JP2005254622A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ヘッドの剛性を確保しつつ、信頼性を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 流路形成基板の圧電素子300側の面の保護基板との接合領域には、圧電素子300を構成する各層からなる積層膜400がその圧電素子300とは不連続で設けられると共に上電極がイリジウムからなる積層膜400上には、積層膜400側に設けられるチタンタングステン合金層91とチタンタングステン合金層91上に設けられるアルミニウム層92とからなる金属配線層90Aが設けられ、且つ積層膜400の上電極80の金属配線層90Aが設けられた領域以外の表面積Siと、アルミニウム層92の周長La及び膜厚Taとの関係が4.6×La×Ta<Siの条件を満たすと共に、上電極80の表面積Siと、チタンタングステン合金層91の周長Lt及び膜厚Ttとの関係が50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たす。
【選択図】 図3
【解決手段】 流路形成基板の圧電素子300側の面の保護基板との接合領域には、圧電素子300を構成する各層からなる積層膜400がその圧電素子300とは不連続で設けられると共に上電極がイリジウムからなる積層膜400上には、積層膜400側に設けられるチタンタングステン合金層91とチタンタングステン合金層91上に設けられるアルミニウム層92とからなる金属配線層90Aが設けられ、且つ積層膜400の上電極80の金属配線層90Aが設けられた領域以外の表面積Siと、アルミニウム層92の周長La及び膜厚Taとの関係が4.6×La×Ta<Siの条件を満たすと共に、上電極80の表面積Siと、チタンタングステン合金層91の周長Lt及び膜厚Ttとの関係が50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たす。
【選択図】 図3
Description
本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に、インクを吐出するノズル開口と連通する圧力発生室に供給されたインクを圧電素子によって加圧することにより、ノズル開口からインクを吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置並びにインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
インクを吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインクを吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
後者のインクジェット式記録ヘッドとしては、ノズル開口に連通する圧力発生室とこの圧力発生室に連通する連通部とが形成される流路形成基板と、流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極膜、圧電体層、上電極膜からなる圧電素子と、圧電素子から引き出されるリード電極と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合されて連通部と共にリザーバの一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、このインクジェット式記録ヘッドにおいては、流路形成基板の一方面側の連通部の内周縁部に対向する領域に、圧電素子を構成する各層からなる積層膜が、その圧電素子とは不連続で設けられている。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドの構造において、例えば、積層膜の上電極膜の材料にイリジウムを用いると共に、リード電極の材料にアルミニウムを用い、積層膜上にリード電極を構成する層からなる金属配線層を設けた場合には、流路形成基板とリザーバ形成基板との接合強度が低下し、両基板が剥がれ易くなって、ヘッドの剛性が低下するという問題がある。
このように、流路形成基板とリザーバ形成基板との接合強度が低下する原因の1つとしては、上電極の上に金属配線層を形成すると共にこの金属配線層を所定のマスクパターンを介してエッチングして所定形状にパターニングする際に、金属配線層と上電極膜との間で電位差が生じて電池となり、金属配線層と上電極膜との間に電流が流れて電食が生じ、この電食によって上電極膜がダメージを受け、その結果、積層膜の上電極膜が圧電体層から剥離し易くなっていることが挙げられる。また、このように、上電極膜と金属配線層との間で生じた電食によって、電極カスが発生し、この電極カスによって配線がショートし、ヘッドの信頼性が低下する虞もある。なお、このような各問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、勿論、インク以外の液体を噴射する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、ヘッドの剛性を確保しつつ、信頼性を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されると共に当該圧電素子を保護する圧電素子保持部が設けられる保護基板とを具備する液体噴射ヘッドであって、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面の前記保護基板との接合領域には、前記圧電素子を構成する各層からなる積層膜が当該圧電素子とは不連続で設けられると共に前記上電極がイリジウムからなる前記積層膜上にはアルミニウム層からなる金属配線層が設けられ、且つ前記積層膜の前記上電極の前記金属配線層が設けられた領域以外の表面積Siと、前記金属配線層を構成する前記アルミニウム層の周長La及び膜厚Taとの関係が4.6×La×Ta<Siの条件を満たすことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、上電極の面積Siと、アルミニウム層の周長La及び膜厚Taとの関係が所定の条件を満たすようにすることで、金属配線層と上電極との間に流れる電流を低減することができ、電食により積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのを防止することができる。したがって、流路形成基板と保護基板ヘッドとの十分な接合強度が得られるため、ヘッドの剛性を確保することができ、ヘッドの信頼性を向上することができる。
かかる第1の態様では、上電極の面積Siと、アルミニウム層の周長La及び膜厚Taとの関係が所定の条件を満たすようにすることで、金属配線層と上電極との間に流れる電流を低減することができ、電食により積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのを防止することができる。したがって、流路形成基板と保護基板ヘッドとの十分な接合強度が得られるため、ヘッドの剛性を確保することができ、ヘッドの信頼性を向上することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記上電極の表面積Siは、前記アルミニウム層の周長Laと膜厚Taとの積La×Taの5〜8倍の面積であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのをより効果的に防止することができる。
かかる第2の態様では、積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのをより効果的に防止することができる。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記金属配線層は、前記積層膜上に前記アルミニウム層の下地層として当該アルミニウム層の外形と等しい外形で設けられたチタンタングステン合金層を有し、且つ前記上電極の表面積Siと、前記チタンタングステン合金層の周長Lt及び膜厚Ttとの関係が50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たすことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様では、上電極の表面積Siと、チタンタングステン合金層の周長Lt及び膜厚Ttとが所定の条件を満たすようにすることで、チタンタングステン合金と上電極との間に流れる電流を低減することができ、電食により積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのを防止することができる。
かかる第3の態様では、上電極の表面積Siと、チタンタングステン合金層の周長Lt及び膜厚Ttとが所定の条件を満たすようにすることで、チタンタングステン合金と上電極との間に流れる電流を低減することができ、電食により積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのを防止することができる。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記圧電素子から引き出されるリード電極を具備し、且つ前記金属配線層は、前記リード電極を構成する層からなると共に当該リード電極と不連続で設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第4の態様では、積層膜上に設けられる金属配線層が、リード電極と同一層となる。
かかる第4の態様では、積層膜上に設けられる金属配線層が、リード電極と同一層となる。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記積層膜と前記金属配線層とは、前記流路形成基板の少なくとも周縁部に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第5の態様では、保護基板が流路形成基板の一方面に対して傾斜することなく確実に接合される。
かかる第5の態様では、保護基板が流路形成基板の一方面に対して傾斜することなく確実に接合される。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第6の態様では、高い信頼性を有する液体噴射装置を比較的容易に且つ確実に提供することができる。
かかる第6の態様では、高い信頼性を有する液体噴射装置を比較的容易に且つ確実に提供することができる。
本発明の第7の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、該圧電素子から引き出されるリード電極と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されると共に当該圧電素子を保護する圧電素子保持部が設けられる保護基板とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記流路形成基板の一方面に前記下電極、前記圧電体層を積層し且つ当該圧電体層上にイリジウムからなる上電極を積層して前記圧電素子を形成すると共に当該圧電素子を構成する各層からなる積層膜を該圧電素子とは不連続で形成する工程と、アルミニウム層からなる前記リード電極を形成すると共に前記積層膜の前記上電極の上に前記リード電極を構成する層からなる金属配線層を形成した後に前記リード電極及び前記金属配線層を所定のマスクパターンを介してウェットエッチングすることで前記積層膜の前記上電極の前記金属配線層が形成される領域以外の表面積Siと、前記金属配線層を構成する前記アルミニウム層の周長La及び膜厚Taとの関係が4.6×La×Ta<Siの条件を満たすように前記金属配線層を所定形状にパターニングする工程と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に前記保護基板を接合する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第7の態様では、上電極の面積Siとアルミニウム層の周長La及び膜厚Taとが所定の条件を満たすようにアルミニウム層をウェットエッチングすることで、金属配線層と上電極との間に流れる電流を低減することができ、電食により積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのを防止することができる。したがって、流路形成基板と保護基板ヘッドとの十分な接合強度が得られるため、ヘッドの剛性を確保することができ、ヘッドの信頼性を向上することができる。
かかる第7の態様では、上電極の面積Siとアルミニウム層の周長La及び膜厚Taとが所定の条件を満たすようにアルミニウム層をウェットエッチングすることで、金属配線層と上電極との間に流れる電流を低減することができ、電食により積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのを防止することができる。したがって、流路形成基板と保護基板ヘッドとの十分な接合強度が得られるため、ヘッドの剛性を確保することができ、ヘッドの信頼性を向上することができる。
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記積層膜上にチタンタングステン合金からなるチタンタングステン合金層と前記アルミニウム層とを積層して形成すると共に当該アルミニウム層を所定のマスクパターンを介してウェットエッチングすると共に前記チタンタングステン合金層を前記所定のマスクパターン及び前記アルミニウム層を介してウェットエッチングすることにより、前記上電極の表面積Siと、前記チタンタングステン合金層の周長Lt及び膜厚Ttとの関係が50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たすように前記チタンタングステン合金層を所定形状にパターニングすることを特徴とする特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第8の態様では、上電極の面積Siとチタンタングステン合金層の周長Lt及び膜厚Ttとが所定の条件を満たすようにチタンタングステン合金層をウェットエッチングすることで、チタンタングステン合金層と上電極との間に流れる電流を低減することができ、電食により積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのを防止することができる。
かかる第8の態様では、上電極の面積Siとチタンタングステン合金層の周長Lt及び膜厚Ttとが所定の条件を満たすようにチタンタングステン合金層をウェットエッチングすることで、チタンタングステン合金層と上電極との間に流れる電流を低減することができ、電食により積層膜の上電極が圧電体層から剥離するのを防止することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。また、図3は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの要部拡大平面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、隔壁11によって画成された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述するリザーバ形成基板30のリザーバ部32と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。また、図3は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの要部拡大平面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、隔壁11によって画成された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述するリザーバ形成基板30のリザーバ部32と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12等を形成する際のマスクとして用いられたマスク膜51を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板としての役割を果たす。
ここで、圧電体層70を形成する材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイッテルビウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO3(PT)、PbZrO3(PZ)、Pb(ZrxTi1−x)O3(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O3−PbTiO3(PIN−PT)、Pb(Sc1/3Ta1/2)O3−PbTiO3(PST−PT)、Pb(Sc1/3Nb1/2)O3−PbTiO3(PSN−PT)、BiScO3−PbTiO3(BS−PT)、BiYbO3−PbTiO3(BY−PT)等が挙げられる。
また、このような圧電素子300の長手方向の一端部近傍の上電極膜80の上面からは、リード電極90がインク供給路14に対向する領域まで引き出されている。このリード電極90は、チタンタングステン合金からなり流路形成基板10側に形成されるチタンタングステン合金層91と、アルミニウムからなりチタンタングステン合金層91上に形成されるアルミニウム層92とからなる。なお、チタンタングステン合金層91は、アルミニウム層92と絶縁体膜55等とを密着させる密着層としての役割と、上電極膜80とアルミニウム層92とを形成する金属同士が化学的に反応するのを防止するバリア層としての役割がある。
さらに、流路形成基板10の圧電素子300側の面の後述する保護基板30との接合領域には、圧電素子300を構成する各層からなる積層膜400が、その圧電素子300とは不連続で設けられている。すなわち、積層膜400は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80で構成され、圧電素子300とは独立して設けられている。そして、このような積層膜400は、本実施形態では、流路形成基板10の周縁部及び連通部13の開口周縁部に設けられている。
また、このような積層膜400の上には、本実施形態では、リード電極90を構成する各層と同一の層構造である金属配線層90Aが、そのリード電極90とは不連続で設けられている。すなわち、この金属配線層90Aは、積層膜400(上電極膜80)の上面に形成されるチタンタングステン合金層91と、このチタンタングステン合金層91上に形成されるアルミニウム層92とからなる。そして、アルミニウム層92は、本実施形態では、チタンタングステン合金層91の外形と略等しい外形で、且つこのチタンタングステン合金層91に相対向する領域内に設けられている。また、この金属配線層90Aの上面は、後述する保護基板30との接合面となる。
このような積層膜400の上電極膜80の金属配線層90Aを構成するアルミニウム層92が設けられた領域以外の表面積Si(図3の斜線部分)と、アルミニウム層92の周長La及び膜厚Taとの関係が、4.6×La×Ta<Siの条件を満たしている。特に、このような上電極膜80の表面積Siは、アルミニウム層92の周長Laと、アルミニウム層92の膜厚Taとの積La×Taの約5倍〜8倍の面積となるようにするのが好ましい。また、本実施形態では、上述した上電極膜80の表面積Siと、チタンタングステン合金層91の周長Lt及び膜厚Ttとの関係が、50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たしている。
ここで、「アルミニウム層92の周長」とは、上電極膜90に電気的に接続された部分を含むアルミニウム層92の全体の輪郭の長さのことであり、例えば、本実施形態では、アルミニウム層92の外周と、アルミニウム層92のリザーバ部32を囲む部分の内周と、アルミニウム層92の圧電素子300を囲む部分の内周の合計の長さである。なお、アルミニウム層92の膜厚は、例えば、約0.3〜2.0μmの範囲内であり、本実施形態では、約1.1μmとした。一方、チタンタングステン合金91の膜厚は、例えば、約0.05〜0.5μmの範囲内であり、本実施形態では、約0.1μmとした。
上述したように、本実施形態では、上電極膜80の表面積Siと、アルミニウム層92の周長La及び膜厚Taとの関係を4.6×La×Ta<Siとすると共に、上電極膜80の表面積Siと、チタンタングステン合金層91の周長Lt及び膜厚Ttとの関係を50.2×Lt×Tt<Siとするようにしたので、チタンタングステン合金層91とアルミニウム層92と上電極膜80との間に流れる電流を低減することができ、チタンタングステン合金層91とアルミニウム層92と上電極膜80との間で生じる電食を低減することができる。
(試験例)
ここで、アルミニウム膜の周長Laと膜厚Taの積La×Ta[μm2]と、上電極膜の表面積Si[μm2]との関係が、4.6×La×Ta<Siの条件を満たすと共に、チタンタングステン合金層の周長Ltと膜厚Ttの積Lt×Tt[μm2]と、上電極膜の表面積Si[μm2]との関係が、50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たす実施例1〜8を用意した。また、比較のため、4.6×La×Ta<Si及び50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たさない比較例1〜4とを用意した。そして、これら実施例1〜8及び比較例1〜4について、電食による上電極膜のダメージの有無について比較する試験を行った。その結果を下記表1及び表2に示す。なお、上電極膜の面積Si、アルミニウム層の周長La、及びチタンタングステン合金の周長Ltについては、CADを用いて求めた。
ここで、アルミニウム膜の周長Laと膜厚Taの積La×Ta[μm2]と、上電極膜の表面積Si[μm2]との関係が、4.6×La×Ta<Siの条件を満たすと共に、チタンタングステン合金層の周長Ltと膜厚Ttの積Lt×Tt[μm2]と、上電極膜の表面積Si[μm2]との関係が、50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たす実施例1〜8を用意した。また、比較のため、4.6×La×Ta<Si及び50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たさない比較例1〜4とを用意した。そして、これら実施例1〜8及び比較例1〜4について、電食による上電極膜のダメージの有無について比較する試験を行った。その結果を下記表1及び表2に示す。なお、上電極膜の面積Si、アルミニウム層の周長La、及びチタンタングステン合金の周長Ltについては、CADを用いて求めた。
上記表1及び表2に示す試験結果から、4.6×La×Ta<Siの条件と、50.2×Lt×Tt<Siの条件とを満たすように、積層膜上にチタンタングステン合金層とアルミニウム層とを形成することで、上電極膜とチタンタングステン合金層とアルミニウム層との間に流れる電流を低減することができ、電食による上電極膜のダメージを低減することができることが分った。
また、流路形成基板10上の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接着剤層35を介して接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。
また、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
さらに、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33に対向する領域には、各圧電素子300からリード電極90の先端部が引き出されている。そして、これら各リード電極90の先端部には、図示しないが、保護基板30上に実装される駆動ICに一端部が接続される接続配線の他端部が接続されるようになっている。
なお、このような保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
このように、流路形成基板30の一方面上、具体的には、金属配線層90Aの上面に保護基板30を接合した構造においては、上述したように積層膜400の上電極膜80が電食によって圧電体層70から剥離することがなく、流路形成基板10と保護基板30との接合強度を十分に確保でき、ヘッドの剛性を向上することができる。
さらに、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4〜図6を参照して説明する。なお、図4〜図6は、圧力発生室の長手方向の断面図である。まず、図4(a)に示すように、シリコン単結晶基板である流路形成基板10を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、流路形成基板10の表面に弾性膜50及びマスク膜51を構成する二酸化シリコン膜52を形成する。次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、ジルコニウム(Zr)層を形成後、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化して酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜55を形成する。次いで、図4(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。また、本実施形態では、流路形成基板10の周縁部及び連通部13が形成される領域に対向する部分の周縁部に、下電極膜60を残すようにした。次に、図4(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板10の全面に形成する。
次いで、図5(a)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。また、本実施形態では、流路形成基板10の周縁部、及び後述する連通部13が形成される領域に対向する部分の周縁部に形成された下電極膜60の上に、圧電素子300を構成する各層を残すことで、積層膜400を形成するようにした。なお、この積層膜400は、圧電素子300とは不連続となるようにパターニングされている。
次に、リード電極90及び金属配線層90Aを形成する。具体的には、図5(b)に示すように、流路形成基板10の全面に亘って、チタンタングステン合金(TiW)からなるチタンタングステン合金層91を形成し、このチタンタングステン合金層91上の全面に、アルミニウムからなるアルミニウム層92を形成する。その後、例えば、レジスト等からなる所定のマスクパターン(図示なし)を介してアルミニウム層92をウェットエッチングして所定形状にパターニングした後に、その所定のマスクパターン及びアルミニウム層92を介してチタンタングステン合金層91をウェットエッチングして所定形状にパターニングする。これにより、各圧電素子300から引き出されるリード電極90と、積層膜400上に金属配線層90Aとが形成される。また、本実施形態では、チタンタングステン合金層91を約0.1μmの膜厚となるように形成し、アルミニウム層92を約1.1μmの膜厚となるように形成した。
ここで、このように金属配線層90Aを形成する工程においては、アルミニウム層92の上に所定のマスクパターンを設けてウェットエッチングを行うため、このマスクパターンの形状によって、アルミニウム層92の周長Laと、チタンタングステン合金層91の周長Ltとが決まることになる。本実施形態では、このマスクパターンの形状によって、上電極膜80の表面積Siと、アルミニウム層92の周長La及び膜厚Taとの関係が、4.6×La×Ta<Siの条件を満たすように調整し、上電極膜80の表面積Siと、チタンタングステン合金層91の周長Lt及び膜厚Ttとの関係が、50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たすように調整した。これにより、チタンタングステン合金層91及びアルミニウム層92を所定のエッチング液を用いてウェットエッチングする際に、チタンタングステン合金層91とアルミニウム層92と上電極膜80との間に流れる電流を低減することができ、電食によって上電極膜80が受けるダメージを低減することができる。
次いで、図5(c)に示すように、流路形成基板10の圧電素子300側の面に保護基板30を接着剤層35によって接合する。このように流路形成基板10と保護基板30とを接合したとしても、積層膜400の上電極膜80が圧電体層70から剥離することがないため、両基板の接合強度を十分に確保でき、ヘッドの剛性を向上するこができる。また、本実施形態では、流路形成基板10の周縁部に積層膜400及び金属配線層90Aを同じ厚さで設けられているため、この金属配線層90Aの上面に保護基板30を当接させた後に保護基板30の表面を均等に押圧することができる。これにより、保護基板30が流路形成基板10の一方面側に傾斜することなく確実に接着される。
なお、その後は、図6(a)に示すように、流路形成基板10の他方面側に所定形状にパターニングしたマスク膜51を形成すると共に、そのマスク膜51を介して流路形成基板10を異方性エッチングすることにより圧力発生室12等を形成する。
次いで、図6(b)に示すように、リザーバ部32と連通部13とを隔てる積層膜400及び金属配線層90Aを貫通することで、リザーバ部32と連通部13とを連通させることにより、リザーバ部32と連通部13とからなるリザーバ100を形成する。
次いで、図6(b)に示すように、リザーバ部32と連通部13とを隔てる積層膜400及び金属配線層90Aを貫通することで、リザーバ部32と連通部13とを連通させることにより、リザーバ部32と連通部13とからなるリザーバ100を形成する。
なお、その後は、上述した一連の膜形成及び異方性エッチングによって一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割した後、流路形成基板10にマスク膜51を介してノズルプレート20を接合し、保護基板30上に駆動IC(図示なし)を実装すると共にコンプライアンス基板40を接合することにより、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとなる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態1に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、積層膜400上にチタンタングステン合金層とアルミニウム層とを設けるようにしたが、これに限定されず、アルミニウム層だけを設けるようにしてもよい。また、上述した実施形態1では、積層膜400の上電極膜80の上面に金属配線層90Aを設けるようにしたが、これに限定されず、積層膜の上電極膜の上面から絶縁体膜の面上にアルミニウム層からなる金属配線層を延設するようにしてもよい。この場合でも、アルミニウム層の周長とは、上電極膜と電気的に接続された部分を含むアルミニウム層の全体の輪郭の長さのことである。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態1に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、積層膜400上にチタンタングステン合金層とアルミニウム層とを設けるようにしたが、これに限定されず、アルミニウム層だけを設けるようにしてもよい。また、上述した実施形態1では、積層膜400の上電極膜80の上面に金属配線層90Aを設けるようにしたが、これに限定されず、積層膜の上電極膜の上面から絶縁体膜の面上にアルミニウム層からなる金属配線層を延設するようにしてもよい。この場合でも、アルミニウム層の周長とは、上電極膜と電気的に接続された部分を含むアルミニウム層の全体の輪郭の長さのことである。
なお、上述した実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図7に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
なお、上述した実施形態1においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、この液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 35 接着剤層、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 90A 金属配線層、 91 チタンタングステン合金層、 92 アルミニウム層、 100 リザーバ、 300 圧電素子、 400 積層膜
Claims (8)
- 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されると共に当該圧電素子を保護する圧電素子保持部が設けられる保護基板とを具備する液体噴射ヘッドであって、
前記流路形成基板の前記圧電素子側の面の前記保護基板との接合領域には、前記圧電素子を構成する各層からなる積層膜が当該圧電素子とは不連続で設けられると共に前記上電極がイリジウムからなる前記積層膜上にはアルミニウム層からなる金属配線層が設けられ、且つ前記積層膜の前記上電極の前記金属配線層が設けられた領域以外の表面積Siと、前記金属配線層を構成する前記アルミニウム層の周長La及び膜厚Taとの関係が4.6×La×Ta<Siの条件を満たすことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1において、前記上電極の表面積Siは、前記アルミニウム層の周長Laと膜厚Taとの積La×Taの5〜8倍の面積であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
- 請求項1又は2において、前記金属配線層は、前記積層膜上に前記アルミニウム層の下地層として当該アルミニウム層の外形と等しい外形で設けられたチタンタングステン合金層を有し、且つ前記上電極の表面積Siと、前記チタンタングステン合金層の周長Lt及び膜厚Ttとの関係が50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たすことを特徴とする液体噴射ヘッド。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記圧電素子から引き出されるリード電極を具備し、且つ前記金属配線層は、前記リード電極を構成する層からなると共に当該リード電極と不連続で設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記積層膜と前記金属配線層とは、前記流路形成基板の少なくとも周縁部に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
- 請求項1〜5の何れかの液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
- 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、該圧電素子から引き出されるリード電極と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されると共に当該圧電素子を保護する圧電素子保持部が設けられる保護基板とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記流路形成基板の一方面に前記下電極、前記圧電体層を積層し且つ当該圧電体層上にイリジウムからなる上電極を積層して前記圧電素子を形成すると共に当該圧電素子を構成する各層からなる積層膜を該圧電素子とは不連続で形成する工程と、アルミニウム層からなる前記リード電極を形成すると共に前記積層膜の前記上電極の上に前記リード電極を構成する層からなる金属配線層を形成した後に前記リード電極及び前記金属配線層を所定のマスクパターンを介してウェットエッチングすることで前記積層膜の前記上電極の前記金属配線層が形成される領域以外の表面積Siと、前記金属配線層を構成する前記アルミニウム層の周長La及び膜厚Taとの関係が4.6×La×Ta<Siの条件を満たすように前記金属配線層を所定形状にパターニングする工程と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に前記保護基板を接合する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。 - 請求項7において、前記積層膜上にチタンタングステン合金からなるチタンタングステン合金層と前記アルミニウム層とを積層して形成すると共に当該アルミニウム層を所定のマスクパターンを介してウェットエッチングすると共に前記チタンタングステン合金層を前記所定のマスクパターン及び前記アルミニウム層を介してウェットエッチングすることにより、前記上電極の表面積Siと、前記チタンタングステン合金層の周長Lt及び膜厚Ttとの関係が50.2×Lt×Tt<Siの条件を満たすように前記チタンタングステン合金層を所定形状にパターニングすることを特徴とする特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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JP2008114370A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-22 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射ヘッド |
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