JP2005260296A - 弾性表面波素子 - Google Patents

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秀幸 高橋
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恭輔 尾崎
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聡 和賀
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真 佐々木
Takeshi Ikeda
剛 池田
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Abstract

【課題】 高周波帯域における温度特性を向上させることのできる弾性表面波素子を提供する。
【解決手段】 圧電性基板12上から、くし歯状電極部上にかけて形成される絶縁層21には、SiとOとを主体とし、一部の結合が水素原子、フッ素原子、あるいは水酸化基(OH)のいずれか1種以上により置換されてなる化学構造を有する絶縁材料を使用する。上記の化学構造を有する絶縁層21により、従来、絶縁層として二酸化ケイ素膜を用いたときに比べて、前記圧電性基板12の材質にかかわらず、前記絶縁層21を薄い膜厚の範囲内で、弾性表面波素子の周波数温度係数を0に効果的に近づけることが出来る。よって素子温度が変化したときの周波数変化を小さくできると共に、弾性表面波素子の基本的な特性も良好に維持することが出来る。
【選択図】図2

Description

本発明は、高周波帯域における温度特性を向上させることのできる弾性表面波素子に関する。
弾性表面波素子は機械的振動エネルギーが固体表面付近にのみ集中して伝搬する弾性表面波を利用した電子部品であり、フィルタ、共振器またはデュプレクサなどを構成するために用いられる。
近年、携帯電話などの移動体通信端末の小型化及び軽量化が急速に進んでおり、これらの移動体通信端末に実装される電子部品の小型化が要求されている。
弾性表面波素子は、圧電性基板の表面上に、導電性で比抵抗の小さい材料からなる一対のくし歯状電極(IDT(インタディジタルトランスデューサ)電極)を対向させ、それぞれのくし歯部を互い違いに並べる構成を有している。このような単純な構造を有する弾性表面波素子は移動体通信端末に実装されるフィルタ、共振器またはデュプレクサを小型化するために非常に適した素子である。
弾性表面波素子を共振器として用いるときには、素子の温度が変化したときの周波数変化が小さいことが重要である。
特許文献1、2にはくし歯状電極と圧電性基板の上を酸化ケイ素膜で覆うことにより、素子温度が変化したときの周波数変化を小さくすることができることが示されている。
特開平7−15274号公報(第1図) 特開平8−265088号公報(第1図)
素子温度の変化に対する周波数変化をできる限り小さくするには、弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)を絶対値で出来る限り小さくする(最も好ましくは0に合わせる)ことが望ましい。前記周波数温度係数は、圧電性基板の材質等によって左右され、従来では、マイナス値に大きくなりやすい傾向があった。このため前記圧電性基板上に遅延時間温度係数(TCD)が逆符号(プラス値)の二酸化ケイ膜を用いて、弾性表面波素子の周波数温度係数(絶対値)の改善を図る方法が知られている。
しかしながら、後述する実験で示すように、絶縁層として二酸化ケイ素膜を用いても、さほど弾性表面波素子の周波数温度係数(絶対値)を改善することはできなかった。
そして後述する実験から推測すれば、周波数温度係数の絶対値をより効果的に0に近づけるには、前記二酸化ケイ素膜を相当に厚い膜厚で形成しなければならず、かかる場合、弾性表面波素子の基本的な特性(通過帯域内の減衰が大きくなる等)が劣化してしまうといった不具合も生じてしまう。
このように前記絶縁層として二酸化ケイ素膜を使用した従来の形態では、弾性表面波素子の基本的な特性を維持しながら、弾性表面波素子の周波数温度係数(絶対値)を0に近づけることは困難であった。
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に絶縁層の材質を適正化して前記絶縁層を薄い膜厚で形成しても、基板の材質にかかわらず、弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)を0に効果的に近づけることが出来る弾性表面波素子を提供することを目的とする。
本発明は、圧電性基板と、前記圧電性基板上に薄膜形成されたくし歯状電極部を有する弾性表面波素子において、
前記圧電性基板上から前記くし歯状電極部上にかけて絶縁層が形成され、前記絶縁層はSiとOとを主体とし、一部の結合が水素原子、フッ素原子、あるいは水酸化基(OH)のいずれか1種以上により置換されてなる化学構造を有することを特徴とするものである。
本発明では、上記の化学構造を有する絶縁層により、前記圧電性基板上からくし歯状電極部上を覆うことで、従来、絶縁層として二酸化ケイ素膜を用いたときに比べて、前記圧電性基板の材質にかかわらず、前記絶縁層を薄い膜厚の範囲内で、弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)を0に効果的に近づけることが出来る。よって素子温度が変化したときの周波数変化を小さくできると共に、弾性表面波素子の基本的な特性(通過帯域内の減衰が大きくなる等)も良好に維持することが出来る。
本発明では、前記化学構造は以下の構造であることが好ましい。
Figure 2005260296
ただし、X,Y,Z,Wのそれぞれは、水素原子、フッ素原子、水酸化基(OH)あるいは酸素原子のいずれか1種から選択されたものである。ただし酸素原子が選択されるときは、X,Y,Z,Wのうち少なくとも一つは、水素原子、フッ素原子、水酸化基(OH)から選択される。
具体的には前記X,Y,Z,Wは全て水素原子であることが好ましい。この化合物名は水素化シルセスキオキサン(HydrogeSilsesquioxane)である。
後述する実験によれば前記水素化シルセスキオキサンにより前記絶縁層を形成すると、前記絶縁層として二酸化ケイ素膜を用いた場合に比べて、前記絶縁層の膜厚が薄くても弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)を容易且つ効果的に0に近づけることが可能になる。前記水素化シルセスキオキサンや前記二酸化ケイ素(SiO2)などは、前記圧電性基板とは逆符号(すなわちプラス値)の遅延時間温度係数(TCD)を有している。
しかし、本発明で使用する前記水素化シルセスキオキサンは、前記二酸化ケイ素膜に比べて薄い膜厚で急激に前記遅延時間温度係数が大きくなりやすい性質を有しており、このため前記水素化シルセスキオキサンを前記絶縁層として用いれば、前記絶縁層の膜厚を薄く形成しても、弾性表面波素子の周波数温度係数(絶対値)を0に効果的に近づけることが可能になるのである。
本発明では、前記絶縁層の規格化膜厚(H/λ;Hは、絶縁層の絶対膜厚、λは電極間ピッチ)は、0.07以上で0.18以下であることが好ましい。ここで「絶縁層の絶対膜厚」とは、前記圧電性基板の上面から前記絶縁層の上面までの膜厚の平均値を指す。本発明では、前記規格化膜厚を0.07〜0.18の範囲内に設定すれば、従来、絶縁層として二酸化ケイ素膜を用いていた場合に比べて、弾性表面波素子の周波数温度係数(絶対値)を効果的に0に近づけることが可能である。
また本発明では前記規格化膜厚は0.10以上で0.14以下であることがより好ましい。これにより、前記弾性表面波素子の周波数温度係数(絶対値)をより効果的に0に近づけることが可能である。
また本発明では、前記絶縁層は、スピンオングラス法で形成されたものであることが好ましい。スピンオングラス(SOG)法を用いれば、簡単な方法で前記絶縁層を形成できると共に、前記絶縁層の上面を平坦化にしやすい。
また本発明では、前記圧電性基板はLiTaOであることが好ましい。
圧電性基板上から、くし歯状電極部上にかけて形成される絶縁層には、SiとOとを主体とし、一部の結合が水素原子、フッ素原子、あるいは水酸化基(OH)のいずれか1種以上により置換されてなる化学構造を有する絶縁材料を使用する。
本発明では、上記の化学構造を有する絶縁層により、前記圧電性基板上からくし歯状電極部上を覆うことで、従来、絶縁層として二酸化ケイ素膜を用いたときに比べて、前記圧電性基板の材質にかかわらず、前記絶縁層を薄い膜厚の範囲内で、弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)を0に効果的に近づけることが出来る。よって素子温度が変化したときの周波数変化を小さくできると共に、弾性表面波素子の基本的な特性(通過帯域内の減衰が大きくなる等)も良好に維持することが出来る。
図1は、本発明の実施の形態の弾性表面波素子を示す平面図である。
符号11は弾性表面波素子を示しており、この弾性表面波素子は共振器としての機能を有している。
符号12は、圧電性基板を示している。本実施の形態では、圧電性基板12は例えばLiTaOによって形成されている。圧電性基板12上に、くし歯状電極部13及びくし歯状電極部14が形成されている。くし歯状電極部13及びくし歯状電極部14には、それぞれ図示X3方向と逆方向に延びるくし歯部13a、及び図示X3方向に延びるくし歯部14aが形成されている。くし歯状電極部13のくし歯部13aとくし歯状電極部14のくし歯部14aは、所定の間隔をあけて図示X方向に互い違いに並べられている。
また、くし歯状電極部13及びくし歯状電極部14には、弾性表面波素子を外部の回路と接続するための接続電極部15、16が電気的に接続されている。
くし歯状電極部13と接続電極部15が電極部17を構成し、くし歯状電極部14と接続電極部16が電極部18を構成している。
図1に示される実施の形態では、くし歯状電極部13のくし歯部13aとくし歯状電極部14のくし歯部14aは同じ幅寸法W1を有しており、またくし歯部13a,13aの間隔、及びくし歯部14a,14aの間隔(以下、電極間ピッチという)λも一定の値である。前記電極間ピッチλは、隣り合うくし歯部13a,13a(14a,14a)の幅寸法の中心間の距離で規定される。
また、くし歯部13aとくし歯部14aはL1の長さ寸法で交差している。なお、幅寸法W1は0.1μm以上で1.5μm以下、前記電極間ピッチλは、1.6μm以上で3.2μm以下、長さ寸法L1は16μm以上で100μm以下である。
本実施の形態では、くし歯状電極部13及びくし歯状電極部14が、Al、またはAl合金あるいはCuまたはCu合金によって形成されている。なお、ここでいうCu合金とは、例えば、Cu中に少量のAg、Sn、Cを含有する合金である。添加元素であるAg、Sn、Cの含有量は、Cu合金の比重が純粋なCuの比重とほとんど同じになる範囲であればよい。具体的には、Cu合金中の添加元素の質量%が0.5質量%以上10.0質量%以下であれば、このCu合金の比重は、純粋なCuの比重とほとんど同じになる。
さらに、くし歯状電極部13及びくし歯状電極部14の図示X方向と図示X方向の反対側に所定の距離をおいて、長方形状の電極(ストリップ)19aが図示X方向に複数並べられた反射器19,19が形成されている。図1では、反射器19を構成する各電極の端部どうしは開放されている。ただし、反射器19を構成する各電極の端部どうしは、短絡されていてもよい。
接続電極部15、16及び反射器19,19は、くし歯状電極部13,14と同じ材料で形成されてもよいし、Auなど他の導電性材料によって形成されてもよい。
なお、実際には図2の断面図に示されるように、圧電性基板12、くし歯状電極部13,14及び反射器19,19の上は、絶縁性薄膜20及び絶縁層21によって覆われている。接続電極部15、16は絶縁層21によって覆われることなく露出している。
図1では圧電性基板12の上に形成された電極部17、18及び反射器19,19の平面構造を明確に示すために絶縁性薄膜20及び絶縁層21の記載を省略している。
図2は、くし歯状電極部13及びくし歯状電極部14を、図1の2−2線から切断し矢印方向から見た縦断面図である。
圧電性基板12及びくし歯状電極部13、14の上は、絶縁性薄膜20を介して絶縁層21によって覆われている。圧電性基板12は例えばLiTaOで形成され、絶縁性薄膜20は酸化ケイ素(SiO)によって形成されている。前記絶縁層21の材質については後述する。
なお、くし歯状電極部13,14の膜厚Tは60nmから200nmであり、絶縁層21の膜厚H(圧電性基板12の上面12aから絶縁層21の上面21aまでの厚さ寸法の平均値)は140nm(1400Å)から680nm(6800Å)程度である。
絶縁性薄膜20はスパッタ法によって形成された膜厚10nm〜40nmの薄膜t1であり、くし歯状電極部13、14の劣化を抑えること、及び、絶縁層21の密着性を向上させるためのものである。なお前記絶縁性薄膜20は形成されていなくても良い。
本発明の特徴的部分について以下に説明する。本発明では前記絶縁層21は、SiとOとを主体とし、一部の結合が水素原子(H)、フッ素原子(F)、あるいは水酸化基(OH)のいずれか1種により置換されてなる化学構造を有する絶縁材料で形成されている。
具体的には前記化学構造は、以下の構造式で示される。
Figure 2005260296
ただし、X,Y,Z,Wのそれぞれは、水素原子、フッ素原子、水酸化基(OH)あるいは酸素原子のいずれか1種から選択されたものである。ただし酸素原子が選択されるときは、X,Y,Z,Wのうち少なくとも一つは、水素原子、フッ素原子、水酸化基(OH)から選択される。
本発明では、前記X,Y,Z,Wに全て水素原子が選択された下記(化4)の構造式から成る、水素化シルセスキオキサン(HydrogeSilsesquioxane)、前記X,Y,Z,Wに全てフッ素原子が選択された下記(化5)の構造式から成るフッ素化酸化シリコン、前記X,Y,Z,Wのほとんどに水素原子が選択されているが、前記X,Y,Z,Wの一部に、例えばフッ素原子が選択された下記(化6)の構造式からなる変性水素化シルセスキオキサン、前記X,Y,Z,Wの一部にフッ素原子が選択された下記(化7)の構造式からなるフッ素酸化シリコン、前記X,Y,Z,Wの一部に水酸化基が選択された下記(化8)の構造式から成るもの(Silicate)を選択できる。
Figure 2005260296
Figure 2005260296
Figure 2005260296
Figure 2005260296
Figure 2005260296
上記のうち、特に、前記絶縁層21として水素化シルセスキオキサンを用いることが好ましい。後述する実験によれば、前記絶縁層21として前記水素化シルセスキオキサンを用いた場合、前記絶縁層21を、従来から使用されている二酸化ケイ素膜に比べて薄い膜厚に形成しても、弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)を絶対値で効果的に0に近づけることが出来る。
これは、前記二酸化ケイ素も水素化シルセスキオキサンも共に、前記圧電性基板12と逆符号(すなわちプラス値)の遅延時間温度係数(TCD)を有しているが、前記水素化シルセスキオキサンは前記二酸化ケイ素に比べて薄い膜厚でも前記遅延時間温度係数が急激に大きくなるためである。
後述する実験によれば、前記絶縁層21の規格化膜厚(H/λ;Hは、絶縁層21の絶対膜厚、λは電極間ピッチ)を、0.07以上で0.18以下に規制すれば、弾性表面波素子11の周波数温度係数(TCF)を絶対値で効果的に0に近づけることが出来る。また前記規格化膜厚を0.10以上で0.14以下にすれば、前記弾性表面波素子11の周波数温度係数(絶対値)をより効果的に0に近づけることが出来る。
ここで前記規格化膜厚を規定する「絶縁層21の絶対膜厚」は、図2に示すように、前記圧電性基板12の上面12aから絶縁層21の上面21aまでの平均膜厚を指している。
図2に示す絶縁層21は、例えばスピンオングラス(Spin On Glass)法によって形成されたものである。
前記スピンオングラス法では、上記した水素化シルセスキオキサンを例えば、プロピレングリコールジメチルエーテル溶媒に溶解してペースト状にし、前記ペーストをスピンコート法によって前記圧電性基板12上から電極部17,18上に塗布し、その後、所定の乾燥・焼成工程を行う。前記乾燥・焼成工程を行うことで前記溶媒が塗膜(絶縁層21)内から除去される。
前記スピンオングラス法によれば前記絶縁層21の上面21aを平坦化面に形成できる。
一方、図3に示す弾性表面波素子では、前記絶縁層21を例えばスパッタ法などの手法で形成したものである。スパッタ法などの手法で前記絶縁層21を形成すると前記絶縁層21の上面21aは、くし歯状電極部13,14の上面に形成された位置Aでは、前記圧電性基板12上に直接、形成された位置Bに比べて盛り上がり、すなわち前記上面21aは凹凸形状になりやすい。本発明では図3のように前記絶縁層21の上面21aが凹凸形状になっていてもよいが、図3の状態からたとえばCMP技術を用いて前記絶縁層21の上面21aを平坦化面に形成することも出来る。なお図3の状態にて、前記絶縁層21の絶対膜厚Hは、位置B、すなわち前記圧電性基板12上に直接形成された絶縁層21の膜厚の平均値で求められる。
本発明では、上記したように、前記圧電性基板12は例えばLiTaO(周波数温度係数は−18〜−50(ppm/℃)程度)であるが、これ以外の材質であってもよい。例を挙げれば、LiNbO(周波数温度係数は−74〜−120(ppm/℃)程度),水晶(周波数温度係数は−34(ppm/℃)程度),ZnO/ガラス(周波数温度係数は−28(ppm/℃)程度),ZnO/サファイア(周波数温度係数は−30〜−50(ppm/℃)程度),KNbO(周波数温度係数は0に近い数値)などである。
上記のように前記圧電性基板12は、それ自身、マイナス値に大きな周波数温度係数を有している。このため本発明のように、前記圧電性基板12上に前記圧電性基板12とは逆符号(すなわちプラス値)の遅延時間温度係数(TCD)を有し、しかも二酸化ケイ素膜よりも、薄い膜厚で急激に遅延時間温度係数が大きくなる上記(化3)〜(化8)のいずれかの化学構造式を有する絶縁材料を絶縁層21として用いれば、効果的に弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)を絶対値で0に近づけることが出来ると共に、前記絶縁層21を薄い膜厚で形成できるので弾性表面波素子の基本的な特性(通過帯域内の減衰が大きくなる等)を良好に保つことが出来る。
よって弾性表面波素子の基本特性を良好に維持しながら高周波帯域における温度特性を従来に比べて効果的に向上させることが出来る。
本発明の弾性表面波素子(実施例1)と従来の弾性表面波素子(比較例1,2,3)の温度特性を図4に示す。
図4に示すグラフの横軸は絶縁層の規格化膜厚H/λであり、縦軸は弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)である。前記絶縁層の規格化膜厚H/λは、圧電性基板の表面から絶縁層の上面までの膜厚寸法の平均値Hを、電極間ピッチλで割った値である。
実施例1は、絶縁層21として上記(化3)の化学構造を有する水素化シルセスキオキサンを用いた。前記水素化シルセスキオキサンから成る絶縁層21を、スピンオングラス(SOG)法により形成した。
比較例1は、絶縁層としてポリシラザン(SiO)を用いた。ポリシラザンの化学構造は、以下の(化9)で示される。
Figure 2005260296
前記ポリシラザンから成る絶縁層をスピンオングラス(SOG)法により形成した。
比較例2は、絶縁層として以下の(化10)の化学構造を有するシロキサンを用いた。前記シロキサンから成る絶縁層をスピンオングラス(SOG)法により形成した。
Figure 2005260296
比較例3は、絶縁層として二酸化ケイ素をスパッタ法で形成したものである。
なお実施例1,比較例1〜3ともに圧電性基板にはLiTaOを用いた。
図4に示すように、規格化膜厚が大きくなっていくと、絶縁層として水素化シルセスキオキサンを用いた実施例1では、前記規格化膜厚が0.125付近で弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)がマイナス値からプラス値に転じ、前記規格化膜厚が非常に小さくても前記周波数温度係数を0付近に合わせ易いことがわかった。
一方、絶縁層としてポリシラザンを用いた比較例1では、前記絶縁層の規格化膜厚が大きくなっていけば、徐々に弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)は絶対値で小さくなり、徐々に0に近づくが、前記規格化膜厚が0.2程度に達しても依然として前記周波数温度係数(絶対値)は0を超えてプラス値になることはなく、さらに前記規格化膜厚を大きくしないと前記周波数温度係数(絶対値)をより0に近づけることが出来ないことがわかった。
また絶縁層として二酸化ケイ素膜(スパッタ膜)を用いた比較例2では、前記絶縁層の規格化膜厚を厚くしても、なかなか弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)の絶対値が小さくならず、相当に前記絶縁層の規格化膜厚を大きくしないと、弾性表面波素子の周波数温度係数(絶対値)を0に合わせこむことは出来ないか、あるいは前記規格化膜厚を相当厚くしても周波数温度係数(絶縁層)を0に近づけることが出来ないことがわかった。
また絶縁層として上記(化10)の化学構造を有するシロキサンを用いた比較例3では、絶縁層の規格化膜厚を厚くしていくと、弾性表面波素子の周波数温度係数が絶対値で大きくなっていき、前記絶縁層の規格化膜厚を厚くしても弾性表面波素子の周波数温度係数(絶対値)を0に近づけることはできないことがわかった。
図5は、圧電性基板をZnO/サファイアに変え、絶縁層にSiO(CVD膜)を用いた比較例4,絶縁層にSiN(CVD膜)を用いた比較例5、絶縁層にSiC(CVD膜)を用いた比較例6の、各絶縁層の規格化膜厚H/λと、弾性表面波素子の周波数温度係数(TCF)との関係を示すグラフである。
図5に示すように、比較例4では、前記絶縁層の規格化膜厚を大きくしていくと徐々に弾性表面波素子の周波数温度係数は絶対値で小さくなっていくが、前記規格化膜厚が0.2付近に達しても、前記周波数温度係数を絶対値で0にするには程遠いことがわかった。ZnO/サファイアと、LiTaOとでは、絶縁層を設けない場合での周波数温度係数(絶対値)はさほど変らないので、図4の実験結果から、実施例1のように、絶縁層として水素化シルセスキオキサンを用いた場合、圧電性基板がZnO/サファイアでも、SiO(CVD膜)よりも、より小さい規格化膜厚で周波数温度係数(絶対値)を0により効果的に近づけることが出来ると予測される。
また図5に示すように、絶縁層として、SiNやSiCを用いた場合は、上記した(化10)の構造式を持つシロキサンと合わせて全く周波数温度係数(絶対値)を改善することが出来ないことがわかった(むしろ周波数温度係数は悪化した)。よってSiOの一部を、アルキル基やN,Cで置換した化学構造を有する絶縁層では、弾性表面波素子の周波数温度係数(絶対値)を効果的に改善できないと考えられる。
本発明では、図4の実験結果から、絶縁層の規格化膜厚を0.07以上で0.18以下、好ましくは0.10以上で0.14以下に規定した。本発明では前記絶縁層の規格化膜厚を上記範囲にまで小さく設定しても、その範囲内に弾性表面波素子の周波数温度係数を0に出来るポイントを見出しやすく、前記絶縁層の絶対膜厚を薄くしても周波数温度係数(絶対値)を0に効果的に近づけることが出来る。
本発明の第1実施形態の弾性表面波素子の平面図、 図1の弾性表面波素子を2−2線で切断して矢印方向から見た部分断面図、 本発明の第2実施形態の弾性表面波素子の部分断面図、 実施例1、及び比較例1〜3の各弾性表面波素子(圧電性基板はLiTaO)における絶縁層の規格化膜厚H/λと周波数温度係数(TCF)との関係を示すグラフ、 圧電性基板にZnO/サファイアを用いた比較例4〜比較例6の各弾性表面波素子における絶縁層の規格化膜厚H/λと周波数温度係数(TCF)との関係を示すグラフ、
符号の説明
11 弾性表面波素子
12 圧電基板
13、14 くし歯状電極部
15、16 接続電極部
17、18 電極部
19 反射器
20 絶縁性薄膜
21 絶縁層
21a 上面

Claims (7)

  1. 圧電性基板と、前記圧電性基板上に薄膜形成されたくし歯状電極部を有する弾性表面波素子において、
    前記圧電性基板上から前記くし歯状電極部上にかけて絶縁層が形成され、前記絶縁層はSiとOとを主体とし、一部の結合が水素原子、フッ素原子、あるいは水酸化基(OH)のいずれか1種以上により置換されてなる化学構造を有することを特徴とする弾性表面波素子。
  2. 前記化学構造は以下の構造である請求項1記載の弾性表面波素子。
    Figure 2005260296
    ただし、X,Y,Z,Wのそれぞれは、水素原子、フッ素原子、水酸化基(OH)、あるいは酸素原子(ただし酸素原子が選択されるときは、X,Y,Z,Wのうち少なくとも一つは、水素原子、フッ素原子、水酸化基(OH)から選択される)のいずれか1種から選択されたものである。
  3. 前記X,Y,Z,Wは全て水素原子である請求項2記載の弾性表面波素子。
  4. 前記絶縁層の規格化膜厚(H/λ;Hは、絶縁層の絶対膜厚、λは電極間ピッチ)は、0.07以上で0.18以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の弾性表面波素子。
  5. 前記規格化膜厚は0.10以上で0.14以下である請求項4記載の弾性表面波素子。
  6. 前記絶縁層は、スピンオングラス法で形成されたものである請求項1ないし5のいずれかに記載の弾性表面波素子。
  7. 前記圧電性基板はLiTaOである請求項1ないし6のいずれかに記載の弾性表面波素子。
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