JP2005265132A - 衝撃振動吸収方法及び制振装置 - Google Patents

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Hiroshi Matsuhisa
久 寛 松
Hideo Utsuno
津 野 秀 夫 宇
Masashi Yasuda
田 正 志 安
Kimitaka Han
公 宇 潘
Kenichi Endo
藤 健 一 遠
Kaname Kato
藤 要 加
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Abstract

【課題】機構が簡単で経済性があり、床やプレスあるいは鍛造機械等の制振対象に衝撃性の外乱が付加された際に、その衝撃を最も効果的に吸収する最適な衝撃振動吸収方法及び制振装置を提供する。
【解決手段】制振対象に衝撃的外乱が付加された際に、制振対象に接触して設置された制振質量が制振対象から運動量が伝達されて制振対象から分離して運動することにより制振対象の振動を抑制し、制振対象に次の衝撃的外乱が付加される前に制振質量を制振対象に接触する位置に復帰させる衝撃振動吸収方法及び制振装置であって、前記制振対象と制振質量との接触部が、衝撃的外乱による制振対象の最大変位及び最大伝播力を共に減少させる剛性を有していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、床等の構造物やプレスあるいは鍛造機械等に加えられた衝撃振動を吸収する方法及び振動を抑制する制振装置に関する。
近年、オフィスビルの複合施設化や集合住宅の高層化が進み、住環境意識も急速に高まりつつある。これに伴い、上階の人の跳躍などによる衝撃が床を通して下階に伝わる問題がますます深刻化している。また、工場施設の加工機械等の衝撃的に入力される外乱によって床面等が振動し、周辺に伝播することにより振動障害を引き起こすことがある。
例えば、最近問題化した北九州市や大阪の高層ビル重量衝撃音に対しても、中途半端な対策に留まり、振動抑制には不十分な結果となっているのが現状である。したがって、このような重量衝撃音の問題に対する早急な解決が強く望まれている。
これまで多くの研究者が重量衝撃音低減の開発に取り組み、論文も多く出されているが、有効な技術は見当たらない。
その第1の例として、立命館大では、床の下に□90cmの薄いパネルを張り、それを圧電素子で動かして音の放射を防止する装置を提案している(例えば、非特許文献1、207〜210頁参照)。
第2の例として、動吸収器を用いる制振法も提案されている。
また、本願発明者らは、既に、床や機械等の制振対象に衝撃的な外乱が付加された場合に、制振対象の振動を有効に抑制することを目的として、制振対象に制振質量が接触して設置されており、制振質量は制振対象から運動量が伝達された際に制振対象から分離して運動することができ、運動により運動量を消費した制振質量を次の衝撃的外乱が付加される前に元の位置に復帰させる復元機構を有する衝撃振動吸収方法及び制振装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
日本機械学会講演論文集No.03−2 特開平10−110774号公報
しかし、第1の例では、各パネルに加速度センサ、圧電アクチュエータ及び制御回路が必要であるとともに、外部からのエネルギー供給も必要となるなど費用も嵩み、現実的でない。
また、第2の例では、衝撃による床の振動を早く抑えることができるが、初めの衝撃に対しては床の大きな振動を防止する効果がないという欠点がある。
一方、特許文献1の衝撃振動吸収方法及び制振装置によれば、上記問題点を改善し、初めの衝撃に対する床などの制振対象の大きな振動を含む振動抑止効果があることが示された。しかし、「制振対象(床)と制振質量(重錘)との接触面の反発係数は大きい(すなわち接触部剛性が高く硬い)ほど、制振対象(床)に印加された衝撃を制振質量(重錘)に多く伝えることができ、制振対象(床)自体の振動は少なくなる。」との考え方に立ち、前記接触部剛性の大きさによりさらに有効な振動抑止効果があるという特性には着目されておらず、改善の余地があった。
これらの問題点を解決すべく、本発明の目的は、機構が簡単で経済性があり、床やプレスあるいは鍛造機械等の制振対象に衝撃性の外乱が付加された際に、その衝撃を最も効果的に吸収する最適な衝撃振動吸収方法及び制振装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明の衝撃振動吸収方法は、制振対象に衝撃的外乱が付加された際に、制振対象に接触して設置された制振質量が制振対象から運動量が伝達されてた結果、制振対象から分離して運動することにより制振対象の振動を抑制し、制振対象に次の衝撃的外乱が付加される前に制振質量を制振対象に接触する位置に復帰させる衝撃振動吸収方法であって、前記制振対象と制振質量との接触部が、衝撃的外乱による制振対象の最大変位及び最大伝播力を共に減少させる剛性を有していることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の衝撃振動吸収方法であって、前記制振対象と制振質量との接触部の剛性を200〜4000N/mm以内に設定することを特徴とする。
また、請求項3に係る発明の制振装置は、制振対象に接触して設置され、制振対象から運動量が伝達された際に制振対象から分離して運動する制振質量と、前記運動により運動量を消費した制振質量を制振対象に接触する位置に復帰させる復元機構とを備え、前記制振対象と制振質量との接触部が、衝撃的外乱による制振対象の最大変位及び最大伝播力を共に減少させる剛性を有していることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の制振装置であって、前記制振対象と制振質量との接触部の剛性が、200〜4000N/mm以内に設定されていることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項3又は請求項4記載の制振装置であって、前記制振対象と制振質量との接触部が、ゴム材又は弾性部材により構成されていることを特徴とする。
さらに、請求項6に係る発明は、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の制振装置であって、前記制振質量の復元機構は弾性部材と減衰機構とを備え、制振質量が制振対象から離れる瞬間には減衰が小さく、その後の制振質量の運動に対しては減衰が大きくなるように構成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、床等の制振対象に衝撃的な外乱が付加された場合に、制振対象への衝撃が制振対象に接触した制振質量に伝わり、制振質量が振動する。制振対象自体の衝撃が、制振質量に運動量を伝達することに加え、制振質量と制振対象との接触部の弾性変形によるエネルギーに変換されることにより、その分だけ制振対象を振動させる運動量が少なくなるという効果を増大させることができる。そして、制振質量は運動することによりエネルギーを消費し、次の衝撃が制振対象に及ぶ前に復帰することにより、次の衝撃に対しても最初の衝撃の場合と同様に対応することができる。このとき制振対象と制振質量との接触部が衝撃的外乱による制振対象の最大変位及び最大伝播力を共に減少させる剛性を有していることから、制振対象の振動を一層有効に抑制する衝撃振動吸収方法を提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果を有するのに加えて、制振対象と制振質量との接触部の剛性を規定することにより、制振対象に衝撃的な外乱が付加された場合の一層有効的な振動抑制効果の信頼性を確保することができる。
請求項3の発明によれば、制振対象に衝撃的な外乱が付加された場合に、制振対象への衝撃が制振対象に接触した制振質量に伝わり、制振質量が振動する。制振対象自体の衝撃が、制振質量に運動量を伝達することに加え、制振質量と制振対象との接触部の弾性変形によるエネルギーに変換されることにより、その分だけ制振対象を振動させる運動量が少なくなるという効果を増大させることができる。そして、制振質量は運動することによりエネルギーを消費し、次の衝撃が制振対象に及ぶ前に復元機構によって復帰することにより、次の衝撃に対しても最初の衝撃の場合と同様に対応することができる。このとき制振対象と制振質量との接触部が衝撃的外乱による制振対象の最大変位及び最大伝播力を共に減少させる剛性を有していることから、制振対象の振動を一層有効に抑制する制振装置を提供することができる。
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様な効果を有するのに加えて、制振対象と制振質量との接触部の剛性を規定することにより、制振対象に衝撃的な外乱が付加された場合の一層有効的な振動抑制効果の信頼性を確保することができる。
請求項5の発明によれば、請求項3又は請求項4の発明と同様な効果を有するのに加えて、制振対象と制振質量との接触部がゴム材又は弾性部材により構成されていることから、制振対象と制振質量との接触剛性の最適な設定が容易であるとともに、機構が簡単で経済性のある制振装置を提供することができる。
請求項6の発明によれば、請求項3、請求項4又は請求項5のいずれかの発明と同様な効果を有するのに加えて、制振質量が制振対象から離れる瞬間には減衰が小さく、その後の制振質量の運動に対しては減衰が大きくなるように構成されていることから、制振質量が運動によりエネルギーを消費し、再び元の位置に復帰する際にも制振対象に衝撃を与えることなく静かに復帰して接触するという制振作動の信頼性を確保することができる。
以下、本発明の衝撃振動吸収方法及び制振装置の実施の形態を図示しながら具体的に説明する。
図1は本発明に係る一実施の形態の衝撃振動吸収方法による制振装置の構成を概念的に示す側面図である。
本発明の制振装置は、基盤8上に端部が支持機構7に支持されている床などの制振対象2と、制振対象2の下面に接触部4を介して連設された衝撃吸収ダンパ6とから概略構成されている。
支持機構7は、通常、支持弾性機構7aと支持減衰機構7bとからなっているが、場合によっては、支持減衰機構7bを省略した簡易構成とすることもできる。
支持弾性機構7aは、床などの制振対象2自体の振動をできるだけ抑えるため堅い高剛性部材から構成されることが望ましい。
衝撃吸収ダンパ6は、接触部4を介して制振対象2の下面中央部に連設された適宜な質量を有する重錘などの制振質量3と、制振質量3下面と基盤6上面との間に並列して連設された復元機構5とから構成されている。
通常、外部からの衝撃を受けて制振対象2の下面中央部が最大変位することから、衝撃吸収ダンパ6は制振対象2の衝撃エネルギーの最大点である下面中央部に設けられる。これにより、後で詳述するが、制振対象2の衝撃振動を効果的に吸収することができる。
復元機構5は、バネなどの弾性部材5a及びダッシュポットなどの減衰機構5bから構成されている。
制振質量3は運動によりエネルギーを消費することを目的とするため、制振質量3を支持する弾性部材5aはソフトにすることが望ましい。また、衝撃性外乱が繰り返し周期的に付加されることが予想される場合、周期の最短のものに対応できるように復元し、次回の衝撃に対応できるようにしておくことが望ましい。
例えば、衝撃物体1が制振対象2に衝突するなどして制振対象2から伝達された衝撃により、制振対象2下面から離れる方向に移動した制振質量3が、運動中に制振対象2下面と衝突すると、再び衝撃が制振対象2に伝達されることになり好ましくない。そのため、制振質量3を支える復元機構5の減衰機構5bとしては、作動方向により減衰の程度が異なる片方向ダッシュポットを使用することが望ましく、あるいは、復帰点では作用しない遊び機能を備えたダンパ機構を用いてもよい。すなわち、減衰機構5bは、制振質量3が制振対象2から離れるときには減衰がほとんどなく、制振質量3が制振対象2に向かうときには減衰が大きくなるような特性を有している。したがって、制振質量3が運動によりエネルギーを消費し、再び元の位置に復帰し制振対象2に近接する際にも制振対象2に衝撃を与えることなく静かに復帰する。
片方向ダッシュポットとしては、粘性体の流路に片方向に開口するオリフィスを設ける等の構成のものが各種あり、遊び機能を備えたダンパ機構ともいずれも公知である。
減衰機構5bの減衰係数を大きくすると制振質量3が制振対象2に近接する際の衝撃は少なくなるが、制振質量3は次の衝突までに元の位置に戻ってくることが求められるので減衰機構5bの減衰係数はある程度小さくする必要がある。すなわち、減衰機構5bの減衰係数は、これら両方の観点を考慮して設定される。
ここで、本発明者は、制振質量3と制振対象2下面との接触部4の剛性の大きさが、制振対象2に印加された衝撃を制振質量3に伝えて制振対象2自体の振動を少なくする効果の大小に影響を与えることに着目し、後述のシミュレーションの結果、接触部4の最適な剛性値があることを見出した。したがって、接触部4は、後述するが、堅く反発係数の高い材質よりもむしろある程度柔かい適宜な剛性を有するゴムやばね部材などの弾性部材から構成することが望ましい。
以上のような構成によれば、床等の制振対象2への衝撃が制振対象2に接触部4を介して制振質量3に伝わり、制振質量3が振動する。このとき制振対象2と制振質量3との接触部4が適宜な剛性を有する弾性部材であることから、制振質量3に運動量を伝達するとともに、接触部4の弾性変形によるエネルギーに変換されることにより衝撃を一層効率的に吸収することができる。すなわち、制振対象2自体は、衝撃を接触部4の弾性変形によるエネルギー及び制振質量3の運動エネルギーに吸収させるため、この両者のエネルギーに相応して制振対象2を振動させる運動量が減少することになる。
ここで仮に、前記特許文献1のように、制振対象2と制振質量3との接触部4の剛性が高く反発係数が1であるとして、質量Mの床などの制振対象2に、外乱として質量mの衝撃物体1が速度vで衝突し、制振対象2がこの衝突によりvの速度で動くとすると、制振対象2には運動量mのうちMvの運動量が伝達されることになる。制振対象2の運動量Mvの一部は、制振対象2下面に接触部4を介して連設している質量mの重錘などの制振質量3に伝達され、制振質量3はvの速度で動こうとする。このとき、制振質量3に伝達される運動量はmvとなる。
すなわち、制振対象2に付加された衝撃は制振対象2と制振質量3とに分担されることとなり、制振質量3の離脱に伴って制振対象2自体が負担する運動量Mvは制振質量3に伝達された運動量mvだけ少なくなる。このようにして、制振質量3の運動量mvが大きくなるほど制振対象2自体に残存する運動量が少なくなる。
一方、本発明においては、接触部4は適宜な剛性を有する弾性部材であるため、反発係数γが1より小さく、制振質量3の運動量は(1+γ)mv/2<mvとなるが、この運動量(1+γ)mv/2に加えて接触部4の弾性変形によるエネルギーが加算されることにより、前記衝撃が吸収されると端的に見なすことができる。しかし、反発係数γという概念は、衝突時の接触時間が0という架空の場合であって、実際は、後述する図3に示すように衝撃力がある時間働く場合は、その衝撃波形との関係で制振対象2の変位最大値及び伝播力最大値の減少率がピークになる接触部4の剛性があると考えられる。
したがって、接触部4の剛性の値を適宜選択することにより、前記特許文献1のような反発係数が1である場合よりも前記衝撃の吸収量を増大することができる。これについては、具体的に後述する。
制振質量3は、バネなどの弾性部材5a及びダッシュポットなどの減衰機構5bからなる復元機構5に接続されているため、運動することによりエネルギーを消費し、また、弾性部材5aのバネ力により元の位置に復帰する。そして、次の衝撃が制振対象2に及ぶ前に復帰することにより、次の衝撃に対しても最初の衝撃の場合と同様に対応することができる。
図2は、本発明に係る別の実施の形態の衝撃振動吸収方法による制振装置の構成を概念的に示す側面図で、前記一実施の形態と同じ部材には同一符号を付してある。
この形態の制振装置は、衝撃吸収ダンパ16の復元機構15の構成のみが前記一実施の形態と異なっている。すなわち、バネなどの弾性部材15a及びダッシュポットなどの減衰機構15bからなる復元機構15が、制振質量3下面と制振対象2下面との間に並列して連設されている点が異なるだけで、他の構成は前記一実施の形態と同様である。
この形態では、振り子式の制振質量3を備えた構成となっている。衝撃を受けていないときは制振対象2下面と制振質量3は接触部4を介して近接しているが、衝撃物体1の衝突等により衝撃的外乱が付加された場合、運動量が伝達された制振質量3が制振対象2から離隔して振動する。この場合、制振質量3が復元機構15を介して制振対象2に連設されているため、前記一実施の形態の場合と異なり制振質量3の振動は制振対象2に影響を与えるが、両者間に連設されている復元機構15の弾性部材15aを十分に柔らかいものとすることにより、その影響を小さく抑えることができる。
前記一実施の形態のように復元機構15を基盤8上面に連設するか、別の実施の形態のように制振対象2の下面に連設するかは、設置スペース等に照らして選択することができる。
以上説明した実施の形態の他に、種々の変形形態が考えられる。
例えば、いずれも図示しないが、制振質量が制振対象に近接する際の衝撃を少なくするために、制振質量の上面に片効きの片方向ダッシュポットを利用したショックアブソーバーを取り付けてもよい。この場合、制振質量が制振対象に近接した状態では、ダッシュポットは縮んでいる。そして、衝撃物体が制振対象に衝突すると制振質量が制振対象から離れる方向に移動し、制振質量が制振対象の近接位置まで戻る間にダッシュポットが伸びて、制振質量より先にダッシュポットが制振対象に近接する。これにより、制振質量が制振対象に近接する際の衝撃を更に少なくすることができる。
また、前記実施の形態の構成に付加して、いずれも図示しないが、制振質量が制振対象2から離れる際の速度を増速させる機能を制振対象に備えさせる構成とすることもできる。制振対象にはその増速作用の反作用力が及び、この力が衝撃を減じる働きをすることにより、前記実施の形態の効果に加えて更に制振効果が得られる。増速させる手段としては、種々公知の技術を適用できるが、初期圧縮したバネや磁力、ガスの噴出を使用したもの、又、油圧、リニアモーターを利用したアクチュエータ等が考えられる。これらの増速機構の作動は、トリガー機構やセンサなどにより開始させることができる。
このようなアクティブな手法による場合は、外乱の運動量を予見して、外乱が入力された時点でそれと等しい運動量になるように制振質量を離脱させるようにすると効果的である。なお、繰り返し発生する外乱源は、比較的容易に運動量を測定することができる。
また、空気バネで防振されたプレスあるいは鍛造機械に本発明の衝撃振動吸収方法を適用することもできる。すなわち、いずれも図示しないが、制振対象となるプレスあるいは鍛造機械基部が、空気バネやコイルスプリングで構成されるバネ支持部を介して機械設置部である基盤上に設置される。このプレスあるいは鍛造機械基部と基盤との間に弾性部材からなる接触部を介して制振質量と、弾性部材及び減衰機構からなる復元機構とを備えた前記衝撃吸収ダンパを連設する。この場合の減衰機構としては、遊びとなるギャップを有するダンパを用いることができる。
この形態における衝撃吸収作用は、前記一実施の形態と同様に、押圧体が制振対象たるプレスあるいは鍛造機械基部に衝突すると、プレスあるいは鍛造機械基部の運動量が制振質量に伝わり、制振質量がプレスあるいは鍛造機械基部から離れて下方に移動する。制振質量がプレスあるいは鍛造機械基部から離れる際にはギャップの存在により減衰機構の減衰は小さく、ギャップ以上下方に移動すると減衰機構が有効に働き減衰が大きくなる。このとき、制振質量がプレスあるいは鍛造機械基部から離れて運動することに加えて、プレスあるいは鍛造機械基部と制振質量との接触部の弾性変形エネルギーに変換されることにより衝撃エネルギーが消費される。そして、制振質量は、再び元の位置に復帰する。
また、前記別の実施の形態と同様に、プレスあるいは鍛造機械に本発明の衝撃振動吸収方法を適用した構成も考えられる。すなわち、いずれも図示しないが、接触部を介して制振対象であるプレスあるいは鍛造機械基部下面に連設された制振質量とプレスあるいは鍛造機械基部下面との間にバネ及び減衰機構からなる復元機構が併設されている。
この形態においても、押圧体がプレスあるいは鍛造機械基部に衝突すると、プレスあるいは鍛造機械基部の運動量が制振質量に伝わり、制振質量がプレスあるいは鍛造機械基部から離隔して運動することに加え、前記接触部の弾性変形エネルギーに変換されることにより衝撃エネルギーが消費される。そして、制振質量は、再び元の位置に復帰する。
上記各実施の形態では制振質量を含む衝撃吸収ダンパを制振対象の中央部1カ所に設けたが、制振対象の大きさ、衝撃性外乱の大きさや周期等により複数の制振質量を含む衝撃吸収ダンパを設けることもできる。
以上述べた本発明の衝撃振動吸収方法及び制振装置の有効性について、制振装置をモデル化しシミュレーションを行った結果を図面及び表に基づき説明する。
図1、2は、それぞれ前記本発明に係る一実施の形態、別の実施の形態の衝撃振動吸収方法による制振装置のシミュレーションモデルのモデル1、モデル2でもある。
このシミュレーションモデルのパラメータを表1に示す。ここで、衝撃吸収ダンパ6の減衰機構5bに片方向ダッシュポットを使用している。
Figure 2005265132
図3は、前記モデルにおいて、衝撃物体1が制振対象2上面に衝突した場合のシミュレーション時の衝撃力(F)波形を示すグラフである。
標準衝撃源特性と比べてみると、図3の衝撃力波形は、衝撃開始時間に対する図示するような形の衝撃力特性(1)を持つタイヤ衝撃源の衝撃力波形と近似するものである。
このとき、モデル1、モデル2の制振対象2である床の伝播力Fdは、それぞれ次の式で表される。
モデル1の場合:Fd=Kx+C&1+kx+c&2
モデル2の場合:Fd=Kx+C&1
ここで、&1、&2は、それぞれx、xの一回微分を示す。
図4、5は、図1、2のモデル1、2別にシミュレーションした結果の、接触部4の剛性k’に対する制振対象2である床の最大変位及び最大伝播力の減少率の関係を示す。ただし、図5では床の最大伝播力の減少率が省略されている。
このようなシミュレーションの結果、図4、5に示すように、床の最大変位及び最大伝播力共に、接触部剛性k’が600N/mm付近に低減のピ−クが有り、4000N/mm以上ではほぼ横這いとなっている。また、図4、5から、接触部剛性k’が200N/mm付近以上で床の最大変位及び最大伝播力の低減効果があることも分る。
すなわち、本発明の衝撃振動吸収方法による制振装置における衝撃吸収ダンパ6と制振対象2の接触部剛性k’の有効範囲が200乃至4000N/mm近辺内で、最適値が600N/mm近辺に存在することが判明した。
以上説明した本発明の実施の形態によれば、制振対象と制振質量との接触部の剛性を有効的な範囲200〜4000N/mm以内、もしくは最適な600N/mm近辺に設定することにより、制振対象の振動を一層有効的に、あるいは最大効果(最適)に抑制することができる。
以上の発明では、床やプレスあるいは鍛造機械等の制振対象に衝撃性の外乱が付加された際に、従来困難とされてきた初めの衝撃に対する制振対象の大きな振動を含む振動抑止効果がある前記特許文献1の衝撃振動吸収方法及び制振装置に比べて、制振対象と制振質量との接触部の剛性が有効範囲に設定されることにより、機構が簡単で経済性があり、その衝撃を最も効果的に吸収する最適な衝撃振動吸収方法及び制振装置を提供することができる。
本発明に係る一実施の形態の衝撃振動吸収方法による制振装置の構成を概念的に示す側面図で、そのシミュレーションモデル(モデル1)を示すものでもある。 本発明に係る別の実施の形態の衝撃振動吸収方法による制振装置の構成を概念的に示す側面図で、そのシミュレーションモデル(モデル2)を示すものでもある。 シミュレーション時の衝撃力波形を示すグラフである。 図1のモデル1のシミュレーション結果、接触部剛性に対する制振対象(床)の最大変位及び伝播力の最大値の関係を示す特性グラフである。 図2のモデル2のシミュレーション結果、接触部剛性に対する制振対象(床)の最大変位の関係を示す特性グラフである。
符号の説明
1 衝撃物体
2 制振対象(床)
3 制振質量(重錘)
4 接触部(弾性部材)
5、15 復元機構
5a、15a 弾性部材(バネ)
5b、15b 減衰機構(ダッシュポット)
6、16 衝撃吸収ダンパ
7 支持機構
7a 支持弾性機構
7b 支持減衰機構
8 基盤

Claims (6)

  1. 制振対象に衝撃的外乱が付加された際に、制振対象に接触して設置された制振質量が制振対象から運動量が伝達された結果、制振対象から分離して運動することにより制振対象の振動を抑制し、制振対象に次の衝撃的外乱が付加される前に制振質量を制振対象に接触する位置に復帰させる衝撃振動吸収方法であって、
    前記制振対象と制振質量との接触部が、衝撃的外乱による制振対象の最大変位及び最大伝播力を共に減少させる剛性を有していることを特徴とする衝撃振動吸収方法。
  2. 前記制振対象と制振質量との接触部の剛性を200〜4000N/mm以内に設定することを特徴とする請求項1記載の衝撃振動吸収方法。
  3. 制振対象に接触して設置され、制振対象から運動量が伝達された際に制振対象から分離して運動する制振質量と、
    前記運動により運動量を消費した制振質量を制振対象に接触する位置に復帰させる復元機構とを備え、
    前記制振対象と制振質量との接触部が、衝撃的外乱による制振対象の最大変位及び最大伝播力を共に減少させる剛性を有していることを特徴とする制振装置。
  4. 前記制振対象と制振質量との接触部の剛性が、200〜4000N/mm以内に設定されていることを特徴とする請求項3記載の制振装置。
  5. 前記制振対象と制振質量との接触部が、ゴム材又は弾性部材により構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の制振装置。
  6. 前記制振質量の復元機構は弾性部材と減衰機構とを備え、
    制振質量が制振対象から離れる瞬間には減衰が小さく、その後の制振質量の運動に対しては減衰が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の制振装置。
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