JP2005258064A - 撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ズームレンズ系において高い光学性能と低コストを確保しつつコンパクトで製造容易な撮像装置を提供する。
【解決手段】 ズームレンズ系TLは、物体側から順に、負のパワーを有する第1レンズ群Gr1と、正のパワーを有する第2レンズ群Gr2と、正のパワーを有する1枚の単レンズから成る第3レンズ群Gr3と、の3成分から成り、各レンズ群のそれぞれに1枚以上のプラスチックレンズを含み、全系中に1枚以上のガラスレンズを含み、そのガラスレンズが以下の条件式:1.76<Nav(Nav:ガラスレンズのd線に対する平均屈折率)を満たす。
【選択図】 図1

Description

本発明は撮像装置に関するものであり、更に詳しくは被写体の映像をズームレンズ系により光学的に取り込んで撮像素子により電気的な信号として出力する撮像装置、なかでも小型・軽量のズームレンズ系を備えた撮像装置に関するものである。
近年、銀塩フィルムの代わりにCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を用いて、光学像を電気信号に変換し、そのデータをデジタル化して記録したり転送したりするデジタルカメラが一般化している。このようなデジタルカメラにはレンズ系と撮像素子を備えた撮像装置が搭載されるが、撮像素子の画素数は年々増加する傾向にあり、それに伴ってより高性能な撮像装置の需要が非常に増大してきている。なかでも、画質を劣化させずに変倍が可能なズームレンズ系を搭載したコンパクトな撮像装置が特に切望されている。さらに近年では、半導体素子等における画像処理能力の向上により、パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,携帯電話,情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)等に、ズーム機能を有する撮像装置が内蔵又は外付けされるようになってきており、高性能でコンパクトな撮像装置に対する需要に拍車をかけている。
撮像装置をコンパクト化するには、それに搭載されるズームレンズ系の小型化が必要であり、小型化を狙ったズームレンズ系が数多く提案されている。例えば、物体側から順に、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群と、の3成分から成る、いわゆる負・正・正の3成分ズームレンズ系が、特許文献1,2で提案されている。このタイプのズームレンズ系は、構成枚数が少なく移動機構も比較的単純でコンパクト化に適する等の特長を有している。
米国特許第5,745,301号明細書 特開2001−343587号公報
特許文献1,2には、プラスチックレンズに非球面を導入したズームレンズ系が記載されている。プラスチックレンズを用いると、非球面の導入が容易になりコストダウンも可能になる。しかし、特許文献1記載のズームレンズ系は低屈折率の非球面レンズのみで構成されているため、非球面の曲率が大きすぎて製造が難しいという問題がある。特許文献2記載のズームレンズ系では、レンズ枚数が多いため小型化・低コスト化が難しいという問題がある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、ズームレンズ系において高い光学性能と低コストを確保しつつコンパクトで製造容易な撮像装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明の撮像装置は、複数のレンズ群から成りレンズ群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズ系と、そのズームレンズ系により形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えた撮像装置であって、前記ズームレンズ系が、物体側から順に、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する1枚の単レンズから成る第3レンズ群と、の3成分から成り、各レンズ群のそれぞれに1枚以上のプラスチックレンズを含み、全系中に1枚以上のガラスレンズを含み、そのガラスレンズが以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする。
1.76<Nav …(1)
ただし、
Nav:ガラスレンズのd線に対する平均屈折率、
である。
第2の発明の撮像装置は、上記第1の発明において、広角端から望遠端へのズーミングに際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少することを特徴とする。
第3の発明の撮像装置は、上記第1又は第2の発明において、すべてのプラスチックレンズの片面又は両面が非球面から成ることを特徴とする。
第4の発明の撮像装置は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、すべてのガラスレンズが球面レンズであることを特徴とする。
第5の発明の撮像装置は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、全系中に2枚以上のガラスレンズを含むことを特徴とする。
第6の発明の撮像装置は、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記ズームレンズ系が7枚以下のレンズから成ることを特徴とする。
第7の発明の撮像装置は、上記第1〜第6のいずれか1つの発明において、以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする。
1<|f1/√(fw×ft)|<3 …(2)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離、
fw:広角端でのズームレンズ系全体の焦点距離、
ft:望遠端でのズームレンズ系全体の焦点距離、
である。
第8の発明のカメラは、第1〜第7のいずれか1つの発明に係る撮像装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、各レンズ群のそれぞれにプラスチックレンズを含むとともに、全系中に1枚以上含まれているガラスレンズの平均屈折率が適正に設定されているため、ズームレンズ系において高い光学性能と低コストを確保しつつコンパクトで製造容易な撮像装置を実現することができる。そして、本発明に係る撮像装置をデジタルカメラ,携帯情報端末等の機器に用いれば、これらの機器の薄型・軽量・コンパクト化,低コスト化,高性能化,高機能化等に寄与することができる。
以下、本発明を実施した撮像装置等を、図面を参照しつつ説明する。本発明に係る撮像装置は、被写体の映像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力する光学装置であって、被写体の静止画撮影や動画撮影に用いられるカメラの主たる構成要素を成すものである。そのようなカメラの例としては、デジタルカメラ;ビデオカメラ;監視カメラ;車載カメラ;テレビ電話用カメラ;ドアホーン用カメラ;パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,携帯電話,携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant),これらの周辺機器(マウス,スキャナー,プリンター等),その他のデジタル機器等に内蔵又は外付けされるカメラが挙げられる。これらの例から分かるように、撮像装置を用いることによりカメラを構成することができるだけでなく、各種機器に撮像装置を搭載することによりカメラ機能を付加することも可能である。例えば、カメラ付き携帯電話等の画像入力機能付きデジタル機器を構成することが可能である。
なお、従来「デジタルカメラ」の語は、専ら光学的な静止画を記録するものを指していたが、静止画と動画を同時に扱えるデジタルスチルカメラや家庭用デジタルムービーカメラも提案されており、現在では特に区別されなくなってきている。したがって「デジタルカメラ」の語は、デジタルスチルカメラ,デジタルムービーカメラ,ウェッブカメラ(オープン型・プライベート型を問わず、ネットワークに接続されて画像の送受信を可能にする機器に接続されるカメラであって、ネットワークに直接接続されるもの、パーソナルコンピュータ等の情報処理機能を有する機器を介して接続されるもの、の両方を含む。)等のように、光学像を形成する撮影レンズ系,その光学像を電気信号に変換する撮像素子等を備えた撮像装置を主たる構成要素とするカメラすべてを含むものとする。
図7に、撮像装置UTの構成例を示す。この撮像装置UTは、物体(すなわち被写体)側から順に、物体の光学像(IM:像面)を変倍可能に形成するズームレンズ系(撮影レンズ系に相当する。)TLと、平行平面板PL(必要に応じて配置される光学的ローパスフィルター,赤外カットフィルター等の光学フィルター;撮像素子SRのカバーガラス等に相当する。)と、ズームレンズ系TLにより受光面SS上に形成された光学像IMを電気映像信号に変換する撮像素子SRとを備え、デジタルカメラ,携帯情報機器(つまり、携帯電話,PDA等の小型で携帯可能な情報機器端末)等に相当するデジタル機器CTの一部を成している。これらの撮像装置UTでデジタルカメラを構成する場合、通常そのカメラのボディ内部に撮像装置UTを配置することになるが、カメラ機能を実現する際には必要に応じた形態を採用することが可能である。例えば、ユニット化した撮像装置UTをカメラボディに対して着脱自在又は回動自在に構成してもよく、ユニット化した撮像装置UTを携帯情報機器(携帯電話,PDA等)に対して着脱自在又は回動自在に構成してもよい。
ズームレンズ系TLは複数のレンズ群から成り、複数のレンズ群が光軸AXに沿って移動し、レンズ群間隔を変化させることにより変倍(すなわちズーミング)を行う構成になっている。後述する各実施の形態では、ズームレンズ系TLが負・正・正の3成分ズーム構成になっている。撮像素子SRとしては、例えば複数の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等の固体撮像素子が用いられる。そして、ズームレンズ系TLにより(撮像素子SRの受光面SS上に)形成された光学像は、撮像素子SRにより電気的な信号に変換される。撮像素子SRで生成した信号は、必要に応じて所定のデジタル画像処理や画像圧縮処理等が施されてデジタル映像信号としてメモリー(半導体メモリー,光ディスク等)に記録されたり、場合によってはケーブルを介したり赤外線信号に変換されたりして他の機器に伝送される。
なお、図7に示す撮像装置UTでは、ズームレンズ系TLによって拡大側の被写体から縮小側の撮像素子SRへの縮小投影が行われるが、撮像素子SRの代わりに2次元画像を表示する表示素子(例えば液晶表示素子)を用い、ズームレンズ系TLを投影レンズ系として使用すれば、縮小側の画像表示面から拡大側のスクリーン面への拡大投影を行う画像投影装置を構成することができる。つまり、以下に説明する各実施の形態のズームレンズ系TLは、撮影レンズ系としての使用に限らず、投影レンズ系としても好適に使用することが可能である。
図1〜図3は、第1〜第3の実施の形態を構成するズームレンズ系TLにそれぞれ対応するレンズ構成図であり、広角端(W)でのレンズ配置を光学断面で示している。各レンズ構成図中、ri(i=1,2,3,...)が付された面は物体側から数えてi番目の面(riに*印が付された面は非球面)であり、di(i=1,2,3,...)が付された軸上面間隔は、物体側から数えてi番目の軸上面間隔のうち、ズーミングにおいて変化する可変間隔である。Lj(j=1,2,3,...)が付されたレンズは物体側から数えてj番目の第jレンズであり、Ljにp印が付された第jレンズはプラスチックレンズである。また各レンズ構成図中、矢印m1,m2,m3は広角端(W)から望遠端(T)へのズーミングにおける第1レンズ群Gr1,第2レンズ群Gr2,第3レンズ群Gr3の移動をそれぞれ模式的に示しており、直線m4は平行平面板PLがズーミングにおいて位置固定であることを示している。いずれの実施の形態もズーミングにおいて、第1レンズ群Gr1はUターン気味に移動し、第2レンズ群Gr2は物体側へ直進するが、第3レンズ群Gr3は像側へ移動する。
第1〜第3の実施の形態のズームレンズ系TLは、物体側から順に、負のパワー(パワー:焦点距離の逆数で定義される量)を有する第1レンズ群Gr1と、正のパワーを有する第2レンズ群Gr2と、正のパワーを有する第3レンズ群Gr3と、から成り、少なくとも第1レンズ群Gr1と第2レンズ群Gr2を可動群として、各レンズ群間隔を変化させることによりズーミングを行う3成分ズームレンズである。広角端(W)から望遠端(T)へのズーミングに際しては、第2レンズ群Gr2が物体側へ移動し、第1レンズ群Gr1と第2レンズ群Gr2との間隔が減少する構成になっている。つまり、第2レンズ群Gr2はバリエーターとして物体側に移動することにより変倍を行い、これに伴う焦点の位置ズレを第1レンズ群Gr1の移動により補正している。このようなズーム構成を採用することによって、中間焦点距離状態での像面を良好に補正することが可能となる。各実施の形態のレンズ構成を以下に詳しく説明する。
第1の実施の形態(図1)では、負・正・正の3成分ズーム構成において各レンズ群が以下のように構成されている。第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、第1レンズL1と第2レンズL2とから成っている。第1レンズL1は両凹で両面非球面の負のプラスチックレンズであり、第2レンズL2は物体側に凸の正メニスカス形状を有するガラスレンズである。第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、絞りSTと、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5と、から成っている。第3レンズL3は両凸で物体側面が非球面の正のプラスチックレンズであり、第4レンズL4は像側に凹の負メニスカス形状を有するガラスレンズであり、第5レンズL5は両凸で両面非球面の正のプラスチックレンズである。第3レンズ群Gr3は、第6レンズL6のみから成っており、その第6レンズL6は物体側に凸の正メニスカス形状を有する両面非球面のプラスチックレンズである。
第2の実施の形態(図2)では、負・正・正の3成分ズーム構成において各レンズ群が以下のように構成されている。第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、第1レンズL1と第2レンズL2とから成っている。第1レンズL1は両凹で両面非球面の負のプラスチックレンズであり、第2レンズL2は物体側に凸で物体側面が非球面の正メニスカス形状を有するプラスチックレンズである。第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、絞りSTと、第3レンズL3及び第4レンズL4から成る接合レンズと、第5レンズL5と、から成っている。第3レンズL3は両凸の正のガラスレンズであり、第4レンズL4は両凹の負のガラスレンズであり、第5レンズL5は物体側に凸の正メニスカス形状を有する両面非球面のプラスチックレンズである。第3レンズ群Gr3は、第6レンズL6のみから成っており、その第6レンズL6は両凸で両面非球面の正のプラスチックレンズである。
第3の実施の形態(図3)では、負・正・正の3成分ズーム構成において各レンズ群が以下のように構成されている。第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、第1レンズL1と第2レンズL2と第3レンズL3とから成っている。第1レンズL1は像側に凹の負メニスカス形状を有するガラスレンズであり、第2レンズL2は像側に凹で両面非球面の負メニスカス形状を有するプラスチックレンズであり、第3レンズL3は物体側に凸の正メニスカス形状を有するガラスレンズである。第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、絞りSTと、第4レンズL4及び第5レンズL5から成る接合レンズと、第6レンズL6と、から成っている。第4レンズL4は両凸の正のガラスレンズであり、第5レンズL5は両凹の負のガラスレンズであり、第6レンズL6は像側に凸の正メニスカス形状を有する両面非球面のプラスチックレンズである。第3レンズ群Gr3は、第7レンズL7のみから成っており、その第7レンズL7は像側に凸の正メニスカス形状を有する両面非球面のプラスチックレンズである。
上記のように各実施の形態では、第1レンズ群Gr1,第2レンズ群Gr2,第3レンズ群Gr3のそれぞれに1枚以上のプラスチックレンズが含まれており、ズームレンズ系TL中に1枚以上のガラスレンズが含まれている。このようにプラスチックレンズとガラスレンズの両方を備えた光学構成において、ガラスレンズの平均屈折率を適正に設定すれば、ズームレンズ系において高い光学性能と低コストを確保しつつコンパクトで製造容易な撮像装置を実現することが可能となる。そして、各実施の形態に係る撮像装置をデジタルカメラ,携帯情報端末等の機器に用いれば、これらの機器の薄型・軽量・コンパクト化,低コスト化,高性能化,高機能化等に寄与することができる。このような効果をバランス良く得るとともに、更に高い光学性能等を達成するための条件を以下に説明する。
ズームレンズ系においてコンパクト化と広角化とを両立させるために第1レンズ群の負のパワーを強くすると、第1レンズ群の球面だけでは軸外収差を補正することが困難になる。また、テレセントリック性を持たせるために最終レンズの正のパワーを強くすると、第3レンズ群の球面だけでは軸外収差を補正することが困難になる。例えば、前玉径を小さくするために第1レンズ群のパワーを強くすると、歪曲収差が発生するためその補正が必要となる。また、ズームレンズ系にテレセントリック性を持たせるために最も像側に位置する最終レンズの正パワーを強くすると、像面が物体側(アンダー側)に倒れるためその補正が必要になる。このため各実施の形態では、収差補正を容易にするために、第1レンズ群Gr1内に非球面を用い、更に最も像側に位置する最終レンズL6又はL7に非球面を用いている。このように、第1レンズ群内に非球面を導入することが好ましく、最も像側に位置する最終レンズの少なくとも1つの面を非球面で構成することが好ましい。これにより歪曲収差,像面湾曲を良好に補正することが可能となる。また、歪曲収差を抑えるための非球面を第1レンズ群に導入するとコマ収差が発生するが、そのコマ収差は第2レンズ群内に非球面を導入することにより補正可能である。したがって、第2レンズ群の少なくとも1つの面を非球面で構成することが更に好ましい。
非球面レンズにはガラスモールドレンズ,複合型非球面レンズ,プラスチックレンズ等があるが、最もコストパフォーマンスの高いプラスチックでレンズを成形すれば効果的にコストダウンを達成することができる。このようにプラスチックレンズの使用はズームレンズ系の低コスト化を達成する上で有効であり、プラスチック非球面レンズの使用は更に光学性能を良好にする上で有効である。しかしプラスチックレンズを使用すると、その屈折率が低いことから、ペッツバール和を小さくすることが難しくなる。例えば、ペッツバール和を小さくするためにパワーを強くすると、レンズ面の曲率が強くなるため収差補正が難しくなる。
そこで、ズームレンズ系において各レンズ群のそれぞれに1枚以上のプラスチックレンズを含むとともに、全系中に1枚以上のガラスレンズを含み、そのガラスレンズが以下の条件式(1)を満たすことが望ましい。
1.76<Nav …(1)
ただし、
Nav:ガラスレンズのd線に対する平均屈折率、
である。
条件式(1)は、使用する全ガラスレンズの平均屈折率について、好ましい条件範囲を規定している。この条件式(1)を満たすように全系中に1枚以上のガラスレンズを用いれば、レンズ面の曲率を強くすることなくペッツバール和を小さくすることが可能となる。したがって、ズームレンズ系において高い光学性能を確保しつつ小型化・低コスト化を十分に達成することが可能となり、レンズ枚数を効果的に削減することも可能となる。条件式(1)の下限を越えた場合、ペッツバール和を小さくして像面湾曲を補正するには、レンズのパワーを強くするか、あるいはレンズ枚数を増やすことが必要になる。その結果、レンズの製造が困難になったりズームレンズ系が大型化したりしてしまう。
以下の条件式(1a)を満足することが更に望ましい。
1.80<Nav …(1a)
この条件式(1a)は、上記条件式(1)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
ズームレンズ系を搭載した撮像装置では、特に高画素を有する撮像素子の各画素に対応して設けられたマイクロレンズに対し瞳を整合させるために、ズームレンズ系の射出瞳位置を像面から比較的離すこと(テレセントリック性)が必要となる。それには、各実施の形態のように最終レンズが正のパワーを有することが好ましい。最終レンズに正のパワーを持たせれば、光軸に対して平行な方向に軸外光束を曲げてテレセントリック性を得ることが容易に可能となる。また、ズームレンズ系の小型化のためには、最も像側のレンズ群でフォーカスを行うリアフォーカス方式を採用することが望ましい。負・正・正の3成分ズーム構成にリアフォーカス方式を採用する場合、第3レンズ群がレンズ1枚構成であれば、フォーカス駆動力を小さくしてフォーカスを迅速化することが可能である。しかも、最終レンズをプラスチックレンズで構成することによる軽量化によって、フォーカス駆動系,ズーム駆動系等に対する負荷を更に軽減することができる。したがって各実施の形態のように、第3レンズ群が1枚の単レンズから成ることが好ましい。
前述したようにプラスチックレンズの使用は、ズームレンズ系の低コスト化を達成する上で有効であり、プラスチックレンズへの非球面の導入は、光学性能の向上とともにレンズ枚数の削減にも有効である。したがって各実施の形態のように、すべてのプラスチックレンズの片面又は両面を非球面で構成することが好ましい。これと同様の非球面効果はガラスレンズへの非球面の導入によっても得られるが、前述したようにガラスモールドレンズ等の使用はコストアップを招いてしまい、結果として、プラスチックレンズの使用によるコスト削減効果が失われてしまう。したがって、ズームレンズ系にはガラスモールド等によるガラス非球面レンズを含まないことが好ましい。言い換えれば、すべてのガラスレンズが球面レンズであることが好ましい。
前述したようにプラスチックレンズを多用すると、その屈折率が低いことから、ペッツバール和を小さくすることが難しくなる。例えば、ペッツバール和を小さくするためにパワーを強くすると、レンズ面の曲率が強くなるため収差補正が難しくなる。この観点から、全系中に2枚以上のガラスレンズを含むことが好ましい。このように高屈折率のガラスレンズを更に追加することで、ペッツバール和をより一層小さくすることが可能となる。また、ズームレンズ系は7枚以下のレンズから成ることが好ましい。全系のレンズ枚数を7枚以下に削減することにより、低コスト化と小型化を達成することができる。
第1レンズ群のパワーに関しては、以下の条件式(2)を満たすことが望ましい。
1<|f1/√(fw×ft)|<3 …(2)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離、
fw:広角端でのズームレンズ系全体の焦点距離、
ft:望遠端でのズームレンズ系全体の焦点距離、
である。
条件式(2)は、第1レンズ群のパワーについて、好ましい条件範囲を規定しており、条件式(2)を満たすことにより、歪曲収差をより一層良好に補正することが可能となる。条件式(2)の下限を越えると、第1レンズ群のパワーが強くなるため、広角側で発生する負の歪曲収差を補正することが難しくなる。逆に、条件式(2)の上限を越えると、第1レンズ群のパワーが弱くなるため、広角側で第1レンズ群により軸外光束を大きく曲げて前玉径を小さくすることが難しくなる。
以下の条件式(2a)を満足することが更に望ましい。
1<|f1/√(fw×ft)|<2 …(2a)
この条件式(2a)は、上記条件式(2)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
各実施の形態を構成しているズームレンズ系TLには、入射光線を屈折作用により偏向させる屈折型レンズ(つまり、異なる屈折率を有する媒質同士の界面で偏向が行われるタイプのレンズ)が用いられているが、使用可能なレンズはこれに限らない。例えば、回折作用により入射光線を偏向させる回折型レンズ,回折作用と屈折作用との組み合わせで入射光線を偏向させる屈折・回折ハイブリッド型レンズ,入射光線を媒質内の屈折率分布により偏向させる屈折率分布型レンズ等を用いてもよい。ただし、媒質内で屈折率が変化する屈折率分布型レンズは、その複雑な製法がコストアップを招くため、屈折率分布の均一な均質素材レンズを用いることが望ましい。
なお、上述した各実施の形態や後述する各実施例には以下の構成が含まれており、その構成によると、良好な光学性能や製造性が確保され、かつ、小型化・低コスト化を達成したズームレンズを実現することができる。そして、それをデジタルカメラ,携帯情報機器(携帯電話,PDA等)等の撮影レンズ系として用いることにより、当該機器の軽量・コンパクト化,低コスト化,高性能化及び高機能化等に寄与することができる。
(Z1) 複数のレンズ群から成りレンズ群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズであって、物体側から順に、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する1枚の単レンズから成る第3レンズ群と、の3成分から成り、各レンズ群のそれぞれに1枚以上のプラスチックレンズを含み、全系中に1枚以上のガラスレンズを含み、そのガラスレンズが前記条件式(1)又は(1a)を満たすことを特徴とするズームレンズ。
(Z2) 広角端から望遠端へのズーミングに際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少することを特徴とする上記(Z1)記載のズームレンズ。
(Z3) すべてのプラスチックレンズの片面又は両面が非球面から成ることを特徴とする上記(Z1)又は(Z2)記載のズームレンズ。
(Z4) すべてのガラスレンズが球面レンズであることを特徴とする上記(Z1)〜(Z3)のいずれか1項に記載のズームレンズ。
(Z5) 全系中に2枚以上のガラスレンズを含むことを特徴とする上記(Z1)〜(Z4)のいずれか1項に記載のズームレンズ。
(Z6) 前記ズームレンズ系が7枚以下のレンズから成ることを特徴とする上記(Z1)〜(Z5)のいずれか1項に記載のズームレンズ。
(Z7) 前記条件式(2)又は(2a)を満たすことを特徴とする上記(Z1)〜(Z6)のいずれか1項に記載のズームレンズ。
(Z8) 前記第2レンズ群が最も物体側に絞りを含むことを特徴とする上記(Z1)〜(Z7)のいずれか1項に記載のズームレンズ。
(U1) 上記(Z1)〜(Z8)のいずれか1項に記載のズームレンズと、そのズームレンズにより形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えたことを特徴とする撮像装置。
(C1) 上記(U1)記載の撮像装置を備え、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方に用いられることを特徴とするカメラ。
(C2) デジタルカメラ;ビデオカメラ;又は携帯電話,携帯情報端末,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,若しくはこれらの周辺機器に内蔵又は外付けされるカメラであることを特徴とする上記(C1)記載のカメラ。
(D1) 上記(U1)記載の撮像装置を備えることにより、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とするデジタル機器。
(D2) 携帯電話,携帯情報端末,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,又はこれらの周辺機器であることを特徴とする上記(D1)記載のデジタル機器。
以下、本発明を実施した撮像装置に用いられるズームレンズ系の構成等を、コンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで挙げる実施例1〜3は、前述した第1〜第3の実施の形態にそれぞれ対応する数値実施例であり、第1〜第3の実施の形態を表す光学構成図(図1〜図3)は、対応する実施例1〜3のレンズ構成をそれぞれ示している。
表1〜表3に、実施例1〜実施例3のコンストラクションデータを示し、表4に各条件式規定のパラメータに対応するデータを各実施例について示す。表1〜表3中の基本的な光学構成(i:面番号)において、ri(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面の曲率半径(単位:mm)、di(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面と(i+1)番目の面との間の軸上面間隔(単位:mm)を示しており、Nd,νdは軸上面間隔diに位置する光学材料のd線に対する屈折率,アッベ数をそれぞれ示している。また、ズーミングにおいて変化する軸上面間隔diは、広角端(最短焦点距離状態,W)〜ミドル(中間焦点距離状態,M)〜望遠端(最長焦点距離状態,T)での可変空気間隔であり、f,FNOは各焦点距離状態(W),(M),(T)に対応する全系の焦点距離(単位:mm),Fナンバーをそれぞれ示している。
曲率半径riのデータに*印が付された面は、非球面(非球面形状の屈折光学面、非球面と等価な屈折作用を有する面等)であり、非球面の面形状を表わす以下の式(AS)で定義される。表1〜表7中に、各実施例の非球面データをあわせて示す。ただし、表記の無い項の係数は0であり、すべてのデータに関してE−n=×10-n,E+n=×10+nである。
X(H)=(C0・H2)/{1+√(1−ε・C02・H2)}+Σ(Aj・Hj) …(AS)
ただし、式(AS)中、
X(H):高さHの位置での光軸AX方向の変位量(面頂点基準)、
H:光軸AXに対して垂直な方向の高さ、
C0:近軸曲率(=1/ri)、
ε:2次曲面パラメータ、
Aj:j次の非球面係数、
である。
図4〜図6は実施例1〜実施例3にそれぞれ対応する収差図であり、(W)は広角端,(M)はミドル,(T)は望遠端における無限遠合焦状態での諸収差{左から順に、球面収差等,非点収差,歪曲収差である。FNOはFナンバー、Y'(mm)は撮像素子SRの受光面SS上での最大像高(光軸AXからの距離に相当する。)である。}を示している。球面収差図において、実線dはd線に対する球面収差(mm)を表しており、破線SCは正弦条件不満足量(mm)を表している。非点収差図において、破線DMはメリディオナル面、実線DSはサジタル面でのd線に対する各非点収差(mm)を表している。また、歪曲収差図において実線はd線に対する歪曲(%)を表している。
Figure 2005258064
Figure 2005258064
Figure 2005258064
Figure 2005258064
第1の実施の形態(実施例1)のレンズ構成図。 第2の実施の形態(実施例2)のレンズ構成図。 第3の実施の形態(実施例3)のレンズ構成図。 実施例1の収差図。 実施例2の収差図。 実施例3の収差図。 本発明に係る撮像装置の概略光学構成を示す模式図。
符号の説明
CT デジタル機器(カメラ)
UT 撮像装置
TL ズームレンズ系
Gr1 第1レンズ群
Gr2 第2レンズ群
Gr3 第3レンズ群
L1〜L7 第1〜第7レンズ
ST 絞り
PL 平行平面板
SR 撮像素子
SS 受光面
IM 像面
AX 光軸

Claims (8)

  1. 複数のレンズ群から成りレンズ群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズ系と、そのズームレンズ系により形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えた撮像装置であって、前記ズームレンズ系が、物体側から順に、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する1枚の単レンズから成る第3レンズ群と、の3成分から成り、各レンズ群のそれぞれに1枚以上のプラスチックレンズを含み、全系中に1枚以上のガラスレンズを含み、そのガラスレンズが以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする撮像装置;
    1.76<Nav …(1)
    ただし、
    Nav:ガラスレンズのd線に対する平均屈折率、
    である。
  2. 広角端から望遠端へのズーミングに際し、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
  3. すべてのプラスチックレンズの片面又は両面が非球面から成ることを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
  4. すべてのガラスレンズが球面レンズであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
  5. 全系中に2枚以上のガラスレンズを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置。
  6. 前記ズームレンズ系が7枚以下のレンズから成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
  7. 以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置;
    1<|f1/√(fw×ft)|<3 …(2)
    ただし、
    f1:第1レンズ群の焦点距離、
    fw:広角端でのズームレンズ系全体の焦点距離、
    ft:望遠端でのズームレンズ系全体の焦点距離、
    である。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置を備えたことを特徴とするカメラ。
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