JP2005253578A - シューズのソール構造 - Google Patents

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【課題】 クッション性、安定性を確実に体感する事が出来る上に足当たりが良く、さらに、軽量化できるとともに、製造工程を簡略化できコストを低減できるスポーツ用シューズのソール構造を提供する。
【解決手段】ソール本体4と中底2とインソール5とを含むシューズ1において、中底2の接地面側に凸状部23を設け、凸状部23を足長方向に波の山と谷とが交互に並ぶような波形状に形成し、ソール本体4には凸状部23を収納するキャビティー部41を設け、中底2の上にはインソール5を設ける。凸状部23は踵および/または前足部に設けるとよい。
【選択図】図3

Description

本発明は、クッション性および安定性を確実に体感する事ができる上に足当たりが良く、軽量化および、製造工程の簡略化によるコストの低減を実現させたシューズのソール構造に関する。
従来から、シューズのクッション性と安定性とを高めるために、シューズ内に波型形状を持つシートを配置したソール構造が提案されている。
例えば、特開平11−203には、ミッドソール内に波型シートが介在しているソール構造が開示されている。
特開平11−203号公報
また、特開2001−314202には、アウトソールの踵部位に波形状部を形成し、下面に複数のクリーツを設けたソール構造が開示されている。
特開2001−314202号公報
また、特開平6−7207には、波状プレートで構成されたインソールが開示されている。
特開平6−7207号公報
しかし、特開平11−203号公報に開示されるソール構造は、クッション性と安定性は得られるものの、波型シートと足との距離が大きく、その効果が足に感じられにくいという問題があった。
また、波型シートをミッドソールに内装させる必要があるため、ミッドソールを2層構造にしてその間に波型シートを挿入した上でそれぞれの部品を貼り合わせる等の複雑な工程が必要である。その結果、ソール構造全体での部材点数が多くまたその部材間の接着剤の層も複数になることより、重量が大きく、金型コストも余分にかかり、コスト高になるという問題があった。
また、特開2001−314202号公報に開示されるソール構造は、ミッドソールが上面のみに形成されていることより、下側のミッドソールの重量や貼り合せ工程は低減された。しかし、依然として上面にはミッドソールを配置する必要があり、やはり部品点数が多く、またその接着剤の層が多い事により、重量が大きい上に、製造コストが高いという問題があった。また、やはり波形状部と足との距離が大きく、その効果が足に感じられにくいという問題は解消されなかった。
また、特開平6−7207号公報に開示されるインソールは、波形状部と足との距離は小さいものの、波形状が足裏に直接接触するため足当たりが悪いと言う問題があった。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、クッション性、安定性を確実に体感する事ができる上に足当たりが良く、さらに、軽量化できるとともに、製造工程を簡略化できコストを低減できるスポーツ用シューズのソール構造を提供することを目的とする。さらに、本発明の他の目的は、屈曲性を向上させることにもある。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
ソール本体と中底とインソールとを含むシューズにおいて、前記中底が接地面側に凸状部を有し、前記凸状部が足長方向に波の山と谷とが交互に並ぶような波形状に形成されており、前記ソール本体には前記凸状部を収納するキャビティー部が設けられており、中底の上にはインソールが設けられていることを特徴とするシューズに関するものである。
前記目的を達成するため、請求項2に記載の発明は、
請求項1において、前記凸状部が踵部にあることを特徴とするシューズに関するものである。
前記目的を達成するため、請求項3に記載の発明は、
請求項1ないし2において、前記凸状部が踏付部にあることを特徴とするシューズに関するものである。
前記目的を達成するため、請求項4に記載の発明は、
請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記凸状部において、複数の帯状波形シートが並設されるとともに、前記各帯状波形シートが連結部を介して互いに連結されており、前記連結部が、隣り合う前記各帯状波形シートの間に配置されていることを特徴とするシューズに関するものである。
前記目的を達成するため、請求項5に記載の発明は、
請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記インソールの下面に板材を設けたことを特徴とするシューズに関するものである。
前記目的を達成するため、請求項6に記載の発明は、
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記中底の前記凸状部の波形状の上面と前記インソールの下面との隙間部分に、緩衝体を設けたことを特徴とするシューズに関するものである。
前記目的を達成するため、請求項7に記載の発明は、
請求項6において、前記緩衝体が前記インソールと一体化していることを特徴とするシューズに関するものである。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、クッション性、安定性を確実に体感する事ができる上に足当たりが良く、さらに、軽量化とともに、製造工程の簡略化によるコストの低減を実現できるという効果がある。さらに、屈曲性が向上するという効果もある。
以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施態様による中底2を上面側から見た場合の平面図である。また、図2は、本発明の一実施態様によるソール本体4を上面側から見た場合の平面図である。また、図3は、本発明の一実施態様によるシューズ1の縦断面である。
なお、本明細書中では、足に近い側を「上」と呼称し、これとは逆に接地面側を「下」と呼称することにする。
図1および図3に示す様に、中底2には下側に突出する凸状部23が、形成されている。また、凸状部23は、シューズ1の足長方向に波の山26と谷27とが交互に並ぶように、波形状に形成されている。また、ソール本体4には凸状部23を収納するキャビティー部41が設けられている。さらに、中底2の上にはインソール5が設けられている。
中底2に荷重が作用した際には、凸状部23の波形状が撓み、これにより、着用者の足に作用する衝撃が吸収、緩和され、クッション性と安定性とが得られる。さらに、従来のソール構造体と比較して、足に近い位置に凸状部23の波形状を配置する事により、クッション性と安定性とをより確実に体感する事できる。
また中底2の上にインソール5が設けられていることにより、中底2の凸状部23の波形状の山26が着用者の足裏に直接接しないので、着用者が山26による違和感を感じることなく、自然な足当たりを得ることができる。
なお、本明細書中では、図3に示すように、接地面側を下側にして凸状部23を側方から見たときに、接地面から離れる側に屈曲する屈曲部分26を「山」と呼称し、これとは逆に接地面側に突出する屈曲部分27を「谷」と呼称することにする。
図4は、本発明の一実施態様による中底2を下側から見た場合の全体斜視図である。
凸状部23の、波形状の山26と谷27との垂直方向の距離すなわち波形状の振幅Aについては、2mm〜10mmが好ましい。
波形状の振幅Aが2mm以下の場合、比較的小さい荷重でも凸状部23が限界まで撓むことにより、荷重が大きい場合に効果が得られないという不具合がある。波の振幅が10mm以上の場合は、シューズ1全体としての外観のバランスが悪くなり、また、重量増加にもつながるという不具合がある。
また、図5は、シューズ1を吊り込み式で構成した場合において、中底2にアッパー3を吊り込んだ状態を下側から見た斜視図である。
図5に示すように、シューズ1を吊り込み式で構成する場合、吊り込みシロDを考慮して、凸状部23は、端部から10〜20mm内側に設けると良い。
また、図6は、シューズ1を袋式で構成した場合において、中底2とアッパー3とが接合された状態を下側から見た斜視図である。
図6に示すように、シューズ1を袋式で構成する場合、縫いシロEを考慮して、凸状部23は、端部から1〜5mm程度、内側に設けると良い。
中底2を構成する材料としては、たとえば熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂等の可撓性のある材料が適している。具体的には、ポリウレタン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマーまたはナイロンなどの硬質樹脂、あるいは硬質ラバーが適しているが、ガラス繊維やカーボン繊維などを用いて強化された樹脂であるFRPを採用するようにしてもよい。
図3に示す様に、ソール本体4のキャビティー部41の形状は凸状部23が収納される形状であれば良い。
中底2の凸状部23をソール本体4のキャビティー部41に収納する事によって、波形状を緩衝部材内に内装することなしに、衝撃吸収性および安定性が得られるので、少ない部材点数で、軽量でかつ衝撃吸収性と安定性の良いソールを得る事ができる。
インソール5を構成する材料としては、発泡体が適している。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂の発泡体やポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂の発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材の発泡体、あるいはラバーまたはエラストマー(たとえばPAE)などのような、クッション性を有する素材で構成すると良い。
中底2の凸状部23を踵部に設けることによって、着地時のクッション性、安定性を向上させる事ができる。
中底2の凸状部23を前足部に設けることによって、着地時のクッション性、安定性を向上させる事ができ、かつ波形状が前足部の屈曲ラインに平行であることより、屈曲性も向上する。
図7は、本発明の第二の実施態様による中底2を上面側から見た場合の平面図である。また、図8は、図7の凸状部23の波形状部のみの斜視図である。
図7および図8に示す様に、凸状部23の波形状は連結部28を介して互いに連結されており、連結部28が、隣り合う前記各帯状波形シートの間に配置されている構造としても良い。このような構造にすることによって、より薄い厚みでクッション性と安定性とを実現することができる。
図9は、本発明の第三の実施態様によるシューズ1の縦断面である。
図9に示す様に、インソール5の下面に板材51を設けても良い。
板材51を設けることによって、着用時に、足に凸状部23の山26の違和感を感じることなく、さらに自然な足当たりとなる。
板材51を構成する材料としては、たとえば熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂等の可撓性のある材料が適している。具体的には、ポリウレタン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマーまたはナイロンなどの硬質樹脂、あるいは硬質ラバーが適しているが、ガラス繊維やカーボン繊維などを用いて強化された樹脂であるFRPを採用するようにしてもよい。
図10は、本発明の第四の実施態様によるシューズ1の縦断面である。
図10に示す様に、凸状部23の波形状の上面とインソールの下面との隙間部分に緩衝体6を設けても良い。
緩衝体6を設けることによって、重量的には不利にはなるが、より細やかな安定性とクッション性の調整をすることができる。
緩衝体6は、合成樹脂やゴムの発泡体で構成すると良い。緩衝体6を比較的硬質な材料で構成する事によって、よりソール全体の安定性が増す。また、緩衝体6を比較的軟質な材料で構成する事によって、よりソール全体のクッション性が増す。
図11は、本発明の第五の実施態様によるシューズ1の縦断面である。
図11に示すように、緩衝体6をインソール5の下面に固着してインソール5と一体としても良い。
緩衝体6をインソール5の下面に固着することによって、緩衝体6の取りつけや取り外しが比較的容易にできる。
また、図10に示すよう、緩衝体6をインソール5と別体としても良い。緩衝体6をインソール5と別体とすることによって、緩衝体6のみを取り付けたり取り外す事ができるので、使用する場面やコンディションによって様々な硬度の緩衝体を取り付けおよび取り外す事ができ、より細かなクッション性、安定性の調整をすることができる。
図12は、本発明の第六の実施態様によるシューズ1の縦断面である。
図12に示す様に、ソール本体4の上面を凸状部23の波形状に沿う形状にしてもよい。
ソール本体4の上面を凸状部23の波形状に沿う形状にすることによって、重量的には不利にはなるが、より安定性を向上させることができる。
図13は、本発明の第七の実施態様によるシューズ1の縦断面である。
図13に示す様に、ソール本体は1層構造でも良いし、図3に示す様に2層構造でも構わない。
1層構造とした場合は、より、ソール全体を軽量化することができる
本発明の活用例としては、陸上、ランニング、サッカーの競技用のスポーツ用シューズは元より、ウォーキングや紳士シューズ、婦人靴等の歩行のみを目的としたシューズでの使用においても好適である。
本発明の一実施態様による中底2を上面側から見た場合の平面図である。 本発明の一実施態様によるソール本体4を上面側から見た場合の平面図である。 本発明の一実施態様によるシューズ1の縦断面である。 本発明の一実施態様による中底2を下側から見た場合の全体斜視図である。 シューズ1を吊り込み式で構成した場合において、中底2にアッパー3を吊り込んだ状態を下側から見た斜視図である。 シューズ1を袋式で構成した場合において、中底2とアッパー3とが接合された状態を下側から見た斜視図である。 本発明の第二の実施態様による中底2を上面側から見た場合の平面図である。 図7の凸状部23の波形状部のみの斜視図である。 本発明の第三の実施態様によるシューズ1の縦断面である。 本発明の第四の実施態様によるシューズ1の縦断面である。 本発明の第五の実施態様によるシューズ1の縦断面である。 本発明の第六の実施態様によるシューズ1の縦断面である。 本発明の第七の一実施態様によるシューズ1の縦断面である。
符号の説明
1 シューズ
2 中底
21 中底底面
22 中底上面
23 凸状部
26 山
27 谷
28 連結部
3 アッパー
4 ソール本体
41 キャビティー部
5 インソール
51 板材
6 緩衝体
A 振幅
B 波長
D 吊り込みシロ
E 縫いシロ

Claims (7)

  1. ソール本体と中底とインソールとを含むシューズにおいて、前記中底が接地面側に凸状部を有し、前記凸状部が足長方向に波の山と谷とが交互に並ぶような波形状に形成されており、前記ソール本体には前記凸状部を収納するキャビティー部が設けられており、中底の上にはインソールが設けられていることを特徴とするシューズ。
  2. 請求項1において、前記凸状部が踵部にあることを特徴とするシューズ。
  3. 請求項1ないし2において、前記凸状部が踏付部にあることを特徴とするシューズ。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記凸状部において、複数の帯状波形シートが並設されるとともに、前記各帯状波形シートが連結部を介して互いに連結されており、前記連結部が、隣り合う前記各帯状波形シートの間に配置されていることを特徴とするシューズ。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記インソールの下面に板材を設けたことを特徴とするシューズ。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記中底の前記凸状部の波形状の上面と前記インソールの下面との隙間部分に、緩衝体を設けたことを特徴とするシューズ。
  7. 請求項6において、前記緩衝体が前記インソールと一体化していることを特徴とするシューズ。
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