JP2005262778A - 多層相変化型情報記録媒体及びその記録再生方法 - Google Patents

多層相変化型情報記録媒体及びその記録再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】青色波長において優れた記録特性を有し、レーザー光の照射前面側に配置される半透過性記録層を備えた多層相変化型情報記録媒体等の提供。
【解決手段】基板上に少なくとも2層の情報層を有し、該情報層が少なくとも記録層を有し、かつ同一レーザー光の入射方向に光学的に分離可能な間隔を持って積層されてなり、該情報層における記録層のうちレーザー光を透過させて記録を行う半透過性記録層が、Ge−SnTe及び共晶系近傍組成を有するSbTeを含有すると共に、該半透過性記録層の組成が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、A((Ge−Sn)29,Sb36,Te35)、B((Ge−Sn)25,Sb36,Te39)、C((Ge−Sn)10,Sb57.6,Te32.4)、及びD((Ge−Sn)10,Sb68,Te22)の各組成点で囲まれる領域内に存在する多層相変化型情報記録媒体である。
【選択図】図4

Description

本発明は、特に青色波長(380〜430nmの波長範囲)において優れた記録特性を有し、レーザー光の照射前面側に配置される半透過性記録層を備えた多層相変化型情報記録媒体及びその記録再生方法に関する。
従来より、CD−RやCD−RW等の光ディスク(以下、光記録媒体、光情報記録媒体、相変化型光記録媒体と称することもある)は、ポリカーボネート樹脂等のプラスチックスの円形基板上に記録層を設け、該記録層上にアルミニウム、金、銀等の金属を蒸着、又はスパッタリングして反射層を形成した構成を備えている。この場合、光ディスクの基板面側からレーザー光を入射して、信号の記録、再生が行われる。
近年、コンピューターメモリ、画像及び音声ファイル用メモリ、光カード等で扱う情報量が非常に増加しているため、DVD+RW、DVD−RW、DVD−RAMのように光ディスクの信号記録容量の増大及び信号情報の高密度化が進んでいる。現在、CDの記録容量は650MB程度、DVDでは4.7GB程度の容量であるが、更に高記録密度化が要求されている。
記録密度を高める方法として、光学系においては、用いる半導体レーザー光源の短波長化と対物レンズの開口数NA(Numerical Aparture)の増大化が検討されている。更に、2次元方向の記録密度の向上のみでなく、記録媒体の厚さ方向に記録層を多層化し、情報記録を蓄積する手法が検討されている。
一方、材料的な観点から見ると、大きく二系統の材料開発の流れがある。即ち、一つは、追記型の記録相材料であるGeTe及び可逆的に相変化できるSbとTeとの合金であるSbTe、この2つの材料の固溶体又は共晶組成のGeSbTeの三元合金からなる記録層材料である(特許文献1参照)。また、もう一つはSbとTeとの合金であり、例えば、SbとSbTeとの共晶組成であるSb含有量が70原子%前後となるSbTeに、微量元素を添加した記録層材料が提案されている(特許文献2及び特許文献3参照)。
前者の三元合金系材料は、可逆的相変化が可能なTeを主成分とし、Geの添加によりTeのアモルファス相の安定化を図り、更に、SbTeと混合することによって記録に必要な光エネルギーを小さくするとともに、その混合比を最適な範囲とすることで高速に情報の記録、消去、又は書き換えが可能となることが提案されている(特許文献4参照)。しかし、記録材料単体の特性のみでは書き換え速度的には十分ではなく、記録層の上下に線速を向上させるためのGeN等の界面層を設けて補完している。また、前記特許文献2では、青色波長の400nm付近において30Mbps以上の高速な転送レートとすることが困難である。更に、多層相変化型情報記録媒体にすると、レーザー光照射前面側の記録層の場合は透過性も必要となるが、膜厚を薄くすると高速書き換えが難しくなるという問題がある。
一方、SbTeの共晶系近傍の材料組成としては、第1情報記録部に記録材料としてSb及びTeを主成分とし、その原子比率が2.3<Sb/Te≦4.0である相変化記録材料が提案されている(特許文献2参照)。この相変化記録材料は、結晶化速度が早く、高転送レートでの安定した記録再生及び書き換えが可能になると記載されている。また、記録層の膜厚を十分薄くしても、非晶質状態での熱安定性及び消去率特性に優れ、かつ高感度化が可能な相変化光記録媒体として、GeとSn及びPbを添加した材料系が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、これら提案においても、記録層の膜厚を薄くした場合、特に、青色波長域では信号振幅が得られにくくなるという問題がある。
従って、青色波長(380〜430nmの波長範囲)において膜厚の薄い記録層を実用化し、広い信号振幅を得るためには、更なる検討が必要であり、その提供が望まれているのが現状である。
特開2003−16687号公報 特開2002−288876号公報 特開2002−293032号公報 特開2002−293025号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、青色波長(380〜430nmの波長範囲)において優れた記録特性を有し、高速書き換えが可能であり、薄い膜厚でも青色波長でのダイナミックレンジが大きい半透過性記録層を有する多層相変化型情報記録媒体及び該多層相変化型情報記録媒体を用いた記録再生方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、(1)青色波長(380〜430nm)でダイナミックレンジとモジュレーションが取り易く再性光強度を強くできるGeSnTeと、大きなC/N比が得られSbTeよりも低い融点を持つSbとSbTeの共晶組成近傍のSbTeとを組み合わせた記録層材料が、SbとSbTeの共晶組成近傍のSbTeの結晶化速度が速いために、記録層接触して結晶化促進層を用いる必要がなく、少ない層構成により半透過性記録層を構成できるという知見である。(2)記録層のアモルファス状態の光学定数は青色波長域での光学定数の値が大きいので、薄い膜厚においても信号差を得ることができることを知見した。(3)消衰係数kの値が小さいため、高い透過率を有するので半透過性記録層として用いることができ、該半透過性記録層を確実に形成することにより、多層の記録層を有する光情報記録媒体を得ることが容易であるという知見である。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基板上に少なくとも2層の情報層を有し、該情報層が少なくとも記録層を有し、かつ同一レーザー光の入射方向に光学的に分離可能な間隔を持って積層されてなり、該情報層における記録層のうちレーザー光を透過させて記録を行う半透過性記録層が、Ge−SnTe及び共晶系近傍組成を有するSbTeを含有すると共に、該半透過性記録層の組成が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、A((Ge−Sn)29,Sb36,Te35)、B((Ge−Sn)25,Sb36,Te39)、C((Ge−Sn)10,Sb57.6,Te32.4)、及びD((Ge−Sn)10,Sb68,Te22)の各組成点で囲まれる領域内に存在することを特徴とする多層相変化型情報記録媒体である。
<2> 半透過性記録層が、(Ge−Sn)50Te50及びSbとSbTeの共晶系近傍組成を有するSbTeを含有する前記<1>に記載の多層相変化型情報記録媒体である。
<3> 半透過性記録層の組成が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、GeSnTeとSb80Te20とを結ぶライン上に存在する前記<1>から<2>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体である。
<4> 半透過性記録層におけるGeの含有量が、Ge単体として5原子%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体である。
前記<1>から<4>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体においては、少なくとも2層の情報層における記録層のうちレーザー光を透過させて記録を行う半透過性記録層が、Ge−SnTe及び共晶系近傍組成を有するSbTeを含有すると共に、該半透過性記録層の組成が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、A((Ge−Sn)29,Sb36,Te35)、B((Ge−Sn)25,Sb36,Te39)、C((Ge−Sn)10,Sb57.6,Te32.4)、及びD((Ge−Sn)10,Sb68,Te22)の各組成点で囲まれる領域内に存在することにより、青色波長(380〜430nmの波長範囲)において優れた記録特性を有し、高速書き換えが可能であり、薄い膜厚でも青色波長でのダイナミックレンジが大きい半透過性記録層を有する多層相変化型情報記録媒体を得ることができる。
<5> 半透過性記録層を有する情報層が、基板上に少なくとも下部保護層、半透過性記録層、上部保護層、反射層、及び熱拡散層をこの順に積層してなる前記<1>から<4>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体である。
<6> 上部保護層と反射層との間に、バリア層を有する前記<5>に記載の多層相変化型情報記録媒体である。該<6>に記載の多層相変化型情報記録媒体においては、反射層の腐食を抑えた保存信頼性の優れた2層相変化型情報記録媒体を提供することができる。
<7> 半透過性記録層の膜厚が4〜15nmである前記<1>から<6>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体である。
<8> 記録層が、更にAg、In、Ge、Se、Sn、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Bi、Si、Dy、Pd、Pt、Au、S、B、C、Pから選択される少なくとも1種の元素を含有し、該元素の合計含有量が10原子%以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体である。
<9> 記録層がパルス波形を有する直流スパッタ法により成膜されてなる前記<1>から<8>のいずれか記載の多層相変化型情報記録媒体である。
<10> レーザー光の波長が380〜430nmである前記<1>から<9>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体である。
<11> 3値以上の多値記録を行う前記<1>から<10>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体である。該<11>に記載の多層相変化型情報記録媒体においては、ダイナミックレンジが大きく取れるため、多値記録とすることができる。
<12> 第1基板と第2基板との間に、第1情報層及び第2情報層を中間層を介して設けてなり、記録・再生のための光が入射される側から、前記第1情報層として少なくとも第1下部保護層、半透過性記録層、第1上部保護層、第1反射層、及び熱拡散層をこの順に積層してなり、前記第2情報層として少なくとも第2下部保護層、第2記録層、第2上部保護層、及び第2反射層をこの順に積層してなる前記<1>から<11>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体である。
<13> 第1情報層の光透過率が、波長380〜430nmの光に対し40〜70%である前記<12>に記載の多層相変化型情報記録媒体である。該<13>に記載の多層相変化型情報記録媒体においては、第1情報層、第2情報層ともに感度がよく、記録再生特性の優れた2層相変化型情報記録媒体を提供することができる。
<14> 前記<1>から<13>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体における各情報層に対し、第1情報層側から波長380〜430nmの光ビームを入射させて情報の記録・再生を行うことを特徴とする多層相変化型情報記録媒体の記録再生方法である。該<14>に記載の多層相変化型情報記録媒体の記録再生方法においては、前記<1>から<13>のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体を用いて大容量の記録・再生を行うことができる。
本発明によれば、380〜430nmの範囲という青色波長においても十分な記録信号差が得られ、データ記録及びデータ読み出しができると共に、高い透過率故に更に奥側の積層された記録層からデータ信号の十分な記録・再生が可能である多層相変化型情報記録媒体を提供することができる。
(多層相変化型情報記録媒体)
本発明の多層相変化型情報記録媒体は、基板上に少なくとも2層の情報層を有し、該情報層が少なくとも記録層を有し、下部誘電体層、上部誘電体層、耐硫化バリア層、反射層、及び熱拡散層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記情報層における記録層のうちレーザー光を透過させて記録を行う半透過性記録層は、
GeSnTe及び共晶系近傍組成を有するSbTeを含有すると共に、該半透過性記録層の組成が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、A((Ge−Sn)29,Sb36,Te35)、B((Ge−Sn)25,Sb36,Te39)、C((Ge−Sn)10,Sb57.6,Te32.4)、及びD((Ge−Sn)10,Sb68,Te22)の各組成点で囲まれる領域内に存在する。
前記半透過性記録層は、GeSnTe及び共晶系近傍組成を有するSbTe、特に(Ge−Sn)50Te50及びSbとSbTeの共晶系近傍組成を有するSbTeを含有する。
ここで、図1にSbとTeの二元合金の相図を示す。横軸下側の数字はTeの濃度を原子%で示している。グラフ中、Te原子60%の液相線凸部が合金系組成SbTeの組成で、数字622はその融点を示している。また、Te30原子%の液相線凹部はSbとSbTeの共晶組成で数字540はその融点を示している。SbとSbTeの共晶組成の方が合金系組成SbTeに比較し融点が低いことがわかる。合金組成及び共晶組成付近で液相線の変化は緩やかであり、両組成ともその組成近傍で安定であることが読み取れる。SbとSbTeの共晶組成の場合、融点が低いために半導体レーザー光により十分溶融され、その結果、50dB程度のC/N比が得られる点で合金組成のSbTeより優れているといえる。
しかしながら、その反面での青色波長(380〜430nm)における結晶状態及びアモルファス状態における光学定数をチェックすると、図2の結果が得られる。即ち、波長405nmにて、共晶組成近傍の光学定数差は、Δn=1.40、Δk=0.26である。アモルファス状態でのnが2.5、kが3.0程度である。DVD系メディアの波長である660nmでの値(Δn=1.40、Δk=2.7、アモルファス状態でのnが4.2、kが2.5)と比べると、光学定数の変化を信号差として捉え難くなり、その結果、信号振幅が取り難くなる。また、kの値が半透過層として用いるには比較的大きいので半透過性記録層としては、更にkの小さい材料が望まれる。そこで、光学定数の値としてもその差が大きな材料を選ぶか、又は組み合わせる必要がある。
一方、GeTeに着目して見ると、結晶状態及びアモルファス状態での光学定数の変化は図3に表される。図3に示すように、波長405nmにて、GeTeの光学定数差は、Δn=1.60、Δk=0.76である。アモルファス状態でのnが3.1、kが1.6程度である。GeTeは、青色波長域(380〜430nm)における結晶とアモルファスの光学定数差が得られるので、青色波長域における広いダイナミックレンジとモジュレーションを得ることができる。更に、GeTe中のGeは材料のアモルファス状態の安定性を保つ機能があるためレーザーの再性光劣化を防止することができる。そのため、再性光の光強度を強めることができ、その点からも広いダイナミックレンジとモジュレーションを得やすくなる。
しかしながら、GeTe単体では、融点及び結晶化温度が高くアモルファス状態が非常に安定であるため、現在市販されている半導体レーザーのパワーでは、可逆的に変化させることができない。
本発明の半透過性記録層における構成要素の一つであるGe−SnTeは、GeTe単体のGeの半分をSnに置き換えた組成である。ここで、Snの役割は初期結晶化のし易さ及び、結晶化速度の向上に寄与するものである。
従って、青色波長(380〜430nm)でダイナミックレンジとモジュレーションが取り易く再性光強度を強くできるGeSnTeと、大きなC/N比が得られ、SbTeよりも低い融点を持つSbとSbTeの共晶組成近傍のSbTeとを組み合わせた記録材料系を開発した。更に、この記録材料系の利点としては、SbとSbTeの共晶組成近傍のSbTeの結晶化速度が速いために、記録層接触して結晶化促進層を用いる必要がなく、少ない層構成で半透過性記録層を構成できる。
以上のことから、透明基板上に形成してなり、少なくともGe−SnTe及びSbとSbTeの共晶系近傍組成の混合組成として含む合金からなる記録膜を有する。記録膜のアモルファス状態の光学定数は青色波長域での光学定数の値が大きいので、薄い膜厚においても信号差を得ることができ、更に消衰係数kの値が小さいため、高い透過率を有するので半透過性記録層として用いることができる。この半透過性記録層が確実に形成できることにより、多層の記録層を有する光情報記録媒体を容易に効率よく得ることができる。
前記半透過性記録層の組成は、図4に示すように、Ge−Sn、Sb、及びTeを頂点とする三角座標図において、A((Ge−Sn)29,Sb36,Te35)、B((Ge−Sn)25,Sb36,Te39)、C((Ge−Sn)10,Sb57.6,Te32.4)、及びD((Ge−Sn)10,Sb68,Te22)の各組成点で囲まれる領域内に存在し、特に半透過性記録層が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、GeSnTeとSb80Te20とを結ぶライン上に存在することが好ましい。
即ち、図4に示すように、SbTeの組成割合としては、通常SbTe+金属原子の混合系で青色記録として用いられる結晶化転移線速6m/sを確保できるSb量が72原子%以上となるSb72Te28を混合する1点としてGeTeと結んだラインIよりSbが多くなる方が好ましい。また、上限としては線速が速すぎて記録書き換えの上限となるSb85Te15を混合する1点としてGeTeと結んだラインIIよりSbが少ない方が好ましい。更に、Sbが多い組成となるので、保存特性を保持する点からGe単体として5原子%以上が必要である。また、GeTeと共晶組成近傍のSbTeの比は、書き換え特性確保の点からSb72Te28の存在量が50%以上となる範囲が好ましい。同一の構成組成では、系全体におけるSb量により書換えの速度が決定するので、Sbの等量線で領域を区切ることができる。
従って、前記半透過性記録層の組成が、図4の組成点A、B、C、及びDで囲まれた領域内に存在することによって、380〜430nmの範囲という青色波長においても十分な記録信号差が得られ、データ記録及びデータ読み出しができると共に、高い透過率、更に奥側の積層された記録層からデータ信号の十分な記録・再生が可能である。
ここで、図5は、本発明の一実施形態に係る2層情報記録媒体の概略断面図であり、この情報記録媒体は、第1基板3の上に、第1情報層1、中間層4、第2情報層2、及び第2基板5をこの順に積層してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記第1情報層1は、第1下部保護層11、半透過性記録層12、第1上部保護層13、第1反射層14、及び熱拡散層15を有している。
前記第2情報層2は、第2下部護層21、第2記録層22、第2上部保護層23、及び第2反射層24を有している。
なお、第1上部保護層13と第1反射層14との間、及び第2上部保護層23と第2反射層24との間にバリア層を設けても構わない。
−第1基板−
前記第1基板3は、記録再生のために照射する光を十分透過するものであることが必要であり、当該技術分野において従来知られているものの中から適宜選択して用いることができる。
前記第1基板の材料としては、通常、ガラス、セラミックス、樹脂等が用いられるが、成形性、コストの点で樹脂が好適である。
前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられるが、これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点で優れるポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル系樹脂が好ましい。
前記第1基板3の情報層を形成する面には、必要に応じて、レーザー光のトラッキング用のスパイラル状又は同心円状の溝などであって、通常グルーブ部及びランド部と称される凹凸パターンが形成されていてもよく、これは通常射出成形法又はフォトポリマー法などによって成形される。
前記第1基板3の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜600μm程度が好ましい。
前記第2基板5の材料としては、第1基板3と同様の材料を用いても良いが、記録再生光に対して不透明な材料を用いても良く、第1基板3とは、材質、溝形状が異なっても良い。前記第2基板5の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、第1基板の厚さとの合計が1.2mmになるように第2基板5の厚さを選択することが好ましい。
−記録層−
前記記録層のうちレーザー光を透過させて記録を行う半透過性記録層は、上述したように、Ge−SnTe及び共晶系近傍の組成を有するSbTeを含有すると共に、該半透過性記録層の組成が、図4に示すような、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、A((Ge−Sn)29,Sb36,Te35)、B((Ge−Sn)25,Sb36,Te39)、C((Ge−Sn)10,Sb57.6,Te32.4)、及びD((Ge−Sn)10,Sb68,Te22)の各組成点で囲まれる領域内に存在し、特に半透過性記録層が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、GeSnTeとSb80Te20とを結ぶライン上に存在することが好ましい。
前記半透過性記録は、Geの含有量が、保存特性を保持する点からGe単体として5原子%以上であることが好ましい。
前記半透過性記録層の膜厚は4〜15nmが好ましく、6〜12nmがより好ましい。前記厚みが3nm未満であると、均一な膜にするのが困難となることがあり、15nmを超えると、透過率が低下してしまう傾向がある。
前記第2記録層22としては、前記半透過性記録層と同じ組成の記録層材料とすることもできるが、透過性を持たせる必要がなく通常の膜厚で形成することができるので、他の組成の記録層材料でも問題ない。例えば、共晶系のSbTeにGeを5原子%加えたGeSb74.4Te20.6、更に、In、Agを添加したAg0.2In0.2Sb77Te17.6Ge5.0などでもストラテジーを最適化することで用いることができる。
前記第2記録層22の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、3〜25nmが好ましい。前記厚みが3nm未満であると、均一な膜にするのが困難となることがあり、25nmを超えると、記録感度が低下してしまう傾向があるので好ましくない。
前記半透過性記録層及び第2記録層には、さらなる性能向上、信頼性向上などを目的として、Ag、In、Ge、Se、Sn、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Bi、Si、Dy、Pd、Pt、Au、S、B、C、Pなど他の元素や不純物を添加することが好ましい。該元素の合計含有量は10原子%以下が好ましく、0〜5原子%がより好ましい。
これら半透過性記録層及び第2記録層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できるが、これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れているので好ましく、特に、パルス波形を有する直流スパッタ法がターゲット組成と実際に形成された記録層膜との組成ズレが少ない点、及び、アーキングや放電の開始の遅延などスパッタリング成膜上の異常放電を軽減できる点で好適である。
−第1反射層及び第2反射層−
前記第1反射層14、及び第2反射層24は、入射光を効率良く使い、冷却速度を向上させて非晶質化しやすくするなどの機能を有するものであり、そのために通常熱伝導率の高い金属が用いられ、例えば、Au、Ag、Cu、W、Al、Ta、又はそれらの合金などが挙げられ、更に必要に応じて多の元素を添加することができる。添加元素としては、Cr、Ti、Si、Pd、Ta、Nd、Znなどが好適である。
これらの中でも、Ag系材料は、青色波長領域でも屈折率が小さくnが0.5以下で、光吸収を小さく抑えることができるので、本発明のような多層の情報記録媒体の、特に第1情報層の反射層に用いる材料として好ましいものである。
前記反射層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
この場合、前記第1情報層1は、高い透過率が必要とされるため、第1反射層14は、屈折率の低く、熱伝導率の高いAg又はその合金を用いることが好ましい。
前記第1情報層1を構成する第1反射層14の膜厚は、3〜20nmが好ましい。前記膜厚が、3nm未満であると、厚さが均一で緻密な膜を作ることが困難になることがあり、20nmより厚いと、透過率が減少し、第2情報層2の記録再生が困難になることがある。
また、第2情報層2を構成する第2反射層24の膜厚は、50〜200nmが好ましく、80〜150nmがより好ましい。前記膜厚が50nm未満であると、繰り返し記録特性が低下することがあり、200nmより厚くなると、感度の低下を生じる傾向があるので、好ましくない。
−第1下部保護層及び第2下部保護層−
前記第1下部保護層11及び第2下部保護層21、並びに第1上部保護層13及び第2上部保護層23の機能と材質は、単層相変化型情報記録媒体の場合と同様であり、半透過性記録層12と第2記録層22の劣化変質を防ぎ、接着強度を高め、かつ記録特性を高めるなどの作用を有するものであり、例えば、SiO、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrO等の金属酸化物、Si、AlN、TiN、ZrN等の窒化物、ZnS、In、TaS等の硫化物、SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrC等の炭化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、又はそれらの混合物が挙げられる。
これらの材料は、単体で保護層とすることもできるが、互いの混合物としてもよい。また、必要に応じて不純物を含んでもよい。
これら保護層の融点は記録層よりも高いことが必要である。具体的には、ZnSとSiOとの混合物が最も好ましい。
前記保護層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。なかでも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
前記第1下部保護層11と第2下部保護層21の厚さは、30〜200nmが好ましい。これらの範囲で、最適な反射率になるように、膜厚の設計を行うことができる。前記厚さが30nm未満であると、記録時の熱によって、第1基板又は中間層が変形してしまう恐れがあり、200nmより厚いと、量産性に問題が生じてくる傾向がある。
また、前記第1上部保護層13と第2上部保護層23の膜厚は、3〜40nmが好ましい。前記膜厚が3nm未満になると、記録感度が低下することがあり、40nmより厚くなると放熱効果が得られなくなる傾向がある。
本発明の多層相変化型情報記録媒体は、上部保護層と反射層との間にバリア層を設けていても構わない。前記反射層としては、Ag合金、前記上部保護層としては、ZnSとSiOとの混合物が最も好ましいが、この2層が隣接した場合、保護層中の硫黄が反射層のAgを腐食させる可能性があり、保存信頼性が低下するおそれがある。この不具合をなくすために、反射層にAg系を用いた場合には、バリア層を設けるのが好ましい。バリア層は、硫黄を含まず、かつ融点は記録層よりも高い必要があり、具体的には、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrOなどの金属酸化物、Si、AlN、TiN、ZrNなどの窒化物、ZnS、In、TaSなどの硫化物、SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrCなどの炭化物、あるいは、それらの混合物が挙げられる。これらのバリア層は、レーザー波長での吸収率が小さいことが望まれる。
前記バリア層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。なかでも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
前記バリア層の膜厚は、2〜10nmが好ましい。前記膜厚が2nm未満であると、Agの腐食を防止する効果が得られなくなることがあり、保存信頼性が低下する。一方、10nmより厚くなると、放熱効果が得られなくなったり、透過率が低下する傾向がある。
−中間層−
前記中間層4は、記録再生のために照射する光の波長における光吸収が小さいことが好ましく、材料としては、樹脂が成形性、コストの点で好適であり、紫外線硬化性樹脂、遅効性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
第2基板5、中間層4には、第1基板3と同様な、射出成形法又はフォトポリマー法などによって成形される、グルーブ、案内溝などの凹凸パターンが形成されてもよい。
前記中間層4は、記録再生を行う際に、ピックアップが第1情報層と第2情報層とを識別して光学的に分離可能とするものであり、その厚さは10〜70μmが好ましい。10μmより薄いと、層間クロストークが生じ、また70μmより厚いと、第2情報記録層を記録再生する際に、球面収差が発生し、記録再生が困難になる傾向がある。
−熱拡散層−
前記熱拡散層15としては、レーザー照射された記録層を急冷させるために、熱伝導率が大きいことが望まれる。また、奥側の情報層を記録再生できるように、レーザー波長での吸収率が小さいことも望まれる。情報の記録再生に用いるレーザー光の波長において、消衰係数は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。前記消衰係数が0.5を超えると、第1情報層での吸収率が増大し、第2情報層の記録再生が困難になることがある。
前記熱拡散層は、Ge、Si、Al、Cr等の窒化物、酸化物、炭化物あるいはこれらの混合物、インジウム、チタン又はジルコニウム、酸素を主体とした材料を用いることによって、熱拡散層としての上記の機能を有し、オーバーライト特性を向上させることができ、とりわけ短波長領域での十分な光透過率を確保することができる。
前記熱拡散層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
前記熱拡散層15の膜厚は、10〜200nmが好ましい。前記膜厚が10nm未満であると、放熱効果が得られなくなることがあり、200nmを超えると、応力が大きくなり、繰り返し記録特性が低下するばかりでなく、量産性にも問題が生じることがある。
なお、本発明の熱拡散層を、第1下部保護層と第1基板との間に更に設けて、熱拡散効果の更なる向上をはかってもなんら問題ない。
また、本発明の2層相変化型情報記録媒体の第1情報層1は、記録・再生に用いるレーザー光波長(例えば、波長380〜430nm)での光透過率は40〜70%が好ましく、40〜60%がより好ましい。前記光透過率が40%未満であると、半透過記録層12へのレーザ光エネルギーの吸収は増大するため半透過記録層12の記録特性確保はできるが、第2記録層22へのレーザ光エネルギーの入射が減少するため第2記録層22の記録特性の確保が困難となり、70%を超えると第2記録層22へのレーザ光エネルギーの入射が増大するため第2記録層22の記録特性の確保は容易となるが、半透過記録層12へのレーザ光エネルギーの吸収が減少するため半透過記録層12の記録特性の確保が困難となることがある。
なお、初期化後に、記録を行った2層相変化型情報記録媒体では、記録層がアモルファス状態である面積が結晶状態である面積よりも小さいので、アモルファスでの光透過率は結晶状態での光透過率よりも小さくても構わない。
(多層相変化型情報記録媒体の製造方法)
以下、本発明の相変化型情報記録媒体の製造方法について図面を参照して説明する。
本発明の2層相変化型情報記録媒体の製造方法は、第1の形態では、成膜工程、初期化工程、密着工程を含み、基本的にはこの順に各工程を行う。図6は、この方法により製造した2層相変化型情報記録媒体の概略断面図であり、第1基板3、第2基板5にはグルーブが形成されている。
前記成膜工程としては、第1基板3のグルーブが設けられた面に第1情報層1を形成したものと、第2基板5のグルーブが設けられた面に第2情報層2を形成したものを別途作製する。
前記第1情報層1、及び第2情報層2のそれぞれを構成する各層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成される。これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。スパッタリング法は、一般にアルゴンなどの不活性ガスを流しながら成膜を行うが、その際、酸素、窒素などを混入させながら、反応スパッタリングさせてもよい。
前記初期化工程として、第1情報層1、及び第2情報層2に対して、レーザー光などのエネルギー光を出射することにより全面を初期化、即ち、記録層を結晶化させる。
前記初期化工程の際にレーザー光エネルギーにより膜が浮いてしまうおそれがある場合には、初期化工程の前に、第1情報層及び第2情報層の上に、UV樹脂などをスピンコートし紫外線を照射して硬化させ、オーバーコートを施しても良い。また、次の密着工程を先に行った後に、第1基板側から、第1情報層、第2情報層を初期化させても構わない。
次に、以上のようにして初期化された、第1基板3の面上に第1情報層1を形成したものと、第2基板5の面上に第2情報層2を形成したものとを、第1情報層1と第2情報層2とを向かい合わせながら、中間層4を介して貼り合わせる。例えば、いずれか一方の膜面に中間層となる紫外線硬化性樹脂をスピンコートし、膜面同士を向かい合わせて両基板を加圧、密着させた上で、紫外線を照射して樹脂を硬化させることができる。
本発明の2層相変化型情報記録媒体の製造方法は、第2の形態では、第1成膜工程、中間層形成工程、第2成膜工程、基板貼り合わせ工程及び初期化工程を含み、基本的にこの順に各工程を行う。図7は、この方法により製造した2層相変化型情報記録媒体の概略断面図であり、中間層4、第2基板5にグルーブが形成されている。
前記第1成膜工程は、第2基板5上の案内溝の設けられた面に第2情報層2を成膜する工程である。成膜方法は、前述の通りである。
前記中間層形成工程は、第2情報層2上に案内溝を有する中間層4を形成する工程である。例えば、第2情報層2上に紫外線硬化性樹脂を全面に塗布し、紫外線を透過することのできる材料でつくられたスタンパを押し当てたまま紫外線を照射して硬化させて、溝を形成することができる。
前記第2成膜工程は、中間層4上に第1情報層1を成膜する工程である。成膜方法は、前述の通りである。
前記基板貼り合わせ工程は、第1情報層1と第1基板3を、透明層6を介して貼り合わせる工程である。例えば、第1情報層1上、又は第1基板3上に、透明層6の材料である紫外線硬化性樹脂をスピンコートし、第1情報層1と第1基板3とを貼り合わせてから、紫外線を照射して硬化させて形成することができる。また、透明層6を形成せずに、第1基板3の材料である樹脂を第1情報層1上に塗布し、硬化させることによって、第1基板3を形成してもよい。
前記初期化工程は、第1基板3側から、第1情報層1、第2情報層2に対して、レーザー光などのエネルギー光を出射することにより全面を初期化、即ち記録層を結晶化させる。第2情報層2に対しては、中間層4形成工程直後に初期化を行ってもなんら問題はない。
また、図8に示すような、3つの情報層を有する相変化型情報記録媒体の製造は、第1成膜工程、中間層形成工程、第1成膜工程、密着工程、及び初期化工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記第1成膜工程は、第1基板3に第1情報層1、第2基板5に第3情報層7を成膜する工程である。前記中間層形成工程は、第2基板5の第3情報層7の上に第2中間層26を形成する工程である。前記第1成膜工程は、第2基板5の第2中間層26の上に第2情報層2を成膜する工程である。前記密着工程は、第1基板3と第2基板5を第1情報層1と第2情報層2を向かい合わせながら、第1中間層16を介して貼り合わせる工程である。前記初期化工程は、第1情報層1、第2情報層2、及び第3情報層7に対して、レーザー光などのエネルギー光を出射することにより全面を初期化、即ち、記録層を結晶化させる。なお初期化工程は、各情報層を成膜した直後でもよい。
また、図9に示す、3つの情報層を有する相変化型情報記録媒体の製造は、第1成膜工程、第1中間層形成工程、第2成膜工程、第2中間層形成工程、第三成膜工程、第1基板貼り合わせ工程、及び初期化工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記第1成膜工程は、第3情報層7を成膜する工程である。前記第1中間層形成工程は、第2中間層26を形成する工程である。前記第2成膜工程は第2情報層2を成膜する工程である。前記第2中間層形成工程は、第1中間層16を形成する工程である。前記第三成膜工程は第1情報層1を成膜する工程である。前記第1基板貼り合わせ工程は、透明層6を介して貼り合わせる工程である。前記初期化工程は、第3情報層7は第1成膜工程後又は第2中間層形成直後、第2情報層2は第2成膜工程後又は第1中間層形成直後、第1情報層1は第三成膜工程後でもよい。
(多層相変化型情報記録媒体の記録再生方法)
本発明の多層相変化型情報記録媒体の記録再生方法は、前記本発明の多層相変化型情報記録媒体における各情報層に対し、第1情報層側から波長380〜430nmの光ビームを入射させて情報の記録・再生を行う。
この場合、本発明の多層相変化型情報記録媒体の情報層における記録層のうちレーザー光を透過させて記録を行う半透過性記録層は、Ge−SnTe及び共晶系近傍組成を有するSbTeを含有すると共に、該半透過性記録層の組成が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、A((Ge−Sn)29,Sb36,Te35)、B((Ge−Sn)25,Sb36,Te39)、C((Ge−Sn)10,Sb57.6,Te32.4)、及びD((Ge−Sn)10,Sb68,Te22)の各組成点で囲まれる領域内に存在しているので、青色波長(380〜430nmの波長範囲)において優れた記録特性を有し、高速書き換えが可能であり、薄い膜厚でも青色波長でのダイナミックレンジが大きいので、大容量の記録・再生を容易に効率よく行うことができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
レーザー照射方向前面にある半透過性記録層を有する第1情報基板を枚葉スパッタ装置(Balzers社製)を用いてArガス雰囲気中のスパッタ法により、以下の手順で作製した。
まず、直径12cm、厚さ0.6mmで表面に連続溝によるトラッキングガイドの凹凸を持つポリカーボネート樹脂からなる第1基板上にZnS−SiO(20mol%)からなる第1下部保護層を厚みが50nmとなるように成膜した。第1下部保護層上に(GeSn)50Te50とSb80Te20を3:7の比率で混合した((GeSn)50Te5030(Sb80Te2070からなる半透過性記録層を厚み10nmとなるように成膜した。半透過性記録層上にZnS・SiOからなる第1上部保護層を厚みが10nmとなるように成膜した。第1上部保護層上にSiC−SiO(20mol%)からなる耐硫化バリア層を厚みが3nmとなるように成膜した。耐硫化バリア層上にAgが95mol%以上のAg合金からなる第1反射層を厚みが10nmとなるように成膜した。第1反射層上にIZO(In90mol%−ZnO10mol%)からなる透過熱拡散層を厚みが30nmとなるように成膜した。この実施例1の半透過性記録層の組成を図10の三角座標図にプロットした。
スパッタ終了時点で基板を含む積層膜全体の透過率を測定したところ、波長405nmで46.4%であった。更に、熱拡散層上にスピンコーターを用いて紫外線硬化樹脂を塗布後、紫外線照射により硬化させ、約3μmの膜厚で第1環境保護層を設けた。以上により第1情報記録基板を作製した。
次に、レーザー照射方向奥側にある記録層(以下、第2記録層と称することがある)を有する第2情報基板を枚葉スパッタ装置(Balzers社製)を用いてArガス雰囲気中のスパッタ法により、以下の手順で作製した。
まず、第1透明基板と同じポリカーボネート製第2透明基板上にAgの比率が95%以上のAg合金からなる反射層を厚みが120nmとなるように成膜した。反射層上にSiC−SiO(20mol%)からなる耐硫化バリア層を厚みが2nmとなるように成膜した。耐硫化バリア層上にZnS−SiO(20mol%)からなる下部保護層を厚みが12nmとなるように成膜した。誘電体保護層上に(GeSn)50Te50とSb80Te20を3:7の比率で混合した((GeSn)50Te5030(Sb80Te2070からなる第2記録層を厚みが14nmとなるように成膜した。第2記録層上にZnS−SiO(20mol%)からなる上部保護層を厚みが70nmとなるように成膜した。
次に、上部保護層上に、スピンコーターを用いて紫外線硬化樹脂を塗布後紫外線照射により硬化させ、約3μmの膜厚で第2環境保護層を設けた。以上により、第2情報記録基板を作製した。
なお、第2情報基板の第2記録層としては、この実施例1では半透過性記録層と同じ組成の記録層材料としたが、透過性を持たせる必要がなく通常の膜厚で形成することができるので、他の組成の記録層材料でも問題ない。例えば、共晶系のSbTeにGeを5原子%加えたGeSb74.4Te20.6あるいは、更に、In、Agを添加したAg0.2In0.2Sb77Te17.6Ge5.0などでもストラテジーを最適化することで用いることができる。
次に、第1情報基板と第2情報基板との貼り合わせを行った。第1情報基板の環境保護層膜面上に接着層としてアクリル系樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARADシリーズ DVD003)をスピンコートし、第1情報基板側から紫外線光を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させた。ここで、第1環境保護層、接着層、第2環境保護層の膜厚の合計の厚みは35±5μm程度に収まるようにそれぞれの厚みを測定しながら調整して形成した。以上により、2つの情報層を有する実施例1の2層相変化型情報記録媒体を作製した。
<初期化工程>
評価を行う前に、相変化型光ディスク用初期化装置(POP120−3Ra、日立コンピューター製)を用いて、以下の条件により約100秒の処理時間でレーザー初期化を行った。半透過性記録層に関しては、CLV(Constant Linear Velocity)により記録媒体を回転させ、その線速は3.0m/s、送り量36μm/回転、初期化範囲は半径位置23〜58mm、またレーザーパワーは800mWとした。この装置の半導体レーザー(LD)の中心発光波長は810±10nm、スポットサイズは約1μm×96±5μmである。次に、フォーカス位置を基板厚みの0.6mm分ずらし、線速を2.6m/s、送り量36μm/s、半径位置は同じく23〜58mm、レーザーパワーは1000mWとした。
<性能評価>
作製した2層相変化型情報記録媒体について、405nmの半導体レーザーを搭載したNA(Numerical Aparture)0.65のピックアップを持つ光ディスク評価装置(Pulstec社製、DDU1000)を用いて評価を行った。記録の線密度は0.184μm/bit(評価のクロック周波数は65.4MHz)とし、3T〜14Tのランダムパターンを記録した。記録線速は6.0m/sであった。評価項目は反射率、ランダムパターンのモジュレーション、ランダムパターンのジッター、最小パターンである3TパターンのC/N、書き換え記録、即ち、DOW(Direct Over Wright)回数によるジッター変化、DOWした時のパワーマージン、保存信頼性とした。
まず、半透過性記録層を評価した。評価パワーの条件は、Pw=10〜14mW、Pe=6mW、読み取り再生のレーザーパワーPr=0.9mW、最適化したパルスストラテジーにより行った。結果は、反射率が7〜8%であった。その他の特性は、ダイナミックレンジが155mW、モジュレーションが65%、ランダムパターンを記録したときのジッターは9.5%であり、書きこみ再生とも特にトラブルは発生しなかった。また、このときの3TパターンのC/N比は54dBであった。
更に、第2記録層についても、ピックアップを奥側記録層にフォーカスをジャンプさせて評価を行った。記録パワーを12〜15Wと高めたほかは同様の波形パターンにより記録・評価した。反射率はおなじく7〜9%になった。その他の特性は、モジュレーションが60%、ランダムパターンを記録したときのジッターは同じく9.5%であり、書きこみ再生とも特にトラブルは発生しなかった。
次に、それぞれの記録層に対し、オーバーライト記録を行った。オーバーライトの条件は初期記録条件と全く同一とした。半透過性記録層についてのジッターは、2回目記録が10%、10回目が9.7%、100回目が9.6%、1000回目は9.8%と推移した。
次に、記録チェック後この光情報記録媒体を80℃−85%RHの条件下で高温高湿槽に400時間保管した後、再度ジッター(又は3TのC/N比)を評価した。ジッター(又は3TのC/N比)測定値はそれぞれ0.5%以下(2dB程度)の変化であり問題となるレベルではなかった。また、膜の浮き・膜の剥がれや異常と思われる班点状変色の発現は観察されなかった。
(実施例2)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を(GeSnTe)33(Sb80Te2067に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。実施例2の半透過性記録層の組成を図10の三角座標図にプロットした。
(実施例3)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を(GeSnTe)33(Sb80Te2067に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。実施例3の半透過性記録層の組成を図10の三角座標図にプロットした。
(実施例4)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を(GeSnTe)33(Sb80Te2067に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。実施例4の半透過性記録層の組成を図10の三角座標図にプロットした。
(実施例5)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を((GeSn)50Te5050(Sb72Te2850に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。実施例5の半透過性記録層の組成を図11の三角座標図にプロットした。
(実施例6)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を((GeSn)50Te5025(Sb85Te1575に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。実施例6の半透過性記録層の組成を図11の三角座標図にプロットした。
(実施例7)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を((GeSn)50Te5030(Sb82.5Te17.570に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。実施例7の半透過性記録層の組成を図11の三角座標図にプロットした。
(実施例8)
実施例1の2層相変化型情報記録媒体に対して、レーザービーム走査方向に0.26μm未満の非晶質の面積を7段階に制御して記録した場合のSDRを測定した。レーザー波長、NA、記録線速は実施例1と同様である。再生パワーは、1.0mWとした。
非晶質の面積を7段階に制御して記録することにより、結晶の反射率を併せた8値の記録となり、レーザービームサイズが同一の場合でも、2値のEFM変調記録と比して、少なくとも1.5倍の記録容量とすることが可能である。ここで、SDR(sigma to dynamic range)とは、各段階の反射率の標準偏差を、最大反射率レベルと最小反射率レベルの差で除した値であり、SDRがほぼ3%以下の場合にエラー訂正が可能なエラー率である。実施例1の記録媒体のSDRは、第1情報層で2.9%、第2情報層で2.8%であった。
実施例1による記録材料の場合は、青色波長において高い透過率とともに再生光劣化が小さいため高パワーで再生でき、更に、記録したさいの非結晶部と結晶部の反射信号振幅が大きく得られるため、多値記録を行ったときにもSDRを低減することができるものと考えられる。
(比較例1)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を共晶系近傍の組成を持つSbTe系を含む記録層材料AgInSbTeとしてのAg0.2In0.2Sb75.0Te20.6Ge4.0を用いた以外は、実施例1と同様にして、半透過性記録層を有する第1情報基板を作製した。
この半透過性記録層を有する第1情報基板を製作中に、第1環境保護層形成前に透過率を測定したところ34%であった。その後、約3μmの膜厚で第1環境保護層を設けた。
次いで、実施例1と同じ第2情報基板を同一の条件にて貼り合わせ、同じ形状を持つ比較例1の2層相変化型情報記録媒体を製作した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、まず、半透過性記録層の特性を評価した。評価パワーの条件は、Pw=10〜14mWと若干高めの記録パワーが必要であった。Pe=6mW、読み取り再生のレーザーパワーPr=0.9mW、最適化したパルスストラテジーにより行った。結果は、反射率が7〜8%であった。その他の特性は、モジュレーションが62%、ランダムパターンを記録したときの初期ジッターは9.5%であり、書きこみ再生とも特にトラブルは発生しなかった。しかし、再生光を照射し続けて40秒ほど経過後信号レベルを見た振幅が60%ほどになりジッターも13%になっていた。0.1mWずつ再生光パワーPrを下げてみたところ、0.6mWのところで変化が止まった。再生光劣化が無い0.6mWでダイナミックレンジを見たところ0.9mWの60%まで小さくなっていた。Pr=0.6mWでのランダムパターンのジッターは13%、また、このときの3TパターンのC/N比は40dBであった。
次に、この半透過性記録層に対し、オーバーライト記録を行った。オーバーライトの条件は初期記録条件と全く同一とした。半透過性記録層についてのジッターは、2回目記録が15%、10回目が13.5%、100回目が14%、1000回目は14.6%と推移した。
次に、記録チェック後この光情報記録媒体を80℃、85%RHの条件下で高温高湿槽に100時間保管した後、再度ジッター(又は3TのC/N比)を評価した。記録マークは消えてしまっていて、ジッターが測定できなかった。
(比較例2)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を(GeSnTe)15(Sb80Te2085に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。比較例2の半透過性記録層の組成を図10の三角座標図にプロットした。
(比較例3)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を(GeSnTe)60(Sb80Te2040に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。比較例3の半透過性記録層の組成を図10の三角座標図にプロットした。
(比較例4)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を(GeSnTe)40(Sb68Te3260に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。比較例4の半透過性記録層の組成を図11の三角座標図にプロットした。
(比較例5)
−2層相変化型情報記録媒体の作製−
実施例1において、半透過性記録層の組成を(GeSnTe)30(Sb90Te1070に変えた以外は、実施例1と同様にして、2層相変化型情報記録媒体を作製した。
得られた2層相変化型情報記録媒体について、実施例1と同様の評価実験を行った。結果を表1及び表2に示す。比較例5の半透過性記録層の組成を図11の三角座標図にプロットした。
Figure 2005262778
Figure 2005262778
表1及び表2の結果から、実施例1〜7は、いずれも優れた透過率、記録特性、及び保存特性を有し、書き換えられる線速はSbTeの量が多くなるにしたがって速くなるが、透過率、記録特性、及び保存特性ともに半透過性記録層として適したものであることが認められる。
比較例1は、半透過性記録層の組成としてAg0.2In0.2Sb75.0Te20.6Ge4.0を用いているので、透過率が低く、高温高湿での保存安定性も劣るものである。
比較例2は、実施例1〜4と同じライン上で配合比の異なる以外は共通するが、GeSnが10原子%以下では、高温高湿での保存特性を満足することができなかった。
比較例3は、実施例1〜4と同じライン上で配合比の異なる以外は共通するが、GeSnTeの組成比率が多くなると、記録線速が遅くなってしまう。
比較例4は、混合するSbTe中のSb量がSb量72原子%未満の場合は、ジッター値が高くなり信号評価上許容できる15%の範囲を超えてしまう。
比較例5は、混合するSbTe中のSb量がSb量85原子%を超えた場合には転移線速は速くなるもののアモルファスの安定性が劣化し、高温高湿での保存試験でマークが消えてしまう。
本発明の多層相変化型情報記録媒体は、青色波長(380〜430nmの波長範囲)において優れた記録特性を有し、高速書き換えが可能であり、薄い膜厚でも青色波長でのダイナミックレンジが大きい半透過性記録層を有し、CD−R、CD−RW、DVD+RW、DVD−RW、DVD−RAMなどに幅広く用いることができる。
図1は、SbTeの相図を表した図である。 図2は、SbTe系のアモルファス相及び結晶相の波長による光学定数の変化を表した図である。 図3は、GeTeのアモルファス相及び結晶相の波長による光学定数の変化を表した図である。 図1は、本発明の半透過性記録層の材料組成範囲を示す三角座標図である。 図5は、2層相変化型情報記録媒体の一例を示す願略断面図である。 図6は、第1基板及び第2基板にグルーブが設けられた2層相変化型情報記録媒体の概略断面図である。 図7は、第1基板及び中間層にグルーブが設けられた2層相変化型情報記録媒体の概略断面図である。 図8は、本発明に係る3つの情報層を有する相変化型情報記録媒体を示す図である。 図9は、本発明に係る他の3つの情報層を有する相変化型情報記録媒体を示す図である。 図10は、実施例1〜4及び比較例2〜3における半透過性記録層の材料組成を示す三角座標図である。 図11は、実施例5〜7及び比較例4〜5における半透過性記録層の材料組成を示す三角座標図である。
符号の説明
1 第1情報層
2 第2情報層
3 第1基板
4 中間層
5 第2基板
6 透明層
7 第3情報層
11 第1下部保護層
12 半透過性記録層
13 第1上部保護層
14 第1反射層
15 熱拡散層
16 第1中間層
21 第2下部保護層
22 第2記録層
23 第2上部保護層
24 第2反射層
26 第2中間層

Claims (14)

  1. 基板上に少なくとも2層の情報層を有し、該情報層が少なくとも記録層を有し、かつ同一レーザー光の入射方向に光学的に分離可能な間隔を持って積層されてなり、該情報層における記録層のうちレーザー光を透過させて記録を行う半透過性記録層が、Ge−SnTe及び共晶系近傍組成を有するSbTeを含有すると共に、該半透過性記録層の組成が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、A((Ge−Sn)29,Sb36,Te35)、B((Ge−Sn)25,Sb36,Te39)、C((Ge−Sn)10,Sb57.6,Te32.4)、及びD((Ge−Sn)10,Sb68,Te22)の各組成点で囲まれる領域内に存在することを特徴とする多層相変化型情報記録媒体。
  2. 半透過性記録層が、(Ge−Sn)50Te50及びSbとSbTeの共晶系近傍組成を有するSbTeを含有する請求項1に記載の多層相変化型情報記録媒体。
  3. 半透過性記録層の組成が、Ge−Sn、Sb、及びTeの各元素を頂点とする三角座標図において、GeSnTeとSb80Te20とを結ぶライン上に存在する請求項1から2のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体。
  4. 半透過性記録層におけるGeの含有量が、Ge単体として5原子%以上である請求項1から3のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体。
  5. 半透過性記録層を有する情報層が、基板上に少なくとも下部保護層、半透過性記録層、上部保護層、反射層、及び熱拡散層をこの順に積層してなる請求項1から4のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体。
  6. 上部保護層と反射層との間に、バリア層を有する請求項5に記載の多層相変化型情報記録媒体。
  7. 半透過性記録層の膜厚が4〜15nmである請求項1から6のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体。
  8. 記録層が、更にAg、In、Ge、Se、Sn、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Bi、Si、Dy、Pd、Pt、Au、S、B、C、Pから選択される少なくとも1種の元素を含有し、該元素の合計含有量が10原子%以下である請求項1から7のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体。
  9. 記録層がパルス波形を有する直流スパッタ法により成膜されてなる請求項1から8のいずれか記載の多層相変化型情報記録媒体。
  10. レーザー光の波長が380〜430nmである請求項1から9のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体。
  11. 3値以上の多値記録を行う請求項1から10のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体。
  12. 第1基板と第2基板との間に、第1情報層及び第2情報層を中間層を介して設けてなり、記録・再生のための光が入射される側から、前記第1情報層として少なくとも第1下部保護層、半透過性記録層、第1上部保護層、第1反射層、及び熱拡散層をこの順に積層してなり、前記第2情報層として少なくとも第2下部保護層、第2記録層、第2上部保護層、及び第2反射層をこの順に積層してなる請求項1から11のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体。
  13. 第1情報層の光透過率が、波長380〜430nmの光に対し40〜70%である請求項12に記載の多層相変化型情報記録媒体。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の多層相変化型情報記録媒体における各情報層に対し、第1情報層側から波長380〜430nmの光ビームを入射させて情報の記録・再生を行うことを特徴とする多層相変化型情報記録媒体の記録再生方法。
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