JP2005269996A - パン用品質改良剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然物だけで製造でき、化学薬品等の添加されないパン用品質改良剤に関し、特に、焼上がり形状がよく、ボリューム感があり、ソフトな食感および風味に優れるパンを得ることができるパン用品質改良剤、この品質改良剤を用いた、種生地、パンを提供する。
【解決手段】大豆とゴマとの乳酸発酵物、およびカテキンを含有するパン用品質改良剤。
【選択図】なし
【解決手段】大豆とゴマとの乳酸発酵物、およびカテキンを含有するパン用品質改良剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、天然物だけで製造でき、化学薬品等の添加されないパン用品質改良剤に関し、特に、焼上がり形状がよく、ボリューム感があり、ソフトな食感および風味に優れるパンを得ることができるパン用品質改良剤、この品質改良剤を用いた、種生地、パンに関する。
本来パンは小麦粉に水を混ぜて捏ね、酵母で発酵した後に焼成したものであるが、塩や砂糖を捏ね合わせることでそれぞれ小麦粉のグルテン架橋形成や酵母発酵が効率的に行える。また工業的には水質の差異による発酵のばらつきを無くし一定の製品を得るためにイーストフードや捏ね工程で機械を使用する際に生地の機械耐性を高めるために様々な化学合成添加物が用いられてきた。しかし昨今の健康志向から化学合成添加物からの脱却が行われ、これまでの製パン法から化学合成添加物を使用しない傾向がますます強まってきている。
パンの風味、焼き上がり形状、食感などを改善するために、パン生地に用いられる添加物として、たとえば糖類、さらには糖化酵素、麹などを添加することによりイーストが資化する糖を供給してイーストの活性を高める方法が知られている。
さらに香付けとして、酒粕、乳酸発酵物、果実などを添加することも知られている。また種生地製造時には、柔い食感を出すなどのための品質改良剤として人体には有用とされない種々の化学合成品が添加される傾向にある。たとえばイーストフードとともに乳化剤、ブロメート酸化剤などが添加されるが、特にグリセライドなどの乳化剤は、化学合成品の方が入手しやすいことおよび製品の均質性の面などから商業的に多用されている。
パンの風味、焼き上がり形状、食感などを改善するために、パン生地に用いられる添加物として、たとえば糖類、さらには糖化酵素、麹などを添加することによりイーストが資化する糖を供給してイーストの活性を高める方法が知られている。
さらに香付けとして、酒粕、乳酸発酵物、果実などを添加することも知られている。また種生地製造時には、柔い食感を出すなどのための品質改良剤として人体には有用とされない種々の化学合成品が添加される傾向にある。たとえばイーストフードとともに乳化剤、ブロメート酸化剤などが添加されるが、特にグリセライドなどの乳化剤は、化学合成品の方が入手しやすいことおよび製品の均質性の面などから商業的に多用されている。
パンは高い頻度で喫食される主食であって、安易に化学合成添加物を使用することは望ましくない。しかし、従来、天然素材によって、特に種生地製造時のイーストフード、乳化剤などの機能を充分に果たすものが知られていない。このため現在多用されているこれら化学合成添加物に代えても所望の品質のパンが得られ、また生産性を低下させることなく商業的なパンの生産においても利用しうる天然素材のパン用品質改良剤の開発が切望されている。
本発明の目的は、従来技術の問題点を解決し、天然物だけで製造でき、化学合成添加物を使用せず、天然素材が本来持つ力を利用して、焼上がり形状がよく、ボリューム感があり、ソフトな食感および香味に優れ、保存性のよいパンを得ることができるパン用品質改良剤を提供しようとする。
本発明の目的は、従来技術の問題点を解決し、天然物だけで製造でき、化学薬品等の添加されないパン用品質改良剤、特に、焼上がり形状がよく、ボリューム感があり、ソフトな食感および風味に優れるパンを得ることができるパン用品質改良剤、この品質改良剤を用いた、種生地、パンを提供する。
すなわち本発明は、以下の各発明を提供する。
(1)大豆とゴマとの乳酸発酵物、およびカテキン含有するパン用品質改良剤。
(2)大豆とゴマとを乳酸発酵させ、カテキンを添加して得られるパン用品質改良剤。
(3)大豆とゴマとの乳酸発酵が、蔗糖より低分子の糖を使用した乳酸菌発酵物をスターターとして乳酸発酵させた発酵物である上記(1)または(2)に記載のパン用品質改良剤。
(4)大豆とゴマとの乳酸発酵物が、大豆とゴマに、さらに大豆から得られるレシチンを添加した混合物を乳酸発酵させたものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のパン用品質改良剤。
(5)前記カテキンがお茶抽出物である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のパン用品質改良剤。
(6)製パン用穀粉と、酵母と、大豆とゴマとの乳酸発酵物と、麦芽糖などの蔗糖より低分子の糖の乳酸菌発酵物とを混合し、さらにカテキンを添加して捏上げ、一次発酵させた種生地。
(7)製パン用穀粉と、酵母と、大豆とゴマとの乳酸発酵物と、カテキンとを混合して捏上げ、一次発酵させた種生地。
(8)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のパン用品質改良剤を含むパン。
(1)大豆とゴマとの乳酸発酵物、およびカテキン含有するパン用品質改良剤。
(2)大豆とゴマとを乳酸発酵させ、カテキンを添加して得られるパン用品質改良剤。
(3)大豆とゴマとの乳酸発酵が、蔗糖より低分子の糖を使用した乳酸菌発酵物をスターターとして乳酸発酵させた発酵物である上記(1)または(2)に記載のパン用品質改良剤。
(4)大豆とゴマとの乳酸発酵物が、大豆とゴマに、さらに大豆から得られるレシチンを添加した混合物を乳酸発酵させたものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のパン用品質改良剤。
(5)前記カテキンがお茶抽出物である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のパン用品質改良剤。
(6)製パン用穀粉と、酵母と、大豆とゴマとの乳酸発酵物と、麦芽糖などの蔗糖より低分子の糖の乳酸菌発酵物とを混合し、さらにカテキンを添加して捏上げ、一次発酵させた種生地。
(7)製パン用穀粉と、酵母と、大豆とゴマとの乳酸発酵物と、カテキンとを混合して捏上げ、一次発酵させた種生地。
(8)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のパン用品質改良剤を含むパン。
本発明のパン用品質改良剤は、天然物だけで製造でき、化学合成添加物が使用されない。このパン用品質改良剤を用いると、本来天然素材が持っている力を利用して、焼上がり形状がよく、ボリューム感があり、ソフトな食感および香味に優れ、保存性のよいパンを得ることができる。
1.大豆とゴマとの乳酸発酵物およびカテキンよりなるパン用品質改良剤
本発明は、油脂植物として多量の油分を含むゴマ自体が持つその油分を保持する乳化力に着目し、さらに抗酸化力のあるお茶抽出物を使用することで、焼き上がりのボリュームと形状が良く、ソフトな食感および香味、呈味性に優れ、保存性の良いパンが得られるパン用品質改良剤である。
本発明は、油脂植物として多量の油分を含むゴマ自体が持つその油分を保持する乳化力に着目し、さらに抗酸化力のあるお茶抽出物を使用することで、焼き上がりのボリュームと形状が良く、ソフトな食感および香味、呈味性に優れ、保存性の良いパンが得られるパン用品質改良剤である。
<大豆とゴマとの乳酸発酵物>
1)大豆とゴマとをそれぞれ別に、または混合して粉砕する。大豆粉にゴマを混合して粉砕しても良い。大豆とゴマの割合は、1:2〜2:1の範囲が好ましい。この範囲であるとゴマ自身が持つ油分を、焼き上がりパンのボリュームと形状、ソフトな食感に生かせるパン用品質改良剤としての効果が高い。
2)大豆とゴマの粉砕物に水を加え、場合により大豆由来のレシチンを加えても良い。レシチンを加えると、焼きあがったパンにさっくり感を与え、食べやすいパンになるという利点がある。水の量は限定されないが、大豆とゴマとの粉砕物35gに対して、100cc〜1000ccが好ましい。
1)大豆とゴマとをそれぞれ別に、または混合して粉砕する。大豆粉にゴマを混合して粉砕しても良い。大豆とゴマの割合は、1:2〜2:1の範囲が好ましい。この範囲であるとゴマ自身が持つ油分を、焼き上がりパンのボリュームと形状、ソフトな食感に生かせるパン用品質改良剤としての効果が高い。
2)大豆とゴマの粉砕物に水を加え、場合により大豆由来のレシチンを加えても良い。レシチンを加えると、焼きあがったパンにさっくり感を与え、食べやすいパンになるという利点がある。水の量は限定されないが、大豆とゴマとの粉砕物35gに対して、100cc〜1000ccが好ましい。
3)乳酸菌を加えて乳酸発酵させる。乳酸菌はラクトバチルスブルガルクス(Lactobacillus bulgaricus)とストレプトコッカスサーモフィルス(Streptococcus thermophilus)が好ましい。市販のヨーグルトを用いても良い。乳酸発酵のスターターとして、水、麦芽糖などの蔗糖より低分子の糖および乳酸菌との混合物を10時間以上、好ましくは10〜20時間乳酸発酵させた物を使用しても良い。
4)乳酸発酵時間は限定されないが、7時間以上が好ましく、10〜20時間がより好ましい。
大豆とゴマとの乳酸発酵物の製パン用穀粉への添加量は大豆とゴマ分として乾燥基準で換算すると、例えば小麦粉100gに対して0.5〜10gの添加量とするのが好ましい。この範囲であると、焼き上がりのパンにボリューム感があり、ソフトな食感が得られる。レシチン量は、0.05〜0.5gであるのが好ましい。
4)乳酸発酵時間は限定されないが、7時間以上が好ましく、10〜20時間がより好ましい。
大豆とゴマとの乳酸発酵物の製パン用穀粉への添加量は大豆とゴマ分として乾燥基準で換算すると、例えば小麦粉100gに対して0.5〜10gの添加量とするのが好ましい。この範囲であると、焼き上がりのパンにボリューム感があり、ソフトな食感が得られる。レシチン量は、0.05〜0.5gであるのが好ましい。
<カテキン>
お茶抽出物であり、抹茶には約10質量%のカテキン類が含まれている。本発明で使用するカテキンは、カテキン類として精製されたものでもよいが、茶葉の粗精製品を用いてもよい。また、緑茶やイチョウの葉のようなカテキン類を多く含む天然植物を凍結乾燥したものでもよいし、さらに粒子状に加工したものでもよい。
カテキン類は、茶の味の成分で滋味のもとであり、これが多いと飲み口が渋い茶になることで知られている。エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4種類が知られているが、本発明では、カテキンの種類は限定されない。エピガロカテキンまたはエピガロカテキンガレートを用いれば、パンへの着色が抑えられるので好ましい。
添加量は製パン用穀粉100gに対して、0.001〜0.005g(対粉%)加える。この範囲未満であると発明の効果がみられない、この範囲を超えると焼きあがったパンに着色がみられることがある。
お茶抽出物であり、抹茶には約10質量%のカテキン類が含まれている。本発明で使用するカテキンは、カテキン類として精製されたものでもよいが、茶葉の粗精製品を用いてもよい。また、緑茶やイチョウの葉のようなカテキン類を多く含む天然植物を凍結乾燥したものでもよいし、さらに粒子状に加工したものでもよい。
カテキン類は、茶の味の成分で滋味のもとであり、これが多いと飲み口が渋い茶になることで知られている。エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4種類が知られているが、本発明では、カテキンの種類は限定されない。エピガロカテキンまたはエピガロカテキンガレートを用いれば、パンへの着色が抑えられるので好ましい。
添加量は製パン用穀粉100gに対して、0.001〜0.005g(対粉%)加える。この範囲未満であると発明の効果がみられない、この範囲を超えると焼きあがったパンに着色がみられることがある。
<パン用品質改良剤>
以上で説明した大豆とゴマとの乳酸発酵物とカテキンとはそれぞれ別々に製パン用穀粉と混合しても良い。たとえば、大豆とゴマとの乳酸発酵物は、乳酸発酵させた状態そのままで水を含んだ混合物として製パン用穀粉に混合し、カテキンは、添加量が少量なので、予め少量の製パン用穀粉に混ぜてから製パン用穀粉に混ぜれば均質に混合できる。また、パン用品質改良剤として大豆とゴマとの乳酸発酵物とカテキンとをそれぞれ、または混合して乾燥し粉末としても良い。乾燥し、粉末とするには、噴霧乾燥で行えば、生産コスト的に負担が少なく好ましいが、天然素材としての能力をより精査に維持するには凍結乾燥とすることが好ましい。また、必要な場合はさらに大豆から得られるレシチンを上記のいずれかの段階で加えてもよい。さらに、得られる粉末を小麦粉に混ぜてパン用品質改良剤とすれば、取扱性に優れる。
<本発明のパンの製造>
本発明のパンに用いられる製パン用穀粉は、小麦粉、ライ麦粉等の通常パンに用いられる穀物の粉であれば限定されない。小麦粉としては、強力小、中力粉、薄力粉等のいずれでもよいし、これらの混合物でも良い。製パン用穀粉に、糖分、油分、塩、酵母、水、上記で得られた大豆とゴマとの乳酸発酵液、レシチン、およびカテキンをこねて、発酵させ焼き上げた本発明のパンは、ボリューム、香味ともに良い。焼き方は通常行われる方法であれば、小規模のパン焼き機を使っても良いし、工業生産のパン焼きがまを使用して行っても良い。
以上で説明した大豆とゴマとの乳酸発酵物とカテキンとはそれぞれ別々に製パン用穀粉と混合しても良い。たとえば、大豆とゴマとの乳酸発酵物は、乳酸発酵させた状態そのままで水を含んだ混合物として製パン用穀粉に混合し、カテキンは、添加量が少量なので、予め少量の製パン用穀粉に混ぜてから製パン用穀粉に混ぜれば均質に混合できる。また、パン用品質改良剤として大豆とゴマとの乳酸発酵物とカテキンとをそれぞれ、または混合して乾燥し粉末としても良い。乾燥し、粉末とするには、噴霧乾燥で行えば、生産コスト的に負担が少なく好ましいが、天然素材としての能力をより精査に維持するには凍結乾燥とすることが好ましい。また、必要な場合はさらに大豆から得られるレシチンを上記のいずれかの段階で加えてもよい。さらに、得られる粉末を小麦粉に混ぜてパン用品質改良剤とすれば、取扱性に優れる。
<本発明のパンの製造>
本発明のパンに用いられる製パン用穀粉は、小麦粉、ライ麦粉等の通常パンに用いられる穀物の粉であれば限定されない。小麦粉としては、強力小、中力粉、薄力粉等のいずれでもよいし、これらの混合物でも良い。製パン用穀粉に、糖分、油分、塩、酵母、水、上記で得られた大豆とゴマとの乳酸発酵液、レシチン、およびカテキンをこねて、発酵させ焼き上げた本発明のパンは、ボリューム、香味ともに良い。焼き方は通常行われる方法であれば、小規模のパン焼き機を使っても良いし、工業生産のパン焼きがまを使用して行っても良い。
以下の実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
<大豆とゴマとの乳酸発酵物の製造>
1.以下の条件でスターターを製造した。
水 300cc
麦芽糖 50cc〜110cc
乳酸菌:市販ヨーグルト 110g
発酵時間:12時間、温度38℃
2.下記の原料割合で大豆とゴマとの乳酸発酵液を製造した。
発酵液製造の原料割合
大豆粉 20g
ゴマ 15g
レシチン 7g大豆由来
水 300cc
上記1.で得られたスターター 30g
発酵時間:12時間、温度38℃
(実施例)
<大豆とゴマとの乳酸発酵物の製造>
1.以下の条件でスターターを製造した。
水 300cc
麦芽糖 50cc〜110cc
乳酸菌:市販ヨーグルト 110g
発酵時間:12時間、温度38℃
2.下記の原料割合で大豆とゴマとの乳酸発酵液を製造した。
発酵液製造の原料割合
大豆粉 20g
ゴマ 15g
レシチン 7g大豆由来
水 300cc
上記1.で得られたスターター 30g
発酵時間:12時間、温度38℃
3.<パンの製造>
小麦粉の量を100として、それに対して砂糖対粉1%、麦芽糖対粉2%、油分対粉4%、塩対粉1%、酵母対粉2%、水対粉65%、上記で得られた大豆とゴマとの乳酸発酵液対粉1%、レシチン対粉0.2%、カテキン対粉0.00375%として焼成したパンは、ボリューム、香味ともに良い結果が得られた。詳細は別添表に記載した。製パン法は直練法とした。
小麦粉は強力粉と薄力粉の2種類を7対3の割合で混合した。この方法はフランスパンを焼くときと同様な方法で、フランスパンは匂いが良く出るパンで、実験においてはその匂い官能試験がしやすいようにという目的からこのレシピ(製パン時割合1)を採択した。
別に、強力粉だけで焼いた場合も、前述の匂いの点を除いた他の点での結果は同様に良い結果が得られた。
なお、ここで用いる対粉%は、製パン業で用いるもので小麦粉の量を100gとして、それぞれの成分量を小麦粉量に対しての百分率で表現し、総量は小麦粉量100gに成分量分が加算される%である。一般的な百分率とは異なり、小麦粉100質量部に対する成分の質量部が対粉%と表示されている。
小麦粉の量を100として、それに対して砂糖対粉1%、麦芽糖対粉2%、油分対粉4%、塩対粉1%、酵母対粉2%、水対粉65%、上記で得られた大豆とゴマとの乳酸発酵液対粉1%、レシチン対粉0.2%、カテキン対粉0.00375%として焼成したパンは、ボリューム、香味ともに良い結果が得られた。詳細は別添表に記載した。製パン法は直練法とした。
小麦粉は強力粉と薄力粉の2種類を7対3の割合で混合した。この方法はフランスパンを焼くときと同様な方法で、フランスパンは匂いが良く出るパンで、実験においてはその匂い官能試験がしやすいようにという目的からこのレシピ(製パン時割合1)を採択した。
別に、強力粉だけで焼いた場合も、前述の匂いの点を除いた他の点での結果は同様に良い結果が得られた。
なお、ここで用いる対粉%は、製パン業で用いるもので小麦粉の量を100gとして、それぞれの成分量を小麦粉量に対しての百分率で表現し、総量は小麦粉量100gに成分量分が加算される%である。一般的な百分率とは異なり、小麦粉100質量部に対する成分の質量部が対粉%と表示されている。
*乳酸発酵液中の水分量は、37.7gであり、水の対粉%には、この水分量が加算されている。水のg数にはこの水分量は入っていない。
**カテキン入粉の割合、薄力粉. 100g、カテキン 0.1g
カテキン量:約0.015g(0.00375対粉%)
**カテキン入粉の割合、薄力粉. 100g、カテキン 0.1g
カテキン量:約0.015g(0.00375対粉%)
4.パンの評価
(1)ソフト感の評価
トースト前の耳以外の白い部分、即ちサンドイッチに使用される部分で耳近くから中央部にかけての歪みに対する反発力の評価をソフト感と表現することが妥当と判断し、ソフト感について、一定の歪みに対する反発力を測定した。
通常パンを食べるとき2〜3cmの厚さにスライスされたものを口に入れる時の破断方向はパンの切り口に対して垂直なので、測定実験ではスライスされたパンの切り口に対して垂直方向に一定の歪みを与えた場合の反発力を、耳付近から中央部にかけて一定の面積に切り分け、それらの加重平均値を測定値とした。この測定値の大小をソフト感の指標とする。
測定値は、一定の応力を与えた時の時間的な歪みの変化を測定するクリープメータを使用し、静岡県静岡工業技術センター・食品技術部門にて平成16年1月下旬に行った。時間的な歪みの変化で直線的な部分が応力として最適値とされ、分析した結果、歪み4%がそれに相当したので、歪み4%時での応力を表2に示した。応力の単位はPa(パスカル)で、数値が大きいほど反発力が強いのでそれだけ硬く、数値が小さいほどそれだけソフト感がある。
測定したパンはスタンダード、カテキン入り、発酵液入り、発酵液とカテキンの4種類で、その製品内容は以下の通りで、配合割合は表2に示した。なお発酵液は対粉で1%、カテキンは以前の資料と同量の0.00375対粉%添加した。
(1)ソフト感の評価
トースト前の耳以外の白い部分、即ちサンドイッチに使用される部分で耳近くから中央部にかけての歪みに対する反発力の評価をソフト感と表現することが妥当と判断し、ソフト感について、一定の歪みに対する反発力を測定した。
通常パンを食べるとき2〜3cmの厚さにスライスされたものを口に入れる時の破断方向はパンの切り口に対して垂直なので、測定実験ではスライスされたパンの切り口に対して垂直方向に一定の歪みを与えた場合の反発力を、耳付近から中央部にかけて一定の面積に切り分け、それらの加重平均値を測定値とした。この測定値の大小をソフト感の指標とする。
測定値は、一定の応力を与えた時の時間的な歪みの変化を測定するクリープメータを使用し、静岡県静岡工業技術センター・食品技術部門にて平成16年1月下旬に行った。時間的な歪みの変化で直線的な部分が応力として最適値とされ、分析した結果、歪み4%がそれに相当したので、歪み4%時での応力を表2に示した。応力の単位はPa(パスカル)で、数値が大きいほど反発力が強いのでそれだけ硬く、数値が小さいほどそれだけソフト感がある。
測定したパンはスタンダード、カテキン入り、発酵液入り、発酵液とカテキンの4種類で、その製品内容は以下の通りで、配合割合は表2に示した。なお発酵液は対粉で1%、カテキンは以前の資料と同量の0.00375対粉%添加した。
<実験したパンの種類とその内容物>
スタンダード 小麦粉+糖+油脂+塩+酵母+水(表2)
カテキン入り スタンダード+カテキン(表2)
発酵液入り スタンダード+発酵液(表2)
表2の割合1 表1の割合1と同じ、スタンダード+発酵液+カテキン
スタンダード 小麦粉+糖+油脂+塩+酵母+水(表2)
カテキン入り スタンダード+カテキン(表2)
発酵液入り スタンダード+発酵液(表2)
表2の割合1 表1の割合1と同じ、スタンダード+発酵液+カテキン
表2に示すように、歪4%時の応力測定では、カテキン入りは、対スタンダード比で約13.5%の減少が認められ、ソフト感が増加した。カテキンのみの添加よりもカテキンと大豆ゴマ発酵液入りではソフト感の大幅な上昇が認められた。カテキンだけの添加よりも今回の発明製品を添加した場合には更にソフト感が増加していることが明白に示された。対スタンダード比で59〜63%、対カテキン入り比でも54〜58%もソフト感の上昇が認められ、これら数値は画期的であった。
(2)ボリューム感の評価
さらにソフト感とは別に、パン体積比についても同時に算出した。体積算出する際に、個々のパンの山形形状が一定ではないので、ある程度一定であると仮定して、数学的に近似した計算式を用いて算出した。
さらにソフト感とは別に、パン体積比についても同時に算出した。体積算出する際に、個々のパンの山形形状が一定ではないので、ある程度一定であると仮定して、数学的に近似した計算式を用いて算出した。
上記の式により各実験パンの体積を算出した結果、本発明製品添加によって対スタンダード比で29〜31%、対カテキン比でも27〜29%の増加が見られた。カテキン入りでは対スタンダード比で2%程度の増加であった。
Claims (8)
- 大豆とゴマとの乳酸発酵物、およびカテキンを含有するパン用品質改良剤。
- 大豆とゴマとを乳酸発酵させ、カテキンを添加して得られるパン用品質改良剤。
- 大豆とゴマとの乳酸発酵が、蔗糖より低分子の糖を使用した乳酸菌発酵物をスターターとして乳酸発酵させた発酵物である請求項1または2に記載のパン用品質改良剤。
- 大豆とゴマとの乳酸発酵物が、大豆とゴマに、さらに大豆から得られるレシチンを添加した混合物を乳酸発酵させたものである請求項1〜3のいずれかに記載のパン用品質改良剤。
- 前記カテキンがお茶抽出物である請求項1〜4のいずれかに記載のパン用品質改良剤。
- 製パン用穀粉と、酵母と、大豆とゴマとの乳酸発酵物とカテキンとを混合して捏上げ、一次発酵させた種生地。
- 製パン用穀粉と、酵母と、大豆とゴマとの乳酸発酵物と、カテキンとを混合して捏上げ、焼き上げて得られるパン。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のパン用品質改良剤を含むパン。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008090739A1 (ja) | 2007-01-24 | 2008-07-31 | Kao Corporation | パン類 |
JP2016163560A (ja) * | 2015-02-27 | 2016-09-08 | 有限会社ソーイ | 醗酵組成物その製造方法およびそれを用いる食品 |
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-
2004
- 2004-03-25 JP JP2004088608A patent/JP2005269996A/ja active Pending
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