JP2005271976A - 耐突き刺し性に優れた包装材および包装体と真空断熱材 - Google Patents
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Abstract
【課題】突起を有する内容物を収納しても、容易に貫通孔が発生しにくい包装材および包装体と真空断熱材を提供することである。
【解決手段】外層2と熱接着層3bを含む内層3を接着剤層4及び弱接着層5を介して積層し、包装材1を形成したのである。この包装材1を用いて突起を有する内容物を収納した袋状の包装体を形成する。また、包装体内部を減圧密封すると真空断熱材となる。いずれも、内容物の突起が内層3を突き破っても、内層3と外層2が弱接着層5で剥離し、突起が外層2を貫通するのを防止する。
【選択図】図1
【解決手段】外層2と熱接着層3bを含む内層3を接着剤層4及び弱接着層5を介して積層し、包装材1を形成したのである。この包装材1を用いて突起を有する内容物を収納した袋状の包装体を形成する。また、包装体内部を減圧密封すると真空断熱材となる。いずれも、内容物の突起が内層3を突き破っても、内層3と外層2が弱接着層5で剥離し、突起が外層2を貫通するのを防止する。
【選択図】図1
Description
この発明は、特に突起を有する内容物を収納する耐突き刺し性に優れた包装材および包装体と真空断熱材に関する。
突起を有する内容物を収納するための包装材は、従来から種々開発されているが、内容物の充填中や充填後に内容物の突起により包装材に穴が開くことが少なくない。内容物が食品の場合には、衛生上好ましいことではなく、また内容物が無機質繊維または無機質粒子等である真空断熱材の場合には、真空度が低下し、十分な断熱性能が維持できない。そこで、包装材に使用するアルミニウム箔の厚みを100μm以上にしたり、比較的突き刺し強度の高いナイロンフィルムを多層にして外層に用いることによって、耐突き刺し性を向上させることが試みられているが、コストアップになる上、十分な品質性能を発揮し難い。包装材に用いるアルミニウム箔を100μm以上にした場合、アルミニウム箔の切断時にカエリ(バリ)が生じ、隣接する他の樹脂フィルムを傷付けるおそれが大きくなる上、アルミニウム箔の切断辺や角部の剛性が高く、この部分が他の樹脂フィルムと接触した場合も、傷付けるおそれが大きい。一方、外層にナイロンフィルムを多層にして用いた場合、包装体の外方からの突き刺しに対してはある程度効果があるが、包装体の内方からの突き刺しに対しては殆ど効果が無い。ナイロンフィルムを多層にして包装体の内層に用いることも考えられるが、ナイロン自体のガスバリアー性能が低く、ナイロンフィルムの断面等からのガスの侵入が十分に阻止できない為、内容物の劣化や真空度の低下を来たす問題がある。
そこで、この発明の課題は、突起を有する内容物を収納しても、容易に貫通孔が発生しにくい包装材および包装体と真空断熱材を提供することである。
上記課題を解決するため、この発明の包装材は、少なくとも樹脂フィルムを含む外層と、少なくともガスバリアー層と熱接着層を含む内層からなり、外層と内層の剥離強度が0.3N/15mm幅〜2.5N/15mm幅としたのである。ガスバリアー層は、厚さ5〜50μmのアルミニウム箔であるのが好ましい。また、外層と内層との間に介在する接着層は、2層からなり、1層が内層または外層の接着面全面に設けた接着剤層、他の1層が外層または内層の接着面に部分的または全面に設けた弱接着層からなるのが好ましい。前記弱接着層がワックス、エポキシ系コート剤、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むのが好ましい。さらに、包装材を袋状に成形し、突起を有する内容物を収納した包装体とすればよい。また、包装材を袋状に成形し、突起を有する内容物を収納し、包装体内部を減圧密封すると真空断熱材となる。この真空断熱材には、無機質繊維または無機質粒子の突起を有する内容物が収納される。
この発明によれば、以上のように、外層と内層の剥離強度を適度に調節したので、内容物の突起などによって内層に穴が発生しても、その個所で外層との部分割離が生じ、穴の深さがそれ以上大きくならず外層を貫通するようなことがない。そして、低コストで、従来とほぼ同じ原材料を用いながら耐突き刺し性に優れる包装材、包装体および真空断熱材を提供することができる。特にこの発明の包装体は、包装体の外方からの突き刺しのみでなく、包装体の内方からの突き刺しに対しても優れたバリアー効果を発揮する。
以下、この発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1に、この発明の包装材の基本的構成を示す。図示のように、包装材1は、外層2と内層3を接着剤層4及び弱接着層5を介して積層したものである。前記外層2としては、通常合成樹脂フィルムが用いられる。この樹脂フィルムとしては、例えば厚み9〜50μmの樹脂フィルム、具体的にはポリアミド、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エバール、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の1種または2種以上を使用できる。これらの中でも特にポリアミド系樹脂(ナイロン)やポリエステル系樹脂の使用が好ましい。また、樹脂フィルムには、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の蒸着層を施してもよい。ガスバリアー性が特に要求される場合には、後述するアルミニウム箔を公知の方法により積層してもよい。必要に応じて印刷や着色を施してもよいのは言うまでもない。樹脂フィルムを2種以上用いる場合には、各樹脂フィルム間をドライラミネート法により接着してもよいし、押出しラミネート法や共押出し法等の他の方法により積層してもよい。
前記外層2と内層3との間に介在する接着剤層4は、公知の接着剤を用いればよいが、工業的生産上、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエステル・ポリウレタン系から選ばれる少なくとも1種の接着剤が好ましい。接着剤の塗布量は固形分で0.5〜15g/m2 程度が好ましい。この接着剤層4は、外層2または内層3の接着しようとするいずれか1面に設ければよい。塗布方法は、特に限定されることはなく、グラビア方式、押出しコート方式等の公知の方法を採用できる。
前記接着剤層4と同じく外層2と内層3との間に介在する弱接着層5は、ワックス、エポキシ系コート剤、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むコート剤を用いるのが好ましい。特に、アクリル系樹脂とワックスの混合コート剤、アクリル樹脂とニトロセルロース系樹脂との混合コート剤、エポキシ系コート剤のいずれかを採用するのが望ましい。弱接着層5は外層2と内層3の剥離強度を調整するために用いられるものであって、外層2または内層3の接着しようとするいずれか1面に部分的もしくは全体に設ければよい。弱接着層5を部分的に設ける場合には、図2(イ)、(ロ)、(ハ)に示すように格子状、ストライプ状、点状またはタイル状になるようグラビア印刷機等を用いて前記コート剤を塗布(コート)すればよい。外層2と内層3の剥離強度は0.3N/15mm幅〜2.5N/15mm幅とするのがよく、この範囲内で良好な耐突き刺し性を発揮する。0.3N/15mm幅未満では、接着層5の接着強度が弱くなり過ぎ、積層効果が殆ど発揮されず突き刺し強度の低下を招く。他方2.5N/15mm幅を超えるとこの発明の剥離効果が発揮されずに包装材に貫通孔が生じ易くなる。コート剤の塗布量は前記剥離強度の範囲内であれば、特に限定されることはないが、通常好ましくは、乾燥後重量で0.3〜5.0g/m2 程度とすればよい。
前記内層3には、ガスバリアー層3aを設けるのが好ましい。このガスバリアー層3aには、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、スチール箔、チタン箔、すず箔等の金属箔、アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の蒸着フィルム、ビニリデン樹脂等のバリヤー性を有する素材をコートしたフィルムから選ばれる少なくとも1種が採用できる。これらのうちでも、アルミニウム箔もしくはアルミニウム蒸着フィルムまたは酸化ケイ素蒸着フィルムを採用するのが好ましい。アルミニウム箔の厚みは、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは厚み5〜30μmである。厚み5μm未満のアルミニウム箔の製造は工業的に困難であり、できたとしてもピンホール数が100個/平方メートルを超えてしまうため不適当である。アルミニウム箔の成分は公知の成分であってよく、純アルミニウム又はアルミニウム系合金のいずれであっても良い。具体的には、純アルミニウム(JIS(AA)1000系、例えば1N30、1N70等)、Al−Mn系(JIS(AA)3000系、例えば3003、3004等)、Al−Mg系(JIS(AA)5000系)、Al−Fe系(JIS(AA)8000系、例えば8021、8079等)等を例示することができる。アルミニウム系材料に含まれるFe、Si、Cu、Ni、Cr、Ti、Zr、Zn、Mn、Mg、Ga等の成分については、JIS等で規定されている公知の含有量の範囲内であれば差し支えない。また、アルミニウム箔を用いる場合、硬質材、半硬材、軟質材等のいずれであっても良く、適宜選択すれば良い。アルミニウム箔に替えて酸化ケイ素等の蒸着層を採用する場合は、その厚みを300〜1500オングストロームとすればよい。
前記内層3を形成する熱接着層3bには、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖線状ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体)、EMAA(エチレン−メタアクリル酸共重合体)、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、EMAC(エチレン−メチルアクリレート共重合体)、アイオノマー、ボンダイン(エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸三元共重合体:住友化学工業株式会社製)、メルセンM(ポリオレフィン系接着性樹脂:東ソー株式会社製)、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、カルボン酸変性EVA等から選ばれる少なくとも1種を採用でき、中でもポリエチレンやポリプロピレンの採用が好ましい。熱接着層3bの厚みは10〜100μmが好ましく、10μm未満の場合には十分な接着力が得られにくく、100μmを超えてもコストアップや熱接着層3b自体のガスバリアー性が低下する恐れがあるので、不必要に厚くする必要はない。なお、ヒートシール条件は使用する樹脂・フィルムによって適宜選択することができるが、通常140〜260℃で1〜3秒程度である。ヒートシールする幅は適宜決められるが通常5〜30mmである。
以上の外層2、ガスバリアー層3aおよび熱接着層3b以外に必要に応じて中間樹脂フィルムや紙層等をさらに積層してもよい。中間樹脂フィルムには前記外層2に用いた樹脂フィルムと同質のものの他、アルミニウムや酸化ケイ素を蒸着した樹脂フィルムやビニリデン樹脂等のバリヤー性を有する素材をコートした樹脂フィルムを用いても良い。
以上各層間の積層・接着方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法、例えば2液硬化型ウレタン系接着剤等を用いたドライ・ラミネーション、共押出し、押出しコート、アンカーコート剤を用いた熱ラミネーション等による方法が採用できる。但し、外層2と内層3との剥離強度は前記規定した範囲内に調整することが必要である。また任意の層に必要に応じてアンカーコート層や印刷・着色層、プライマー層、オーバーコート層等を施しても差し支えない。
この発明の包装材1を用いて常法により袋を作製することができる。例えば、包装材1を二つ折りにし、両側辺をヒートシールし、開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールすれば所謂三方シール袋が形成できる。また、2枚の矩形状の包装材1を用意し開口部に相当する1辺を除いてヒートシールし、開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールすれば所謂四方シール袋が形成できる。以下説明は省略するが、公知の方法により、ピロー袋、ガセット袋、スタンディングパウチ、まち付き袋等を形成することができる。
内容物としては、突起を有するものであれば特に限定されないが、セラミックス、ガラス等の無機質粒子または無機質繊維(無機質短繊維も含む)、鉱物、金属粉、非金属粉、樹脂粉末等の工業原材料、砂糖、塩、お茶葉等の食料品等が例示される。また、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、粉状のポリウレタン、シリカ、ポリスチレンや珪酸カルシウム等を内容物として真空断熱材を製造することもできる。
なお、内容物が粉である場合には、内袋として通気性薄膜を使用するのが好ましく、通気性薄膜には、織布、編成布、不織布、繊維束等のフレキシブルで通気性の薄膜を採用することができる。通気性薄膜は、前記熱接着層3bと熱融着または接着できる成分からなることが好ましい。これらの中でも特に不織布が好ましく、成分がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン、アラミド、四弗化エチレン等の樹脂、またはパルプでできたものが好ましい。通気性薄膜の厚みは特に限定されるべきものではないが、通常0.05〜5mm程度が好ましい。
この発明の真空断熱材の製造法は、公知の方法に従うことができ、袋の内部に無機質繊維等の内容物を充填し、内部を真空脱気せしめた後、開口部をヒートシールして密閉すればよい。
図3に、この発明の包装材1の作用原理を示す。図示のように、内層3を突起Aで突き刺したとき、内層3は比較的破壊され易い材料から成るため、図のように突起Aの先端が比較的容易に貫通してしまうが、突起Aが太くなるに従って内層3との摩擦力が増大する一方、弱接着層5の剥離強度が弱いため、外層2に対する突起A先端の押圧力に負けて内層3と外層2が部分的に剥離してしまい、突起Aは外層2内面の抵抗力と内層3の摩擦力に対抗できず、外層2を刺き破るのを防止することができる。
なお、前記の実施の形態では、外層2と内層3との間に介在する接着層として、2層からなる例を挙げているが、外層2と内層3の剥離強度が0.3〜2.5N/15mm幅の範囲内であれば、1層からなる接着剤または粘着剤を使用してもよい。また、この発明の包装材は、袋に限定されることはなく、各種容器の蓋材等にも使用できるのは言うまでもない。
使用する構成材料として東洋紡社製ポリエステルフィルム「E5100」厚み12μm(以下PETという)、興人社製ナイロンフィルム「ボニールRX」厚み25μm(以下NYという)、東洋アルミニウム社製8079材アルミニウム箔厚み6μm(以下ALという)、大倉工業社製高密度ポリエチレン厚み50μm(以下HDPEという)を用いた。接着剤は2液硬化型ウレタン系接着剤(以下D1、D2、D3という)である大日本インキ化学工業社製「LX−500」と「KW−75」を用いた。
各構成材料間はポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、アルミニウム箔、高密度ポリエチレンの順に、2液硬化型接着剤(乾燥後重量3.5g/m2 )をグラビア方式により塗布し、60℃のヒートロールにて圧着することで接着を行った。ただし、実施例1〜3及び比較例2については予めナイロンフィルムと接着する側の面(全面)に弱接着層を形成するため、コート剤(乾燥後重量2.0g/m2 )をグラビア方式により塗布し、180℃の熱風にて10秒間乾燥したアルミニウム箔を使用した。実施例4はポリエステルフィルムとナイロンフィルムを接着した後、ナイロンフィルム表面に住友化学工業社製「スミカセンL705」を15μ厚さで押し出しコートした。その後アルミニウム箔、高密度ポリエチレンフィルムの順に2液硬化型接着剤にて接着を行った。
弱接着層を形成するためのコート剤として、実施例1は固形分比でアクリル系樹脂90%とポリエチレン系WAX10%を混合したもの、実施例2は固形分比でニトロセルロース系樹脂50%とアクリル系樹脂50%を混合したもの、実施例3はタナカケミカル社製エポキシ系コート剤「No.8800」、比較例2はタナカケミカル社製エポキシ系コート剤「952H」を使用した。比較例1はコート剤を用いなかった。
図4に示す突き刺し強度は、先端φ0.5mmの針をサンプルに対して垂直に200mm/分で突き刺し、サンプルが破壊(針が貫通)した時の荷重を表した。その他の詳細は、厚生省告示第370号に準拠した。突き刺しの方向は、PET面側からと、HDPE面側からの両方を個々に測定した。剥離強度は、サンプル(15mm幅)の各層間を200mm/分の早さでT形剥離したときの平均荷重で表した。その他の詳細は、JIS K6854に準拠した。なお、図4中「不可」とあるのは、母材で破断したことを示す。
1 包装材
2 外層
3 内層
3a ガスバリアー層
3b 熱接着層
4 接着剤層
5 弱接着層
A 突起
2 外層
3 内層
3a ガスバリアー層
3b 熱接着層
4 接着剤層
5 弱接着層
A 突起
Claims (7)
- 少なくとも樹脂フィルムを含む外層と、少なくともガスバリアー層と熱接着層を含む内層からなり、外層と内層の剥離強度が0.3N/15mm幅〜2.5N/15mm幅である耐突き刺し性に優れた包装材。
- ガスバリアー層が厚さ5〜50μmのアルミニウム箔である請求項1記載の包装材。
- 外層と内層との間に介在する接着層が2層からなり、1層が内層または外層の接着面全面に設けた接着剤層、他の1層が外層または内層の接着面に部分的または全面に設けた弱接着層からなる請求項1または2に記載の包装材。
- 前記弱接着層がワックス、エポキシ系コート剤、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む請求項3に記載の包装材。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の包装材を袋状に成形し、突起を有する内容物を収納した包装体。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の包装材を袋状に成形し、突起を有する内容物を収納し、包装体内部を減圧密封した真空断熱材。
- 突起を有する内容物が無機質繊維または無機質粒子である請求項6に記載の真空断熱材。
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