JP2005260307A - 演算増幅器およびそれを用いたアナログデジタル変換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】演算増幅器およびそれを用いたAD変換器の消費電流の効率を向上させる。
【解決手段】演算増幅器100の出力端子は、負荷Clと負荷出力用スイッチSW100を介して接続されている。負荷出力用スイッチSW100は、ON/OFFすることにより、演算増幅器100の出力端子と負荷Clとを導通/非導通させる。デカップリング用容量Cdは、演算増幅器100の出力端子と、接地との間に接続される。演算増幅器100が出力中に、負荷出力用スイッチSW100がONすると、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOが負荷Clにかかり、負荷Clの充電が開始する。負荷出力用スイッチSW100がONした直後において、デカップリング用容量Cdと負荷Clとの容量結合によって、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOの低下は、小さいものとなる。
【選択図】図1
【解決手段】演算増幅器100の出力端子は、負荷Clと負荷出力用スイッチSW100を介して接続されている。負荷出力用スイッチSW100は、ON/OFFすることにより、演算増幅器100の出力端子と負荷Clとを導通/非導通させる。デカップリング用容量Cdは、演算増幅器100の出力端子と、接地との間に接続される。演算増幅器100が出力中に、負荷出力用スイッチSW100がONすると、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOが負荷Clにかかり、負荷Clの充電が開始する。負荷出力用スイッチSW100がONした直後において、デカップリング用容量Cdと負荷Clとの容量結合によって、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOの低下は、小さいものとなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、演算増幅器およびそれを用いたアナログデジタル変換器に関する。本発明は特に、スイッチを介して負荷と接続されている演算増幅器およびそれを用いたアナログデジタル変換器に関する。
近年、演算増幅器を適用したシステムや演算増幅器を搭載したアナログデジタル変換器(以下、「AD変換器」という。)が、携帯電話等の携帯機器に搭載されることが多くなってきている。このような携帯機器は、画像撮影機能、画像再生機能、動画撮影機能、および動画再生機能等、様々な付加機能を搭載するようになってきている。これに伴い、上述した演算増幅器には、低電圧動作や低消費電力化が求められている。
また、AD変換器を小型化するために、自己のステージの出力がその入力にフィードバックするサイクリックステージを設ける形態のAD変換器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−26229号公報
上記特許文献1の第1図において、サンプル・ホールド回路S/H2およびサンプル・ホールド回路S/H4の出力は、スイッチSW1を介して、サンプル・ホールド回路S/H3および並列型AD変換器AD2に入力される。ここで、サンプル・ホールド回路S/H2およびサンプル・ホールド回路S/H4は、演算増幅器を用いて構成されていると想定される。このように、スイッチのオンオフ制御により、負荷と導通または非導通する演算増幅器において、演算増幅器の出力中にスイッチがオンされ、演算増幅器と負荷とが導通すると、導通直後に演算増幅器の出力がバウンドし、無駄なDC電流を消費してしまう。
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、演算増幅器およびそれを用いたAD変換器の消費電流の効率を向上させる点にある。
本発明のある態様は、演算増幅器である。この演算増幅器は、所定の負荷と、自己の出力端子とが負荷出力用スイッチを介して接続される演算増幅器であって、出力端子と所定の固定電位との間に、容量を設けた。
本態様によれば、出力端子から出力中に負荷出力用スイッチがオンして負荷と接続されたときに、演算増幅器の出力電圧の変化量を容量によって抑えることができる。したがって、負荷にかける目標とする電圧値に早く到達することができる。よって、消費電流を低減することができる。「所定の固定電位」には、接地を含む。
出力端子と容量との間に、容量分離用スイッチを設けるとよい。この容量分離用スイッチは、信号が遷移している間に負荷出力用スイッチがオンされた後に、オフするとよい。これによれば、演算増幅器の出力電圧の変化量を容量によって抑えた後に、容量分離用スイッチをオフして容量を切り離すことにより、負荷にかける目標とする電圧値にさらに早く到達することができる。よって、消費電流をさらに低減することができる。
本発明の別の態様は、アナログデジタル変換器である。このアナログデジタル変換器は、複数ステージからなるアナログデジタル変換器であって、複数ステージの内のあるステージは、自己のステージの入力アナログ信号と、該自己のステージの変換デジタル値をアナログ値に変換した信号との差分信号を所定の増幅率で増幅し、後段のステージに第1スイッチを介して出力する増幅回路を有し、この増幅回路は、上述した態様の演算増幅器を含む。
本態様によれば、上記増幅回路の出力中に第1スイッチがオンして後段のステージのAD変換回路や増幅回路といった負荷と接続されたときに、上記増幅回路の出力電圧の変化量を容量によって抑えることができる。したがって、負荷にかける目標とする電圧値に早く到達することができる。よって、消費電流の効率を向上させ、高速動作または低消費電力化を図ることができる。なお、「第1スイッチを介して出力する増幅回路」には、1倍の増幅率、即ちサンプルホールド回路を含む。
本発明の別の態様は、アナログデジタル変換器である。このアナログデジタル変換器は、複数ステージからなるアナログデジタル変換器であって、複数ステージの内のあるステージは、自己のステージの入力アナログ信号を所定の増幅率で増幅する入力側増幅回路と、入力側増幅回路の出力アナログ信号と、自己のステージの変換デジタル値をアナログ値に変換した信号との差分信号を所定の増幅率で増幅し、後段のステージに第1スイッチを介して出力する出力側増幅回路と、を有し、出力側増幅回路は、上述した態様の演算増幅器を含む。
本態様によれば、2つの増幅回路を備えるステージの出力側増幅回路の出力中に第1スイッチがオンして後段のステージのAD変換回路や増幅回路といった負荷と接続されたときに、上記増幅回路の出力電圧の変化量を容量によって抑えることができる。したがって、負荷にかける目標とする電圧値に早く到達することができる。よって、消費電流の効率を向上させ、高速動作または低消費電力化を図ることができる。なお、「入力側増幅回路」および「出力側増幅回路」には、1倍の増幅率、即ちサンプルホールド回路を含む。
複数ステージの内の他のステージは、自己のステージの入力アナログ信号と、該自己のステージの変換デジタル値をアナログ値に変換した信号との差分信号を所定の増幅率で増幅し、自己のステージの入力に第2スイッチを介して出力する増幅回路を有し、この増幅回路は、上述した態様の演算増幅器を含む。
これによれば、上記増幅回路の出力中に第2スイッチがオンして自己のステージのAD変換回路や増幅回路といった負荷と接続されたときに、上記増幅回路の出力電圧の変化量を容量によって抑えることができる。したがって、負荷にかける目標とする電圧値に早く到達することができる。よって、消費電流の効率を向上させ、高速動作または低消費電力化を図ることができる。なお、「第2スイッチを介して出力する増幅回路」には、1倍の増幅率、即ちサンプルホールド回路を含む。
本発明のさらに別の態様も、アナログデジタル変換器である。このアナログデジタル変換器は、入力されるアナログ信号を所定ビット数のデジタル値に変換するAD変換回路と、AD変換回路の出力をアナログ信号に変換するDA変換回路と、入力されるアナログ信号を所定の増幅率で増幅する第1増幅回路と、第1増幅回路の出力アナログ信号と、所定の増幅率と実質的に同一の増幅率で増幅されたDA変換回路の出力アナログ信号との差分を所定の増幅率で増幅し、スイッチを介してAD変換回路および第1増幅回路に出力する第2増幅回路と、を有し、第2増幅回路は、上述した態様の演算増幅器を含む。
本態様によれば、サイクリック型のAD変換器において、第2増幅回路の出力中にスイッチがオンしてAD変換回路や第1増幅回路といった負荷と接続されたときに、第2増幅回路の出力電圧の変化量を容量によって抑えることができる。したがって、負荷にかける目標とする電圧値に早く到達することができる。よって、消費電流の効率を向上させ、高速動作または低消費電力化を図ることができる。なお、「第1増幅回路」および「第2増幅回路」には、1倍の増幅率、即ちサンプルホールド回路を含む。
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、演算増幅器およびそれを用いたAD変換器の消費電流の効率を向上させることができる。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における演算増幅器を含む部分回路図である。図2は、第1実施形態における部分回路の動作タイミングと出力波形を示すタイムチャートである。図1において、演算増幅器100は、入力端子、および図示しない出力端子と入力端子とのフィードバック系に、抵抗や容量を接続することにより、反転増幅、非反転増幅、差動増幅、加減算、および微積分等を行うことができる。またその他にも、ボルテージホロワ、フィルタ、コンパレータ、ピーク値検出、および発振等にも利用される。演算増幅器100の出力端子は、負荷Clと負荷出力用スイッチSW100を介して接続されている。負荷Clは、図において便宜上、容量の記号で表現されているが、その他の回路素子も含む概念である。例えば、次段の増幅回路であってもよいし、コンパレータであってもよい。負荷出力用スイッチSW100は、ON/OFFすることにより、演算増幅器100の出力端子と負荷Clとを導通/非導通させる。デカップリング用容量Cdは、演算増幅器100の出力端子と、接地との間に接続される。
図1は、第1実施形態における演算増幅器を含む部分回路図である。図2は、第1実施形態における部分回路の動作タイミングと出力波形を示すタイムチャートである。図1において、演算増幅器100は、入力端子、および図示しない出力端子と入力端子とのフィードバック系に、抵抗や容量を接続することにより、反転増幅、非反転増幅、差動増幅、加減算、および微積分等を行うことができる。またその他にも、ボルテージホロワ、フィルタ、コンパレータ、ピーク値検出、および発振等にも利用される。演算増幅器100の出力端子は、負荷Clと負荷出力用スイッチSW100を介して接続されている。負荷Clは、図において便宜上、容量の記号で表現されているが、その他の回路素子も含む概念である。例えば、次段の増幅回路であってもよいし、コンパレータであってもよい。負荷出力用スイッチSW100は、ON/OFFすることにより、演算増幅器100の出力端子と負荷Clとを導通/非導通させる。デカップリング用容量Cdは、演算増幅器100の出力端子と、接地との間に接続される。
次に、図2を参照して図1に示した部分回路の動作を説明する。まず、負荷出力用スイッチSW100がOFFの状態において、演算増幅器100は、入力端子に入力される入力電圧INを増幅し、出力端子からアンプ出力電圧AMPOを出力する。演算増幅器100の出力端子にはデカップリング用容量Cdが接続されているため、アンプ出力電圧AMPOは、緩い傾きで目標とする到達電圧まで上昇する。一般的に、容量の両端電圧は、電流変化の積分の値となるため、緩やかに変化する。また、負荷Clに対して演算増幅器100および負荷出力用スイッチSW100の経路以外の図示しない経路を想定すると、負荷Clには別の電圧が充電されている。次に、負荷出力用スイッチSW100がONすると、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOが負荷Clにかかり、負荷Clの充電が開始する。
次に、比較例について説明する。図3は、比較例における演算増幅器を含む部分回路図である。図4は、比較例における部分回路の動作タイミングと出力波形を示すタイムチャートである。図3において、演算増幅器100の出力端子は、負荷Clと負荷出力用スイッチSW100を介して接続されている。負荷出力用スイッチSW100は、ON/OFFすることにより、演算増幅器100の出力端子と負荷Clとを導通/非導通させる。比較例においては、デカップリング用容量Cdは、接続されていない。
次に、図4を参照して図3に示した部分回路の動作を説明する。まず、負荷出力用スイッチSW100がOFFの状態において、演算増幅器100は、入力端子に入力される入力電圧INを増幅し、出力端子からアンプ出力電圧AMPOを出力する。演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOは、急な傾きで目標とする到達電圧まで上昇する。また、負荷Clに対して演算増幅器100および負荷出力用スイッチSW100の経路以外の図示しない経路を想定すると、負荷Clには別の電圧が充電されている。次に、負荷出力用スイッチSW100がONすると、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOが負荷Clにかかり、負荷Clの充電が開始する。
ここで、図2と図4を参照して比較すると、第1実施形態における演算増幅器100の出力端子にはデカップリング用容量Cdが接続されているため、第1実施形態における演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOのほうが、比較例における演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOよりも、増幅開始後に早く到達電圧に達する。次に、負荷出力用スイッチSW100がONした直後において、比較例は、大きな電流変化が起きるため、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOは、大きくバウンドする。特に、負荷Clの容量が大きい場合、当該アンプ出力電圧AMPOは、到達電圧から大きく低下した後、負荷Clの充電を開始する。充電開始後は、負荷Clの容量によって負荷出力用スイッチSW100がOFFの場合と比較し、緩い傾きで上昇し、第1時点t1で到達電圧となる。
これに対し、負荷出力用スイッチSW100がONした直後において、第1実施形態は、デカップリング用容量Cdと負荷Clとの容量結合によって、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOの低下は、小さいものとなる。充電開始後、当該アンプ出力電圧AMPOは、容量結合によって比較例よりも緩い傾きで上昇し、第2時点t2で到達電圧となる。しかしながら、上記バウンドが小さくなるため、比較例よりも結果として到達電圧に達するまでの期間が短縮する。
比較例の演算増幅器100は、負荷出力用スイッチSW100がONするまでの期間もDC電流を消費している。しかしながら、実際の充電期間は負荷出力用スイッチSW100がONしてからであり、上記DC電流は、無駄な電流である。この点、上記ONするまでの期間のDC電流をカットする手法も考えられる。しかしながら、演算増幅器100のようなアナログ回路は、短期間にアクティブとスタンバイを切り替えると、所望の特性を得る時間を確保できない問題が発生する。また、比較例の演算増幅器100の増幅期間よりも、負荷Clへの充電期間が短くなるため、上記DC電流を大きくする必要がある。これに対して、第1実施形態における演算増幅器100は、負荷出力用スイッチSW100がONするまでの期間、デカップリング用容量Cdを充電することによって、DC電流を効率的に利用することができ、到達電圧に達するまでの期間も短縮することができる。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態における演算増幅器を含む部分回路図である。図6は、第2実施形態における部分回路の動作タイミングと出力波形を示すタイムチャートである。図5において、演算増幅器100の出力端子は、負荷Clと負荷出力用スイッチSW100を介して接続されている。負荷出力用スイッチSW100は、ON/OFFすることにより、演算増幅器100の出力端子と負荷Clとを導通/非導通させる。演算増幅器100の出力端子と、接地との間に容量分離用スイッチSW200を介して、デカップリング用容量Cdを接続する。容量分離用スイッチSW200は、ON/OFFすることにより、上記出力端子とデカップリング用容量Cdとを導通/非導通させる。
図5は、第2実施形態における演算増幅器を含む部分回路図である。図6は、第2実施形態における部分回路の動作タイミングと出力波形を示すタイムチャートである。図5において、演算増幅器100の出力端子は、負荷Clと負荷出力用スイッチSW100を介して接続されている。負荷出力用スイッチSW100は、ON/OFFすることにより、演算増幅器100の出力端子と負荷Clとを導通/非導通させる。演算増幅器100の出力端子と、接地との間に容量分離用スイッチSW200を介して、デカップリング用容量Cdを接続する。容量分離用スイッチSW200は、ON/OFFすることにより、上記出力端子とデカップリング用容量Cdとを導通/非導通させる。
次に、図6を参照して図5に示した部分回路の動作を説明する。まず、負荷出力用スイッチSW100がOFFの状態であり、かつ容量分離用スイッチSW200がONの状態において、演算増幅器100は、入力端子に入力される入力電圧INを増幅し、出力端子からアンプ出力電圧AMPOを出力する。演算増幅器100の出力端子にはデカップリング用容量Cdが接続されているため、アンプ出力電圧AMPOは、第1実施形態と同様に緩い傾きで到達電圧まで上昇する。また、負荷Clに対して演算増幅器100および負荷出力用スイッチSW100の経路以外の図示しない経路を想定すると、負荷Clには別の電圧が充電されている。次に、容量分離用スイッチSW200がONのまま、負荷出力用スイッチSW100がONすると、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOが負荷Clにかかり、負荷Clの充電が開始する。
負荷出力用スイッチSW100がONした直後において、第1実施形態と同様に、デカップリング用容量Cdと負荷Clとの容量結合によって、演算増幅器100のアンプ出力電圧AMPOの低下は、小さいものとなる。充電開始後、当該アンプ出力電圧AMPOは、容量結合によって比較例よりも緩い傾きで上昇を始める。次に、負荷出力用スイッチSW100をONしたまま、容量分離用スイッチSW200をOFFする。すると、デカップリング用容量Cdが演算増幅器100の出力端子から切り離され、当該部分回路全体の容量が減少する。したがって、それ以降の当該アンプ出力電圧AMPOは、今までの傾きよりも急な傾きで上昇し、第3時点で到達電圧に達する。
第2実施形態は、第1実施形態と同様に、負荷出力用スイッチSW100がONした直後のバウンドを、デカップリング用容量Cdにより抑えることができる。そして、その後にデカップリング用容量Cdを切り離すことにより、第1実施形態と比較し、高速動作させることができる。したがって、第2実施形態は、負荷出力用スイッチSW100がONした後の消費電流を第1実施形態より削減することができる。
次に、演算増幅器100をCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)プロセスで構成した例について説明する。図7は、シングルエンドにおける演算増幅器100の差動増幅部分の等価回路を示す図である。演算増幅器100は、Pチャネル型MOS(Metal-Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタ(以下、PMOSトランジスタと呼ぶ)M3,M4、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ(以下、NMOSトランジスタと呼ぶ)M1,M2、および定電流源101を備える。
1対のPMOSトランジスタM3,M4は、ドレインに電源電圧Vddが与えられ、ゲートにバイアス電圧が与えられる。1対のPMOSトランジスタM3,M4は、カレントミラー回路を構成しており、両方のソースに等しいドレイン電流が流れる。1対のNMOSトランジスタM1,M2は、ドレインがそれぞれ1対のPMOSトランジスタM3,M4に接続され、ソースが定電流源101に接続される。ゲートには差動入力IN1,IN2が与えられる。そして、PMOSトランジスタM4とNMOSトランジスタM2との接続点から出力OUTを得ている。NMOSトランジスタM1,M2およびPMOSトランジスタM3,M4の相互コンダクタンスおよび出力抵抗によりゲインが決まる。定電流源101には、NMOSトランジスタを使用することができる。当該NMOSトランジスタのゲートにはバイアス電圧が与えられ、飽和領域で動作する。
図8は、完全差動方式における演算増幅器100の差動増幅部分の等価回路を示す図である。基本的に図7の説明と同様である。PMOSトランジスタM3とNMOSトランジスタM1との接続点、およびPMOSトランジスタM4とNMOSトランジスタM2との接続点から、差動出力OUT1,2を得ている。また、電源側から接地側に貫通電流が流れる。このように、図7や図8に示したようなCMOSプロセスで構成した演算増幅器100は、増幅期間にドレイン電流が流れ、出力用の端子にも流れ込む。特に図7のシングルエンドにおける演算増幅器100の場合、両側のドレイン電流が合流して、出力用の端子に流れ込む。
(第3実施形態)
第3実施形態は、非サイクリック型の前段で4ビットを変換し、サイクリック型の後段で2ビットずつ変換し、後段が3周回することにより合計10ビットを出力するAD変換器の例である。
第3実施形態は、非サイクリック型の前段で4ビットを変換し、サイクリック型の後段で2ビットずつ変換し、後段が3周回することにより合計10ビットを出力するAD変換器の例である。
図9は、第1実施形態におけるAD変換器の構成を示す。このAD変換器において、まず、前段ステージについて説明する。入力アナログ信号Vinは、第1増幅回路11および第1AD変換回路12に入力される。第1AD変換回路12は、フラッシュ型のものであり、その分解能、即ち変換ビット数は4ビットである。第1AD変換回路12は、入力されるアナログ信号をデジタル値に変換し、上位4ビット(D9〜D6)を取り出し、図示しないエンコーダおよび第1DA変換回路13に出力する。第1DA変換回路13は、第1AD変換回路12により変換されたデジタル値をアナログ値に変換する。第1増幅回路11は、入力されたアナログ信号をサンプルホールドして所定のタイミングで第1減算回路14に出力する。第1増幅回路11は、アナログ信号を増幅せず、サンプルホールド回路として機能している。第1減算回路14は、第1増幅回路11の出力から、第1DA変換回路13の出力を減算する。第2増幅回路15は、第1減算回路14の出力を2倍に増幅する。なお、第1減算回路14および第2増幅回路15は、一体型の第1減算増幅回路16であってもよい。これによれば、回路を簡素化することができる。第2増幅回路15の出力端子と、接地との間に第1デカップリング用容量Cd1が接続される。なお、当該出力端子と第1デカップリング用容量Cd1との間に、図示しない容量分離用スイッチを設けてもよい。
次に、後段ステージについて説明する。第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は、交互にオンオフするスイッチである。第1スイッチSW1がオン、第2スイッチSW2がオフの状態において、前段ステージから第1スイッチSW1を介して入力されるアナログ信号は、第3増幅回路19および第2AD変換回路17に入力される。第2AD変換回路17も、フラッシュ型のものであり、その分解能、即ち冗長1ビットを含んだビット数は3ビットである。また、第2AD変換回路17を構成している電圧比較素子に供給されるリファレンス電圧は、第1AD変換回路12を構成している電圧比較素子に供給されるリファレンス電圧の1/2に設定される。第2AD変換回路17は、2ビット変換のため、第1AD変換回路12での変換後のアナログ信号を実質4(2の2乗)倍に増幅しなければならない。しかしながら、第2増幅回路15が2倍の増幅率であるため、リファレンス電圧を1/2にすることにより、調整している。第2AD変換回路17は、入力されるアナログ信号をデジタル値に変換し、上位から5,6ビット(D5〜D4)を取り出し、図示しないエンコーダおよび第2DA変換回路18に出力する。第2DA変換回路18は、第2AD変換回路17により変換されたデジタル値をアナログ値に変換する。
第3増幅回路19は、入力されたアナログ信号を2倍に増幅して、第2減算回路20に出力する。第2減算回路20は、第3増幅回路19の出力から、第2DA変換回路18の出力を減算して、第4増幅回路21に出力する。ここで、第2DA変換回路18の出力は、実質2倍に増幅されている。これは、第2AD変換回路17の基準電圧レンジと、第2DA変換回路18の基準電圧レンジとの比を1:2に設定すれば実現することができる。例えば、第2AD変換回路17の入力をシングルで行い、第2DA変換回路18の出力を差動で構成すれば、1:2に設定することができる。
第4増幅回路21は、第2減算回路20の出力を2倍に増幅する。第4増幅回路21の出力端子と、接地との間に第2デカップリング用容量Cd2が接続される。なお、当該出力端子と第2デカップリング用容量Cd2との間に、図示しない容量分離用スイッチを設けてもよい。第4増幅回路21の増幅開始と同時に、第1スイッチSW1がオフ、第2スイッチSW2がオンに遷移する。第4増幅回路21において増幅されたアナログ信号は、第2スイッチSW2を介して第3増幅回路19および第2AD変換回路17へフィードバックされる。なお、第2減算回路20および第4増幅回路21は、一体型の第2減算増幅回路22を用いてもよい。以下、上記の処理が繰り返され、第2AD変換回路17は、上位から7,8ビット(D3〜D2)および上位から9,10ビット(D1〜D0)を取り出す。このようにして、10ビットのデジタル値を得ている。上位から5〜10ビットをサイクリック型の後段ステージにより得ている。
図10は、第3実施形態におけるAD変換器の動作過程を示すタイムチャートである。以下、図の上位から順に説明する。3つの信号波形は、第1クロック信号CLK1、第2クロック信号CLK2およびスイッチ信号CLKSWを示す。第1クロック信号CLK1は、第1増幅回路11、第2増幅回路15、第1AD変換回路12および第1DA変換回路13の動作を制御する。第2クロック信号CLK2は、第3増幅回路19、第4増幅回路21、第2AD変換回路17および第2DA変換回路18の動作を制御する。スイッチ信号CLKSWは、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2のオンオフ制御を行う。
第2クロック信号CLK2の周波数は、第1クロック信号CLK1の周波数の3倍である。第2クロック信号CLK2は、第1クロック信号CLK1を基本にPLL等を用いて逓倍して生成してもよい。第2クロック信号CLK2は、その立ち上がりが第1クロック信号CLK1の立ち上がりと同期した後、次の2回目の立ち下がりが第1クロック信号CLK1の次の立ち下がりと同期し、さらに次の2回目の立ち上がりが第1クロック信号CLK1の次の立ち上がりと同期する。第2クロック信号CLK2の周波数は第1クロック信号CLK1の周波数の3倍であるため、後段ステージによる変換処理速度も前段ステージによる変換処理速度の3倍である。より上位ビットでの変換処理における減算や増幅等のアナログ処理の精度は全体の変換精度に大きく影響するため、これを担当する前段ステージほど高い精度が要求される。したがって、本実施形態の構成において、前段ステージほどには処理精度が要求されない後段ステージは、前段ステージの処理速度より、その変換処理速度を速めることが可能である。
第1増幅回路11および第1AD変換回路12は、第1クロック信号CLK1の立ち上がりエッジで、入力アナログ信号Vinをサンプルする。第1増幅回路11は、第1クロック信号CLK1がHiのときにサンプルしたアナログ信号をホールドし、第1クロック信号CLK1がLoのときにオートゼロ動作をする。第2増幅回路15は、第1クロック信号CLK1の立ち下がりエッジで、入力されるアナログ信号をサンプルする。第1クロック信号CLK1がLoのときにサンプルしたアナログ信号を増幅して、第3増幅回路19および第2AD変換回路17に出力し、第1クロック信号CLK1がHiのときにオートゼロ動作をする。第1AD変換回路12は、第1クロック信号CLK1がHiのときに変換動作をしてデジタル値D9〜D6を出力し、第1クロック信号CLK1がLoのときにオートゼロ動作をする。第1DA変換回路13は、第1クロック信号CLK1がLoのときに変換確定データを保持し、第1クロック信号CLK1がHiのときは不定状態となる。
第1スイッチSW1は、スイッチ信号CLKSWがHiのときにオンされ、スイッチ信号CLKSWがLoのときにオフされる。第2スイッチSW2は、スイッチ信号CLKSWがLoのときにオンされ、スイッチ信号CLKSWがHiのときにオフされる。
第3増幅回路19および第2AD変換回路17は、第2クロック信号CLK2の立ち上がりエッジで、入力されるアナログ信号をサンプルする。第3増幅回路19は、第2クロック信号CLK2がHiのときにサンプルしたアナログ信号を増幅し、第2クロック信号CLK2がLoのときにオートゼロ動作をする。第2AD変換回路17が最下位ビットD1〜0を変換する期間は、増幅しない。第4増幅回路21は、第2クロック信号CLK2の立ち下がりエッジで、入力されるアナログ信号をサンプルする。第2クロック信号CLK2がLoのときにサンプルしたアナログ信号を増幅し、第2クロック信号CLK2がHiのときにオートゼロ動作をする。第2AD変換回路17がD1〜D0を変換後の次の半クロック期間は、増幅を行わない。
第2AD変換回路17は、第2クロック信号CLK2がHiのときに変換動作をして冗長ビット分を除いて2ビットを出力し、第2クロック信号CLK2がLoのときにオートゼロ動作をする。第2DA変換回路18は、第2クロック信号CLK2がLoのときに変換確定データを保持し、第2クロック信号CLK2がHiのときは不定状態となる。第2AD変換回路17の出力がD1〜D0のときは変換動作を行わない。
第1増幅回路11、第2増幅回路15、第3増幅回路19、第4増幅回路21、第1AD変換回路12および第2AD変換回路17のオートゼロ期間は、入力される信号をサンプル中の状態である。図のように、第2AD変換回路17がD5〜D4およびD3〜D2を変換処理する間、第1AD変換回路12は次に入力された入力アナログ信号Vinを同時に変換処理する。こうしたパイプライン処理により、AD変換器全体としては第1クロック信号CLK1を基準として1周期に1回、10ビットのデジタル値を出力することができる。
第2増幅回路15は、第1スイッチSW1がONになる以前に増幅を開始している。したがって、第1デカップリング用容量Cd1が接続されていなければ、図4に示したように、第1スイッチSW1のON直後に、第2増幅回路15の出力電圧が大きく低下してしまう。これに対し、本実施形態においては第1デカップリング用容量Cd1が接続されているため、図2に示したように、第1スイッチSW1のON直後に、当該出力電圧が大きく低下することはない。このように第2増幅回路15の出力電圧の低下が抑えられると、負荷となる第2AD変換回路17および第3増幅回路19にかかる電圧が、それが接続されていない場合より到達電圧まで早く上昇する。よって、AD変換器全体の動作を高速化することができる。また、動作速度が同等であれば消費電流を低減できるため、低電圧時における特性を向上させることが可能となる。
なお、容量分離用スイッチを設けた場合、第1デカップリング用容量Cd1により、第1スイッチSW1のON直後における上記出力電圧のバウンドを抑え、その後に容量分離用スイッチをOFFすることにより、第1デカップリング用容量Cd1を切り離す。第1デカップリング用容量Cd1が切り離されると、上記出力電圧のかかる負荷が軽減されるため、到達電圧までさらに早く上昇する。よって、さらにAD変換器全体の動作を高速化することができる。また、動作速度が同等であれば消費電流をさらに低減できるため、低電圧時における特性をさらに向上させることが可能となる。
また図10において、第2スイッチSW2のONは、第4増幅回路21の増幅開始と同時に行うように設定されている。しかしながら、現実的にはノイズ等の影響により、第2クロック信号CLK2またはスイッチ信号CLKSWのタイミングがずれて、第4増幅回路21の増幅開始後に第2スイッチSW2がONする場合も起こる。また、たとえ同時であっても、接続される負荷となる第2AD変換回路17および第3増幅回路19に何らかの電圧が充電されていれば、第2スイッチSW2のON時に影響を受ける。例えば、第4増幅回路21を後述する図11および図13に示すスイッチトキャパシタオペアンプで構成した場合、当該スイッチトキャパシタオペアンプには、入力用容量C1に対して、Vin1用スイッチSW12およびVin2用スイッチSW13の2個のスイッチが設けられている。したがって、一般的なパイプライン型のAD変換器でも、サイクリック型のAD変換器でも、上述したような状況が起こりえる。即ち、第4増幅回路21の出力開始と、第2スイッチSW2のONが同時であっても、ON直後の当該出力は、接続された負荷の充電具合に依存してオートゼロ電圧から動く。したがって、動作が遅くなる。このような場合、上述した第2増幅回路15および第1スイッチSW1の説明がそのまま妥当する。
次に、第2増幅回路15および第4増幅回路21の詳細な構成について説明する。図11は、これらの増幅回路をシングルエンドのスイッチトキャパシタ演算増幅器で構成した場合を示す図である。図12は、スイッチトキャパシタオペアンプの動作を説明するためのタイムチャートである。図11において、演算増幅器100aの反転入力端子には、入力用容量C1が接続されており、Vin1用スイッチSW12を介して入力電圧Vin1が入力され、Vin2用スイッチSW13を介して入力電圧Vin2が入力される。なお、入力電圧Vin1は、第1増幅回路11または第3増幅回路19から入力されるアナログ信号が該当し、入力電圧Vin2は、第1DA変換回路13または第2DA変換回路18の出力アナログ信号が該当する。演算増幅器100aの非反転入力端子は、オートゼロ電位に接続されている。演算増幅器100aの出力端子と反転入力端子とは、帰還用容量C2を介して接続されている。また、その外側にオートゼロ用スイッチSW11が接続され、演算増幅器100aの出力端子と反転入力端子とが短絡可能な構成となっている。
次に、図12を参照しながら図11に示したシングルエンドのスイッチトキャパシタオペアンプの動作を説明する。まず、オートゼロ電位Vagにするため、オートゼロ用スイッチSW11をオンにする。この状態において、入力側ノードN1および出力側ノードN2は、共にオートゼロ電位Vagである。入力電圧Vin1をサンプルするため、Vin1用スイッチSW12をオンにし、Vin2用スイッチSW13をオフする。このとき、入力側ノードN1の電荷QAは次式(A1)のようになる。
QA=C2(Vin1−Vag)…(A1)
次に、仮想接地して増幅するために、オートゼロ用スイッチSW11をオフにする。その後、入力電圧Vin2を減算するために、Vin1用スイッチSW12をオフにし、Vin2用スイッチSW13をオンにする。このとき、入力側ノードN1の電荷QBは次式(A2)のようになる。
QB=C2(Vin2−Vag)+C1(Vout−Vag)…(A2)
入力側ノードN1には電荷の抜け出る経路がないため、電荷保存則よりQA=QBとなり、次式(A3)が成立する。
Vout=C2/C1(Vin1−Vin2)+(C1Vag)…(A3)
したがって、当該シングルエンドのスイッチトキャパシタオペアンプは、オートゼロ電位Vagが理想的に接地電位であれば、入力電圧Vin1と入力電圧Vin2との差分を、入力用容量C1と帰還用容量C2との容量比によって、増幅することができる。もちろん、オートゼロ電位Vagが接地電位でなくでも、その近似値を得ることができる。
図13は、完全差動方式のスイッチトキャパシタオペアンプで構成した場合を示す図である。完全差動方式は、シングルエンド方式と比較し、ノイズ耐性があり、出力振幅も大きくとれる。図13において、演算増幅器100bの非反転入力端子には、入力用容量C1aが接続されており、Vin1用スイッチSW12aを介して入力電圧Vin1(+)が入力され、Vin2用スイッチSW13aを介して入力電圧Vin2(+)が入力される。演算増幅器100bの反転入力端子には、入力用容量C1bが接続されており、Vin1用スイッチSW12bを介して入力電圧Vin1(−)が入力され、Vin2用スイッチSW13bを介して入力電圧Vin2(−)が入力される。演算増幅器100bの反転出力端子と非反転入力端子とは、帰還用容量C2aを介して接続されている。演算増幅器100bの非反転出力端子と反転入力端子とは、帰還用容量C2bを介して接続されている。また、入力側ノードN1a,N1bおよび出力側ノードN2a,N2bには、オートゼロ用スイッチSW11a〜dが接続される。オートゼロ用スイッチSW11a〜dは同じタイミングで動作し、オン時には入力側ノードN1a,N1bおよび出力側ノードN2a,N2bの電位は、オートゼロ電位Vagとなる。
次に、図13の当該完全差動方式のスイッチトキャパシタオペアンプの動作を説明する。動作タイミングは、図12に示したタイミングと同様である。まず、オートゼロ電位agにするため、オートゼロ用スイッチSW11a〜dをオンにする。この状態において、入力側ノードN1a,bおよび出力側ノードN2a,bは、共にオートゼロ電位Vagである。入力電圧Vin1をサンプルするため、Vin1用スイッチSW12a,bをオンにし、Vin2用スイッチSW13a,bをオフする。このとき、入力側ノードN1aの電荷QAAは次式(A4)のようになり、入力側ノードN1bの電荷QABは次式(A5)のようになる。
QAA=C2{Vin1(+)−Vag}…(A4)
QAB=C2{Vin1(−)−Vag}…(A5)
QAB=C2{Vin1(−)−Vag}…(A5)
次に、仮想接地状態にして増幅するために、オートゼロ用スイッチSW11a〜dをオフにする。その後、入力電圧Vin2を減算するために、Vin1用スイッチSW12a,bをオフにし、Vin2用スイッチSW13a,bをオンにする。このとき、入力側ノードN1aの電荷QBAは次式(A6)のようになり、入力側ノードN1bの電荷QBBは次式(A7)のようになる。
QBA=C2{Vin2(+)−Vag}+C1{Vout(+)−Vag}…(A6)
QBB=C2{Vin2(−)−Vag}+C1{Vout(−)−Vag}…(A7)
QBB=C2{Vin2(−)−Vag}+C1{Vout(−)−Vag}…(A7)
入力側ノードN1には電荷の抜け出る経路がないため、電荷保存則よりQAA=QBAおよびQAB=QBBとなり、次式(A8),(A9)が成立する。
Vout(+)=C2/C1{Vin1(+)−Vin2(+)}+(C1Vag)…(A8)
Vout(−)=C2/C1{Vin1(−)−Vin2(−)}+(C1Vag)…(A9)
Vout(−)=C2/C1{Vin1(−)−Vin2(−)}+(C1Vag)…(A9)
2つの出力側ノードN2a,N2bの差分電圧Voutは次式(A10)で表される。
Vout=Vout(+)−Vout(−)=C2/C1[{Vin1(+)−Vin1(−)}−{Vin2(+)−Vin2(−)}]…(A10)
したがって、完全差動方式のスイッチトキャパシタオペアンプは、入力電圧Vin1と入力電圧Vin2との差分を、入力用容量C1と帰還用容量C2との容量比によって、増幅することができる。
図11や図13に示したように、スイッチトキャパシタオペアンプは、オートゼロ期間から増幅期間に遷移すると、演算増幅器100a,bの出力端子から電圧が出力し始める。その後に図9に示した第1スイッチSW1または第2スイッチSW2がONする回路構成は、図3に示した回路構成と同様である。そこに、演算増幅器100a,bの出力端子と、接地との間にデカップリング用容量Cd1,Cd2を接続した構成は、図1に示した回路構成と同様である。また、上記出力端子とデカップリング用容量Cd1,Cd2との間に容量分離用スイッチを接続した構成は、図5に示した回路構成と同様である。このように、図1や図5に示した回路構成が、パイプライン型のAD変換器やサイクリック型のAD変換器に適用可能であることが分かる。
(第4実施形態)
第4実施形態は、サイクリック型のAD変換器であり、最初に4ビットを変換し、それ以降3周回して2ビットずつ変換し、合計10ビットを出力する例である。
第4実施形態は、サイクリック型のAD変換器であり、最初に4ビットを変換し、それ以降3周回して2ビットずつ変換し、合計10ビットを出力する例である。
図14は、第4実施形態におけるAD変換器の構成を示す。第1スイッチSW3および第2スイッチSW4は、交互にオンオフするスイッチである。初期状態において、第1スイッチSW3がオン、第2スイッチSW4がオフの状態である。入力アナログ信号Vinは、第1スイッチSW3を介して、第1増幅回路31およびAD変換回路32に入力される。AD変換回路32は、フラッシュ型のものであり、その最大分解能、即ち変換ビット数は4ビットである。AD変換回路32は、第1スイッチSW3を介して入力されるアナログ信号をデジタル値に変換し、上位4ビット(D9〜D6)を取り出し、図示しないエンコーダおよびDA変換回路33に出力する。DA変換回路33は、AD変換回路32により変換されたデジタル値をアナログ値に変換する。第1増幅回路31は、入力されたアナログ信号を2倍に増幅して、減算回路34に出力する。減算回路34は、第1増幅回路31の出力から、DA変換回路33の出力を減算する。ここで、DA変換回路33の出力は、実質2倍に増幅されている。これは、AD変換回路32の基準電圧レンジと、DA変換回路33の基準電圧レンジとの比を1:2に設定すれば実現することができる。第2増幅回路35は、減算回路34の出力を2倍に増幅する。なお、減算回路34および第2増幅回路35は、一体型の減算増幅回路36であってもよい。これによれば、回路を簡素化することができる。第2増幅回路35の出力端子と、接地との間にデカップリング用容量Cd3が接続される。なお、当該出力端子とデカップリング用容量Cd3との間に、図示しない容量分離用スイッチを設けてもよい。
この段階において、第1スイッチSW3がオフ、第2スイッチSW4がオンの状態に遷移している。第2増幅回路35の出力アナログ信号は、第2スイッチSW4を介して、第1増幅回路31およびAD変換回路32にフィードバックされる。AD変換回路32は、第2スイッチSW4を介して入力されるアナログ信号を、冗長1ビットを除いて2ビット変換し、上位から5,6ビット(D5〜D4)を取り出し、図示しないエンコーダおよびDA変換回路33に出力する。DA変換回路33、第1増幅回路31、減算回路34および第2増幅回路35の動作は、1回目の変換のときと同様である。AD変換回路32が2回目以降2ビット変換になるため、第1増幅回路31および第2増幅回路35は、合計で実質4(2の2乗)倍に増幅する。以下、上記の処理が繰り返され、AD変換回路32は、上位から7,8ビット(D3〜D2)および上位から9,10ビット(D1〜D0)を取り出す。このようにして、10ビットのデジタル値を得ている。
第2スイッチSW4は、第2増幅回路35の増幅開始と同時にONすることが理想的であるが、現実的にはノイズ等の影響により、第2増幅回路35の増幅開始後に第2スイッチSW4がONする場合も起こる。このような場合に、デカップリング用容量Cd3が接続されていなければ、図4に示したように、第2スイッチSW4のON直後に、第2増幅回路35の出力電圧が大きく低下してしまう。これに対し、本実施形態においてはデカップリング用容量Cd3が接続されているため、図2に示したように、第2スイッチSW4のON直後に、当該出力電圧が大きく低下することはない。このように第2増幅回路35の出力電圧の低下が抑えられると、負荷となるAD変換回路32および第1増幅回路31にかかる電圧が、それが接続されていない場合より到達電圧まで早く上昇する。よって、AD変換器全体の動作を高速化することができる。また、動作速度が同等であれば消費電流を低減できるため、低電圧時における特性を向上させることが可能となる。
なお、容量分離用スイッチを設けた場合、デカップリング用容量Cd3により、第2スイッチSW4のON直後における上記出力電圧のバウンドを抑え、その後に容量分離用スイッチをOFFすることにより、デカップリング用容量Cd3を切り離す。デカップリング用容量Cd3が切り離されると、上記出力電圧のかかる負荷が軽減されるため、到達電圧までさらに早く上昇する。よって、さらにAD変換器全体の動作を高速化することができる。また、動作速度が同等であれば消費電流をさらに低減できるため、低電圧時における特性をさらに向上させることが可能となる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能である。また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
各実施形態に記載したAD変換回路の変換ビット数とその配分、増幅回路の増幅率のパラメータは一例に過ぎず、変形例においてはこれらのパラメータに他の数値を採用してもよい。また、ステージ数は、1段や2段に限るものではなく、3段以上にも適用可能である。そして、それらのステージの1段以上がサイクリック型の構成であってもよい。
また、各実施形態においては入力される信号のサンプルのタイミングを向上させるために、各増幅回路をスイッチトキャパシタオペアンプで構成する例を説明した。この点、増幅回路はこれに限るものではなく、主に抵抗を用いた一般的な増幅回路でもよい。
さらに、各実施形態においては増幅回路をCMOSプロセスで構成する例を説明した。この点、TTL(Transistor Transistor Logic)プロセスで構成してもよい。
11 第1増幅回路、 12 第1AD変換回路、 13 第1DA変換回路、 14 第1減算回路、 15 第2増幅回路、 16 第1減算増幅回路、 17 第2AD変換回路、 18 第2DA変換回路、 19 第3増幅回路、 20 第2減算回路、 21 第4増幅回路、 22 第2減算増幅回路、 31 第1増幅回路、 32 AD変換回路、 33 DA変換回路、 34 減算回路、 35 第2増幅回路、 36 減算増幅回路、 100,100a,100b 演算増幅器、 101 定電流源、 SW1,SW2,SW11〜13,SW100,SW200 スイッチ、 Cd,Cd1,Cd2,Cd3,C1,C2 容量、 Cl 負荷、 M1,M2 NMOSトランジスタ、 M3,M4 PMOSトランジスタ。
Claims (7)
- 所定の負荷と、自己の出力端子とが負荷出力用スイッチを介して接続される演算増幅器であって、
前記出力端子と所定の固定電位との間に、容量を設けたことを特徴とする演算増幅器。 - 前記出力端子と前記容量との間に、容量分離用スイッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の演算増幅器。
- 前記容量分離用スイッチは、信号が遷移している間に前記負荷出力用スイッチがオンされた後に、オフすることを特徴とする請求項2に記載の演算増幅器。
- 複数ステージからなるアナログデジタル変換器であって、
前記複数ステージの内のあるステージは、
自己のステージの入力アナログ信号と、該自己のステージの変換デジタル値をアナログ値に変換した信号との差分信号を所定の増幅率で増幅し、後段のステージに第1スイッチを介して出力する増幅回路を有し、
前記第1スイッチを介して出力する増幅回路は、請求項1から3のいずれかに記載の演算増幅器を含むことを特徴とするアナログデジタル変換器。 - 複数ステージからなるアナログデジタル変換器であって、
前記複数ステージの内のあるステージは、
自己のステージの入力アナログ信号を所定の増幅率で増幅する入力側増幅回路と、
前記入力側増幅回路の出力アナログ信号と、自己のステージの変換デジタル値をアナログ値に変換した信号との差分信号を所定の増幅率で増幅し、後段のステージに第1スイッチを介して出力する出力側増幅回路と、を有し、
前記出力側増幅回路は、請求項1から3のいずれかに記載の演算増幅器を含むことを特徴とするアナログデジタル変換器。 - 前記複数ステージの内の他のステージは、
自己のステージの入力アナログ信号と、該自己のステージの変換デジタル値をアナログ値に変換した信号との差分信号を所定の増幅率で増幅し、前記自己のステージの入力に第2スイッチを介して出力する増幅回路を有し、
前記第2スイッチを介して出力する増幅回路は、請求項1から3のいずれかに記載の演算増幅器を含むことを特徴とする請求項4または5に記載のアナログデジタル変換器。 - 入力されるアナログ信号を所定ビット数のデジタル値に変換するAD変換回路と、
前記AD変換回路の出力をアナログ信号に変換するDA変換回路と、
前記入力されるアナログ信号を所定の増幅率で増幅する第1増幅回路と、
前記第1増幅回路の出力アナログ信号と、前記所定の増幅率と実質的に同一の増幅率で増幅された前記DA変換回路の出力アナログ信号との差分を所定の増幅率で増幅し、スイッチを介して前記AD変換回路および前記第1増幅回路に出力する第2増幅回路と、を有し、
前記第2増幅回路は、請求項1から3のいずれかに記載の演算増幅器を含むことを特徴とするアナログデジタル変換器。
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