JP2005262051A - 二酸化炭素回収方法とそのシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】排ガス中の二酸化炭素を、安価に効率よく回収できる二酸化炭素回収方法とそのシステムを提供する。
【解決手段】二酸化炭素を含む排ガスを二酸化炭素吸収装置1に送給し、排ガスに対して0.01〜24wt%水酸化ナトリウム水溶液を接触させ、得られた水溶液に塩化水素を加えて二酸化炭素を回収すると共に、二酸化炭素を回収した残りの液体分から、水酸化ナトリウムと塩化水素を分離・再生して、これらを再利用する二酸化炭素回収方法。
【選択図】図1

Description

本発明は二酸化炭素回収方法とそのシステムに関し、詳しくは、排ガス中の二酸化炭素を吸収すると共に、更に分離して回収する二酸化炭素回収方法とそのシステムに関する。
ゴミ焼却炉、火力発電所、製鉄所などから大量に排出される排ガス中の二酸化炭素は、現在、直接人体に悪影響をもたらすものではないため、大気に放出されているが、環境的には、地球温暖化を回避する要請のために回収されることが望まれている。
その試みとして、例えば、火力発電所から発生する排ガス中の二酸化炭素を回収する方法として、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンを用いた水溶液に、発生した二酸化炭素を吸収する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平5−123534号公報
しかしながら、モノエタノールアミンを用いた吸収液は、薬剤自体が高価であるため回収コストが高くなるだけでなく、アミンは高温にて分解し易いため高温の排ガスを直接接触させることはできず、更には多種多様なガス成分を含むゴミ焼却排ガスから効率よく二酸化炭素を回収することはできないといった問題がある。
他方、ポリイミド中空糸膜を用いて分離する方法も提案されているが、高価であり耐久性も高くないことから到底実用的とは言い難い。
そこで、本発明の目的は、排ガス中の二酸化炭素を安価に効率よく回収できる二酸化炭素回収方法とそのシステムを提供することにある。
上記課題は、請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る二酸化炭素回収方法の特徴構成は、二酸化炭素を含む排ガスを二酸化炭素吸収装置に送給し、前記排ガスに対して0.01〜24wt%水酸化ナトリウム水溶液を接触させ、得られた水溶液に塩化水素を加えて二酸化炭素を回収すると共に、二酸化炭素を回収した残りの液体分から、水酸化ナトリウムと塩化水素を分離・再生して、これらを再利用することにある。
この構成によれば、排ガス中の二酸化炭素は、水酸化ナトリウム水溶液と接触して炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム、あるいはこれらの混合物として効率よく捕捉され、更に後段の工程により塩化水素を加えて純度の高い二酸化炭素を確実に取り出すことができる。しかも、二酸化炭素を回収するのに高価な薬剤や装置を使用しないので、安価かつ確実に二酸化炭素を回収できることになる。
その結果、排ガス中の二酸化炭素を安価に効率よく回収できる二酸化炭素回収方法を提供することができた。
前記水酸化ナトリウムと塩化水素を分離・再生する方法を、バイポーラ電気透析装置により行うことが好ましい。
この構成によれば、排ガスを処理する工程に必要な水酸化ナトリウムと塩化水素を分離・再生して再利用できるので、処理コストを低減できて、二酸化炭素回収コストを一層安価にすることができる。
前記二酸化炭素吸収装置に送給される排ガスを90℃以下にすることが好ましい。
この構成によれば、二酸化炭素吸収装置に送給された二酸化炭素と水酸化ナトリウム水溶液との接触効率を一層高めることができ、回収率を高めることができる。
又、本発明に係る二酸化炭素回収システムの特徴構成は、二酸化炭素を含む排ガスを取り入れて、これに水酸化ナトリウム水溶液を接触させる二酸化炭素吸収装置と、前記水酸化ナトリウム水溶液に捕捉された水溶液から二酸化炭素を分離・回収する脱二酸化炭素装置と、この脱二酸化炭素装置により二酸化炭素を回収した液体分を分解して水酸化ナトリウムと塩化水素を取り出し、これらを再利用可能にする分離再生装置とを有することにある。
この構成によれば、排ガス中の二酸化炭素を安価に効率よく回収できる二酸化炭素回収システムを提供することができる。
前記分離再生装置が、バイポーラ電気透析装置であることが好ましい。
この構成によれば、処理コストを低減できて、二酸化炭素回収コストを一層安価にすることができる。
前記二酸化炭素吸収装置に取り入れる排ガスを90℃以下にすると共に、前記二酸化炭素吸収装置の内部に前記排ガスと水酸化ナトリウム水溶液との接触効率を溜める充填層が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、一層二酸化炭素の回収効率を高めることができる。
本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る二酸化炭素回収システムの概略全体構成を示す。
この二酸化炭素回収システムは、ゴミ焼却炉から排出された後、図外の中和処理装置により酸性ガス(HCl,SOx等)が中和・除去された排ガスを、二酸化炭素吸収装置1の下部取入口1aから導入し、ここで上部より所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液を噴霧することによって、排ガス中の二酸化炭素除去処理をすると共に、排ガス中の二酸化炭素を吸収した混合液(炭酸ナトリウム溶液、炭酸水素ナトリウム溶液あるいはこれらの混合液)を後処理して、二酸化炭素を取り出すと共に、残りの液体分を再生利用するようになっている。
二酸化炭素吸収装置1は、その取入口1aから中和処理された排ガスを導入した後、上部より水酸化ナトリウム水溶液をノズル2より噴射し、排ガス中の二酸化炭素を炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムあるいはこれらの混合物にする。その際、二酸化炭素吸収装置1の内部に充填層3を設けておくことが好ましく、この充填層3を介して上昇する二酸化炭素と噴射する水酸化ナトリウムを効率よく接触させるのである。充填層3は、内部を二酸化炭素が通過可能な多孔性構造を有しており、耐薬品性のポリプロピレン樹脂ボール等が稠密に充填されて構成されている。もとより、二酸化炭素吸収装置1もその内面は耐薬品性の高い材料で構成することが望ましく、ライニング材をコーティングした鋼板その他の使用が好ましい。
排ガス中の二酸化炭素は、一般に、7〜10%程度の高い濃度となっており、これに対して二酸化炭素吸収装置1の上部より噴射する水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、0.01〜24Wt%程度が好ましく、1〜20wt%程度がより好ましい。この範囲であると、種々の成分を含む排ガス中の二酸化炭素を効率良く捕捉できる。更に、排ガス温度は、室温から60℃程度にすると、水酸化ナトリウム水溶液による排ガス中の二酸化炭素の捕集効率が高くなり、又、充填層に含まれる樹脂ボール等の機能上からは、90℃以下にしておくことが望ましい。
二酸化炭素は、水酸化ナトリウムに捕捉されて液体分として底部1bに溜められると共に、二酸化炭素を除かれた排ガスは、頂部1cより排出される。底部1bに溜められた液体分は、ポンプPにより脱二酸化炭素装置である脱二酸化炭素タンク4に送給されて、ここで上部より塩化水素を噴射されて液体分中の二酸化炭素を取り出すと共に、残りの液体分を次工程で再利用するようにしている。
すなわち、脱二酸化炭素タンク4において、塩化水素を噴射され高い純度に取り出された二酸化炭素は、図外の二酸化炭素貯蔵タンクに送給されて各種用途に利用される。この場合の塩化水素の濃度は、0.01〜24wt%であることが好ましく、1〜20wt%であることがより好ましい。そして、塩化水素の噴射により底部には、塩化ナトリウムを含む水溶液が残留し、これは、更に分離再生装置であるバイポーラ電気透析装置5へポンプPによって送給される。なお、脱二酸化炭素タンク4から回収された炭酸ガス中には、水分が幾分含まれている場合があるが、これについては、脱二酸化炭素タンク4の出口側にシリカゲル等を充填した充填層を配置して脱水することができる。
次に、バイポーラ電気透析装置5の作用について説明する。このバイポーラ電気透析装置6は、槽の左右に+極と−極を有すると共に、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜との間にバイポーラ膜を配置した3室構造をしており、外部から水が供給されると共に、塩化ナトリウムを含む水溶液が供給される。この場合、塩化ナトリウムを含む水溶液は、循環ポンプP1により脱二酸化炭素タンク4とバイポーラ電気透析装置5との間を循環されるようになっている。
バイポーラ電気透析装置5に直流電源が通電されると、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とが貼り合わされたバイポーラ膜中を拡散した水は、陽イオン交換体と陰イオン交換体の界面で解離され、陰極側、陽極側に夫々H+イオン、OH-イオンが発生する。
脱二酸化炭素タンク4から送給された塩化ナトリウム水溶液は、バイポーラ電気透析装置5によって、Na+ イオンは陽イオン交換膜を透過し、Cl-イオンは陰イオン交換膜を透過すると共に、水はバイポーラ膜により分解されるため、結局、塩化ナトリウムからはHClとNaOHが生成され、夫々HClは脱二酸化炭素タンク4へ、NaOHは二酸化炭素吸収装置1へと送給されて利用される。このようにすることによって、処理コストを一層低減できることになる。この場合、生成されたHClとNaOHとは、夫々、水酸化ナトリウム貯槽6と塩化水素貯槽7とに一旦貯留されるようにしておくことが好ましい。
ゴミ焼却炉から排出された排ガスの模擬ガス(約50m3/min二酸化炭素含有量約5%)を、予め中和処理して酸性成分を除去した後、約60℃の排ガスを二酸化炭素吸収装置に送給し、ここで10wt%水酸化ナトリウム水溶液を噴射し、排ガス中の二酸化炭素を捕捉すると共に、図1に示す脱二酸化炭素層にて10%の塩化水素を噴射して純度100%の二酸化炭素を回収した。二酸化炭素の回収率は、41%であった。
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、二酸化炭素吸収装置1において二酸化炭素を吸収するため水酸化ナトリウムを噴射する例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、水酸化カリウム等であってもよく、他の水溶性強アルカリ剤も使用できる。
(2)上記実施形態では、二酸化炭素吸収装置1において二酸化炭素を吸収した水溶液を脱二酸化炭素装置4に直接送給する例を示したが、この水溶液のpHが高い場合には、水酸化ナトリウムが多く含まれていることが予想されるので、再度、二酸化炭素吸収装置1に戻すバイパスを設けてもよい。
(3)上記実施形態では、脱二酸化炭素装置において二酸化炭素を回収するために塩化水素を使用したが、これに代えて硫酸溶液その他の強酸であってもよい。
本発明は、ゴミ焼却炉から発生した燃焼排ガスから二酸化炭素を回収するだけでなく、製鉄所、火力発電所、各種生産現場など、あらゆる二酸化炭素発生箇所から生じる二酸化炭素を回収することに利用することができる。
本発明の一実施形態に係る二酸化炭素回収システムの概略全体構成図
符号の説明
1 二酸化炭素吸収装置
4 脱二酸化炭素装置
5 分離再生装置(バイポーラ電気透析装置)

Claims (6)

  1. 二酸化炭素を含む排ガスを二酸化炭素吸収装置に送給し、前記排ガスに対して0.01〜24wt%水酸化ナトリウム水溶液を接触させ、得られた水溶液に塩化水素を加えて二酸化炭素を回収すると共に、二酸化炭素を回収した残りの液体分から、水酸化ナトリウムと塩化水素を分離・再生して、これらを再利用する二酸化炭素回収方法。
  2. 前記水酸化ナトリウムと塩化水素を分離・再生する方法を、バイポーラ電気透析装置により行う請求項1の二酸化炭素回収方法。
  3. 前記二酸化炭素吸収装置に送給される排ガスを90℃以下にする請求項1又は2の二酸化炭素回収方法。
  4. 二酸化炭素を含む排ガスを取り入れて、これに水酸化ナトリウム水溶液を接触させる二酸化炭素吸収装置と、前記水酸化ナトリウム水溶液に捕捉された水溶液から二酸化炭素を分離・回収する脱二酸化炭素装置と、この脱二酸化炭素装置により二酸化炭素を回収した液体分を分解して水酸化ナトリウムと塩化水素を取り出し、これらを再利用可能にする分離再生装置とを有する二酸化炭素回収システム。
  5. 前記分離再生装置が、バイポーラ電気透析装置である請求項4の二酸化炭素回収システム。
  6. 前記二酸化炭素吸収装置に取り入れる排ガスを90℃以下にすると共に、前記二酸化炭素吸収装置の内部に前記排ガスと水酸化ナトリウム水溶液との接触効率を溜める充填層が設けられている請求項4又は5の二酸化炭素回収システム。
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