JP2005262992A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 可変ギア比ユニットとパワーアシストアクチュエータを備えたステアリング装置において、装置の小型化と車両への搭載性の自由度を高める。
【解決手段】 ステアリング装置は、ステアリングホイール1と転舵輪(前輪)18とを連結する操舵伝達系(コラムシャフト2、中間シャフト14、ピニオン15、ステアリングラック16およびタイロッド17)の途中に、コラムシャフト2と連結した第1遊星機構Aと中間シャフト14と連結した第2遊星機構Bの太陽ギア5a,5a同士を対照的に配置してメンバ5eで連結した可変ギア比ユニット5と、第1遊星機構Aのリングギア5cに連結した可変ギア比制御用モータ6と、メンバ5eに連結したパワーステアリング用モータ11と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、可変ギア比ユニットとパワーアシストアクチュエータを備えたステアリング装置の技術分野に属する。
従来のステアリング装置は、ステアリングホイールと転舵輪とを連結する操舵伝達系の途中に伝達比を可変させる可変ギア比ユニットを介在させ、この可変ギア比ユニットを車両状態に応じて可変制御するコントロールユニットを備えている(例えば、特許文献1参照)。
また、この可変ギア比ユニットとは別に、可変ギア比ユニットと転舵輪との間の操舵伝達系の途中に、ドライバの操舵力をアシストするパワーアシストアクチュエータを備えたステアリング装置が知られている。
特開平11−49003号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、可変ギア比ユニットとパワーアシストアクチュエータが操舵伝達系の途中に離れて配置されるため、車両への搭載性の自由度が低く、装置の小型化が困難であるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、装置を小型化でき、車両への搭載性の自由度が高いステアリング装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、操舵入力軸と操舵出力軸との間に設けられ、
可変ギア比アクチュエータを有する可変ギア比ユニットと、
前記操舵入力軸と操舵出力軸の一方に対し、操舵補助力を出力するパワーアシストアクチュエータと、
を備えたステアリング装置において、
前記可変ギア比ユニットは、操舵入力軸と連結した第1遊星機構と、操舵出力軸と連結した第2遊星機構とを、同じ回転要素同士を連結して対称的に配置し、
前記パワーアシストアクチュエータは、第1遊星機構と第2遊星機構との連結部位に連結し、
前記可変ギア比アクチュエータは、第1遊星機構または第2遊星機構のどちらか一方の、パワーアシストアクチュエータを連結した回転要素以外の回転要素と連結したことを特徴とする。
本発明にあっては、パワーアシストアクチュエータを可変ギア比ユニットに組み込んだため、両ユニットを別体で設ける場合と比較して、装置を小型化でき、車両への搭載性の自由度を高めることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜実施例6に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のステアリング装置の構成図である。
図1に示すように、実施例1のステアリング装置は、ステアリングホイール1と転舵輪(前輪)18とを連結する操舵伝達系(コラムシャフト2、中間シャフト14、ピニオン15、ステアリングラック16およびタイロッド17)の途中に、伝達比を可変させる可変ギア比ユニット5を設けるとともに、可変ギア比ユニット5に、ドライバの操舵力をアシストするパワーステアリング機能を持つパワーステアリング用モータ11を組み込んでいる。
ステアリングホイール1への操舵入力は、コラムシャフト(操舵入力軸)2→可変ギア比ユニット5→中間シャフト(操舵出力軸)14→ピニオン15→ステアリングラック16→タイロッド17→転舵輪18へと伝達される。
可変ギア比ユニット5は、太陽ギア(太陽要素)5a、遊星ギア(遊星要素)5bを支持するキャリア(支持要素)5d、リングギア(環状要素)5cを備えた同一形状の2つの遊星歯車機構、第1遊星機構Aと第2遊星機構Bとを備えている。第1遊星機構Aのキャリア5dは、コラムシャフト2と連結され、第2遊星機構Bのキャリア5dは、中間シャフト14と連結されている。また、第1遊星機構Aと第2遊星機構Bの太陽ギア5a,5a同士は、メンバ(回転連結部材)5eで連結されている。
第1遊星機構Aのリングギア5cには、ウォームホイール20、ウォームギア21を介して可変ギア比制御用モータ6と連結されている。この可変ギア比制御用モータ6の回転によって、第1遊星機構Aのリングギア5cが回転し、この回転とキャリア5dの回転による回転量が、太陽ギア5aに伝達される。太陽ギア5aの回転は、メンバ5eを介して第2遊星機構Bの太陽ギア5aに入力され、キャリア5dから中間シャフト14に出力される。可変ギア比制御用モータ6の回転量は、エンコーダ7により測定され、測定値が電子制御コントローラ19へ入力される。
メンバ5eには、メンバ5eに対し操舵補助力を出力するパワーステアリング用モータ11が連結されるとともに、メンバ5eの回転を測定するエンコーダ12が設けられている。エンコーダ12の測定値は、電子制御コントローラ19へ入力される。
なお、パワーステアリング用モータ11のモータとしては、低回転・高トルクのダイレクトモータ(中空型モータ)が用いられている。
ドライバがステアリングホイール1を操舵すると、その操舵角を操舵角センサ3が測定し、測定値を電子制御コントローラ19へ入力する。同様に、操舵トルクセンサ4が操舵トルクを測定し、測定値を電子制御コントローラ19へ入力する。
電子制御コントローラ19は、各センサからの入力に基づいて、操舵角に応じた目標転舵角となるように、可変ギア比制御用モータ6を駆動する。また、各センサからの入力に基づく目標操舵補助力となるように、パワーステアリング用モータ11を駆動する。
次に、作用を説明する。
図2は、可変ギア比制御用モータを有する可変ギア比ユニットと、パワーステアリング用モータを有するパワーステアリングユニットを、操舵系の途中にそれぞれ別体で設けた場合を示す。なお、実施例1と同一の構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
このステアリング装置は、可変ギア比ユニット5とパワーステアリング用モータ11とが、コラムシャフト2と中間シャフト14との間に、それぞれ別体で設けられている点で、実施例1の構成と異なる。パワーステアリング用モータ11は、ウォームギア51とウォームホイール50とからなる減速機を介してコラムシャフト2と連結している。よって、可変ギア比制御用モータ6とパワーステアリング用モータ11は、可変ギア比制御用電子制御コントローラ8とパワーステアリングコントローラ13により、それぞれ独立して制御される。
このように、パワーステアリング用モータ11を用いることで、操舵伝達系の中に可変ギア比ユニット5と並べて配置することが可能であり、油圧式パワーステアリングユニットと比較すると、装置を小型化できる。ところが、これらは操舵軸の途中に直列して配置されるため、操舵軸方向の寸法は大きくなる。
これに対し、実施例1のステアリング装置では、可変ギア比ユニット5にパワーステアリング用モータ11を組み込むことで、操舵軸方向の寸法を小さくしている。また、パワーステアリング用モータ11を、第1遊星機構Aと第2遊星機構Bの太陽ギア5a,5a同士を連結するメンバ5eに連結することにより、小型のモータを用いたパワーステアリングシステムを構成できる。
すなわち、第1遊星機構Aは、キャリア5d入力、太陽ギア5a出力になっているので、太陽ギア5aの回転数は第1遊星機構Aのギア比とリングギア5cの回転分だけ増速されている。この増速されている太陽ギア5aに操舵力を補助するパワーステアリング用モータ11を取り付けることにより、省スペースで小型のパワーステアリング付きステアリングシステムが実現している。
次に、効果を説明する。
実施例1のステアリング装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) 可変ギア比ユニット5において、第1遊星機構Aと第2遊星機構Bの太陽ギア5a,5a同士を連結するメンバ5eを設け、コラムシャフト2と第1遊星機構Aのキャリア5dとを連結し、中間シャフト14と第2遊星機構Bのキャリア5dとを連結し、パワーステアリング用モータ11をメンバ5eに連結したため、可変ギア比ユニットとパワーステアリングユニットとを別体で設けた構成と比較して、装置の小型化を図ることができ、車両への搭載性の自由度を高めることができる。
(2) 可変ギア比制御用モータ6を、第1遊星機構Aのリングギア5cと連結し、パワーステアリング用モータ11を、第1遊星機構Aと可変ギア比制御用モータ6の出力により増速されるメンバ5eに連結したため、第1遊星機構Aの増速分により十分な増速比がパワーステアリング用モータ11に与えられるので、第1遊星機構Aの増速比が大の場合は、減速機付きのモータが不要となり、省スペースの小型のパワーステアリングシステムを備えたステアリング装置を実現できる。
まず、構成を説明する。
実施例2のステアリング装置は、可変ギア比ユニットの可変ギア比制御用モータを、ベベルギアを介してメンバ5eと連結した点で実施例1と異なり、他の構成部分は同一であるため、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図3は、実施例2のステアリング装置の構成図である。
図3に示すように、可変ギア比ユニット50において、パワーステアリング用モータ11には、傘歯車10が設けられ、メンバ5eには、傘歯車9が設けられている。すなわち、実施例2のステアリング装置では、第1遊星機構Aの増速分とベベルギア(傘歯車9,10)の増速比により十分な増速比がパワーステアリング用モータ11に与えられるので、パワーステアリング用モータ11自身に減速機が不要となる。
次に、効果を説明する。
実施例2のステアリング装置にあっては、実施例1の効果(1)に加え、下記の効果が得られる。
(3) 可変ギア比ユニット50のパワーステアリング用モータ11を、ベベルギア(傘歯車9,10)等の低減速比の減速機を介してメンバ5eに連結したため、安価で小型のパワーステアリングシステムを実現できる。
まず、構成を説明する。
実施例3のステアリング装置は、可変ギア比ユニットにおいて、第1遊星機構および第2遊星機構として、遊星歯車機構に代えて、同軸上に遊星ギアと遊星ローラとを一体的に形成したギア付きローラを用いた点で実施例1と異なり、他の構成部分は同一であるため、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図4は、実施例3の可変ギア比ユニット51の構成を示す断面図であり、第1遊星機構Aおよび第2遊星機構Bは、同軸上にローラとギアを一体的に形成したギア付きローラである。このギア付きローラは、太陽ギア26付き太陽ローラ29と、遊星ギア27付き遊星ローラ28を支持するキャリア23,30と、リングギア24付きリングローラ25と、を有する遊星機構である。
太陽ギア26と遊星ギア27のピッチ円上における歯面間クリアランスは、通常走行時の常用トルク域(低トルク域)でのローラのスリップ量よりも大きく設定されている。
第1遊星機構Aのキャリア30は、コラムシャフト2と連結されるステアリングホイール側軸32に連結されている。また、第2遊星機構Bのキャリア30は、中間シャフト14と連結されるピニオン側軸33に連結されている。第1遊星機構Aと第2遊星機構Bの太陽ギア26付き太陽ローラ29,29同士は、パワーステアリング用モータ11が連結されたメンバ5eに連結されている。
次に、作用を説明する。
可変ギア比ユニット51において、低トルク入力時のトルク伝達経路は、ステアリングホイール側軸32→第1遊星機構Aのキャリア23,30→遊星ローラ28→太陽ローラ29→メンバ5e→第2遊星機構Bの太陽ローラ29→遊星ローラ28→キャリア23,30→ピニオン側軸33となり、ローラのみで伝達経路が形成される。
一方、高トルク入力時には、ステアリングホイール側軸32→第1遊星機構Aのキャリア23,30→遊星ギア27→太陽ギア26→メンバ5e→第2遊星機構Bの太陽ギア26→遊星ギア27→キャリア23,30→ピニオン側軸33となり、ギアのみで伝達経路が形成される。
すなわち、ローラによるトルク伝達時には、ローラにギアの遊び以上のすべりが発生した場合、ギアによる噛み合いにてトルク伝達が確保される。一方、ギアによるトルク伝達時、トルク伝達方向が変更された場合は、過渡的にローラによりトルク伝達経路が形成されるとともに、複数のギアの回転軸平行度をローラにより確保でき、ローラによる補償作用が達成される。
よって、常用操舵トルク域(低トルク域)では、ローラによるトルク伝達特性を生かしてノイズやガタのない滑らかな操舵感が得られ、常用操舵トルク域を超える高トルク域では、ギアにより確実なトルク伝達が可能となるため、ギア付きローラを用いる効果が顕著となる。
次に、効果を説明する。
実施例3のステアリング装置にあっては、実施例1の効果(1)に加え、下記の効果が得られる。
(4) 可変ギア比ユニット51の第1遊星機構Aおよび第2遊星機構Bとして、同軸上にローラとギアを一体的に形成したギア付きローラを設け、このギア付きローラによるトルク伝達経路とギアによるトルク伝達経路とを並列に形成したため、ローラとギアによる相互補償作用により、円滑かつ確実なトルク伝達を実現できる。
まず、構成を説明する。
実施例4のステアリング装置は、可変ギア比ユニットの可変ギア比制御用モータを、ベベルギアを介してメンバ5eと連結した点で実施例3と異なり、他の構成部分は同一であるため、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図5は、実施例4の可変ギア比ユニット52の構成を示す断面図である。
図5に示すように、可変ギア比ユニット52において、パワーステアリング用モータ11には傘歯車10が設けられ、メンバ5eには、傘歯車9が設けられている。
すなわち、実施例4のステアリング装置では、第1遊星機構Aの増速分とベベルギア(傘歯車9,10)の増速比により十分な増速比がパワーステアリング用モータ11に与えられるので、パワーステアリング用モータ11自身に減速機が不要となる。
次に、効果を説明する。
実施例4のステアリング装置にあっては、実施例1の効果(1)と実施例3の効果(4)に加え、下記の効果が得られる。
(5) 可変ギア比ユニット52のパワーステアリング用モータ11を、ベベルギア(傘歯車9,10)等の低減速比の減速機を介してメンバ5eに連結したため、安価で小型のパワーステアリングシステムを実現できる。
まず、構成を説明する。
実施例5のステアリング装置は、可変ギア比ユニットにおいて、第1遊星機構Aと第2遊星機構Bをロッドで連結した点、可変ギア比制御用モータを第1遊星機構Aと連結し、パワーステアリング用モータを第2遊星機構Bに連結した点で実施例3と異なり、他の構成部分は同一であるため、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図6は、実施例5の可変ギア比ユニット53の構成を示す断面図である。
図に示すように、実施例5の可変ギア比ユニット53において、第1遊星機構Aの太陽ギア26付き太陽ローラ29には、第1メンバ41が連結され、第2遊星機構Bの太陽ギア26付き太陽ローラ29には、第2メンバ42が連結されている。第1メンバ41と第2メンバ42は、第1カップリング34と第2カップリング35を介してトルク伝達用のロッド36と連結されている。
また、可変ギア比制御用モータ6は、第1遊星機構Aのリングギア24付きリングローラ25と連結され、パワーステアリング用モータ11は、第2遊星機構Bの第2メンバ43に連結されている。
次に、作用を説明する。
ステアリングホイール側軸32からの入力トルクは、第1遊星機構Aのキャリア30から太陽ギア26付き太陽ローラ29に伝達される。続いて、第1メンバ41からロッド36を介して第2メンバ42へと伝達され、第2遊星機構Bの太陽ギア26付き太陽ローラ29からキャリア30、ピニオン側軸33へと出力される。
このとき、ロッド36には、ドライバの操舵入力を第1遊星機構Aにより増速した回転が入力されるため、ロッド36へ入力されるトルクを小さくできる。また、可変ギア比制御用モータ6にかかる負荷が小さいため、モータの小型化を図ることができる。
次に、効果を説明する。
実施例5のステアリング装置にあっては、実施例1の効果(1)と実施例3の効果(4)に加え、下記の効果が得られる。
(6) 第1遊星機構Aの太陽ギア26付き太陽ローラ29と第2遊星機構Bの太陽ギア26付き太陽ローラ29を、端部に第1カップリング41および第2カップリング42を配したロッド36によって連結したため、第1遊星機構Aと第2遊星機構Bの配置自由度が向上する。
(7) 可変ギア比制御用モータ6を第1遊星機構Aのリングギア24付きリングローラ25と連結し、パワーステアリング用モータ11を第2遊星機構Bの太陽ギア26付き太陽ローラ29に連結したため、ロッド36に入力されるトルクを小さくでき、トルク変動とトルク損失を抑制できる。
まず、構成を説明する。
実施例6のステアリング装置は、可変ギア比ユニットにおいて、第1遊星機構Aと第2遊星機構Bをケーブル式コラムで連結した点で実施例5と異なり、他の構成部分は同一であるため、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図7は、実施例6の可変ギア比ユニット54の構成を示す断面図である。
図に示すように、実施例6の可変ギア比ユニット54において、第1遊星機構Aの第1メンバ41には、第1ケーブルリール37が設けられ、第2遊星機構Bの第2メンバ42には、第2ケーブルリール38が設けられている。
第1ケーブルリール37と第2ケーブルリール38には、フレキシブルな2本のケーブル39,40が互いに逆方向に巻き付けられている。これらケーブル39,40と第1,第2ケーブルリール37,38により、ケーブル式コラムが構成される。
このケーブル式コラムは、ドライバがステアリングホイール1を回転させると、2本のケーブル39,40のうち、一方のケーブル39がドライバから入力される操舵トルクを伝達し、他方のケーブル40が転舵輪18から入力される反力トルクを伝達することで、コラムシャフトと同等の機能を発揮する。
次に、作用を説明する。
ステアリングホイール側軸32からの入力トルクは、第1遊星機構Aのキャリア30から太陽ギア26付き太陽ローラ29に伝達される。続いて、第1ケーブルリール37からケーブル39を介して第2ケーブルリール38へと伝達され、第2遊星機構Bの太陽ギア26付き太陽ローラ29からキャリア30、ピニオン側軸33へと出力される。
ここで、ケーブル式コラムに用いられるケーブルは、一般的に耐久性限度が高くないため、ケーブルの負荷トルクをできるだけ小さくするのが望ましい。また、ケーブルの負荷トルクが大きい場合、ケーブルの伝達ロスが多くなるため、出力が入力よりも小さくなり、操舵フィーリングの悪化を伴う。
実施例6では、ステアリングホイール側軸32の回転は、第1遊星機構Aで増速された後、ケーブル39に伝達されるため、ケーブル39の負荷トルクは、ステアリングホイール側軸32から第1遊星機構Aへの入力トルクよりも小さくなり、ケーブル39の負荷トルクを小さくできる。
次に、効果を説明する。
実施例6のステアリング装置にあっては、実施例1の効果(1)と実施例3の効果(4)に加え、下記の効果が得られる。
(8) 第1遊星機構Aの太陽ギア26付き太陽ローラ29と第2遊星機構Bの太陽ギア26付き太陽ローラ29を、ケーブル式コラムで連結したため、第1遊星機構Aと第2遊星機構Bを任意の位置に配置でき、車両への搭載性の自由度が向上する。
(9) 可変ギア比制御用モータ6を第2遊星機構Bのリングギア24付きリングローラ25と連結し、パワーステアリング用モータ11を第2遊星機構Bの太陽ギア26付き太陽ローラ29に連結したため、ケーブル39の負荷トルクを小さくでき、ケーブルの伝達ロスを少なくして操舵感の悪化を抑制できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜6を用いて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1〜6に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、第1遊星機構と第2遊星機構の一方を遊星歯車機構または遊星ローラ機構としてもよい。この場合、ステアリングホイール側(入力側)の第1遊星機構を遊星ローラ機構、ピニオン側(出力側)の第2遊星機構を遊星歯車機構とする組み合わせが最も好ましい。このような構成とすることで、実施例3と同様の効果、すなわち、バックラッシュのない滑らかな操舵感の実現と、確実なトルク伝達とを両立できる。
第1遊星機構と第2遊星機構は、同じ回転要素同士を連結し対称配置した構成であれば、実施例の構成に限られない。例えば、入出力をリングギア(リングローラ)とし、太陽ギア(太陽ローラ)同士を連結してもよいし、入出力をキャリアとし、リングギア(リングローラ)同士を連結してもよい。
実施例2,4では、減速機として伝達効率の高いベベルギアを用いたが、他の減速機を用いてもよい。なお、減速機としてウォーム&ホイールを用いる場合には、パワーステアリングシステムのフェールを考慮し、ウォームの捩れ角を大きめに設定し、逆転可能に設計しておく。
また、実施例5において、ロッドに接続するカップリングの位置、個数は、レイアウトに応じて自由に設定できる。また、ロッドにパワーステアリング用モータを取り付けてもよい。
実施例5,6では、パワーステアリング用モータをダイレクトモータとしたが、モータに減速機を介して第2遊星機構と連結させてもよい。また、第1遊星機構と第2遊星機構における、可変ギア比制御用モータとパワーステアリング用モータの連結部位は、各実施例に限定されない。
実施例1のステアリング装置の構成図である。 可変ギア比制御用モータを有する可変ギア比ユニットと、パワーステアリング用モータを有するパワーステアリングユニットを、操舵系の途中にそれぞれ別体で設けたステアリング装置の構成図である。 実施例2のステアリング装置の構成図である。 実施例3の可変ギア比ユニット51の構成を示す断面図である。 実施例4の可変ギア比ユニット52の構成を示す断面図である。 実施例5の可変ギア比ユニット53の構成を示す断面図である。 実施例6の可変ギア比ユニット54の構成を示す断面図である。
符号の説明
A 第1遊星機構
B 第2遊星機構
1 ステアリングホイール
2 コラムシャフト
3 操舵角センサ
4 操舵トルクセンサ
5 可変ギア比ユニット
5a 太陽ギア
5b 遊星ギア
5c リングギア
5d キャリア
5e メンバ
6 可変ギア比制御用モータ
7 エンコーダ
9 傘歯車
10 傘歯車
11 パワーステアリング用モータ
12 エンコーダ
14 中間シャフト
15 ピニオン
16 ステアリングラック
17 タイロッド
18 転舵輪
19 電子制御コントローラ
20 ウォームホイール
21 ウォームギア
22 遊星ローラ歯車ユニット
23 キャリア
24 リングギア
25 リングローラ
26 太陽ギア
27 遊星ギア
28 遊星ローラ
29 太陽ローラ
30 キャリア
31 ベアリング
32 ステアリングホイール側軸
33 ピニオン側軸
34 第1カップリング
35 第2カップリング
36 ロッド
37 第1ケーブルリール
38 第2ケーブルリール
39 ケーブル
40 ケーブル
41 第1メンバ
42 第2メンバ

Claims (8)

  1. 操舵入力軸と操舵出力軸との間に設けられ、
    可変ギア比アクチュエータを有する可変ギア比ユニットと、
    前記操舵入力軸と操舵出力軸の一方に対し、操舵補助力を出力するパワーアシストアクチュエータと、
    を備えたステアリング装置において、
    前記可変ギア比ユニットは、操舵入力軸と連結した第1遊星機構と、操舵出力軸と連結した第2遊星機構とを、同じ回転要素同士を連結して対称的に配置し、
    前記パワーアシストアクチュエータは、第1遊星機構と第2遊星機構との連結部位に連結し、
    前記可変ギア比アクチュエータは、第1遊星機構または第2遊星機構のどちらか一方の、パワーアシストアクチュエータを連結した回転要素以外の回転要素と連結したことを特徴とするステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のステアリング装置において、
    前記操舵入力軸と第1遊星機構の遊星要素を支持する支持要素とを連結し、
    前記操舵出力軸と第2遊星機構の遊星要素を支持する支持要素とを連結し、
    前記第1遊星機構と第2遊星機構の太陽要素同士を連結する回転連結部材を設け、
    前記可変ギア比アクチュエータを、環状要素と連結した可変ギア比制御用モータとし、
    前記パワーアシストアクチュエータを、回転連結部材に連結したパワーステアリング用モータとしたことを特徴とするステアリング装置。
  3. 請求項2に記載のステアリング装置において、
    前記パワーステアリング用モータを、減速機を介して回転連結部材と連結したことを特徴とするステアリング装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のステアリング装置において、
    前記回転連結部材を、
    前記第1遊星機構の太陽要素と連結した第1回転連結部材と、
    前記第2遊星機構の太陽要素と連結した第2回転連結部材と、
    前記第1回転連結部材と第1連結部材を介して連結し、第2回転連結部材と第2連結部材を介して連結したロッドと、
    から構成したことを特徴とするステアリング装置。
  5. 請求項2または請求項3に記載のステアリング装置において、
    前記回転連結部材を、
    前記第1遊星機構の太陽要素と連結した第1回転連結部材と、
    前記第2遊星機構の太陽要素と連結した第2回転連結部材と、
    前記第1回転連結部材に設けた第1ケーブル巻き取りリールと、第2回転連結部材に設けた第2ケーブル巻き取りリールと、第1ケーブル巻き取りリールと第2ケーブル巻き取りリールとを連結するケーブルと、を有するケーブル式コラムと、
    から構成したことを特徴とするステアリング装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のステアリング装置において、
    前記第1遊星機構と第2遊星機構を、太陽ギア、遊星ギアを支持するキャリアおよびリングギアからなる遊星歯車機構としたことを特徴とするステアリング装置。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のステアリング装置において、
    前記第1遊星機構と第2遊星機構を、太陽ローラ、遊星ローラを支持するキャリアおよびリングローラからなる遊星ローラ機構としたことを特徴とするステアリング装置。
  8. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のステアリング装置において、
    前記第1遊星機構と第2遊星機構を、同軸上に遊星ギアと遊星ローラとを一体的に形成したギア付きローラとし、このギア付きローラのローラによるトルク伝達経路とギアによるトルク伝達経路とを並列に形成したことを特徴とするステアリング装置。
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