JP5952993B1 - 靴底用エアクッション - Google Patents
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Abstract
【課題】固い地面や硬い床材からの衝撃の伝達を妨げ、歩行又は走行時に靴の土踏まずの前部付近から足指間の部分が弓状に自然に反ることを可能とし、足裏、特に、中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織への力学的負担を軽減し、中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織における炎症を及びその発生リスクを抑えた、進行方向への歩行が安定な、靴底用のエアクッション及び該エアクッションを用いた靴底及び靴の提供。【解決手段】上平面と底面とがそれぞれ断面が波形の波板状の平面からなり、前記両平面とその周囲の側面外周とで形成した空気室を備える、又は、2枚の波板状の平面を有するプラスチック樹脂からなる波板を、やや離間かつ対向して配し、周囲を熱融着で封止して形成せしめた、内部に空気室を有する、平板状の靴底用エアクッション、及びそれを用いた靴底及び靴とする。【選択図】 図2
Description
この発明は、靴の履用者が靴を介して地面から受ける衝撃を緩和しつつも、さらに靴底内に配設しても靴底がしなやかに屈曲しうることによって、足裏、足首並びに膝に掛かる負担や長時間の履用でも疲労感が少なくなるとともに、屈曲しやすい向きと屈曲しない向きが付与され、進行方向への歩行が安定しやすくなるエアクッション及び、該エアクッション入りの靴底および靴、並びに、その製造方法に関する。
従来、靴のかかとの靴底の表底の部分を厚くしたり、ヒールとなる部分を有するようにして、つま先の部分よりもかかとの部分が高くなるようにして、靴を履用する者の歩行性を向上を志向する靴底が広く用いられている。このような靴底構造を有する靴では、ある程度、かかとの部分からつま先の部分へと体重が移動しやすくはなる。
しかしながら、靴の履用者が歩く路面は、アスファルト路面などの固い地面やタイルなどの硬い床材を有するところが大半となっている。すると、軽快に歩くことを優先させた靴底では、硬い床材からの衝撃が靴底の表底の部分を厚くした靴のかかとの部分やヒールを介して直接伝わりやすくなるので、履用者の足に疲労感が強く生じてしまうこととなる。また、上記のような衝撃が長期間継続的に加わることとなると、足裏、足首並びに膝に大きな力学的負担がかかるために、ひいては足裏痛、膝痛や変形性膝関節症などの治療困難な症状が生じ易くなるなどすることから、さらなる対策を講じる必要性があった
そこで、靴の靴底に、ポリウレタンゴムや天然ゴムを用い、さらに衝撃吸収性を付与するためにエアクッションを配置する技術が採用されている(特許文献1参照。)。しかし、これだけでは十分に満足のいく程度の緩衝効果は得られていない。
そこで、本願出願人は、ポリウレタンゴムを靴底素材に採用した靴が有する衝撃緩和能を更に改善するため、靴底のかかとの部分に複数のエアクッションを入れ、さらに、踵側が高く前側が低いというウエッジソールの構造のために土踏まずの前部と足指間にかかってくる体重に起因する足への衝撃をも十分に緩和し吸収させるよう、土踏まずの前部と足指間の足裏前部内にもエアクッションを入れたポリウレタンゴムからなる靴及び靴底とすることを提案している(特許文献2参照。)。これらの工夫より、靴底に配設された各エアクッションの形状に合致した状態で履いた足の足裏及びかかとに掛かる負荷を受けることを可能とし、踵全体に掛かる負荷を足裏全体に配分させながら歩行することが可能な靴及び靴底を提供しうることとなる。
そこで、本願出願人は、ポリウレタンゴムを靴底素材に採用した靴が有する衝撃緩和能を更に改善するため、靴底のかかとの部分に複数のエアクッションを入れ、さらに、踵側が高く前側が低いというウエッジソールの構造のために土踏まずの前部と足指間にかかってくる体重に起因する足への衝撃をも十分に緩和し吸収させるよう、土踏まずの前部と足指間の足裏前部内にもエアクッションを入れたポリウレタンゴムからなる靴及び靴底とすることを提案している(特許文献2参照。)。これらの工夫より、靴底に配設された各エアクッションの形状に合致した状態で履いた足の足裏及びかかとに掛かる負荷を受けることを可能とし、踵全体に掛かる負荷を足裏全体に配分させながら歩行することが可能な靴及び靴底を提供しうることとなる。
もっとも、通常、靴の履用者が歩行する際には、履用者の体重の重心が、歩行により中足骨から趾節骨方向へ移動し、土踏まずの前部付近から足指間の靴底が弓状に自然に反る状態となるところ、上記各工夫にて用いられるエアクッションは、歩行または走行時に体重による圧力がかかると、内部に閉じ込められている気体の圧力が高まりやすく、エアクッションが非常に堅くなって緩衝性を失ってしまうことがある。更には若干膨らんだ状態となって、足の骨に負荷を与える懸念があることから、さらに工夫を重ねる配慮が望まれている。さらに、そのような圧力がかかったエアクッションは屈曲しがたくなるため、土踏まずの前部付近から足指間のエアクッションが配置されている部分が弓状に自然に反ることが十分にできず、靴底は配設されたエアクッションの前後の位置で折れ曲がり易くなるので、靴底のクッション性、履用感、耐久性が十分に発揮できず、ときに悪化する懸念などが考えられるため、さらなる工夫が望まれていた。
上記問題に対する若干の改善策として、本願出願人は、靴底の土踏まずの前部と足指間の足裏前部内にエアクッションを配設することに代えて、靴底の下層部の土踏まずより前方上面に、下層部よりも発泡性の高く硬度の低いポリウレタン樹脂を一体化させ、土踏まずの前部付近から足指間の靴底が弓状に自然に反り易くした靴底を提案している(特許文献3参照。)。
ところで、足裏の足指の付け根部付近に位置する中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織に炎症を有する履用者や、種子骨炎、強剛拇趾、外反母趾、内反母趾などの症状を有する履用者は、歩行時の足の蹴り出しの際に、中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織に圧力がかかることにより、親指付け根付近に強い痛みを生じる。また、踵においても、踵骨隆起及びその近傍の組織に炎症を有すると、靴の履用者は痛みを生じる。そこで、上記症状が発生する者は、かかとが低く衝撃緩和性のある厚い靴底を有する靴を履くか、専用の矯正装具を用いるなどの対策を取る必要が生じる。また、歩行距離又は走行距離の長い履用者や、パンプスやスリングバック、ブーツなどの、靴のかかとの靴底の表底に踵の高いヒールを有する靴を履用する者は、そのような症状を発症するリスクが高い。
そのため、上記症状を生じるリスクの高い履用者は、痛み及び炎症を生じさせず、かつ、悪化させないようにするため、足裏の足指の付け根部付近に位置する中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織に不要の圧力を与える靴の履用を避けるとともに、歩行または走行時に土踏まずの前部付近に自然なアーチを保持しやすく衝撃緩和性のある靴を選ぶことが重要である。
この点、上記提案の靴底は、靴底の下層部の土踏まずより前方上面に、下層部よりも発泡性の高く硬度の低いポリウレタン樹脂を一体化させるため、靴底及び靴の製造に手間と費用がかかることとなる。また、上記提案の靴底は、土踏まずより前方上面に一体化した硬度の低いポリウレタン樹脂に十分な厚みを保持しないと却って衝撃吸収性が損なわれ、足裏の足指の付け根部付近に位置する中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織に不要な圧力がかかりやすくなる。また、左右または斜めに靴底がねじれたり曲がり、進行方向への歩行が不安定になりやすくなる懸念がある。一方で、土踏まずより前方上面に一体化した硬度の低いポリウレタン樹脂の厚みを増しすぎると靴底が弓状に自然に反らず自然な足の蹴り出しが難しくなるなど、ポリウレタン樹脂を最適な厚みに設定しなければ、中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織に不要な力学的負担がかかりやすくなる懸念がある。さらに、踵部にはエアクッションが配設されるが、歩行時に靴履用者の体重がエアクッションにかかると、内部に閉じ込められている気体の圧力が高まって、エアクッションが非常に堅くなって緩衝性が弱まり、足の骨、膝や腰に負荷を与える懸念がある。そのため、加減の調節が難しく、特定の履用者向けとなりやすいので、広範な履用者に適したクッション性と安定した歩行性を広く提供するには、さらなる改善が望まれていた。
本発明が解決しようとする課題は、固い地面や硬い床材からの衝撃が靴底を介して直接伝わることを妨げ、歩行又は走行時の足の蹴り出しの際に、靴の土踏まずの前部付近から足指間の部分が弓状に自然に反ることを可能とすることで、足裏、特に、中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織への力学的負担を軽減し、中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織における炎症を緩和し、または、長い距離の歩行又は走行や、靴のかかとの靴底の表底にヒールを有する靴の履用による足裏、特に、中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織における炎症の発生リスクを低減するとともに、靴底が左右または斜めにねじれたり曲がることがなく進行方向への歩行が安定な、靴底用のエアクッション及び該エアクッションを用いた靴底及び靴を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、上平面と底面とがそれぞれ断面が波形の波板状の平面からなり、前記両平面とその周囲の側面外周とで形成した空気室を備える平板状の靴底用エアクッションである。
上記の課題を解決するための本発明の第2の手段は、2枚の波板状の平面を有するプラスチック樹脂からなる波板を、やや離間かつ対向して配し、周囲を熱融着で封止して形成せしめた、内部に空気室を有する平板状の靴底用エアクッションである。
上記の課題を解決するための本発明の第3の手段は、前記波板状の平面は、その波形を構成する山部と谷部が、靴底の前後方向に繰り返されることを特徴とする、本発明の第1及び第2の手段の靴底用エアクッションである。
上記の課題を解決するための本発明の第4の手段は、前記波板状の平面は、その上平面と底面の断面の波形が、同位相あるいは逆位相であることを特徴とする、本発明の第1〜第3のいずれか1に記載の手段の靴底用エアクッションである。
上記の課題を解決するための本発明の第5の手段は、前記上平面の一部に窪みを有しているもしくは前記上平面から前記底面への貫通穴が開口していることを特徴とする、本発明の第1〜第4のいずれか1に記載の手段の靴底用エアクッションである。
上記の課題を解決するための本発明の第6の手段は、前記窪みもしくは前記貫通穴は、靴底に当接する足裏の足指の付け根部あるいは踵部に相当する部位に少なくとも1以上配設されていることを特徴とする、本発明の第1〜第5のいずれか1に記載の手段の靴底用エアクッションである。
上記の課題を解決するための本発明の第7の手段は、本発明の第1〜第6のいずれか1に記載の手段の靴底用エアクッションが少なくとも靴底の前方部分に配されていることを特徴とする靴底である。
上記の課題を解決するための本発明の第8の手段は、本発明の第1〜第7のいずれか1に記載の手段の靴底用エアクッションが靴底の前方部分と後方部分に少なくとも1段以上配されていることを特徴とする靴底である。
上記の課題を解決するための本発明の第9の手段は、後方部分の靴底用エアクッションは、その前方が低く前傾するようにして配されていることを特徴とする、本発明の第8の手段の靴底である。
上記の課題を解決するための本発明の第10の手段は、本発明の第7〜第9のいずれか1に記載の手段の靴底を用いたことを特徴とする靴である。
本願の第1〜第6のいずれか1に記載の手段の靴底用エアクッション1は、波形の波板状の平面を、対向する上平面と底面に有していることから、該靴底用エアクッション1を靴底の前方に配設すると、歩行により履用者の体重の重心が中足骨から趾節骨方向へ移動し、足裏の前方、すなわち、土踏まずの前部付近から足指間が弓状に自然に反る状態となることに追随して、靴底用エアクッションの上平面では波形の波板の山部と谷部のそれぞれの稜線が接近し、靴底用エアクッションの底面では波形の波板の山部と谷部のそれぞれの稜線が離れるようにして、自然に屈曲することが可能となった。
さらに、該靴底用エアクッション1に、靴履用者の体重が上平面から底面方向にかかっても、エアクッション1の波板には、山部2−谷部3−山部2の繰り返しの間の部分に構成された十分な隙間が存在していることから、その隙間にせり出すようにしてエアクッションが変形することが可能となった。そのため、荷重がかかった状態であっても、エアクッションが有する空気室の内圧が保たれるとともに、所期の緩衝性を十分に維持することができるようになった。さらに、歩行時の足裏の状態に追随して自然に屈曲する状態を維持することも、同時に可能となった。
これにより、足の骨、膝や腰、特に、足裏の足指の付け根部付近に位置する中足骨骨頭部や種子骨、踵骨隆起、及びそれらの周囲の組織に不要な圧力がかからず、足の骨、膝や腰に望ましくない負荷を与えることがなく、良好な歩行性が維持される効果が得られるもののなった。
さらに、本願の第5の手段の靴底用エアクッション1のように、靴底用エアクッションが、上平面の一部に窪みを有しているもしくは前記上平面から前記底面への貫通穴が開口しているものは、窪み又は貫通孔があることで上部からの圧力が逃されるため、窪み又は貫通孔が、足裏の足指の付け根部付近に位置する中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織が存在する部位や踵骨隆起に対応する位置に配されるようにすることで、当該部位に不要な圧力をかけず、足の骨、膝や腰に望ましくない負荷を与えることがより少なくなる効果が得られるものとなった。
また、本願の第1〜第6のいずれか1に記載の手段の靴底用エアクッションを、たとえば、山部と谷部のそれぞれの稜線の向きが足の左右方向と略平行となるように靴底に配し、それを用いた靴とすると、当該エアクッションは、波形の波板状の平面を、対向する上平面と底面に有していることによって、エアクッションの屈曲性に異方性が備わっているので、靴底は前後には屈曲しやすいものの左右には屈曲しにくい効果を有したものとなり、自然な足の屈曲動作については適切に追従して十分に屈曲することができる一方で、左右に靴底がねじれることはなくなった。このように本願の第1〜第6のいずれか1に記載の手段の靴底用エアクッションは、靴底及びそれを用いた靴に適用すると、屈曲しやすい向きと屈曲しない向きを靴底及びそれを用いた靴に付与することが容易となる効果を有するものとなった。そして、斜めに靴底がねじれたり曲がったりしにくくなるので、進行方向への歩行が安定しやすく、安全性が高まるほか、捻ったりしにくいので、ねんざ等の低減にも有用なものとなっている。
本発明を実施するための形態について、適宜図面1〜7を参照しつつ以下に説明する。
(靴底用エアクッションの素材、形状、製造方法について)
本発明の上平面と底面とがそれぞれ断面が波形の波板状の平面からなり、前記両平面とその周囲の側面外周とで形成した空気室を備える平板状の靴底用エアクッション1には、図1、2、4及び5に示すように、軟質プラスチックである塩化ビニールなどの熱可塑性樹脂や合成ゴムなどの素材を用いる。
本発明の上平面と底面とがそれぞれ断面が波形の波板状の平面からなり、前記両平面とその周囲の側面外周とで形成した空気室を備える平板状の靴底用エアクッション1には、図1、2、4及び5に示すように、軟質プラスチックである塩化ビニールなどの熱可塑性樹脂や合成ゴムなどの素材を用いる。
本発明の靴底用エアクッション1は、前記波板状の平面は、その波形を構成する山部2と谷部3が、靴底の前後方向に繰り返されるようにして製作される。そして、前記波板状の平面は、その上平面と底面の断面の波形が、同位相となるようにして製作してもよいし、あるいは、逆位相となるようにして製作してもよい(図1、図2、図4及び図5参照)。なお、靴底の前後方向とは靴底のつま先側を前方とし、踵側を後方とした場合の向きのことである。
また、本発明の靴底用エアクッション1は、前記上平面の一部に窪み5を有しているようにして製作したものとすることができる(図2及び図5を参照)。靴底用エアクッション1は、上記上平面に対応する底面の一部も窪み5を有するようにしてもよい。さらに、上平面の窪みと底面の窪み5は、その一部が互いに接して一体となった薄膜を形成してもよい。また更に、本発明の靴底用エアクッション1は、前記上平面から前記底面への貫通穴5が開口しているようにして製造してもよい。該貫通穴は、上記薄膜の一部に形成してもよい。そして、前記窪み5もしくは前記貫通穴5は、靴底に当接する足裏の足指の付け根部あるいは踵部に相当する部位に少なくとも1以上配設されているようにすることが好ましい。これにより、足裏の足指の付け根部あるいは踵部に相当する部位に加わる不要な圧力が減じられ、炎症を惹起する可能性が減るとともに、上記部位、特に足裏の足指の付け根部付近に位置する中足骨骨頭部や種子骨及びその周囲の組織に炎症が生じていても、自然な足の屈曲が可能なまま、歩行又は走行時に生じる痛みが緩和され、本来の自然な体勢での歩行及び走行が可能となる。
本発明の靴底用エアクッション1は、上記素材からなる平面素材を、熱融着などにより合わせ環状の袋体とし、封入口4から該袋体の中空構造の内部に空気あるいは窒素ガスなどを入れ、封入することで製作する。空気あるいは窒素ガスを封入した後に、上平面と底面とがそれぞれ断面が波形の波板状の平面からなり、前記両平面とその周囲の側面外周とで形成した空気室を備える平板状となるように、内部を成型した金型を用い、ブロー成型などの手段を用いることによって製作することができる。または、2枚の波板状の平面を有するプラスチック樹脂からなる波板を、やや離間かつ対向して配し、周囲を熱融着で封止し、封入口4から該袋体の中空構造の内部に空気あるいは窒素ガスなどを入れて封入し、内部に空気室を有する平板状の靴底用エアクッション1となるようにして製作することもできる。
本発明の靴底用エアクッション1は、靴底の素材の種類及び組合せを問わず、靴底に組み込み、組合わせ又は一体化したものとして用いることができる。靴底は、少なくとも靴底用エアクッション1を組み込むことが可能な厚みを有していれば、利用することが可能である。靴底用エアクッション1を複数段を用いる場合には、靴底が、それらエアクッションを収納可能な厚さ以上の厚みを有していれば、利用することが可能である。そして、前後がセパレートのエアクッションとして、靴底の前方及び後方に配するものとすることができる。また、靴底に組み込む部位や、特に緩衝性を持たせたい部位に合わせるよう、エアクッションの外周、窪み5及び貫通穴5の形状を変更してもよい(図1、図2、図4及び図5参照)。また、前後の靴底用エアクッション1は、空気圧を変更してもよいし、クッションの大きさを変える等して、調整することができる。それ以外に、もちろん1枚板としたものであってもよい。
そして、本発明の靴底用エアクッション1は、波形の波板状の平面を有していることから、歩行により履用者の体重の重心が中足骨から趾節骨方向へ移動し、足裏の前方、すなわち、土踏まずの前部付近から足指間が弓状に自然に反る状態となることに追随して、靴底用エアクッション1の上平面では波形の波板の山部2と谷部3のそれぞれの稜線が接近し、靴底用エアクッション1の底面では波形の波板の山部2と谷部3のそれぞれの稜線が離れるようにして、自然に屈曲することができる(図6(a)の(i)〜(v)を参照)。そして、靴底用エアクッション1に履用者の体重がかかっても、エアクッションの波板には、山部2−谷部3−山部2の繰り返しの間の部分に構成された十分な隙間が存在していることから、その隙間にせり出すようにしてエアクッションが変形できるので、離間した各波形の波板状の平面の距離はほぼ変わらないまま、エアクッションが有する空気室の内圧が保たれるとともに、所期の緩衝性を十分に維持することができ、さらに、歩行時の足裏の状態に追随して靴底が自然に屈曲した状態を作り出すことも、同時に可能となる。これにより、足の骨、膝や腰、特に、足裏の足指の付け根部付近に位置する中足骨骨頭部や種子骨、踵骨隆起、及びそれらの周囲の組織に不要な圧力がかからず、足の骨、膝や腰に望ましくない負荷を与えることがなく、良好な歩行性や走行性が維持される。
他方、従来の靴底用エアクッション6では、エアクッションに履用者の体重がかかると、空気室の内圧が高まってエアクッションが堅くなって緩衝性が弱まるとともに、体重が集中する部位の周辺におけるエアクッションの上平面と底面の距離が広がって厚みが増すように膨らみ、歩行時の足裏の状態には追随してエアクッションが屈曲することができなくなる(図6(b)の(i)〜(iii)を参照)。その結果、足の骨、特に、足裏の足指の付け根部付近に位置する中足骨骨頭部や種子骨、踵骨隆起、及びそれらの周囲の組織や、膝や腰に望ましくない負荷を与えるようなり、歩行性や走行性も損なわれ、靴底の樹脂が屈曲しないエアクッションの前後で繰り返し折り曲げられることで想定外の亀裂が生じ、靴底の耐久性、クッション性及び履用感が悪化する懸念も高まる。
また、本発明の靴底用エアクッション1は、靴底に組み込み、一体化したものとして用いる際、波形の波板における山部2と谷部3のそれぞれの稜線の向きが足の左右方向と略平行となるように靴底に配すると、靴底は前後には屈曲しやすいものの左右には屈曲しにくいものとなり、自然な足の屈曲動作については適切に追従して緩衝性を保持しつつ十分に屈曲することができる一方で、エアクッションの屈曲性に異方性が備わっているので、これを靴底に適用すると屈曲しやすい向きと屈曲しない向きを靴底に付与することが容易となり、左右に靴底がねじれることはなくなるため、十分な緩衝性と安定した歩行性や走行性とが同時に確保されるようになり、好ましい(図7参照)。また、本発明の靴底用エアクッション1は、靴底の前方部分と後方部分に少なくとも1段配するものとし、または、靴底の厚みや所望する緩衝性の程度に合わせて、複数段配するものとしても良い(図7(d)参照)。そして、後方部分の靴底用エアクッション1は、その前方が低く前傾するようにして配するようにすると、歩行時及び走行時に履用者の体重を適切に受け止めて緩衝性を十分に発揮させることができるので、好ましい(図7(c)及び図7(d)参照)。なお、後方の踵部分に配するクッションは従来型のエアクッションであってもよい。
このように、本発明の靴底用エアクッション1は、靴底の素材の種類及び組合せを問わず組み合わせて、靴底及び靴として提供するよう用いることができるものとなっている。そして、本発明の靴底用エアクッション1は、様々な材質及び構造を有する靴底及び靴に適用することで、広範な履用者に対して適したクッション性と安定した歩行性を有する靴底及び靴を、広く提供することができるものとなっている。
(靴底の素材、靴底及び靴の製造方法について))
本発明の靴底9は、用いる素材は特段に限定されないが、ポリウレタン樹脂(PUR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)又はゴム素材などの、広く靴底に用いられる素材を用い、金型内にて発泡・硬化させるなどし、またはそれらを組合せるなどして製作される。
本発明の靴底9は、用いる素材は特段に限定されないが、ポリウレタン樹脂(PUR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)又はゴム素材などの、広く靴底に用いられる素材を用い、金型内にて発泡・硬化させるなどし、またはそれらを組合せるなどして製作される。
たとえば、上記ポリウレタン樹脂は、分子内にウレタン結合−OCONH−をもつ高分子化合物である。一般にジイソシアナートとグリコールとから付加重合といった、ポリイソシアナートとポリオール類の重付加反応によって合成される高分子体である。
加熱することで軟化流動状態で射出成形等により金型の形状に沿って投入され、発泡硬化後は高温のままでも変形せず取り出すことができ、短時間で所定の形状の軽量な発泡ポリウレタン(ポリウレタンフォーム)の靴底を得ることができるものである。発泡ポリウレタン樹脂は、軽く、耐磨耗性、耐油性に優れ、弾力性や復元性に富むなど、靴底に適した特性を有しており、かつポリウレタン材料の成分や発泡度の調整などによって容易にその特性をさらに詳細に振りわけることができる。
具体的には、金型に流す原材料を投入時に混合して型内で発泡させるワンショット法と、プレポリマー法(ジオールとジイソシアネートから,まずプレポリマーをつくり,ついで架橋発泡させる方法)が知られているところ、本発明にはいずれの方法も適宜適用することができる。さらに、射出成形法(injection molding)のなかでも、とりわけ反応射出成形法(RIM,reaction injection molding)によれば、金属製の金型内に、反応硬化前のポリウレタン材料を、比較的に低圧な圧力下で混合注入することで効率よく発泡ポリウレタン樹脂の靴底9を製造することができる。金型は、銅又は亜鉛合金を材料として選択する。また、溶融樹脂を射出成形する方法とは異なり、特殊なミキシングヘッドを用いて2種のモノマーを金型内に混合射出し、重合反応を起こさせると同時に発泡させて、発泡成形品を得ることができるので、射出圧も低くでき、簡易な金型であるアルミ材料を選択することもできる。金型温度の調整が容易であり、流れ作業時の負担を軽減することができる銅、亜鉛合金又はアルミモールドを用いると、鉄に比べて、発泡硬化後の表面の仕上がりが美しくなめらかであり、得られた靴底の後処理の手間が少なく高級な婦人靴製造において適している。なお、成形前の金型の内面周辺には、金型と発泡ポリウレタン樹脂やゴム素材との剥離性を良好なものとし、ポリウレタン樹脂ややゴム素材表面の硬化や発泡セルを内部と同様に良好な状態に保つべく、予め金型にシリコーンオイル等の離型剤を適宜付与しておいてもよい。塗布はスプレー等で均一に行なうとよい。
ポリウレタン樹脂は、その硬化反応中に発生する炭酸ガスの量や反応速度などにより、発泡度合いを調整することも容易である。たとえば、ポリイソシアネートと水の反応により、ユリア結合を生成しながら発生する炭酸ガスにより発泡体を作るので、水の量などの調整によって発泡度、および成形後の発泡ポリウレタン樹脂の密度の調整は容易である。
そして、トリイソシアネート(たとえばトリフェニルメタントリイソシアネート)を少量加えることで、熱硬化性の材料とすることができる。
そして、トリイソシアネート(たとえばトリフェニルメタントリイソシアネート)を少量加えることで、熱硬化性の材料とすることができる。
もちろん必要に応じて、フロン類(CFC、HCFC)、HFC、炭化水素(ペンタン類)といった発泡剤や発泡均一化剤を適宜追加して、所望する密度を容易に得る工夫をすることができる。また、体重を支える靴底であるから、たとえば独立気泡率が90%程度かそれ以上の発泡性のポリエチレンフォームとして体重を支承する圧縮強さを持ちながらも、発泡度合いや均一性を調整しつつ、所定の弾力や柔らかさや弾力が得られるように密度等を調整する。
上記発泡ウレタン樹脂は、路面と設置するので耐久性、耐磨耗性に優れたものが望ましく、成形後の発泡状態での密度は、0.45〜0.60g/cm3程度、好ましくは0.52〜0.55g/cm3程度である。一般的なウエッジソールの靴底に適するような硬さである。
また、上記ゴム素材は、好ましくは、天然ゴムもしくは合成ゴムにブラックカーボン、加硫剤、加硫促進剤、ホワイトカーボン等を加味して混練することで得ることができる。上記合成ゴムとしては、好ましくは、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム又はNBRなどを単体あるいは適宜混合させて用いることができる。
さらに、水たまりや滑りやすい路面、氷結路面、水で濡れたタイルなどの、滑りやすい路面や床の上を歩行する際に、好適な高い摩擦抵抗を発揮させることで靴底の滑りを防止するため、ゴムを混練する際に、ゴム素材に予めセラミック粉末あるいはクルミを粉末破砕して粉状にしたクルミ粉末などの、硬度の高い粉体を混ぜたものを用いることとしてもよい。上記硬度の高い粉体としては、好ましくは、粒度の細かいセラミック粉末あるいはクルミを粉末破砕して粉状にしたクルミ粉末を用いる。なお、粉末のサイズは、50メッシュ以下の細かさであることが望ましい。また、セラミックは、一般的に硬度が硬い粉状のものであればよく、ケイ酸塩以外にも、安定な酸化物や窒化物、炭化物、その他の無機物ないし無機化合物であれば好適に適用可能であり、内部にポーラス状の空隙を有するものであってもよい。
上記ゴム素材は、加硫成形後の硬度が、好ましくは70〜85度程度となるものを用いる。本発明の靴底用エアクッション1の上部にゴム製フタを配する場合は、上記硬度を上回らない値となるように調製される。加硫、混練する際に、投入するホワイトカーボンの量等を調整するとよい。また、ブタジエンゴムを加味するなどすることで、より硬度の低いゴムとすることができる。なお、硬度の確認は、一般的なデュロメータ硬度計を用いてJIS K6253に基づいて測定評価することができる。適宜デュロメータ硬度を確認することにより、所定のゴムの硬さへと調整することができる。
ゴム素材を用いた靴底9は、上記ゴム素材を混練して均一にした後、金型に流し混んで加圧プレス成形した各部材を組み合わせ、加硫成形することで得る。たとえばゴム素材を160℃前後の流動状態にしておき、これを金型に流し込みその後120〜1800kg/cm2で加圧プレスしながら5〜10分弱の間これを保持し、その後、金型から外すことで、所定形状の靴底を得ることができる。上記加硫工程については、当該工程を2段に分け、最適加硫まで行わないで途中で加硫操作を止めた状態、すなわち、半加硫の状態で部材を金型から取り出し、各部材を組み合わせた後に、後加硫を行うものとしてもよい。
金型は、予め成型後に靴底の形状となるように内部の凹凸部を形成したものとし、さらに、内部に予め離型剤を塗布するなどしておくことで、投入されたゴムが金型から適切に剥離できるようにする。また、金型に投入する際、加圧時の圧力を高める調整をすることでゴム素材が金型内の細部にまで十分に行き渡るようにすることができる。金型から外した靴底は適宜洗浄することで余計な残存する薬剤成分を洗い流しておく。
靴底に本発明の靴底用エアクッション1を組み込む際は、ポリウレタン樹脂を用いた靴底の場合には、靴底に予めエアクッションを配するための凹部を形成しておき、その凹部内にエアクッションを配設せしめてもよく、または、靴底を形成するための金型内部へエアクッションを位置決め配置し、ポリウレタン樹脂を注入し、該ポリウレタン樹脂材料を自己反応熱および加熱により硬化させて組み込み一体化させてもよい。
金型内部へのエアクッション1の位置決めは、靴底成型用のベース金型内の凹んだ空間にエアクッション1を差し込み固定するか、エアクッション1の窪み又は周囲に配設された薄膜又は該薄膜に形成された貫通穴に、金型内面へ突出するように配設された棒状の鋼部材を貫通させ、部位並びに角度を保持させるようにして、各段のエアクッション1を位置決めする(特許文献2及び特許文献3に記載の方法を用いることができる)。
また、ゴム素材を用いる場合は、加硫成形時に高い温度が加わり靴底用エアクッションが変質したり変形することを防止するため、靴底に予めエアクッション1を配するための凹部を形成しておき、その凹部内にエアクッション1を配設し、さらに、任意で、エアクッション上部に、加硫成型済みのゴム素材からなる蓋を配設したものとすることが好ましい。
上記のようにして製造した本願発明の靴底9は、さらに種々のアッパーや中敷と組み合わせて靴に仕上げる。
(実施例1)
本発明の平板状の靴底用エアクッション1として、靴底の前方に配する靴底用エアクッションで、前後方向の長さが2.0cm〜3.7cm、左右方向の長さが6.5cm、厚みが0.8cmのものを、上記製造方法に従い、軟質プラスチックである塩化ビニールからなる環状の袋体を金型にセットし、ブロー成型により袋体の中空構造の内部に空気を封入して製造した(図2)。上平面と底面の断面の波形は逆位相となるものを製造した。
本発明の平板状の靴底用エアクッション1として、靴底の前方に配する靴底用エアクッションで、前後方向の長さが2.0cm〜3.7cm、左右方向の長さが6.5cm、厚みが0.8cmのものを、上記製造方法に従い、軟質プラスチックである塩化ビニールからなる環状の袋体を金型にセットし、ブロー成型により袋体の中空構造の内部に空気を封入して製造した(図2)。上平面と底面の断面の波形は逆位相となるものを製造した。
(比較例2)
比較例として、波板を有していない、従来形状の靴底用エアクッション6として、靴底の前方に配する靴底用エアクッションで、前後方向の長さが2.0cm〜3.7cm、左右方向の長さが6.5cm、厚みが0.8cmのものを、記製造方法に従い、軟質プラスチックである塩化ビニールからなる環状の袋体を金型にセットし、ブロー成型により袋体の中空構造の内部に空気を封入して製造した(図3)。
比較例として、波板を有していない、従来形状の靴底用エアクッション6として、靴底の前方に配する靴底用エアクッションで、前後方向の長さが2.0cm〜3.7cm、左右方向の長さが6.5cm、厚みが0.8cmのものを、記製造方法に従い、軟質プラスチックである塩化ビニールからなる環状の袋体を金型にセットし、ブロー成型により袋体の中空構造の内部に空気を封入して製造した(図3)。
(実施例3)
靴底の前方に、実施例1の、本発明の靴底用エアクッション1を、山部2と谷部3のそれぞれの稜線の向きが足の左右方向と略平行となるようにして靴底に配し、踵部には、前側が低く踵側を高く、踵部の傾斜した表底と平行になるように傾斜させた平板状の靴底用エアクッションを配し、それらを一体化させた、ポリウレタンゴムからなるウエッジソールを有する踵高な靴底を、上記製造方法に基づき製造した(図7(a)及び図7(c)参照)。
靴底の前方に、実施例1の、本発明の靴底用エアクッション1を、山部2と谷部3のそれぞれの稜線の向きが足の左右方向と略平行となるようにして靴底に配し、踵部には、前側が低く踵側を高く、踵部の傾斜した表底と平行になるように傾斜させた平板状の靴底用エアクッションを配し、それらを一体化させた、ポリウレタンゴムからなるウエッジソールを有する踵高な靴底を、上記製造方法に基づき製造した(図7(a)及び図7(c)参照)。
(比較例4)
靴底の前方に、比較例2の、波板を有していない従来形状の靴底用エアクッション6を配し、踵部には、前側が低く踵側を高く、踵部の傾斜した表底と平行になるように傾斜させた平板状の靴底用エアクッションを配し、一体化させた、ポリウレタンゴムからなるウエッジソールを有する踵高な靴底を、上記製造方法に基づき製造した製造した。
靴底の前方に、比較例2の、波板を有していない従来形状の靴底用エアクッション6を配し、踵部には、前側が低く踵側を高く、踵部の傾斜した表底と平行になるように傾斜させた平板状の靴底用エアクッションを配し、一体化させた、ポリウレタンゴムからなるウエッジソールを有する踵高な靴底を、上記製造方法に基づき製造した製造した。
(比較例5)
靴底の前方に、靴底用エアクッションを配さず、ポリウレタンゴムが充填されている以外は、比較例4と同様にして、ウエッジソールを有する踵高な靴底を製造した。
靴底の前方に、靴底用エアクッションを配さず、ポリウレタンゴムが充填されている以外は、比較例4と同様にして、ウエッジソールを有する踵高な靴底を製造した。
(実施例6)
さらに、上記実施例3の靴底を用いて、ウエッジソールを有する踵高な婦人靴を製造した。
さらに、上記実施例3の靴底を用いて、ウエッジソールを有する踵高な婦人靴を製造した。
(比較例7)
さらに、上記比較例4の靴底を用いて、ウエッジソールを有する踵高な婦人靴を製造した。
さらに、上記比較例4の靴底を用いて、ウエッジソールを有する踵高な婦人靴を製造した。
(比較例8)
さらに、上記比較例5の靴底を用いて、ウエッジソールを有する踵高な婦人靴を製造した。
さらに、上記比較例5の靴底を用いて、ウエッジソールを有する踵高な婦人靴を製造した。
(屈曲に要する力の強さ試験)
実施例1の、本願発明の波板状の平面を上平面と底面に有する靴底用エアクッション1を用いて製造したポリウレタン樹脂製の靴底(実施例2)と、比較例2の、従来の構造を有する靴底用エアクッション6を用いて製造したポリウレタン樹脂製の靴底(比較例4)を用いて、曲げ試験を行い、靴底の屈曲に要する力の強さを確認した。
実施例1の、本願発明の波板状の平面を上平面と底面に有する靴底用エアクッション1を用いて製造したポリウレタン樹脂製の靴底(実施例2)と、比較例2の、従来の構造を有する靴底用エアクッション6を用いて製造したポリウレタン樹脂製の靴底(比較例4)を用いて、曲げ試験を行い、靴底の屈曲に要する力の強さを確認した。
試験に用いる靴底を、つま先から65mmの位置で靴底を左右方向に横断する器具を用いて固定し、さらにその部位から踵までの部分を器具を用いて荷重をかけて固定した。次に、圧子(曲げ治具)を靴底のつま先から50mmの箇所に下から垂直に押し当て、靴底を強制的に上方に屈曲させた。そして、圧子が初期の位置から10mm、20mm及び30mm上方へ移動した時に、圧子にかかる荷重を測定した。測定は、圧子:R=5、支点間距離:50mm、圧子を移動させる試験速度は5mm/min、室温22℃の条件下にて実施した。荷重を測定する機器は、ロードセル式のもので、容量10000Nのものを用いた。試験は、一般財団法人化学物質評価研究機構にて行われた。試験結果を表1に示す。
試験の結果、本願発明の波板状の平面を上平面と底面に有する靴底用エアクッションを用いて製造したポリウレタン樹脂製の靴底(実施例3)は、従来の構造を有する靴底用エアクッションを用いて製造したポリウレタン樹脂製の靴底(比較例4)に比べて、靴底の屈曲に必要とされる力の強さが弱いこと、すなわち、本願発明の波板状の平面を上平面と底面に有する靴底用エアクッションを靴底に用いると、従来の構造のエアクッションを靴底に用いた場合に比べて、利用者が履き、上部から体重が掛かった状態において、より容易に靴底が屈曲することが明らかとなった。本願発明の波板状の平面を上平面と底面に有する靴底用エアクッションを用いることで、従来の構造のエアクッションを用いる場合に比して、歩行時における自然な足の屈曲動作に追従して、靴底がより自然に屈曲するものであり、足裏への不要な圧力が低減される効果を有するエアクッション入りの靴底が得られるものであることが確認された。
(繰り返し屈曲試験)
次に、ASTM D1052法に基づく(ロス式)5万回の屈曲試験を実施した。試験は、一般財団日本繊維製品品質技術センター東京総合試験センターにて行われた。この試験において、靴底を屈曲させることは、歩行時の姿勢変化に伴う靴の屈曲動作の繰り返しを想定したものである。屈曲試験回数は、およそ3万回で、ほぼ1シーズンにわたって靴を履用した場合の歩数に相当する。
次に、ASTM D1052法に基づく(ロス式)5万回の屈曲試験を実施した。試験は、一般財団日本繊維製品品質技術センター東京総合試験センターにて行われた。この試験において、靴底を屈曲させることは、歩行時の姿勢変化に伴う靴の屈曲動作の繰り返しを想定したものである。屈曲試験回数は、およそ3万回で、ほぼ1シーズンにわたって靴を履用した場合の歩数に相当する。
上記本発明品の実施品及び比較品では、5万回の負荷付与後も、本発明の靴底には、ひび割れ等の異常は認められなかった。上記本発明品の実施品は、履用による屈曲の繰り返しに耐える十分な耐久性を備えていることがわかった。
(衝撃吸収性と歩行のしやすさの確認)
その他、履用者に平地、斜面、および階段、砂利道を順次歩行させて、違和感の有無等を確認した。本発明の靴底を用いて製造した、実施例6のウエッジソールの踵高な婦人靴では、平地、斜面、階段、砂利道等での歩行に支障はなく、違和感は認められなかった。また、比較例7及び比較例8の靴に比べて、本願発明の実施例6の靴は、長時間履用した場合の疲労度が低減し、履き心地の快適度が向上していた。
その他、履用者に平地、斜面、および階段、砂利道を順次歩行させて、違和感の有無等を確認した。本発明の靴底を用いて製造した、実施例6のウエッジソールの踵高な婦人靴では、平地、斜面、階段、砂利道等での歩行に支障はなく、違和感は認められなかった。また、比較例7及び比較例8の靴に比べて、本願発明の実施例6の靴は、長時間履用した場合の疲労度が低減し、履き心地の快適度が向上していた。
さらに、本願発明の波板状の平面を上平面と底面に有する靴底用エアクッションを、山部と谷部のそれぞれの稜線の向きが足の左右方向と略平行となるように靴底に配した、実施例6の靴は、従来構造の靴底を用いた比較例7及び比較例8の靴に比べて、歩行時に足裏の湾曲に追従するように屈曲できるので、硬い平板的な歩行感はなく、歩きにくいといったこともなかった。また、歩行試験中に、踵高な靴で典型的にみられるような、踵から頭部へと硬い衝撃が直接伝わる現象はみとめられなかった。
また、斜面、特に、進行方向に向かって左右いずれかの側が低くなっている傾斜面を歩行すると、本願発明の波板状の平面を上平面と底面に有する靴底用エアクッション1を、山部と谷部のそれぞれの稜線の向きが足の左右方向と略平行となるように配した靴底が用いられている実施例6の靴(図7参照)は、靴底が、足の屈曲動作に追従して、靴底及び配設された靴底用エアクッション1が自然に前後方向に屈曲し、足の屈曲が解消された部分については、靴底の屈曲状態が自然に解消され元の状態に戻るため(図6(a)の(i)〜(v)を参照)、スムーズに前方に歩くことができた。そして、左右や斜めにねじれるように屈曲することがなく、足を捻るような状態にはならなかった。一方、従来構造の靴底用エアクッションを用いた比較例7の靴は、クッション部分の屈曲が不十分で(図6(b)の(i)〜(iii)を参照)、歩行時に違和感が感じられた。また、靴底前方にクッションを有しない比較例8の靴は、上記傾斜面を歩行すると、靴底にねじれが生じ、歩行時に違和感が感じられた。
また、1〜2cm大の小石を1つ踏みつけた場合の姿勢の乱れについて確認した。本発明の靴底を用いた実施例6の靴では、踏みつけた小石によって足が左右に一気にこじられるように意図せぬ方向へと傾くことはなく、足の屈曲動作に追従して、靴底が自然に前後方向に屈曲し、十分に姿勢を制御する余裕が保持できた。そして、砂利道での歩行においても、スムーズに前方に歩くことができた。そして、左右や斜めにねじれるように屈曲することがなく、足を捻るような状態にはならなかった。一方、一方、従来構造の靴底用エアクッションを用いた比較例7の靴及び靴底前方にクッションを有しない比較例8の靴では、足の屈曲動作に追従しなかったりねじれが生じるなどの違和感が感じられた。
1 本願発明の靴底用エアクッション
2 靴底用エアクッションの波板状の平面における山部
3 靴底用エアクッションの波板状の平面における谷部
4 封入口
5 窪み又は靴底用エアクッション上平面から底面への貫通穴
6 従来構造の靴底用エアクッション
7 封入口
8 窪み又は靴底用エアクッション上平面から底面への貫通穴
9 本願発明の靴底
2 靴底用エアクッションの波板状の平面における山部
3 靴底用エアクッションの波板状の平面における谷部
4 封入口
5 窪み又は靴底用エアクッション上平面から底面への貫通穴
6 従来構造の靴底用エアクッション
7 封入口
8 窪み又は靴底用エアクッション上平面から底面への貫通穴
9 本願発明の靴底
Claims (10)
- 上平面と底面とその周囲の側面外周とで閉空間が形成された空気室を備えるプラスチック樹脂からなる平板状の靴底用エアクッションであって、
その上平面および底面は、いずれもその垂直断面が周期的波形となった波板状の平面からなり、上平面と底面とが離間かつ対向し、この上平面の波板状の平面の山部の稜線の向きが底面の波板状の平面の山部の稜線の向きと平行であり、歩行時に上平面の波板状の平面における波板の山部と谷部のそれぞれの稜線が接近し、底面の波板状の平面における波板の山部と谷部のそれぞれの稜線が離れてエアクッションが自然に屈曲し、体重がかかった状態においては、エアクッションが山部と谷部の隙間にせり出すように変形し離間した波板状の平面の距離がほぼ変わらないまま空気室の内圧が保たれ、緩衝性を保持しつつ自然に屈曲し得るものであって、さらに前後に屈曲しやすく、左右に屈曲しにくい屈曲性に異方性を備えたものであることを特徴とする、
靴底の表底内に、前記上平面が中底側に、底面が地面側に、山部と谷部のそれぞれの稜線の向きが足の左右方向と略平行になるように配設するための靴底用エアクッション。 - 2枚の垂直断面が周期的波形となった波板状の平面を有するプラスチック樹脂からなる波板が、やや離間かつ対向して配され、その周囲が封止されて、内部に閉空間が形成された空気室を有する状態となっており、歩行時に上平面の波板状の平面における波板の山部と谷部のそれぞれの稜線が接近し、底面の波板状の平面における波板の山部と谷部のそれぞれの稜線が離れてエアクッションが自然に屈曲し、体重がかかった状態においては、エアクッションが山部と谷部の隙間にせり出すように変形し離間した波板状の平面の距離がほぼ変わらないまま空気室の内圧が保たれ、緩衝性を保持しつつ自然に屈曲し得るものであって、さらに前後に屈曲しやすく、左右に屈曲しにくい屈曲性に異方性を備えたものであることを特徴とする、
平板状の靴底の表底内に、前記上平面が中底側に、底面が地面側に、山部と谷部のそれぞれの稜線の向きが足の左右方向と略平行になるように配設するための靴底用エアクッション。 - 前記波板状の平面は、その波形を構成する山部と谷部が、靴底の前後方向に繰り返されることを特徴とする、請求項1及び請求項2に記載の靴底用エアクッション。
- 前記波板状の平面は、その上平面と底面の断面の波形が、同位相あるいは逆位相であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の靴底用エアクッション。
- 前記上平面の一部に窪みを有しているもしくは前記上平面から前記底面への貫通穴が開口していることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の靴底用エアクッション。
- 前記窪みもしくは前記貫通穴は、靴底に当接する足裏の足指の付け根部あるいは踵部に相当する部位に少なくとも1以上配設されていることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の靴底用エアクッション。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の靴底用エアクッションが少なくとも靴底の前方部分に配されていることを特徴とする靴底。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の靴底用エアクッションが靴底の前方部分と後方部分に少なくとも1段以上配されていることを特徴とする靴底。
- 後方部分の靴底用エアクッションは、その前方が低く前傾するようにして配されていることを特徴とする、請求項8に記載の靴底。
- 請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の靴底を用いたことを特徴とする靴。
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