JP4089374B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵部材の操作に基づいて転舵輪を転舵させる車両用操舵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ステアリングホイール等の操舵部材の操舵量に応じて転舵輪の転舵量の比(転舵比)を可変とする転舵比可変機構(VGRS: Variable Gear Ratio System )として、遊星ギヤ機構と、遊星ギヤ機構の例えばリングギヤを駆動する転舵比可変用の電動モータとを備える車両用操舵装置が種々提供されている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−77751号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術では、電動モータの出力不足により、転舵遅れを生じたりするおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、転舵遅れを簡単な構造にて確実に抑制することができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、操舵部材に連なる第1要素、転舵輪に連なる第2要素、並びに、上記第1及び第2要素を関連付ける第3要素を含む差動伝達機構と、この差動伝達機構の第3要素に駆動伝達可能に連結されるアクチュエータと、このアクチュエータの出力不足のときに、差動伝達機構の第1及び第2要素を互いに結合することのできる結合手段とを備え、上記結合手段は、操舵部材に一体回転する入力部材と、第1要素に一体回転する出力部材と、入力部材及び出力部材を同軸上に連結するトーションバーと、出力部材に一体回転可能で且つ軸方向に移動自在に連結されるスライダと、入力部材及び出力部材の相対回転に応じてスライダを軸方向に駆動するカム機構とを含み、スライダ及び第2要素はスライダの軸方向への移動に伴って互いに摩擦結合可能な動力伝達面をそれぞれ含むことを特徴とするものである。
【0006】
本発明では、アクチュエータの出力が不足すると、第1及び第2要素が互いに連結されるので、運転者が操舵部材を操作する力が差動伝達機構を介して転舵輪側へ機械的に伝達されることになる結果、アクチュエータの出力不足を補うことができる。したがって、転舵遅れの発生を防止することができる。本発明の車両用操舵装置は、VGRSとして構成される場合がある。この場合、アクチュエータは転舵比可変のために用いられる。
【0007】
また、本発明の車両用操舵装置は、通常時において、操舵部材の操作力が差動伝達機構を介してトルクスプリットされている、いわゆるステア・バイ・ワイヤ・システム(単にSBWとも称する)として構成される場合がある。この場合、第3要素に連結されるアクチュエータは、通常時は操舵部材に操作反力を付与するための反力用として用いられ、転舵用アクチュエータの異常発生時には、転舵(操舵補助)用として用いられる。第3要素に連結されるアクチュエータが転舵(操舵補助)用として用いられているときに当該アクチュエータに生ずる出力不足を運転者が補って転舵遅れを防止することができる。
【0008】
また、上記結合手段は、操舵部材に一体回転する入力部材と、第1要素に一体回転する出力部材と、入力部材及び出力部材を同軸上に連結するトーションバーと、出力部材に一体回転可能で且つ軸方向に移動自在に連結されるスライダと、入力部材及び出力部材の相対回転に応じてスライダを軸方向に駆動するカム機構とを含み、スライダ及び第2要素はスライダの軸方向への移動に伴って互いに摩擦結合可能な動力伝達面をそれぞれ含むので、下記の利点がある。
【0009】
すなわち、アクチュエータの出力が不足し、トーションバーに抗して入力部材及び出力部材に相対回転が生ずると、カム機構によりスライダが軸方向に駆動され、該スライダと第2要素が動力伝達面を介して動力伝達可能に摩擦結合する。一方、スライダは出力部材を介して第1要素に一体回転可能に連結されているので、第1要素と第2要素が一体回転可能に連結されることになる。
請求項2記載の発明は、請求項1において、上記スライダは鼓状をなし、動力伝達面として互いに逆向きをなす一対のテーパ面を含むことを特徴とするものである。本発明では、トーションバーのねじれの方向に応じて、何れかのテーパ面が動力伝達面として機能する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2において、上記カム機構は、スライダ又は入力部材の何れか一方に設けられる螺旋状の溝カムと、他方に設けられ上記溝カムに係合するカムフォロワとを含むことを特徴とするものである。本発明では、簡単な構造にて確実にスライダを駆動することができる。
請求項4記載の発明は、請求項1又は2において、入力部材及び出力部材にそれぞれ一体回転する第1及び第2のギヤを備え、カム機構は、第1及び第2のギヤに噛み合う第3のギヤと一体回転するカム体を含み、カム体は第3のギヤの回転中心に対して偏倚してスライダを駆動するカム面を含むことを特徴とするものである。本発明では、第1及び第2ギヤの相対回転に応じてカム体を回転させ、偏倚するカム面によりスライダを駆動することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施の形態の車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、本車両用操舵装置1は、例えばステアリングホイール等の操舵部材2に一体回転可能に連結される第1操舵軸3と、この第1操舵軸3と同軸上に設けられラックアンドピニオン機構等の舵取り機構4に連結される第2操舵軸5と、第1及び第2操舵軸3,5間の差動回転を許容するための差動伝達機構を構成する遊星伝達機構としての遊星ギヤ機構6と、第1の操舵軸3に設けられ、所要時に遊星ギヤ機構6の所定の2つの要素を結合させることのできる結合機構30とを備える。
【0012】
舵取り機構4は、車両の左右方向に延びて配置された転舵軸7と、この転舵軸7の両端にタイロッド8を介して結合され、転舵輪9を支持するナックルアーム10とを備える。転舵軸7はハウジング11により支承されて軸方向に摺動可能とされており、その途中部に、電動モータからなる操舵用アクチュエータ12が同軸的に組み込まれている。操舵用アクチュエータ12の駆動回転は、ボールねじ機構等の運動変換機構等によって転舵軸7の摺動に変換され、この転舵軸7の摺動により転舵輪9の転舵が達成される。
【0013】
転舵軸7の一部には、ラック13が形成されており、このラック13には、第2操舵軸5の端部に設けられて第2操舵軸5と一体回転するピニオン14が噛み合わされている。
遊星ギヤ機構6は、第1操舵軸3に連動回転する入力側となる第1要素(太陽部材)としての太陽ギヤ15と、太陽ギヤ15と噛み合う遊星部材としての複数の遊星ギヤ17を回転自在に保持する出力側となる第2要素としてのキャリア16と、各遊星ギヤ17に噛み合う内歯18aを内周に持つ第3要素(リング部材)としてのリングギヤ18とを含む。
【0014】
リングギヤ18は外歯18bを形成することで例えばウォームホイールを構成している。この外歯18bは例えばウォームからなる駆動伝達ギヤ19を介して、転舵比可変用アクチュエータ20に駆動連結されている。この転舵比可変用アクチュエータ20は例えば電動モータからなり、そのケーシングは車体の適所に固定されている。
操舵用アクチュエータ12及び転舵比可変用アクチュエータ20は、CPU21、ROM22、RAM23等で構成される制御部Cにより制御されるようになっている。
【0015】
第1操舵軸3には操舵部材2による操舵角(操舵位置)を検出するための操舵位置センサとしての操舵角センサ24、及び操舵部材2から入力される操舵トルクを検出するためのトルクセンサ25が設けられている。これら操舵角センサ24及びトルクセンサ25からの検出信号が制御部Cに入力される。
また、転舵軸8には転舵軸7の軸方向位置に関連して転舵角を検出するための転舵角センサ26が設けられており、この転舵角センサ26による検出信号も制御部Cに入力される。また、制御部Cには、車速を検出するための車速センサ27からの検出信号が入力されるようになっている。
【0016】
制御部Cは、上記各センサ類からの入力信号に基づいて、操舵用アクチュエータ12及び転舵比可変用アクチュエータ20をそれぞれ駆動するための駆動回路28,29に制御信号を出力する。
制御部Cは、例えば車両の走行状況等に応じて、転舵比可変用アクチュエータ20の電圧指令値を設定し、その電圧指令値に応じた制御信号を駆動回路29に与えて、転舵比可変用アクチュエータ20を駆動制御し、操舵部材2の回転量と転舵輪9の転舵量との転舵比が所望に設定されるように、遊星ギヤ機構6の太陽ギヤ15とキャリア16の差動回転を調整する。
【0017】
また、制御部Cは、上記設定した転舵比及び操舵部材2の操作量などに基づいて、駆動回路28を介して操舵用アクチュエータ12を駆動制御し、該操舵用アクチュエータ12から、操舵部材2の操作方向に応じた方向に転舵軸7を摺動させるためのトルクを出力させ、操舵補助させる。
上記の結合機構30は、伝達比可変用アクチュエータ20が出力不足を生じたときに、遊星ギヤ機構6の太陽ギヤ15とキャリア16とを機械的に結合する働きをする。
【0018】
具体的に説明すると、結合機構30は第1の操舵軸3の端部により構成される入力部材としての入力軸31と、太陽ギヤ15に一体回転可能に連結されると共に入力軸31に相対回転可能に嵌め合わされる出力部材としての出力軸32と、入力軸31及び出力軸32を同軸上に連結し、両軸31,32の相対回転にねじり抵抗を与えるトーションバー33とを備える。
このトーションバー33は入力軸31及び出力軸32の相対向する空所34,35に跨がるように配置され、トーションバー33の一対の端部は、例えばピン結合33aやスプライン結合33bを用いて入力軸31及び出力軸32に一体回転可能に連結されている。また、入力軸31の端部の外周部が出力軸32の空所35の内周に相対回転可能に嵌合されている。
【0019】
また、結合機構30は、出力軸32に一体回転可能で且つ出力軸32の軸方向に移動自在に連結されるスライダ36と、入力軸31と出力軸32の相対回転に応じてスライダ36を上記軸方向に駆動するカム機構37とを備える。
スライダ36は、入力軸31及び出力軸32を挿通させる挿通孔38を有して鼓状をなす、入、出力軸31,32と同心の筒体からなる。挿通孔38の下部と出力軸32の端部外周とはスプライン部39にてスプライン結合しており、これにより、スライダ36が出力軸32と一体に回転する一方、スライダ36が出力軸32の軸方向に移動可能に支持される。
【0020】
スライダ36の挿通孔38の内周面の中間部には、螺旋状の溝カム40が形成されており、入力軸31の外周面には溝カム40に係合する例えばピン状突起からなるカムフォロワ41が形成されている。溝カム40とカムフォロワ41により上記のカム機構37が構成される。
スライダ36の外周面にはスライダ36の軸方向の中間部を境にして互いの逆向きに傾斜するテーパ面からなる一対の動力伝達面42,43が形成されている。
【0021】
一方、キャリア16から延びる延設アーム44の端部には、上記一対の動力伝達面42,43にそれぞれ合致して結合可能なテーパ状の一対の動力伝達面45,46を内周に有する環状の摩擦体47が延設アーム44を介してキャリア16に一体回転可能に設けられている。摩擦体47は入、出力軸31,32と同心に配置される。対応する動力伝達面42,45は相等しい角度で傾斜し、対応する動力伝達面43,46も相等しい角度で傾斜している。
【0022】
本実施の形態によれば、転舵比可変用アクチュエータ20の出力不足が生じて、トーションバー33に抗して入力軸31が出力軸32に対して右回りに回転すると、カム機構37によって、図3に示すように、スライダ36が例えば下方へ駆動され、上側の動力伝達面42,45が互いに合致して摩擦結合することで、太陽ギヤ15とキャリア16との相対回転が規制される。
一方、転舵比可変用アクチュエータ20の出力不足により、入力軸31が出力軸32に対して左回りに回転すると、カム機構37によって、図4に示すように、スライダ36が例えば上方へ駆動され、下側の動力伝達面43,46が互いに合致して摩擦結合することで、太陽ギヤ15とキャリア16との相対回転が規制される。
【0023】
このようにして、太陽ギヤ15とキャリア16の相対回転が規制されると、運転者が操舵部材2を操作する力が、遊星ギヤ機構6を介して舵取り機構4側へ機械的に伝達される。これにより、転舵比可変用アクチュエータ20の出力不足を補うことができ、転舵遅れの発生を防止することで良好な操舵を達成することができる。
上記の結合機構30は、スライダ36と摩擦体47を用いて遊星ギヤ機構6の差動回転を制限するための摩擦クラッチとして機能しているとも言える。したがって、例えば、入、出力軸31,32間の相対回転量が比較的小さくてスライダ36の軸方向移動量が比較的少ない場合には、スライダ36と摩擦体47が滑りを伴って摩擦結合する半クラッチ状態となる。
【0024】
また、スライダ36が摩擦体47に結合するときは、必ず半クラッチ状態を経て一体回転可能に結合されることになるため、クラッチ接続時に操舵部材2が受けるショックを緩和することができ、操舵フィーリングに違和感がない。
上記の実施の形態における車両用操舵装置1は、転舵比可変のための遊星ギヤ機構6と、この遊星ギヤ機構6のリングギヤ18を駆動して転舵比を可変する転舵比可変用アクチュエータ20を備える電動パワーステアリング装置として構成されたが、これに限らない。
【0025】
例えば、図5に示すように、操舵部材2に回転力が遊星ギヤ機構6によりトルクスプリットされて、第2の操舵軸5側に伝わらないようにするステア・バイ・ワイヤ・システムの車両用操舵装置1Aとして構成するようにしても良い。図5の車両用操舵装置1Aが図1の車両用操舵装置1と主に異なる構成は、転舵比可変用アクチュエータ20に代えて、反力用アクチュエータ20Aを設けた点と、制御部Cによる制御が異なる点である。すなわち、
操舵用アクチュエータ12に異常が発生していない通常時では、制御部Cは、駆動回路29を介して反力用アクチュエータ20Aを駆動制御し、反力用アクチュエータ20Aによって例えば路面反力に応じた操作反力を遊星ギヤ機構6を介して操舵部材2に与えるためのトルクを発生させる。
【0026】
また、制御部Cは、例えば車両の走行状況等に応じて操舵部材2の回転量と転舵輪9の転舵量との転舵比を設定し(VGR機能)、この設定した伝達比及び操舵部材2の操作量などに基づいて、操舵用アクチュエータ12の電圧指令値を設定し、その電圧指令値に応じた制御信号を駆動回路28に与えて、操舵用アクチュエータ12を駆動制御する。これにより、操舵用アクチュエータ12から、操舵部材2の操作方向に応じた方向に転舵軸7を摺動させるためのトルクが出力され、車両の走行状況や操舵部材2の操作態様に応じた良好な操舵が達成される。なお、必ずしも、VGR機能を設定する必要はない。
【0027】
こうして、操舵アクチュエータ12を駆動制御している間に、転舵系、例えば操舵用アクチュエータ12に異常が発生すると、制御部Cは、操舵角検出センサ24の検出操舵角に応じて転舵輪9の転舵角を位置制御(角度制御)するように駆動回路28に制御信号を出力し、反力用アクチュエータ20Aを転舵用として機能させるべく駆動制御する。このとき、操舵用アクチュエータ12の動作をフリー(自由回転可能)にする。
【0028】
このようにして反力用アクチュエータ20Aが転舵用に用いられる場合において、該反力用アクチュエータ20Aに出力不足が生ずると、図2〜4の実施の形態と同様にして、結合機構30によって、太陽ギヤ15とキャリア16の相対回転が規制され、運転者が操舵部材2を操作する力が、遊星ギヤ機構6を介して舵取り機構4側へ機械的に伝達される。これにより、転舵用として用いられている反力用アクチュエータ20Aの出力不足を補うことができ、転舵遅れの発生を防止することで良好な操舵を達成することができる。
【0029】
次いで、図6は本発明のさらに別の実施の形態における結合機構を示している。図6を参照して、結合機構30Aは、第1の操舵軸3の端部により構成される入力部材としての入力軸31Aと、太陽ギヤ15に一体回転可能に連結される出力部材としての出力軸32Aとを同軸上に備える。
入力軸31Aの外周には鼓形をなすスライダ36Aが例えばスプライン部48により、一体回転可能で且つ軸方向に移動自在に嵌め合わされている。このスライダ36Aは例えばばね部材からなる付勢部材49によって、出力軸32A側へ弾性付勢されている。
【0030】
入力軸31Aと出力軸32Aとの間に複数の傘歯車を組み合わせた差動伝達機構50が介在している。差動伝達機構50は、入力軸31Aの同軸上に一体回転可能に連結された傘歯車からなる第1のギヤ51と、出力軸32Aの同軸上に一体回転可能に連結された傘歯車からなり、第1のギヤ51に間隔を隔てて対向する第2のギヤ52と、第1及び第2のギヤ51,52と噛み合う3つの傘歯車からなる第3のギヤ53とを備える。
【0031】
第1のギヤ51と第2のギヤ52との間には、両ギヤ51,52を同軸上に連結し、両ギヤ51,52の相対回転にねじり抵抗を与えるトーションバー55が設けられる。
3つの第3のギヤ53は第1及び第2のギヤ51,52の周方向に120°ずつ隔ててこれらと噛み合っている。3つの第3のギヤ53はリング状の保持器56によって入、出力軸31A,32Aの軸心回りに転動可能であり、また回転中心回りに回転も可能であるように上記転動の半径方向外側の回転軸を回転可能に片持ち支持された状態で保持されている。
【0032】
1つの第3のギヤ53には、その回転軸に両端部が円弧面となっている一方向に長い板状のカム機構としてのカム体57が、第3のギヤ53の回転軸の保持器56による保持部分よりも外側にその一端部を回転中心として取り付けられている。
カム体57は上部にカム面58を有し、このカム面58には、上記付勢部材49により上端面を付勢されたスライダ36Aの下端面が押し付けられている。
【0033】
本実施の形態の結合機構30Aでは、遊星ギヤ機構6のリングギヤ18に駆動連結される転舵比可変用アクチュエータ等に出力不足が生じ、トーションバー55に抗して第1及び第2のギヤ51,52に所定方向の相対回転が生ずると、この所定方向の相対回転に応じて第3のギヤ53が差動回転する。
これに伴って、カム体57が回転し、カム面58を第3のギヤ53の回転中心に対して偏倚してスライダ36Aを例えば押し上げ駆動することができる。その結果、スライダ36Aと摩擦体47の下側の動力伝達面43,46が互いに合致して摩擦結合することで、太陽ギヤ15とキャリア16との相対回転が規制される。
【0034】
逆に第1及び第2のギヤ51,52に上記所定方向とは反対方向の相対回転が生ずる場合には、カム体57がスライダ36Aの付勢部材49による付勢下降を許容し、スライダ36Aと摩擦体47の上側の動力伝達面42,45が互いに合致して摩擦結合することで、太陽ギヤ15とキャリア16との相対回転が規制される。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲で種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】車両用操舵装置の結合機構とその周辺の模式的断面図である。
【図3】結合機構の結合動作を示す説明図である。
【図4】結合機構の結合動作を示す説明図である。
【図5】本発明の別の実施の形態の車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。
【図6】本発明のさらに別の実施の形態の車両用操舵装置の結合機構とその周辺の模式的断面図である。
【符号の説明】
1 車両用操舵装置
2 操舵部材
3 第1操舵軸
4 舵取り機構
5 第2操舵軸
6 遊星ギヤ機構(差動伝達機構)
7 転舵軸
7a ラック
9 転舵輪
12 操舵用アクチュエータ
14 ピニオン
15 太陽ギヤ(第1要素)
16 キャリア(第2要素)
17 遊星ギヤ
18 リングギヤ(第3要素)
18a 内歯
18b 外歯
19 駆動伝達ギヤ
20 転舵比可変用アクチュエータ
20A 反力用アクチュエータ
30,30A 結合機構(結合手段)
31,31A 入力軸(入力部材)
32,32A 出力軸(出力部材)
33 トーションバー
36 スライダ
37 カム機構
40 溝カム
41 カムフォロワ
42,43 動力伝達面(テーパ面)
45,46 動力伝達面
47 摩擦体
49 付勢部材
50 差動伝達機構
51 第1のギヤ
52 第2のギヤ
53 第3のギヤ
55 トーションバー
57 カム体(カム機構)
58 カム面
Claims (4)
- 操舵部材に連なる第1要素、転舵輪に連なる第2要素、並びに、上記第1及び第2要素を関連付ける第3要素を含む差動伝達機構と、
この差動伝達機構の第3要素に駆動伝達可能に連結されるアクチュエータと、
このアクチュエータの出力不足のときに、差動伝達機構の第1及び第2要素を互いに結合することのできる結合手段とを備え、
上記結合手段は、操舵部材に一体回転する入力部材と、第1要素に一体回転する出力部材と、入力部材及び出力部材を同軸上に連結するトーションバーと、出力部材に一体回転可能で且つ軸方向に移動自在に連結されるスライダと、入力部材及び出力部材の相対回転に応じてスライダを軸方向に駆動するカム機構とを含み、
スライダ及び第2要素はスライダの軸方向への移動に伴って互いに摩擦結合可能な動力伝達面をそれぞれ含むことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記スライダは鼓状をなし、動力伝達面として互いに逆向きをなす一対のテーパ面を含むことを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項1又は2において、上記カム機構は、スライダ又は入力部材の何れか一方に設けられる螺旋状の溝カムと、他方に設けられ上記溝カムに係合するカムフォロワとを含むことを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項1又は2において、入力部材及び出力部材にそれぞれ一体回転する第1及び第2のギヤを設け、カム機構は、第1及び第2のギヤに噛み合う第3のギヤと一体回転するカム体を含み、カム体は第3のギヤの回転中心に対して偏倚してスライダを駆動するカム面を含むことを特徴とする車両用操舵装置。
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