JP5408757B1 - エアクッション入りゴム製靴底 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】緩衝装置を収めるための凹部を有するゴム製本底及びゴム製フタを加硫成形により製造し、得られたゴム製本底の凹部の中に、軟質プラスチック製の中空構造の部材の中空部に気体が封入された緩衝装置を配設し、その上部に、上記ゴム製フタを、該緩衝装置の凹部とゴム製フタの凸部が嵌合するように配設するようにして、靴底を製造する。
【選択図】 図1
Description
また、請求項1及び請求項2の手段によると、上記緩衝装置と上部のフタは、緩衝装置に備えられる凹部と上部のフタに備えられる凸部とを嵌合させるため、上部のフタが前後左右にずれることがない。そのため、製造時にフタを物理的に緩衝装置及び本底に固定せずとも、履用時において所定の靴底の構造を維持することが可能となる。加えて、上記のようにフタが固定されていないため、フタをはずし、気体の封入量が異なるなど緩衝能力の程度が異なる、別の緩衝装置に交換することができる。請求項3の手段のようにフタを接着して本底に固定し、構造をより安定化させることもできる。
さらに、請求項4の手段により、本底下層部に、さらに高い防滑性を付与することが可能となる。そして、請求項5の手段により、本底下層部に硬度が70〜85度の加硫成形されたゴムを用いることで、堅牢性、対磨耗性を高め、本底上層部にそれよりも硬度が低い50度を上回り65度以下の加硫成形されたゴムを用いることで内包するエアクッションの衝撃緩和性に追従可能な柔軟さを提供することができるので衝撃緩和性を十分に発揮させることができるし、ゴム製フタに、上層部の硬度を上回らない加硫成形されたゴムを用いることで、衝撃緩和性を阻害せず違和感のない履用感が得られる。そこで、これらによってゴムによる適度な堅牢性とエアクッションによる衝撃緩和性とを両立せる従来になかった靴底を提供することが可能となる。
本発明の靴底における本底及びゴム製フタは、ゴム素材を用いて製作される。上記ゴム素材は、好ましくは、天然ゴムもしくは合成ゴムにブラックカーボン、加硫剤、加硫促進剤、ホワイトカーボン等を加味して混練することで得ることができる。上記合成ゴムとしては、好ましくは、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム又はNBRなどを単体あるいは適宜混合させて用いることができる。
本発明の靴底のゴム製の本底の形状は、ヒールを有した形状であって、当該ヒール内部に、軟質プラスチック製の中空構造の部材の中空部に気体が封入された緩衝装置及びゴム製フタを配設したものとするため、本底のヒールの部位の上面に、該緩衝装置及びゴム製フタを配設するための凹部を設けた形状とする。本底は、複数の成形前の本底上層部及び本底下層部の部位を組み合わせ、加硫成形して一体化させた形状のものとしてもよい。また、着地時の接地面を増やし着地安定性を高めるため、本底の後方に傾斜を設けた形状のものとすることができる。さらに、歩行性を高めるため、本底の接地面に溝を設けた形状のものとすることができる。
本発明の靴底のゴム製の本底ヒール上面に設けられた凹部の中に配設される緩衝装置は、軟質プラスチック製の中空構造の部材に気体を封入したものからなり、金型を用いたブロー成型などの手段を用いることによって製作される。また、該緩衝装置の表面には、上面に配設されるゴム製フタのずれを抑止するために、凹部を形成させた形状とする。
本発明の靴底の本底及びゴム製フタは、上記ゴム素材を混練して均一にした後、金型に流し混んで加圧プレス成形した各部材を組み合わせ、加硫成形することで得る。たとえばゴム素材を160℃前後の流動状態にしておき、これを金型に流し込みその後120〜1800kg/cm2で加圧プレスしながら5〜10分弱の間これを保持し、その後、金型から外すことで、所定形状の靴底の本底及びゴム製フタを得ることができる。上記加硫工程については、当該工程を2段に分け、最適加硫まで行わないで途中で加硫操作を止めた状態、すなわち、半加硫の状態で部材を金型から取り出し、各部材を組み合わせた後に、後加硫を行うものとしてもよい。こうすることでたとえば硬さの異なる上層部と下層部とをそれぞれ半加硫状態で用意して、これらを後加硫で十分に密着させた一体的な状態とすることができるので、十分な強度の靴底部材を得ることができる。
上記形状を有する緩衝装置2とゴム製フタ3は、図6に断面が示されるよう示すように、フタ下面に軟質プラスチック製の中空構造の部材の凹部に嵌合するように配設された凸部3aが、前記軟質プラスチック製の環状パイプからなる左右側部パイプと、左右側部パイプの左右側部の間の中央部を前後に離間して外周パイプに梯子状に連通する複数本の軟質プラスチック製の環状パイプからなる横パイプの各パイプ間に出来た凹部2aに嵌合するようにして配設した。このように、緩衝装置2の凹部2aとゴム製フタ3の凸部3aとを嵌合するように配設することにより、ゴム製フタ3が緩衝装置2上に係止され、ゴム製フタ3をゴム製の本底1並びに緩衝装置2と接着させて一体化させなくとも、ゴム製フタのずれを抑止することができるようになった。
本発明の実施により得られた、上層下層の2層からなるゴム製の靴底について、靴底を3万回繰り返し屈曲させる疲労特性の確認試験を実施した。屈曲試験はASTM D1052法に基づく(ロス式)3万回の屈曲試験を実施した。この試験において、靴底を屈曲させることは、歩行時の姿勢変化に伴う靴の屈曲動作を想定したものである。屈曲試験回数は、およそ3万回で、ほぼ1シーズンにわたって靴を履用した場合の歩数に相当するものである。本発明の靴底には、ひび割れ、2層の境界面での剥離等の外形的なひび割れ等の異常は認められなかった。またエアクッション及びフタが外れたり、ずれたりすることもなかった。
その他、履用者に平地および階段、砂利道を順次歩行させて、違和感の有無等を確認した。本発明のエアクッション入りの2層の靴底を用いた婦人靴では、平地、階段、砂利道等での歩行に支障はなく、違和感は認められなかった。また、上層部とエアクッションの衝撃緩和性は優れており、これらの構造を欠いた通常のゴム製靴底の靴に比べても、長時間履用した場合の疲労度が低減し、履き心地の快適度が向上した。
1a 軟質プラスチック製の中空構造の部材の中空部に気体が封入された緩衝装置とゴム製フタとを配設するための凹部
1b 軟質プラスチック製の中空構造の部材の中空部に気体が封入された緩衝装置2が配設される領域(点線で囲った領域)
2 軟質プラスチック製の中空構造の部材の中空部に気体が封入された緩衝装置
2a 緩衝装置の凹部
2b 軟質プラスチック製の環状パイプからなる左右側部パイプ
2c 左右側部パイプの左右側部の間の中央部を前後に離間して外周パイプに梯子状に連通する複数本の軟質プラスチック製の環状パイプからなる横パイプ
2d 横パイプの中央部を後方に連通する軟質プラスチック製の環状の縦パイプ
3 ゴム製フタ
3a ゴム製フタの凸部
4 本発明の靴底
5 本底の上層部
6 本底の下層部
Claims (11)
- 本底がゴム製であり、本底のヒール上面に緩衝装置を収めるための凹部が設けられ、当該凹部には、軟質プラスチック製の中空構造の部材の中空部に気体が封入された緩衝装置が配設され、さらにヒール上面に、ゴム製フタを、凹部及び当該緩衝装置の上部に嵌合するようにして配設したものからなる靴底であって、前記緩衝装置における軟質プラスチック製の中空構造の部材が、表面に凹部を有するものであり、前記ゴム製フタが、フタ下面に、前記緩衝装置の中空構造の部材表面の凹部に嵌合するように配設された凸部を有することを特徴とする、該靴底。
- 前記緩衝装置が、軟質プラスチック製の環状パイプからなる左右側部パイプと、左右側部パイプの左右側部の間の中央部を前後に離間して外周パイプに梯子状に連通する複数本の軟質プラスチック製の環状パイプからなる横パイプと、横パイプの中央部を後方に連通する軟質プラスチック製の環状の縦パイプからなる踵部エアクッションであり、前記ゴム製フタ下面に軟質プラスチック製の中空構造の部材の凹部に嵌合しうるように配設された凸部が、前記軟質プラスチック製の環状パイプからなる左右側部パイプと、左右側部パイプの左右側部の間の中央部を前後に離間して外周パイプに梯子状に連通する複数本の軟質プラスチック製の環状パイプからなる横パイプの各パイプ間に出来た凹部に嵌合するように配設されているものであることを特徴とする、請求項1に記載の靴底。
- 前記ゴム製フタが、前記本底のヒール上面凹部上に接着されていることを特徴とする、請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の靴底。
- 前記本底の下層部のゴムが、セラミック粉などの硬度の高い粉体を混ぜたものから加硫成形されてなることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の靴底。
- 前記本底が、硬度が50度を上回り65度以下の加硫成形されたゴムからなる上層部及び硬度が70〜85度の加硫成形されたゴムからなる下層部からなり、前記加硫成形されたゴム製フタの硬度が上層部の硬度を上回らないことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の靴底。
- 靴底の本底下層部用の型枠内の内部に下層部用ゴム素材を注入し、高圧下で予備加熱して半加硫状態のゴムからなる本底下層部を得て、また、ヒール上面に緩衝装置を収めるための凹部を設けた本底上層部用の型枠内の内部に上層部用ゴム素材を注入し、高圧下で予備加熱して半加硫状態のゴムからなる本底上層部を得た後、それら半加硫ゴムからなる本底下層部及び本底上層部とを組み合わせ高圧下で本加熱成形を施し、本底下層部と本底上層部とを一体化させた本底を得る工程、並びに、ゴム製フタ用の型枠内の内部に上層部用ゴム素材を注入し、高圧下で加熱成形を施しゴム製フタを得る工程と、前記で得られた本底のヒール上面凹部に、軟質プラスチック製の中空構造の部材の中空部に、気体が封入された緩衝装置を配し、その上面に、前記ゴム製フタを配することからなる、靴底の製造方法であって、前記緩衝装置における軟質プラスチック製の中空構造の部材が表面に凹部を有し、前記加硫成形されたゴム製フタが、フタ下面に、前記緩衝装置の中空構造の部材の凹部に嵌合するように配設された凸部を有することを特徴とする、該靴底の製造方法。
- 前記緩衝装置が、軟質プラスチック製の環状パイプからなる左右側部パイプと、左右側部パイプの左右側部の間の中央部を前後に離間して外周パイプに梯子状に連通する複数本の軟質プラスチック製の環状パイプからなる横パイプと、横パイプの中央部を後方に連通する軟質プラスチック製の環状の縦パイプからなる踵部エアクッションであり、前記加硫成形されたゴム製フタ下面に軟質プラスチック製の中空構造の部材の凹部に嵌合しうるように配設された凸部が、前記軟質プラスチック製の環状パイプからなる左右側部パイプと、左右側部パイプの左右側部の間の中央部を前後に離間して外周パイプに梯子状に連通する複数本の軟質プラスチック製の環状パイプからなる横パイプの各パイプ間に出来た凹部に嵌合するように配設されているものであることを特徴とする、請求項6記載の靴底の製造方法。
- 前記加硫成形されたゴム製フタが、前記本底のヒール上面凹部上に接着されていることを特徴とする、請求項6及び請求項7のいずれか1項に記載の靴底の製造方法。
- 前記本底の下層部の加硫成形されたゴムが、セラミック粉などの硬度の高い粉体を混ぜたものからなることを特徴とする、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の靴底の製造方法。
- 前記本底が、硬度が50度を上回り65度以下の加硫成形されたゴムからなる上層部及び硬度が70〜85度の加硫成形されたゴムからなる下層部からなり、前記加硫成形されたゴム製フタの硬度が上層部の硬度を上回らないことを特徴とする、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の靴底の製造方法。
- 靴底が、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の靴底であることを特徴とする靴。
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