JP2005258432A - 複合管状物 - Google Patents

複合管状物 Download PDF

Info

Publication number
JP2005258432A
JP2005258432A JP2005035157A JP2005035157A JP2005258432A JP 2005258432 A JP2005258432 A JP 2005258432A JP 2005035157 A JP2005035157 A JP 2005035157A JP 2005035157 A JP2005035157 A JP 2005035157A JP 2005258432 A JP2005258432 A JP 2005258432A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluororesin
fluororesin layer
composite tubular
surface roughness
average particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005035157A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisatsugu Tanda
久嗣 丹田
Akinobu Ito
明信 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IST Corp Japan
Original Assignee
IST Corp Japan
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IST Corp Japan filed Critical IST Corp Japan
Priority to JP2005035157A priority Critical patent/JP2005258432A/ja
Publication of JP2005258432A publication Critical patent/JP2005258432A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】 定着装置の加圧ベルトにおいて、最外フッ素樹脂層が所定の表面粗度を持ち、スリップや紙シワの発生が少なく、耐摩耗性の優れ定着装置に最適の複合管状物を提供する。
【解決手段】 加圧ベルト11は、ポリイミド樹脂管状物で構成された基材11aの表面に接着補強層としてのプライマー層11bを介してフッ素樹脂層11cが設けられるとともに、このフッ素樹脂層11c中には、平均粒子径が5μm以上25μm以下の無機粒子状物質11dと導電性物質とが配合されるている。
【選択図】 図3

Description

本発明は複写機やプリンターなど、電子写真技術を利用した画像形成装置の定着装置に使用される複合管状物に関する。詳しくは、ポリイミド樹脂管状物からなる基材上にフッ素樹脂を成形し、定着装置の加圧ベルトとして用いる複合管状物であって、フッ素樹脂層表面の摩擦係数を高め、記録シートの搬送性を改良し、かつ、好ましい耐摩耗性を有する耐久性に優れた複合管状物に関する。
ポリイミド樹脂は優れた耐熱性、寸法安定性、機械的特性および化学的特性を有し、その用途の一例としては、複写機やレーザービームプリンター(以下、LBPと略記する。)などの熱定着ベルトや加圧ベルト、あるいは中間転写ベルトなどが挙げられる。以下に、複写機やLBPなどの定着装置に使用されるポリイミド樹脂管状物について例を挙げて説明する。
ポリイミド樹脂管状物を定着装置の定着ベルトとして使用する一例としては、図1に示すようなフィルム定着方式が知られている。このフィルム定着方式は、例えば、特開平7−178741号公報、特開平7−110632号公報、特開平6−258969号公報等で提案されている。図1に示すように、記録紙7の表面に形成したトナー像8を熱定着するために、定着ベルト1が使用されている。この方式では、定着ベルト1(ポリイミド樹脂管状物)の内側にベルトガイド2とセラミックヒーター3を備え、ヒーター3部分と圧接した加圧ロール4との間にトナー像を形成した記録紙7を順次送り込みながら、トナーを加熱溶融させ、記録紙上に定着させるものである。なお、図1において、5はサーミスタ、9は定着されたトナー、6は加圧ローラーの芯金部、Nは定着ベルト1と加圧ローラー4のニップ部分(接触面)である。
一方、ポリイミド樹脂管状物を定着装置の加圧ベルトとして使用した定着装置が開発され実用化されている。また、近年OA機器においてもカラー化が進み、鮮明な画像と高速処理化が要求されてきている。
このような要求に対応するべくポリイミド樹脂管状物を定着装置の加圧ベルトとして使用した定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このポリイミド樹脂管状物を定着装置の加圧ベルトとして用いた定着装置の一例を図2に示す。図2に示すように、この定着装置は、熱源15を有する回転可能な定着ロール14と、このロールに圧接した加圧ベルト11(ポリイミド樹脂管状物)と、この加圧ベルトの内側に配置された押圧パッド13、押圧ガイド12からなり、定着ロール14の表面に加圧ベルト11を押圧し、定着ロール14の駆動力により加圧ベルト11を回転させ、この挟接部にトナー画像が形成された記録紙17を順次、送りこみトナー像16を定着ロール14の表面で熱定着するものである。
この定着装置では、ポリイミド樹脂管状物は、加圧ベルト11として使用されており、前記加圧ベルト11の外表面は記録紙17の両面にコピーする場合に備えて、フッ素樹脂離型層がコーティングされている。また、記録紙17上の未定着トナー像に直接接触する定着ロール14表面もフッ素樹脂離型層が被覆されている。
カラーLBPなどのカラー画像は、4色の着色トナーで画像を形成し、前記カラー画像の定着には十分な熱量でトナーを溶融させ、定着ロールと加圧ベルトの接触部分で混ぜ合わせるような処理が必要である。そのためには、定着ロールと加圧ベルトの接触面(ニップ部分)を広く取る必要がある。また、定着の高速化(コピー処理速度を上げる)を図る上においても、なるだけ広いニップ部分を得ることが望まれる。
このために定着ロール14は、金属芯金の表面にシリコンゴムなどの弾性体を成形し、この弾性層に加圧ベルト11を強く押圧することによって弾性体を変形させ、加圧ベルト11と接触しているニップ部分を拡大させ、熱源で加熱される時間を長くすると共に、弾性層の柔らかさによって着色トナーを包み込み、混ぜ合わせる処理ができ、鮮明な画像を得ることができる機構が提案されている。また、押圧パッド13の形状や材質についても、前記ニップ部分を広くとるための手段として多くの検討案が提案されている。
しかしながら、この定着装置の構成では、ポリイミド樹脂管状物を加圧ベルトとして使用する場合において、以下に示す問題点があり上記した従来技術では、これら全ての問題点を解決し得るものではない。
特開平11−133776号公報
鮮明なカラー画像や、高速でコピーを処理するための定着装置では、上記したように定着ロールと加圧ベルトのニップ部分をなるだけ広くすることが重要な課題になる。ニップ部分を広くとる方法としては、定着ロールに加圧ベルトを押圧する圧力を調整する方法、定着ロールの弾性体の硬度を下げ柔らかい材料を用いる方法などが考えられている。
また、加圧ベルト内面の摺動抵抗をなるだけ小さくすることも重要であり、押圧パッド材料として摩擦係数の低い材料を用いたり、あるいはシリコンオイルなどを塗布し、加圧ベルト内面の摺動抵抗を下げる方法が提案されている。
しかしながら、加圧ベルト内面と押圧パッドにシリコンオイルを塗布する場合においても、徐々にその効果は無くなり、摺動抵抗が上がってくることになる。その結果、加圧ベルトにスリップが発生し、画質の低下や紙シワが発生することになる。
上記したように、トナーを完全に溶融させ鮮明に画像を処理するためには、あるいは高速でトナー像を定着させるためには、定着ロールと加圧ベルトのニップ部分をなるだけ広くする必要がある。ニップ部分を広くするための前述の方法は、いずれの方法も、定着ロールの駆動力のみで、記録紙を介して加圧ベルトを回転させる操作に対しては相反する現象になる。
すなわち、図2の定着装置では、定着ロール14は図示しない駆動モーターにより矢印の方向に回転し、この回転によって定着ロール14に圧接した加圧ベルト11も従動回転する。
次に、定着ロール14と加圧ベルト11の間に記録紙17が挿入された場合には、定着ロール14の駆動力は、この記録紙17を介して加圧ベルト11に伝達され、加圧ベルト11が回転し、記録紙17上のトナー16が定着され、且つ搬出される機構になっている。
従って、定着ロール14の表面に加圧ベルト11が押圧され、直接密着している場合には、定着ロール14の回転力はそのまま加圧ベルト11に伝わり円滑に回転する。
しかしながら、定着ロール14と加圧ベルト11間に記録紙17が挿入され、実質的なトナー16の定着が行われる場合は、定着ロール14の駆動力は記録紙17を介して加圧ベルト11に伝達されるため、定着ロール14の回転力が正確に加圧ベルト11に伝達されにくくなり、記録紙17と加圧ベルト11との間でスリップの発生や、記録紙17にシワが入る原因になる。
画像定着時に記録紙17がスリップすることは、画質の面からも致命的な問題になると同時に、定着ロール14や加圧ベルト11の最外層は、フッ素樹脂離型層が成形されているため、前記した記録紙17のスリップ現象が極微細なものであっても、連続でかつ高温度で定着操作を繰り返すことによって、フッ素樹脂層が摩耗し、必要な耐久性が得られない問題がある。
本発明は前記の問題を解決し、複写機やLBPの定着装置の加圧ベルトとして、高速でカラー画像の定着を行ってもスリップや紙シワの発生を防止でき、鮮明な画像が得られるとともに、耐摩耗性に優れた複合管状物で構成された加圧ベルトを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の複合管状物は、ポリイミド樹脂管状物からなる基材上にフッ素樹脂層が形成された複合管状物であって、前記フッ素樹脂層中に無機粒子状物質と導電性物質が混在されていることを特徴とする。
前記無機粒子物質の平均粒子径が5μm以上25μm以下にすると良く、前記無機粒子物質は、ホウ酸アルミニウム、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、タルクの中から選択することができる。
また、前記無機粒子物質が、ホウ酸アルミニウムの場合、前記フッ素樹脂層の表面粗度(代表値)を(Ra)1.35μm乃至1.77μmの範囲にすると良い。
さらに、前記無機粒子物質が、平均粒子径8μmのホウ酸アルミニウムの場合、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対してホウ酸アルミニウムを15重量%ないし25重量%の範囲で充填すると良い。
また、前記無機粒子物質が、平均粒子径7μm以上10μm以下の窒化ホウ素の場合、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して窒化ホウ素を18重量%充填すると良い。
また、前記無機粒子物質が、平均粒子径10μm以上20μm以下の酸化鉄の場合、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して酸化鉄を15重量%充填すると良い。
また、前記無機粒子物質が、平均粒子径5μm以上25μm以下の酸化アルミニウムの場合、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して酸化アルミニウムを16重量%充填すると良い。
また、前記無機粒子物質が、平均粒子径11μm以上13μm以下のタルクの場合、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対してタルクを23重量%充填すると良い。
以上説明したように本発明は、ポリイミド樹脂管状物からなる基材の外層にフッ素樹脂を成形した複合管状物であって、フッ素樹脂層に無機粒子状物質と導電性物質とを配合することによって、記録紙のスリップあるいは紙シワの発生を防ぎ、また静電気による、記録紙の巻き込みやオフセットの発生を防止できるので、鮮明な画像を得ることができる。また、無機粒子状性物質を配合することにより、フッ素樹脂層の耐摩耗性を改善でき、定着装置の加圧ベルトとして耐久性の高い複合管状物を提供できる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。図3は、本発明の実施形態に係る複合管状物からなる加圧ベルトをその一部分を断面にして示した模式的断面図である。
図3に示すように、この実施形態に係る加圧ベルト11は、50μm以上500μm以下ポリイミド樹脂管状物で構成された基材11aの表面に接着補強層としてのプライマー層11bを介して20μm以上50μm以下のフッ素樹脂層11cが設けられる。そして、このフッ素樹脂層11c中には、無機粒子状物質11dと導電性物質とが配合される。無機粒子物質11dの配合は、加圧ベルト11のスリップを防止するために、フッ素樹脂層11c表面の粗度を粗くして摩擦力を高めるためである。また、導電性物質の配合は、静電気による記録紙の巻き込みやオフセットの発生を防止するためである。
また、ポリイミド管状物からなる基材11aの内面は、低摩擦性を維持するため平滑性を重視し、その内表面の粗度はできるだけ小さくする方が好ましい。
上記のように、本発明においては、ポリイミド樹脂管状物からなる基材11aの表面にプライマー層11bを介して成形したフッ素樹脂層11cに、無機粒子物質11dを混合し、その混合する量、無機粒子物質11dの平均粒子径を制御することで、フッ素樹脂層11aの表面粗度の精密な調整が可能になり、記録紙との接触面で確実な搬送力を得るようにしたものである。
無機粒子物質11dとしては、色々な材料があるが、比重が大きく、フッ素樹脂ディスパージョン(水分散液)に分散したときに沈降するものは好ましくない。また、平均粒子径が小さすぎると表面粗度が小さくなり記録紙のグリップ力が得られなくなる。このことから、充填材として使用できる無機粒子物質11dの材料、及び平均粒子径には適したものがある。後述するように、無機粒子物質11dの平均粒子径が5μm以上25μm以下であれば、良好な結果が得られる。また、無機粒子物質11dは、ホウ酸アルミニウム、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、タルクの中から選択することができる。
上記のポリイミド樹脂管状物からなる基材11aは、特開平7−76025号公報などの製造方法によって製造したものを用いることができる。
ポリイミド樹脂としては、ポリイミド前駆体液を用いる。例えば芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン成分を有機極性溶媒中で、反応させることによって得ることができる。このような芳香族テトラカルボン酸の代表例としては次のようなものが上げられる。ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、または、これらテトラカルボン酸エステル、上記各テトラカルボン酸類の混合物でも良い。
一方、芳香族ジアミン成分としては特に制限はなく、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシベンチジン、4,4’ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどが挙げられる。
ポリイミド樹脂管状物を製造する場合においては、ポリイミド前駆体が有機極性溶媒に溶解している組成物(原料)を用いればよい。前記の有機極性溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、フェノール、O−,M−,P−クレゾール、などが挙げられる。これらの有機極性溶媒にはキシレン、ヘキサン、トルエンなどの炭化水素類(ハイドロカーボン)などを混合することもできる。また、芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを有機極性溶媒中で重合させて得られたポリイミド前駆体液の中に摩擦帯電防止のためのカーボンブラックや、ポリイミド管状物内面の摩擦係数を小さくするためにフッ素樹脂やシリコン樹脂、シリコンオイルなどの低摩擦物質を混合することもできる。
フッ素樹脂層11cとして用いることができるフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などが単体でまたは混合して使用できる。また、ポリイミドやポリアミドイミド、エポキシ樹脂などのバインダー樹脂とフッ素樹脂をあらかじめ混合したフッ素樹脂エナメルなどがある。
基材11aのポリイミド樹脂管状物のキャスト成形からフッ素樹脂層11cのコーティング及び焼成までは、特開平7−178741号公報に開示の方法で製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。以下に示すように、実施例及び比較例をそれぞれ作成し、表面粗度(フッ素樹脂層11cの表面)、内面粗度(基材11内面)、耐摩耗量、表面抵抗を測定した。粗度、耐摩耗量、表面抵抗は、以下に示す方法により測定している。
(1)表面抵抗率の測定方法
電気抵抗測定器(アドバンテスト社製 R8340A)を使用した。プローブはUR−SS(三菱化学社製)を用い、測定時の印加電圧は100Vで測定した。
(2)表面粗度の測定方法
表面粗度計(小坂研究所(株)SE−3H)を使用した。測定方法はJIS−B0601に基づく。測定点数は内径38mm長さ250mmの複合管状物表面の円周方向で3点、及び長さ方向で5点測定し、その平均値を表面粗度の代表値とした。なお、測定長さは8mmとした。本発明の説明に記載している(Ra)はJIS−B0601に定める定義に基づく表面粗度計の読取り値である。上記のように3点×5点の表面粗度計の読取り値の平均値を表面粗度(代表値)としている。以下の実施例では表面粗度はこの代表値として表している。したがって、実際の表面粗度としては、表面粗度(代表値)に対して±10%のばらつきの範囲まで含む。
(3)摩擦係数の測定
神東科学社製のSurface Property Tester(HEIDON−140)を使用した。測定方法は標準摺動材としてPPC標準上質紙を用意し、切り開いた複合管状物試料の外面に300gの荷重をかけ、300mm/secのテスト速度で測定し、チャートデータからその平均値をもとめ代表値とした。なお、測定開始直後の静摩擦の影響を受ける0.5秒間部分は除外し、その後のデータの平均値で評価した。
(4)耐摩耗量の測定
耐摩耗減少量の測定方法を図4示す。図4の摩耗試験機は駆動モーター26によって回転可能なゴムロール21と、このロールに押圧した加圧ベルト11からなる。試験片である加圧ベルト11は加圧ベルトガイド23に固定し、加圧力調節バネ25によって一定の荷重でゴムロール21に押圧されている。図4において、27は駆動伝達歯車、22はPPC用紙、24は摺擦部である。図4のゴムロール21はLBPの仕様に近い条件でテストするため、ロール表面にB5サイズのPPC用紙22(PPC用紙Foxriver)を1.5周分巻き付け両面テープで固定した。このゴムロール21と加圧ベルト11との摺擦部に10kgの圧力をかけ、150rpmの回転速度で、10分間連続でゴムロール21を回転させ加圧ベルト11の表面を摺擦させた。また、図示していないが、加圧ベルトガイドの内部にはヒーターを設置し200℃の温度に調節し運転を行った。その後、加圧ベルト11の摺擦部分をダイヤルゲージで測定し、非摺擦部との差を摩耗減少値として測定した。1本のベルトのテストが完了する毎にPPC用紙を取り替えた。なお、ゴムロール21は、外径が25mmのシリコンゴムロールであり、ゴム厚み5mm、ゴム硬度30度(測定器Asker硬度計タイプC)のものを使用した。
外径が38mm、長さ500mmのアルミニウム製金型を用意した。前記金型は外面の平均表面粗さ(Rz)が1μm以下になるよう研磨加工し、表面に酸化ケイ素コーティング剤をディッピング法によりコーティングし、100℃で30分および370℃で30分加熱して焼き付け、金型表面粗度が(Rz)0.7μmの酸化ケイ素膜被覆金型を用意した。
次いで、1500ポイズのポリイミド前駆体液((株)IST社製 RC5063PyreMLワニス)に前記金型を400mm部分まで浸漬し、ポリイミド前駆体液を塗布したのち、内径39.6mmのリング状ダイスを前記金型の上部から挿入し自重で落下走行させ、前記金型の表面に800μmの厚みのポリイミド前駆体液をキャスト成形した。その後、第1次イミド転化処理として、温度120℃のオーブンに入れ60分間乾燥後、200℃の温度まで40分間で昇温させ、同温度で20分間保持した。オーブンから取出し常温まで冷却した後、フッ素樹脂用プライマー液(デュポン社製:テフロン(登録商標)855−003)に浸漬し、4μmの厚みにコーティングした。その後、200℃の温度で30分間乾燥し、再び常温まで冷却した。
次いで、PTFE樹脂とPFA樹脂を固形分で5:5の割合で混合しフッ素樹脂ディスパーションとして調合した。このディスパージョンの粘度は180センチポイズで、固形分濃度は48重量%(wt%)であり、このディスパージョンの固形分に対して、四国化成工業(株)社製のホウ酸アルミニウム商品名”アルボライト”グレードPC08(平均粒子径8μm)を20重量%(wt%)配合した。その後、さらに導電材料として、カーボンブラックの一種であるライオン(株)社製ケッチンブラック水性分散液を用い、前記フッ素樹脂ディスパージョンの固形分に対して、ケッチンブラックの固形分で2.1重量%(wt%)配合した。
その後、前記導電性プライマーをコーティングしたポリイミド管状物を前記フッ素樹脂ディスパージョンに浸漬し所定速度で引き上げ、30μmの厚みにコーティングした。
次に、200℃の温度で10分、320℃の温度で40分、400℃で20分間加熱し、ポリイミド前駆体液のイミド転化とフッ素樹脂の焼成を同一工程で完成させたのち、オーブンから取出し冷却し、金型と管状物を分離し目的とする複合管状物を製作した。
この管状物の内径は38mmでフッ素樹脂を含む総厚みは105μmであった。また管状物の表面粗度(代表値)は(Ra)1.52μmであり、内面粗度(代表値)は(Ra)0.08μmであった。このフィルムの表面抵抗値は1.2×105Ω/□であった。なお、実際の表面粗度としては、表面粗度(代表値)に対して±10%のばらつきの範囲まで含んでいる。
このポリイミド管状物を図2の定着器に組み込み、定着テストを行ったところスリップ、紙シワ、オフセットなどいずれの現象も発生しなく良好な画像が得られた。また、ポリイミド管状物の摩耗減少量は1.2μmであった。また、毎分12枚の複写速度で通紙耐久テストの結果10万枚の通紙耐久性が得られた。図5は本実施例で得られた管状物のマイクロスコープによる写真である。このマイクロスコープによる写真は、キーエンス(株)製マイクロスコープ:VH−5000を用い1000倍の倍率で撮影した。この写真に示すように、フッ素樹脂が無機粒子状物質を固着させるためのバインダー樹脂のような状態で形成されており、必要な離型性と複写紙のグリップ性を高め、尚且つ
、摩擦力を十分に高めるために好ましい構造をもっていることがわかる。
フッ素樹脂ディスパージョンとしてPFA塗料(デュポン社製500CL)を用いこの樹脂に窒化ホウ素(昭和電工(株)製UHP−1 平均粒度7−10μm)をPFA樹脂の固形分に対して18重量%(wt%)添加し混合液を得た。さらに導電性物質としてカーボンブラック(ライオン(株)社製ケッチンブラック)を前記PFA塗料固形分に対し、2.2重量%(wt%)添加し十分に攪拌しフッ素樹脂の塗装液を製作した。ポリイミド管状物の製作は実施例1の金型およびポリイミド前駆体液を用い、金型表面に800μmの厚みでキャスト成形したのち、120℃の温度のオーブン入れて60分乾燥後、250℃の温度まで50分間で昇温させ、同温度で20分間保持した。さらに400℃の温度まで40分間で昇温させ同温度で10分間保持したのちオーブンから取出し、冷却しポリイミド樹脂からなる基層管状物を製作した。その後前記ポリイミド管状物の表面にプライマー液(デュポン社製MP−902AL)を約5μmにスプレー塗装し100℃のオーブンで20分間乾燥した。次いで前記PFA樹脂混合液を、前記プライマー塗装表面に30μmの厚さにスプレー塗装し、100℃のオーブンで乾燥後380℃の温度で30分間焼成し目的とする加圧ベルトを得た。この管状物の内径は38mmでフッ素樹脂を含む総厚みは110μmであり、管状物の表面粗度(代表値)(Ra)は1.7μmで内面粗度(代表値)は(Ra)0.1μmであった。なお、実際の表面粗度としては、表面粗度(代表値)に対して±10%のばらつきの範囲まで含んでいる。
このフィルムの表面抵抗率は1×104Ω/□であり、このポリイミド管状物を図2の定着器に組み込み、8万枚の通紙テストを行った結果、紙シワ、スリップなどの発生も無く、良好な画像が得られた。またこのポリイミド管状物の耐摩耗減少量は0.9μmであり良好な耐久性がえられた。
フッ素樹脂ディスパージョンとして、PTFE樹脂とPFA樹脂を固形分で5:5の割合で混合したものを用いた。このフッ素樹脂ディスパージョンに酸化鉄(日産化学(株)製 平均粒度10−20μm)をこのディスバージョンの固形分に対して15重量%(wt%)添加し混合液を得た。さらに導電性物質としてカーボンブラック(ライオン(株)社製ケッチンブラック)を前記ディスバージョンの固形分に対し、2.0重量%(wt%)添加し、十分に攪拌しフッ素樹脂の塗装液を製作した。ポリイミド管状物の製作は実施例1の金型およびポリイミド前駆体液を用い、金型表面に800μmの厚みでキャスト成形したのち、120℃の温度のオーブン入れて60分乾燥後、250℃の温度まで50分間で昇温させ、同温度で20分間保持した。さらに400℃の温度まで40分間で昇温させ同温度で10分間保持したのちオーブンから取出し、冷却しポリイミド樹脂からなる基層管状物を製作した。その後前記ポリイミド管状物の表面にプライマー液(デュポン社製MP−902AL)を約5μmにスプレー塗装し100℃のオーブンで20分間乾燥した。次いで前記PFA樹脂混合液を、前記プライマー塗装表面に30μmの厚さにスプレー塗装し、100℃のオーブンで乾燥後380℃の温度で30分間焼成し目的とする加圧ベルトを得た。この管状物の内径は38mmでフッ素樹脂を含む総厚みは108μmであり、管状物の表面粗度(代表値)(Ra)は1.80μmで内面粗度(代表値)は(Ra)0.10μmであった。なお、実際の表面粗度としては、表面粗度(代表値)に対して±10%のばらつきの範囲まで含んでいる。
このフィルムの表面抵抗率は1×104Ω/□であり、この複合管状物を図2の定着器に組み込み、通紙テストを行った結果、紙シワ、スリップなどの発生も無く、良好な画像が得られた。また、この複合管状物の耐摩耗減少量は2.1μmであり良好な耐久性がえられた。
フッ素樹脂ディスパージョンとして、PTFE樹脂とPFA樹脂を固形分で5:5の割合で混合したものを用いた。このフッ素樹脂ディスパージョンに酸化アルミニウム(日産化学(株)製 平均粒度5−25μm)をこのディスバージョンの固形分に対して16重量%(wt%)添加し混合液を得た。さらに導電性物質としてカーボンブラック(ライオン(株)社製ケッチンブラック)を前記ディスバージョンの固形分に対し、2.0重量%(wt%)添加し、十分に攪拌しフッ素樹脂の塗装液を製作した。ポリイミド管状物の製作は実施例1の金型およびポリイミド前駆体液を用い、金型表面に800μmの厚みでキャスト成形したのち、120℃の温度のオーブン入れて60分乾燥後、250℃の温度まで50分間で昇温させ、同温度で20分間保持した。さらに400℃の温度まで40分間で昇温させ同温度で10分間保持したのちオーブンから取出し、冷却しポリイミド樹脂からなる基層管状物を製作した。その後前記ポリイミド管状物の表面にプライマー液(デュポン社製MP−902AL)を約5μmにスプレー塗装し100℃のオーブンで20分間乾燥した。次いで前記PFA樹脂混合液を、前記プライマー塗装表面に30μmの厚さにスプレー塗装し、100℃のオーブンで乾燥後380℃の温度で30分間焼成し目的とする加圧ベルトを得た。この管状物の内径は38mmでフッ素樹脂を含む総厚みは110μmであり、管状物の表面粗度(代表値)(Ra)は1.86μmで内面粗度(代表値)は(Ra)0.09μmであった。なお、実際の表面粗度としては、表面粗度(代表値)に対して±10%のばらつきの範囲まで含んでいる。
このフィルムの表面抵抗率は1×105Ω/□であり、この複合管状物を図2の定着器に組み込み、通紙テストを行った結果、紙シワ、スリップなどの発生も無く、良好な画像が得られた。また、この複合管状物の耐摩耗減少量は2.5μmであり良好な耐久性がえられた。
フッ素樹脂ディスパージョンとして、PTFE樹脂とPFA樹脂を固形分で5:5の割合で混合したものを用いた。このフッ素樹脂ディスパージョンにタルク(富士タルク(株)製 平均粒度11−13μm)をこのディスバージョンの固形分に対して23重量%(wt%)添加し混合液を得た。さらに導電性物質としてカーボンブラック(ライオン(株)社製ケッチンブラック)を前記ディスバージョンの固形分に対し、2.0重量%(wt%)添加し、十分に攪拌しフッ素樹脂の塗装液を製作した。ポリイミド管状物の製作は実施例1の金型およびポリイミド前駆体液を用い、金型表面に800μmの厚みでキャスト成形したのち、120℃の温度のオーブン入れて60分乾燥後、250℃の温度まで50分間で昇温させ、同温度で20分間保持した。さらに400℃の温度まで40分間で昇温させ同温度で10分間保持したのちオーブンから取出し、冷却しポリイミド樹脂からなる基層管状物を製作した。その後前記ポリイミド管状物の表面にプライマー液(デュポン社製MP−902AL)を約5μmにスプレー塗装し100℃のオーブンで20分間乾燥した。次いで前記PFA樹脂混合液を、前記プライマー塗装表面に30μmの厚さにスプレー塗装し、100℃のオーブンで乾燥後380℃の温度で30分間焼成し目的とする加圧ベルトを得た。この管状物の内径は38mmでフッ素樹脂を含む総厚みは108μmであり、管状物の表面粗度(代表値)(Ra)は1.58μmで内面粗度(代表値)は(Ra)0.09μmであった。なお、実際の表面粗度としては、表面粗度(代表値)に対して±10%のばらつきの範囲まで含んでいる。
このフィルムの表面抵抗率は1×104Ω/□であり、この複合管状物を図2の定着器に組み込み、通紙テストを行った結果、紙シワ、スリップなどの発生も無く、良好な画像が得られた。また、この複合管状物の耐摩耗減少量は3.0μmであり良好な耐久性がえられた。
(比較例1)
実施例1の条件でフッ素樹脂ディスパージョンにホウ酸アルミニウムを配合しない条件に変更した以外は実施例1と同一条件でポリイミド管状物を製作した。
この管状物のフッ素樹脂を含む総厚みは98μmであり、管状物の表面粗度(代表値)を測定したところ(Ra)は0.3μmであり内面粗度(代表値)も(Ra)0.11μmであった。このポリイミド管状物の耐摩耗減少量は8μmであり、このフィルムの表面抵抗値は1.5×105Ω/□であった。この複合管状物を図2の定着器に組み込み耐久評価を行ったところ、スリップが発生し、鮮明な画像は得られなかった。
(比較例2)
実施例1の条件でフッ素樹脂ディスパージョンにカーボンブラックを配合しない条件に変更した以外は実施例1と同一条件でポリイミド管状物を製作した。
この管状物のフッ素樹脂を含む総厚みは103μmであり、管状物の表面粗度(代表値)を測定したところ(Ra)は1.6μmであり内面粗度(代表値)は(Ra)0.15μmであった。このポリイミド管状物の耐摩耗減少値は1.2μmでありこのフィルムの表面抵抗値は1.2×1014Ω/□であった。このポリイミド管状物を図2の定着器に組み込み耐久評価を行ったところ紙シワやスリップの発生は見られなかったが記録紙の巻き込みや画像汚れが発生し鮮明な画像は得られなかった。
(比較例3)
実施例1の条件でフッ素樹脂ディスパージョンに配合するホウ酸アルミニウムの平均粒子径が3.0μmのものを用い、このディスバージョンの固形分に対して18重量%(wt%)添加した以外は実施例1と同一条件で複合管状物を製作した。
この複合管状物のフッ素樹脂を含む総厚みは99μmであり、複合管状物の表面粗度(代表値)を測定したところ(Ra)は0.70μmであり内面粗度(代表値)は(Ra)0.10μmであった。このポリイミド管状物の耐摩耗減少値は3.5μmであり、この複合管状物の表面抵抗値は1.5×105Ω/□であった。このポリイミド管状物を図2の定着器に組み込み、耐久評価を行ったところ、スリップが発生し、鮮明な画像は得られなかった。
(比較例4)
実施例1の条件でフッ素樹脂ディスパージョンに配合するホウ酸アルミニウムの平均粒子径が40μmのものを用い、このディスバージョンの固形分に対して15重量%(wt%)添加した以外は実施例1と同一条件で複合管状物を製作した。
この複合管状物のフッ素樹脂を含む総厚みは115μmであり、複合管状物の表面粗度(代表値)を測定したところ(Ra)は3.2μmであり内面粗度(代表値)は(Ra)0.11μmであった。このポリイミド管状物の耐摩耗減少値は7μmであり、この複合管状物の表面抵抗値は1.0×104Ω/□であった。このポリイミド管状物を図2の定着器に組み込み、耐久評価を行ったところ、紙シワやスリップの発生は見られなかったが記録紙の巻き込みや画像汚れが発生し鮮明な画像は得られなかった。
表1に、上記実施例1乃至5と比較例1乃至4の上記特性及び測定結果を示す。
Figure 2005258432
表1から、フッ素樹脂層に無機粒子状物質と導電性物質とを配合することによって、記録紙のスリップあるいは紙シワの発生を防ぐことができ、また、静電気による記録紙の巻き込みやオフセットの発生を防止でき、鮮明な画像を得ることができることがわかる。また、無機粒子物質を配合することにより、フッ素樹脂層の耐摩耗性を改善でき、定着装置の加圧ベルトとして耐久性の高い複合管状物が提供できる。
また、無機粒子物質の平均粒子径は、5μm以上25μm以下が好ましく、無機粒子物質としては、ホウ酸アルミニウム、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、タルクの中から選択すればよい。
無機粒子物質として、窒化ホウ素を用いる場合には、平均粒子径7μm以上10μm以下のものを用い、フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して18重量%(wt%)充填することが好ましいことがわかる。
無機粒子物質として、酸化鉄を用いる場合には、平均粒子径10μm以上20μm以下のものを用い、フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して15重量%(wt%)充填することが好ましいことがわかる。
無機粒子物質として、酸化アルミニウムを用いる場合には、平均粒子径5μm以上25μm以下のものを用い、フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して16重量%(wt%)充填することが好ましいことがわかる。
無機粒子物質として、タルクを用いる場合には、平均粒子径11μm以上13μm以下のものを用い、フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して23重量%(wt%)充填することが好ましいことがわかる。
上記したように、いろいろな無機粒子物質を用いることができるが、無機粒子物質の比重が大きくフッ素樹脂ディスパージョン(水分散液)に分散したときに沈降するものや、また、充填剤の平均粒子径が小さすぎると、表面粗度が小さくなり紙のグリップ力が得られなくなることがわかった。また、平均粒子径の小さい無機粒子物質を多く添加すると表面粗度は大きくなってくるが、フッ素樹脂層としての離型性が低下する。一方、フッ素樹脂パウダーなど粒子径の大きい充填剤を混合すると表面粗度は大きくなるが、耐摩耗性が低下する。同様に、比較例4のように、平均粒子径の大きい無機充填剤を混合した場合には、表面粗度は大きくなり紙を搬送するグリップ力は強くスリップを起こしにくい構造になり、耐摩耗性も高くなるが、画像に複合管状物の表面粗さが影響し画質の低下を招くことがわかった。
次に、上記した無機粒子物質の中で、フッ素樹脂ディスパージョンへの分散性が良いホウ酸アルミニウムについて、フッ素樹脂ディスパージョンの固形分濃度に対する重量%(wt%)を変化させて、表面粗度、耐摩耗量、画質等の評価を行った。サンプルは重量%(wt%)を変化させた以外は実施例1と同様に作成した。すなわち、平均粒子径は8.0μmであり、導電性物質としてカーボンブラック(ライオン(株)社製ケッチンブラック)を前記ディスパージョンの固形分に対し、2.0重量%(wt%)添加した。
図6は、フッ素樹脂ディスパージョンの固形分濃度に対する平均粒子径8.0μmのホウ酸アルミニウムの添加量と表面粗度との関係を示す特性図である。図6より、添加量を増加させることにより、表面粗度が大きくなることが分かる。
表2に、表面粗度、耐摩耗量、画質等の評価を行った結果を示す。
Figure 2005258432
表2から明らかなように、無機粒子物質として、ホウ酸アルミニウムを用いた場合、フッ素樹脂層の表面粗度(代表値)が(Ra)1.35μm乃至1.77μmの範囲であれば、鮮明な画像を得ることができるとともに、耐久性もきわめて優れたものが得られる。なお、実際の表面粗度としては、表面粗度(代表値)に対して±10%のばらつきの範囲まで含んでいる。したがって、実際の表面粗度で考えると、(Ra)1.21μm乃至1.95μmの範囲であれば、鮮明な画像が得ることができると思われる。
また、平均粒子径が8μmのホウ酸アルミニウムの場合、フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対してホウ酸アルミニウムが15重量%(wt%)ないし25重量%(wt%)の範囲で充填することで、上記表面粗度が得られ、鮮明な画像を得ることができるとともに、耐久性もきわめて優れたものが得られる。
この範囲であると図2の定着装置において、定着ロールと複合管状物の間に挟接された記録紙が、フッ素樹脂層表面の細かな凹凸形状によってしっかりとグリップされ、定着ロールの回転力が記録紙を介して確実にポリイミド管状物に伝達されるため、記録紙のスリップや紙シワの発生がなく好ましい。
上記実施例においては、導電性物質がカーボンブラックの場合について説明したが、金属粉末、イオン導電性物質またはカーボングラファイトを用いることもできる。これら材料のいずれか1つであると、調整が容易であり正確な表面抵抗値が得られやすい。また、エマルジョン化が容易でフッ素樹脂液やプライマー溶液への添加も容易である。
また、イオン導電性物質を用いることもできる。イオン導電性物質としは、有機リン塩、及びパーフルオロアルキル基を含む有機塩から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。フッ素樹脂ディスパージョンにイオン導電性物質を分散させた場合、前記イオン導電性物質は、フッ素樹脂ディスパージョン中でイオン化して分散し、その後このフッ素樹脂ディスパージョンを常法により被膜化した場合、導電性物質が局在化することなく表面全体に均一に拡散するため非常に均一な表面抵抗値が得られる。
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
定着ベルトを使用した定着装置の正面断面図である。 加圧ベルトを使用した定着装置の正面断面図である。 本発明の実施形態に係る複合管状物からなる加圧ベルトをその一部分を断面にして示した模式的断面図である。 摩耗減少量測定装置の側面図である。 本発明の実施例1の加圧ベルトの表面顕微鏡写真である。 フッ素樹脂ディスパージョンの固形分濃度に対する平均粒子径8.0μmのホウ酸アルミニウムの添加量と表面粗度との関係を示す特性図である。
符号の説明
1 定着ベルト
2 ベルトガイド
3 セラミックヒーター
4 加圧ロール
5 サーミスタ
6 加圧ロールの芯金
7 記録紙
8 未定着トナー像
9 定着トナー像
11 加圧ベルト
11a 基材
11b プライマー層
11c フッ素樹脂層
11d 無機粒子物質
12 押圧ガイド
13 押圧パット
14 定着ロール
15 熱源
16 未定着トナー像
17 記録紙
21 ゴムロール
22 PPC用紙
23 加圧ベルトガイド
24 摺擦部
25 加圧力調節バネ
26 駆動モーター
27 駆動伝達歯車

Claims (9)

  1. ポリイミド樹脂管状物からなる基材上にフッ素樹脂層が形成された複合管状物であって、前記フッ素樹脂層中に無機粒子状物質と導電性物質が混在されていることを特徴とする複合管状物。
  2. 前記無機粒子物質の平均粒子径が5μm以上25μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合管状物。
  3. 前記無機粒子物質が、ホウ酸アルミニウム、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、タルクから選ばれた少なくとも一つである請求項1又は2に記載の複合管状物。
  4. 前記無機粒子物質が、ホウ酸アルミニウムであり、前記フッ素樹脂層の表面粗度(代表値)が(Ra)1.35μm乃至1.77μmの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の複合管状物。
  5. 前記無機粒子物質が、平均粒子径8μmのホウ酸アルミニウムであり、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対してホウ酸アルミニウムが15重量%ないし25重量%の範囲で充填されていることを特徴とする請求項3に記載の複合管状物。
  6. 前記無機粒子物質が、平均粒子径7μm以上10μm以下の窒化ホウ素であり、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して窒化ホウ素が18重量%充填されていることを特徴とする請求項3に記載の複合管状物。
  7. 前記無機粒子物質が、平均粒子径10μm以上20μm以下の酸化鉄であり、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して酸化鉄が15重量%充填されていることを特徴とする請求項3に記載の複合管状物。
  8. 前記無機粒子物質が、平均粒子径5μm以上25μm以下の酸化アルミニウムであり、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対して酸化アルミニウムが16重量%充填されていることを特徴とする請求項3に記載の複合管状物。
  9. 前記無機粒子物質が、平均粒子径11μm以上13μm以下のタルクであり、前記フッ素樹脂層を形成するディスパージョンの固形分に対してタルクが23重量%充填されていることを特徴とする請求項3に記載の複合管状物。
JP2005035157A 2004-02-13 2005-02-10 複合管状物 Pending JP2005258432A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005035157A JP2005258432A (ja) 2004-02-13 2005-02-10 複合管状物

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004037153 2004-02-13
JP2005035157A JP2005258432A (ja) 2004-02-13 2005-02-10 複合管状物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005258432A true JP2005258432A (ja) 2005-09-22

Family

ID=35084138

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005035157A Pending JP2005258432A (ja) 2004-02-13 2005-02-10 複合管状物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005258432A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100590544C (zh) * 2006-12-21 2010-02-17 富士施乐株式会社 定影装置和图像形成装置
EP2309338A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-13 Xerox Corporation Fast and low temperature cured polyimide fuser belt
US8105655B2 (en) 2008-06-30 2012-01-31 Xerox Corporation Fast and low temperature cured polyimide fuser belt
US8385805B2 (en) 2010-02-25 2013-02-26 Fuji Xerox Co., Ltd. Fixing member, fixing apparatus and image forming apparatus
JP2019045519A (ja) * 2017-08-29 2019-03-22 信越ポリマー株式会社 シリコーン被覆スポンジローラ、及びこれを使用した画像形成装置
JP2019045522A (ja) * 2017-08-29 2019-03-22 信越ポリマー株式会社 シリコーン被覆スポンジローラ、及びこれを使用した画像形成装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07295396A (ja) * 1994-04-26 1995-11-10 I S T:Kk ポリイミド複合管状物
JP2000147928A (ja) * 1998-11-05 2000-05-26 Nitto Denko Corp 複合管状物
JP2000187407A (ja) * 1998-10-13 2000-07-04 Canon Inc 加熱装置、それを用いた画像形成装置および誘電加熱部材
JP2001125404A (ja) * 1999-10-26 2001-05-11 Ist:Kk ポリイミド管状物およびその製造方法
JP2002178422A (ja) * 2000-12-11 2002-06-26 Nitto Denko Corp 複合管状体
JP2003149976A (ja) * 2001-11-15 2003-05-21 Fuji Xerox Co Ltd 定着用回転体、加圧用回転体および定着装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07295396A (ja) * 1994-04-26 1995-11-10 I S T:Kk ポリイミド複合管状物
JP2000187407A (ja) * 1998-10-13 2000-07-04 Canon Inc 加熱装置、それを用いた画像形成装置および誘電加熱部材
JP2000147928A (ja) * 1998-11-05 2000-05-26 Nitto Denko Corp 複合管状物
JP2001125404A (ja) * 1999-10-26 2001-05-11 Ist:Kk ポリイミド管状物およびその製造方法
JP2002178422A (ja) * 2000-12-11 2002-06-26 Nitto Denko Corp 複合管状体
JP2003149976A (ja) * 2001-11-15 2003-05-21 Fuji Xerox Co Ltd 定着用回転体、加圧用回転体および定着装置

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100590544C (zh) * 2006-12-21 2010-02-17 富士施乐株式会社 定影装置和图像形成装置
US8105655B2 (en) 2008-06-30 2012-01-31 Xerox Corporation Fast and low temperature cured polyimide fuser belt
EP2309338A1 (en) * 2009-09-30 2011-04-13 Xerox Corporation Fast and low temperature cured polyimide fuser belt
US8385805B2 (en) 2010-02-25 2013-02-26 Fuji Xerox Co., Ltd. Fixing member, fixing apparatus and image forming apparatus
JP2019045519A (ja) * 2017-08-29 2019-03-22 信越ポリマー株式会社 シリコーン被覆スポンジローラ、及びこれを使用した画像形成装置
JP2019045522A (ja) * 2017-08-29 2019-03-22 信越ポリマー株式会社 シリコーン被覆スポンジローラ、及びこれを使用した画像形成装置
JP6998702B2 (ja) 2017-08-29 2022-01-18 信越ポリマー株式会社 シリコーン被覆スポンジローラ、及びこれを使用した画像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4680979B2 (ja) ポリイミドチューブ、その製造方法、及び定着ベルト
JP5491031B2 (ja) ポリイミドチューブ、その製造方法、ポリイミドワニスの製造方法、及び定着ベルト
JP5822559B2 (ja) 加圧ローラ、その加圧ローラを用いた像加熱装置、及びその加圧ローラの製造方法
JP6357875B2 (ja) 定着部材、定着装置及び画像形成装置
JP5753482B2 (ja) ポリイミドチューブ、その製造方法、及び定着ベルト
US8422922B2 (en) Tubular body, tubular body supporting apparatus, image fixing apparatus, and image forming apparatus
JP2005258432A (ja) 複合管状物
JP6881988B2 (ja) 電子写真用部材の製造方法
JP2012225986A (ja) 定着用ベルト
JP2002268423A (ja) 定着ベルト及びそれを有する画像形成装置
JP2013061383A (ja) 管状部材、無端ベルト、定着装置および画像形成装置
JP4248711B2 (ja) ポリイミド管状物およびその製造方法
JP4951119B2 (ja) 加熱定着ローラー及びその製造方法
JP2007058197A (ja) トナー離型層を有する定着用部材およびそれを具備する定着装置
EP3309623A1 (en) Fuser members
JP2010271394A (ja) 加圧部材、加圧部材の製造方法、定着装置及び画像形成装置
JP2004045916A (ja) 中間転写兼定着ベルトおよびその製造方法
JP2001341143A (ja) 複合管状物及びその製造方法
JP2018146634A (ja) 電子写真装置用転写ベルト、画像形成装置及び転写ベルトユニット
JP7476040B2 (ja) 定着装置
JP2003177630A (ja) 転写定着ベルト
WO2023127209A1 (ja) ポリイミドチューブ及び定着ベルト
JP2024010578A (ja) 画像形成装置用樹脂ベルト、定着ベルト、定着装置及び画像形成装置
JP2015228045A (ja) 加圧ローラ、及びこの加圧ローラを用いた像加熱装置
JP2023116278A (ja) 定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110201

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111018