JP2005272409A - 新規なグリニャール試薬及びそれを用いた脂肪族アルキニルグリニャール化合物の製造方法 - Google Patents

新規なグリニャール試薬及びそれを用いた脂肪族アルキニルグリニャール化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 三重結合を有する化合物のグリニャール試薬、およびこれを用いた長鎖の脂肪族アルキニル化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 下記式(1)で示されるグリニャール試薬、および好ましくは有機溶媒中で、銅触媒の存在下、下記式(5)で示される臭素化合物を式(1)で示されるグリニャール試薬と反応させて得られる式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物を提供する。
MgC≡C(CHMgX …(1)
MgC≡C(CHn+6 …(2)
Br(CH …(5)
(式中、X、Xは独立してハロゲン原子を、Xは水素原子、BrまたはClを示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、香料、昆虫性フェロモン、各種農薬、医薬中間体等として有用な脂肪族アルキニルグリニャール化合物(アセチレン誘導体)の製造方法及びこれに用いるグリニャール試薬に関する。
アセチレン誘導体としての脂肪族アルキニル化合物は、それ自体が最終生産物として有用である他、大抵のオレフィン化合物の合成中間体として極めて有用である。例えば、アセチレン誘導体を用いて立体選択的反応を利用すれば、Z体、E体を作り分けることが可能である。このようなオレフィン化合物の合成は、場合によってはWittig反応を利用したオレフィン化合物の合成よりも優位な場合も多い。特に香料や昆虫性フェロモンは、そのほとんどが二重結合をもっており、そのZ/E比によって、種によって生物活性が異なることも少なくない。このため、Z体、E体の両方が合成できる中間体としての脂肪族アルキニル化合物は、利用価値の高い化学品である。
しかし、昆虫性フェロモンにおいては、E,Z−10,12−ヘキサデカジエノール、Z−11−テトラデセニルアセタートやZ−13−オクタデセナール、Z,Z−11,13−ヘキサデカジエナール等のように、官能基から二重結合までの炭素鎖が著しく長いものが少なくない。所定の位置に所望の二重結合を導入するには、Br(CHBr(式中、mは正の整数である。)のような、予めメチレン炭素鎖の長い2官能基を有する化合物を準備しておくか、或いは、不飽和結合を有する化合物の官能基を手がかりとし、順次複数の工程で炭素鎖を延長する必要がある。
ところが、前者では工業的に利用できるメチレン炭素鎖を有する2官能性の化合物は、1,3−ジブロモプロパン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1,6−ヘキサンジオール等をはじめとして−(CH−のmは3〜6であり、mが7以上の化合物は工業的にはほとんど利用できない。また、存在したとしても、それは試薬レベルで高価である。さらに、特にmが奇数のものは原料として天然に存在しない事が多いため、その純度が著しく低いことが多く、昆虫性フェロモンのような化合物に特異的な作用を示す化合物の製造には不向きである。
また、人為的に−(CH−のmが7以上の長いものを合成したとしても、ジオール体、ジハロゲン体ともに極めて高沸点のものとなり、単離精製が困難なものとなる。
更に、不飽和結合を有する化合物の官能基を手がかりにして炭素鎖を延長する場合は、官能基を炭素−炭素結合できるように活性化する場合、困難なことがある。例えばハロゲンをMgと反応させて活性種とするグリニャール反応の場合、不飽和結合が三重結合のときは、グリニャール試薬自体が調製できないことが多い。一方で、三重結合を予めオレフィンにしておけばグリニャール試薬の調製は可能となるが、その際二重結合の幾何構造の異性化が起こったり、共役ジエン化合物の場合、グリニャール試薬の調製中に重合を起こして著しく収率が低下したりすることがある。
このように、将来的にも安価な2官能性の長鎖メチレン化合物の入手が困難であると思われる状況である以上、官能基から不飽和結合までのメチレン炭素鎖の長い化合物の簡便で有効な製造方法が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、三重結合を有する化合物のグリニャール試薬、およびこれを用いた長鎖の脂肪族アルキニル化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行なった結果、従来一般に困難とされていた三重結合を有する化合物のグリニャール試薬を見出し、更にそれを使って脂肪族アルキニルグリニャール化合物を高収率、高純度で合成することができることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
具体的には、本発明によると、下記式(1)で示されるグリニャール試薬および下記式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物が提供される。
MgC≡C(CHMgX …(1)
MgC≡C(CHn+6 …(2)
(式中、X、Xは独立してはハロゲン原子を、Xは水素原子、BrまたはClを示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
また、本発明によると、別の側面において、有機溶媒中で、銅触媒の存在下、式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物とオルトエステル(RC(OR)とを反応させることを特徴とする下記式(6)で示されるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物の製造方法およびこれにより得られるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物に水素を付加し、さらに酸触媒の存在下、加水分解することを特徴とする下記式(7)で示されるハロゲン基含有アルケニルアルデヒド化合物の製造方法が提供される。
C(ORC≡C(CHn+6 …(6)
HCOCH=CH(CHn+6 …(7)
(式中、Rは水素原子を示し、Rは独立してメチル基またはエチル基を示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
また、本発明によると、別の側面において、式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物を加水分解することを特徴とする下記式(8)で示される脂肪族アルキニル化合物の製造方法が提供される。
HC≡C(CHn+6 …(8)
以下に詳細に説明するように、本発明により、従来一般に困難とされていた三重結合を有する化合物のグリニャール試薬が得られ、更にこれを用いて長鎖の脂肪族アルキニル化合物を高収率、高純度で製造することができる。
本発明に係るグリニャール試薬は、下記式(1)で示される。
MgC≡C(CHMgX …(1)
(式中、X、Xは独立してハロゲン原子を示す。Xのハロゲン原子としては、Cl、Br、Iであり、好ましくはClまたはBrである。Xのハロゲン原子としては、Cl、Br、Iであり、好ましくはClまたはBrである。)
このグリニャール試薬は、好ましくは、有機溶媒中で、下記式(3)で示される8−ハロ−1−オクチンを下記式(4)で示されるグリニャール試薬と反応させ、さらに金属マグネシウムと反応させることにより調製することができる。
HC≡C(CH …(3)
RMgX …(4)
(式中、Rはアルキル基を示す。)
上記8−ハロ−1−オクチンとしては、8−クロロ−1−オクチン、8−ブロモ−1−オクチン等が挙げられ、市販の安価な1,6−ジブロモヘキサンや1−ブロモ−6−クロロヘキサン等を液体アンモニア中でアセチレンと反応させることにより容易に調製できる。
一般に、この8−ハロ−1−オクチンはそのハロゲンを利用しても、そのままグリニャール試薬へは導き得ない。理由は、アセチレンプロトンがグリニャール試薬と反応してしまうためである。従って、アセチレンプロトンには、グリニャール試薬に対して不活性な何らかの保護が必要となる。
そこで、我々は、例えば、式(4)で示されるグリニャール試薬をアセチレンプロトンと反応させることで、アセチレンプロトンをグリニャール試薬で保護した式(9)で示される化合物を得ることとした。
MgC≡C(CH …(9)
このようにグリニャール基で保護しておけば、更にそれを手がかりにして炭素鎖を構築できる。一方、単なる保護基では反応後の脱保護工程が必要になる。
このアセチレンプロトンをグリニャール試薬で保護する反応は、以下のように表される。
RMgX+HC≡C(CH
→ XMgC≡C(CH + RH
上記アセチレンプロトンの保護に用いるグリニャール試薬は、Rが好ましくは炭素数1または2のアルキル基であり、例えば、メチルマグネシウムクロリドやエチルマグネシウムブロミド等が挙げられる。このグリニャール試薬の添加量は、1モルの8−ハロ−1−オクチンに対して、1.0〜1.2モルが好ましく、1モルが特に好ましい。また、このときの反応温度は、特に限定されるものではないが、40〜60℃が特に好ましい。また、反応溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル等のエーテル系の有機溶媒が好ましい。溶媒の量は、1モルの8−ハロ−1−オクチンに対して、200〜400gが好ましい。この反応は、通常、窒素や不活性ガス雰囲気下で行われる。
反応により、Rがメチル基の場合にはメタンが、Rがエチル基の場合にはエタンがそれぞれガスとして発生し、アセチレン基がグリニャール化される。
更に、以下の式のように、別の反応器に同じくエーテル系の有機溶媒と金属マグネシウムを仕込み、上記XMgC≡C(CHを滴下することにより、式(9)で示された化合物は、式(1)で示される新規なグリニャール試薬へ容易に導くことができる。好ましくは、ヨウ素等を反応開始剤として用いてもよい。
MgC≡C(CH+Mg
→ XMgC≡C(CHMgX
なお、このグリニャール試薬の生成反応は、以下の条件で行うことが好ましい。すなわち、この反応に用いる溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒が好ましい。溶媒の量は、マグネシウム1モルあたり好ましくは250〜500gである。また、マグネシウムの量は、8−ハロ−1−オクチン1モルあたり好ましくは1.05〜1.15モルである。また、この反応の反応温度は、テトラヒドロフランの場合、好ましくは60〜80℃、特に好ましくは68〜80℃でTHFが還流する条件で行うことが好ましく、ジエチルエーテルの場合、35〜40℃が好ましい。この反応は、通常、窒素や不活性ガス雰囲気下で行われる。
上記式(1)で表わされるグリニャール試薬がその構造式通り調製されているか否かは、例えばこのグリニャール試薬をTHF中、銅触媒存在下で1−ブロモ−3−クロロプロパンと反応させた後、加水分解して、HC≡C(CHClが生成している事により確認できる。
次いで、有機溶媒中で、銅触媒の存在下、下記式(5)で示される臭素化合物を式(1)で示されるグリニャール試薬と反応させることで、式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物を合成することができる。
Br(CH …(5)
MgC≡C(CHn+6 …(2)
(式中、Xは水素原子、BrまたはClを示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
すなわち、溶媒中、銅触媒存在下で、式(5)で表わされる臭素化合物に上記グリニャール試薬(1)を滴下することにより、メチレン鎖が延長する形でシスカップリング反応が進行し、式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物が生成される。
この反応は、以下の条件で行うと好ましい。すなわち、溶媒は、THFやエーテル等のエーテル系有機溶媒が好ましい。溶媒の量は、式(1)で示されるグリニャール試薬1モルあたり好ましくは100〜400gである。また、この式(5)で示される臭素化合物の量は、式(1)で示されるグリニャール試薬1モル当たり、好ましくは1.1〜1.3モルである。この反応の際のグリニャールクロスカップリング反応の銅触媒として、CuCl、CuBr、CuI等の無水ハロゲン化第一銅、CuCl,CuBr等の無水ハロゲン化第二銅、LiCuCl等の銅−リチウム化合物を用いると好ましい。銅触媒の量は、式(1)で示されるグリニャール試薬1モル当たり、好ましくは0.2〜10.0g、更に好ましくは0.5〜5gである。反応温度は0〜40℃、特に0〜20℃が好ましい。この反応は、通常、窒素や不活性ガス雰囲気下で行われる。
上記式(1)で示されるグリニャール試薬には、1分子中に2箇所のグリニャール試薬としての反応基が存在するが、上記反応条件ではアセチレン炭素側のグリニャール試薬と臭素化合物とのカップリング反応速度は著しく遅く、事実上反応しない。従って、結果としてメチレン鎖が延長する方向でのみ、グリニャール反応によるカップリング反応は進行する。
反応後はそのまま加水分解すれば,末端にエチニル基(アセチレン基)のついた長鎖アルキニル化合物を得ることができる。すなわち、式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物を加水分解することにより、下記式(8)で示される脂肪族アルキニル化合物を合成することができる。
HC≡C(CHn+6 …(8)
(式中、Xは水素原子、BrまたはClを示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
この反応は、以下の条件で行うと好ましい。すなわち、式(1)に示されるグリニャール試薬1モル当たり20〜60gの塩化アンモニウム、純水250〜500gを50℃を超えないように滴下することにより、反応は進行する。
また、上記反応により得られた式(8)で示される脂肪族アルキニル化合物は、公知の方法、例えば、有機相により抽出し、これを減圧下に蒸留することで精製することができる。上記方法によると、式(8)で示される脂肪族アルキニル化合物を例えばおよそ70%の収率で合成することができる。
また、カップリング反応後、加水分解することなく、残ったアセチレン側のグリニャール試薬を手がかりにして、次の反応に進むことも可能である。例えば、本発明を利用することにより、メチレン炭素鎖が6以上であって、2官能基を有するα、ω−2官能基性の原料が安価に存在しなくても、官能基から長いメチレン鎖を有する昆虫性フェロモン等の合成をすることができる。
すなわち、有機溶媒中で、式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物とオルトエステル(RC(OR)とを反応させることで、下記式(6)で示されるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物を合成することができる。
C(ORC≡C(CHn+6 …(6)
(式中、Rは水素原子を示し、Rは独立してメチル基またはエチル基を示す。)
この反応は、以下の条件で行うと好ましい。すなわち、溶媒は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素やTHF、エーテル等のエーテル系有機溶媒が好ましい。溶媒の量は、式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物1モルあたり好ましくは300〜700gである。オルトエステルの具体例としては、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチルが好適である。この有機酸のオルトエステルの量は、式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物1モル当たり、好ましくは1.0〜1.3モルである。この反応は、通常、窒素や不活性ガス雰囲気下で行われる。
上記反応により得られた式(6)で示されるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物は、公知の方法、例えば、有機相により抽出し、これを減圧下に蒸留することで精製することができる。上記方法によると、式(6)で示されるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物を例えばおよそ60%の収率で合成することができる。
さらに、式(6)で示されるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物においてRが水素原子である場合、水素添加反応を行い、さらに酸触媒の存在下、加水分解することで、下記式(7)で示されるハロゲン基含有アルケニルアルデヒド化合物を合成することができる。
HCOCH=CH(CHn+6 …(7)
この水素添加反応は、以下の条件で行うと好ましい。すなわち、溶媒は、エタノール等のアルコール系溶媒が好ましい。溶媒の量は、式(6)で示されるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物1モルあたり好ましくは200〜500gである。触媒として、酢酸ニッケル触媒、Pd−C触媒等を用いると好ましい。また、触媒の量は、式(6)で示されるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物1モルあたり5〜50gが好ましい。フィードする水素の量は、1.0〜5.0kg/cmが好ましい。
さらに、この反応液に、塩酸水、蟻酸、シュウ酸等の有機酸等の酸触媒を加え、加水分解反応を行う。酸触媒の量は、式(6)で示されるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物1モルあたり好ましくは0.01〜1.5モルである。
上記反応により得られた式(7)で示されるハロゲン基含有アルケニルアルデヒド化合物は、公知の方法、例えば、有機相により抽出し、これをカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。上記方法によると、式(7)で示されるハロゲン基含有アルケニルアルデヒド化合物を例えばおよそ80%の収率で合成することができる。
上記した合成スキームを以下にまとめる。
Figure 2005272409
例えば、本発明をカイコガの性フェロモンであるE,Z−10,12−ヘキサデカジエン−1−オール(ボンビコール)の合成の中間体である12−クロロ−2−ドデシナールジエチルアセタールに適用すると、合成スキーム中、X、XおよびXはCl、RはCH、nは3であり、オルトエステルとして、オルト蟻酸エチル(RはH、RはC)を用いる。
このとき、式(3)で示される8−ハロ−1−オクチンから最終生成物である式(7)で示される12−クロロ−2−ドデシナールジエチルアセタールの合成は、各合成ステップごとに生成物を単離して行ってもよいが、これらの生成物を分離することなく合成を行うと、分離操作が必要なく、非常に簡単な工程で12−クロロ−2−ドデシナールジエチルアセタールを合成することができる。
以下に、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
〔8−クロロ−1−オクチン−1−イルマグネシウムクロリドの合成〕
窒素雰囲気の反応器に、8−クロロ−1−オクチン(144.5g:1モル)と無水THF(200g)を加え、30℃にてメチルマグネシウムクロリド−THF溶液(330g:1モル相当)を、50℃を超えないように滴下した。滴下後、60℃で一時間撹拌したのち、1Lのフラスコに抜き出した。
次に、別の反応器に無水THF(100g)、金属マグネシウム(25g:1.029モル)、ヨウ素0.1gを加え、上記の抜き出し液を30g滴下し、内温を68℃にして反応を開始させた。その後、内温が70℃以下に下がらないようにフラスコ液を滴下し反応を進行させ、滴下終了後、2時間熟成させグリニャール試薬、8−クロロ−1−オクチン−1−イルマグネシウムクロリドを調製した。
[実施例2]
〔8−ブロモ−1−オクチン−1−イルマグネシウムクロリドの合成〕
8−クロロ−1−オクチンの代わりに8−ブロモ−1−オクチン(169g:1モル)を用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、8−ブロモ−1−オクチン−1−イルマグネシウムクロリドのTHF溶液を調製した。
[実施例3]
〔11−クロロ−1−ウンデシンの合成〕
窒素雰囲気の反応器に無水THF(100g)、CuI(1g)、1−ブロモ−3−クロロプロパン(157.5g:1モル)を加え、水冷しなから10〜30℃で実施例1の1,8−ジクロロマグネシウム−1−オクチンを滴下した。
滴下終了後、20℃で1時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液400gと5重量%塩酸水200gを滴下して加水分解した。分液漏斗で有機相を分離した後、ロータリエバポレーターで減圧条件下、THFを除去した濃縮液を蒸留したところ、11−クロロ−1−ウンデシン(純分127g;収率68%、bp=120〜125℃/400Pa)が得られた。
[実施例4]
〔12−クロロ−2−ドデシナールジエチルアセタール〕
実施例1と同じ方法で、8−クロロ−1−オクチン−1−イルマグネシウムクロリドを調製した。
次いで、窒素雰囲気の反応器に無水THF(100g)、CuI(1g)、1−ブロモ−3−クロロプロパン(157.5g;1モル)を加え、水冷しながら10〜30℃で実施例1の8−クロロ−1−オクチン−1−イルマグネシウムクロリドを滴下した。
滴下終了後、20℃で1時間撹拌した後、トルエン250g添加し、内温を90〜95℃に昇温した。そこヘオルト蟻酸エチル(HC(OC))(151g:1モル)を速い速度で滴下し、そのまま93〜96℃で7時間撹拌した。
反応後、冷却して30℃を超えないようにして,反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけて分液し、その有機相を取り出した。有機相中のTHF−トルエンをロータリエバポレーターで減圧下除去し、濃縮物を蒸留したところ、12−クロロ−2−ドデシナールジエチルアセタール178g(収率61.7%)が得られた。
[応用例]
〔カイコガ性フェロモンの中間体12−クロロ−(E)−2−ドデセナール〕
オートクレーブに実施例4の12−クロロ−2−ドデシナールジエチルアセタール178gと酢酸ニッケルを水素化ホウ素ナトリウムで還元したP−2ニッケル触媒のエタノール溶液(酢酸ニッケル2g/エタノール100g相当)を加え、水素を5kg/cmでフィードし、水素添加反応を行った。GC分析で反応の完結を確認した後、触媒を濾過して除去し、減圧下エタノールを完全に濃縮除去した。濃縮物にヘキサン200ml入れ、20重量%塩酸水200mlを入れ、30分間撹拌した後、ヘキサン層を取り出し充分水洗してヘキサンをロータリエバポレーターで除去して、12−クロロ−(E)−2−ドデセナール(純分112g;収率83、8%)が得られた。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で示されるグリニャール試薬。
    MgC≡C(CHMgX …(1)
    (式中、X、Xは独立してハロゲン原子を示す。)
  2. 下記式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物。
    MgC≡C(CHn+6 …(2)
    (式中、Xはハロゲン原子を、Xは水素原子、BrまたはClを示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
  3. 有機溶媒中で、下記式(3)で示される8−ハロ−1−オクチンを下記式(4)で示されるグリニャール試薬と反応させ、さらに金属マグネシウムと反応させて得られる請求項1に記載のグリニャール試薬。
    HC≡C(CH …(3)
    RMgX …(4)
    (式中、Rはアルキル基を、X、Xは独立してハロゲン原子を示す。)
  4. 有機溶媒中で、銅触媒の存在下、下記式(5)で示される臭素化合物を下記式(1)で示されるグリニャール試薬と反応させて得られる請求項2に記載の脂肪族アルキニルグリニャール化合物。
    MgC≡C(CHMgX …(1)
    Br(CH …(5)
    (式中、X、Xは独立してハロゲン原子を示し、Xは水素原子、BrまたはClを示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
  5. 有機溶媒中で、下記式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物とオルトエステル(RC(OR)とを反応させることを特徴とする下記式(6)で示されるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物の製造方法。
    MgC≡C(CHn+6 …(2)
    C(ORC≡C(CHn+6 …(6)
    (式中、Xはハロゲン原子を、Xは水素原子、BrまたはClを示し、Rは水素原子またはアルキル基を示し、Rは独立してアルキル基を示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
  6. 請求項5に記載の製造方法で得られるハロゲン基含有アルケニルアセタール化合物に水素を付加し、さらに酸触媒の存在下、加水分解することを特徴とする下記式(7)で示されるハロゲン基含有アルケニルアルデヒド化合物の製造方法。
    HCOCH=CH(CHn+6 …(7)
    (式中、Xは水素原子、BrまたはClを示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
  7. 下記式(2)で示される脂肪族アルキニルグリニャール化合物を加水分解することを特徴とする下記式(8)で示される脂肪族アルキニル化合物の製造方法。
    MgC≡C(CHn+6 …(2)
    HC≡C(CHn+6 …(8)
    (式中、Xはハロゲン原子を、Xは水素原子、BrまたはClを示し、nは炭素数3〜10の整数を示す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2789602A1 (en) 2013-04-12 2014-10-15 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd Omega-halo-2-alkynal, method for producing same, and method for producing conjugated Z-alken-yn-yl acetate using same

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