られたアルミノシリケート粒子Aの組成は、0.8 Na2O・Al23・2.5 SiO2・0.5 NaNO3・0.8 H2Oであった。得られたアルミノシリケート粒子Aの粒子形態はテトラポッド状であった。
製造例2
製造例1において酸処理に用いた硝酸の量を6mL(79meq)から40mL(524meq)に代えた以外は、製造例1と同様にしてアルミノシリケート粒子Bの粉末を得た。得られたアルミノシリケート粒子Bの組成は、Al23・2.5 SiO2・0.2 NaNO3・4.0 H2Oであった。得られたアルミノシリケート粒子Bの粒子形態はテトラポッド状であった。
製造例3
水酸化ナトリウム94gをイオン交換水1000mLに溶解し、さらに硝酸(61%)130gとアルミン酸ナトリウム溶液(Na2O=19.8%、Al23=25.9%、H2O=54.3%)124gを混合した溶液に、水ガラス(Na2O=9.8%、SiO2=29.6%、H2O=60.6%)127gを1分間かけて投入し、100℃で8時間反応させた。反応後、生成したアルミノシリケート粒子をろ過洗浄し、105℃で12時間乾燥してアルミノシリケート粒子Cの粉末を得た。得られたアルミノシリケート粒子Cの組成は、Na2O・Al23・2 SiO2・0.4 NaNO3・0.7 H2Oであった。
得られたアルミノシリケート粒子Cは、針状結晶が集合した多孔質な球形形態(ウニ状)を有していた。得られたアルミノシリケート粒子Cについて、粉末X線回折測定を行った結果、その回折パターンはJCPDS No.38−513に相当していた。
製造例1〜3で得られたアルミノシリケート粒子A〜C及び市販のアルミノシリケート粒子D(水澤化学工業(株)製、シルトンAMT−08L)の物性を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
<アルミノシリケート粒子の形態>
走査型電子顕微鏡(島津製作所製SUPERSCAN220)を用いて粒子形態を観察した。
<アルミノシリケート粒子のX線回折>
粉末X線回折装置(理学電機製RINT2500VPC、光源CuKα、管電圧40kV、管電流120mA)を用い、2θ=5〜70°の範囲を走査間隔0.01°、走査速度10°/min、発散縦制限スリット10mm、発散スリット1°、受光スリット0.3mm、散乱スリット自動の条件で室温にて測定した。
<アルミノシリケート粒子の1%水分散液のpH>
試料1gを99gのイオン交換水(25℃)に添加し、2分間攪拌後のスラリーのpHをpH電極(堀場製作所製9621−10D)を用いて25℃で測定した。
<アルミノシリケート粒子の吸油能>
JIS K6220の吸油量測定法に従い測定した。
<アルミノシリケート粒子のBET比表面積>
フローソープ(島津製作所製2300)を用い、試料0.1gとし、吸着ガスにはN2/He=30/70(容積比)混合ガスを用いて測定した。
<アルミノシリケート粒子の凝集粒径>
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用い、試料をイオン交換水(相対屈折率1.16)を分散媒として超音波で1分間分散させた後の粒度分布を測定し、得られたメジアン径を凝集粒径とした。
Figure 2005272517
実施例1〜4及び比較例1〜3
生分解性ポリエステル樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製、LACEA H−280)100部、表2に示す種類と量の可塑剤及び添加剤からなる組成物を、130℃の6インチロールにて15分間混練し、160℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。得られたテストピースを60℃に管理したオーブンに60時間静置して熱処理を行った。
この熱処理前及び熱処理後のテストピースについて、下記の方法で柔軟性、透明性、表面状態、及び結晶化度を評価した。これらの結果を表2に示す。
<柔軟性の評価方法>
テストピースについて、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御製 DVA−200)にて、周波数50Hz、昇温速度2℃/minの条件下で25℃における貯蔵弾性率(E’)を測定した。
<透明性の評価方法>
JIS−K7105規定の積分球式光線透過率測定装置(ヘイズメーター)を用い、テストピースのヘイズ値を測定した。数字の小さい方が透明性良好であることを示す。
<表面状態(ブリードの有無)>
熱処理前のテストピース(縦100mm×横100mm×厚さ0.5mm)については25℃の恒温室に1週間放置し、その表面における可塑剤のブリードの有無を肉眼で観察した。また、60℃、60時間熱処理後のテストピースについても同様の方法で評価した。
<結晶化度の評価方法>
60℃、60時間熱処理したテストピースを広角X線回折測定装置(理学電機製RINT2500VPC、光源CuKα、管電圧40kV、管電流120mA)を使用し、非晶及び結晶のピーク面積を解析して結晶化度を求めた。
Figure 2005272517

Claims (6)

  1. 式(I)で表される組成を有するアルミノシリケート粒子を含有するポリエステル樹脂用添加剤。
    sM1 2O・tM2 xy・Al23・uSiO2・vRmn・wH2O (I)
    (式中、M1はNa及びKからなる群より選ばれる1種以上、M2はAg、Cu、Zn及びFeからなる群より選ばれる1種以上、RはNa、K、Ca、Mg及びHからなる群より選ばれる1種以上、QはCO3、SO4、NO3、OH及びClからなる群より選ばれる1種以上、sは0≦s≦3の数、tは0≦t≦3の数、uは0.5≦u≦6の数、vは0≦v≦2の数、wは0以上の数、xは0≦x≦2の数、yは1≦y≦3の数、mは1≦m≦2の数、nは1≦n≦3の数である。)
  2. アルミノシリケート粒子が、無水物の組成が式(II)で表される原料アルミノシリケート粒子を酸処理して得られたものである、請求項1記載の添加剤。
    aM2O・Al23・bSiO2・cRmn (II)
    (式中、MはNa及びKからなる群より選ばれる1種以上、aは0.5≦a≦3の数、bは0.5≦b≦6の数、cは0≦c≦2の数であり、R、Q、m及びnは請求項1記載の意味を示す。)
  3. ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸樹脂である、請求項1又は2記載の添加剤。
  4. ポリエステル樹脂と、請求項1〜3いずれかに記載の添加剤を含有するポリエステル樹脂組成物。
  5. ポリエステル樹脂100重量部に対し、請求項1〜3いずれかに記載の添加剤の含有量が0.1〜2重量部である、請求項4記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 更に、可塑剤を含有する請求項4又は5記載のポリエステル樹脂組成物。
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