JP2005262838A - 吐出ヘッド及び吐出ヘッド駆動方法並びに吐出ヘッド製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高粘度液吐出時にもスループットを下げることなく好適な吐出が行われる吐出ヘッド及び吐出ヘッド駆動方法並びに吐出ヘッド製造方法を提供する。
【解決手段】1つのインク室ユニット53には振動板56上に第1のアクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bが備えられ、これらのアクチュエータは抵抗体59によって電気的に接続されている。ノズル51から離れた側にある第1のアクチュエータ58Aに駆動信号を与えると、第2のアクチュエータ58Bには第1のアクチュエータ58Aに駆動信号が印加されてから第1のアクチュエータ58Aの容量負荷と抵抗体59の抵抗値によって決まる遅延時間だけ遅れて駆動信号が印加され、ノズル51と離れた側から近い側に向かってしなり運動を振動板56に発生させるので、高粘度液吐出後のリフィル過程において液滴を絞り出すように充填させ、リフィル時間を短縮可能である。
【選択図】 図5
【解決手段】1つのインク室ユニット53には振動板56上に第1のアクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bが備えられ、これらのアクチュエータは抵抗体59によって電気的に接続されている。ノズル51から離れた側にある第1のアクチュエータ58Aに駆動信号を与えると、第2のアクチュエータ58Bには第1のアクチュエータ58Aに駆動信号が印加されてから第1のアクチュエータ58Aの容量負荷と抵抗体59の抵抗値によって決まる遅延時間だけ遅れて駆動信号が印加され、ノズル51と離れた側から近い側に向かってしなり運動を振動板56に発生させるので、高粘度液吐出後のリフィル過程において液滴を絞り出すように充填させ、リフィル時間を短縮可能である。
【選択図】 図5
Description
本発明は吐出ヘッド及び吐出ヘッド駆動方法並びに吐出ヘッド製造方法に係り、特に吐出孔から被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出ヘッド駆動技術及び吐出ヘッド製造技術に関する。
近年、画像やドキュメント等のデータ出力装置としてインクジェットプリンターが普及している。インクジェットプリンターは記録ヘッドに備えられたノズル等の記録素子をデータに応じて駆動させ、該ノズルから吐出されるインクによって記録紙などの被記録媒体上にデータを形成することができる。
インクジェットプリンターでは、多数のノズルを有する記録ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させ、該ノズルからインク滴を吐出させることによって被記録媒体上に所望の画像が形成される。
記録素子の駆動源としてインク室の壁面に取り付けられたピエゾ圧電体を用い、このピエゾ圧電体を駆動させてインク室内のインクに吐出力を付与するピエゾ駆動型吐出ヘッドや、インク室内に備えられた熱源によってインク室内にバブルを発生させ、このバブルによる圧力をインクに作用させてインクを吐出させるサーマルジェット型吐出ヘッドなどがある。
ピエゾ駆動型吐出ヘッドでは、高粘度液を吐出させるために、ピエゾ圧電体を積層させて大きな吐出力を発生させたり、ピエゾ圧電体に印加する電圧を工夫したりしている。また、高粘度液を吐出させる場合にも吐出周波数を落とさないような様々な工夫がなされている。
特許文献1に記載された記録装置では、印字ヘッドのインクキャビティ内に3個のインク噴出機構を設け、インクキャビティ内に発生するインク噴出エネルギーの8段階制御を可能にするように構成され、階調表現を実現している。
また、特許文献2に記載されたインクジェットプリンター用印字ヘッドでは、インク滴を均一化するために吐出されたインクを切断させる第2の圧電体が設けられている。また、チタン板に化学結合させた圧電体が使用されている。
また、特許文献3に記載されたインクジェット記録ヘッド用圧電部材の駆動方法および圧電部材では、インクをしぼり出すようにインク吐出時の圧電部材の変形がノズルから離れた圧電部材からノズルに近い部分に向かって時間ずれを持って駆動されるので、圧電部材の各領域の変形によって発生した圧力波のタイミングを重ねることにより、インクドロップの吐出効率を上げることができる。また、対向する電極の一方は複数の電極部とこれらを接続する抵抗とから構成されている。
実開平6−67035号公報
特開平8−118622号公報
特開平10−722号公報
しかしながら、従来のピエゾ駆動型吐出ヘッドではピエゾ圧電体から吐出力を付与される圧力室と圧電体とが1対1に対応していた。吐出させる液が機能性を帯び高粘度化してくると、単純な加圧だけで吐出させようとすると大きな発生圧が必要となる。大きな圧力を発生させるためには圧電体(アクチュエータ)が大型化するだけでなく、吐出ヘッド全体が大型化してしまう。
また、ノズルの表面張力に頼ったリフィルでは、流路抵抗の増大による流動性の悪化のため、回復にかかる時間が増大し、システムのスループットが低下してしまう。
特許文献1に記載された記録装置では、階調表現を実現するために1つのノズルに複数のアクチュエータと複数の制御機構を設けている。また、特許文献2に記載されたインクジェットプリンター用印字ヘッドでは、液滴の均一化を目的として1つのノズルに複数のアクチュエータと複数の制御機構を設けている。何れの場合にも、アクチュエータ毎に制御機構を設けるのはコスト高であり、制御機構数分だけノズル数を増やした場合に対する優位性が疑問となることが多い。
また、特許文献3に記載されたインクジェット記録ヘッド用圧電部材の駆動方法および圧電部材では、圧電部材をバルク材やグリーンシートで形成することを想定し、面内方向に一体形成されており、遅延時間を決める抵抗は電極形成部以外に形成することができなかった。したがって、遅延時間を決める抵抗値を自由に選定することができず、遅延時間を大きくする(抵抗値を大きくする)ことができない。一方、圧電部材の動作が機械的に分離されておらず、領域間同士で干渉のない効率的な遅延動作を得ることが難しい。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高粘度液吐出時にもスループットを下げることなく好適な吐出が行われる吐出ヘッド及び吐出ヘッド駆動方法並びに吐出ヘッド製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、前記吐出孔と連通され、前記吐出孔から吐出される液が収容される圧力室と、前記圧力室を形成する少なくとも1つの壁に備えられ、前記圧力室に収容される液に吐出力を与える複数個の独立した駆動素子と、前記複数の駆動素子間を電気的に接続させる抵抗体と、前記複数の駆動素子を駆動させる駆動信号を前記抵抗体で接続された複数の駆動素子のうち少なくとも1つの駆動素子に伝搬させる駆動信号伝搬手段と、を備えたことを特徴としている。
即ち、圧力室には複数個に分離された駆動素子が備えられるので、該駆動素子間での干渉が防止される。また、駆動素子の間に抵抗体を備えたので、該抵抗体の取り得る抵抗値の範囲を大きくすることができる。抵抗体は電気的に接続させる駆動素子の間に配置されてもよいし、該駆動素子の外側に配置されてもよい。駆動信号発生手段と駆動素子との間に抵抗体を備えてもよい。
更に、各駆動素子を共通の駆動信号によって駆動するので、駆動信号発生手段を共通化でき、駆動素子が増えても駆動信号発生手段を増やさなくてもよい。
被吐出媒体は、吐出ヘッドからインク滴を吐出される媒体(メディア)であり、具体的には連続用紙やカット紙、シール用紙などの紙類、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。なお、被吐出媒体には画像形成媒体、印字媒体、受像媒体などと呼ばれるものもある。
吐出ヘッドには、被吐出媒体の全幅に対応した長さの吐出孔列を有するフルライン型の吐出ヘッド及び、被吐出媒体の全幅より短い長さの短尺ヘッドを被吐出媒体の幅方向に走査させて被吐出媒体の幅方向の1ラインの吐出を行うシリアル型ヘッド(シャトルスキャン型ヘッド)がある。本発明は上述した何れのヘッドにも適用可能である。
請求項2に示すように、請求項1記載された発明は、前記駆動素子は圧電体を含むことを特徴としている。
即ち、圧電体は印加電圧の大きさに応じた変位が得られるので、駆動の制御性がよくなる。
圧電体にはチタン酸ジルコン酸鉛(ピエゾ、PZT )やチタン酸バリウムなどの圧電セラミックが用いられる。これらの圧電セラミックは大きな圧電性を有しており、低い印加電圧でも大きな変位を得ることができる。
圧力室を形成する壁のうち駆動素子である圧電体が備えられる壁は、該圧電体から加えられる圧力に応じて変位を生じ、圧力室に体積変化を生じさせる振動板として機能する。該圧電体は圧力室を形成する何れの壁に設けてもよい。
また、該圧電体は圧力室の外側に設けてもよいし、内部に設けてもよい。全ての圧電体が同一面内に設けられることが好ましい。
圧電体には、圧力室を歪ませる力を発生させる圧力発生手段、圧力発生手段の圧力を伝達させる圧力伝達手段、圧力発生手段及び圧力伝達手段の制御を行う制御手段などを備えてもよい。
また、請求項3に示すように、請求項1又は2に記載された発明は、前記抵抗体は前記駆動素子と同一面内に備えられることを特徴としている。
即ち、抵抗体を駆動素子と同一平面上に形成させることで、駆動素子と抵抗体との配線を減らすことができる。
また、請求項4に示すように、請求項1、2又は3に記載された発明は、前記圧力室に備えられた複数の駆動素子は、駆動信号が印加される駆動信号用電極を該駆動素子ごとに備えると共に、前記駆動信号用電極に前記駆動信号が印加されると容量性負荷として機能する静電容量成分を有し、前記複数の駆動素子間に前記抵抗体を接続させて前記駆動素子の静電容量と前記抵抗体の抵抗とを含んだ時定数回路が形成されることを特徴としている。
例えば、2つの駆動素子を抵抗体で接続し、2つの駆動素子のうち何れか一方に共通の駆動信号を与えると、共通の駆動信号を与えない他方の駆動素子には共通の駆動信号が印加されるタイミングより該時定数回路の時定数分だけ遅れたタイミングで駆動信号が印加されるので、抵抗体で接続された複数の駆動素子を遅延駆動させることができる。また、請求項1の記載により抵抗体の抵抗値を大きくすることができるので、駆動素子間に発生する駆動遅延時間を大きくすることができる。
また、請求項5に示すように、請求項4に記載された発明は、前記駆動信号伝搬手段は、前記駆動信号用電極或いは前記抵抗体の少なくとも何れか一方に接続されることを特徴としている。
2つの駆動素子(第1の駆動素子及び第2の駆動素子)を抵抗体によって接続させる態様では、第1の駆動素子に設けられた第1の駆動信号用電極と第2の駆動素子に設けられた第2の駆動電極との間に設けられてもよいし、第1の駆動素子或いは第2の駆動素子のうち何れか一方の駆動素子は駆動信号用電極に抵抗体を接続し、もう一方の駆動素子は駆動信号用電極以外の位置に抵抗体を接続させてもよい。また、第1の駆動信号用電極及び第2の駆動信号用電極に抵抗体の両端を接続させ、抵抗体の抵抗値を不均等分割させる抵抗値分割点に駆動信号を印加させてもよい。
言い換えると、駆動信号発生手段から出される共通の駆動信号は、各駆動素子に備えられた駆動信号用電極に印加してもよいし、駆動信号用電極に接続された抵抗体の抵抗値を不均等に分割する抵抗値分割点に印加してもよい。
また、請求項6に示すように、請求項4又は5に記載された発明は、駆動素子は、1つの圧力室に複数個備えられると共に、前記吐出孔側に向かって並べられ、前記複数の駆動素子の前記時定数回路は、前記吐出孔から離れた駆動素子から前記吐出孔に近い駆動素子に向かって順に時定数が大きくなるように形成されることを特徴としている。
即ち、吐出孔と離れた駆動素子から吐出孔に向かって順に駆動されるので、圧力室にノズルと離れた部分からノズルに向かうしなり運動を発生させることができる。
圧力室の端部近傍に吐出孔が設けられている場合には、該吐出孔が設けられている端部に対向する端部側から該吐出孔が設けられている端部側へ駆動素子を略直線状に並べる態様がある。また、圧力室の中央部近傍に吐出孔が設けられている場合には、圧力室の端部から略中央部に向かって駆動素子を放射状に並べてもよいし、圧力室の対向する2つの端部から略中央部に向かって駆動素子を略直線状に並べてもよい。
また、請求項7に示すように、請求項4又は5に記載された発明は、駆動素子は、1つの圧力室に複数個備えられると共に、前記吐出孔側に向かって並べられ、前記吐出孔に最も近い駆動素子の時定数が他の駆動素子の時定数に比べて小さくなるように前記時定数回路を形成すると共に、前記他の駆動素子の時定数回路は、前記吐出孔から離れた駆動素子から前記吐出孔に近い駆動素子に向かって順に時定数が大きくなるように形成されることを特徴としている。
即ち、先ず、吐出孔に最も近い駆動素子を駆動させることで圧力のロスなく吐出動作をさせるべく圧力室を変形させ、吐出後はリフィル時間の短縮に寄与するしなり運動を圧力室に発生させるように圧力室を変形させるので、吐出の効率化及びリフィルの速さが両立する駆動素子の駆動を実現できる。
また、請求項8に示すように、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載された発明は、前記抵抗体の抵抗値は、各駆動素子の駆動遅延時間が25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下になる抵抗値を含むことを特徴としている。
即ち、各駆動素子の駆動遅延時間が25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下となるように構成すると、高粘度液の吐出後のリフィル過程において好適なしなり運動を圧力室に発生させることができるので、リフィル時間を短縮させることができる。
また、請求項9に示すように、請求項7に記載された発明は、前記抵抗体の抵抗値は、前記他の各駆動素子の駆動遅延時間が25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下になる抵抗値を含むことを特徴としている。
また、前記目的を達成するために請求項10に係る発明は、被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、前記吐出孔から吐出される液滴に吐出力を与える駆動素子を複数備えた圧力室と、前記圧力室に備えられた複数の駆動素子を電気的に接続させる抵抗体と、を有する吐出ヘッドの駆動方法であって、前記圧力室に備えられた複数の駆動素子のうち少なくとも1つの駆動素子に駆動信号を印加して、前記駆動信号が印加された駆動素子と前記抵抗体を介して接続された駆動素子を遅延駆動させることを特徴としている。
即ち、各駆動素子の容量性負荷及び各駆動素子を電気的に接続させる抵抗体の抵抗負荷により各駆動素子に印加される駆動信号に時間遅延が生じ、各駆動素子を遅延駆動させることができる。
請求項11に示すように、請求項10に記載された発明は、前記圧力室に備えられた複数の駆動素子は、前記吐出孔と離れた駆動素子から前記吐出孔に近い駆動素子へ向かって順次駆動されることを特徴としている。
駆動信号発生手段から印加される共通の駆動信号は吐出と離れた側の駆動素子に与えられる。
また、請求項12に示すように、請求項10に記載された発明は、前記圧力室に備えられた複数の駆動素子は、前記吐出孔に最も近い駆動素子が最初に駆動され、前記吐出孔に最も近い駆動素子の駆動後に前記吐出孔に最も近い駆動素子以外の他の駆動素子では前記吐出孔と離れた駆動素子から前記吐出孔に近い駆動素子へ向かって順次駆動されることを特徴としている。
また、請求項13に示すように、請求項10又は11に記載された発明は、前記圧力室に備えられた複数の駆動素子は、25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下の遅延時間をもって駆動されることを特徴としている。
また、請求項14に示すように、請求項12に記載された発明は、前記他の駆動素子は、25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下の遅延時間をもって駆動されることを特徴としている。
また、前記目的を達成するために請求項15に係る発明は、被記録媒体に液を吐出させる吐出孔と、前記吐出孔から吐出される液を収容する圧力室と、前記圧力室を形成する少なくとも1つの壁に備えられ前記圧力室内の液に吐出力を与える独立した複数個の駆動素子と、を備えた吐出ヘッドの製造方法であって、前記吐出孔から吐出される液に吐出力を与える前記複数の駆動素子及び前記駆動素子を電気的に接続させる抵抗体を同一面内にエアロゾルデポジション法を用いて形成させる形成工程を含むことを特徴としている。
即ち、1工程で2種類以上の膜形成を同時に行うことができ、製造コストを維持したまま機能性を向上させることができる。
駆動素子及び抵抗体が形成される面には凹部や凸部などが設けられていてもよい。該凹部及び凸部に駆動素子や抵抗体を形成させてもよい。
同一面には、形成工程において同時に露出される面が含まれていてもよく、同時にエアロゾルノズルから噴出される物質を堆積させることができる同一露出面であればよい。
本発明によれば、1つの圧力室に独立した複数個の駆動素子を備えるので、圧力室のそれぞれの駆動素子に対応した部分ごとに異なる動きをさせることができる。また、これらの駆動素子は、当該駆動素子間に備えられた抵抗体を用いて電気的に接続されるので、各駆動素子を遅延駆動させることができ、更に、抵抗体の抵抗値を大きくすることができるので遅延時間を大きくすることが可能になる。
これらの駆動素子は、吐出孔と離れた駆動素子から吐出孔に近い駆動素子へ順に接続され、吐出孔から最も離れた駆動素子へ駆動信号を与えると、吐出孔から離れた駆動素子から所定の時間間隔で順次駆動される。各駆動素子の駆動遅延時間を25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下となるように各駆動素子を駆動させるので、高粘度液吐出時のリフィルに好適なしなり運動を圧力室に発生させることができ、リフィル時間を短縮させることができる。
一方、駆動素子及び駆動素子を電気的に接続させる抵抗体は同一面内にエアロゾルデポジション法を用いて1工程内で同時に形成されるので、製造コストをほぼ維持したまま機能性を向上させることができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、インクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッド10の基本構造を示す平面透視図である。
インクジェットヘッド10が搭載されるインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド10を記録紙16と相対的に搬送させながらインクジェットヘッド10から吐出されるインクによって記録紙16上に画像を形成する。
図2に示すように、インクの色ごとに設けられた複数のインクジェットヘッド10K,10C,10M,10Yを有する印字部18は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。各印字ヘッド10K,10C,10M,10Yは、本インクジェット記録装置が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の送り方向(以下、記録紙搬送方向と記載)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したインクジェットヘッド10K,10C,10M,10Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各インクジェットヘッド10K,10C,10M,10Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色ごとに設けられてなる印字部18によれば、記録紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部18を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、インクジェットヘッドが主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。
記録紙16と印字部18とを相対搬送させる態様には、図2に示すように、ローラ31及びローラ32に巻きかけられた無端状のベルト33上に記録紙16を固定させ、ローラ31及びローラ32を回転させてベルト33を移動させることによって、記録紙16を搬送する態様が適用される。もちろん、固定された記録紙16に対して印字部18を移動させてもよいし、記録紙16及び印字部18の両方を搬送させてもよい。
なお、印字部18の記録紙搬送方向下流側には、記録紙16上の印字結果を検出する印字検出部24が備えられており、印字検出部24の検出結果から不吐出などの吐出異常の有無を判断することができる。
図1(a) に示すインクジェットヘッド10は、記録紙16面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、インクジェットヘッド10におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のインクジェットヘッド10は、図1(a) ,(b)及び図3に示すように、インク滴が吐出するノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
即ち、本実施形態におけるインクジェットヘッド10は、図1(a) ,(b) に示すように、インクを吐出する複数のノズル51が主走査方向に印字媒体の全幅に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列を有するフルラインヘッドである。
また、図示しないが、短尺の2次元に配列されたノズル列を有するインクジェットヘッドを千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、印字媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
図3はインク室ユニット53の立体的構成を示す断面図(図1(a) ,(b) 中の3−3線に沿う断面図)である。各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。
圧力室52の天面を構成している振動板56には第1の個別電極57Aを備えたアクチュエータ58A及び第2の個別電極57Bを備えた第2のアクチュエータ58Bが接合されており、第1の個別電極57A及び第2の個別電極57Bに駆動信号を印加させることによってアクチュエータ58A及び、第2のアクチュエータ58Bが変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
なお、アクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bを含んだアクチュエータ58の構造等の詳細については後述する。
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53は図1(a) に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
すなわち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。以下、説明の便宜上、ヘッドの長手方向(主走査方向)に沿って各ノズル51が一定の間隔(ピッチP)で直線状に配列されているものとして説明する。
なお、用紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、主走査幅方向に1ライン又は1個の帯状を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図1(a) に示すようなマトリクスに配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン又は1個の帯状の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示のマトリクス配列に限定されず、主走査方向に沿って1列のノズル列を有する配列でもよい。
図4はインクジェットヘッド10を搭載したインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。該インクジェット記録装置は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介してインクジェットヘッド10のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図4において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色のインクジェットヘッド10K,10C,10M,10Yのアクチュエータを駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
不図示のプログラム格納部には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部90はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。
なお、該プログラム格納部は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
次に、インクジェットヘッド10に備えられたアクチュエータ58の詳細について説明する。
図5は、図1に示したインク室ユニット53を、アクチュエータ58形成面側から見た平面図である。
図5に示すように、振動板56には、独立した2つのアクチュエータである、アクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bが備えられ、振動板56の各アクチュエータが形成された部分ごとに異なる動きをさせることができる。ここで、ノズル51から離れている方のアクチュエータをアクチュエータ58Aとし、ノズル51に近い側のアクチュエータを第2のアクチュエータ58Bとする。
本例では、アクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bにはピエゾ圧電素子(PZT) が適用される。もちろん、PZT 以外の圧電素子を用いてもよいし、圧電素子に機構系や電気系を備えたハイブリッド(複合)型アクチュエータを用いてもよい。
なお、本実施形態では、1つのインク室に対応した振動板に2つのアクチュエータを備える態様を例示したが、1つの振動板に3つ以上のアクチュエータを備えてもよい。また、図5では第1のアクチュエータの大きさは第2のアクチュエータより小さい態様を例示したが、第1のアクチュエータは第2のアクチュエータと略同一サイズでもよいし、第1のアクチュエータは第2のアクチュエータより大きくてもよい。
一方、アクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bは、図5に示したように、抵抗体59を介して電気的に接続され、アクチュエータ58Aに設けられた第1の個別電極57Aに共通のドライブ信号源 (図4に示したヘッドドライバ84)から共通の駆動信号が印加され、該共通の駆動信号によりアクチュエータ58Aが駆動される。また、第2の個別電極には抵抗体59を介して該共通の駆動信号が印加されて第2のアクチュエータ58Bが駆動される。
また、図4に示したヘッドドライバ84から送出される前記駆動信号は、フレキシブル基板100上に設けられた配線102を介して第1の個別電極57Aに印加される。符号104は配線102と第1の個別電極57Aとの接合部(パッドやランド等)を示し、接合部104はフレキシブル基板100の裏面側(フレキシブル基板100と第1の個別電極57Aが接触する側)に設けられている。なお、フレキシブル基板100は配線の接続状態を示すために、図5以降の図では特に断らない場合には、透視状態として図示することにする。
ここで、符号100で示したフレキシブル基板とは、ポリイミドなどの樹脂シート上に銅などの配線が施された状態を示している。なお、該配線は樹脂シートの表面及び裏面の何れか一方の面に形成されてもよいし、表面及び裏面の両面に形成されてもよい。
また、抵抗体59の両端部には、接合部104においてはんだや導電性接着剤等を介して配線102と抵抗体59との電気的な接続を得るために、はんだとなじみのよい材料で形成される電極が設けられている。
図5では、第1の個別電極57A及び第2の個別電極57Bは、それぞれアクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58B上面の面積より小さい面積を有しているが、第1の個別電極57A及び第2の個別電極57Bの面積がアクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bの活性部領域(変形する領域)に対応するので、第1の個別電極57A及び第2の57Bの面積及び形状はアクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bと略同一であることが好ましい。
図6は、図5に示したアクチュエータ58の等価電気回路を示している。アクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bに圧電素子を適用すると、これらは電気回路上ではコンデンサと等価であり、アクチュエータ58AをC1、第2のアクチュエータ58BをC2、抵抗体59をR1及びR2とすると、ヘッドドライバ84を電圧供給源とした時定数回路が形成される。
なお、コンデンサC1及びC2のコモン側 (基準電位)は振動板56上に設けられた共通電極 (不図示)に接続される。該共通電極はアクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bの下面に面接触するように形成し、抵抗体59の下面には電気的に接続されてもよいし、電気的に接続されていなくてもよい。
また、共通電極は振動板56を導電性部材として振動板56自体を共通電極としてもよい。
言い換えると、ヘッドドライバ84からアクチュエータ58Aに設けられた第1の個別電極57Aに駆動信号が供給されると、印加電圧とR1 の抵抗値及びコンデンサC1 の静電容量によって決まる充電電流でコンデンサC1 が充電され、次式〔数1〕に示すように、ヘッドドライバ84から駆動信号が供給されたタイミングからR1 の抵抗値 (単位オーム)とコンデンサC1 の静電容量(単位ファラッド)とを乗じた時定数t1 (単位秒)だけ遅れて第1の個別電極57Aに駆動電圧が印加される。
〔数1〕
t1 =R1 ×C1
同様に、次式〔数2〕に示すように、第1の個別電極57Aに駆動信号印加されるタイミングからR2 の抵抗値とC2 の静電容量とを乗じた時定数だけ遅れて第2のアクチュエータ58Bに設けられた第2の個別電極57Bに駆動信号が印加される。
t1 =R1 ×C1
同様に、次式〔数2〕に示すように、第1の個別電極57Aに駆動信号印加されるタイミングからR2 の抵抗値とC2 の静電容量とを乗じた時定数だけ遅れて第2のアクチュエータ58Bに設けられた第2の個別電極57Bに駆動信号が印加される。
〔数2〕
t2 =R2 ×C2
図5に示した態様では、抵抗体59とフレキシブル基板100上の各個別電極への配線とは接合部104で電気的に接続されるので、図6に示したR1 は略0Ωとして取り扱うことができる。したがって、抵抗体59の抵抗値Rと図6に示したR1 とR2 との関係は次式〔数3〕で表される。
t2 =R2 ×C2
図5に示した態様では、抵抗体59とフレキシブル基板100上の各個別電極への配線とは接合部104で電気的に接続されるので、図6に示したR1 は略0Ωとして取り扱うことができる。したがって、抵抗体59の抵抗値Rと図6に示したR1 とR2 との関係は次式〔数3〕で表される。
〔数3〕
R=R1 +R2 =R2 (R1 =0)
図5に示した態様では、アクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bの外縁部部分に抵抗体59が形成される態様を例示したが、抵抗体59は振動板56上に形成されてもよいし、フレキシブル基板100上に形成されてもよい。
R=R1 +R2 =R2 (R1 =0)
図5に示した態様では、アクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bの外縁部部分に抵抗体59が形成される態様を例示したが、抵抗体59は振動板56上に形成されてもよいし、フレキシブル基板100上に形成されてもよい。
図7には、抵抗体59がフレキシブル基板100上に実装されるようフレキシブル基板100を構成した態様を示す。
図7に示すように、第1の個別電極57Aに接続されるフレキシブル基板100上に設けられた配線102Aと、第2の個別電極57Bに接続される配線102Bと、の間に抵抗体59を実装可能である。図7に示す態様では、抵抗体59にはチップ抵抗器(SMD)を用いるとよい。
配線102Aには、第1の個別電極57Aとの接合部である個別電極接合部104A及び、抵抗体59の一方側の電極と接合される抵抗体接合部106Aが設けられている。また、第2の配線102Bには、第2の個別電極57Bと接合される個別電極接合部104B及び抵抗体接合部106Bが設けられている。なお、抵抗体接合部106A及び106Bはフレキシブル基板100の下面側(裏面側)に設けられており、抵抗体59はフレキシブル基板100の下面側に実装される。
図8には、図6に示したR1 に相当する抵抗体59A及びR2 に相当する抵抗体59Bがフレキシブル基板100上(下面側)に実装された態様を示している。
フレキシブル基板100には、配線102A及び配線102Aの終端部に抵抗体59Aの一方の電極が接合される抵抗体接合部110A、抵抗体59Aのもう一方の電極が接合される抵抗体接合部112A、第1の個別電極57Aが接合される個別電極接合部104A、両端部に抵抗体接合部112A及び個別電極接合部104Aを有する配線114Aが設けられている。
即ち、配線102Aは抵抗体59A及び配線114A、個別電極接合部104Aを介して第1の個別電極57Aに接続される。
また、フレキシブル基板100には、配線102Aから第2の個別電極57B側へ分岐された配線102B及びその終端部に抵抗体59Bの一方の電極が接合される抵抗体接合部110B、抵抗体59Bのもう一方の電極が接合される抵抗体接合部112B、第2の個別電極57Bが接合される個別電極接合部104B、両端部に抵抗体接合部112B及び個別電極接合部104Bを有する配線114Bが設けられている。なお、抵抗体59Aは抵抗体59Bと同様にフレキシブル基板100の下面側に実装されている。
即ち、配線102Bは抵抗体59(図6のR2 に相当)、配線114B、個別電極接合部104Bを介して第2の個別電極57Bに接続される。
また、図9及び図10に示すように、アクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bの間の領域に抵抗体59を形成させてもよい。なお、図10は、図9中のX −X 線に沿う断面図である。なお、図10では、フレキシブル基板100及びフレキシブル基板100上の配線102が省略されている。
これ以外にも抵抗体59の形成方法には様々な態様があり、図11に示すように、振動板56のアクチュエータ58配設面56Aに凹部56Bを設け、該凹部56B内に抵抗体59を形成させてもよい。
ここで、アクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58B間に形成される抵抗体は、例えば、酸化ルテニウム(RuO2 )や二酸化ケイ素(SiO2 )などの酸化物を混合調整したものでよい。
上述したように、従来技術に示すアクチュエータ(圧電体)上部に形成される個別電極内に抵抗体を形成する方法に比べて、抵抗体59を自由な領域に形成させることができるので、抵抗体59の外形(大きさ)や抵抗値が制限されず、様々な抵抗値を有する抵抗体を形成可能である。
上述したような構造を有するインク室ユニット53は、アクチュエータ58Aが駆動されてから〔数1〕及び〔数2〕に示した時間t1と時間t2との差である時間Δt2 だけ遅れて第2のアクチュエータ58Bが駆動される。即ち、ノズルから離れた側にあるアクチュエータ58Aが駆動されることによってアクチュエータ58Aに対応した振動板56の領域が変形し、時間Δt2 経過すると第2のアクチュエータ58Bに対応した振動板56の領域が変形する。
言い換えると、振動板56はノズル51から離れた側からノズル51に近い側へ遅延時間Δt2ごとに順次変形する、いわゆる、しなり運動を圧力室52内に発生させることができる。
圧力室52内に上述したしなり運動を発生させると、圧力室52内のインクをしぼり出すように圧力室52が変形するので、高粘度のインクを使用する場合のリフィル過程において好適なインクを絞り出すようなインクの充填が可能になる。
本インクジェットヘッド10は、アクチュエータ58Aと第2のアクチュエータ58Bを順次25μsec から100μsec の周期で駆動させる。例えば、高粘度インクの吐出周波数を10kHz から40kHz とし、リフィルに許容される時間を25μsec から100μsec と想定すると、圧力室52のしなり運動は25μsec から50μsec の低周波駆動を想定すればよい。
このようにアクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58Bを駆動することで、高粘度インクのリフィルの高速化に好適なしなり運動を発生させることができる。
仮に、特許文献2に開示されたように、遅延時間を0.7μsec から7μsec 程度とすると、圧力波を集中させるために高速領域に対応できるだけであり、第1のアクチュエータ58Aと第2のアクチュエータ58Bを順次25μsec から100μsec の周期で駆動させることで、リフィル(回復領域)のアシスト、高速化を実現することができる。
遅延時間Δt2 を10μsec 以上にするには、図6に示した等価回路における静電容量C2、抵抗値R2 によって決まる時定数を大きくする必要がある。静電容量C2 は第2のアクチュエータ58Bの構造によって決まる一定値であり、該時定数を大きくするには一般に抵抗値R2 を大きくする。
本インクジェットヘッド10では、図5及び図7乃至図11に示したように、抵抗体59を、個別電極57の上面(或いは下面)ではなく、振動板56のアクチュエータ58形成面内やフレキシブル基板100上にアクチュエータ58と略同サイズに形成することで、上述した遅延時間が10μsec 以上になる抵抗値R2 を実現することができる。
なお、上述した圧力室52の低周波しなり運動は、吐出に関わる周波数帯とは異なるため、吐出には悪影響を与えることはない。
次に、図12乃至図15にインク室ユニット53に独立した3つのアクチュエータである、第1のアクチュエータ58A及び第2のアクチュエータ58B、第3のアクチュエータ58Cが備えられた態様を例示する。
第3のアクチュエータ58Cは、第2のアクチュエータ58Bのノズル側(図12では、第2のアクチュエータ58Bの右側)に備えられており、ノズル51側から第3のアクチュエータ58C、第2のアクチュエータ58B、第1のアクチュエータ58Aの順に振動板56上に並べられている。
第3のアクチュエータ58Cの上面側には第3の個別電極57Cが備えられ、第3の個別電極57Cには第3のアクチュエータ58Cを駆動する駆動信号が印加される。この駆動信号はフレキシブル基板100上に設けられた配線102Cから抵抗体59C及び配線114C、個別電極接合部104Cを介して、図4に示したヘッドドライバ84から送られる。
即ち、図4のヘッドドライバ84に接続される配線102Aはフレキシブル基板100上で3分岐され、1つの配線(配線102A)は抵抗体59Aを介して第1の共通電極57Aに接続され、残り2つの配線のうち一方の配線(配線102B)は抵抗59Bを介して第2の個別電極57Bに接続される。更に、もう一方の配線(配線102C)は抵抗体59Cを介して第3の個別電極57Cに接続される。
なお、抵抗体59Cの両端部に設けられた電極(不図示)の一方は配線102Cの抵抗体接合部110Cに接合され、もう一方は配線114Cの抵抗体接合部112Cに接合される。
図13には、図12に示した第1のアクチュエータ58A、58B、58Cの等価電気回路を示す。図13に示した等価電気回路では、ヘッドドライバ84から送出された共通の駆動信号は第1のアクチュエータ58A、58B、58Cの第1の個別電極57A、57B、57Cにはそれぞれ、次式〔数4〕、〔数5〕、〔数6〕を満たす時定数(遅延時間)t1 、t2 、t3 だけ遅れて印加される。
〔数4〕
t1 =C1 ×R1
〔数5〕
t2 =C2 ×R2
〔数6〕
t3 =C3 ×R3
第1のアクチュエータ58A,58B、58Cを共通の駆動信号で駆動させる際に、この時定数t1 、t2 、t3 を適宜設定して、第1のアクチュエータ58A、58B、58Cを遅延駆動させることができる。
t1 =C1 ×R1
〔数5〕
t2 =C2 ×R2
〔数6〕
t3 =C3 ×R3
第1のアクチュエータ58A,58B、58Cを共通の駆動信号で駆動させる際に、この時定数t1 、t2 、t3 を適宜設定して、第1のアクチュエータ58A、58B、58Cを遅延駆動させることができる。
例えば、次式〔数7〕を満たすように時定数t1 、t2 、t3 を決めると、第1のアクチュエータ58A、58B、58Cの順に順次駆動され、振動板56はノズル51から離れた側からノズル51に近い側へ順次変形して、いわゆる、しなり運動を圧力室52内に発生させることができ、リフィルを高速化することができる。
〔数7〕
t1 <t2 <t3
また、次式〔数8〕を満たすように時定数t1 、t2 、t3 を決めると、ノズル51に最も近い側第3のアクチュエータ58Cを最初に駆動して、以降、ノズル51に遠い側の第1のアクチュエータ58A、58Bの順に駆動される。このように第1のアクチュエータ58A、58B、58Cが駆動されると、先ず、インクを吐出させるために、ノズル51に最も近い第3のアクチュエータ58Cが駆動され、インクが吐出されるとリフィルの高速化をすることができるしなり運動を圧力室52内に発生させることができる。
t1 <t2 <t3
また、次式〔数8〕を満たすように時定数t1 、t2 、t3 を決めると、ノズル51に最も近い側第3のアクチュエータ58Cを最初に駆動して、以降、ノズル51に遠い側の第1のアクチュエータ58A、58Bの順に駆動される。このように第1のアクチュエータ58A、58B、58Cが駆動されると、先ず、インクを吐出させるために、ノズル51に最も近い第3のアクチュエータ58Cが駆動され、インクが吐出されるとリフィルの高速化をすることができるしなり運動を圧力室52内に発生させることができる。
〔数8〕
t3 <t1 <t2
図14(a) は、抵抗体59A、59B、59Cを圧力室隔壁(隣り合う圧力室を隔てる壁)等の圧力室52上面に形成させる場合に用いられるフレキシブル基板100を示し、図14(b) は抵抗体59A、59B、59Cが圧力室52上に形成されている状態を示す。
t3 <t1 <t2
図14(a) は、抵抗体59A、59B、59Cを圧力室隔壁(隣り合う圧力室を隔てる壁)等の圧力室52上面に形成させる場合に用いられるフレキシブル基板100を示し、図14(b) は抵抗体59A、59B、59Cが圧力室52上に形成されている状態を示す。
図14(b) に示すように、配線102A、102B、102Cの終端部の抵抗体接合部110A、110B、110Cは抵抗体59A、59B、59Cの一方の電極110A’、110B’、110C’と接合され、配線114A、114B、114Cの一方の端部に設けられた抵抗体接合部112A、112B、112Cは抵抗体59A、59B、59Cのもう一方の電極112A’、112B’、112C’と接合される。また、配線114A、114B、114Cのもう一方の端部に設けられた個別電極接合部104A、104B、104Cは第1の個別電極57A、57B、57Cの上面側に設けられた配線接合部104A’、104B’、104C’と接合される。
なお、上述した抵抗器、配線、個別電極の接合には、はんだや導電性接着剤などを用いるとよい。
抵抗体59A、59B、59Cを圧力室52上面に形成すると、フレキシブル基板100に抵抗体59A、59B、59Cを実装する工程を省くことができる。
なお、抵抗体59A、59B、59Cを圧力室52上面に形成させる場合、その形成方法にはエアロゾルデポジション法(AD法)を適用でき、第1のアクチュエータ58A、58B、58Cを形成する工程内で同時に形成することができる。AD法の詳細については後述する。
また、図15には、フレキシブル基板100から抵抗体59A、59B、59Cから第1の個別電極57A、57B、57Cへの配線(図14に示した符号114A、114B、114C)を省略した態様を示す。
図15に示す態様では、別工程によって形成(製造)された抵抗体59A、59B、59Cを圧力室52上面に実装し、その後、図15に示すフレキシブル基板100’を接合させる。また、抵抗体59A、59B、59Cと第1の個別電極57A、57B、57Cとの接合方法には、圧力室52上面に第1の個別電極57A、57B、57Cと電気的に接続された抵抗体59A、59B、59Cを接合させるパッド(不図示)を設け、該パッド上ではんだによって接合させてもよい。もちろん、他の接合方法を用いてもよい。
図15に示す態様では、フレキシブル基板100’の配線パターンを簡略化できる。
次に、本インクジェットヘッド10に用いられるアクチュエータ58及び抵抗体59を振動板56上に形成させる製造方法について説明する。
本インクジェットヘッド10は、インク流路やインクを貯留させるインク室になる開口部、凹凸部、穴部などが形成される薄板状部材が複数積層された積層構造を有している。
更に、振動板56の上にはアクチュエータ(圧電体)58及び抵抗体59が形成され、アクチュエータ58の上には個別電極57が形成される。
本インクジェットヘッド10では、アクチュエータ58はAD法(エアロゾルデポジション法)を用いて振動板56上に形成される。また、図10及び図11に示すように振動板56上に抵抗体59を設ける場合は、AD法を用いて抵抗体59を振動板56上の圧電体形成面と同一面上に形成させるとよい。
即ち、アクチュエータ58及び抵抗体59に共通のマスクを用い、2種類以上の特性の膜をそれぞれ別のエアロゾルノズルによって同一工程内で振動板56に着膜させる。もちろん、マスクを用いずに2種類以上の特性の膜をそれぞれ別のエアロゾルノズルによって振動板56上に直接描画してもよい。アクチュエータ58が振動板56上に形成され、アクチュエータ58の上部には個別電極57が形成される。
AD法を用いることで、1工程で2種類以上の膜を同時形成させることが可能になり、振動板56上には2種類以上素子がパターニングされて形成される。
なお、抵抗体59は振動板56上でアクチュエータ58と直接接続させるように構成すると配線を省略できるのでより好ましい。
一方、ノズル51から振動板56までの積層構造を形成させる方法は、エッチングなどにより各層のプレートに加工を施しながらプレートを積層させてもよい。
上記の如く構成されたインクジェットヘッド10は、振動板56上にメカ的に独立な複数の第1のアクチュエータ58A、58Bを備え、これらを抵抗体59によって電気的に接続させ、更に共通の駆動信号でこれらを駆動させので、振動板56はアクチュエータ形成部位ごとに異なる動きをさせることができ、領域間同士で干渉のない効率的な遅延動作を得ることができる。
また、第1のアクチュエータ58A,58Bを25μsec から100μseの駆動周期で駆動させるので、高粘度液吐出後のリフィル過程において好適なしなり運動を圧力室52(振動板56)に発生させ、該しなり運動によって液滴を絞り出すように充填させることができるので、リフィル時間を短縮させることができる。
本発明はメカ的に独立した3個以上の第1のアクチュエータ58A、58B、58Cを振動板56上に設ける場合にも適用できる。3個の第1のアクチュエータ58A、58B、58Cを遅延駆動させる態様には、ノズル51に遠い側からノズル51に近い側へ(即ち、第1のアクチュエータ58A、58B、58Cの順に)順次第1のアクチュエータ58A、58b、58Cを駆動させてもよいし、ノズル51に最も近い側の第3のアクチュエータ58Cを始めに駆動させ、以降、ノズル51に遠い側から近い側へ(第1のアクチュエータ58A,58Bの順に)駆動させてもよい。
更に、振動板56上に形成されるアクチュエータ58及び抵抗体59はエアロゾル法を用いて形成される。2種類以上の製膜工程をほぼ1工程でできるので、製造コストをほぼ維持したままインクジェットヘッドの機能性を向上させることができる。
本実施形態では液滴の吐出ヘッドとしてインクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッドを例示したが、本発明は、ウエハやガラス基板、エポキシなどの基板類等の被吐出媒体上に液類(水、薬液、レジスト、処理液)を吐出させて画像、回路配線、加工パターンなどを形成させる液吐出装置に用いられる吐出ヘッドに適用可能である。
10…インクジェットヘッド、51…ノズル、52…圧力室、56…振動板、57,57A,57B,57C…個別電極、58,58A,58B,58C…アクチュエータ、59,59A,59B,59C…抵抗体、84…ヘッドドライバ
Claims (15)
- 被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、
前記吐出孔と連通され、前記吐出孔から吐出される液が収容される圧力室と、
前記圧力室を形成する少なくとも1つの壁に備えられ、前記圧力室に収容される液に吐出力を与える複数個の独立した駆動素子と、
前記複数の駆動素子間を電気的に接続させる抵抗体と、
前記複数の駆動素子を駆動させる駆動信号を前記抵抗体で接続された複数の駆動素子のうち少なくとも1つの駆動素子に伝搬させる駆動信号伝搬手段と、
を備えたことを特徴とする吐出ヘッド。 - 前記駆動素子は圧電体を含むことを特徴とする請求項1記載の吐出ヘッド。
- 前記抵抗体は前記駆動素子と同一面内に備えられることを特徴する請求項1又は2記載の吐出ヘッド。
- 前記圧力室に備えられた複数の駆動素子は、駆動信号が印加される駆動信号用電極を該駆動素子ごとに備えると共に、前記駆動信号用電極に前記駆動信号が印加されると容量性負荷として機能する静電容量成分を有し、
前記複数の駆動素子間に前記抵抗体を接続させて前記駆動素子の静電容量と前記抵抗体の抵抗とを含んだ時定数回路が形成されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の吐出ヘッド。 - 前記駆動信号伝搬手段は、前記駆動信号用電極或いは前記抵抗体の少なくとも何れか一方に接続されることを特徴とする請求項4記載の吐出ヘッド。
- 駆動素子は、1つの圧力室に複数個備えられると共に、前記吐出孔側に向かって並べられ、
前記複数の駆動素子の前記時定数回路は、前記吐出孔から離れた駆動素子から前記吐出孔に近い駆動素子に向かって順に時定数が大きくなるように形成されることを特徴とする請求項4又は5記載の吐出ヘッド。 - 駆動素子は、1つの圧力室に複数個備えられると共に、前記吐出孔側に向かって並べられ、
前記吐出孔に最も近い駆動素子の時定数が他の駆動素子の時定数に比べて小さくなるように前記時定数回路を形成すると共に、前記他の駆動素子の時定数回路は、前記吐出孔から離れた駆動素子から前記吐出孔に近い駆動素子に向かって順に時定数が大きくなるように形成されることを特徴とする請求項4又は5記載の吐出ヘッド。 - 前記抵抗体の抵抗値は、各駆動素子の駆動遅延時間が25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下になる抵抗値を含むことを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか1項に記載のの吐出ヘッド。
- 前記抵抗体の抵抗値は、前記他の各駆動素子の駆動遅延時間が25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下になる抵抗値を含むことを特徴とする請求項7記載の吐出ヘッド。
- 被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、前記吐出孔から吐出される液滴に吐出力を与える駆動素子を複数備えた圧力室と、前記圧力室に備えられた複数の駆動素子を電気的に接続させる抵抗体と、を有する吐出ヘッドの駆動方法であって、
前記圧力室に備えられた複数の駆動素子のうち少なくとも1つの駆動素子に駆動信号を印加して、前記駆動信号が印加された駆動素子と前記抵抗体を介して接続された駆動素子を遅延駆動させることを特徴とする吐出ヘッド駆動方法。 - 前記圧力室に備えられた複数の駆動素子は、前記吐出孔と離れた駆動素子から前記吐出孔に近い駆動素子へ向かって順次駆動されることを特徴とする請求項10記載の吐出ヘッド駆動方法。
- 前記圧力室に備えられた複数の駆動素子は、前記吐出孔に最も近い駆動素子が最初に駆動され、前記吐出孔に最も近い駆動素子の駆動後に前記吐出孔に最も近い駆動素子以外の他の駆動素子では前記吐出孔と離れた駆動素子から前記吐出孔に近い駆動素子へ向かって順次駆動されることを特徴とする請求項10記載の吐出ヘッド駆動方法。
- 前記圧力室に備えられた複数の駆動素子は、25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下の遅延時間をもって駆動されることを特徴とする請求項10又は11記載の吐出ヘッド駆動方法。
- 前記他の駆動素子は、25マイクロ秒以上100マイクロ秒以下の遅延時間をもって駆動されることを特徴とする請求項12記載の吐出ヘッド駆動方法。
- 被記録媒体に液を吐出させる吐出孔と、前記吐出孔から吐出される液を収容する圧力室と、前記圧力室を形成する少なくとも1つの壁に備えられ前記圧力室内の液に吐出力を与える独立した複数個の駆動素子と、を備えた吐出ヘッドの製造方法であって、
前記吐出孔から吐出される液に吐出力を与える前記複数の駆動素子及び前記駆動素子を電気的に接続させる抵抗体を同一面内にエアロゾルデポジション法を用いて形成させる形成工程を含むことを特徴とする吐出ヘッド製造方法。
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