JP2005262717A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】光透過性支持体を用いたインクジェット記録材料において、インク吸収性、耐折り割れ性、耐カール性、印字後の耐裏写り性及び耐ブロッキング性に優れたインクジェット記録材料を提供することにある。
【解決手段】光透過性支持体の片面に平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体としてなる少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が平均一次粒子径が40nm以下のコロイダルシリカと、ケト基を有する樹脂バインダーとその架橋剤を含有してなることを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料に関し、詳しくは、光透過性支持体を用いたインクジェット記録材料であり、インク吸収性、耐折り割れ性、耐カール性、印字後の耐裏写り性及び耐ブロッキング性に優れた、医療用途にも使用できるインクジェット記録材料に関する。
インクジェット記録方式に使用される記録材料としては、通常の紙や、インクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の親水性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
近年、顔料として極微細な無機粒子を使用し、フォトライクな光沢を有する記録材料が知られている。例えば、平均二次粒子径を500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機超微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。例えば、特公平3−56552号、特開平10−119423号、特開2000−211235号、同2000−309157号公報に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号、同平10−181190号公報に粉砕沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報に粉砕ゲル法シリカの使用例が開示されている。また、特開昭62−174183号、同平2−276670号、同平5−32037号、同平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。
インクジェット記録材料の用途が拡大するなかで、胸部X線や超音波診断などの医療画像をインクジェット記録方式で作製することも検討されている。医療用途で用いられる場合には、通常のインクジェット記録材料と比較して高い階調性、濃度を得る必要が多くなることから、インク吸収性は重要な特性である。しかし、画像印字後に十分に乾燥させても、印字物を重ねておくとインク打ち込み量が多い画像部に残存していたインク由来の水や溶剤が裏面に転写し、ブロッキングや裏写りといった現象が発生してしまうことがあった。画像の裏写りは、印字された画像のインクが直接記録材料裏面に接触して発生する場合と、印字された画像のインクに含有されている水や有機溶剤が揮発により裏面に吸着されて透明化や白濁化する場合があり、特に胸部X線画像に用いられる透明性記録材料の場合には後者による透明化や白濁等の発生は画像を正常に認識させることを困難にさせてしまう。
ブロッキングや裏写りを改良させる方法として、特開平8−174994号、同9−263043号公報には、インク受容層に表面から突出した微粒子やフィラーを含有することが提案がなされているが、光沢性や画像鮮鋭性、手触り感からの制約があった。また、特開平9−234944号公報にはインク受容層の反対面が水と高沸点のアルコールに対する吸収性を特定以上にすることが提案されているが裏写りの改良は不十分であった。
特開2002−240417号公報(特許文献1)により、裏塗り層の構成と空隙率を特定の範囲にすることによって、製造時や取り扱い時に折り割れの発生がなく、印字画像の裏写りのないインクジェット記録材料が提供されている。しかし、多くの枚数の印字物を長時間積み重ねた場合にインク打ち込み量の特に多い部分のインク由来の水、溶剤が裏面に転写してブロッキングが発生するなど、過酷な条件下での防止効果は不十分であり、さらなる改良が望まれていた。
一方、ケト基を有する樹脂をインク受容層にバインダーとして使用することが知られており、例えば特開昭63−176173号、同平10−157283号、同2000−52646号公報等にはポリマー膨潤タイプのインク受容層の主成分として使用する方法が記載されている。また、特公平4−15746号、特開2000−280600号、同2001−72711号、同2001−213045号、同2003−335043号公報(特許文献2)には多孔質インク受容層のバインダー成分としてアセトアセチル基変性ポリビニールアルコールを使用することが記載されている。しかし、これらの従来技術において、ケト基を有する樹脂が裏塗り層に用いられることはなかった。
特開2002−240417号公報 特開2003−335043号公報
本発明の目的は、光透過性支持体を用いたインクジェット記録材料において、インク吸収性、耐折り割れ性、耐カール性、印字後の耐裏写り性及び耐ブロッキング性に優れた、医療用途にも使用できるインクジェット記録材料を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成のインクジェット記録材料によって達成された。
1.光透過性支持体の片面に平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体としてなる少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が平均一次粒子径が40nm以下のコロイダルシリカと、ケト基を有する樹脂バインダーとその架橋剤を含有してなることを特徴とするインクジェット記録材料。
2.前記ケト基を有する樹脂バインダーが、ケト基を有する変性ポリビニルアルコールである前記1に記載のインクジェット記録材料。
3.前記架橋剤が一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物である前記1または2に記載のインクジェット記録材料。
4.前記一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物がヒドラジド基を分子内に2個以上有する化合物である前記3に記載のインクジェット記録材料。
5.前記インク受容層に含有される無機微粒子が気相法シリカである前記1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
本発明によって、光透過性支持体を用いたインクジェット記録材料において、インク吸収性、耐折り割れ性、耐カール性、印字後の耐裏写り性及び耐ブロッキング性に優れたインクジェット記録材料を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
インク受容層の構成について説明する。本発明のインク受容層は平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体としてなる少なくとも1層から構成される。無機微粒子としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、擬ベーマイト等が挙げられる。これらの中でも、インク吸収性と生産性の点で非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物が好ましく、特に非晶質合成シリカが好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明において、インク受容層に含有させる無機微粒子として湿式法シリカを用いる場合、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmが、しかも沈降法シリカ粒子が特に好ましい。本発明における湿式法シリカの吸油量は、120〜210ml/100gの範囲が好ましく、さらに160〜210ml/100gの範囲が特に好ましい。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。
また、本発明において、湿式法シリカを用いる場合、平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは400nm以下になるまで湿式法シリカは粉砕され、インク受容層に含有される。通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均二次粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜施回型分散機等を使用することができるが、本発明では特にビーズミル等のメディアミルの使用が好ましい。
本発明において、湿式法シリカの粉砕は、カチオン性化合物の存在下で行うことが好ましい。水中に分散されたシリカにカチオン性化合物を添加すると凝集物が発生することが多いが、これを粉砕処理することによって、水のみに分散するよりも高濃度分散が可能となり、その結果分散効率が上昇し、より微粒子に粉砕することができる。さらに、高濃度分散液を使用することによって、塗布液調製時に塗布液の高濃度化が可能になり、生産効率が向上する等の利点がある。特にこの際に平均二次粒子径が5μm以上の湿式法シリカを使用すると、初期の凝集物発生による粘度上昇が抑制され、より高濃度での分散が可能となるため、さらに有利である。粉砕前の平均二次粒子径の上限は特に無いが、通常湿式法シリカの平均二次粒子径は200μm以下である。
本発明において、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法としては、まず水中にシリカ及びカチオン性ポリマー及び/または水溶性金属化合物の少なくとも1種を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であればさらに適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物の量は、シリカに対して0.5〜20質量%、好ましくは2〜10質量%である。この範囲にすることによって、シリカ予備分散液の粘度が高くなりすぎず、固形分濃度を高くすることができる。本発明のシリカ予備分散物の固形分濃度は高いほうが好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
上記の方法で得られたシリカ予備分散物をビーズミルで粉砕処理する。ビーズミルとは、内部に撹拌装置を有する容器中にビーズを内填し、容器中に液状物を入れて撹拌装置を回転させてビーズ同士を衝突させることで液状物にせん断力を与えて処理する装置である。ビーズの粒径は0.1〜10mmが一般的であるが、好ましくは0.2〜1mm、より好ましくは0.3〜0.6mmである。ビーズにはガラスビーズ、セラミックスビーズ、金属ビーズ等が有るが、耐摩耗性及び分散効率からはジルコニアビーズが好ましい。また、容器中のビーズの添加充填率は一般的には40〜80容量%であり、好ましくは55〜80容量%である。上記分散条件によって、シリカ分散物を効率良く、粗粒残存や凝集物発生もなく、平均二次粒子径を500nm以下に粉砕することが可能である。予備分散物を連続で処理する場合で通し回数が1回では粗粒が残りやすい場合には、2回以上処理するほうが好ましい。粗粒が出来ない範囲で濃度が高い方が、塗布液の高濃度化が可能になり好ましい。本発明のシリカ分散物の固形分濃度の好ましい範囲としては20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。市販のビーズミルとしては浅田鉄工社製のナノミル、アイメックス社製のウルトラビスコミル、及びマツボー社製のアミュラー型OBミル、シンマルエンタープライゼス社製のダイノミル等が挙げられる。
本発明において、特に高い透明性を得たい場合には、インク受容層に含有させる無機微粒子として気相法シリカを使用するのが好ましい。気相法シリカを用いる場合、その平均一次粒子径は5〜50nm、好ましくは5〜20nmであり、かつ高い吸収性を得るためにBET法による比表面積が90〜400m2/gのものを用いるのが好ましい。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
気相法シリカの特徴は、一次粒子が網目構造または鎖状につながりあって二次的に凝集した状態で存在して適度な空隙を形成することにあり、光透過性とインク吸収性を両立するために、500nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下の平均二次粒子径になるまで超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕、分散させた気相法シリカ粒子がインク受容層に含有される。
本発明において、気相法シリカはカチオン化した状態で用いられるのが好ましい。カチオン化された気相法シリカは、カチオン性ポリマーもしくは多価金属の存在下で水を主体とする分散媒中で気相法シリカを分散して得られる。このとき、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含まない状態で分散するのが好ましい。
カチオン化された気相法シリカとしては、特開平11−321079号、特開2000−239536号、特開2001−19421号、特開2001−80204号、特開2001−207078号公報等にカチオン性ポリマーの存在下で気相法シリカを分散する方法が記載されており、いずれも本発明に採用することができる。
なお、本発明でいう平均一次及び二次粒子径は電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察する公知の方法に基づくものである。一次粒子の平均粒子径は、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めることができる。また、二次粒子の平均粒子径は緩いせん断力で分散した粒子を電子顕微鏡で観察して求めることができる。
湿式法及び気相法シリカの分散または粉砕に用いられるカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物を使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。分子量が10万よりも大きくなると、分散液が高粘度となりすぎるため好ましくない。
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2、または3で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al2(OH)nCl6-nm 一般式1
[Al(OH)3nAlCl3 一般式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 一般式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物としては、チタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物がより好ましい。チタンを含む水溶性化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンが挙げられる。ジルコニウムを含む水溶性化合物としては、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。本発明において、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
本発明において、インク受容層に含有させる無機微粒子としてアルミナを用いる場合、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、本発明では、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用される。
本発明で用いられるアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明のインク受容層は上述の如き無機微粒子を主体として構成される。ここでいう主体とはインク受容層の全固形分の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上を含有することをいう。無機微粒子は各々単独で用いても良いが、任意の比率で混合して使用することもできる。
本発明のインク受容層には、皮膜としての特性を維持するためと、インクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。ポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、澱粉類、デキストリン、カルボキシメチルセルロース等やそれらの誘導体が使用されるが、特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
本発明において、上記親水性バインダーと共に架橋剤(硬膜剤)を用いることが好ましく、架橋剤を用いることによって良好な表面光沢、高いインク吸収性が得られ、印字後の滲みが小さくなる。架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸、ほう酸塩、ほう砂の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸、ほう砂またはほう酸塩が好ましい。ほう酸は、オルトほう酸、メタほう酸、次ほう酸等が、ほう酸塩としてはそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。親水性バインダーに対する架橋剤の含有率は、0.02〜50質量%で、特に0.5〜35質量%が好ましい。
本発明のインク受容層において、無機微粒子と親水性バインダーの含有比率(質量比)は、好ましくは70:30〜95:5であり、より好ましくは80:20〜92:8である。上記範囲にすることによって、塗布層のひび割れ防止と高いインク吸収性を両立することができる。
本発明のインク受容層の塗布量は、固形分で5〜50g/m2であり、好ましくは10〜40g/m2であり、より好ましくは13〜35g/m2の範囲である。上記範囲にすることによって、塗布層のひび割れ防止と高いインク吸収性を両立することができる。
本発明のインク受容層には、インク定着剤としてカチオン性化合物を含有することもできる。ここで用いられるカチオン性化合物としては、シリカ微粒子の分散、粉砕に使用したものと同様のカチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物である。カチオン性化合物はアニオン性を有するインクの定着性を向上させることができる。また、水溶性金属化合物を含有することによって、ひび割れを防止することができ、結果として、インク吸収性を向上させるために親水性バインダー量のさらなる低減及び無機微粒子のさらなる増量が可能となる。
さらに、本発明のインク受容層には、界面活性剤、着色染顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、粘度安定剤、pH調節剤、架橋剤等を含有することができるが、インク吸収性等の他の特性に悪影響を及ぼさないことが重要である。
本発明のインク受容層は、少なくとも1層のインク受容層を設けた構成であるが、さらに他のインク吸収層、インク定着層、中間層、保護層等を設けてもよい。
本発明において、インク受容層の反対面に塗設される裏塗り層には、平均一次粒子径が40nm以下のコロイダルシリカと、ケト基を有する樹脂バインダーとその架橋剤が含有される。上記構成の裏塗り層を設けることで、耐水性に優れる裏塗り層が得られ、印字後の耐裏写り性及び耐ブロッキング性に優れたインクジェット記録材料を得ることができる。また、本発明の構成の裏塗り層は耐折り割れ性にも優れており、製造時、印字時や画像観察時に裏面にひび割れを発生せず有効である。
なお、本発明の裏塗り層は、耐裏写り性を改良するためにインク受容層と比べて空隙率は極端に低くインク受容層としての機能はない。裏塗り層の空隙率を好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下にすることによって、耐裏写り性の効果を十分に得ることができる。
本発明の裏塗り層には平均一次粒子径が40nm以下のコロイダルシリカが含有されるが、これにより光透過性と強い塗層強度を得ることができる。使用できるコロイダルシリカとして、例えば、日産化学工業(株)からスノーテックスST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−20L、ST−O、ST−OL、ST−S、ST−XS、ST−XL、ST−YL、ST−ZL、ST−OZL、ST−AK、ST−AKL、ST−AKYL等が市販されているほか、旭電化工業(株)からアデライトとして市販されているものがある。
一般的なコロイダルシリカが球状または球状に近い一次粒子が連結せずに独立して存在しているのに対して、小さいシリカ粒子が細長く連結した鎖状粒子、またそれらが三次元網目構造を有しているもの、球状の一次粒子が複数個連結し、真珠のネックレスに似た形状を示すパールネックレス状の粒子等の形状で存在する非球状コロイダルシリカを使用することもできる。これらの鎖状シリカ粒子やパールネックレス状シリカ粒子からなる被膜は機械的強度にも優れており、優れた耐傷性を得るのに好適である。
細長い形状の鎖状粒子とは三次元方向には伸長を有さず、同一平面内に伸長したものをいう。細長い形状の鎖状粒子には、ほぼ真っ直ぐなもの、屈曲しているもの、分枝を有するもの、環を有するもの等が含まれる。これに対し、三次元網目構造を有する粒子とは、これらの細長い形状の鎖状粒子が文字通り三次元的に絡まった網目状構造を有するもの等である。
パールネックレス状粒子や鎖状粒子はいずれもシリカの一次粒子が連結した、分岐を有する細長い形状であるが、両者の違いは球状一次粒子の占める割合にある。ここでパールネックレス状粒子とは電子顕微鏡による二次元像において、球状一次粒子に起因する円状図形が真円度70%以上を有し、かつ各円状図形の内接円の合計面積がパールネックレス状粒子全投影面積の70%以上を占め、かつ各円状図形の内接円が互いに重ならないもの等である。ここで真円度とは、対象とする図形輪郭の外接円の半径に対する内接円の半径の比率で表され、真円では100%となる。
ケト基を有する樹脂バインダーはケト基を有するモノマーと他のモノマーを共重合する方法等によって合成することができる。ケト基を有するモノマーの具体例としては、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクレート、4−ビニルアセトアセトアニリド、アセトアセチルアリルアミド等が挙げらる。また、ポリマー反応でケト基を導入しても良く、例えばヒドロキシ基とジケテンとの反応等によってアセトアセチル基を導入することができる。ケト基を有する樹脂バインダーの具体例としては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性セルロース誘導体、アセトアセチル変性澱粉、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール、特開平10−157283号公報に記載の樹脂バインダー等が挙げられる。本発明では、特にケト基を有する変性ポリビニルアルコールが好ましい。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましい。鹸化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。重合度としては、500〜5000のものが好ましく、特に1000〜4500のものが好ましい。
ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコールは、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体を鹸化する等公知の方法によって製造することができる。ジアセトンアクリルアミド単位の含有量としては、0.1〜15モル%の範囲が好ましく、更に0.5〜10モル%の範囲が好ましい。鹸化度としては85モル%以上、重合度としては500〜5000のものが好ましい。
本発明ではケト基を有する樹脂バインダーに加えて、耐裏写り性や耐折り割れ性を損なわない範囲で、さらに他の公知の樹脂バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。さらに、バインダー樹脂として各種ラテックスを併用しても良い。
この際光沢性の点で、ケト基を有する樹脂バインダーと相溶性の高い樹脂バインダーを併用することが好ましい。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールを使用する場合、完全または部分ケン化ポリビニルアルコール、またはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましく併用できる。特に、ケン化度が80%以上で、平均重合度200〜5000のものが好ましく使用できる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
併用する樹脂バインダーの使用量は、ケト基を有する樹脂バインダーと後述する一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物による作用が得られる範囲であれば特に限定されるものではない。
次にケト基を有する樹脂バインダーの架橋剤について説明する。ケト基を有する樹脂バインダーの架橋剤としては、各種のアミン化合物、ヒドロキシル基を有する化合物、メルカプト基を有する化合物等があるが、一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物が好ましい。本発明において、一級アミノ基とは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基の炭素原子に結合した一級アミノ基、及び窒素原子に結合した一級アミノ基(すなわちヒドラジンの末端アミノ基)である。混合後の増粘効果の点で、ヒドラジン型のアミノ基が好ましく、特にヒドラジド、セミカルバジド、又はカルボヒドラジド構造であるものが好ましい。炭素原子に結合した一級アミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、メタキシレンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられ、ヒドラジン型のアミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、ヒドラジン及びその塩、カルボヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のポリカルボン酸ヒドラジド類、4,4’−エチレンジセミカルバジド、4,4’−ヘキサメチレンジセミカルバジド等のポリイソシアネートとヒドラジンの反応物、ポリアクリル酸ヒドラジド等のポリマー型ヒドラジド等が挙げられる。特に、水溶性及び反応性の点で、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドが好ましい。
本発明では、他の公知の硬膜剤を併用してもよい。樹脂バインダーとして変性ポリビニルアルコールを使用した場合には、ポリビニルアルコールの架橋剤(硬膜剤)として、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸、ほう酸塩、ほう砂の如き無機架橋剤等を併用できる。
本発明の裏塗り層のコロイダルシリカに対するケト基を有する樹脂バインダーの質量比は、一般的には1〜200質量%であり、好ましくは5〜100質量%の範囲である。
また、架橋剤の含有量について特に制限はないが、ケト基を有する樹脂バインダーに対して、0.1〜50質量%、更に1〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明において、裏塗り層には必要に応じて、硬膜剤、界面活性剤、顔料等を添加することもできる。
本発明において、裏塗り層の塗布量は得られる記録材料のカール性、帯電防止効果、裏写り性を考慮して決定されるが、一般的には固形分で0.5〜20g/m2であり、1〜10g/m2であることが好ましい。
本発明において、インク受容層及び裏塗り層の塗工方法は、特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。上記塗工方式の中でも、特に前計量タイプであるスライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式が好ましく用いられる。
本発明の裏塗り層は、支持体上に平均一次粒子径40nm以下のコロイダルシリカと、ケト基を有する樹脂バインダーとその架橋剤、特に好ましくは一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を含有する塗工液を塗布した後、加熱によって塗工液をゲル化させ、その後乾燥する製造方法が好ましい。本発明でゲル化とは、粘度が上昇し乾燥工程で吹き付ける風で塗工液が流動しない状態を指す。好ましくは、実質的に流動性を示さない状態である。高温で乾燥できることから、ポリビニルアルコールとほう酸を使用し、低温でゲル化させた後比較的穏やかな条件で乾燥する製造方法と比較して高い生産性が得られる。
支持体に塗布後加熱する方法としては、高温空気中を通過させる方法、ヒートロールに密着させる方法、赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置等を用いる方法等が使用できる。加熱温度としては、ケト基を有する樹脂バインダーとアミノ基を有する化合物の使用量等の塗工液組成によるが、塗工液が水系である場合には、30〜100℃が好ましく、特に40〜95℃の範囲が好ましい。一般にケト基とアミノ基の反応は比較的速やかに進行し、特にケト基とヒドラジンやヒドラジド基との反応は速やかに進行するため、また生産性の面から、加熱時間としては1秒〜10分が好ましく、更に5秒〜5分が好ましい。
本発明に用いられる光透過性支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルムが挙げられる。特にポリエステル樹脂のフィルムが耐熱性等の特性と価格で好ましく用いられる。これらの樹脂フィルム支持体の厚みは、カール性や取り扱い安さ等から50〜250μm程度のものが好ましい。
光透過性支持体の透明性、色調を調整する場合には、例えば熱可塑性樹脂に無機微粒子等を配合して作製するが、無機微粒子としては炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、シリカや、カーボンブラック等の着色顔料等が利用出来る。特に医療用には青色に着色されたブルーPETフィルムが好ましく使用される。
プラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体にインク受容層の塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が通常行われる。
プラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体上には天然樹脂や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられ、好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、以下に示す「部」は、固形分の質量部を表す。
下記に示す光透過性支持体を用意した。
<光透過性支持体>
厚み175μmで青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルム(不透明度15%)の両面に下記組成のプライマー層を乾燥膜厚が0.3μmになるように設けた。
プライマー層:塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(90:9:1、質量%)のラテックス(重量平均分子量42000)。
上記光透過性支持体の両面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記のインク受容層1の組成を含有する塗工液をスライド塗布テストコーターにて固形分で22g/m2になるように塗布、乾燥した。なお、電子顕微鏡観察により、インク受容層中の無機微粒子として用いた気相法シリカ微粒子の平均二次粒子径は200nmであった。
続いて光透過性支持体のインク受容層を設けた面とは反対面に、下記の裏塗り層1の組成を含有する塗工液をスライド塗布テストコーターにて塗布量が固形分で12g/m2になるように塗布し、先ず80℃で15秒間加熱して塗工液をゲル化させ、次いで80℃、55℃の空気を順次吹き付けて乾燥し、実施例1のインクジェット記録材料を得た。
<インク受容層1の組成>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径12nm、BET法による比表面積200m2/g)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
(第一工業製薬(株)社製、シャロールDC902P、分子量9000)
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 22部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
<裏塗り層1の組成>
コロイダルシリカ 100部
(日産化学工業社製、スノーテックスO、平均一次粒子径10〜20nm)
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 50部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
アジピン酸ジヒドラジド 5部
界面活性剤 0.5部
実施例1の裏塗り層の組成を、下記の裏塗り層2の組成に変更した以外は同様に行い、実施例2のインクジェット記録材料を得た。
<裏塗り層2の組成>
コロイダルシリカ 100部
(日産化学工業社製、スノーテックスO、平均一次粒子径10〜20nm)
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 15部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
アジピン酸ジヒドラジド 1.5部
水に擬ベーマイト(平均一次粒子径14nm)と硝酸を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して、固形分濃度20%のアルミナ水和物分散液を作製した。このアルミナ水和物分散液と水に溶解した他の薬品を30℃で混合して下記のインク受容層2の組成を含有する塗工液を調整した。そして実施例1と同様に塗布を行い、実施例3のインクジェット記録材料を得た。なお、アルミナ水和物の平均二次粒子径は180nmであった。
<インク受容層2の組成>
アルミナ水和物分散液 (アルミナ水和物固形分として)100部
ほう酸 0.4部
ポリビニルアルコール 15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
(比較例1)
実施例1の裏塗り層の組成を、下記の裏塗り層3の組成に変更した以外は同様に行い、比較例1のインクジェット記録材料を得た。
<裏塗り層3の組成>
コロイダルシリカ 100部
(日産化学工業社製、スノーテックスO、平均一次粒子径10〜20nm)
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 5部
(比較例2)
実施例1の裏塗り層の組成を、下記の裏塗り層4の組成に変更した以外は同様に行い、比較例2のインクジェット記録材料を得た。
<裏塗り層4の組成>
コロイダルシリカ 100部
(日産化学工業社製、スノーテックスO、平均一次粒子径10〜20nm)
ポリビニルアルコール 80部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 10部
(比較例3)
実施例1の裏塗り層のコロイダルシリカを抜いた以外は同様に行い、比較例3のインクジェット記録材料を得た。
(比較例4)
実施例1の裏塗り層のコロイダルシリカを、インク受容層1に用いたものと同じ気相法シリカに変更した以外は同様に行い、比較例4のインクジェット記録材料を得た。
(比較例5)
実施例1の裏塗り層を塗布しなかった以外は同様に行い、比較例5のインクジェット記録材料を得た。
得られた実施例1〜3及び比較例1〜5のインクジェット記録材料を11インチ×14インチの大きさに裁断して下記の評価を行った。その結果を表1に示す。なお、実施例及び比較例の裏塗り層の空隙率を測定した結果、比較例4のインクジェット記録材料が72容量%であり、その他のインクジェット記録材料は30容量%以下であった。
<インク吸収性>
エプソン社製インクジェットプリンター(PM−950C)にてレッド、ブルー、グリーン、ブラックのベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。
○:転写しない。
△:印字部全体に薄い転写が観察されるが実使用可。
×:印字部全体に濃い転写が観察され実使用不可。
<印字後の耐裏写り性>
前記エプソン社製プリンターで印字してインクが完全に吸収された直後に、印字面を同じ材料の裏面と重ね、同様にして50枚重ねた後、40℃で24時間放置後のインク、及びインク由来の水、溶剤の裏写りを評価した。
○:全く裏写りがない。
△:やや裏写りがあるが実用可。
×:裏写りが大きく実使用不可。
<裏塗り層の耐水性>
記録シートの裏塗り層を設けた面に水滴を落とし、1分間放置後表面を擦り、膜面状態を観察した。
○:変化なし
△:裏塗り層の一部が削り取られ、光沢が低下した状態となる。
×:裏塗り層の大部分が削り取られた状態となる。
<印字後の耐ブロッキング性>
前記キヤノン社製プリンターで印字してインクが完全に吸収された直後に、印字面を同じ材料の裏面と重ね、同様にして50枚重ねた後、32℃、80%RHで高湿度雰囲気下に24時間放置後のブロッキングの様子を評価した。
○:全くブロッキングがない。
△:ややブロッキング気味であるが実用可。
×:ブロッキングが大きく実使用不可。
<裏塗り面の耐折り割れ性>
10℃、20%RHの雰囲気下で記録シートの裏塗り面を上にして曲げていったときに、裏塗り層に割れが生じるかどうかを観察した。
○:割れが生じない。
△:表面に白化などの変化が見られる。
×:割れが生じる。
<耐カール性>
13℃、20%RHの雰囲気下で未印字の記録シートの四隅のカールの平均値を以下のように判定した。なお、インク受容面側へのカールをプラス(+)側へのカール、裏塗り面側へのカールをマイナス(−)側へのカールとした。
○:−5mm〜+5mmの範囲にある。
△:−10mm〜+10mmの範囲にある。
×:±10mmを越えるカールが生じている。
Figure 2005262717
上記の実施例1〜3により、光透過性支持体を用いたインクジェット記録材料において、インク吸収性、耐折り割れ性、耐カール性、印字後の耐裏写り性及び耐ブロッキング性に優れたインクジェット記録材料を提供できることがわかる。これに対し、比較例1は裏塗り層の耐折り割れ性、比較例2は裏面の耐水性及び耐ブロッキング性、比較例3は耐ブロッキング性、比較例4は耐裏写り性及び裏面の折り割れ性、比較例5は耐カール性に劣り、実使用不可のインクジェット記録材料である。

Claims (5)

  1. 光透過性支持体の片面に平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体としてなる少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が平均一次粒子径が40nm以下のコロイダルシリカと、ケト基を有する樹脂バインダーとその架橋剤を含有してなることを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. 前記ケト基を有する樹脂バインダーが、ケト基を有する変性ポリビニルアルコールである請求項1に記載のインクジェット記録材料。
  3. 前記架橋剤が一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物である請求項1または2に記載のインクジェット記録材料。
  4. 前記一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物がヒドラジド基を分子内に2個以上有する化合物である請求項3に記載のインクジェット記録材料。
  5. 前記インク受容層に含有される無機微粒子が気相法シリカである請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
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