JP2005264204A - インライン式電子ビーム蒸着装置および当該装置を用いて行う基板の表面への蒸着被膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数個のピアス式電子銃から発せられる各々の電子ビームの蒸着材料に対するビームポイント温度のリアルタイムでの的確な調整を可能としたインライン式電子ビーム蒸着装置および当該装置を用いて行う基板の表面への蒸着被膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のインライン式電子ビーム蒸着装置は、各々のリングハースの近傍に各々の電子銃から発せられる電子ビームのビームポイント温度を電気信号として出力することができるモニタ片を設け、蒸着運転開始後に所定の時間間隔で電子ビームをモニタ片に照射し、得られる電気信号に基づいて各々の電子銃におけるビーム電流値および/または集束コイル電流値を制御して蒸着材料に対するビームポイント温度を調整することを可能としたものである。
【選択図】 図1


Description

本発明は、複数個のピアス式電子銃から発せられる各々の電子ビームの蒸着材料に対するビームポイント温度のリアルタイムでの的確な調整を可能としたインライン式電子ビーム蒸着装置および当該装置を用いて行う基板の表面への蒸着被膜の形成方法に関する。
インライン式電子ビーム蒸着装置は、基本的には、仕込/取出室と蒸着室の2室または仕込室と蒸着室と取出室の3室を仕切バルブを介して連設した構成を備えるものである。こうした装置は、蒸着室内を大気に曝すことがないこと、仕込/取出室または仕込室において基板や基板を取付けした治具に対し、脱ガスや加熱などの前処理を行うことができるので蒸着室内の雰囲気を安定に維持することができること、バッチ式の装置に比較して作業者一人当りの生産量が大きいことなどの利点があるので、例えば、PDP(プラズマディスプレイパネル)用のガラス基板の表面にMgO(酸化マグネシウム)被膜を形成するための装置などとして使用されている。
インライン式電子ビーム蒸着装置の蒸着室には、例えば、図2に示すように、基板の搬送方向の上流側(仕込室側)壁面に2台のピアス式電子銃A1,A2が固設されるとともに、これに対向する基板の搬送方向の下流側(取出室側)壁面にも2台のピアス式電子銃B1,B2が固設されている。そして、電子銃A1,A2からは電子ビームが基板の搬送方向に向けて略水平方向に発せられるとともに、電子銃B1,B2からは電子ビームが基板の搬送方向の逆方向に向けて略水平方向に発せられる。各々の電子銃から発せられた電子ビーム1は、図略の揺動コイルにより左右にジャンピングされた後、図略の偏向コイルにより偏向され、蒸発源である回転式リングハース2内の蒸着材料の蒸発ポイントPに照射される。基板の搬送方向に対する直交方向(基板の幅方向)に4点の蒸発ポイントP(1台のハース2につき2点)を2列設けることで、蒸発源の上方を通過するキャリアに搭載された基板の表面への蒸着被膜の形成を効率的に行うことによりタクトタイムの向上を図っている(例えば特許文献1を参照)。
特開2002−129311号公報
ところで、従来のインライン式電子ビーム蒸着装置においては、複数個のピアス式電子銃から発せられる各々の電子ビームの蒸着材料に対するビームポイント温度を全て同一にしたい場合や、電子銃ごとにビームポイント温度を制御して蒸着材料の蒸発速度を管理したい場合の他、ビームポイント温度の経時変化を補正したい場合でも、ビームポイント温度をリアルタイムで的確に調整することができなかった。
そこで本発明は、複数個のピアス式電子銃から発せられる各々の電子ビームの蒸着材料に対するビームポイント温度のリアルタイムでの的確な調整を可能としたインライン式電子ビーム蒸着装置および当該装置を用いて行う基板の表面への蒸着被膜の形成方法を提供することを目的とする。
上記の点に鑑みて完成された本発明のインライン式電子ビーム蒸着装置は、請求項1記載の通り、仕込/取出室と蒸着室の2室または仕込室と蒸着室と取出室の3室を有し、その蒸着室に、蒸着材料を充填するための複数個のリングハースと、各々のリングハースに充填した蒸着材料に電子ビームを照射するための複数個のピアス式電子銃を備え、蒸着材料に電子ビームを照射することで蒸着材料を蒸発させてリングハースの上方に搬送されてくる基板の表面に蒸着被膜を形成するためのインライン式電子ビーム蒸着装置であって、各々のリングハースの近傍に各々の電子銃から発せられる電子ビームのビームポイント温度を電気信号として出力することができるモニタ片を設け、蒸着運転開始後に所定の時間間隔で電子ビームをモニタ片に照射し、得られる電気信号に基づいて各々の電子銃におけるビーム電流値および/または集束コイル電流値を制御して蒸着材料に対するビームポイント温度を調整することを可能としたものである。
また、請求項2記載のインライン式電子ビーム蒸着装置は、請求項1記載のインライン式電子ビーム蒸着装置において、蒸着室における基板の搬送方向の側壁面にピアス式電子銃が固設されてなるものである。
また、本発明の基板の表面への蒸着被膜の形成方法は、請求項3記載の通り、請求項1または2記載のインライン式電子ビーム蒸着装置を用いて行うものである。
本発明によれば、複数個のピアス式電子銃から発せられる各々の電子ビームの蒸着材料に対するビームポイント温度のリアルタイムでの的確な調整を可能としたインライン式電子ビーム蒸着装置および当該装置を用いて行う基板の表面への蒸着被膜の形成方法が提供される。
本発明のインライン式電子ビーム蒸着装置は、仕込/取出室と蒸着室の2室または仕込室と蒸着室と取出室の3室を有し、その蒸着室に、蒸着材料を充填するための複数個のリングハースと、各々のリングハースに充填した蒸着材料に電子ビームを照射するための複数個のピアス式電子銃を備え、蒸着材料に電子ビームを照射することで蒸着材料を蒸発させてリングハースの上方に搬送されてくる基板の表面に蒸着被膜を形成するためのインライン式電子ビーム蒸着装置であって、各々のリングハースの近傍に各々の電子銃から発せられる電子ビームのビームポイント温度を電気信号として出力することができるモニタ片を設け、蒸着運転開始後に所定の時間間隔で電子ビームをモニタ片に照射し、得られる電気信号に基づいて各々の電子銃におけるビーム電流値および/または集束コイル電流値を制御して蒸着材料に対するビームポイント温度を調整することを可能とした蒸着装置である。
本発明のインライン式電子ビーム蒸着装置によれば、複数個のピアス式電子銃から発せられる各々の電子ビームの蒸着材料に対するビームポイント温度を全て同一にしたい場合や、電子銃ごとにビームポイント温度を制御して蒸着材料の蒸発速度を管理したい場合の他、ビームポイント温度の経時変化を補正したい場合でも、ビームポイント温度をリアルタイムで的確に調整することができる。
以下、本発明のインライン式電子ビーム蒸着装置および当該装置を用いて行う基板の表面への蒸着被膜の形成方法について、図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の記載に何ら限定して解釈されるものではない。
図1は、本発明のインライン式電子ビーム蒸着装置の一実施形態における蒸着室の平面概略図である。
図1に示すインライン式電子ビーム蒸着装置においては、蒸着室における基板の搬送方向の両側壁面に、各側壁面につき3台のピアス式電子銃が基板の搬送方向に列をなして固設されている(R1,R2,R3,L1,L2,L3)。各々の電子銃から基板の搬送方向に対する直交方向に向けて略水平方向に発せられた電子ビームは、図略の揺動コイルにより前後にジャンピングされた後、図略の偏向コイルにより偏向され、蒸発源である回転式リングハース内の蒸着材料の蒸発ポイントに照射される(例えば、電子銃R1から発せられた電子ビーム1(実線)はリングハース2内の蒸着材料の蒸発ポイントPR1とPR2に照射される)。
図1に示すインライン式電子ビーム蒸着装置においては、各々のリングハースの近傍に各々の電子銃から発せられる電子ビームのビームポイント温度を電気信号として出力することができるモニタ片が電子銃ごとに設けられている(XR1,XR2,XR3,XL1,XL2,XL3)。このモニタ片としては、電子ビームのビームポイント温度を電気信号として出力することができるものであればどのような構成のものであってもよいが、例えば、熱電対などが好適に用いられる。揺動コイルと偏向コイルを操作することで電子銃から発せられる電子ビームを所定の時間間隔でモニタ片に照射し(電子ビーム1の点線)、電子ビームのビームポイント温度を電気信号として得、得られた電気信号に基づいて電子銃におけるビーム電流値および/または集束コイル電流値を制御することで蒸着材料に対するビームポイント温度を調整することができる。
なお、図1に示すインライン式電子ビーム蒸着装置においては、モニタ片は電子銃ごとに設けられているが、モニタ片をリングハースごとに設け、2個の電子銃から発せられる電子ビームを1個のモニタ片に照射するようにしてもよい。
図1に示すインライン式電子ビーム蒸着装置のように、ピアス式電子銃を基板の搬送方向の側壁面に固設すれば、基板の搬送方向に列をなして任意の台数の固設が可能となる。従って、基板の搬送方向に設けることができる蒸発ポイント数を容易に増加することができることから、その上方に搬送されてくる基板の表面への蒸着被膜の形成をより効率的に行うことができるので、タクトタイムの飛躍的な向上を図ることが可能となる。また、図2に示すインライン式電子ビーム蒸着装置と比較して、基板の搬送方向における蒸発ポイントの位置設定を比較的自由に行うことができることから、隣接する蒸発ポイント間のピッチも比較的自由に設定することができるので、基板の温度制御が容易となる。従って、蒸発源からの輻射熱による基板の温度上昇による割れなどを防止することが可能となる。
本発明は、複数個のピアス式電子銃から発せられる各々の電子ビームの蒸着材料に対するビームポイント温度のリアルタイムでの的確な調整を可能としたインライン式電子ビーム蒸着装置および当該装置を用いて行う基板の表面への蒸着被膜の形成方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
本発明のインライン式電子ビーム蒸着装置の一実施形態における蒸着室の平面概略図。 蒸着室における基板の搬送方向の上流側壁面と下流側壁面にピアス式電子銃が固設されてなるインライン式電子ビーム蒸着装置の概略図。
符号の説明
R1,R2,R3 ピアス式電子銃
L1,L2,L3 ピアス式電子銃
A1,A2 ピアス式電子銃
B1,B2 ピアス式電子銃
XR1,XR2,XR3,XL1,XL2,XL3 モニタ片
1 電子ビーム
2 回転式リングハース
P,PR1,PR2 蒸発ポイント

Claims (3)

  1. 仕込/取出室と蒸着室の2室または仕込室と蒸着室と取出室の3室を有し、その蒸着室に、蒸着材料を充填するための複数個のリングハースと、各々のリングハースに充填した蒸着材料に電子ビームを照射するための複数個のピアス式電子銃を備え、蒸着材料に電子ビームを照射することで蒸着材料を蒸発させてリングハースの上方に搬送されてくる基板の表面に蒸着被膜を形成するためのインライン式電子ビーム蒸着装置であって、各々のリングハースの近傍に各々の電子銃から発せられる電子ビームのビームポイント温度を電気信号として出力することができるモニタ片を設け、蒸着運転開始後に所定の時間間隔で電子ビームをモニタ片に照射し、得られる電気信号に基づいて各々の電子銃におけるビーム電流値および/または集束コイル電流値を制御して蒸着材料に対するビームポイント温度を調整することを可能とした蒸着装置。
  2. 蒸着室における基板の搬送方向の側壁面にピアス式電子銃が固設されてなる請求項1記載のインライン式電子ビーム蒸着装置。
  3. 請求項1または2記載のインライン式電子ビーム蒸着装置を用いて行う基板の表面への蒸着被膜の形成方法。
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