JP2005255585A - 環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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和哉 清水
Yoshihisa Tsuji
嘉久 辻
Masayoshi Yamanaka
雅義 山中
Hideji Iwasaki
秀治 岩崎
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Abstract

【課題】不純物含量の少ない高品質の環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを収率よく工業的に有利に製造すること。
【解決手段】炭素数4以上の環式骨格を有するアルコールと(メタ)アクリル酸またはその反応性誘導体を反応させる工程、該工程で得られる反応生成物を無機多孔質体からなる吸着剤、活性炭からなる吸着剤で順次処理する工程を含むことを特徴とする環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素数4以上の環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル[以下、これを環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルと略称する]の製造方法に関する。本発明により得られる環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルは、レジスト用樹脂の原料モノマーとして有用である。
環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法として、(1)環式骨格を有するアルコールと(メタ)アクリル酸またはその反応性誘導体を反応させ、得られる反応生成物を水、炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液または塩化ナトリウムなどの塩水溶液で洗浄することにより、反応混合液中に含まれている未反応原料[環式骨格を有するアルコール、(メタ)アクリル酸など]や触媒、その他の水溶性不純物を除去した後、吸着処理工程、次いで晶析工程に供する方法(特許文献1および特許文献2参照)、(2)2−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オンをテトラヒドロフランに溶解し、N,N−ジメチルアニリンの存在下でアクリル酸クロライドと反応させた後、反応液を0.5N塩酸、飽和食塩水、3%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水および水で順次洗浄し、溶媒を除去し、次いでn−ヘキサンを用いて再結晶する方法(特許文献3参照)、(3)エステル化反応で得られたγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートなどのレジスト用粗モノマーを水および/または有機溶媒で洗浄した後、吸着剤と接触させ、次いで薄膜蒸留して精製する方法(特許文献4参照)などが知られている。
特開2001−192355号公報、15頁 特開2001−192356号公報、16頁 特許第3042618号公報、5頁 特開2001−201868号公報、4頁
環式骨格を有する(メタ)アクリレート類をレジスト用樹脂のモノマー原料として用いる際には、レジストとしての性能を十分に発揮させるため、色相に優れ、かつ不純物含量の少ない高純度品が求められる。しかし、上記の方法(1)では、反応生成物を炭酸ナトリウム水溶液や塩化ナトリウム水溶液で洗浄する場合には、ナトリウム金属が生成物中に混入するため、高品質の環式骨格を有する(メタ)アクリレート類を効率よく得ることは難しい。また、原料として使用する(メタ)アクリル酸およびその反応性誘導体は重合し易く、目的とする(メタ)アクリル酸エステルの製造過程において、オリゴマーの生成を完全に抑制することは難しい。方法(1)の吸着処理工程で活性炭などの金属除去に優れた吸着剤を使用する場合、生成したオリゴマーにより活性炭などの吸着性能が著しく低下し、高品質の環式骨格を有する(メタ)アクリレート類を効率よく得るためには、多量の吸着剤が必要になるか、吸着処理工程前の洗浄工程が煩雑になる。同様に、方法(2)では、反応液を飽和食塩水および3%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄することから、結晶中にナトリウム金属を取り込み易く、高品質の環式骨格を有する(メタ)アクリレート類を効率よく得ることはできない。方法(3)には、方法(1)と同様な問題が存在するうえに、薄膜蒸留を行うことから生産性が低く、工程が複雑となる問題がある。
本発明の目的は、不純物含量の少ない高品質の環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルを収率よく工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、当該方法により得られる高純度の環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルを提供することにある。
本発明は、炭素数4以上の環式骨格を有するアルコール(以下、これを環式骨格含有アルコールと略称する)と(メタ)アクリル酸またはその反応性誘導体を反応させる工程、および該工程で得られる反応生成物を無機多孔質体からなる吸着剤、活性炭からなる吸着剤で順次処理する工程を含むことを特徴とする環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルの製造方法である。
また本発明は、上記の方法により得られ、かつ有機溶媒に溶解して得られた濃度7.5〜8.5重量%の溶液に、波長400nmの光を照射した際の当該光の透過率が98.5%以上であることを特徴とする環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルである。
本発明によれば、不純物含量の少ない高品質の環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルが提供される。
また、本発明によれば、当該環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルを収率よく工業的に有利に製造し得る方法が提供される。
環式骨格含有アルコールの代表例として、例えば、一般式(Ia)
Figure 2005255585
(式中、R 〜R は水素原子またはメチル基を表す。)
で表されるノルボルナンラクトンアルコール類、一般式(Ib)
Figure 2005255585
(式中、mは0〜5の整数を表し、n およびn は0または1を示す。)
で示されるラクトンアルコール類および一般式(Ic)
Figure 2005255585
(式中、kは0〜3の整数を表し、k個のR は同一または異なり、環を構成する炭素原子に結合するメチル基、ヒドロキシル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、環はオキソ基を含有していてもよい。)
で示される1−アダマンタノール類が挙げられる。
上記の一般式(Ia)において、R 〜R がそれぞれ表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの低級アルキル基が好ましい。
一般式(Ia)で示されるノルボルナンラクトンアルコール類としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−5−オンなどが挙げられる。
一般式(Ib)で示されるラクトンアルコール類としては、例えば、β−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン、β−ヒドロキシ−α,α−ジメチル−γ−ブチロラクトン、β−ヒドロキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、β−ヒドロキシ−α,α,β−トリメチル−γ−ブチロラクトン、β−ヒドロキシ−β,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、β−ヒドロキシ−α,α,β,γ,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトンなどのβ−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン類;α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−α,β,β−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−α,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−β,β,γ,γ−テトラメチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−α,β,β,γ,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトンなどのα−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン類;
γ−ヒドロキシメチル−γ−ブチロラクトン、γ−ヒドロキシメチル−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、γ−ヒドロキシメチル−β,β,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、γ−ヒドロキシメチル−α,α,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、γ−ヒドロキシメチル−β,β,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、γ−ヒドロキシメチル−α,α,β,β,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトンなどのγ−ヒドロキシメチル−γ−ブチロラクトン類;3−ヒドロキシ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン(メバロラクトン)などのヒドロキシ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン類が挙げられる。
一般式(Ic)で示される1−アダマンタノール類としては、例えば、1−アダマンタノール、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール、1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール、3−(メタ)アクリロイルオキシ−1−アダマンタノール、3−(メタ)アクリロイルオキシ−5,7−ジメチル−1−アダマンタノール、4−オキソ−1−アダマンタノールなどが挙げられる。
上記の一般式(Ia)で示されるノルボルナンラクトンアルコール類、一般式(Ib)で示されるラクトンアルコール類および一般式(Ic)で示される1−アダマンタノール類に含まれない環式骨格含有アルコールとして、例えば、α,α−ジメチル−1−アダマンタンメタノール、α,α,3,5−テトラメチル−1−アダマンタンメタノール、3−ヒドロキシ−α,α−ジメチル−1−アダマンタンメタノール、3−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α−ジメチル−1−アダマンタンメタノールなどのアダマンタンメタノール類;2−メチル−2−アダマンタノール、2,5,7−トリメチル−2−アダマンタノールなどの2−アダマンタノール類;
1−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オン、1,8−ジヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オンなどの1−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オン類;1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オン、8−ヒドロキシ−1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オンなどの1−ヒドロキシメチル−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オン類などが挙げられる。
一般式(Ia)で示される(オキサ)ノルボルナンラクトンアルコール類のうち、2−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−5−オンは、例えば、シクロペンタジエンとアクリル酸のディールス−アルダー反応生成物を、ギ酸、過酸化水素水で酸化することにより得られる[ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティ(J.Chem.Soc.)、221〜226頁(1959年)参照]。
一般式(Ib)で示されるラクトンアルコール類のうち、β−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンは、例えば、ブロモ酢酸ハライドとヒドロキシアセトンを塩基の存在下にエステル化させ、得られるブロモ酢酸2−オキソプロピルエステルをラクトン化させることにより得られる(特開平10−212283号公報参照)。
α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンは、例えば、γ−ブチロラクトンを臭素化して得られる2−ブロモ−γ−ブチロラクトンを加水分解することにより得られる(Organic Prepararions and Procedures Int.、17巻、2号、91〜97頁(1985)参照)。
γ−ヒドロキシメチル−γ−ブチロラクトンは、例えば、4,5−ジアセトキシペンタナールをN−オキシラジカルの存在下に次亜塩素酸ナトリウムで酸化した後、加水分解することにより得られる(特開平2000−63373号公報参照)。
4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オンは、例えば、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールを酸化することにより得られる[テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Lett.)、第31巻、171頁(1975年);ブリティン オブ ケミカル ソサエティー ジャパン(Bull.Chem.Soc.Jpn.)、第65巻、703頁(1992年);シンセティック コミュニケーションズ(Synth.Commun.)、第28巻、123−130頁(1998年);特開2000−38383号公報参照]。
一般式(Ic)で示される1−アダマンタノール類は、アダマンタン環の少なくとも1つの橋頭位に水素原子を有するアダマンタン類を、N−ヒドロキシフタルイミドなどのN−ヒドロキシイミド系触媒の存在下、必要に応じて、バナジウム化合物(例えば、バナジウムアセチルアセトナト、バナジルアセチルアセトナトなど)、コバルト化合物(例えば、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトナトなど)などの金属化合物助触媒の共存下に、酸素で酸化して、アダマンタン環の橋頭位にヒドロキシル基を導入することにより得られる(特開2001−192355号公報および特開2001−192356号公報参照)。
アダマンタンメタノール類は、例えば、橋頭位に水素原子を有するアダマンタン類に、(a)1,2−ジカルボニル化合物(ビアセチルなど)、(b)酸素および(c)金属化合物で構成されるアシル化剤を作用させ、該1,2−ジカルボニル化合物に対応するアシルアダマンタン誘導体(例えばビアセチルを用いた場合にはアセチルアダマンタン誘導体)を得、次いで該アシルアダマンタン誘導体にメチルマグネシウムハライドなどのグリニヤール試薬を反応させることにより得られる(特開2001−192355号公報および特開2001−192356号公報参照)。
2−アダマンタノール類は、例えば、2−アダマンタノン誘導体にメチルマグネシウムハライドなどのグリニヤール試薬を反応させることにより得られる。この反応は一般的なグリニヤール反応に準じて行うことができる。
1−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オン類は、例えば、1−ヒドロキシ−4−アダマンタノン類にm−クロロ過安息香酸などの過酸を作用させることにより得られる。この反応は一般的なバイヤービリガー反応に準じて行うことができる。
1−ヒドロキシメチル−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オン類は、例えば、1位に水素原子を有する4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オン類に、(a)1,2−ジカルボニル化合物(ビアセチルなど)、(b)酸素および(c)金属化合物で構成されるアシル化剤を作用させて、対応する1−アシル−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オン類を得、次いで該1−アシル−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8 ]ウンデカン−5−オン類にメチルマグネシウムハライドなどのグリニヤール試薬を反応させることにより得られる(特開2001−192355号公報および特開2001−192356号公報参照)。
まず、本発明における環式骨格含有アルコールと(メタ)アクリル酸またはその反応性誘導体を反応させる工程について説明する。
(メタ)アクリル酸の反応性誘導体としては、アルコールと反応して対応するエステルを生成することが可能な誘導体であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミドなどの(メタ)アクリル酸ハライド;無水(メタ)アクリル酸などの酸無水物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−プロペニルなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステルまたはアルケニルエステルなどが挙げられる。
環式骨格含有アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応について説明する。
(メタ)アクリル酸の使用量は、環式骨格含有アルコール1モルに対して1モル以上であればよいが、1.2モル以上であるのが好ましい。エステル化反応はエステル化触媒および溶媒の存在下に行うのが好ましい。
溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフランなどのエーテル;およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒としては、副生する水と共沸し、かつ水と分液可能な溶媒(共沸脱水可能な溶媒)を使用するのが好ましく、反応温度などを考慮して、例えばトルエンなどを使用するのが好ましい。
溶媒の使用量は特に制限されないが、反応の効率、操作性、経済性などを考慮すれば、環式骨格含有アルコールに対して1〜20倍重量の範囲であるのが好ましい。溶媒が共沸により留出する場合、その留出分の溶媒を系内に随時加えるか、反応当初より、共沸脱水するに必要な量を超えて過剰量の溶媒が仕込まれている場合には、反応終了までに溶媒は加えなくてもよい。また、共沸により留出した溶媒は、水と分離した後に反応系内に戻すことができる。
エステル化触媒としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸(例えば、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸等)などの無機酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、カンファスルホン酸などのスルホン酸;アンバーリスト15(東京有機化学工業株式会社製)、アンバーライトIR−118(東京有機化学工業株式会社製)などの酸型イオン交換樹脂;フッ化ホウ素ジエチルエーテラートなどのルイス酸などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上の組合せで使用される。
エステル化触媒の使用量は、環式骨格含有アルコールに対して0.001〜100モル%の範囲であるのが好ましく、反応の効率を考慮すれば、0.1〜20モル%の範囲であるのがより好ましい。
反応温度は、20〜130℃の範囲であるのが好ましく、50〜120℃の範囲であるのがより好ましい。反応温度が20℃未満である場合には、反応の進行が極めて遅くなり、滞留時間が長くなるため、反応効率が悪くなる傾向にあり、また反応温度が130℃を超える場合には、原料の(メタ)アクリル酸、生成物のエステル化物またはこれらの混合物が重合して、高沸点を有する化合物が副生する傾向にあり、いずれの場合も好ましくない。
反応時間は、0.1〜50時間の範囲であるのが好ましく、10〜30時間の範囲であるのがより好ましい。反応時間が0.1時間未満である場合には、反応が十分に進行せず、反応効率が低くなる傾向にあり、また50時間を超える場合には、抑制すべき高沸点を有する化合物が副生する傾向にあり、いずれの場合も好ましくない。
反応は、常圧下または減圧下のいずれで行ってもよいが、使用する溶媒と水の共沸点が、反応を行う蒸気圧において、130℃を超える場合には、反応温度が高くなり副生物の生成が懸念されるため、減圧下で行うことが好ましい。
反応は、重合禁止剤の存在下に行うのが好ましい。重合禁止剤を反応系に存在させることにより、原料の(メタ)アクリル酸、生成物のエステル化物またはこれらの混合物の重合を防止することができる。重合禁止剤としては、公知の重合禁止剤が使用可能であり、例えばヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、p−フェニレンジアミン、ベンジジンなどを使用することができる。また、反応系内気相部などでの重合を抑制するため、反応系に空気または酸素を吹き込みながら反応を行うことが好ましい。
環式骨格含有アルコールと(メタ)アクリル酸の反応性誘導体との反応について説明する。
(メタ)アクリル酸の反応性誘導体の使用量は、環式骨格含有アルコール1モルに対して1モル以上であればよいが、1.2モル以上であるのが好ましい。反応は、該反応性誘導体の種類に応じて、塩基やエステル交換触媒の存在下で行うのが好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸の反応性誘導体として(メタ)アクリル酸ハライドまたは酸無水物を用いる場合には、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基(酸捕捉剤)の存在下、例えば前記溶媒中で、0〜100℃程度の温度で反応が行われる。また、(メタ)アクリル酸の反応性誘導体として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いる場合には、慣用のエステル交換触媒の存在下で、また該反応性誘導体として(メタ)アクリル酸アルケニルエステルを用いる場合には、特に周期表第3族元素化合物触媒(例えば、酢酸サマリウム、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム、サマリウム錯体などのサマリウム化合物など)の存在下、例えば前記溶媒中で、0〜150℃程度の温度で反応が行われる。
環式骨格含有アルコールと反応させる(メタ)アクリル酸またはその反応性誘導体としては、レジスト用樹脂の性能を低下させるハロゲンが反応生成物中に含まれないことを考慮すれば、(メタ)アクリル酸を用いるのが好ましい。
上記の反応工程で得られる、環式骨格含有アルコールと(メタ)アクリル酸またはその反応性誘導体との反応生成物(反応混合物)は、吸着剤による処理の前に、アミン類を含む水溶液で洗浄するのが好ましい。
アミン類としては、(メタ)アクリル酸またはその反応性誘導体や触媒、(メタ)アクリル酸由来のオリゴマーなどと反応して水溶性の化合物を与えるアミン類であればよく、例えばアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどを使用することができる。これらの中でも、操作性を考慮すれば、アンモニア、トリエチルアミンを使用するのが好ましい。アミン類の濃度は、1〜25重量%の範囲であるのが好ましく、1〜10重量%の範囲であるのがより好ましい。この洗浄処理により、反応混合物中に含まれる未反応原料[環式骨格含有アルコール、(メタ)アクリル酸またはその反応性誘導体]や触媒、(メタ)アクリル酸由来のオリゴマー、その他の水溶性不純物が効率よく除去される。
洗浄処理の回数は、1回でもよく複数回でもよいが、2回以上が好ましく、2〜10回程度がより好ましく、3〜8回程度が特に好ましい。洗浄液の使用量は、洗浄処理1回当たり、被洗浄物(反応混合物)100重量部に対して、例えば10〜200重量部であるのが好ましく、20〜100重量部程度であるのがより好ましい。洗浄処理の温度は、10〜60℃程度であるのが好ましい。洗浄処理する際の温度が高すぎる場合、環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルが重合する恐れがあり、好ましくない。
反応混合物を洗浄処理後、得られる処理液をさらに水で洗浄することにより反応混合物中の金属含量を減少させることができる。
反応混合物を洗浄処理後、得られる処理液の水層から(メタ)アクリル酸などの未反応原料を回収して再利用することもできる。
本発明では、反応混合物が無機多孔質体からなる吸着剤、活性炭からなる吸着剤で順次処理される。かかる処理により、不純物含量の少ない高品質の環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルが得られる。
まず、無機多孔質体からなる吸着剤により、非水溶性重合物が除去される。無機多孔質体としては、例えばシリカゲル、アルミナ、シリカアルミナ、酸化チタン、チタノシリケート、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、合成ゼオライト、活性白土などが挙げられる。これらは単品で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中で、経済性、重合物の除去性の点から、シリカゲルを使用するのが好ましい。無機多孔質体からなる吸着剤による処理は、1回または複数回行う。使用した吸着剤は、回収後、燃焼により有機物を除去することにより、再使用することが可能である。
無機多孔質体からなる吸着剤は、反応混合物または洗浄処理後の反応液に添加し、攪拌した後、濾過などの操作により除去する方法、カラムなどに充填し、反応液を流通する方法などにより使用される。
活性炭からなる吸着剤により、原料、反応機器などから混入した金属および反応により副生した有色物質が除去される。活性炭としては、例えば椰子ガラ、熱硬化性樹脂、石油、石炭ピッチなどの炭素材を原料としたものが挙げられる。これらは、水蒸気、二酸化炭素およびこれらの混合ガスなどの酸性ガス;アルカリ金属水酸化物、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸、リン酸などの薬剤により賦活処理されていてもよい。経済性、金属の除去性を考慮すれば、椰子ガラを酸性ガスで賦活処理された活性炭を使用するのが好ましい。活性炭からなる吸着剤による処理は、1回または複数回行う。
活性炭からなる吸着剤は、反応液に添加し、攪拌した後に、濾過などの操作により除去する方法、カラムなどに充填し、反応液を流通する方法などにより使用される。
上記の吸着剤で処理された反応液より溶媒を除去することにより、十分な純度を有する環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルが得られる。なお、必要に応じて再結晶などの操作により、さらに純度を高めることができる。
このようにして得られた環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルを、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒に溶解し、濃度7.5〜8.5重量%に調整された溶液に、波長400nmの光を照射した際には、当該光の98.5%以上が透過する。これは、該溶液の紫外−可視吸収を測定することにより確認される。前記の吸着剤処理を行わない環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルについては、上記の400nm光の透過率は低いことが確認されており、明らかに光を吸収する不純物を含有している。かかる不純物が含まれる環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルは、その重合に際して、光酸発生剤の機能を低下させ、必要な重合速度が得られず、レジスト用樹脂の原料モノマーとして使用することができない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
実施例1
攪拌器、蒸留塔および温度計を装着した内容積300mLの三ツ口フラスコに、2−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−5−オン20.58g(133mmol)、アクリル酸11.54g(160mmol)、p−メトキシフェノール0.23g(1.85mmol)およびトルエン120gを仕込み、攪拌した。系内を45.3Pa(340Torr)に減圧し、86℃に昇温した。蒸留塔内部に少量の空気を吹き込みながら反応系内を攪拌し、反応器内へ硫酸0.79g(8.05mmol)を3分で滴下した。同温度で8時間保持し、この間、トルエン120gおよび水1.4gを留去した。また随時、留出量と同量のトルエンを反応系内に添加した。
冷却後、窒素雰囲気下、反応系内に1.6%アンモニア水53.5gと酢酸エチル150gを添加し、撹拌することにより、反応混合物を洗浄し、静置した後、有機層を分離した。この有機層をイオン交換水50gで洗浄した後、分離した有機層を高速液体クロマトグラフィー(カラム:関東化学株式会社製Hiber RT 250−4、キャリア溶媒:アセトニトリル/水=4/6(容積比)、流量:1mL/min、検出:240nm)で分析したところ、2−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−5−オンの転化率は93%であり、アクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルの収率は75%であった。有機層をシリカゲル10gを充填したカラムに通した後、さらに活性炭(GW;クラレケミカル株式会社製)5gを充填したカラムに通した。有機層を減圧下に濃縮し、アクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルの粗結晶29.53gを得た。
温度計および撹拌機を装着した容量200mLの三ツ口フラスコに、得られた粗結晶と酢酸エチル30gおよびジイソプロピルエーテル30gを仕込み、よく撹拌した後、液温が50℃になるまで加熱した。結晶を完全に溶解させた後、放冷し、次いで氷冷下で2時間撹拌した後、析出した結晶を濾別した。濾別した結晶を酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル=1/1(重量比)の混合溶媒30gでリンスし、真空乾燥することにより、白色のアクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル17.6gを得た。得られたアクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルの純度は99.0重量%であり、不純物の金属成分である鉄含有量は20重量ppbであった。また、晶析収率(晶析後の洗浄工程を含む)は84.4%であった。
上記のアクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル347mgをアセトニトリル4.05gに溶解して調整した溶液を、紫外可視スペクトル測定装置(UV−2500PC、株式会社島津製作所製)にて、270〜700nmの範囲で測定したところ、400nmでの透過度は99%であった。
実施例2
攪拌器、蒸留塔および温度計を装着した内容積300mLの三ツ口フラスコに、2−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−5−オン30.06g(195mmol)、メタクリル酸20.14g(234mmol)、p−メトキシフェノール0.26g(2.09mmol)およびトルエン120gを仕込み、攪拌した。系内を58.7kPa(440Torr)に減圧し、95℃に昇温した。蒸留塔内部に少量の空気を吹き込みながら反応系内を攪拌し、反応器内へ硫酸1.15g(11.7mmol)を3分で滴下した。同温度で11時間保持し、この間、トルエン120gおよび水2.1gを留去した。また随時、留出量と同量のトルエンを反応系内に添加した。
冷却後、窒素雰囲気下、反応系内に2.9%アンモニア水56.5gと酢酸エチル150gを添加し、撹拌することにより、反応混合物を洗浄し、静置した後、有機層を分離した。この有機層をイオン交換水50gで洗浄した後、分離した有機層を高速液体クロマトグラフィー(前記のとおり)で分析したところ、2−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.21.03,7 ]ノナン−5−オンの転化率は90%であり、メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルの収率は83%であった。有機層を、シリカゲル20gを充填したカラムおよび活性炭5g(GW;クラレケミカル株式会社製)を充填したカラムに連続して通した後に、減圧下に濃縮し、メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルの粗結晶33.4gを得た。
温度計および撹拌機を装着した容量300mLの三口フラスコに、得られた粗結晶と酢酸エチル68gおよびジイソプロピルエーテル34gを仕込み、よく撹拌した後、液温が60℃になるまで加熱した。結晶を完全に溶解させた後、放冷し、次いで氷冷下で2時間撹拌した後、析出した結晶を濾別した。濾別した結晶を酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル=1/1(重量比)の混合溶媒15gでリンスし、真空乾燥することにより、白色のメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル31.0gを得た。得られたメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルの純度は99.0重量%であり、不純物の金属成分である鉄含有量は20重量ppbであった。また、晶析収率(晶析後の洗浄工程を含む)は86.2%であった。
上記のメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル349mgをアセトニトリル4.00gに溶解して調整した溶液を、紫外可視スペクトル測定装置(前記のとおり)にて、270〜700nmの範囲で測定したところ、400nmでの透過度は99%であった。
実施例3
攪拌器、滴下ロートおよび温度計を装着した内容積1Lの三ツ口フラスコに、4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン(メバロラクトン)52.1g(0.40mol)、塩化メチレン500mLおよびトリエチルアミン60.7g(0.60mol)を加え、系内を窒素置換した。撹拌しながら反応液を−40℃に冷却し、内温を−35℃以下に保ちながら、メタクリル酸クロライド41.8g(0.40mol)を滴下漏斗より滴下した。滴下終了後、同温度で6時間撹拌し反応を完結させた。
反応系内に4.0%アンモニア水60gを添加し、撹拌することにより反応混合物を洗浄し、静置した後、有機層を分離した。この有機層を蒸留水200mLでさらに2回洗浄した後、分離した有機層を高速液体クロマトグラフィー(前記のとおり)で分析したところ、粗メタクリル酸4−メチル−2−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルの収率は78.8%であった。有機層を、アルミナ20gを充填したカラムおよび活性炭5g(GW;クラレケミカル株式会社製)を充填したカラムに連続して通した後に、有機層を減圧下に濃縮し、粗メタクリル酸4−メチル−2−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル93.31gを得た。
攪拌器および温度計を装着した内容積500mLの三ツ口フラスコに、上記で得られた粗メタクリル酸4−メチル−2−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル62.2g(純度86%、含量80重量%)とジイソプロピルエーテル375mLを仕込み、よく撹拌した後、液温が−10℃以下になるまで冷却し、不溶物を濾別した。
攪拌器および温度計を装着した内容積500mLの三ツ口フラスコに、上記の操作で得られた濾液を仕込み、ドライアイス/アセトン浴に浸して冷却した。液温が−30℃付近まで低下した時点で種結晶を投入し、液温−40℃で3時間撹拌した。予めドライアイスで冷却しておいた漏斗に濾紙を装着し、結晶が析出した溶液を注ぎ、結晶を濾取した後、ドライアイス/アセトン浴で−50℃に冷却しておいたジイソプロピルエーテル180mLを用いて析出結晶を洗浄した。得られた結晶(室温に放置すると液状となる)を容器に移し、さらに漏斗に残った結晶をジイソプロピルエーテルで容器に洗い込んだ。ジイソプロピルエーテルを減圧留去することにより、メタクリル酸4−メチル−2−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル39.2gを得た。得られたメタクリル酸4−メチル−2−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルの純度は99.0重量%であり、不純物の金属成分であるFe含有量は600重量ppbであった。また、晶析収率(晶析後の洗浄工程を含む)は63.0%であった。
上記のメタクリル酸4−メチル−2−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル327mgをアセトニトリル3.87gに溶解して調整した溶液を、紫外可視スペクトル測定装置(前記のとおり)にて、270〜700nmの範囲で測定したところ、400nmでの透過度は99%であった。
実施例4
攪拌器、蒸留塔および温度計を装着した内容積300mLの三ツ口フラスコに、1,3−アダマンタンジオール20.49g(122mmol)、アクリル酸38.1g(529mmol)、p−メトキシフェノール0.23g(1.85mmol)およびトルエン200gを仕込み、攪拌した後、温度を110℃に昇温した。蒸留塔内部に少量の空気を吹き込みながら反応系内を攪拌し、反応器内へ硫酸1.63g(16.0mmol)を3分で滴下した。同温度で8時間保持し、この間、トルエン200gおよび水1.3gを留去した。また随時、留出量と同量のトルエンを反応系内に添加した。
冷却後、窒素雰囲気下、反応系内に1.6%アンモニア水53.5gと酢酸エチル150gを添加し、撹拌することにより反応混合物を洗浄し、静置した後、有機層を分離した。この有機層をイオン交換水50gで洗浄した後、分離した有機層を高速液体クロマトグラフィー(前記のとおり)で分析したところ、1,3−アダマンタンジオールの転化率は93%であり、1−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタンの収率は78.5%であった。有機層を、アルミナ20gを充填したカラムおよび活性炭5g(GW;クラレケミカル株式会社製)を充填したカラムに連続して通した後に、有機層を減圧下に濃縮し、1−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタンの粗結晶27.78gを得た。
温度計および撹拌機を装着した容量200mLの三ツ口フラスコに、得られた粗結晶とトルエン12gおよびヘキサン30gを仕込み、よく撹拌した後、液温が50℃になるまで加熱した。結晶を完全に溶解させた後、放冷し、次いで氷冷下で3時間撹拌した後、析出した結晶を濾別した。濾別した結晶を冷ヘキサン37gでリンスし、真空乾燥することにより、白色の1−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン15.3gを得た。得られた1−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタンの純度は98.0重量%であり、不純物の金属成分である鉄含有量は20重量ppbであった。また、晶析収率(晶析後の洗浄工程を含む)は71.9%であった。
上記の1−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン337mgをアセトニトリル3.87gに溶解して調整した溶液を、紫外可視スペクトル測定装置(前記のとおり)にて、270〜700nmの範囲で測定したところ、400nmでの透過度は99%であった。
比較例1
実施例1において、シリカゲルおよび活性炭により処理しなかった以外は同様に反応および操作を行った。得られたアクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルの純度は97.8重量%であり、不純物の金属成分であるFe含有量は92重量ppbであった。
上記のアクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル350mgをアセトニトリル4.00gに溶解して調整した溶液を、紫外可視スペクトル測定装置(前記のとおり)にて、270〜700nmの範囲で測定したところ、400nmでの透過度は95%であった。
比較例2
実施例1において、活性炭により処理しなかった以外は同様に反応および操作を行った。得られたアクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルの純度は99.0重量%であり、不純物の金属成分であるFe含有量は86重量ppbであった。
上記のアクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル350mgをアセトニトリル4.00gに溶解して調整した溶液を、紫外可視スペクトル測定装置(前記のとおり)にて、270〜700nmの範囲で測定したところ、400nmでの透過度は97%であった。
本発明により製造される不純物含量の少ない高品質の環式骨格含有(メタ)アクリル酸エステルは、レジスト用樹脂の原料モノマーとして有用である。

Claims (2)

  1. 炭素数4以上の環式骨格を有するアルコールと(メタ)アクリル酸またはその反応性誘導体を反応させる工程、該工程で得られる反応生成物を無機多孔質体からなる吸着剤、活性炭からなる吸着剤で順次処理する工程を含むことを特徴とする環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  2. 請求項1記載の方法により得られ、かつ有機溶媒に溶解して得られた濃度7.5〜8.5重量%の溶液に、波長400nmの光を照射した際の当該光の透過率が98.5%以上であることを特徴とする環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル。
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