本発明の実施の形態について、図面を参照し説明する。図1を参照し、印刷装置1の概略構成について説明する。図1の上方、下方、右下方、左上方、左下方、及び右上方が、それぞれ、印刷装置1の上方、下方、右方、左方、前方、及び後方である。
印刷装置1は、被印刷媒体であるTシャツ等の布帛(図示外)の表面に対して、液体のインクを吐出することで印刷を行うインクジェットプリンタである。印刷装置1は、互いに異なる5種のインク(ホワイト、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローのインク)を下方へ向けて吐出することで、被印刷媒体にカラー画像を印刷する。以下の説明では、5種のインクを総称する場合にはインクといい、ホワイトのインクを白インクといい、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの4色のインクを総称する場合はカラーインクという。印刷がなされた布帛が高い洗濯堅牢性を発揮できるよう、インクにはバインダー樹脂が含まれている。白インクには、顔料として例えば酸化チタンが含まれている。酸化チタンは比較的比重の高い無機顔料であり、高い沈降性を有する。よって、白インクは、カラーインクが含む成分よりも沈降性の高い成分を含む液体である。
白インクは、例えば地色が濃い色の布帛に画像が印刷される場合に下地として、カラーインクによる印刷の前に吐出される。印刷画像によっては、必ずしも白インクが吐出された後にカラーインクが吐出されなくてもよい。
図1に示すように、印刷装置1は、筐体2、プラテン機構3、キャリッジ15、及びメンテナンス機構30(図3参照)等を備える。筐体2の前面には、筐体2の内部と連通する開口部2Aが設けられている。
プラテン機構3は、布帛(図示外)を前後方向に搬送するための機構であり、筐体2内側に設けられている。プラテン機構3はベース6、トレイ4、及びプラテン5等を備える。ベース6は、開口部2Aを通過して前後方向に延びる略箱状である。ベース6の内側には、前後方向に延びる一対のレール(図示外)が設けられている。
トレイ4は、ベース6の上側に設けられた平面視で略矩形状の板体である。トレイ4は、プラテン駆動モータ(図示外)の駆動に伴って、一対のレールに沿って移動可能である。プラテン5は、トレイ4の後端部から上方に立設された支柱(図示外)によって支持される平面視で略矩形状の板体である。プラテン5の上面には、布帛のうち印刷がなされる部分(例えば、Tシャツの前身頃等)を載置可能であり、トレイ4の上面には布帛のうち印刷がなされない部分(例えば、Tシャツの袖等)を載置可能である。プラテン5は、トレイ4と共に一対のレールに沿って移動可能である。
筐体2の上端部には、図示外のガイドレール及びガイドシャフトが設けられている。ガイドレールは、後方から前方へ向かって突出する直方体状の部材である。ガイドシャフトは、前方に設けられ、左右方向に延びる。
キャリッジ15は、プラテン機構3の上側にて、ガイドレール及びガイドシャフトに沿って、左右方向に往復移動可能に設けられている。キャリッジ15は、キャリッジ駆動モータ(図示外)の駆動に伴って移動する。印刷装置1が印刷動作を行わない場合、キャリッジ15は移動可能な領域上で最も左側となる位置(以下、待機位置という)に配置される。図1に示すキャリッジ15は、待機位置に位置する。キャリッジ15には、白インクを吐出する第一ヘッドユニット10及びカラーインクを吐出する第二ヘッドユニット20が前後方向に並んで設けられている。第一ヘッドユニット10は第二ヘッドユニット20の後方に位置する。
図2に示される第一ヘッドユニット10は、白インクを貯留する四つのメインタンク(図示外)に、四本の白インク供給チューブ(図示外)を介して接続している。第一ヘッドユニット10は、板状に形成されたヘッド11を有する。ヘッド11は、下方向を向く吐出面11Aを有する。吐出面11Aには、ノズル配列121〜124が形成される。ノズル配列121〜124は、左方から右方へ間隔を空けて順に並んでいる。ノズル配列121〜124は、それぞれ、複数のノズル列を有する。各ノズル列は、吐出面11Aにおいて前後方向に並ぶ複数のノズル111の列を有する。四つのメインタンクに貯留される白インクは、それぞれ、四本の白インク供給チューブを介して、第一ヘッドユニット10のノズル配列121〜124に供給される。
第二ヘッドユニット20は、第一ヘッドユニット10と同様の構成を有する。即ち、第二ヘッドユニット20は、ヘッド11を有する。第二ヘッドユニット20は、四本のカラーインク供給チューブ(図示略)を介して、四つのメインタンク(図示略)に接続している。四つのメインタンクには、互いに異なるカラーインクが貯留される。第二ヘッドユニット20の吐出面11Aに形成されたノズル配列121〜124には、それぞれ、互いに異なるカラーインクが供給される。
図3〜図7を参照し、メンテナンス機構30を説明する。図3では、図4で示される後述の保持部材35、及び板状部材50,80の図示を省略する。図3では、待機位置にあるキャリッジ15の第一ヘッドユニット10を図示する。メンテナンス機構30は、第一ヘッドユニット10と第二ヘッドユニット20のそれぞれに対して、メンテナンス動作を実行する機構である。以下、メンテナンス機構30の構成のうちで、第一ヘッドユニット10にメンテナンスがなされるための構成を説明する。
メンテナンス動作は、キャッピング、パージ、空吸引、及び洗浄を含む。キャッピングは、キャップ40によって、吐出面11A(図2参照)を密封する動作である。パージは、吐出面11A(図2参照)から、インクを吸引する動作である。空吸引は、キャップ40(図3参照)によって保持された液体を、吸引部29によって吸引する動作である。キャップ40によって保持された液体は、一例として、インク、洗浄液22A(図3参照)等の液体である。洗浄は、キャップ40によって保持された液体を、洗浄液22Aによって流し出す動作である。
図3に示すように、メンテナンス機構30は、吸引部29及び保持部材35を備える。吸引部29は、キャリッジ15(図1参照)の待機位置の下方に設けられる。吸引部29は、例えば、公知のチューブポンプ式の吸引ポンプであり、廃液タンク16に接続される。
保持部材35は、吸引部29の上方であって、且つキャリッジ15の待機位置の下方に設けられる。保持部材35は、上方に向けて開口する略箱状である。保持部材35は、筐体2(図1参照)の内部に設けられた上下動モータ21の駆動に伴って、上下方向に移動可能である。
図4及び図6に示すように、保持部材35は、保持壁部36、右吸引路31、左吸引路32、右洗浄路33、左洗浄路34、及び筒状突出部39を備える。
保持壁部36は、平面視において前後方向と左右方向に延びる略矩形状である。右吸引路31及び左吸引路32は、保持壁部36の前部に設けられる。右吸引路31は保持壁部36の右部に設けられ、左吸引路32は保持壁部36の左部に設けられる。右吸引路31と左吸引路32は、保持壁部36を上下方向に貫通する円筒状である。右吸引路31と左吸引路32は、それぞれ、右チューブ23(図3参照)と左チューブ24(図3参照)を介して、吸引部29に接続する。右チューブ23と左チューブ24には、それぞれ、第一バルブ(図示略)が設けられる。第一バルブは、筐体2の内側に設けられた制御部(図示外)に、電気的に接続している。制御部は、第一バルブを、開放状態と遮断状態とに切り替える。右チューブ23において、対応する第一バルブが開放状態になると、右吸引路31と吸引部29は互いに連通し、対応する第一バルブが遮断状態になると、右吸引路31と吸引部29との連通は遮断される。同様に、左チューブ24においても、対応する第一バルブが、制御部によって、開放状態と遮断状態とに切り替えられることにより、左吸引路32と吸引部29との連通状態は、切り替わる。
図4及び図5に示すように、右洗浄路33と左洗浄路34は、保持壁部36の後部に設けられる。右洗浄路33は保持壁部36の右部に設けられ、左洗浄路34は保持壁部36の左部に設けられる。右洗浄路33と左洗浄路34は、保持壁部36を上下方向に貫通する円筒状である。右洗浄路33は、右吸引路31の後方に位置し、左洗浄路34は、左吸引路32の後方に位置する。右洗浄路33と左洗浄路34は、それぞれ、右洗浄チューブ25(図3参照)と左洗浄チューブ26(図3参照)を介して、洗浄液タンク22(図3参照)に接続する。洗浄液タンク22には、メンテナンス機構30の洗浄に使用される洗浄液22Aが貯留される。
右洗浄チューブ25と左洗浄チューブ26は、それぞれ、第二バルブ(図示略)が設けられる。第二バルブは、上述した制御部(図示外)に、電気的に接続している。制御部は、第二バルブを、開放状態と遮断状態とに切り替える。右洗浄チューブ25において、対応する第二バルブが開放状態になると、右洗浄路33と洗浄液タンク22は互いに連通し、対応する第二バルブが遮断状態になると、右洗浄路33と洗浄液タンク22との連通は遮断される。同様に、左洗浄チューブ26においても、対応する第二バルブが、制御部によって、開放状態と遮断状態とに切り替えられることにより、左洗浄路34と洗浄液タンク22との連通状態は、切り替わる。
図4及び図5に示すように、筒状突出部39は、右吸引路31と右洗浄路33との間において、保持壁部36から上方に突出する。筒状突出部39の軸線39Aは、上下方向に延びる。筒状突出部39の上端部の周面には、軸線39Aに向けて凹む溝部39Bが形成される。溝部39Bは、軸線39Aを基準とした円周方向に亘って、筒状突出部39の周面に形成される。溝部39Bには、止め輪28が設けられる。
保持部材35の内側では、キャップ40が保持される。キャップ40は、上方に向けて開口する略箱状である。キャップ40は、弾性体の一例であるゴム材料によって形成される。キャップ40は、底壁部41及び接触壁部47を備える。底壁部41は、保持部材35の保持壁部36によって保持される壁部である。底壁部41の形状は、平面視において前後方向と左右方向に延びる略矩形状である。
底壁部41には、右吸引路31、左吸引路32、右洗浄路33、左洗浄路34、及び筒状突出部39のそれぞれに対応して、孔が設けられる。右洗浄路33、左洗浄路34、筒状突出部39は、底壁部41の孔を介して上方へ突出する。右吸引路31と左吸引路32に対応する底壁部41の孔は、それぞれ、吸引口42A,42Bである。筒状突出部39に対応する底壁部41の孔は、孔42Cである。孔42Cには、筒状突出部39が嵌っている。孔42Cは、平面視において、止め輪28よりも小さい。従って、キャップ40は、止め輪28によって、保持部材35の外側への移動を規制される。尚、筒状突出部39は、筒状に形成されたスペーサ(図示略)を介して、孔42Cに嵌ってもよい。
接触壁部47は、底壁部41から上方に延びる壁部である。接触壁部47の上端部は、上方に向かうにつれて細くなる。保持部材35が、上下動モータ21(図3参照)の駆動に伴い上下動することにより、接触壁部47の上端部は、第一ヘッドユニット10の吐出面11Aに対して接離可能である。すなわち、接触壁部47は、いわゆるキャップリップである。
図4に示すように、接触壁部47は、周壁部42及び仕切壁部45を含む。周壁部42は、底壁部41(図5参照)の周端部から上方に延びる。周壁部42の形状は、平面視において、矩形状且つ枠状である。周壁部42の上端部は、第一ヘッドユニット10の吐出面11A(図2参照)の周端部に対して、接離可能である。仕切壁部45は、右吸引路31と左吸引路32の間と、右洗浄路33と左洗浄路34との間とを通過して、前後方向に延びる。仕切壁部45は、周壁部42に接続する。従って、底壁部41と周壁部42とによって囲まれるキャップ40の内部の空間を、仕切壁部45は二つに仕切る。また、仕切壁部45の上端部は、第一ヘッドユニット10の吐出面11Aのうちで、図2に示すノズル配列121とノズル配列122との間にある部位に対して、接離可能である。
以下、仕切壁部45よりも右側にあるキャップ40内部の空間を、右空間40A(図3参照)といい、仕切壁部45よりも左側にあるキャップ40内部の空間を、左空間40B(図3参照)という。すなわち、右空間40Aは、第一ヘッドユニット10のノズル配列122〜124の下方にあり、左空間40Bは、ノズル配列121の下方にある。
接触壁部47のうちで、右空間40Aを囲む部位を、第一枠状壁部47Aといい、左空間40Bを囲む部位を、第二枠状壁部47Bという。第一枠状壁部47A及び第二枠状壁部47Bは、底壁部41から上方に延びる。第一枠状壁部47Aと第二枠状壁部47Bの形状は、それぞれ、平面視において、矩形状且つ枠状である。第一枠状壁部47Aは、右吸引路31、吸引口42A、及び右洗浄路33を囲み、第二枠状壁部47Bは、左吸引路32、吸引口42B、及び左洗浄路34を囲む。また、第一枠状壁部47Aの内側の端面を、第一内端面47C(図6参照)といい、第二枠状壁部47Bの内側の端面を、第二内端面47D(図6参照)という。第一内端面47Cの下部において、第一溝部91(図6参照)が形成され、第二内端面47Dの下部において、第二溝部92(図6参照)が形成される。第一溝部91は、軸線39Aから遠ざかる方向に凹む。すなわち、右空間40Aは下側の方が広い。第二溝部92も、第一溝部91と同様に形成され、左空間40Bは、下側の方が広い。尚、図2では、接触壁部47が第一ヘッドユニット10の吐出面11Aに接触した場合における、第一枠状壁部47Aと第二枠状壁部47Bを、二点鎖線によって模式的に図示する。接触壁部47が吐出面11Aに接触した場合、第一枠状壁部47Aは、ノズル配列122〜124を囲み、第二枠状壁部47Bは、ノズル配列121を囲む。
図4及び図6に示すように、右空間40Aには吸収部材48が収容され、左空間40Bには吸収部材49が収容される。吸収部材48は、第一枠状壁部47Aに囲まれる位置にて、キャップ40の底壁部41に載置され、吸収部材49は、第二枠状壁部47Bに囲まれる位置にて、底壁部41に載置される。吸収部材48,49の形状は、平面視で前後方向に延びる略矩形状である。吸収部材48,49は、それぞれ、保持部材35の右吸引路31と左吸引路32を上方から覆う。吸収部材48,49は、例えばスポンジなどの液体を保持可能な部材である。吸収部材48,49は、それぞれ、右空間40Aと左空間40Bの湿度を維持するための、洗浄液22Aなどの液体を吸収している。吸収部材48には、右洗浄路33を上方に露出させる露出孔48Aが形成され、吸収部材49には、左洗浄路34を上方に露出させる露出孔49Aが形成される。吸収部材48の中央部には、保持部材35の筒状突出部39が挿通される挿通孔48Bが形成される。挿通孔48Bは、キャップ40の孔42Cよりも上方に位置する。挿通孔48Bは、止め輪28を内側に収容する。
第一枠状壁部47Aと吸収部材48との間には、板状部材50が設けられ、第二枠状壁部47Bと吸収部材49との間には、板状部材80が設けられる。板状部材50,80は、上下方向に厚さを有する板状部材である。本例の板状部材50,80は、樹脂材料によって形成される。つまり、板状部材50,80を形成する材料の硬度は、キャップ40を形成する材料の硬度よりも高い。板状部材50,80は、互いに類似する構成を有するので、以下、板状部材50の構成を詳細に説明し、板状部材80の構成を簡略化して説明する。
図4及び図7に示すように、板状部材50は、基部51を備える。基部51は、第一枠状壁部47Aによって囲まれ、且つ吸収部材48の周面と対向する位置に配置される。より詳細には、基部51は、第一枠状壁部47Aの第一内端面47Cに沿って延び、且つ、第一内端面47Cと、吸収部材48とを互いに仕切る。基部51は、平面視において矩形状となる枠である。また、基部51の一対の対角の中心位置は、平面視において、保持部材35の軸線39Aと略一致する。つまり、基部51の形状は、軸線39Aを基準に点対称となる枠である。
図7に示すように、基部51には、第一面51A、第二面51B、第三面51C、及び第四面51Dが、設けられる。第一面51Aは、基部51の表面のうちで下方向を向く面である。第二面51Bは、基部51の表面のうちで上方向を向く面である。第三面51Cは、基部51の表面のうちで第一枠状壁部47A(図4参照)の第一内端面47Cに対向する面であり、第一面51Aと第二面51Bとを接続する。第四面51Dは、吸収部材48(図4参照)の周面と対向する面であり、第一面51Aと第二面51Bとを接続する。第四面51Dは、第三面51Cに対して、第一枠状壁部47Aの第一内端面47Cとは反対側に位置する。
基部51は、一対の長手壁部52と、一対の短手壁部62とから形成される。一対の長手壁部52は、前後方向に延びる壁部である。一対の長手壁部52は、間を空けて左右方向に互いに対向する。一対の短手壁部62は、左右方向に延びる壁部である。一対の短手壁部62は、間を空けて前後方向に互いに対向する。短手壁部62の左右方向における長さは、長手壁部52の前後方向における長さよりも、短い。本例では、一対の長手壁部52と、一対の短手壁部62は、互いに一体的に形成される。
以下、基部51の第一面51Aのうちで、長手壁部52の表面となる部位を下端面52Aといい、短手壁部62の表面となる部位を下端面62Aという。また、基部51の第二面51Bのうちで、長手壁部52の表面となる部位を上端面52Bといい、短手壁部62の表面となる部位を上端面62Bという。また、基部51の第三面51Cのうちで、長手壁部52の表面となる部位を外側端面52Cといい、短手壁部62表面となる部位を外側端面62Cという。また、基部51の第四面51Dのうちで、長手壁部52の表面となる部位を内側端面52Dといい、短手壁部62の表面となる部位を内側端面62Dという。
長手壁部52は、第一壁部53と、第一突出部57とを有する。第一壁部53は、第一枠状壁部47Aと吸収部材48(図4参照)との間に設けられる。第一壁部53は、第一枠状壁部47Aの第一内端面47Cに対向する。
第一突出部57は、外側端面52Cから内側端面52Dに向かう方向へ、第一壁部53の上端部から突出する。第一突出部57は、吸収部材48の左右方向における端部の真上にあり、且つ、キャップ40の接触壁部47(図4参照)の上端部よりも下側にある。また、第一ヘッドユニット10が待機位置にある場合において、第一突出部57は、ノズル配列122(図2参照)の左端のノズル列、又は、ノズル配列124(図2参照)の右端のノズル列の下方にあってもよい。第一突出部57には、複数の特定凹部58が、前後方向に並んで設けられる。特定凹部58は、長手壁部52の上端面52Bにおいて、下端面52Aに向けて凹む。特定凹部58の底壁部には、第一突出部57を上下方向に貫通する孔部58Aが形成される。孔部58Aの形状は、平面視において、前後方向に長い長方形状である(図4参照)。孔部58Aは、第一突出部57の下方にある吸収部材48を、上方に向けて露出させる(図8参照)。
短手壁部62は、第二壁部63と、第二突出部67とを有する。第二壁部63は、第一枠状壁部47A(図4参照)と吸収部材48(図4参照)との間に設けられる。第二壁部63は、第一枠状壁部47Aの第一内端面47Cに対向する。第二突出部67は、短手壁部62の外側端面62Cから内側端面62Dに向かう方向へ、第二壁部63の上端部から突出する。
第二突出部67は、吸収部材48(図4参照)の前後方向における端部の真上にあり、且つ、キャップ40の接触壁部47(図4参照)の上端部よりも下側にある。第二突出部67の左右方向の両端部には、それぞれ、特定凹部68が設けられる。特定凹部68は、短手壁部62の上端面62Bにおいて、下端面62Aに向けて凹む。特定凹部68の底壁部には、第二突出部67を上下方向に貫通する孔部68A(図4参照)が形成される。孔部68Aの形状は、平面視において、左右方向に長い長方形状である(図4参照)。孔部68Aは、第二突出部67の下方にある吸収部材48を、上方に向けて露出させる(図4参照)。
第二突出部67の左右方向の中央部には、露出凹部69が設けられる。露出凹部69は、左右方向において、二つの孔部68Aの間に位置する。露出凹部69は、第二突出部67のうち、外側端面62Cから内側端面62Dに向かう方向の端部において、外側端面62Cに向けて凹む。露出凹部69は、吸収部材48の前後方向における端部を、上方に向けて露出させる。
図7を参照し、板状部材50の基部51に設けられる凹部100を説明する。凹部100は、一例として、第一凹部71,72、及び第二凹部81〜84を含む。第一凹部71は、一対の短手壁部62の一方に形成され、第一凹部72は、一対の短手壁部62の他方に形成される。第一凹部71,72の形状は、互いに同じである。第一凹部71,72は、それぞれ、短手壁部62の外側端面62Cと内側端面62Dとの間に亘って、下端面62Aにおいて上端面62Bに向けて凹む。第一凹部71,72は、軸線39A(図4参照)を基準に、互いに点対称となる位置にある。
第一凹部71,72の内表面は、それぞれ、一対の対向面75と、底壁面76とによって形成される。一対の対向面75は、左右方向に間を空けて互いに対向する面であり、短手壁部62の下端面62Aと内側端面62Dとに接続する。対向面75は、左側面視において略Lの字状に形成される。底壁面76は、一対の対向面75を互いに接続する。
第二凹部81,82は、一対の長手壁部52の一方に形成され、第二凹部83,84は、一対の長手壁部52の他方に形成される。本例では、第二凹部81〜84の形状は、互いに同じである。第二凹部81〜84は、それぞれ、長手壁部52の下端面52Aから上端面52Bの間に亘って、外側端面52Cにおいて内側端面52Dに向けて凹む。
第二凹部81,82は、複数の特定凹部58を間にして、前後方向に並んで設けられる。即ち、第二凹部81,82は、キャップ40の吸引口42A(図4参照)からの離隔距離が互いに異なる二つの位置に、それぞれ設けられる。図4で示される板状部材50においては、第二凹部81と吸引口42Aとの離隔距離は、第二凹部82と吸引口42Aとの離隔距離よりも短い。
同様に、第二凹部83,84は、複数の特定凹部58を間にして、前後方向に並んで設けられる。第二凹部83は、第二凹部81と同じ左右方向位置にあり、第二凹部84は、第二凹部82と同じ左右方向位置にある。以下、板状部材50によって囲まれる空間のうちで、第二凹部81,83の間にある領域を、第一領域43(図4参照)といい、第二凹部82,84の間にある領域を、第二領域44(図4参照)という。図4においては、第一領域43は、吸引口42Aに対して、第二領域44よりも近接する位置にある。
第二凹部81,84は、軸線39Aを基準に互いに点対称となる位置にある。換言すると、一対の長手壁部52の一方に形成された第二凹部81の位置と、一対の長手壁部52の他方に形成された第二凹部84の位置とは、互いに対称である。同様に、第二凹部82,83は、軸線39Aを基準に互いに点対称となる位置にある。一対の長手壁部52の一方に形成された第二凹部82の位置と、一対の長手壁部52の他方に形成された第二凹部83の位置とは、互いに対称である。
第二凹部81〜84の内表面は、それぞれ、一対の延出面85、及び底面86によって形成される。一対の延出面85は、それぞれ、長手壁部52の外側端面52Cから内側端面52Dに向けて延びる。一対の延出面85は、内側端面52Dに向かうほど互いに近接するように、傾斜する。底面86は、一対の延出面85を互いに接続する。底面86は、延出面86Aと傾斜面86Bを含む(図11参照)。
図11に示すように、延出面86Aは、長手壁部52の上端面52Bから下方へ延びる。延出面86Aは、上下方向と平行に延びてもよいし、上下方向に対して傾斜していてもよい。傾斜面86Bは、延出面86Aと下端面52Aとを接続する。傾斜面86Bは、延出面86Aの下端から下側に延びる。傾斜面86Bは、下方向に延びるにつれて、長手壁部52の外側端面52Cから内側端面52Dに向かう。
図7に示される第二凹部81の深さは、寸法H1によって示される。第二凹部81の深さは、たとえば、第二凹部81の底面86のうちで長手壁部52の内側端面52Dに最も近接する部位と、長手壁部52の外側端面52Cとの、最短の距離をいう。第二凹部82〜84のそれぞれの深さも、第二凹部81の深さと同じ定義によって、規定される。また、第二凹部82の深さは、寸法H2によって示される。寸法H1と寸法H2は、互いに同じである。
図4を参照し、板状部材80の構成の概略を説明する。板状部材80は、基部87を備える。基部87は、第二枠状壁部47Bによって囲まれ、且つ吸収部材49の周面と対向する位置に配置される。より詳細には、基部87は、第二枠状壁部47Bの第二内端面47Dに沿って延び、且つ、第二内端面47Dと、吸収部材49とを互いに仕切る。基部87は、一対の長手壁部88と、一対の短手壁部89とによって形成される。長手壁部88は前後方向に延び、短手壁部89は左右方向に延びる。長手壁部88の形状は、板状部材50の長手壁部52と同じである。つまり、長手壁部88には、複数の特定凹部58、及び第二凹部81〜84が設けられる。一方、短手壁部89は、左右方向において、短手壁部62よりも短い。短手壁部89においては、第一凹部71,72は設けられている一方、特定凹部68及び露出凹部69は、いずれも設けられていない。
図3及び図8を参照し、メンテナンス機構30が第一ヘッドユニット10の吐出面11Aをキャッピングする動作を説明する。図8及び図9は、図4のB−B線矢指方向における断面を模式的に図示する。メンテナンス機構30がキャッピングを実行する前において、キャリッジ15は、待機位置にあり(図1参照)、キャップ40の接触壁部47は、吐出面11Aから下方に離隔し(図3参照)、第一バルブと第二バルブは、いずれも遮断状態にある。
上下動モータ21が駆動することにより、保持部材35は上方(図3の矢印K方向)へ移動する。保持部材35の移動に伴い、キャップ40は、吐出面11Aに向けて移動する。換言すると、キャップ40は、吐出面11Aに対して相対的に移動する。この結果、キャップ40の接触壁部47は、第一ヘッドユニット10の吐出面11Aに接触する(図8参照)。吐出面11Aに接触した接触壁部47の上端部は、下方に向けて弾性変形し、且つ吐出面11Aに密着する。第一枠状壁部47Aは、ノズル配列122〜124(図2参照)を囲み、第二枠状壁部47Bは、ノズル配列121を囲む。吐出面11Aは密封され、メンテナンス機構30はキャッピングを終了する。
吐出面11Aが密封された状態において、液体を吸収した吸収部材48,49のそれぞれから、湿気が上方に向かう。図8で示される矢印Lが向く方向は、右空間40Aにおいて、湿気が向かう方向の一例である。右空間40Aにおいては、一対の長手壁部52のそれぞれの第一突出部57(図7参照)と、一対の短手壁部62のそれぞれの第二突出部67(図7参照)とによって囲まれる空間、露出凹部69、複数の孔部58A、及び複数の孔部68Aを介して、湿気は吐出面11Aへ向かう。
特に、ノズル配列122(図2参照)の左端のノズル列は、左方にある長手壁部52の第一突出部57の上方に近接し、ノズル配列124(図2参照)の右端のノズル列は、右方にある長手壁部52の第一突出部57の上方に近接する。これにより、湿気は、左方にある長手壁部52に形成された複数の孔部58Aを介して、ノズル配列122の左端を形成するノズル列の複数のノズル111に前後方向に亘って行き渡りやすくなる。同様に、湿気は、右方にある長手壁部52に形成された複数の孔部58Aを介して、ノズル配列124の右端を形成するノズル列の複数のノズル111に前後方向に亘って行き渡りやすくなる。
湿気が、吐出面11Aに向かうことで、ノズル配列122〜124は、乾燥しにくくなる。従って、印刷装置1は、ノズル配列122〜124のノズル111に形成される白インクのメニスカスが固化する可能性を低減できる。従って、印刷装置1は、ノズル配列122〜124から白インクが吐出されない不具合を生じにくくできる。同様に、左空間40Bにおいても、印刷装置1はノズル配列121を乾燥しにくくできる。
本例においては、白インクはカラーインクよりも不吐出になりやすい。しかし、印刷装置1がキャッピングを実行した状態においては、吸収部材48,49から生じる湿気によって、白インクが不吐出になる可能性は、低減する。
図3及び図9を参照し、メンテナンス機構30がノズル配列122〜124に対して実行するパージを説明する。メンテナンス機構30がパージを実行する前において、キャップ40の接触壁部47は、第一ヘッドユニット10の吐出面11Aに対して密着しており、第一バルブと第二バルブは、いずれも遮断状態にある。
右チューブ23と左チューブ24のそれぞれに設けられた第一バルブのうち、右チューブ23の第一バルブは、制御部(図示外)によって、遮断状態から開放状態に切り替えられる。吸引部29が駆動し、キャップ40の右空間40Aの圧力は、低下する。これにより、ノズル配列122〜124(図2参照)の各ノズル111から、白インクが排出される(図9参照)。排出された白インクは、吸収部材48によって吸収される。白インクが、各ノズル111から排出された後、右洗浄チューブ25の第二バルブは、制御部(図示外)によって、遮断状態から開放状態に切り替えられる。これにより、洗浄液22Aは、右洗浄チューブ25及び右洗浄路33を介して右空間40Aに流入した後、右吸引路31を介して廃液タンク16へ向けて排出される。第二バルブは、制御部によって、開放状態から遮断状態に切り替えられる。その後、上下動モータ21が駆動することにより、保持部材35は下方に移動する。これにより、キャップ40の接触壁部47は、第一ヘッドユニット10の吐出面11Aから下方に離隔する。メンテナンス機構30は、パージを終了する。
吸引部29が駆動する場合において、キャップ40の右空間40Aの圧力が、大気圧よりも低くなることにより、第一枠状壁部47Aは、内側へ付勢される。図9で示される矢印Mが向く方向は、第一枠状壁部47Aが付勢される方向の一例である。板状部材50の硬度は、第一枠状壁部47Aの硬度よりも高く、且つ、板状部材50は第一枠状壁部47Aの第一内端面47Cに対向する。従って、内側へ付勢された第一枠状壁部47Aは、板状部材50によって、内側へ向けた変形が規制される。よって、内側へ変形する第一枠状壁部47Aは、吐出面11Aから離隔しにくくなる。故に、印刷装置1は、パージを実行する場合であっても、キャップ40の右空間40Aの密封状態をより精度よく維持できる。
また、本例では、右空間40Aの圧力が大気圧よりも低くなることにより、右空間40Aの下方にある底壁部41が、内側へ付勢される。図9で示される矢印Qが向く方向は、底壁部41が付勢される方向の一例である。右空間40Aの下方にある底壁部41が内側へ向けて変形することにより、板状部材50は底壁部41から上方へ浮き上がりやすくなる。尚、右空間40Aの圧力が、パージ実行前の圧力に戻ると、変形していた底壁部41は、元の形状に戻る。この際、板状部材50は、底壁部41から浮き上がった状態を維持する場合と、底壁部41に接触する位置まで下降する場合とがある。
詳細な説明は省略するが、メンテナンス機構30がノズル配列121に対して実行するパージは、上述したノズル配列122〜124に対して実行するパージと同様である。即ち、左チューブ24(図3参照)に設けられた第一バルブが開放状態に切り替わった後、吸引部29は、駆動する。左空間40Bの圧力が低下することにより、ノズル配列121から白インクが排出される。この場合、第二枠状壁部47Bと、左空間40Bの下方にある底壁部41は、それぞれ内側へ付勢される。第二枠状壁部47Bは、板状部材80によって、内側へ向けた変形が規制される。一方、付勢された底壁部41が、内側へ変形することにより、板状部材80は底壁部41から浮き上がる。尚、図9で示される矢印Nが向く方向は、第二枠状壁部47Bが付勢される方向の一例であり、矢印Rが向く方向は、左空間40Bの下方にある底壁部41が付勢される方向の一例である。
図4、図7、図10、及び図11を参照し、メンテナンス機構30が空吸引を実行する動作を説明する。メンテナンス機構30は、パージを実行した後に、空吸引を実行する。図10は、図4のA−A線の矢指方向における断面を、模式的に図示する。また、図10及び図11では、一例として、板状部材50が底壁部41に接触している状態を図示する。以下では、空吸引動作の一例として、吸収部材48に残留する滴を吸引する空吸引を説明する。吸収部材48に残留する滴は、一例として白インクの液滴、洗浄液22Aの液滴などが考えられる。メンテナンス機構30が空吸引を実行する前において、第一バルブと第二バルブは、いずれも遮断状態にある。
右チューブ23(図3参照)の第二バルブが、制御部(図示外)によって、遮断状態から開放状態に切り替えられる。その後、吸引部29が駆動することにより、キャップ40の右空間40Aでは、吸引口42Aに向かう気流が生じる。図4、図7、図10、及び図11で示される矢印Pが向く方向は、右空間40Aの内部で生じる気流の向きの一例を示す。吸収部材48に吸収されていた滴は、右空間40Aの内部で生じる気流によって、吸引口42Aを経由して、右吸引路31へ向かう。右吸引路31まで移動させられた滴は、右チューブ23(図3参照)を介して吸引部29によって吸引された後、廃液タンク16(図3参照)に排出される。
右空間40Aの内部に生じる気流には、第一気流、第二気流、及び第三気流が含まれる。第一気流は、第一凹部71,72の内側で発生した気流であって、第一凹部71,72を経由して右吸引路31に向かう気流である(図4、図10参照)。第二気流は、第二凹部81〜84の内側にて発生した気流であって、第二凹部81〜84を経由して右吸引路31に向かう気流である(図4、図11参照)。第三気流は、第二凹部の81〜84の内側にて発生した気流であって、第一枠状壁部47Aの第一溝部91(図5、図6参照)と、第一凹部71とを順に経由して、右吸引路31に向かう気流である(図7参照)。従って、右空間40Aにおいて、気流が特定の領域に偏って発生する可能性は、板状部材50に凹部100が形成されていない場合に比べて、低くなる。
第二気流は、板状部材50が底壁部41から浮き上がった状態を維持している場合において、発生し易い。また、板状部材50は、底壁部41に接触している状態であっても、メンテナンス機構30のパージの実行に伴い底壁部41から一旦浮き上がったり撓む。これにより、底壁部41と第二凹部81〜84との間には、僅かな隙間が生じ易い。従って、板状部材50が、底壁部41に接触している状態であっても、第二気流は、発生する。尚、板状部材50が底壁部41に接触している状態において、第二気流が発生しない場合がある。
また、第二気流には、一例として、第一領域43を経由して吸引口42Aに向かう気流と、第二領域44を経由して吸引口42Aに向かう気流とが、含まれる。吸引口42Aから第二領域44までの離隔距離は、吸引口42Aから第一領域43までの離隔距離よりも長い。従って、第二領域44においては、第一領域43に比べ、吸引口42Aに向かう気流が発生しにくい傾向、およびこの気流が発生しても弱くなる傾向がある。しかし、第二凹部82,84の深さは、第二凹部81,83の深さと同じである。これにより、第二領域44で生じる気流は、第一領域43で生じる気流よりも、弱くなりにくい。
詳細な説明は省略するが、吸収部材49に残留する滴を吸引するメンテナンス機構30の動作は、吸収部材48に残留する滴を吸引するメンテナンス機構30の上述の動作と同様である。即ち、左チューブ24(図3参照)に設けられた第一バルブが、制御部(図示外)によって開放状態に切り替えられた後、吸引部29は、駆動する。左空間40Bの内部において、吸引口42Bに向かう気流が発生する(図示略)。吸引部29は、吸収部材49に残留する滴を、吸引口42B、左吸引路32、及び左チューブ24を介して吸引する。左空間40Bの内部において、気流が特定の領域に偏って発生する可能性は、板状部材80の第一凹部71,72及び第二凹部81〜84が設けられていない場合に比べ、低くなる。
図4を参照し、板状部材50の保持部材35への配置方法の一例を説明する。以下の説明では、図4で示される板状部材50の軸線39Aを中心とした回転位置を、第一回転位置という。吸収部材48が、右空間40Aに配置された後、板状部材50は、右空間40Aに配置される。基部51の形状は、軸線39Aを基準に点対称な形状である。従って、板状部材50が、第一回転位置から軸線39Aを中心に180度回転した第二回転位置にある場合であっても、板状部材50は右空間40Aに配置可能である。
第一凹部71,72は、軸線39Aを基準に互いに点対称となる位置にある。同様に、第二凹部81,84は、軸線39Aを基準に互いに点対称となる位置にあり、第二凹部82,83は、軸線39Aを基準に互いに点対称となる位置にある。これにより、板状部材50が、第二回転位置にある場合であっても、第一凹部71,72の吸引口42Aに対する位置関係、及び第二凹部81〜84の吸引口42Aに対する位置関係は、変わらない。つまり、板状部材50が、第二回転位置にある状態で右空間40Aに配置された場合であっても、メンテナンス機構30の空吸引の実行に伴って、右空間40Aには吸引口42Aに向かう気流は、一様に発生し易い。以上より、右空間40Aに配置可能な板状部材50の回転位置には、第一回転位置と第二回転位置とが、含まれる。
以上、説明したように、吸引部29は吸引口42Aを介してキャップ40の内部と接続する。吸引部29が、メンテナンス機構30のパージの実行に伴って駆動する場合において、板状部材50は、第一枠状壁部47Aの内側への変形を規制する。よって、印刷装置1は、パージが実行されるときのキャップ40内部の機密性をより確保し易くできる。また、吸引部29が、メンテナンス機構30の空吸引の実行に伴い駆動する場合において、キャップ40の内部では、第一気流、第二気流、及び第三気流のいずれかが生じやすくなる。この結果、吸収部材48における吸引ムラの度合いが低減する。よって、印刷装置1は、キャップ40内部で発生する滴を一様に吸引し易い。
キャップ40内部で発生する滴が一様に吸収されることによって、キャップ40に残留する滴が、吐出面11Aに付着しにくくなる。これにより、印刷装置1は、ノズル111に形成される白インクのメニスカスに、滴が付着する可能性を低減できる。よって、印刷装置1は、ノズル111に形成される白インクのメニスカスを、維持し易い。
凹部100の第二凹部81〜84は、長手壁部52に形成される。長手壁部52は、短手壁部62よりも、第一枠状壁部47Aの第一内端面47Cに対向する部位を、多く有し易い。よって、第二凹部81〜84が形成されることにより板状部材50の剛性が低下する場合であっても、印刷装置1は、第一枠状壁部47Aの変形を規制し易い。また、長手壁部52には、複数の凹部である第二凹部81〜84が形成される。従って、メンテナンス機構30が空吸引を実行する場合において、吸引口42Aに向かう気流は、生じ易い。よって、印刷装置1は、吸収部材48に生じる滴を一様に更に吸収し易い。
第二凹部82の深さは、第二凹部81の深さと同じであり、第二凹部81の深さよりも浅くない。同様に、第二凹部84の深さは、第二凹部83の深さよりも浅くない。従って、第二領域44で生じる気流は、第一領域43で生じる気流よりも、弱くなりにくい。よって、吸引部29がメンテナンス機構30の空吸引に伴って駆動する場合において、吸収部材48における吸引ムラの度合いは、更に低減する。
第二凹部81〜84のそれぞれの傾斜面86Bは、下端面52Aから上側に延びる。各傾斜面86Bは、上方向に延びるにつれて、長手壁部52の内側端面52Dから外側端面62Cに向かう。メンテナンス機構30が空吸引を実行する場合において、第二気流は、傾斜面86Bに沿って、基部51の内側にある吸引口42Aに向かい易い。よって、メンテナンス機構30が空吸引を実行する場合において、吸収部材49における吸引ムラの度合いが更に低減する。
第一凹部71,72は、それぞれ、短手壁部62に形成される。短手壁部62のうちで少なくとも上端部は、左右方向に亘って形成される。従って、前後方向における短手壁部62の剛性は、維持され易い。よって、印刷装置1は、短手壁部62の剛性を維持しつつ、吸収部材49における吸引ムラの度合いを低減できる。また、右空間40Aに配置可能な板状部材50の回転位置には、第一回転位置と第二回転位置とが、含まれる。従って、板状部材50の軸線39Aを中心とした回転位置が反転した場合であっても、板状部材50は、右空間40Aに配置可能となる。
上記実施例において、第一枠状壁部47A及び第二枠状壁部47Bは、本発明の「枠状壁部」の一例である。吸引部29は、本発明の「吸引手段」の一例である。第一内端面47C及び第二内端面47Dは、本発明の「内端面」の一例である。短手壁部62は、本発明の「第一延設部」の一例である。長手壁部52は、本発明の「第二延設部」の一例である。一対の延出面85は、それぞれ、本発明の「第一延出面」及び「第二延出面」の一例である。下方向は、本発明の「所定方向」の一例である。第一方向は、本発明の「左右方向」の一例である。第二方向は、本発明の「前後方向」の一例である。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、第一ヘッドユニット10が白インクを吐出する代わりに、カラーインクを吐出してもよい。板状部材50は、樹脂材料によって形成される代わりに、例えば、キャップ40を形成するゴム材料よりも高い硬度を有するゴム材料によって、形成されてもよい。板状部材50の基部51は、複数の部材によって、枠状に形成されていてもよい。この場合、複数の部材の間に、隙間が生じていてもよい。また、キャップ40が上方に移動して吐出面11Aに密着する代わりに、第一ヘッドユニット10が下降して吐出面11Aが接触壁部47に密着してもよい。
第二領域44の左右方向の両側に設けられる第二凹部82,84のそれぞれの深さは、いずれも、第一領域43の左右両側に設けられる第二凹部81,83のそれぞれの深さよりも、深くてもよい。この場合、メンテナンス機構30が空吸引を実行する場合において、第二領域44を経由する気流は、発生し易くなる。また、第二領域44を経由する気流は、第一領域43を経由する気流よりも、更に弱くなりにくい。
板状部材50の基部51には、複数の特定凹部58,68、及び、第一凹部71,72の少なくとも一つが設けられなくてもよい。以下、この変形例に係る板状部材を、第一板状部材という。第一板状部材の形状は、軸線39Aを中心に点対称となる形状であり、且つ、上下方向に対称となる形状となる。従って、第一板状部材の上下方向の一端面が、上方と下方のいずれの方向を向く場合であっても、第一板状部材は右空間40Aに配置可能となる。
凹部100は、第一凹部72、及び第二凹部81〜84を含まず、第一凹部71のみを含んでいてもよい。この場合、第一凹部71は、短手壁部62に代えて長手壁部52に形成されてもよい。同様に、凹部100は、第一凹部71,72及び第二凹部82〜84を含まず、第二凹部81のみを含んでいてもよい。この場合、第二凹部81は長手壁部52に代えて短手壁部62に形成されてもよい。
第二凹部81,82は、吸引口42Aからの離隔距離が互いに同じになる二つの位置に、それぞれ設けられてもよい。例えば、吸引口42Aが、板状部材50の基部51(図4参照)の一対の対角の中心位置に、設けられてもよい。この場合、吸引口42Aは、第二凹部81〜84のそれぞれに対して、同じ距離、離隔する。また、第二凹部81〜84の少なくとも一つは、傾斜面86Bを備えていなくてもよい。この場合、例えば、延出面86Aが、上端面52Bと下端面52Aを接続してもよい。
第一凹部71,72は、互いに同じ形状でなくてもよい。例えば、第一凹部72の左右方向の長さが、第一凹部71の左右方向の長さよりも、長くてもよい。この場合、第一凹部72は、吸引口42Aに対して、第一凹部71よりも離隔した位置に配置されてもよい。