JP2005271554A - インクジェットプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】バネ部材(コイルスプリング)の状態にかかわらず、排気パージごとの排気パージ量のばらつきを防止したインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】連通口42Cを、バルブロッド44bに嵌合するシール材44cを介して、弁部44aによって開閉する。弁室の大径孔部42Aの内部にコイルスプリング45を設け、連通口42Cを閉塞する方向に弁体44(弁部44a)を付勢する。コイルスプリング45の上端部は(前記弁室の中央部に配設される)上ケース27の係合凸部27bの外側に嵌合し、下端部は弁部44a上側の凹部44aa内に嵌挿する。係合凸部27bの周囲に、排気入口部52を形成し、排気入口部52と係合凸部27bの間に、コイルスプリング45の一端部を接触させる。これにより、コイルスプリング45の外側に、排気入口部52から連通口42Cへの排気(空気)の流路を形成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、インクジェットプリンタ、特にインク流路内に発生した気泡を分離・滞留させ、この気泡を外部に排出することができるインクジェットプリンタに関するものである。
製品として薄さを確保するために、キャリッジとしての大きさを薄くしたい、つまりキャリッジ上にインクタンクを搭載しない構成としたいという要求がある。そのためには、プリンタ本体に設けたインクタンクのインクを、インク供給チューブを介して、キャリッジ上の記録ヘッドに供給する必要がある。
このようなインク供給チューブを用いるインクジェットプリンタでは、チューブを構成する材料の特性から、空気がチューブを透過してインク中に溶解することを避けられず、記録ヘッドの上流側に気泡滞留室を設け、気泡を除去することが必要になる。
インク供給チューブを用いるインクジェットプリンタにおける気泡の除去技術として、記録ヘッドの上部にマニホールド(気泡滞留室として機能)を設け、静止位置側にインクタンクと循環ポンプとを設け、この循環ポンプを駆動させて気泡を除去するように構成したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の技術では、循環のために循環ポンプからインクタンクへの戻りチューブが必要となり、装置が大型化・複雑化するという課題がある。
また、インク供給チューブ内で気泡として発生した空気をキャリッジに搭載したタンクの上部に蓄積し、排気ポンプにより排出し、また、排出後に排気弁によりタンクを密閉するものも知られている(例えば特許文献2参照)。
本発明者は、前述したようなインクジェットプリンタにおいて、図10に示すように、気泡滞留室(図示せず)に排気通路108を通じて連通する通路孔101内に、その通路孔101の軸線方向に沿って弁体102を変位させることにより、気泡滞留室内の気泡を排出することを可能にした排気弁手段103を設けたものを開発した。そして、通路孔101を開閉するOリング104(シール材)の内径を、弁体102のバルブロッド102bの外径より小さくして、弁体102を持ち上げると、Oリング104も一緒に上昇する構成としている。また、シール性を高めるために、弁部102aを、通路孔101(連通口101a)を閉じる方向に付勢するコイルスプリング105を設けている。
上記排気弁手段103では、コイルスプリング105の上端部が外嵌される係合突部106に排気入口部107が設けられるので、その排気入口部107より導入された排気が、コイルスプリング105の線材の間を通じてコイルスプリング105の外側に流れ、通路孔101の連通口101aを通じて排気される。
特開2000−103084号公報(図1参照) 特開2002−240310号公報(図5参照)
上記排気弁手段103では、排気が入ってくる際には、コイルスプリング105が圧縮され、コイルスプリング105の線材間の間隔が小さくなるので、流路抵抗が大きくなる。このように流路抵抗が大きくなると、排気の有無は制御できないので、排気パージごとに排気バージ量にばらつきが生じる。
本発明は、バネ部材(コイルスプリング)の状態にかかわらず、排気パージごとの排気パージ量のばらつきを防止したインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、ノズルからインクを噴射して被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、その記録ヘッドに供給されるインクを貯えるインクタンクと、そのインクタンクから前記記録ヘッドにインクを供給するインク流路と、前記インク流路を通じて供給されたインクを貯留するバッファタンクと、前記バッファタンク内に滞留した気体を排気通路を通じて外部に排気可能である排気弁手段とを備えるインクジェットプリンタにおいて、前記排気弁手段は、排気入口部と排気出口部とを有する弁室と、この弁室の排気入口部または排気出口部を開閉する弁体とを備えるものであり、前記弁体が、前記排気入口部または排気出口部を開閉する弁部と、この弁部に連接されるバルブロッドと、前記排気入口部または排気出口部を前記弁部を閉じる方向に付勢するバネ部材とを備え、前記排気入口部から排気出口部への気体の流路が、前記弁室の中央部に配設された前記バネ部材の外側に形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、排気入口部から排気出口部への気体の流路が、弁室の中央部に配設されたバネ部材の外側に形成されているので、バネ部材が圧縮状態にあっても、バネ部材の状態による影響を受けることなく、弁室内において、排気入口部から排気出口部への気体(排気)の流れが生ずる。よって、排気パージごとの排気パージ量のばらつきを防止することができる。
請求項2の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記排気弁手段が、前記弁体が前記弁室内を摺動可能で、前記バネ部材を圧縮して前記排気入口部または排気出口部を開放する構成とする。
このようにすれば、弁体(バルブロッド)が弁室内を摺動し、シール材が弁座面に当接することで排気入口部または排気出口部を閉じることができ、バルブロッドが前記シール材と一緒に前記弁座面から離隔することで排気入口部または排気出口部が開放される。
請求項3の発明は、請求項1または2記載のインクジェットプリンタにおいて、前記排気弁手段が、前記排気入口部または排気出口部の周囲に形成される弁座面と、前記排気入口部または排気出口部に対向して形成され前記バネ部材の一端部が嵌り込む係合凸部と、前記弁体の弁部に形成され前記バネ部材の他端部を収納する凹部とを有し、前記係合凸部の周囲に、前記排気出口部または排気入口部が形成されている構成とする。
このようにすれば、バネ部材の一端部が嵌り込む係合凸部の周囲に、排気出口部または排気入口部が形成されているので、排気入口部から排気出口部への気体(排気)の流路が、弁室の中央部に配設された前記バネ部材の外側に簡単に形成される。
請求項4の発明は、請求項3記載のインクジェットプリンタにおいて、前記排気出口部または排気入口部と前記係合凸部との間に、前記バネ部材の一端部が接触している構成とする。
このようにすれば、排気入口部または排気出口部と係合凸部の間に、前記バネ部材の一端部が接触するようになるので、排気入口部または排気出口部の開口部分が開放され、その開口部分全体を通じて気体(排気)が、弁室内へ流れ込み、排気出口から出て行くようになり、排気パージごとに排気の安定した流れが確保される。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記弁部が、前記バルブロッドに嵌合されるシール材を介して前記排気入口部または排気出口部を閉じる構成とする。
このようにすれば、バルブロッドに嵌合するシール材を介して前記排気入口部または排気出口部が閉じられるので、弁閉止状態では、排気入口部から排気出口部への気体(排気)の流れがシール材によって確実に遮断される。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記弁部が、それの外側面に、前記弁室の内壁面に向かって突出する複数の突出部が円周方向に等角度間隔で設けられている構成とする。
このようにすれば、弁体が弁室内を摺動する際に、弁体の軸線が傾斜すると、突出部が弁室の内壁面に当接し、大きく傾斜するのが回避され、スムーズな弁体の摺動が実現される。
請求項7の発明は、請求項3〜6のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記弁体の摺動方向に投影したときにできる前記弁室の投影像を弁室像、前記弁部の投影像を弁部像、前記凸部の周囲に形成された前記排気入口部または前記排気出口部の投影像を連通孔像、および前記気体の流路に対応する間隙の投影像を間隙像としたときに、前記弁部像は、前記弁室像内に含まれるとともに、当該2つの投影像の外形線の間には前記間隙像が位置しており、前記間隙像に少なくとも前記連通孔像の一部が重なっている構成とする。
このようにすれば、弁部像は、弁室像内に含まれるとともに、これら2つの投影像の外形線の間には間隙像が位置し、その間隙像に連通孔像の少なくとも一部が重なっているので、バネ部材の外側に安定した排気の流れが確保され、排気パージごとに排気が、排気パージ量のばらつきなく流れる。
請求項8の発明は、請求項7に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記連通孔像に重なる前記間隙像の面積が、これ以外の前記間隙像の面積に比べて広いことが望ましい。
このようにすれば、間隙像に重なる連通孔像の面積がこれ以外の連通孔像の面積に比べて広くなるので、間隙像に重なる連通孔像として広い面積が確保されて、排気の流路抵抗が小さくなり、排気入口部から排気出口部にスムーズな気体の流れを確保する上で有利になる。よって、(排気パージごとの)排気パージ量のばらつきを防止することができる。
請求項9の発明は、請求項7または8に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記連通孔像に重なる前記間隙像の面積が、これ以外の前記間隙像の面積に比べて広い構成とする。
このようにすれば、連通孔像に重なる間隙像の面積がこれ以外の間隙像の面積に比べて広いので、間隙像の広い面積を利用することができ、排気入口部から排気出口部にスムーズな気体の流れを確保する上で有利となる。よって、排気パージごとの排気パージ量のばらつきを防止することができる。
請求項10の発明は、請求項7〜9のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記弁室像は、円形状の外形線を有し、複数の前記連通孔像が、前記弁室像の外形線に沿う同心円上に配置されている構成とする。
このようにすれば、同心円上に、複数の排気入口部または排気出口部(連通孔)をバランスよく配置することができる。
本発明は、排気弁手段の排気入口部から排気出口部への気体の流路を、弁室の中央部に配設されたバネ部材の外側に形成しているので、バネ部材の状態による影響を受けることなく、弁室内の周囲に排気入口部から排気出口部への気体のスムーズな流れを確保して、排気パージごとの排気パージ量のばらつきを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って詳細に説明する。
図1は本発明に係るインクジェットプリンタの主たる構成要素を示す概略構成図、図2はインクジェットプリンタヘッドの底面図、図3は記録ヘッド、補強フレーム、ヘッドホルダ、及びバッファタンクの分解斜視図である。
図1〜図3に示すように、インクジェットプリンタ100は、インクジェットプリンタヘッド1として、ノズル孔からインクを吐出するインクジェット式でかつ薄板形状である記録ヘッド11と、この記録ヘッド11が搭載され合成樹脂材料により形成されるヘッドホルダ12とを備える。そして、ヘッドホルダ12は、用紙P(被記録媒体)に対して移動するキャリッジとして機能する。インクタンク(図示せず)からのインクは、インク供給チューブ13a〜13d(インク流路)を介して、ヘッドホルダ12に搭載されたバッファタンク14に供給されて一時的に滞留する。ここで、供給されたインクに含まれる気体が排気可能に分離され、インクの方はインク吐出による消費に合わせて記録ヘッド11に供給される。なお、前記インクタンクは、プリンタフレーム(図示せず)に着脱可能に載置され、記録ヘッド11に供給する大量のインクを貯留するものである。具体的に図示していないが、フルカラー記録のために、複数のインクタンク(個別の色、即ち、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー用のインクタンク)が前記プリンタフレームに設けられている。
ヘッドホルダ12は、前記プリンタフレームの前後において平行に設けられフレーム左右方向に延びる後側ガイド部材2Aと前側ガイド部材2Bとにスライド移動可能に支持されている。後側ガイド部材2Aは、スライド移動方向と直交する断面をほぼL字形に形成され、前側ガイド部材2Bは、スライド移動方向に延びる水平な面を有している。そして、このヘッドホルダ12に、駆動プーリ3Aと従動プーリ3Bとの間に巻き掛けられたエンドレスのタイミングベルト4の一部が連結され、駆動プーリ3Aを駆動モータ5で回転駆動することで、ヘッドホルダ12がタイミングベルト4を介してガイド部材2A,2Bに沿ってフレーム左右方向に往復移動する構成とされている。ヘッドホルダ12の上側部分はカバー24にて覆われている。なお、具体的に図示していないが、周知の用紙搬送機構により、用紙Pは記録ヘッド11の下面側でヘッドホルダ12の移動方向と直交する方向(図1の矢印A方向)に、記録可能な状態で搬送される。また、後述するメンテナンスユニット70(ノズル面のクリーニングを行い、また、色毎にインクを選択的に吸引するための回復処理、及びバッファタンク14内に滞留する気泡(空気)を除去する除去処理を行うもの)のほか、インク受け部(記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出(フラッシング)を行うもの)が配設されている。
記録ヘッド11の下面には、図2(記録ヘッド11を下面からみた図)において左側からブラックインク(BK)用のノズル16aの2列と、シアンインク(C)用のノズル16bの列と、イエローインク(Y)用のノズル16cの列と、マゼンタインク(M)用のノズル16dの列とが、ヘッドホルダ12の移動方向(主走査方向)と直交する方向に沿って長く形成されている。そして、用紙Pの上面に対向するように各ノズル16a〜16dが下方に向けて開口している。
記録ヘッド11の一端側には、図3に示すように、キャビティユニット17のインク供給口18a〜18dが上面に列状に開口して各インク色(本実施形態では4色)毎に設けられている。これらインク供給口18a〜18dから延びる各インク供給チャンネルを介してインクが分配され、圧電アクチュエータ19の駆動によりノズル16a〜16dからインクを吐出させるように構成されている。ブラックインク(BK)用のインク供給口18aは、シアンインク(C)用、イエローインク(Y)用及びマゼンタインク(M)用のインク供給口18b〜18dよりも開口面積が大きく形成されている。
記録ヘッド11においては、平面視で圧電アクチュエータ19の外形状をキャビティユニット17の外形状よりも小さくし、キャビティユニット17の背面に圧電アクチュエータ19を積層した際に、インク供給口18a〜18dを含む圧電アクチュエータ19周囲のキャビティユニット17の背面が記録ヘッド11の背面側において露出するようにしている。
圧電アクチュエータ19の上面には、そのアクチュエータ19に電圧を印加するフレキシブルフラットケーブル20が固定されている。フレキシブルフラットケーブル20は、ドライバIC21を備え、バッファタンク14の上側に設けられたプリント基板22(図5参照)に電気的に接続される。プリント基板22は、他のフレキシブルフラットケーブル20’を介して前記プリンタフレーム側のプリント基板(図示せず)に接続される構成となっている。ドライバIC21は発熱するので、それを冷却するためにアルミニウム合金製のヒートシンク23がドライバIC21に押し付けられ(図6参照)、ドライバIC21がヒートシンク23を介して自然冷却されるようになっている。
図4〜図6に示すように、バッファタンク14は、本体ケース25の内部を仕切壁にて区画することで、インク色毎に独立した複数の気泡滞留室、つまりブラックインク(BK)用の気泡滞留室31a、シアンインク(C)用の気泡滞留室31b、イエローインク(Y)用の気泡滞留室31c及びマゼンタインク(M)用の気泡滞留室31dを備えている。
バッファタンク14の本体ケース25は、上面を開放した箱状の下ケース26と、その下ケース26の上面を覆って下ケース26に固定された上ケース27とから構成される。下ケース26及び上ケース27は共に合成樹脂材料にて射出成形されたものであり、超音波溶着等にて液密的に結合されている。これら両ケース26,27が結合されることによって、下ケース26側にインクを一時的に滞留させるタンク室(図示せず)が色毎に形成され、上ケース27側にはインクから分離された気体を貯留する気泡滞留室31a〜31dが形成される。なお、気泡滞留室31a〜31dは、それらがそれぞれ1つの単独の室で形成されている場合だけでなく、それぞれの室が色毎に分割された複数の室から構成される場合も含まれる。そして、各気泡滞留室31a〜31dは、それらの端部において各インク色毎のインク流出口32a〜32dに連通している。
ヘッドホルダ12の底側の壁である底板12aは、記録ヘッド11の背面とほぼ平行であり、この底板12aの下面に記録ヘッド11が接着されている。また、ヘッドホルダ12の底板12aの上側には、インクを一時的に滞留させるバッファタンク14と、このバッファタンク14の気泡滞留室31a〜31d内の空気を排気するための排気弁手段15とを含む本体ケース25が搭載されている。
インク流出口32a〜32dは、下ケース26の下面に並んで位置し、底板12aよりも下方に突出した位置で、下向きに開口している。一方、キャビティユニット17(記録ヘッド11)は、キャビティユニット17の内部に形成された各インク色毎のインク供給チャンネル(マニホールド)の端部と連通した複数のインク供給口18a〜18dを、各インク流出口32a〜32dと対向した上面に備えている。インク流出口32a〜32dは、補強フレーム33に貫通して設けたインク流路孔33b〜33eやゴムパッキン等の弾性シール材34を介して、記録ヘッド11の各インク供給口18a〜18dと連通している。
この記録ヘッド11は、その背面に枠状の補強フレーム33を介在させて、ヘッドホルダ12の下側に固定される。補強フレーム33は、図3に示すように、記録ヘッド11の背面に沿った偏平な薄板形状を有しているとともに、補強フレーム33の中央開口部33a内の大きさは、平面視で圧電アクチュエータ19の外形状よりも僅かに大きく、かつキャビティユニット17の外形状よりも小さく形成されている。そのため、補強フレーム33は、その中央開口部33a内に圧電アクチュエータ19とフレキシブルフラットケーブル20とを位置させるように、キャビティユニット17の背面に接着固定される。
この補強フレーム33は、金属製(例えばSUS430)で、キャビティユニット17よりも厚く、かつ剛性が大きく形成されている。補強フレーム33は、キャビティユニット17のインク供給口18a〜18dに対応する補強フレーム33の一端側の位置に、バッファタンク14のインク流出口32a〜32dと、キャビティユニット17のインク供給口18a〜18dとを接続する4つのインク流路孔33b〜33eが列状に穿設されている。
記録ヘッド11と補強フレーム33との間の段差を解消し記録ヘッド11を保護するために、記録ヘッド11の周囲に位置する平面視コ字形状の保護カバー51が、補強フレーム33に取り付けられている。
また、補強フレーム33の隅部にはネジ穴33f,33gが設けられている。そして、このネジ穴33f,33gに対応させて、バッファタンク14の外周面に外周方向に突出するフランジ状の取付部14aを設け、各取付部14aにそれぞれ取付穴14bが穿設されている。そして、締結部材としてネジ28が、各取付穴14bを通じて、ネジ穴33f,33gにそれぞれ螺合され、これにより底板12aの下面に接着固定された補強フレーム33の上面にバッファタンク14が固定される。
インク流出口32a〜32dが設けられている部位とは反対側の部位に、上ケース27(本体ケース25)の側面からフランジ状のタンク延長部27aが側方に突出し、そのタンク延長部27aには、図3及び図4に示すように各インク色毎のインク流路、すなわちブラックインク(BK)用、シアンインク(C)、イエローインク(Y)用及びマゼンタインク(M)用の各インク流路35a,35b,35c、35dが独立して形成され、それらの下流端が下ケース26に形成された色毎のタンク室(図示せず)を介して気泡滞留室31a〜31dにそれぞれ連通されている。上ケース27のタンク延長部27aの下側には、そのタンク延長部27aに対応して、ヘッドホルダ12のホルダ延長部12bが形成されている。このホルダ延長部12bは、バッファタンク14が収納される箱形状のホルダ本体12cの上端部から、タンク延長部27aに対応して延びている。両延長部27a,12bの先端部分に対して、各インク色毎のインク流路を有するチューブジョイント36がばね37により弾性的に取り付けられている。これにより、インク流路35a〜35dの上流端がチューブジョイント36内部の各インク流路に連通している。
そしてチューブジョイント36は、内部の各インク流路に連通するチューブ接続口部36a〜36dを有し、このチューブ接続口部36a〜36dには、一端部が前記プリンタフレーム側のインクタンクに連通するインク供給チューブ13a〜13dの他端部が着脱可能に接続されている。また、チューブジョイント36には、プリント基板22とプリンタフレーム側のプリント基板とを接続するためのフレキシブルフラットケーブル20’(図1参照)を係止する係止部36eが一体に設けられている。
また、上ケース27の上面側には、それぞれ気泡滞留室31a〜31dの上部空間部に一端部が連通する排気通路41a〜41dが各インク色毎に(4つ)独立して凹み形成されている。この排気通路41a〜41dの他端部は、本体ケース25を横切って延び、下ケース26に貫通形成された各インク色毎の排気孔42a〜42dの上端に連通している。なお、各排気通路41a〜41dは、それらの開放上面を可撓性膜43で覆うことで画定されている。
続いて、バッファタンク14の気泡滞留室31a〜31d内の空気を排気するための排気弁手段15について説明する。
下ケース26の一側に形成される排気孔42a〜42dは、図6に示すように、上下方向に長くかつ上下に開口するもので、排気入口部52と排気出口部(連通口42C)とを有し弁体44が摺動可能である弁室として機能し、インク色毎に(4つ)形成される。各排気孔42a〜42dは、上側の大径孔部と、下側に位置する小径孔部とを有し、それらが連通口を通じて連通している(図6では、排気孔42dについての大径孔部42A、小径孔部42B、連通口42C(排気出口部)のみ図示するが、他の排気孔42a〜42cも同様である)。
弁体44は、大径の弁部44aと、その下端に一体に連接した小径のバルブロッド44bと、このバルブロッド44bに被嵌(嵌合)されたリング状のシール材44cとを備える。弁部44aは、バルブロッド44bよりも大径とされ、シール材44cがその弁部44aに接触するようにバルブロッド44bに設けられている。また、弁部44aは、シール材44cを介して、大径孔部42Aの底面であり小径孔部42Bの上端開口部である連通口42Cの周囲の開口端面42D(弁座面)と対向する。そして、排気孔42dの大径孔部42Aには大径の弁部44aが、小径孔部42Bにはバルブロッド44bが、それぞれ空気(気体)の流通を可能にする隙間を残して挿入されることで、弁体44がその中心軸線方向において排気孔42d(弁室)内に摺動可能に支持されている。バルブロッド44bは、後述するように弁開放時に、メンテナンスユニット70に設けられた突出軸部72aによって押し上げられるため、それの下端が(弁閉止状態で)小径孔部42Bの下端開口部近傍に位置するようになっている。なお、シール材44cとしては、ゴム状の弾性体のパッキン等が好適であり、この実施形態では、シール材44cとしてOリングが用いられる。
大気に連通する連通口42C周囲の開口端面42Dが弁座面となり、この開口端面42Dと弁部44aとの間にシール材44cが配置される。よって、連通口42C(排気出口部)は、バルブロッド44bに嵌合するシール材44cを介して、弁部44aによって開閉される。
また、大径孔部42Aの内部には、連通口42Cを閉塞する方向に弁体44(弁部44a)を付勢する付勢手段として、コイルスプリング45が挿入されている。つまり、コイルスプリング45(バネ部材)の上端部(一端部)は(前記弁室の中央部に配設される)上ケース27の係合凸部27bの外側に嵌合され、下端部(他端部)は弁部44a上側の凹部44aa内に嵌挿されている。係合凸部27bの周囲に、複数の排気入口部52が形成されている。つまり、排気入口部52と係合凸部27bの間に、コイルスプリング45の一端部が接触している。よって、コイルスプリング45の外側に、排気入口部52から連通口42C(排気出口部)への排気(空気)の流路が形成されていることになる。
とりわけ、連通口42Cを開放して排気をする場合には、バルブロッド44bを摺動してコイルスプリング45を圧縮することになる。そのため、排気入口部52から流入してくる排気は、コイルスプリング45の内側に入りにくくなるとともに、大径孔部42Aの内壁面とコイルスプリング45との間に滑らかな排気の流れが形成されることになる。すなわち、大径孔部42Aの内壁面とコイルスプリング45の外側面との間の隙間が流路抵抗の低い流路となる。さらに、弁部42aの外周面とともに排気入口部52から連通口42Cまで、図8に示すように、流路抵抗を増大させる要因となる障害物のない排気の流路が形成されることになる。
このように、コイルスプリング45によって、シール材44cが開口端面42Dに当接する方向に弁部44aが常時付勢されているので、後述する突出軸部72aによる押し上げ力が弁体44に作用しない通常時は、排気弁手段15は、連通口42C(排気出口部)を閉じる弁閉止状態となる。
ところで、弁体44は、具体的には、図7(a)(b)に示すように、弁体44の摺動方向と直交する方向に関しての、バルブロッド44bの切断面は、当該切断面と前記摺動方向に伸びる軸線とが交差して作る交点部44eから5つ(複数)の突出面部44fが放射状に突出して構成される。そして、前記切断面の外形形状が交点部44eを中心とする回転対称形であり、バルブロッド44bは、突出面部44fと同数の溝部44dが形成されている。本実施の形態では、溝部44dは、バルブロッド44bの全長にわたって形成されている。突出面部44fの数は、5つに限らず、回転対称形で、複数であれば、同様な効果が得られる。なお、弁部44aの外側面には、大径孔部42Aの内壁面に向かって突出する複数の突出部44gが円周方向に等角度間隔で設けられ、弁体44の摺動の際に、弁体44の軸線が傾くと、大径孔部42Aの内壁面と突出部44gとが接触して、弁体44の軸線が大きく傾くのを回避して、弁体44の円滑な摺動を実現する構成とされている。
これにより、弁部44aの外側面は、位置により偏りのない流路抵抗を有する排気に対する流路を大径孔部42Aとの間で形成することになる。さらに、滑らかに排気がなされ流路抵抗の低減に寄与する。なお、流路抵抗の低減という観点からは、弁部44aに形成される突出部44gは、弁体44の摺動方向に見たときの平面視で、できるだけ円周方向の幅を狭くすることが有利である。また、突出部44gの大径孔部42Aとの当接面の面積は、弁体に対する摺動抵抗として現れて、その動きの滑らかさを損なうことがあるので、動きの滑らかさを失わない範囲で突出部44gは摺動方向に延在していることが好適である。これは、排気の流れを整流するという点でも有利である。
このバルブロッド44bに形成された5つの溝部44dが、弁部44aとシール材44cとが離れたとき、バルブロッド44bとシール材44cとの間に空気の流れを確実に許容する隙間(排気の流路)として機能する。よって、弁閉止状態でシール材44cが接触する開口端面42Dとそのシール材44cとの間にインクが付着し、そのインクが接着機能を発揮して、バルブロッド44bだけが上昇して、シール材44cが開口端面42D上に残るという現象が生じても、溝部44dを通じて連通していることになるので、排気は可能となる。この結果、気泡滞留室31a〜31d内に気泡(空気)が溜まり続けるということがなく、その気泡(空気)が記録ヘッド11の方に移動することもないので、正常な印字が妨げられることもない。
さらに、前記弁室となる排気孔42dと、弁部44aと、係合凸部27bの周囲に形成される排気入口部52との関係について、これらを平面視した(すなわち弁体44の摺動方向に投影した)ときの状態で、図9に沿って詳述する。ここで、弁体44の摺動方向に投影したときにできる前記弁室の投影像を弁室像S1、弁部44aの投影像を弁部像S2、および係合凸部27bの周囲に形成された排気入口部52の投影像を連通孔像S3、弁部44aの周囲であって排気の流路に対応する間隙を間隙像S4とする。
弁部像S2は弁室像S1内に含まれる。これら2つの像S1,S2の外形線の間に間隙像S4が形成されることになる。この間隙像S4に連通孔像S3が重なって、排気(空気)の流路が形成される。弁室像S1は円形の外形形状を有し、複数の連通孔像S3(本実施の形態では4つ)が、弁室像S1の外形に沿う同心円上に位置している。
この場合、排気が流れる流路について広い流路断面積を確保して流路抵抗を低減するために、間隙像S4に重なる連通孔像S3の面積が、これ以外の連通孔像S3(つまり間隙像S4に重なっていない連通孔像S3)の面積に比べて広いことが望ましい。なお、本実施の形態では、連通孔像S3に重なる間隙像S4の面積は、これ以外の間隙像S4(連通孔像S3に重なっていない間隙像S4)の面積に比べて広くなるように構成されており、同様に排気の流路抵抗を低減するために有利である。
さらに、間隙像S4に連通孔像S3が重なるような構成にすることにより、排気入口部52から連通口42Cに至る排気の流路が、排気入口部52から直線的に見通すことができる流路部分を含んで構成されることになり、排気が滑らかに流れ易くなり流路抵抗の低減に寄与する。また、排気の滑らかな流れという観点からは、上述のように、間隙像S4に重ならない連通孔像S3の面積を極力狭くすることが有効であるが、図9に示すように、一部の連通孔像S3は間隙像S4に重なっていない。しかし、本実施の形態では、弁部44aにコイルスプリング45を嵌挿する凹部42aaを形成するために、弁部44aの外周側部分から排気入口部52方向に立ち上がった円筒形状側壁部が、上に凸の円弧状の頭頂部を有している。これにより、排気入口部52から流入した排気の一部は、弁部44aの円筒形状側壁部の頭頂部によって遮られることになるが、頭頂部が上に凸の円弧状となっているので、流れを大きく乱すことなく、頭頂部によって遮られる大部分の排気を大径孔部42Aの内壁面と弁部44aの円筒形状側壁部とで作る間隙に滑らかに導くようになっている。また、連通孔像S3に重なる間隙像S4の面積をそれ以外の間隙像S4の面積に比べて大きく取ってあるので、流路抵抗は低いものになっている。なお、間隙像S4と連通孔像S3との関係は、図9に示したように、ほぼドーナツ状に形成された間隙像S4の円周方向に等角度間隔で複数の連通孔像S3(本実施形態では、3個)が配設されている。このように、等角度間隔の配置を取っているので、排気の滑らかな流れが実現されるとともに流路抵抗の低減にも寄与している。
すなわち、本実施の形態における排気弁手段は、その排気入口部52から連通口42Cに至る排気の流路が、直線的に延びる流路として形成されるとともに、その流路内に排気の流れを乱すような凹凸や段差のない滑らかな流路となっている。さらに、排気の滑らかな流れが実現されるとともに流路抵抗が低減された構成となっている。
ノズル面のクリーニング、色毎にインクを選択的に吸引するための回復処理、及びバッファタンク14内に滞留された気泡(空気)を除去する除去処理を行うメンテナンスユニット70は、記録ヘッド11のノズル16a〜16dの開口面を開閉可能に覆う第1のキャップ部材71と、排気弁手段15の下端面(すなわち各小径孔部42bの下端開口面)を個別に開閉可能に覆う複数の第2のキャップ部材72とを備える。両キャップ部材71,72は、公知のメンテナンスユニットと同様の上下移動機構73により、上下移動可能に支持される。キャリッジとしてのヘッドホルダ12が、印字を行わない待機位置に移動したときに、ノズル16a〜16dの開口面及び排気弁手段15の下端面に密着する上昇位置にキャップ部材71,72が移動し、他の位置ではそれらの面から離隔するように下降位置に移動する。また、第1のキャップ部材71は、公知のメンテナンスユニットと同様に吸引ポンプ74に接続され、吸引ポンプ74の駆動によりノズル16a〜16dから増粘したインクや異物を吸引除去する構成とされる。
各第2のキャップ部材72は、そのキャップ部材72よりも突出した突出軸部72aをそれぞれ有し、排気弁手段15の下端面に密着したとき、突出軸部72aにより、弁体44をコイルスプリング45の付勢力に抗して押し上げ、シール材44cを大径孔部42Aの開口端面42Dから離し、連通口42Cを開放する弁開放状態にする。
各第2のキャップ部材72は共通の流路を介して吸引ポンプ74に接続され、吸引ポンプ74の駆動により各気泡滞留室31a〜31d内に蓄積した気泡が一括して吸引され大気に排出される。これは、インクタンクからインク供給チューブ13a〜13dを通して記録ヘッド11に供給されるインクを、そのインク流路の途中となる気泡滞留室31a〜31d内に一旦貯留することで、インク中から気泡を分離浮上させ、気泡滞留室31a〜31dの上部に蓄積した気泡を、上記のように、吸引ポンプ74により排出させるのである。
第1のキャップ部材71と第2のキャップ部材72は、切替弁75により択一的に吸引ポンプ74に接続される。第1のキャップ部材71と第2のキャップ部材72は、上下移動機構73により、同時にノズル16a〜16dの開口面及び排気弁手段15の下端面に密着する。それから、例えば、まず第2のキャップ部材72を通して気泡滞留室31a〜31dの上部に蓄積した気泡を排出しその後、第1のキャップ部材71を通してノズル16a〜16dからインクを排出する。仮に第1のキャップ部材71のみで気泡滞留室31a〜31dの気泡を排出しようとすると、多量のインクを排出しなければならないが、上記のようにすることで、少ないインク排出量で、気泡の排出及び記録ヘッドの回復処理を行うことができる。
ノズル16a〜16dからのインク吸引のみ、または気泡滞留室31a〜31dの気泡の排出のみを、それぞれ単独に行うこともできる。また、上記のように吸引ポンプ74の吸引動作に代えて、インクタンク側から、インクに正圧を加えて、ノズル16a〜16dから増粘したインクや異物を吸引除去したり、気泡滞留室31a〜31dの気泡を排出することもできる。あるいは、吸引動作とインクヘの正圧印加を併用することもできる。
以上の構成によれば、印字が行われている通常時には、弁体44は、コイルスプリング45によって常時下向きに押圧されており、シール材44cが弁部44aおよび弁座面に当接した状態(シール材44cが弁部44aと連通口42Cの開口端面42Dとの間で押圧挟持された状態)で連通口42C(排気出口部)を閉じ、図6に示すように、弁閉止状態となる。
一方、待機位置に移動したときには、バルブロッド44bが、第2のキャップ部材72の突出軸部72aによって上方に押し上げられ、コイルスプリング45が圧縮される。このとき、シール材44cは、図8(a)に示すように、弁部44aと一緒に移動するか、図8(b)に示すように開口端面42D(弁座面)上に残ることになるが、いずれの場合にも、排気孔42dは溝部44dを通じて連通状態となり、つまり連通口42C(排気出口部)が開放され、連通口42Cに対する弁開放状態となる。これにより、気泡滞留室31dの気泡が連通口42Cから小径孔部42B及び吸引ポンプ74を介して、大気へ排気可能となるのである。
また、この弁開放状態では、圧縮されるコイルスプリング45の外側に、排気孔(弁室)内に排気が流入する複数の排気入口部52が設けられているので、図10に示す構造のようにコイルスプリング45の圧縮により流路抵抗が増大して、排気パージごとの排気パージ量がばらつくのを回避することができる。
前記実施の形態では、弁体44の弁部44aが連通口42C(排気出口部)を開閉するようにしているが、逆に排気入口部を開閉する場合にも同様に適用することができる。
本発明に係るインクジェットプリンタの主たる構成要素を示す概略構成図である。 インクジェットプリンタヘッドの底面図である。 記録ヘッド、補強フレーム、ヘッドホルダ、及びバッファタンクの分解斜視図である。 本発明に係るインクジェットプリンタヘッドを、一部を断面で示す平面図である。 図4のV-V線における断面図である。 図4のVI-VI線における断面図である。 (a)(b)はそれぞれ弁体の実施の形態を示し、(a)は一部断面正面図、(b)は底面図である。 (a)(b)はそれぞれ排気弁手段の動作を示し、(a)はシール材が弁体を一緒に移動する場合を示す説明図、(b)はシール材が弁座面上に残る場合を示す説明図である。 弁室像と、弁部像と、連通孔像(排気出口部または排気入口部)と、間隙像との関係を示す説明図である。 本発明の前提となる構造の説明図である。
符号の説明
P 用紙
100 インクジェットプリンタ
11 記録ヘッド
12 ヘッドホルダ
13a〜13d インク供給チューブ
14 バッファタンク
15 排気弁手段
16a〜16d ノズル
27b 係合凸部
31a〜31d 気泡滞留室
35a〜35d インク流路
41a〜41d 排気通路
42d 排気孔
42A 大径孔部
42B 小径孔部
42C 連通口(排気出口部)
42D 開口端面(弁座面)
44 弁体
44a 弁部
44aa 凹部
44b バルブロッド
44c シール材
44g 突出部
45 コイルスプリング(バネ部材)
52 排気入口部
70 メンテナンスユニット
72a 突出軸部(ロッド押圧部材)
S1 弁室像
S2 弁部像
S3 連通孔像
S4 間隙像

Claims (10)

  1. ノズルからインクを噴射して被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、その記録ヘッドに供給されるインクを貯えるインクタンクと、そのインクタンクから前記記録ヘッドにインクを供給するインク流路と、前記インク流路を通じて供給されたインクを貯留するバッファタンクと、前記バッファタンク内に滞留した気体を排気通路を通じて外部に排気可能である排気弁手段とを備えるインクジェットプリンタにおいて、
    前記排気弁手段は、排気入口部と排気出口部とを有する弁室と、この弁室の排気入口部または排気出口部を開閉する弁体とを備え、
    前記弁体が、前記排気入口部または排気出口部を開閉する弁部と、この弁部に連接されるバルブロッドと、前記排気入口部または排気出口部を閉じる方向に前記弁部を付勢するバネ部材とを備えるものであり、
    前記排気入口部から排気出口部への気体の流路が、前記弁室の中央部に配設された前記バネ部材の外側に形成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 前記排気弁手段は、前記弁体が前記弁室内を摺動可能で、前記バネ部材を圧縮して前記排気入口部または排気出口部を開放する構成とされていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
  3. 前記排気弁手段は、前記排気入口部または排気出口部の周囲に形成される弁座面と、前記排気入口部または排気出口部に対向して形成され前記バネ部材の一端部が嵌り込む係合凸部と、前記弁体の弁部に形成され前記バネ部材の他端部を収納する凹部とを有し、
    前記係合凸部の周囲に、前記排気出口部または排気入口部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記排気出口部または排気入口部と前記係合凸部との間に、前記バネ部材の一端部が接触していることを特徴とする請求項3記載のインクジェットプリンタ。
  5. 前記弁部は、前記バルブロッドに嵌合されるシール材を介して前記排気入口部または排気出口部を閉じる構成とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
  6. 前記弁部は、それの外側面に、前記弁室の内壁面に向かって突出する複数の突出部が円周方向に等角度間隔で設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
  7. 前記弁体の摺動方向に投影したときにできる前記弁室の投影像を弁室像、前記弁部の投影像を弁部像、前記係合凸部の周囲に形成された前記排気入口部または前記排気出口部の投影像を連通孔像、および前記気体の流路に対応する間隙の投影像を間隙像としたときに、
    前記弁部像は、前記弁室像内に含まれるとともに、当該2つの投影像の外形線の間には前記間隙像が位置しており、
    前記間隙像に少なくとも前記連通孔像の一部が重なっていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
  8. 前記間隙像に重なる前記連通孔像の面積は、これ以外の前記連通孔像の面積に比べて広いことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタ。
  9. 前記連通孔像に重なる前記間隙像の面積は、これ以外の前記間隙像の面積に比べて広いことを特徴とする請求項7または8に記載のインクジェットプリンタ。
  10. 前記弁室像は、円形状の外形線を有し、
    複数の前記連通孔像が、前記弁室像の外形線に沿う同心円上に配置されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
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