JP2005253047A - 無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents

無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 各通信局がそれぞれ独自に通信可能範囲を設定し、CSMAに基づく通信環境下で、各通信局が公平にアクセス制御を行なう。
【解決手段】 各通信局は、メディアの占有状態に応じて、自局の通信可能範囲に共存する通信局数が所定範囲となるように通信可能範囲を設定する。例えば、受信可能な通信局数を制限するために自局の受信可能範囲を設定する。また、自局が設定した受信可能範囲に適応した送信可能範囲を設定し、アクセス制御の不均一性を軽減するとともに、他局に与える干渉量のインパクトを最小限に抑える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、各通信局がCSMA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance:搬送波感知多重アクセス)などに基づいて他の通信局からの送信信号の検出に応じて衝突を回避しながらアクセスを行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
さらに詳しくは、本発明は、各通信局がメディアの占有状態に応じて所望の通信機会を得て動作する無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、各通信局がメディアの占有状態に応じて通信範囲を動的にコントロールして所望の通信機会を得て動作する無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
複数のコンピュータを接続してLANを構成することにより、ファイルやデータなどの情報の共有化、プリンタなどの周辺機器の共有化を図ったり、電子メールやデータ・コンテンツの転送などの情報の交換を行なったりすることができる。
従来、光ファイバーや同軸ケーブル、あるいはツイストペア・ケーブルを用いて、有線でLAN接続することが一般的であったが、この場合、回線敷設工事が必要であり、手軽にネットワークを構築することが難しいとともに、ケーブルの引き回しが煩雑になる。また、LAN構築後も、機器の移動範囲がケーブル長によって制限されるため、不便である。
そこで、有線方式によるLAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの通信端末を比較的容易に移動させることができる。
近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、その需要が著しく増加してきている。特に最近では、人の身の回りに存在する複数の電子機器間で小規模な無線ネットワークを構築して情報通信を行なうために、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の導入の検討が行なわれている。例えば、2.4GHz帯や、5GHz帯など、監督官庁の免許が不要な周波数帯域を利用して、異なった無線通信システムが規定されている。
無線ネットワークに関する標準的な規格の1つにIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11(例えば、非特許文献1を参照のこと)や、HiperLAN/2(例えば、非特許文献2又は非特許文献3を参照のこと)やIEEE302.15.3、Bluetooth通信などを挙げることができる。IEEE802.11規格については、無線通信方式や使用する周波数帯域の違いなどにより、IEEE802.11a(例えば、非特許文献4を参照のこと)などの各種無線通信方式が存在する。
送受信手順
一般的には、無線技術を用いてローカル・エリア・ネットワークを構成するために、エリア内に「アクセス・ポイント」又は「コーディネータ」と呼ばれる制御局となる装置を1台設けて、この制御局の統括的な制御下でネットワークを形成する方法が用いられている。
アクセス・ポイントを配置した無線ネットワークでは、ある通信装置から情報伝送を行なう場合に、まずその情報伝送に必要な帯域をアクセス・ポイントに予約して、他の通信装置における情報伝送と衝突が生じないように伝送路の利用を行なうという、帯域予約に基づくアクセス制御方法が広く採用されている。すなわち、アクセス・ポイントを配置することによって、無線ネットワーク内の通信装置が互いに同期をとるという同期的な無線通信を行なう。
ところが、アクセス・ポイントが存在する無線通信システムで、送信側と受信側の通信装置間で非同期通信を行なう場合には、必ずアクセス・ポイントを介した無線通信が必要になるため、伝送路の利用効率が半減してしまうという問題がある。
これに対し、無線ネットワークを構成する他の方法として、端末同士が直接非同期的に無線通信を行なう「アドホック(Ad−hoc)通信」が考案されている。とりわけ近隣に位置する比較的少数のクライアントで構成される小規模無線ネットワークにおいては、特定のアクセス・ポイントを利用せずに、任意の端末同士が直接非同期の無線通信を行なうことができるアドホック通信が適当であると思料される。例えば、IEEE802.11系の無線LANシステムでは、制御局を配さなくとも自律分散的にピア・ツウ・ピア(Peer to Peer)で動作するアドホック・モードが用意されている。
ここで、同一チャネル上に複数のユーザがアクセスする際、競合を回避する必要がある。競合を回避する代表的な通信手順として、CSMA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance:搬送波感知多重アクセス)が知られている。CSMAとは、キャリア検出に基づいて多重アクセスを行なう接続方式のことである。無線通信では自ら情報送信した信号を受信することが困難であることから、CSMA/CD(Collision Detection)ではなくCSMA/CA(Collision Avoidance)方式により、他の通信装置の情報送信がないことを確認してから、自らの情報送信を開始することによって、衝突を回避する。
CSMA/CAに基づく通信方式について、図33を参照しながら説明する。図示の例では、通信環境下に4台のSTA0〜#3が存在するものとする。
送信データを持つ各通信局は、最後にパケットを検出してから所定のフレーム間隔DIFS(DCF(Distributed Coordination Function)Inter Frame Space)だけメディア状態を監視し、この間にメディアがクリアすなわち送信信号が存在しなければ、続いてランダム・バックオフを行ない、さらにこの間にも送信信号が存在しない場合に、送信権利が与えられる。
図示の例では、他の周辺局より短いランダム・バックオフを設定したSTA0が送信権利を獲得し、STA1に対するデータ送信を開始することができる。
このデータ送信に際し、送信元のSTA0は、MACフレームのヘッダ(MACヘッダ)のDurationフィールドにおいて、NAV(Network Allocation Vector)の用途の情報が格納されており、データ通信のトランザクションが終了するまでの時間が記されている。
このデータ・フレームの送信先であるSTA1は、MACヘッダに記載されているDuration(後述)の期間だけ、自局宛てのデータの受信動作を行なう。そして、データ受信が完了すると、データ送信元のSTA0宛てにACKパケットを返す。
また、このデータ・フレームを受信したデータ送信先以外の通信局は、MACヘッダのDurationフィールドの記載を解読し、当該トランザクションが終了するまでメディアを監視することなくメディアが占有されている状態であると認識し、送信をストップさせる。この作業のことを、周辺局が「NAV(Network Allocation Vector)を立てる」などと呼ぶ。NAVは、Durationフィールドで示された期間にわたり有効となる。例えば、受信先のSTA1がACKパケットを返すまでの期間がDurationとして指定される。
このようにして、CSMA/CA方式によれば、競合を回避しながら単一の通信局が送信権利を獲得するとともに、データ通信動作の期間中は周辺局がデータ送信動作を停止することにより衝突を回避することができる。
ここで、アドホック環境の無線LANネットワークにおいては、隠れ端末問題が生じることが知られている。隠れ端末とは、ある特定の通信局間で通信を行なう場合、通信相手となる一方の通信局からは聞くことができるが他方の通信局からは聞くことができない通信局のことであり、隠れ端末同士ではネゴシエーションを行なうことができないため、上述したCSMA/CA方式のみでは送信動作が衝突する可能性がある。
隠れ端末問題を解決する方法論の1つとして、RTS/CTS手順によるCSMA/CAが知られている。IEEE802.11においてもこの方法論が採用されている。
RTS/CTS方式では、データ送信元の通信局が送信要求パケットRTS(Request To Send)を送信し、データ送信先の通信局から確認通知パケットCTS(Clear To Send)を受信したことに応答してデータ送信を開始する。そして、隠れ端末はRTS又はCTSのうち少なくとも一方を受信すると、RTS/CTS手続に基づくデータ伝送が行なわれると予想される期間だけ自局の送信停止期間を設定することにより、衝突を回避することができる。
図34には、RTS/CTS手順の動作例を示している。但し、無線通信環境下には、通信環境下に4台の通信局STA0〜STA3が存在するものとする。そして、STA2は隣接するSTA0と通信可能であり、STA0は隣接するSTA1、STA2と通信可能であり、STA1は隣接するSTA0、STA3と通信可能であり、STA3は隣接するSTA1と通信可能な状態にあるが、STA2はSTA1にとって隠れ端末となり、STA3はSTA0にとって隠れ端末となっている。
送信データを持つ各通信局は、最後にパケットを検出してから所定のフレーム間隔DIFS(DCF Inter Frame Space)だけメディア状態を監視し、この間にメディアがクリアすなわち送信信号が存在しなければ、ランダム・バックオフを行ない、さらにこの間にも送信信号が存在しない場合に、送信権利が与えられる。
図示の例では、フレーム間隔DIFSの後、他の周辺局より短いランダム・バックオフを設定したSTA0が送信権利を獲得し、STA1に対するデータ送信を開始することができる。
すなわち、データを送信するSTA0からSTA1に送信要求パケット(RTS)が送信される。これに対し、受信先となるSTA1は、より短いフレーム間隔SIFS(Short IFS)を以って、STA0に確認通知(CTS)を返送する。そして、STA0は、CTSパケットを受信したことに応答し、フレーム間隔SIFSを以ってデータ・パケットの送信を開始する。また、STA1は、データ・パケットの受信が完了すると、フレーム間隔SIFSを以ってACKパケットを返す。
このとき、STA0及びSTA1の双方から隠れ端末となり得る位置にあるSTA2並びにSTA3では、伝送路の利用を検出してこの通信が終了するまで送信を行なわない制御を行なう。より具体的には、STA2では、RTSパケットに基づいてSTA1が送信元となるデータ送信が開始されたことを検出し、RTSパケットのMACヘッダのDurationフィールドの記載(後述)を解読し、以後引き続くデータ・パケットの送信が完了するまでの間(ACKが終了するまでの期間)は、伝送路が既に利用されていることを認識し、NAV(Network Allocation Vector)を立てて送信待機することができる。
また、STA3では、CTSパケットに基づいてSTA1が受信先となるデータ送信が開始されたことを検出し、CTSパケットのMACヘッダのDurationフィールドの記載(後述)を解読し、以後引き続くデータ・パケットの送信が完了するまでの間(ACKが終了するまでの期間)は、伝送路が既に利用されていることを認識し、NAVを立てて送信待機することができる。
このように、隠れ端末はRTS又はCTSのうち少なくとも一方を受信すると、RTS/CTS手続に基づくデータ伝送が行なわれると予想される期間だけ自局の送信停止期間を設定するので、衝突を回避することができる。なお、RTS/CTS手続に従って送受信されるCTS、DATA、ACKという一連のフレームの伝送レートは、基本的に、RTSで適用されたレートに従うことになる。
フレーム・フォーマットの構成
図35には、IEEE802.11の拡張規格であるIEEE802.11aにおいて規定されているフレーム・フォーマットの構成例を示している。
各パケットの先頭には、パケットの存在を示すためのプリアンブルが付加されている。プリアンブルは、規格により既知のシンボル・パターンが定義されており、パケットの受信側ではこの既知パターンに基づき、受信信号がプリアンブルに値するか否かを判断し、信号の存在を認識することができる。
プリアンブルに続いて、シグナル・フィールドが定義されている。このシグナル・フィールドには当該パケットの情報部を復号するのに必要な情報が格納されている。当該パケットの復号に必要な情報はPLCPヘッダ(Physical Layer Convergence Protocolヘッダ)と呼ばれ、PLCPヘッダには、情報部(並びPLCPヘッダの一部であるServiceフィールドも含まれる)の伝送レートを示すRATEフィールド、情報部の長さを示すLENGTHフィールド、パリティ・ビット、エンコーダのTailビット、Serviceフィールドなどが含まれている。パケットの受信側では、PLCPヘッダのRATEフィールド並びLENGTHフィールドの復号結果に基づき、以降の情報部の復号作業を行なうことができる。
PLCPヘッダを格納しているSIGNAL部は、雑音に強い符号化が施されており、6Mbps相当で伝送される。一方、情報部は、通常パケットでは、受信機におけるSNRなどに応じて、なるべくエラーが生じない範囲で最も高ビットレートが提供される伝送レート・モードにて伝送される。
IEEE802.11aにおいては、6、9、12、18、24、36、48、54Mbpsと計8種類の伝送レート・モードが定義されている。したがって、送受信機が近隣に位置する際には、高いビットレートの伝送レート・モードが選択され、遠くに位置する通信局ではこの情報を復号することができない場合もある。
情報部は、PSDU(Physical Layer Service Data Unit)として、上位レイヤであるリンク層に受け渡される。
図35に示したように、信号の先頭部では信号の存在などを伝える目的で既知信号であるプリアンブルが送信されている。図36には、IEEE802.11aにおけるプリアンブルの構成を示している。同図中のPre−1部並びにPre−2部は、サブキャリア4本毎にエネルギが充填されている既知パターン信号であり、0.8マイクロ秒毎に同一波形が繰り返し送信される。また、Pre−3部並びにPre−4部は、52本のサブキャリアにエネルギが充填されている既知パターン信号であり、3.2マイクロ秒毎に同一波形が繰り返し送信される。パケットの受信側では、プリアンブルの先頭8.0マイクロ秒分の信号を処理して信号の存在検出を行なうことができる。
IEEE802.11では、幾つかのフレーム・タイプが定義されている。図37には、上述したRTS/CTS手順で使用される、RTS、CTS、ACK、Dataの各フレームにおけるPSDU部の構成を示している。
各フレームには、Frame ControlフィールドとDurationフィールドが共通で定義されている。Frame Controlフィールドは、当該フレームの種類や用途などを示す情報が格納されており、具体的には、以下の表1に示す情報が記載されている。また、Durationフィールドには、NAVの用途の情報が格納されており、当該パケットのトランザクションが終了するまでの時間が記されている。
Figure 2005253047
RTSフレームには、上記の他、宛先を示すReceiver Address(RA)と、送信元を示すTransmitter Address(TA)と、チェックサムであるFCS(Frame Check Sequence)が存在する。
CTSフレーム並びACKフレームには、上記の他、宛先を示すRAとチェックサムであるFCSが存在している。
Dataフレームには、上記の他に、送信元や宛先通信局の特定を行なうアドレスフィールドが4つと、シーケンスフィールド(SEQ)と、上位レイヤに提供する正味の情報であるFrame Bodyと、チェックサムであるFCSが存在する。
図34に示した例で言えば、STA0がSTA1に宛てて送信したRTSパケットのFrame ControlフィールドのType/SubType情報には当該パケットがRTSであることを示す情報が記載され、Durationフィールドには当該パケット送受信トランザクションが終了するまでの時間(すなわち時刻T8までの時間)が記載され、RAフィールドには宛先のSTA1のアドレスが記載され、TAフィールドには、自局のアドレスが記載されている。
このRTSパケットは、STA0の近隣に位置するSTA2でも受信される。STA2は、このRTS信号を受信すると、プリアンブルを発見することにより受信作業を開始し、さらにPLCPヘッダを復号して得られた情報に基づきPSDUを復号する。そして、PSDU内のFrame Controlフィールドから当該パケットがRTSパケットであることを認識しSTA0が何らかの情報を送信したい旨を知る。さらにRAフィールドから、自局が宛先通信局でないことを認識することができる。そして、STA2はSTA0の送信希望を妨げないように、当該RTSパケットによって開始されるトランザクションが終了するまでメディアを監視することなくメディアが占有されている状態であると認識し、NAVを立てて、送信動作を停止する。NAVは、Durationフィールドで示された期間にわたり有効となり、STA2は時刻T8まで送信不許可状態となる。
一方、このRTSパケットは宛先であるSTA1でも受信される。STA1は、上記と同様の手順によりPSDUを復号し、Frame Controlフィールドから該パケットがRTSパケットであることを認識し、さらにRAフィールドから、自局が宛先通信局であることを認識する。すなわち、STA1は、STA0が自局宛てにパケットを送信したい旨を認識すると、フレーム間隔SIFSだけおいて時刻T3でCTSパケットを返送する。このCTSパケットでは、PSDUのFrame Controlフィールドに当該パケットがCTSパケットである旨が記載され、Durationフィールドには該トランザクションが終了するまでの時間(すなわち時刻T8までの時間)が記載され、RAフィールドには宛先であるSTA0のアドレスが記載されている。なお、CTSパケットの伝送レート・モードは、RTSと同一でなければならない。
このCTSパケットは、STA1の近隣に位置するSTA3でも受信される。STA3は、このRTS信号を受信すると、プリアンブルを発見することにより受信作業を開始し、さらにPLCPヘッダを復号して得られた情報に基づきPSDUを復号する。そして、PSDU内のFrame ControlフィールドにCTSパケットである旨が記載され、さらにRAフィールドに自局以外の宛先が記載されていることから、「近隣のとある通信局がパケットの受信を予定している」旨を認識することができる。そして、STA3は、STA1の受信希望を妨げないように、当該RTSパケットによって開始されたトランザクションが終了するまでNAVを立てて送信動作を停止する。NAVは、Durationフィールドで示された期間にわたり有効となり、STA3も時刻T8まで送信不許可状態となる。
一方、このCTSパケットは宛先であるSTA0でも受信される。STA0は、上記と同様の手順によりPSDUを復号し、Frame Controlフィールドから該パケットがRTSパケットであることを認識し、さらにRAフィールドから、自局が宛先通信局であることを認識する。すなわち、STA0は、STA1の受信準備ができていることを認識し、フレーム間隔SIFSだけおいて時刻T5でDataパケットを送信開始する。
Dataパケット送信が時刻T6で終了し、STA1がこれを誤りなく復号できた場合には、フレーム間隔SIFSだけおいて時刻T7でACKを返送し、これをSTA0が受信して1パケットの送受信トランザクションが時刻T8で終了する。時刻T8になると、近隣通信局であるSTA2並びにSTA3は、NAVを下ろして、通常の送受信状態へと復帰する。
これらの制御フレーム並びにデータ・フレームの送受信は、同一メディア上で行なわれ、基本的には、送信電力が制御されることはない。
CSMA手順におけるアクセス制御の例
CSMAに基づくアクセス制御の基本動作については、図33を参照しながら既に説明した。ここでは、通信局の存在を考慮したアクセス制御の振る舞いについて、図38並びに図39を参照しながら説明する。
図38に示す例では、STA0、STA1、STA2、STA3という4つの通信局が存在し、STA0がSTA2宛てに送信を行ない、STA1がSTA3宛てに送信を行なっている。また、全局とも同一のメディア上で通信が行なわれているものとする。
このとき、STA0は、STA2への送信を行なう前にメディアの占有状況を確認するため、STA1が送信している間は送信を行なうことができない。
また、図39に示す例では、周辺にSTA4、STA5、STA6、STA7という4つの通信局がさらに存在し、STA4がSTA5宛てに送信を行ない、STA6がSTA7宛てに送信を行なっている。また、全局とも同一のメディア上で通信が行なわれている。
このとき、STA0は、STA2への送信を行なう前にメディアの占有状況を確認するため、STA1に加えSTA4並びにSTA6が送信している間にも送信を行なうことができない。
このように、同一メディア(通信可能範囲内)で伝送を行なう通信局の台数が増大すると、自局の送信機会が失われていくのが必然である。
さらに、通信局が自局の受信可能な範囲に存在している周辺通信局の情報を保持する場合には、周辺通信局数が情報保持を可能な通信局数を超えないよう、情報保持可能な通信局数をワースト・ケースに備えて大きな数値に設定する必要がある。
ここで、上述したRTS/CTS手順を含むCSMAに基づくアクセス制御方式における問題点について考察してみる。
(1)送信電力の不一致によるアクセス制御の不均一性
RTS/CTS手順を含むCSMAに基づくアクセス方式においては、送信電力が異なる通信局間でアクセス制御が不均一になるという問題が生じる。
図40に示す例では、通信環境下においてSTA2、STA0、STA1、STA3という4台の通信局が存在し、STA0がSTA2に宛てて情報を送信し、STA1がSTA3に宛てて情報を送信したい場合を想定している。同図では、基本的には隣り合う通信局同士のみが電波の到達範囲に位置しているものとする。また、ここでは、STA0の送信電力がSTA1の送信電力よりも低いために、STA1→STA0方向の信号はSTA0により受信されるが、STA0→STA1方向の信号はSTA1によって受信されない、という送信電力の不一致を想定する。
まず、所定のフレーム間隔だけメディアがクリアであることを確認し、さらにバックオフを設定した後、時刻T1において、STA1がSTA0宛てのRTS信号を送信する。
STA1→STA0方向の信号はSTA0により受信される(前述)ことから、STA0はRTS信号を受信し、当該トランザクションが終了する時刻T8までNAVを設定し、送信不許可状態となる。STA1並びにSTA3は、既に述べたRTS/CTS手順に基づいてデータの送受信を行ない、時刻T8にて終了する。
その後、同様にフレーム間隔だけメディアの監視を行なうとともにバックオフを設定した後、時刻T9においてSTA0がRTS信号を送信できたものと仮定する。このとき、STA0→STA1方向の信号はSTA1によって受信されない(前述)ことから、STA0からのRTS信号はSTA1には到達せず、STA0の送受信状態とは無関係にSTA1は信号の送信が行なえることになる。
要するに、高い送信電力での送信を行なうSTA1は、送信電力の低いSTA0と比較し、無条件に有利な立場におかれることになる。この結果、通信局間で公平なアクセス制御が求められる場合には、アクセスの不均一性の問題が生じることになる。
なお、無線パケットの送信に先立ってこの送信に必要な送信電力を決定する可変エリア・アドホック・ネットワークについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。しかしながら、この場合の無線通信装置は、送信経路毎の周波数利用効率及び所要転送時間と、発信する情報の重要度及び種類を考慮して送信電力を決定するが、メディアの占有状態を考慮するものではなく、言い換えれば、メディアの占有状態に応じて失われた送信機会を回復することはできない。
(2)大量の隣接局が存在した場合における送信機会の減少
図38に示したように、CSMAに基づくアクセス方式においては、同一メディア上で送受信を試みる通信局数に応じて送信可能な機会が減少する。ある通信局が、極めて隣接する場所に存在しており当該局との間のパスロスが他局との間のパスロスに比べて著しく小さい通信局との通信を行ないたい場合であっても、他の周辺局の信号を受信すると、衝突回避のため送信することが許されない。
(3)大量の隣接局が存在した場合における隣接局管理数の制限
例えば、通信局が電波の到達範囲内に存在するすべての通信局との間でリンクをはるという無線通信システムにおいては、各通信局はそれぞれ周辺局の情報を格納しておく必要がある。
ところが、格納可能な局数は、通信局のハードウェア的な制限、あるいはシステムの制限から限界があるケースが典型的である。この限界値を超えた周辺局数が存在した場合、例外処理を施す必要があるなど、処理が複雑になることが懸念される。
また、周辺局数のワースト値(最大値)を十分に大きな値に設定しておくことにより例外処理を施さないといった処置も考えられるが、周辺局の情報を格納するために無尽蔵に大規模な記憶領域を確保しておくことは、実装の観点から好ましくない。さらにシステムによっては、周辺局数が多過ぎて新たな通信局が収容できない場合もあるであろう。
特開2001−128231号公報 International Standard ISO/IEC 8802−11:1999(E) ANSI/IEEE Std 802.11, 1999 Edition, Part11:Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) Specifications ETSI Standard ETSI TS 101 761−1 V1.3.1 Broadband Radio Access Networks(BRAN); HIPERLAN Type 2; Data Link Control(DLC) Layer; Part1: Basic Data Transport Functions ETSI TS 101 761−2 V1.3.1 Broadband Radio Access Networks(BRAN); HIPERLAN Type 2; Data Link Control(DLC)Layer; Part2: Radio Link Control(RLC) sublayer Supplement to IEEE Standard for Information technology−Telecommunications and information exchange between systems−Local and metropolitan area networks−Specific requirements−Part 11: Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) specifications: High−speed Physical Layer in the 5GHZ Band
本発明は上述したような技術的課題を勘案したものであり、その主な目的は、各通信局がCSMAなどに基づいて他の通信局からの送信信号の検出に応じて衝突を回避しながら好適にアクセスを行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、CSMAに基づいてアクセス制御が行なわれる無線通信環境下において、各通信局がメディアの占有状態に応じて所望の通信機会を得て好適に動作することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、CSMAに基づいてアクセス制御が行なわれる無線通信環境下において、各通信局がメディアの占有状態に応じて所望の通信機会を得て好適に動作することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、各通信局がそれぞれ独自に送信及び受信が可能な通信可能範囲を設定し、CSMAに基づいてメディアへのアクセスを制御する通信環境下において、各通信局が区々の送信可能範囲を設定してもアクセス機会が不均一となることなく、公平にアクセス制御を行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、各通信局がCSMAに基づいてメディアへのアクセスを制御する通信環境下において、周囲に存在する通信局数の増大した場合であっても、所望の送信可能機会を得ることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、各通信局がCSMAに基づいてメディアへのアクセスを制御する通信環境下において、周囲に存在する通信局数の増大した場合であっても、隣接局に関する情報を好適に管理することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、各通信局が他の通信局からの送信信号の検出若しくは送信信号に記載されている情報に応じて衝突を回避しながらアクセスを行なう無線通信システムであって、
通信局毎に送信及び受信が可能な通信可能範囲を設定することが許容され、
各通信局は、メディアの占有状態を確認し、自局の通信可能範囲を設定する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
本発明に係る無線通信システムでは、各通信局は、送信信号の検出、例えばCSMA/MA手順に従い、衝突を回避しながらアクセス制御を行なう。あるいは、送信信号中に記載されている、Durationなどのパケット送信期間に関する情報や、隣接局の信号送信タイミングに関する情報に基づいて、衝突を回避しながらアクセス制御を行なう。そして、各通信局は時分割複信にて多元接続を行なうことができる。
本発明に係る無線通信システムでは、各通信局は、自局の信号検出能力を制御して受信可能範囲を設定することができる。また、自局の送信電力を制御して送信可能範囲を設定することができる。
すなわち、各通信局は、メディアの占有状態を確認し、自局の通信可能範囲に共存する通信局数が所定範囲となるように通信可能範囲を設定することができる。
例えば、通信局は、隣接局が自局の送信可能範囲よりも高い送信可能範囲に設定して送信していることを認識したことに応答して、自局の受信可能範囲を変更する。あるいは、通信局は、自局から受信可能な周辺局の受信可能範囲外にいることを認識したことに応答して、自局の受信可能範囲を変更するようにしてもよい。このような通信可能範囲の制御により、通信局は、周辺局との間でバランスを取り、公平で均一なアクセス制御を実現することができる。
また、通信局は、通信中の相手局からの受信電力が十分に高く、送信電力を下げても所望の高いデータ・レートでの伝送が可能であると判断された場合などに、与干渉量低減の目的で自律的に送受信可能範囲を変更するようにしてもよい。
また、通信局は、所望の通信相手以外の局からの信号がメディアを占有する状態が継続し、所望の通信相手に向けての送信時間を確保できないと判断された場合に、より多くの送信時間帯を確保する目的で送受信可能範囲を変更するようにしてもよい。
また、通信局は、1つ以上の周辺局が電波の到達範囲ぎりぎりのところに存在しており、通信可能な隣接局と判断すべきか否かがあいまいな場合には、これら隣接局を消し去り、あるいは確実な隣接局として収容するために送受信可能範囲を変更するようにしてもよい。
また、通信局は、通信局固有の送信電力や送信信号精度、又は受信性能のばらつき(通信局間格差)、通信局周辺の干渉量の格差などを埋める目的で、送受信可能範囲を変更するようにしてもよい。
また、通信局は、受信可能な通信局数を制限するために自局の受信可能範囲を設定することができる。したがって、周囲に存在する通信局数の増大した場合であっても、通信局が適当な通信可能範囲を設定することにより、ハードウェア的な負担を強いることなく、隣接局に関する情報を好適に管理することができる。
また、周囲に存在する通信局数の増大した場合には、その分だけメディアがクリアとなる時間が少なくなり、送信機会が減少することが予想される。このような場合、通信局は、適当な通信可能範囲を設定することにより、所望の送信可能機会を得ることができる。
また、通信局は、送信可能な通信局数を制限するために自局の送信可能範囲を設定するようにしてもよい。
通信局における通信可能範囲は、受信可能範囲と送信可能範囲により構成され、前者は信号検出能力により、後者は送信電力により、それぞれ独立して設定することができる。
また、通信局は、時間帯に応じて自局の通信可能範囲を変化させるように設定することができる。例えば、通信局は、特定通信局との通信時間帯近辺に限り自局の通信可能範囲を狭めるように設定するようにしてもよい。また、通信局は、特定通信局との通信時間帯を決定するに先立ち、送受信局双方の送受信可能範囲に応じたメディア占有情報を抽出し、当該メディア占有情報に基づいて通信時間帯を決定するようにしてもよい。
ここで、受信可能範囲と送信可能範囲を不均一に設定した場合には、ある通信局からの信号を受信可能であるが送信することはできない、あるいは逆にある通信局まで送信信号が到達してしまうが当該局からの信号を受信しない、といった現象が生じる。このような場合、高い送信電力で送信を行なう通信局が、無条件に有利な立場でメディアのアクセス権を獲得することができてしまうので、アクセス制御の不均一性が問題となる。
これに対し、本発明によれば、自局が設定した受信可能範囲に適応した送信可能範囲を設定し、あるいは、自局が設定した送信可能範囲に適応した受信可能範囲を設定することにより、通信局は受信可能範囲と送信可能範囲が極力均一となるように動作する。したがって、各通信局がそれぞれ独自に送信及び受信が可能な通信可能範囲を設定することが許容されている無線通信環境下においても、このようなアクセス制御の不均一性を解消することができる。
また、特定の通信局同士がそれぞれマスタ局及びマスタ局とのみ通信するスレーブ局として動作するとき、スレーブ局側は比較的低い処理能力しか必要とせず、且つ、マスタ局以外からの信号については受信する意思を持たない。したがって、このようなスレーブ局は自局の受信可能範囲をマスタ局の受信可能範囲以下に設定するようにしてもよい。また、スレーブ局として動作する通信局は、前記マスタ局から信号を受信したことに応答して、自局の存在を通知するための信号を前記マスタ局に返信するようにしてもよい。
また、各通信局同士で送信可能範囲に関する情報を交換し合うようにしてもよい。例えば、自律分散型の無線ネットワークにおいては、各通信局はそれぞれ独立対等にビーコン信号を報知するが、このビーコン内に自局の送信電力に関する情報を記載するようにする。
このように各通信局同士で互いの送信電力を認識し合う無線通信システムにおいては、データ送信を行なう通信局は、送信先となる通信局における受信SNRを推定して、適切なデータ・レートを決定することができる。すなわち、送信先の通信局から以前受け取った信号から得られる受信SNRと、送信先の通信局及び自局の送信電力に基づいて、送信先通信局における受信SNRを推定することができる。そして、この推定結果に応じて適当なデータ・レートを決定することができる。
また、本発明の第2の側面は、所定の無線通信環境下において他の通信局からの送信信号の検出若しくは送信信号に記載されている情報に応じて衝突を回避しながらアクセスを行なう通信局としての動作を制御するための処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
メディアの占有状態を監視するメディア監視ステップと、
前記メディア監視ステップにおいて確認されたメディア占有状態に基づいて、前記通信手段における通信可能範囲を設定する通信制御ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによってコンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、無線通信装置として動作する。このような無線通信装置を複数起動して無線ネットワークを構築することによって、本発明の第1の側面に係る無線通信システムと同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、CSMAに基づいてアクセス制御が行なわれる無線通信環境下において、各通信局がメディアの占有状態に応じて所望の通信機会を得て好適に動作することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、CSMAに基づいてアクセス制御が行なわれる無線通信環境下において、各通信局がメディアの占有状態に応じて通信範囲を動的にコントロールして所望の通信機会を得て好適に動作することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、各通信局がそれぞれ独自に送信及び受信が可能な通信可能範囲を設定し、CSMAに基づいてメディアへのアクセスを制御する通信環境下において、各通信局が区々の送信可能範囲を設定してもアクセス機会が不均一となることなく、公平にアクセス制御を行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、各通信局がCSMAに基づいてメディアへのアクセスを制御する通信環境下において、周囲に存在する通信局数の増大した場合であっても、通信範囲を動的にコントロールし、所望の送信可能機会を得ることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、各通信局がCSMAに基づいてメディアへのアクセスを制御する通信環境下において、周囲に存在する通信局数が増大した場合であっても、通信範囲を動的にコントロールして、隣接局に関する情報を好適に管理することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
本発明によれば、各通信局は信号受信の範囲を制御することが可能となるので、送信電力が異なる通信局間においても、アクセス制御の不均一性を大幅に軽減することができ、送信電力に極力依存しない公平なデータ伝送が可能となる。
また、本発明によれば、周囲に多数の通信局が出現する場合であっても、信号受信の範囲を制御することで、送信不許可の時間帯を飛躍的に低減することができ、且つ送信電力をも同時に制御することにより、他局に与える干渉量のインパクトを最小限に抑えることができる
したがって、本発明によれば、周辺局数や他局により利用されているメディア占有時間帯に応じて、信号送受信の範囲を制御することができるので、収容局数や収容トラフィックが制限された通信システムにおいても、信号送受信範囲の縮小と引き換えに収容可能な範囲内での良好な通信を確保することが可能となる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
本発明において想定している通信の伝搬路は無線であり、複数の通信局間でネットワークを構築する。本発明で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。また、以下の説明では、各通信局は単一のチャネルを想定しているが、複数の周波数チャネルすなわちマルチチャネルからなる伝送媒体を用いた場合に拡張することも可能である。
本発明に係る無線ネットワークでは、緩やかな時分割多重アクセス構造を持った伝送(MAC)フレームによりチャネル・リソースを効果的に利用した伝送制御が行なわれる。また、各通信局は、CSMA(Carrier Sense Multiple Access:キャリア検出多重接続)に基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送することができる。本発明の一実施形態では、例えば、IEEE802.11の拡張規格であるIEEE802.11aに通信環境を想定している。
A.無線通信装置の構成
図1には、本発明の一実施形態に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作する無線通信装置の機能構成を模式的に示している。図示の無線通信装置100は、同じ無線システム内では効果的にチャネル・アクセスを行なうことにより、衝突を回避しながらネットワークを形成することができる。
図示の通り、無線通信装置100は、インターフェース101と、データ・バッファ102と、中央制御部103と、送信データ生成部104と、無線送信部106と、タイミング制御部107と、アンテナ109と、無線受信部110と、受信データ解析部112と、情報記憶部113とで構成される。
インターフェース101は、この無線通信装置100に接続される外部機器(例えば、パーソナル・コンピュータ(図示しない)など)との間で各種情報の交換を行なう。
データ・バッファ102は、インターフェース101経由で接続される機器から送られてきたデータや、無線伝送路経由で受信したデータをインターフェース101経由で送出する前に一時的に格納しておくために使用される。
中央制御部103は、無線通信装置100における一連の情報送信並びに受信処理の管理と伝送路のアクセス制御を一元的に行なう。基本的には、CSMAに基づき、伝送路の状態を監視しながらランダム時間にわたりバックオフのタイマーを動作させ、この間に送信信号が存在しない場合に送信権を獲得するというアクセス制御を行なう。本実施形態では、中央制御部103は、さらに、メディアの占有状態を確認し、自局の通信可能範囲に共存する通信局数が所定範囲となるように通信可能範囲を設定する。
送信データ生成部104は、自局から周辺局宛てに送信されるパケット信号やビーコン信号を生成する。ここで言うパケットには、データ・パケットの他、受信先の通信局への送信要求パケットRTSや、RTSに対する確認応答パケットCTS、ACKパケットなどが挙げられる。例えばデータ・パケットは、データ・バッファ102に蓄積されている送信データを所定長だけ切り出し、これをペイロードとしてパケットが生成される。
無線送信部106は、送信信号をOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)など所定の変調方式で変調する変調器や、デジタル送信信号をアナログ信号に変換するD/A変換器、アナログ送信信号を周波数変換してアップコンバートするアップコンバータ、アップコンバートされた送信信号の電力を増幅するパワーアンプ(PA)など(いずれも図示しない)を含み、所定の伝送レートにて、伝送レートにてパケット信号の無線送信処理を行なう。本実施形態では、無線送信部106における送信電力を制御することにより、自局の送信可能範囲を設定することができる。また、本実施形態では、通信相手との間で区々に設定される送信電力と受信SNRに基づいて伝送レートを決定するが、この点の詳細については後述に譲る。
無線受信部110は、アンテナ109を介して他局から受信した信号を電圧増幅する低雑音アンプ(LNA)や、電圧増幅された受信信号を周波数変換によりダウンコンバートするダウンコンバータ、自動利得制御器(AGC)、アナログ受信信号をデジタル変換するA/D変換器、同期獲得のための同期処理、チャネル推定、OFDMなどの復調方式により復調処理する復調器など(いずれも図示しない)で構成される。本実施形態では、無線受信部110における信号検出能力を制御することにより、自局の受信可能範囲を設定することができる。
アンテナ109は、他の無線通信装置宛てに信号を所定の周波数チャネル上で無線送信し、あるいは他の無線通信装置から送られる信号を収集する。本実施形態では、単一のアンテナを備え、送受信をともに並行しては行なえないものとする。
タイミング制御部107は、無線信号を送信並びに受信するためのタイミングの制御を行なう。例えば、自己のパケット送信タイミングやRTS/CTS方式に則った各パケット(RTS、CTS、データ、ACKなど)の送信タイミング(フレーム間隔IFSやバックオフの設定)、他局宛てのパケット受信時におけるNAVの設定、ビーコンの送受信などのタイミング制御を行なう。
受信データ解析部112は、他局から受信できたパケット信号やビーコン信号を解析する。
情報記憶部113は、中央制御部103において実行される一連のアクセス制御動作などの実行手順命令や、受信したパケットやビーコンの解析結果から得られる情報などを蓄えておく。
本実施形態では、中央制御部103は、メディアの占有状態を確認し、自局の通信可能範囲に共存する通信局数が所定範囲となるように通信可能範囲を設定するという通信制御動作を実現する。
例えば、受信可能な通信局数を制限するために自局の受信可能範囲を設定する。したがって、周囲に存在する通信局数の増大した場合であっても、通信局が適当な通信可能範囲を設定することにより、ハードウェア的な負担を強いることなく、隣接局に関する情報を好適に管理することができる。
また、周囲に存在する通信局数の増大した場合には、その分だけメディアがクリアとなる時間が少なくなり、送信機会が減少することが予想されるが、適当な通信可能範囲を設定することにより、共存する通信局数を調整して、所望の送信可能機会を得るようにする。
また、送信可能な通信局数を制限するために自局の送信可能範囲を設定することができる。
ここで、無線送信部106における送信可能範囲と、無線受信部110における受信可能範囲をそれぞれ個別に設定する場合、受信可能範囲と送信可能範囲を不均一となると、高い送信電力で送信を行なう通信局が無条件に有利な立場でメディアのアクセス権を獲得することができてしまい、アクセス制御の不均一性が問題となる。そこで、受信可能範囲に適応した送信可能範囲を設定し、あるいは送信可能範囲に適応した受信可能範囲を設定することにより、通信局は受信可能範囲と送信可能範囲が極力均一となるように動作する。
図2には、本実施形態に係る無線通信システムにおいて、通信局として動作する無線通信装置100が、送信電力を変更する可能性がある場合において使用するフレーム・フォーマットの構成例を示している。
パケットの復号に必要な情報はPLCPヘッダ(Physical Layer Convergence Protocolヘッダ)と呼ばれ、PLCPヘッダには、情報部(並びPLCPヘッダの一部であるServiceフィールドも含まれる)の伝送レートを示すRATEフィールド、情報部の長さを示すLENGTHフィールド、自局の送信電力を示すPowerフィールド、パリティ・ビット、エンコーダのTailビット、Serviceフィールドなどが含まれている。
パケットの受信側では、PLCPヘッダのRATEフィールド並びLENGTHフィールドの復号結果に基づき、以降の情報部の復号作業を行なうことができる。また、PLCPヘッダのPowerフィールドを参照することにより、通信相手の送信電力を把握することができる。
なお、図示の例では、PLCPヘッダ内に送信電力レベルを示すフィールドを付加したが、かかる情報が必ずしもPLCPヘッダ内に存在している必要はなく、例えばMACヘッダ相当の場所に配置したり、ビーコンのみに記載したりするようにしてもよい。要するに、データの送受信を行なう通信局間で互いの送信電力レベルを把握できることが重要であり、その仕組み自体は任意である。
B.無線受信部における信号検出能力制御
既に述べたように、信号の先頭部には、既知信号であるプリアンブルが送信され、受信機側ではプリアンブルを利用して信号の存在を検出することができる。一般に、信号検出は同期処理の一部として位置付けられている。
図3には、無線通信装置100内で無線受信部110に含まれている、同期処理回路の構成例を示している。以下、信号検出に際して行なわれる、プリアンブルに対して施す処理について、同図を参照しながら説明する。
同期処理回路においては、信号の検出に加え、周波数オフセットの検出並びに補正、信号受信時刻の抽出が行なわれる。
デジタル変換及びデジタル・フィルタ処理後の受信信号が、シンボル入力(Symbol Input)端子から同期処理回路に入力される。また、同期処理回路の出力は、シンボル出力(Symbol Output)端子から逆フーリエ変換部(IFFT)(図示しない)に入力される。Sync Valid端子は、シンボル出力端子から出力される信号の有効性(Valid)を示す。
受信信号を捕捉していない間は、セレクタ(Sel)はプリアンブル検出器(Preamble Detector)へと受信信号を注入する。プリアンブル検出器では、信号のプリアンブルを検出する処理が行なわれる。検出は、先頭8.0マイクロ秒分をサーチすることにより行なわれる。
プリアンブル検出器がブロードキャスト・バースト(Broadcast Burst)のプリアンブルを検出すると、セレクタに対し、バッファ(Buffer)並びに周波数オフセット推定部(Frequency Offset Estimate)に受信信号を注入するよう指示を出すとともに、受信したプリアンブルから推定したラフな周波数補正値を周波数オフセット推定部へと伝達する。
周波数オフセット推定部は、プリアンブル検出器から伝達された値と、プリアンブルの後半8.0マイクロ秒分を受信することにより、補正周波数オフセット値を算出し、FIFOバッファから出力される受信信号(プリアンブルの後半8.0マイクロ秒分)を該補正周波数オフセット値で補正する(同図中の乗算器)。
周波数オフセットが補正された信号は、再度、もう1つのFIFOバッファに格納されるとともに、高精度の受信タイミングを検出するため精密タイミング検出器(Precise Timing Detect)へと注入される。精密タイミング検出器では、プリアンブルの後半部をリファレンスとの間で相互相関をとることにより、受信タイミングを検出する。検出されたタイミングはFIFOバッファ、並びにタイミング・カウンタ(Timing Counter)を介してSync Valid端子へと伝達される。
タイミング・カウンタでは、ブロードキャスト・バーストの受信タイミングを基に、OFDMシンボルの切れ目などを認識し、ビーコン送信間隔の周期などの管理を行なう。
図4には、プリアンブル検出器の構成例を示している。また、図5には、プリアンブル検出器における出力信号の一例を示している。
プリアンブル検出器が動作している間は、受信タイミングが不明なだけでなく、周波数オフセットも200kHz以上のっているかもしれない状態での受信となる。ここでは、検出特性を周波数オフセットになるべく依存させない方法論で実現することを考慮し、受信信号の自己相関値を検出に用いる場合を想定し、図4を参照しながら説明する。勿論、受信信号と既知パターンとの相互相関値を検出に用いる場合でも同様のことが可能であり、この場合は図4に示したプリアンブル検出器の構成が相互相関計算に置き換わるだけであり、それ以外の本発明を構成する上で本質的な違いはない。
図示のプリアンブル検出器では、0.8マイクロ秒前に受信した信号との自己相関を8.0マイクロ秒にわたり算出し、これらの合計を複素数値として得る。そして、同検出回路の出力は、複素数値で得られた自己相関値の絶対値(Correlator Output)と、その位相値(Arg)に2分岐される。位相値は周波数オフセット値として後段の処理にて用いられ、相関の絶対値は信号検出に用いられる。プリアンブルの前半8.0マイクロ秒の部分が0.8マイクロ秒毎に繰り返し送信されていることを利用すると、周波数オフセットがのっている状態でも図4に示すような回路でプリアンブル検出器を構成可能である、という点を十分理解されたい。
図4に示すような回路にプリアンブル信号を入力すると、相関の絶対値は時系列で図5に示すように得られる。図5に例示した波形の最大値を示している時刻がプリアンブルの前半8.0マイクロ秒の部分を受信し終えた時刻に相当している。プリアンブル検出器は、図4に示す回路の出力である相関の絶対値を監視し、この値がある閾値を超えると信号が存在するものと認識する。図5に示す例では、この閾値として0.325程度の値が設定されている。
図4に示したようなプリアンブル検出器から出力される自己相関の絶対値の最大値は、受信SNRに応じて図6に示すような分布をとることが判っている。すなわち、自己相関の絶対値の最大値は、受信SNRが0dBならおよそ0.35から0.55の範囲内となり、受信SNRが3dBならおよそ0.55から0.70の範囲内となり、…といった具合であり、受信SNRと自己相関の絶対値の最大値は強い相関関係にある。
したがって、プリアンブル検出器に設定する閾値を変更することにより、およその信号の検出精度すなわち受信感度を制御することが可能であり、これは無線通信装置100の受信可能範囲を調整できることを意味する。受信感度を上げても、低いSNRでも検出することができる。
例えば、受信SNRが0dB以上の信号を受信するよう設定する場合には閾値を0.325と設定し、受信SNRが3dB以上の信号を受信するよう設定する場合には、閾値を0.55(あるいはもう少し小さい値)と設定すればよい。閾値を0.55と設定された場合には、受信SNRが0dB近辺のプリアンブル信号を受信しても自己相関の絶対値の最大値は0.55を上回ることがなく、検出されなくなるからである。
また、もう1つの信号検出能力制御方法として、信号受信系にスイッチとアッテネータを挿入し、信号検出能力を落としたい場合には、受信信号をアッテネータ経由で受信信号として採用するという手段も採り得る。
さらに他の信号検出能力制御方法として、受信機のADコンバータのビット幅を調整することも可能である。すなわち、信号検出能力を下げる場合には、少ないビット幅のADコンバータを利用し、省電力化に努めるとともにより多くの量子化誤差を許容し、等価的に受信信号のSNRを低減させる。
C.通信局間での送信電力の相違によるアクセス制御の不均一性
本発明に係る無線通信システムでは、各通信局がそれぞれ独自に送信及び受信が可能な通信可能範囲を設定することが許容されている。ところが、既に述べたように、RTS/CTS手順を含むCSMAに基づくアクセス方式においては、通信局の送信電力制限に格差が生じている場合には、アクセス制御が不均一になるという問題が生じる(例えば、図40を参照のこと)。
そこで、本実施形態では、各通信局は、信号検出能力値に基づいて信号検出能力を設定し、送信可能範囲と受信可能範囲とがほぼ同じとなるように自局の通信可能範囲を構成することにより、アクセス制御の不均一性を解消するようにしている。
例えば、以下の表に示すように、送信電力が大きい通信局にはより低いSINR環境での信号検出能力を強要し、送信可能範囲と同様に広い受信可能範囲を設定するようにしている。逆に、送信電力が低い通信局には低いSINR環境での信号検出能力を持たせないようにし、送信可能範囲が狭ければその分だけ受信可能範囲も狭くするようにしている。
Figure 2005253047
勿論、本発明の要旨は上記の表に示した値に限定されるものではなく、送信電力値が大きくなるに応じて、信号検出能力が下がるように設定されるという点が重要である。送受信可能範囲を一致させる目的からは、送信電力値と信号検出能力閾値のステップ(変化量)は同一であることが好ましい。
なお、信号検出能力を落としてより高いSNRの信号でないと受信しない場合、メディア・アクセス制御的には信号が存在した場合でも送信が許可されることにはなるが、干渉電力が存在していることに変わりはない。したがって、信号検出能力を上げることにより、干渉電力のダイナミック・可能範囲が大きくなることになり、伝送データ・レートが可変である場合には、より保守的な伝送データ・レートの選択を試みるよう処理を行なうことが必要となる場合もある。
このようなことを鑑みて、上述の説明では送信電力値と信号検出能力を同一ステップで制御する場合を表記したが、下表に示すように、信号検出能力のステップを送信電力のステップよりも小さく設定することも考えられる。あるいは逆に、信号検出能力のステップを送信電力のステップよりも大きく設定してもよい。
Figure 2005253047
Figure 2005253047
送信電力値並びに信号検出能力は、通信局毎に固定値であってもよいし可変であっても構わないが、本発明の1つのポイントは、通信局がこれらを動的に制御することにより状況に応じた送受信可能範囲を制御することにある。なお、同一の無線通信システム内では、すべての通信局が同一のルールに従って動作することがより望ましい。
このように送信電力値並びに信号検出能力を制御/設定することにより、通信局の送信電力制限に格差が生じ、アクセス制御が不均一になる状況(図40を参照のこと)において、送信電力の低いSTA0の送信機会が無条件に低減するといった問題は改善される。
図7には、図40に示した例と同様の状況下で、通信局の送信電力値並びに信号検出能力を制御/設定するという本発明に係る制御を加えた場合のアクセス・シーケンスを示している。
図7に示す例では、ある無線通信環境下にSTA2、STA0、STA1、STA3という4台の通信局が存在している。そして、STA0がSTA2に宛てて情報を送信し、STA1がSTA3に宛てて情報を送信したいという場合を想定している。ここで、基本的には隣り合う通信局同士のみが電波の到達範囲に位置しているが、STA0の送信電力がSTA1の送信電力よりも低いために、STA1→STA0方向の信号は受信されるが、STA0→STA1方向の信号は受信されない。さらに、同図に示す例では、STA0の送信電力が低いため、STA0の信号検出能力がSTA1の信号検出能力よりも低く設定されることになる。
まず、時刻T1で、STA1がRTS信号を送信するが、STA0の信号検出能力は低く設定されているため、これを受信しない。STA1並びにSTA3は既に述べた手順に基づいてデータの送受信を行ない、時刻T8にて終了する。
STA0は、STA1からのRTS信号を受信しないことから、時刻T8までの間にNAVを立てて送信待機を行なうことはない。すなわち、STA0は、STA1とSTA3間でRTS/CTS手続きに従ってデータ伝送が行なわれている期間に、これと並行して、STA2とのデータ伝送を行なうことができる。すなわち、時刻T1'でSTA2に向けてRTS信号を送信し、同様に既に述べた手順に基づいてデータの送受信を行なうことができる。
図40に示した例では、STA0は送信電力に比し信号検出能力を高く設定し過ぎていたため、STA1からの送信信号に干渉されてメディア・アクセスを行なうことができなかった。これに対し、図7に示す例では、STA0は送信電力に相応するように信号検出能力を低く設定することにより、STA1からの干渉を受けずにメディア・アクセスを行なうことができるようになっている。すなわち、高い送信電力での送信を行なうSTA1が無条件に有利な立場におかれるという状況を解決することができる訳である。
図7に示した例において、STA0は、小さな送信電力用のアンプしか持たないが、当初は受信可能範囲を最大化するため、表2又は表3に示したようなシステム全般で標準的に設定されるべく送信電力と信号検出能力のバランスに比べて送信可能範囲よりも受信可能範囲が広く設定されていたとする。この状態であっても、STA0の周辺に存在するすべての通信局が同様の送信可能範囲と受信可能範囲の設定をしていれば、双方向性は確保され、問題は生じない。したがって、自局の送信電力を上回る通信局を発見しない限り、上述したような信号検出能力を設定する処理を行なうことはない。
しかし、STA0は、STA1からの信号を受信し、STA1が自局の送信電力よりも高い送信電力で送信していることを認識すると、現状では標準的なバランスよりも受信可能範囲が送信可能範囲よりも広く設定されていることを問題点として認識し、信号検出能力の制御により自局の受信可能範囲を変更するようにする。
または、STA0が、他の通信局(STA4)からの信号を受信し、STA4の送信電力よりも高い送信電力で自局が送信していることを認識しなかった場合であっても、STA0からSTA4に対して信号を送信してもSTA4からは一向に応答がないなど、STA4にとってSTA0は受信可能範囲外にいると推測される場合には、STA0はSTA4よりも広い受信可能範囲を設定してしまっているものと判断し、受信可能範囲を変更して、STA4を隣接局から消し去るようにする。
なお、図40に示したようなアクセス制御の不均一性の原因を、STA0が送信電力に比し信号検出能力を高く設定し過ぎていたのではなく、STA1が送信電力に比し信号検出能力を低く設定し過ぎていたと捉えられる場合には、STA1の信号検出能力をより高く設定し直すようにしてもよい。この場合、SAT1は、STA0からのRTS信号の受信することができ、所定期間だけNAVを立てて送信動作を待機し、STA0の通信動作を干渉しないようにすることができる。この場合も、高い送信電力での送信を行なうSTA1が無条件に有利な立場に置かれるという状況を解決することができる。
D.過密に通信局が存在する場合の通信可能範囲の制御
周辺に通信局が過密に存在する場合、通信局の送信機会が減少する、隣接局管理のための処理が複雑化する、といった問題が発生することは既に述べた通りである。
本実施形態では、送信電力値並びに信号検出能力を制御/設定し、周辺に存在する通信局の疎密に応じて通信可能範囲を設定することにより、このような問題にも対処することができる。以下では、周辺に通信局が過密に存在する場合への対応方法について詳解する。
図38を参照しながら既に説明したように、多くの通信局が近隣に存在する場合、STA0はリソースを信号受信可能な範囲内に存在する周辺局とシェアする必要があり、所望の通信機会を得られないケースもある。ここでは、すべての通信局が同一の送信電力並びに信号検出能力を持っているものと仮定している。
このような場合、STA0は、上述したような手順により信号検出能力を下げ、自局が受信できる受信可能範囲を小さくするよう制御する。図8には、この場合の様子を模式的に示している。図8と図38と比較すると明らかなように、STA0は信号検出能力を下げることにより、自局の受信可能な範囲をSTA2とSTA1に制限した。この結果、STA0は、STA6やSTA4からの被干渉自体は依然として存在するものの、メディア・アクセス制御の観点からはSTA1のみとのメディアのシェアを行なえばよいことになるので、より多くの通信機会を得ることができる。
この場合、STA0のみが信号検出能力を下げたため、STA0のみが他局とのアクセス制御に調和しない(信号検出能力と比べ、送信電力が高くなり、アクセス制御が公平でなくなる)ことになり、周辺局に迷惑をかける。
具体的には、図9に示すように、STA0からの送信信号はSTA4並びSTA6に到達するものの、STA4並びにSTA6からの送信信号はSTA0に到達しないということになる。これにより、STA6並びにSTA4は、STA0の送信を妨げないよう自局の送信動作を制御するが、STA0はSTA4並びにSTA6の送信には感知しないで干渉する、という具合である。要するに、送信可能範囲と受信可能範囲が異なっていると、伝送メディア獲得機会の観点から公平な通信環境でなくなってしまう。
そこで、STA0は、周辺局の過密により信号検出能力を下げたことに応じて、上記の表2〜表4に示したように、送信電力も下げる処理を併せて行なうようにする。これによって、送信可能範囲と受信可能範囲がほぼ一致し、周辺他局への与干渉量を信号検出能力を下げる前と同等にすることが可能となるので、STA0の都合によって周辺局に迷惑をかけることがなくなる。図10には、STA0が信号検出能力を下げたことに応じて送信電力も下げる処理を行ない、送信可能範囲を受信可能範囲と一致させた様子を示している。
送受信可能範囲を一致させる目的からは,送信電力値と信号検出能力閾値のステップ(変化量)は表2に示したように同一であることが好ましい。
本実施形態に係る無線通信システムにおいて、通信局が自局の通信可能範囲を変更する決定要因としては、さまざまなケースが挙げられる。
例えば、通信中の相手局からの受信電力が十分に高く、送信電力を下げても所望の高いデータ・レートでの伝送が可能であると判断された場合などに、与干渉量低減の目的で自律的に送受信可能範囲を変更する場合がある。なお、この場合、送信電力を下げた後に所望の高いデータ・レートでの伝送が困難と判断された場合には、送信電力を再度上げることがある。
また、通信局は、所望の通信相手以外の局からの信号がメディアを占有する状態が継続し、所望の通信相手に向けての送信時間を確保できないと判断された場合に、より多くの送信時間帯を確保する目的で送受信可能範囲を変更する場合がある。
また、通信局は、周辺局が多過ぎて、自局がハンドルできる周辺局数を超えたと判断した場合には、周辺局の存在そのものを減らす目的で送受信可能範囲を変更する場合がある。
また、通信局は、1つ以上の周辺局が電波の到達範囲ぎりぎりのところに存在しており、通信可能な隣接局と判断すべきか否かがあいまいな場合には、これら隣接局を消し去り、あるいは確実な隣接局として収容するために送受信レンジを変更することがある。
また、通信局は、自局から受信可能な周辺局の受信可能範囲外にいることを認識したことに応答して、自局の受信可能範囲を変更するようにしてもよい。例えば、通信局Aと通信局Bが存在した場合で、通信局Aにおいては通信局Bからの信号を受信することが可能であるにも拘わらず、通信局Aが通信局Bに対して信号を送信しても通信局Bからは一向に応答がないなど、通信局Bにおいては通信局Aの存在が認識されていないと判断される場合、通信局Aは通信局Bを隣接局から消し去るために(送)受信可能範囲を変更することがある。
ここで、通信局における受信可能範囲の変更は、上記とはやや異なる観点から行なわれる場合もある。すなわち、受信可能範囲の変更は、通信局固有の送信電力や送信信号精度、又は受信性能のばらつき(通信局間格差)を埋める目的で行なわれる場合もある。この目的で受信可能範囲を変更する場合には、表2〜表4に記した信号検出能力の調整ステップよりも細かく調整され、送信可能範囲の変更を伴わない場合もある。
なお、受信可能範囲の細かな調整は、通信局固有の性能のばらつきを埋める以外に、通信局周辺の干渉量の格差などを埋める目的で行なわれることもある。
図11には、通信局が受信可能範囲の制御により送信可能範囲を適応的に設定するための手順をフローチャートの形式で示している。
周辺に存在する通信局数の変動や、近隣の通信局において通信可能範囲を再設定するなど、所定のトリガが発生したことに応答して(ステップS1)、通信局は、信号検出能力を変更することにより、自局の受信可能範囲を適当な値に設定する(ステップS2)。そして、自局の送信電力を制御し、送信可能範囲を受信可能範囲に適応するように設定する(ステップS3)。
ここで、ステップS1において受信可能範囲を変更するトリガとして、以下の事象が挙げられる。
(1)所望の通信相手以外の局からの信号がメディアを占有する状態が継続し、所望の通信相手に向けての送信時間を確保できないと判断された場合
(2)周辺局が多過ぎて、自局がハンドルできる周辺局数を超えたと判断した場合
(3)1つ以上の周辺局が電波の到達範囲ぎりぎりのところに存在しており、通信可能な隣接局と判断すべきか否かがあいまいな場合
(4)自局から受信可能な周辺局の受信可能範囲外にいることを認識した場合
(5)通信局固有の送信電力や送信信号精度、又は受信性能のばらつき(通信局間格差)を埋める必要がある場合
また、図12には、送信可能範囲の制御により受信可能範囲を適応的に設定するための手順をフローチャートの形式で示している。
周辺に存在する通信局数の変動や、近隣の通信局において通信可能範囲を再設定するなど、所定のトリガが発生したことに応答して(ステップS11)、通信局は、送信電力を変更することにより、自局の送信可能範囲を適当な値に設定する(ステップS12)。そして、自局の信号検出能力を制御し、受信可能範囲を送信可能範囲に適応するように制御する(ステップS13)。
ここで、ステップS11において送信可能範囲を変更するトリガとして以下の事象が挙げられる。
(1)通信中の相手局からの受信電力が十分に高く、送信電力を下げても所望の高いデータ・レートでの伝送が可能であると判断された場合
(2)1つ以上の周辺局が電波の到達範囲ぎりぎりのところに存在しており、通信可能な隣接局と判断すべきか否かがあいまいな場合
E.自律分散型ネットワークへの適用
前項までで、通信局が送信電力値並びに信号検出能力を制御/設定することにより、通信局間での送信可能範囲の不一致によるアクセス制御の不均一性の問題や、大量の隣接局が存在するときの送信機会などの問題を解決することができるという点を説明してきた。
この項では、このような通信局における通信可能範囲の制御/設定を行なう仕組みを自律分散型ネットワークに適用した場合について詳解する。
E−1.ネットワーク構成
制御局と被制御局の関係を特に持たない自律分散型の無線通信システムでは、各通信局はチャネル上でビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。通信局は伝送フレーム周期(以下、「スーパーフレーム(Super Frame)」とも呼ぶ)の先頭でビーコンを送信するので、伝送フレーム周期はビーコン間隔によって定義される。スーパーフレームは例えば80ミリ秒であるが、特に80ミリ秒に限定されるものではない。
また、各通信局は、伝送フレーム周期に相当する期間だけチャネル上をスキャン動作することにより、周辺局から送信されるビーコン信号を発見し、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知る(又はネットワークに参入する)ことができる。
各通信局のビーコン送信手順について、図13を参照しながら説明する。
各通信局は、周辺で発信されるビーコンを聞きながら、ゆるやかに同期する。新規に通信局が現われた場合、新規通信局は既存の通信局のビーコン送信タイミングと衝突しないように、自分のビーコン送信タイミングを設定する。
また、周辺に通信局がいない場合、通信局01は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。ビーコンの送信間隔は80ミリ秒である。図13中の最上段に示す例では、B01が通信局01から送信されるビーコンを示している。
以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。
例えば、図13中の最上段に示すように、通信局01のみが存在するチャネル上において、新たな通信局02が現われたとする。このとき、通信局02は、通信局01からのビーコンを受信することによりその存在とビーコン位置を認識し、図13の第2段目に示すように、通信局01のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定して、ビーコンの送信を開始する。
さらに、新たな通信局03が現われたとする。このとき、通信局03は、通信局01並びに通信局02のそれぞれから送信されるビーコンの少なくとも一方を受信し、これら既存の通信局の存在を認識する。そして、図13の第3段に示すように、通信局01及び通信局02から送信されるビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで送信を開始する。
以下、同様のアルゴリズムに従って近隣で通信局が新規参入する度に、ビーコン間隔が狭まっていく。例えば、図13の最下段に示すように、次に現われる通信局04は、通信局02及び通信局01それぞれが設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定し、さらにその次に現われる通信局05は、通信局02及び通信局04それぞれが設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定する。
但し、帯域(スーパーフレーム)内がビーコンで溢れないように、最小のビーコン間隔Bminを規定しておき、Bmin内に2以上のビーコン送信タイミングを配置することを許容しない。例えば、80ミリ秒のスーパーフレームでミニマムのビーコン間隔Bminを5ミリ秒に規定した場合、電波の届く範囲内では最大で16台の通信局までしか収容できないことになる。
スーパーフレーム内に新規のビーコンを配置する際、各通信局はビーコン送信の直後に優先利用領域(TPP)を獲得することから(後述)、1つのチャネル上では各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりもスーパーフレーム内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、図13に示したように、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。但し、各通信局のビーコン送信タイミングを集中して配置し、残りのスーパーフレームでは受信動作を停止して装置の消費電力を低減させるという利用方法もある。
図14には、1スーパーフレーム内で配置可能なビーコン送信タイミングの構成例を示している。但し、同図に示す例では、80ミリ秒からなるスーパーフレームにおける時間の経過を、円環上で時針が右回りに運針し80ミリ秒毎に巡回する時計のように表している。
図14に示す例では、0からFまでの合計16個の位置がビーコン送信を行なうことができる時刻すなわちビーコン送信タイミングを配置可能なスロットとして構成されている。図13を参照しながら説明したように、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれたものとする。Bminを5ミリ秒と規定した場合には、1スーパーフレームにつき最大16個までしかビーコンを配置することができない。すなわち、16台以上の通信局はネットワークに参入できない。
なお、図13並びに図14では明示されていないが、各々のビーコンは、各ビーコン送信時刻であるTBTT(Target Beacon Transmission Time)から故意に若干の時間オフセットを持った時刻で送信されている。これを「TBTTオフセット」と呼ぶ。本実施形態では、TBTTオフセット値は擬似乱数にて決定される。この擬似乱数は、一意に定められる擬似ランダム系列TOIS(TBTT Offset Indication Sequence)により決定され、TOISはスーパーフレーム毎に更新される。
TBTTオフセットを設けることにより、2台の通信局がスーパーフレーム上では同じスロットにビーコン送信タイミングを配置している場合であっても、実際のビーコン送信時刻がずらすことができ、あるスーパーフレームにはビーコンが衝突しても、別のスーパーフレームでは各通信局は互いのビーコンを聞き合う(あるいは、近隣の通信局は双方のビーコンを聞く)ことができる。通信局は、スーパーフレーム毎に設定するTOISをビーコン情報に含めて周辺局に報知する(後述)。
また、各通信局は、データの送受信を行なっていない場合には、自局が送信するビーコンの前後は受信動作を行なうことが義務付けられる。また、データ送受信を行なわない場合であっても、数秒に一度は1スーパーフレームにわたり連続して受信機を動作させてスキャン動作を行ない、周辺ビーコンのプレゼンスに変化がないか、あるいは各周辺局のTBTTがずれていないかを確認することも義務付けられる。そして、TBTTにずれを確認した場合には、自局の認識するTBTT群を基準に−Bmin/2ミリ秒以内をTBTTと規定しているものを「進んでいる」、+Bmin/2ミリ秒以内をTBTTと規定しているものを「遅れている」ものと定義し、最も遅れているTBTTに合わせて時刻を修正する。
E−2.優先送信区間TPP
制御局と被制御局の関係を特に持たない通信環境下で、通信局として動作する無線通信装置100は、緩やかな時分割多重アクセス構造を持った伝送(MAC)フレームにより伝送チャネルを効果的に利用した伝送制御、又はCSMA/CAに基づくランダム・アクセスなどの通信動作を行なう。
本実施形態では、各通信局はビーコンを一定間隔で送信しているが、ビーコンを送信した後しばらくの間は、該ビーコンを送信した局に送信の優先権を与えることで、信号の往来を自律分散的に管理し、通信帯域(QoS)を確保するようにしている。図15には、ビーコン送信局に優先権が与えられる様子を示している。本明細書では、この優先区間をTransmission Prioritized Period(TPP)と定義する。
図16には、ビーコン送信局に優先送信期間TPPを与える場合のスーパーフレーム(T_SF)の構成例を示している。同図に示すように、各通信局からのビーコンの送信に続いて、そのビーコンを送信した通信局のTPPが割り当てられるが、TPPに続く区間はFairly Access Period(FAP)と定義される。FAPでは、ビーコン送信局は他の通信局と同様に通常のCSMA/CA方式により通信を行なう。そして、次の通信局からのビーコン送信タイミングでFAPが終わり、以降は同様にビーコン送信局のTPPとFAPが続く。
図17には、通信局がTPP区間及びFAP区間においてそれぞれ送信を開始するための動作を図解している。
TPP区間内では、通信局は、自局のビーコンを送信した後、より短いバケット間隔SIFSの後に送信を開始することができる。図示の例では、ビーコン送信局はSIFSの後にRTSパケットを送信する。そして、その後も、送信されるCTS、データ、ACKの各パケットも同様にSIFSのフレーム間スペースで送信することにより、近隣局に邪魔されず、一連の通信手順を実行することができる。
これに対し、FAP区間では、ビーコン送信局は、他の周辺局と同様にLIFS+ランダム・バックオフだけ待機してから送信開始する。言い換えれば、すべての通信局にランダムなバックオフにより送信権が均等に与えられることになる。図示の例では、他局のビーコンが送信された後、まずLIFSだけメディア状態を監視し、この間にメディアがクリアすなわち送信信号が存在しなければ、ランダム・バックオフを行ない、さらにこの間にも送信信号が存在しない場合に、RTSパケットを送信する。なお、RTS信号に起因して送信されるCTS、データ、ACKなどの一連のパケットはSIFSのフレーム間スペースで送信することにより、近隣局に邪魔されず、一連の通信手順を実行することができる。
上述した信号の往来管理方法によれば、優先度の高い通信局がより短いフレーム間スペースを設定することで優先的に送信権を獲得することができる。但し、上述した実施形態では、優先送信期間TPPは、最小ビーコン間隔以下の一定期間に固定され、その後はFAPというすべての通信局が共通のIFSとランダム・バックオフで均等な条件で通信権を得る期間へと移行する。
図18には、通信局として動作する無線通信装置の状態遷移図を示している。
通信局は、通常動作モード下では、長いフレーム間隔LIFSと、さらにランダム・バックオフだけ待機してから送信開始する。
ここで、自局のビーコン送信タイミングTBTTが到来し、ビーコンを送信した後、優先送信モードに遷移し、優先送信期間TPPを獲得し、優先送信モードへ遷移する。
優先送信モード下では、LIFSよりも短いフレーム間隔SIFSの待機時間だけで送信することにより、近隣局に邪魔されず、送信権を獲得することができる。
通信局は、上位レイヤから要求される帯域量に相当する長さの優先送信期間TPPだけ優先送信モードを継続する。
そして、TPPが終了し、FAPへ移行したとき、あるいは他局のビーコンを受信したときには、優先送信モードから通常動作モードへ復帰する。
また、図19には、通信局として動作する無線通信装置の状態遷移図についての他の例を示している。図示の例では、自局が優先送信権を獲得しているTPP期間に相当する優先送信モードと、すべての通信局が優先送信権を得ていないFAP期間に相当する通常送信モードと、他局の優先送信期間TPPに相当する非優先送信モードという3つの状態が定義されている。
通信局は、通常動作モード下では、通常のフレーム間隔MIFSにランダム・バックオフを加えた期間だけ待機してから送信開始する。FAPの期間中はシステム内のすべての通信局は、MIFS+バックオフにて送信する
ここで、自局のビーコン送信タイミングTBTTが到来し、ビーコンを送信した後、優先送信モードに遷移し、優先送信期間TPPを獲得する。
優先送信モード下では、MIFSよりも短いフレーム間隔SIFSの待機時間だけで送信することにより、近隣局に邪魔されず、送信権を獲得することができる。通信局は、上位レイヤから要求される帯域量に相当する長さの優先送信期間TPPだけ優先送信モードを継続する。そして、TPPが終了し、FAPへ移行したときには、通常送信モードへ復帰する。
また、他局からのビーコンを受信し、当該他局の優先送信期間に突入したときには、非優先送信モードに遷移する。非優先送信モード下では、通常送信モード時のフレーム間隔MIFSよりもさらに長いフレーム間隔LIFSにランダム・バックオフを加えた期間だけ待機してから送信開始する。
そして、他局のTPPが終了し、FAPへ移行したときには、通常送信モードへ復帰する。
各通信局は、基本的にはスーパーフレーム毎に1回のビーコンを送信するが、場合に応じて、複数個のビーコンあるいはビーコンに類する信号を送信することが許容され、ビーコンを送信する度にTPPを獲得することができる。言い換えれば、通信局は、スーパーフレーム毎に送信するビーコンの個数に応じて優先的な送信用のリソースを確保できることになる。ここで、通信局がスーパーフレームの先頭で必ず送信するビーコンのことを「正規ビーコン」、それ以外のタイミングでTPP獲得又はその他の目的で送信する2番目以降のビーコンのことを「補助ビーコン」と呼ぶ。
通信局において、例えば通信プロトコルの上位レイヤからの要求により、スーパーフレーム毎に1回のビーコン送信で得られる優先送信期間TPPを超えた通信帯域が必要となった場合には、例えば正規ビーコン以外に補助ビーコンを送信して、さらにTPPの獲得を行なう。
図20には、通信局が補助ビーコンという仮想的なビーコンを複数送信して、この優先期間を増やす様子を示している。図示の例では、通信局#1は、上位レイヤから要求された通信帯域を確保するために、スーパーフレーム内で空いているビーコン・スロットを発見し、自局の補助ビーコンを配置することにより、1スーパーフレームで複数のTPPを得ている。
E−3.ビーコンのフレーム・フォーマット
図21には、本実施形態に係る自律分散型の無線通信システムにおいて送信されるビーコン・フレームのフォーマット一例を示している。
図示の例では、ビーコンには、受信対象局を一意に示すアドレスであるRA(Receiver Address)フィールドと送信元局を一意に示すアドレスであるTA(Transmitter Address)フィールドと、当該ビーコンの種類を示すTypeフィールドと、周辺局から受信可能なビーコンの受信時刻情報であるNBOI/NBAI(Neighboring Beacon Offset Information/Neighboring Beacon Activity Information)フィールドと、当該ビーコンを送信したスーパーフレームにおけるTBTTオフセット値(前述)を示す情報であるTOIS(TBTT Offset Indication Sequence)フィールドと、TBTTの変更やその他各種の伝達すべき情報を格納するALERTフィールドと、当該通信局が優先的にリソースを確保している量を示すTxNumフィールドと、当該スーパーフレーム内で複数のビーコンを送信する場合に当該ビーコンに割り振られた排他的な一意のシリアル番号を示すSerialフィールドと、当該通信局の信号検出能力レベルを示すSense Levelフィールドと、当該通信局が属する論理ネットワークを示すNetIDフィールドと、当該通信局がアクセス制御とは無関係に内包している時刻情報を通達するTSF(Timing Synchronization Function)フィールドなどが含まれている。
また、ビーコン中にはその他の情報を通達するフィールドも存在するが、本発明の要旨には直接関連しないため、これらをまとめてETCフィールドと記載しておく。ETCフィールドには、当該ビーコンの送信直後にデータを送信する予定のある特定局に向けたページング情報などの情報が含まれることもある。
RA(Receiver Address)フィールドには、通常、ビーコンは報知情報であるため、ブロードキャスト・アドレスが格納される。但し、帯域確保の目的で補助ビーコンとして送信される場合には受信先局を一意に示す場合もある。また、TA(Transmitter Address)フィールドには、自局を一意に示すアドレスが格納される。
Typeフィールドには、当該ビーコンの種類が8ビット長のビットマップ形式で記述される。本実施形態では、ビーコンが、各通信局が1スーパーフレーム毎のその先頭で1回だけ送信する「正規ビーコン」、あるいは優先的送信権を得るために送信されている「補助ビーコン」のいずれであるかを識別するための情報として、プライオリティを示す0から255までの値を用いて示される。具体的には、1スーパーフレーム毎に1回送信することが必須である正規ビーコンの場合は最大のプライオリティを示す255が割り当てられ、補助ビーコンに対してはトラフィックのプライオリティに相当する0から254までのいずれかの値が割り当てられる。
NBOIフィールドは、スーパーフレーム内において自局が受信可能な隣接局のビーコンの位置(受信時刻)を記述した情報である。本実施形態では、図14に示したように1スーパーフレーム内で最大16個のビーコンを配置なスロットが用意されていることから、受信できたビーコン・スロットの配置に関する情報を16ビット長のビットマップ形式で記述する。すなわち、自局の正規ビーコンの送信時刻TBTTをNBOIフィールドの先頭ビット(MSB)にマッピングするとともに、その他の各スロットを自局のTBTTを基準とした相対位置(オフセット)に対応するビット位置にそれぞれマッピングする。そして、自局の送信ビーコン並びに受信可能なビーコンの各スロットに割り当てられたビット位置に1を書き込み、それ以外のビット位置は0のままとする。
図22にはNBOIの記述例を示している。同図に示す例では、通信局0が「1100,0000,0100,0000」のようなNBOIフィールドを作っている。これは、図14に示したように最大16局を収容可能な各スロットに通信局0〜FがそれぞれTBTTを設定しているような通信環境下で、通信局0が、「通信局1並び通信局9からのビーコンが受信可能である」旨を伝えることになる。つまり、受信ビーコンの相対位置に対応するNBOIの各ビットに関し、ビーコンが受信可能である場合にはマーク、受信されてない場合にはスペースを割り当てる。また、MSBが1になっているのは自局がビーコンを送信しているためで、自局がビーコンを送信している時刻に相当する場所もマークする。
各通信局は、あるチャネル上でお互いのビーコン信号を受信すると、その中に含まれるNBOIの記述に基づいて、チャネル上でビーコンの衝突を回避しながら自己のビーコン送信タイミングを配置したり周辺局からのビーコン受信タイミングを検出したりすることができる。
また、NBAIフィールドは、NBOIフィールドと同様のフォーマットで、自局が実際に受信処理を行なっているビーコンを特定する情報が記載される。
TOISフィールドでは、上述のTBTTオフセットを決定する擬似ランダム系列が格納されており、当該ビーコンがどれだけのTBTTオフセットを以って送信されているかを示す。TBTTオフセットを設けることにより、2台の通信局がスーパーフレーム上では同じスロットにビーコン送信タイミングを配置している場合であっても、実際のビーコン送信時刻がずらすことができ、あるスーパーフレームにはビーコンが衝突しても、別のスーパーフレームでは各通信局は互いのビーコンを聞き合う(あるいは、近隣の通信局は双方のビーコンを聞く)ことができる。
図23には、TBTTと実際のビーコン送信時刻を示している。図示のように、TBTT、TBTT+20マイクロ秒、TBTT+40マイクロ秒、TBTT+60マイクロ秒、TBTT+80マイクロ秒、TBTT+100マイクロ秒、TBTT+120マイクロ秒のいずれかの時刻となるようTBTTオフセットを定義している。通信局は、スーパーフレーム毎に、どのTBTTオフセットで送信するかを決定し、TOISを更新する。また、送信局が意図した時刻に送信できない場合には、TOISにオールゼロなどを格納し、ビーコンを受信可能な周辺局に対し、今回のビーコン送信タイミングは意図した時刻に行なえなかった旨を伝達する。
ALERTフィールドには、異常状態において、周辺局に対して伝達すべき情報を格納する。例えば、ビーコンの衝突回避などのため自局の正規ビーコンのTBTTを変更する予定がある場合や、また周辺局に対し補助ビーコンの送信の停止を要求する場合には、その旨をALERTフィールドに記載する。
TxNumフィールドは、当該局がスーパーフレーム内で送信している補助ビーコンの個数が記載される。通信局はビーコン送信に続いてTPPすなわち優先送信権が与えられることから、スーパーフレーム内での補助ビーコン数は優先的にリソースを確保して送信を行なっている時間率に相当する。
Serialフィールドには、当該スーパーフレーム内で複数のビーコンを送信する場合に当該ビーコンに割り振られた排他的な一意のシリアル番号が書き込まれる。当該ビーコンのシリアル番号として、スーパーフレーム内に送信する各々のビーコンに排他的な一意の番号が記載される。本実施形態では、自局の正規ビーコンを基準に、何番目のTBTTで送信している補助ビーコンであるかの情報が記載される。
Sense Levelフィールドには、当該ビーコン送信局がどのレベル(受信SINR)までの受信信号を受信信号として検出しているかの情報を格納する。通信局は、通信可能なエリアを制御する目的で受信機におけるプリアンブル検出精度を下げ、低いSINRで受信された信号を故意に受信信号として検出しない場合がある。当該フィールドは、当該ビーコン送信局におけるこの制御状況を通達するものである。ビーコンを受信した通信局側では、このフィールドを参照することにより、当該ビーコン送信元局宛てのデータ・レートを調整したり、自己のプリアンブル検出精度を同調させたりすることがある。
NetID(Network Identifier)フィールドは、当該ビーコン送信局のオーナーなどを示す識別子である。ビーコンを受信した通信局側では、当該フィールドを参照することにより、自局と当該ビーコン送信局が論理的に同一のネットワークに属しているか否かを認識することができる。
TSF(Timing Synchronization Function)フィールドは、当該ビーコン送信局が内包している時刻情報を通達するフィールドである。この時刻はメディア・アクセスの用途とは別の用途で、主にアプリケーションの同期の目的で用いられる。ビーコンの送信時刻の変更やTDMA構造保持のためのクロック補正や、TBTTオフセットなどといったアクセス制御とは無関係に、送信局の備えるクロックに忠実にフリーランではじき出される当該信号の送信時刻を掲載する。ビーコンを受信した通信局側では、この値を受信時刻とともに上位レイヤに提供し、当該ビーコン送信局から送信される情報の基準時刻情報として保持することがある。
E−4.ビーコンのTBTT設定
通信局は電源投入後、まずスキャン動作すなわちスーパーフレーム長以上にわたり連続して信号受信を試み、周辺局の送信するビーコンの存在確認を行なう。この過程で、周辺局からビーコンが受信されなかった場合には、通信局は適当なタイミングをTBTTとして設定する。
一方、周辺局から送信されるビーコンを受信した場合には、周辺局から受信した各ビーコンのNBOIフィールドを当該ビーコンの受信時刻に応じてシフトしながら論理和(OR)をとって参照することにより、最終的にマークされていないビット位置に相当するタイミングの中からビーコン送信タイミングを抽出する。周辺通信局から受信した各ビーコンのNBOIフィールドを当該ビーコンの受信時刻に応じてシフトしながらORで参照することにより得られた0/1の系列を受信NBOIテーブル(Rx NBOI Table)と呼ぶ。
基本的には、通信局はビーコン送信の直後に優先利用領域(TPP)を獲得することから、各通信局のビーコン送信タイミングはスーパーフレーム内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、周辺局から受信したビーコンから得たNBOIのORをとった結果、スペースのランレングスが最長となる区間の中心をビーコン送信タイミングとして定める。但し、ランレングスが最長となるTBTT間隔が最小のTBTT間隔よりも小さい場合(すなわちBmin以下の場合)には、新規通信局はこの系に参入することができない。
図24には、新規に参入した通信局が周辺局から受信したビーコンから得た各ビーコンのNBOIに基づいて自局のTBTTを設定する様子を示している。
通信局は電源投入後、まずスキャン動作すなわちスーパーフレーム長以上にわたり連続して信号受信を試み、周辺局の送信するビーコンの存在確認を行なう。この過程で、周辺局からビーコンが受信されなかった場合には、通信局は適当なタイミングをTBTTとして設定する。一方、周辺局から送信されるビーコンを受信した場合には、周辺局から受信した各ビーコンのNBOIフィールドを当該ビーコンの受信時刻に応じてシフトしながら論理和(OR)をとって参照することにより、最終的にマークされていないビット位置に相当するタイミングの中からビーコン送信タイミングを抽出する。
図24に示す例では、新規に登場した通信局Aに着目し、通信局Aの周辺には通信局0、通信局1、通信局2が存在しているという通信環境を想定している。そして、通信局Aは、スキャン動作によりスーパーフレーム内にこの3つの局0〜2からのビーコンが受信できたとする。
NBOIフィールドは、周辺局のビーコン受信時刻を自局の正規ビーコンに対する相対位置に対応するビット位置にマッピングしたビットマップ形式で記述している(前述)。そこで、通信局Aでは、周辺局から受信できた3つのビーコンのNBOIフィールドを各ビーコンの受信時刻に応じてシフトして時間軸上でビットの対応位置を揃えた上で、各タイミングのNBOIビットのORをとって参照する。
周辺局のNBOIフィールドを統合して参照した結果、得られている系列が図22中“OR of NBOIs”で示されている「1101,0001,0100,1000」であり、1はスーパーフレーム内で既にTBTTが設定されているタイミングの相対位置を、0はTBTTが設定されていないタイミングの相対位置を示している。この系列において、スペース(ゼロ)の最長ランレングスは3であり、候補が2箇所存在していることになる。図24に示す例では通信局Aは、このうち15ビット目を自局の正規ビーコンのTBTTに定めている。
通信局Aは、15ビット目の時刻を自局の正規ビーコンのTBTT(すなわち自局のスーパーフレームの先頭)として設定し、ビーコンの送信を開始する。このとき、通信局Aが送信するNBOIフィールドは、ビーコン受信可能な通信局0〜2のビーコンの各受信時刻を、自局の正規ビーコンの送信時刻からの相対位置に相当するビット位置をマークしたビットマップ形式で記載したものである、図24中の“NBOI for TX(1BeaconTX)”で示す通りとなる。
なお、通信局Aが優先送信権利を得るなどの目的で補助ビーコンを送信する際には、さらにこの後、周辺局のNBOIフィールドを統合した“OR of NBOIs”で示されている系列のスペース(ゼロ)の最長ランレングスを探し、探し当てたスペースの箇所に補助ビーコンの送信時刻を設定する。図24に示す例では、2つの補助ビーコンを送信する場合を想定しており,“OR of NBOIs”の6ビット目と11ビット目のスペースの時刻に補助ビーコンの送信タイミングを設定している。この場合、通信局Aが送信するNBOIフィールドは、自局の正規ビーコンと周辺局の受信ビーコンの相対位置に加え、さらに自局が補助ビーコンの送信を行なっている箇所(正規ビーコンに対する相対位置)にもマークされ、“NBOI for TX (3 Beacon TX)”で示されている通りとなる。
各通信局が上述したような処理手順で自局のビーコン送信タイミングTBTTを設定してビーコンの送信を行なう場合、各通信局が静止して電波の到来範囲が変動しないという条件下では、ビーコンの衝突を回避することができる。また、送信データの優先度に応じて、補助ビーコン(又は複数のビーコンに類する信号)をスーパーフレーム内で送信することにより、優先的にリソースを割り当て、QoS通信を提供することが可能である。また、周辺から受信したビーコン数(NBOIフィールド)を参照することにより、各通信局がシステムの飽和度を自律的に把握することができるので、分散制御システムでありながら、通信局毎に系の飽和度を加味しつつ優先トラヒックの収容を行なうことが可能となる。さらに、各通信局が受信ビーコンのNBOIフィールドを参照することで、ビーコン送信時刻は衝突しないように配置されるので、複数の通信局が優先トラヒックを収容した場合であっても、衝突が多発するといった事態を避けることができる。
E−5.受信信号のSINR並びに信号検出能力閾値の測定
本発明では、信号を受信すると、当該信号の受信SINR値を測定、あるいは信号検出時に得られた相関の絶対値の最大値を保持し、受信信号への付加情報としてメディア・アクセス制御(MAC)レイヤに通達する。メディア・アクセス制御レイヤでは、この付加情報を基に、当該信号がどの信号検出能力レベルであれば受信可能であるかを得ることができる。
通信局が受信した信号を受信可能な信号検出能力レベルのことをRx Sense Levelと呼ぶ。特に、ビーコンを受信した際には、Rx Sense Levelは、ビーコンで伝送されてきた情報とともに各種用途で用いられるが、詳細については後述する。また、信号検出能力閾値をSense Levelと呼ぶ。「Sense Levelを上げる」とは「信号検出能力を落とす」という意味で定義している。
E−6.所望の空きTBTTが見つからない場合の処理
本実施形態に係る自律分散型のネットワーク・システムでは、既に述べたように、図24に示したように周辺局から受信したビーコンのORを取っていく手順により、自局が使用可能なビーコン送信時刻を抽出することができる。
ところが、周辺に過密に通信局が存在する場合には、自局がビーコンを送信するための空きの時間帯がもはや存在しないことも想定される。以下では、このように所望の空きTBTTが見つからない場合の処理について説明する。
図25には、通信局が自局のビーコン送信時刻を設定するための処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理動作は、例えば通信局がスキャン処理を行ない最新のNBOI情報を取得した後に行なわれる。
まず、自局のSense Levelをデフォルトの値に設定する(ステップS21)。デフォルト値は、現在の当該通信局のSense Level、あるいは初期状態の場合は、最大能力の値である。
次いで、受信した各ビーコンのNBOIビットのORをとり、Rx NBOI Tableを作成する。NBOIのORをとる処理は、図24で示した手順に従って行なわれる。このとき、自局のSense Levelを下回るRx Sense Levelが付加情報として与えられているビーコン(すなわち、自局よりも信号検出能力が高くより広い受信可能範囲を設定している通信局からの受信ビーコン)は、集計から外した上で、Rx NBOI Tableを作成する(ステップS22)。
次いで、得られたRx NBOI Tableから、自局の新規ビーコンを送信するための時刻の抽出を試みる(ステップS23)。ここで、自局の新規ビーコン送信用の時刻が抽出された場合には、当該時刻を送信ビーコン時刻として設定し、本処理ルーチン全体を終了する。
一方、自局の新規ビーコン送信用の時刻が抽出されなかった場合には(ステップS23)、Sense Levelを上げ(すなわち、信号検出能力を低下し)、自局の受信可能範囲を縮小するための処理に移行する。その前に、Sense Levelを上げることによって、当該通信局が現在通信しているコネクションが断絶されることがないか、所望のデータ量の転送が不可能になることはないかなどの判断が必要に応じて行なわれる(ステップS24)。
そして、Sense Levelを上げても構わないと判断された場合には、自局のSense Levelを1段階上げた上で(ステップS25)、ステップS22に戻り、上述した処理を繰り返し実行する。
また、Sense Levelを上げることにより現在通信しているコネクションに影響があるので新規送信ビーコン時刻の抽出を諦めると判断した場合には(ステップS24)、相応の処理を行なった後(ステップS26)、本処理ルーチン全体を終了する。
図26には、Sense Levelを上げて受信可能範囲を縮小しながら、Rx NBOI Tableを作成して空きスロットを探索するための処理動作を具体的に示している。
同図に示す例では、図24の場合と同様に、新規に登場した通信局Aに着目している。通信局Aの周辺には通信局0、通信局1、並びに通信局2が存在しており、通信局Aはスキャン動作によりスーパーフレーム内にこれら3つの通信局からのビーコンを受信することができる。このうち、通信局0、通信局1からの各受信ビーコンに付加されているRx Sense Levelはそれぞれ1、2であり、通信局2からの受信ビーコンのRx Sense Levelは2以上であるとする。
まず、通信局Aは、Sense Levelをデフォルト値である0に設定し、この3つの通信局0〜2からの受信ビーコンのNBOIフィールドを、各ビーコンの受信時刻に応じてシフトした上で、ORで参照することにより、Rx NBOI Tableを抽出する。
Sense Levelを0に設定して得られたRx NBOI Tableは図中の(Rx NBOI Table @ Sense Level=0)で示されている通り、空きスロットは存在しない。
そこで、通信局Aは、Sense Levelを1だけインクリメントし、信号検出能力を1ステップだけ落とした(自局の受信可能範囲を1ステップだけ小さくした)上で、ORで参照することにより、同様にRx NBOI Tableを抽出する。この場合、通信局0からの受信ビーコンにはRx Sense Levelとして1が付加されていることから、集計対象から外される。したがって、同図中の(RX NBOI Table @ Sense Level=1)で示されている通り、空きスロットが現れる。この段階で獲得できる空きスロットで十分であれば、通信局Aは、Sense Levelを1として決定する。
他方、ここで現れている空きスロット数ではまだ帯域確保に不十分である場合には、通信局Aは、さらにSense Levelを1だけインクリメントして2とし、信号検出能力をさらに1ステップだけ落とした(自局の受信可能範囲をさらに1ステップだけ小さくした)上で、ORで参照することにより、同様にRx NBOI Tableを抽出する。この場合、通信局1からの受信ビーコンにはRx Sense Levelとして2が付加されていることから、集計対象から外される。したがって、同図中の(RX NBOI Table @ Sense Level=2)で示されている通り、さらに多数の空きスロットが現れる。この段階で獲得できる空きスロットで十分であれば、通信局Aは、Sense Levelを2として決定する。
このようなアルゴリズムなどで空き時刻となるタイミングから自局のビーコン送信時刻と設定し、無線通信システムは定常状態に移っていく。
さらに、Sense Levelを変更することにより受信レンジを調整したことに応じて、送信レンジを調整するため、上述したように例えば表2〜表4などに示された形式に従って送信電力も併せて調整し、アクセス制御の均一性を保つようにする。
なお、通常のビーコン送信時刻を設定する際の処理も、補助ビーコンを送信する場合も、同様の空きスロット探索アルゴリズムが適用可能となる。
なお、Sense Levelは必ずしもスーパーフレームにわたり同じ値が設定されるとも限らない。例えば、通信局の存在自体は広くアナウンスしたいが、特定局に宛てた通信は狭いレンジで構わないような場合には、正規のビーコンの送信時間帯近辺は送受信可能範囲とも大きくとるための値を設定し、上記特定局宛ての通信用途で送信される補助ビーコンと優先送信区間TPPの時間帯近辺は送受信可能範囲とも狭めるための値を設定するなどということも可能である。
これにより、近隣に位置する特定局宛てに帯域を確保したいが、そのための補助ビーコンの送信時間帯が見つからない場合には、補助ビーコン送信のためにSense Levelを上げた状態で空きTBTTを抽出し、当該補助ビーコンに関わる時間帯に限りSense Levelを上げ、さらに送信電力を下げて送信する。この場合の制御方法について以下に詳解する。
通信局は、通信プロトコルの上位レイヤより特定の通信相手に向けた帯域の確保を指示されたが、スーパーフレーム内の多くのスロットが周辺局により既に使用されており、指示された帯域を確保することができないという場面を想定する。このような場合、通信局は、図25に示した処理手順に従い、Sense Levelを上げながら(すなわち受信可能範囲を狭くしながら)空きスロットを検出する処理を開始する。このとき、Sense Levelを上げることに伴い送信電力を下げるため、相手局における受信SINRが減少する現象も加味して補正をかけながら必要スロット数を調整する。なお、相手局における受信SINRが減少する現象の補正方法については後述する。
この処理の結果、Sense Levelを2と設定した場合に必要な帯域が確保できると判断された場合、当該相手局宛ての送信のために確保する優先送信区間の時間帯近辺のみにおいてSense Level並びに送信電力レベルを2に設定し、当該時間帯近辺のみ送信可能範囲及び受信可能範囲を狭める。
図41には、通信局が時間帯に応じて送信電力並びに信号検出電力を変動させる様子を示している。図示の例では、時刻T0からスーパーフレームが開始しているが、このスーパーフレーム内で、通信局は、時刻T1、T2、T3から始まる各時間帯が特定局に向けた帯域確保のために必要なスロットである。通信局は、通常は送信電力及び信号検出電力のレベルを0としているが、時刻T1、T2、T3から始まる各時間帯の近辺においては送信電力及び信号検出電力のレベルを2に設定し、送信可能範囲及び受信可能範囲を狭めている。これによって、他の周辺局に迷惑をかけることなく、特定局へ向けたスロットの確保が可能となる。なお、不要な干渉信号の検出などを避ける目的から、受信可能範囲の変更は、それぞれの時刻T1、T2、T3よりも少し前から実行することが好ましい。
特定の通信局への送信時間帯だけ送受信可能範囲を変更する場合には、送信局における送受信可能範囲の設定に伴い、受信局側でも送受信可能範囲を変更することもある。この場合、受信局においても、図41に示したと同様に、時刻T1、T2、T3から始まる時間帯は、特低局からの受信信号確保のために、この時間帯近辺のみ信号検出電力のレベル並びに送信電力のレベルをより低い2に設定する。受信局は、受信可能範囲を変更することにより、不要な干渉信号の検出などによる受信信号の取りこぼしを抑えることができる。また、受信局は、データを受信するとACKの返送などを行なうが、送信可能範囲を変更することにより、ACKの送信による受信局の周辺局に対する与干渉の削減が可能となる。これらの結果として、周波数の一層の有効利用を図ることができる。
アドホック通信環境では、通信局が各所で散乱していることから、周辺メディア占有の状態が送信局と受信局とで異なる場合がある。図42には、送信局STA1と受信局STA0とで周辺局トラヒックが相違する様子を図解している。同図に示す例では、STA1の周辺局はSTA4とSTA5であるが、STA0の周辺局はSTA2とSTA3であり、STA0における周辺局トラフィックとSTA1における周辺局トラフィックには大きな違いが生じていることになる。
このような場合には、通信局STA1は、通信局STA0に対して情報の送信を開始する前に、周辺局の優先送信区間の利用状況を幾つかのSense Levelと組にして報告させてから、優先送信区間と送受信可能範囲を決定するようにする。
図43には、通信局が周辺局の優先送信区間の利用状況とSense Levelに基づいて自局の優先送信区間と送受信可能範囲を決定するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
情報の送信元であるSTA1は、通信プロトコルの上位レイヤより通信局STA0に向けた帯域確保を指示されたとする。ここで、スーパーフレーム内の多くのスロットが周辺局により既に使用されており、指示された帯域を確保することができない場合を想定する。
すると、通信局STA1は、通信局STA0に宛てて、「スキャン結果に基づき、Sense Levelを上げながら空きスロットの検出を試みる処理を行ない、結果を報告してほしい」旨のリクエストを送信する(ステップS51)。
さらに、通信局STA1は、スキャン処理を起動し、周辺局のメディア占有状態を確認する(ステップS52)。
一方、通信局STA0は、通信局STA1からのリクエストを受信すると、同様にスキャン処理を起動する。そして、スキャン結果に基づいて、図25に示した処理手順に従って、Sense Levelを上げながら空きスロットの検出を試みる処理を行ない、各Sense Levelにおいて検出された空きスロット数を抽出しておく(ステップS53)。さらに、通信局STA0は、この情報群を通信局STA1に返送する(ステップS54)。
通信局STA1は、通信局STA0から情報群を受信すると、STA1のビーコンから得られているNBOI情報をこの情報群へと差し替えた上で、図25に示した処理手順に従って、Sense Levelを上げながら空きスロットの検出を試みる処理を行ない、当該トラフィック収容のための優先送信区間における送信可能範囲及び受信可能範囲の抽出を行なう(ステップS55)。
通信局STA1は、空きスロットの検出を試みる処理において、通信局STA0から受信した、Sense Level毎の空きスロット情報を利用することにより、受信局となるSTA0のSense Levelが変更された状態でのSTA0周辺局のトラフィックを加味して空きスロットの検出を行なうことが可能となる。このとき、Sense Levelを上げることに伴い送信電力を下げるため、相手局における受信SINRが減少する現象も加味して補正をかけながら、必要スロット数を調整することも肝要である。
このような手順を踏むことで、特定通信局間で送受信を行なう時間帯においては、送信局及び受信局の双方の周辺局の占有状態を加味して、事前に送受信可能範囲を変更して送受信する時間帯を決定することが可能となる。
E−7.スキャン時の動作
通信局は、Sense Levelを変更することにより、受信可能範囲(と送信可能範囲)を制限することになった場合、定常状態においては、設定されたSense Levelに応じて受信信号の有無を確認するため、受信可能範囲外の様子をうかがい知ることができなくなる。
ところが、自律分散型のネットワーク・システムにおいては、上述の通り一定期間毎にスキャン処理を行なうが、この際には、制限された通信可能範囲外の周辺局の情報をも抽出する必要がある。この目的から、通信局は、スキャン動作時には一時的にSense Levelを最小に設定し(すなわち信号検出能力を最大にし)、信号の受信を行なう。
このスキャン処理の最中には、定常状態では存在しなかった通信局のビーコンが受信されることになるが、そのようなビーコンに付加されているRx Sense Levelは設定されたSense Levelを下回っている筈である。したがって、新規の通信局からのビーコンが受信された場合であっても、当該ビーコンのRx Sense Levelが設定されているSense Levelを下回っている場合には、当該通信局並びにビーコンは存在しないものとして基本的な処理を施す。
また、通信局は、スキャン処理を行なった結果、設定されているSense Levelを下回るRx Sense Levelが付加されているビーコンを集計対象としてRx NBOI Tableを作成する。ここで、Rx NBOI Tableに空きが発生していることが判った場合には、送受信可能範囲を拡張するために、当該空き時刻に自局のTBTTを変更する処理を起動するようにしてもよい。Rx NBOI Tableに空きが発生している場合とは、要するにSense Levelを下げて通信可能範囲を拡大しても、通信局が十分な帯域を確保できることを意味する。
この場合、Sense Levelをデクリメントするなり、Rx NBOI Tableに空きが発生する最小値まで戻すなりの、受信可能範囲を拡張する処理が行なわれる。また、Sense Levelの変更に起因して、送信電力の変更も併せて行ない、送信レンジを拡張する。
E−8.送受信可能範囲の拡大処理
例えば、図26に示したような状況でSense Levelを最大レンジに設定できずに定常状態に入った後に。通信局1が消失した場合には、通信局AはSense Levelを下げる(すなわち、信号検出能力を上げて受信可能範囲を拡大する)ことが可能となる。以下では、一旦上げたSense Levelを下げる(すなわち通信可能範囲を拡大する)場合の処理について説明する。
図27には、STA0が何らかの都合により自局のSense Levelとして2を設定しているものの、Sense Level 0まで変更し、受信可能範囲を最大レンジまで延ばしても、干渉する通信局が存在していない状態を示している。このような場合には、STA0のSense Levelを0にし、最大限の通信可能範囲で通信動作を行なうべきである。
図28には、通信局が自局の通信可能範囲を拡大するための処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理動作は、例えば上述したスキャン処理を行ない、周囲に関する最新の通信状況を把握した後に実行される。(送)受信可能範囲を限定しており、且つ(送)受信可能範囲を拡張したい通信局は、下記の処理を行なう。
まず、通信局は、現行のSense Levelを下回るRx Sense Levelのビーコンのみを抽出する(ステップS31)。
次いで、通信局は、Sense Levelをデクリメントする(ステップS32)。そして、先行ステップS32で更新されたSense Level以上のRx Sense Levelを伴うビーコンを集計対象として、Rx NBOI Tableを作成する(ステップS33)。
ここで得られたRx NBOI Tableにおいて、自局が設定しているビーコン送信タイミングTBTTに相当するビット位置がマークされているかどうかを判別する(ステップS34)。
Rx NBOI Tableにおいて自局のTBTTに相当するビット位置がマークされていなければ、Sense Levelを現状まで更新しても、帯域が確保され、問題ない筈であり、今後のSense Levelをこのレベルまで下げることができることが認識される(ステップS35)。但し、Sense Levelがまだ0よりも大きい場合には(ステップS34)、さらに受信可能範囲を拡張するため、ステップS32に戻り、上述と同様の処理を繰り返すこともある。
このようにして、Sense LevelをデクリメントしながらRx NBOI Tableを作成し、自局のビーコン送信タイミングTBTTのビット位置がマークされていない場合にはそのSense Levelに変更する処理が行なわれる。
このような通信可能範囲の拡大処理は、通信局がハンドルしているアプリケーションの要求と見合う場合に行なわれる処理であり、スキャン処理を行なう度に必ず起動しなければならないというものではない。
F.マスタ/スレーブ関係のある通信局の収容
上述したような自律分散型の無線通信システムでは、すべての通信局がビーコンを送信することを想定している。しかしながら、要求トラヒック量などはそれほど多くないものの、低処理しか行なわない通信局をも同時に収容する場合もある。
図29には、低処理通信局が存在するシステムのネットワーク・トポロジを示している。同図において、STA0からSTA7までは通常の通信局であり、それぞれ1スーパーフレーム毎に1回以上のビーコンを送信しており、互いに送受信できる通信可能範囲に存在していれば、ダイレクトに通信を行なうことができる立場にある。
ここで、STA1にしか接続を要求しない低処理通信局STA−Xの存在を考えてみる。この通信局STA−Xは、例えばSTA1からストリーム配信されるコンテンツの受信処理しか行なわないといったように、アプリケーション的にSTA1の極めて近隣でしか動作しないことが明らかな通信局である。
このような場合、STA−Xは、敢えてビーコンを送信することなく、STA1にアソシエーションを要求するメッセージを送信することで自局の存在を示し、STA1にリソースを分けてもらう処理が施される。
このような低処理通信局STA−Xの通信手順について、さらに詳解する。
STA−Xは、基本的には、自律的に送信アクションを起こすことはない。すなわち、STA−Xに送信データが存在した場合であっても、STA1からSTA−X宛てに送信されるポーリング・パケットに応答するという形式により、STA−XからSTA1へのデータ送信が行なわれる。STA1は、このような低処理通信局STA−Xが自局と通信を行なうことを認識すると、自局が正規ビーコンを送信した直後の優先送信区間TPPにて、当該低処理通信局STA−X宛にポーリング・パケットを送信する処理を起動する。
図30には、低処理通信局とその接続先となる通信局間で行なわれる通信手順を示している。STA1からSTA−Xへのデータ送信は勿論のこと、STA−XからSTA1へのデータ送信もSTA1のTPP内で行なわれる。同図では4種類のバリエーションが示されている。
図30(1)では、STA1は、自局のビーコンの送信に引き続き、STA−X宛てにポーリング・フレーム(Poll)が送信される。ポーリング・フレームのDurationフィールドには、例えばSTA−Xが送信してくるであろうと予測される少量のデータを受信するのに十分な時間が格納されている。これに呼応して、STA−Xは送信データが存在すれば、データ(Data−X)を送信する。そして、STA1はデータ受信に成功するとACKを返送する。同図では、この後さらに、STA1からSTA−Xに宛てたデータ(Data−1)の送信が行なわれている。
また、図30(2)には、STA1が自局のビーコンの送信に引き続いてSTA−X宛てにポーリング・フレーム(Poll)を送信したものの、STA−Xには送信データが存在しない場合の通信手順を示している。この場合、STA−Xは、自局の存在をSTA1に通達するために、Keep Aliveフレームを返信する。STA1は、Keep Aliveフレームを受信することにより、STA−Xがまだ通信可能範囲に存在し、通信状態にあることを認識する。なお、Keep AliveフレームはPollingフレームの受信毎に受信する必要はなく、少なくとも数回に1回程度、若しくはSTA−Xが消失したと認識することがないような頻度で送信すればよい。
ポーリング・フレームのDurationフィールドには、少量のデータを受信するのに十分な時間が格納されているが、STA−Xがこれを上回る時間を要する送信データを保持している場合も想定される。図30(3)にはこの場合の送受信手順を示している。
STA1はポーリング・フレームを送信する。そして、これを受信したSTA−Xは、データの送信を試みるが、ポーリング・フレームのDurationフィールドで示された時間内でデータの送信ができないことが分かる。そこで、STA−Xは、データの代わりにRTSフレームをSTA1に宛てて送信する。STA1はRTSフレームの受信に呼応してCTSフレームを返送し、さらにSTA−XがCTSの受信に呼応してデータ送信を開始する。すなわち、STA−Xは、ポーリング・フレームの受信に呼応してRTS/CTS手順に基づくアクセス動作を起動する訳である。
また、図30(4)には、STA1が、自局のビーコン送信直後に獲得する優先送信期間TPPを利用して、データ送信を行なっている様子を示している。図示のように、STA1は、ポーリング・フレームを送信することなく、自局に接続している低処理通信局STA−X宛てにデータ送信を開始している。STA−Xは、データを正常に受信するとACKフレームを返信する。
そして、STA1は、自局の送信データが存在しなくなった時点で、STA−Xに対し送信データの有無を問うためのポーリング・フレームを送信している。図示の例では、ポーリング・フレームのDurationフィールドで示された時間内でデータの送信ができないことから、STA−Xは、ポーリング・フレームの受信に呼応してRTS/CTS手順に基づくアクセス動作を起動している。
上述したように、低処理通信局は、接続先となる通信局(図29〜図30に示した例ではSTA1)以外とは直接に通信を行なう必要はない。したがって、低処理通信局は、自局の信号検出能力をその接続先通信局に合わせて設定するようにしてもよい。低処理通信局は、接続先通信局となる信号検出能力をビーコン情報から得ることができるので、これに合わせることができる。
あるいは、低処理通信局は、接続先通信局以外の信号については受信する意志を持たないため、信号検出能力を接続先通信局よりも低く(すなわちSense Levelを高く)設定することも好ましい。
Sense Levelをデフォルト値から変更した低処理通信局は、上述したような理由から、例えば表2に示したような関係に基づいて送信電力値を変更することも望ましい形態である。
G.データ・レート決定手順
本実施形態に係る無線通信システムにおいて使用されるフレーム・フォーマットの構成は、図2に示した通りである。
基本的には、図35に示したものと大きな変更が加わる必要はないが、当該信号の送信電力レベル(Power)を示すフィールドが付加されている。ここでは、PLCPヘッダ内に送信電力レベルを示すフィールドを付加したが、必ずしもPLCPヘッダ内に存在している必要はなく、MACヘッダ相当の場所に存在しているケースや、ビーコンのみに存在していることもある。すなわち、データの送受信を行う通信局間で互いの送信電力レベルを把握できるという点が重要である。
このように各通信局同士で互いの送信可能範囲を認識し合う無線通信システムにおいては、データ送信を行なう通信局は、送信先となる通信局における受信SNRを推定して、適切なデータ・レートを決定することができる。すなわち、送信先の通信局から以前受け取った信号から得られる受信SNRと、送信先の通信局及び自局の送信可能範囲に基づいて、送信先通信局における受信SNRを推定することができる。そして、この推定結果に応じて適当なデータ・レートを決定することができる。
データの送信に先立って、直前に受信側からのフィードバックがない場合に、データ・レートを決定するための処理手順について、図31を参照しながら説明する。
同図では、STA−0とSTA−1がデータのやりとりをしている場合を想定している。STA−0は、STA−1からデータなど何らかの信号を受信することにより、STA−1から受信された信号の受信SINRを情報[1]として保持し、さらにSTA−1の送信電力レベルを情報[2]として保持する。
そして、STA−0は、STA−1への送信データ・レートを決定する手順として、下記の処理を行なう。
まず、上記の情報[1]並びに情報[2]と自局の送信電力レベルから、STA−0が送信した信号のSTA−1における受信SINR値を推定し、この推定値を情報[3]として抽出する。情報[3]は下式により算出される。
情報[3]=情報[1]− 情報[2]+自局の送信電力レベル
これにより得られた情報[3]から、データ送信先における受信SINRと好適なデータ・レートを決定する。例えば、通信局は受信SINRとデータ・レート・クラスの関係を示すルックアップ・テーブルを保持し、このテーブルを参照することによりデータ・レートを決定する。
なお、データ・レートをプロセスにおいては、単純にルックアップ・テーブルを参照するだけではなく、エラー・レートなどを加味してルックアップ・テーブルを参照してもよい。あるいは、過去に得られた情報[3]に基づいてフィルタリングを行なった結果を基にデータ・レートを決定するようにしてもよい。
要するに、通信相手における受信SINRを推定する際に、自局における受信SINR値と、自局の送信電力レベルと、相手局の送信電力レベルを考慮することが重要なのである。
図32には、通信局がデータ・レートを決定するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、データ送信先となる通信局から何らかの信号を受信し(ステップS41)、この受信信号より受信SINRを測定し、これを変数X1[dB]として格納する(ステップS42)。
さらに、受信信号のPLCPヘッダに記載されている送信電力(Power)を抽出し、これを変数X2[dBm]として格納する(ステップS43)。
また、自局が設定している送信電力を変数X4[dBm]として格納する(ステップS44)。
そして、データ送信先において期待される受信SINRを変数X3[dB]とし、下式により算出する(ステップS45)。
X3=X1−X2+X4
最後に、当該データ送信先に対しデータ送信するに際して適当なデータ・レートを所定の関数から引き出して(ステップS46)、本処理ルーチン全体を終了する。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、自律分散型の無線ネットワークにおいて、各通信局が他の通信局からの送信信号の検出に応じて衝突を回避しながらメディアへのアクセス制御を行なうときに自局の通信可能範囲を設定する場合を主な実施形態として説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。
例えば、各通信局がCSMAを始めとしてメディアの占有状態に応じてメディアへのアクセスを制御する通信システムであれば、自律分散以外の形態のネットワークであっても、本発明を同様に適用することができる。また、各通信局が複数の周波数チャネル上をホッピングして通信を行なうマルチチャネル型の通信システムに対しても、本発明を適用することができる。
また、本明細書では、無線LANを例に本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、より低いSNR環境での信号送受信を行なうウルトラワイドバンド(Ultra Wide Band)のような通信方式に対しても、本発明を好適に適用することが可能である。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の記載を参酌すべきである。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作する無線通信装置の機能構成を模式的に示した図である。 図2は、送信電力を変更する可能性がある場合において使用するフレーム・フォーマットの構成例を示した図である。 図3は、同期処理回路の構成例を示した図である。 図4は、プリアンブル検出器の構成例を示した図である。 図5は、プリアンブル検出器における出力信号の一例を示した図である。 図6は、プリアンブル検出器の出力信号値の分布を示した図である。 図7は、図40に示した例と同様の状況下で、通信局の送信電力値並びに信号検出能力を制御/設定するという本発明に係る制御を加えた場合のアクセス・シーケンスを示した図である。 図8は、周辺に過密に通信局が存在することに応じて、通信局が自局の受信可能範囲を小さくするように制御する様子を示した図である。 図9は、通信局が自局の受信可能範囲を制御したことに伴う送受信可能範囲が不一致となる様子を示した図である。 図10は、STA0が信号検出能力を下げたことに応じて送信電力も下げる処理を行ない、送信可能範囲を受信可能範囲と一致させた様子を示した図である。 図11は、通信局が受信可能範囲の制御により送信可能範囲を適応的に設定するための手順を示したフローチャートである。 図12は、通信局が送信可能範囲の制御により受信可能範囲を適応的に設定するための手順を示したフローチャートである。 図13は、各通信局のビーコン送信手順を説明するための図である。 図14は、1スーパーフレーム内で配置可能なビーコン送信タイミングの構成例を示した図である。 図15は、ビーコン送信局に優先権が与えられる様子を示した図である。 図16は、ビーコン送信局に優先送信期間TPPを与える場合のスーパーフレーム(T_SF)の構成例を示した図である。 図17は、通信局がTPP区間及びFAP区間においてそれぞれ送信を開始するための動作を示した図である。 図18は、通信局として動作する無線通信装置の状態遷移図を示した図である。 図19は、通信局として動作する無線通信装置の状態遷移図についての他の例を示した図である。 図20は、通信局が補助ビーコンという仮想的なビーコンを複数送信して、この優先期間を増やす様子を示した図である。 図21は、自律分散型の無線通信システムにおいて送信されるビーコン・フレームのフォーマット一例を示した図である。 図22は、NBOIの記述例を示した図である。 図23は、TBTTと実際のビーコン送信時刻を示した図である。 図24は、新規に参入した通信局が周辺局から受信したビーコンから得た各ビーコンのNBOIに基づいて自局のTBTTを設定する様子を示した図である。 図25は、通信局が自局のビーコン送信時刻を設定するための処理手順を示したフローチャートである。 図26は、Sense Levelを上げて受信可能範囲を縮小しながら、Rx NBOI Tableを作成して空きスロットを探索するための処理動作を説明するための図である。 図27は、通信局が受信可能範囲を最大レンジまで延ばしても、干渉する通信局が存在していない状態を示した図である。 図28は、通信局が自局の通信可能範囲を拡大するための処理手順を示したフローチャートである。 図29は、低処理通信局が存在するシステムのネットワーク・トポロジを示した図である。 図30は、低処理通信局とその接続先となる通信局間で行なわれる通信手順を示した図である。 図31は、各通信局同士で互いの送信可能範囲を認識し合う無線通信システムにおいて、通信局がデータ・レートを決定するための処理手順を説明するための図である。 図32は、通信局がデータ・レートを決定するための処理手順を示したフローチャートである。 図33は、CSMA/CAに基づく送受信手順(従来例)を説明するための図である。 図34は、RTS/CTS手順に基づくアクセス制御(従来例)を説明するための図である。 図35は、IEEE802.11の拡張規格であるIEEE802.11aにおいて規定されているフレーム・フォーマットの構成例を示した図である。 図36は、IEEE802.11aにおけるプリアンブルの構成を示した図である。 図37は、IEEE802.11で定義されている各フレーム・タイプのPSDU部の構成例を示した図である。 図38は、通信局の存在を考慮した場合におけるCSMA手順に基づくアクセス制御の振る舞いを説明するための図である。 図39は、通信局の存在を考慮した場合におけるCSMA手順に基づくアクセス制御の振る舞いを説明するための図である。 図40は、送信電力の不一致によるアクセス制御の不均一性を説明するための図である。 図41は、通信局が時間帯に応じて送信電力並びに信号検出電力を変動させる様子を示した図である。 図42は、送信局STA1と受信局STA0とで周辺局トラヒックが相違する様子を示した図である。 図43は、通信局が周辺局の優先送信区間の利用状況とSense Levelに基づいて自局の優先送信区間と送受信可能範囲を決定するための処理手順を示したフローチャートである。
符号の説明
100…無線通信装置
101…インターフェース
102…データ・バッファ
103…中央制御部
104…送信データ生成部
106…無線送信部
107…タイミング制御部
109…アンテナ
110…無線受信部
112…受信データ解析部
113…情報記憶部

Claims (47)

  1. 各通信局が他の通信局からの送信信号の検出若しくは送信信号に記載されている情報に応じて衝突を回避しながらアクセスを行なう無線通信システムであって、
    通信局毎に送信及び受信が可能な通信可能範囲を設定することが許容され、
    各通信局は、メディアの占有状態を確認し、自局の通信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 各通信局は時分割複信にて多元接続を行なう、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 各通信局は、自局の信号検出能力を制御して受信可能範囲を設定し、自局の送信電力を制御して送信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  4. 各通信局は、自局が設定した受信可能範囲に適応した送信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  5. 各通信局は、自局が設定した送信可能範囲に適応した受信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  6. 通信局は、隣接局が自局の送信可能範囲よりも高い送信可能範囲に設定して送信していることを認識したことに応答して、自局の受信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  7. 通信局は、自局から受信可能な周辺局の受信可能範囲外にいることを認識したことに応答して、自局の受信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  8. 通信局は、通信中の相手局からの受信電力が十分に高く、送信電力を下げても所望の高いデータ・レートでの伝送が可能であると判断された場合に、通信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  9. 通信局は、所望の通信相手以外の局からの信号がメディアを占有する状態が継続し、所望の通信相手に向けての送信時間を確保できないと判断された場合に通信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  10. 通信局は、1つ以上の周辺局が電波の到達範囲の境界近傍に存在し通信可能な隣接局と判断すべきか否かがあいまいな場合には、通信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  11. 通信局は、通信局固有の送信電力や送信信号精度、受信性能のばらつき、又は通信局周辺の干渉量の格差に応じて通信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  12. 通信局は、メディアの占有状態を確認し、自局の通信可能範囲に共存する通信局数が所定範囲となるように通信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  13. 通信局は、受信可能な通信局数を制限するために自局の受信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信システム。
  14. 通信局は、送信可能な通信局数を制限するために自局の送信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信システム。
  15. 通信局は、時間帯に応じて自局の通信可能範囲を変化させるように設定する、
    ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信システム。
  16. 通信局は、特定通信局との通信時間帯近辺に限り自局の通信可能範囲を狭めるように設定する、
    ことを特徴とする請求項15に記載の無線通信システム。
  17. 通信局は、特定通信局との通信時間帯を決定するに先立ち、送受信局双方の送受信可能範囲に応じたメディア占有情報を抽出し、当該メディア占有情報に基づいて通信時間帯を決定する、
    ことを特徴とする請求項15に記載の無線通信システム。
  18. 各通信局がネットワークに関する情報を記載したビーコン信号を報知して自律分散的に動作する無線通信環境下において、
    通信局は、周辺局からのビーコン信号を受信するためのスキャン処理を実行する際に、自局の受信可能範囲を最大に設定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  19. 通信局は、スキャン処理により自局の通信可能範囲を拡大しても十分な帯域を確保できることが判明した場合には、通信可能範囲を拡大する処理を行なう、
    ことを特徴とする請求項18に記載の無線通信システム。
  20. 特定の通信局同士がそれぞれマスタ局及びマスタ局とのみ通信するスレーブ局として動作するとき、
    前記スレーブ局は自局の受信可能範囲を前記マスタ局の受信可能範囲以下に設定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  21. 前記スレーブ局として動作する通信局は、前記マスタ局から信号を受信したことに応答して、自局の存在を通知するための信号を前記マスタ局に返信する、
    ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信システム。
  22. 各通信局同士で送信電力に関する情報を交換し合い、
    第1の通信局から第2の通信局へデータ伝送を行なう際、第1の通信局は、第2の通信局から以前受け取った信号から得られる受信SNRと、第2の通信局及び自局の送信電力に基づいて第2の通信局における受信SNRを推定し、該推定結果に応じてデータ・レートを決定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  23. 信号を受信可能な信号検出能力レベルに関する情報を各通信局同士で交換し合う、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  24. 所定の無線通信環境下において他の通信局からの送信信号の検出若しくは送信信号に記載されている情報に応じて衝突を回避しながらアクセスを行なう無線通信装置であって、
    チャネル上で無線データを送受信する通信手段と、
    メディアの占有状態を監視するメディア監視手段と、
    前記メディア監視手段により確認されたメディア占有状態に基づいて、前記通信手段における通信可能範囲を設定する通信制御手段と、
    を具備することを特徴とする無線通信装置。
  25. 前記通信手段は時分割複信にて多元接続を行なう、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  26. 前記通信制御手段は、前記通信手段における信号検出能力を制御して受信可能範囲を設定し、前記通信手段における送信電力を制御して送信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  27. 前記通信制御手段は、前記通信手段における受信可能範囲を変更したときに、送信可能範囲を適応的に設定する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  28. 前記通信制御手段は、前記通信手段における送信可能範囲を変更したときに、受信可能範囲を適応的に設定する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  29. 前記通信制御手段は、隣接局が自局の送信可能範囲よりも高い送信可能範囲に設定して送信していることを認識したことに応答して、自局の受信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  30. 前記通信制御手段は、自局から受信可能な周辺局の受信可能範囲外にいることを認識したことに応答して、自局の受信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  31. 前記通信制御手段は、通信中の相手局からの受信電力が十分に高く、送信電力を下げても所望の高いデータ・レートでの伝送が可能であると判断された場合に、通信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  32. 前記通信制御手段は、所望の通信相手以外の局からの信号がメディアを占有する状態が継続し、所望の通信相手に向けての送信時間を確保できないと判断された場合に通信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  33. 前記通信制御手段は、1つ以上の周辺局が電波の到達範囲の境界近傍に存在し通信可能な隣接局と判断すべきか否かがあいまいな場合には、通信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  34. 前記通信制御手段は、通信局固有の送信電力や送信信号精度、受信性能のばらつき、又は通信局周辺の干渉量の格差に応じて通信可能範囲を変更する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  35. 前記通信制御手段は、前記メディア監視手段により確認されたメディア占有状態に基づいて、自局の通信可能範囲に共存する通信局数が所定範囲となるように通信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  36. 前記通信制御手段は、受信可能な通信局数を制限するために自局の受信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項35に記載の無線通信装置。
  37. 前記通信制御手段は、送信可能な通信局数を制限するために自局の送信可能範囲を設定する、
    ことを特徴とする請求項35に記載の無線通信装置。
  38. 前記通信制御手段は、時間帯に応じて自局の通信可能範囲を変化させるように設定する、
    ことを特徴とする請求項35に記載の無線通信装置。
  39. 前記通信制御手段は、特定通信局との通信時間帯近辺に限り自局の通信可能範囲を狭めるように設定する、
    ことを特徴とする請求項38に記載の無線通信装置。
  40. 前記通信制御手段は、特定通信局との通信時間帯を決定するに先立ち、送受信局双方の送受信可能範囲に応じたメディア占有情報を抽出し、当該メディア占有情報に基づいて通信時間帯を決定する、
    ことを特徴とする請求項38に記載の無線通信装置。
  41. ネットワークに関する情報を記載したビーコン信号を報知して自律分散的に動作する無線通信環境下において通信局として動作し、
    ビーコン信号を作成する手段と、ビーコン信号を解析する手段と、周辺局からのビーコン信号を受信するためのスキャン処理を実行する手段をさらに備え、
    前記通信制御手段は、スキャン処理を実行する際に、自局の受信可能範囲を最大に設定する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  42. 前記通信制御手段は、スキャン処理により自局の通信可能範囲を拡大しても十分な帯域を確保できることが判明した場合には、通信可能範囲を拡大する処理を行なう、
    ことを特徴とする請求項41に記載の無線通信装置。
  43. 特定のマスタ局とのみ通信するスレーブ局として動作するとき、
    前記通信制御手段は、自局の受信可能範囲を前記マスタ局の受信可能範囲以下に設定する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  44. 前記マスタ局から信号を受信したことに応答して、前記通信制御手段は、自局の存在を通知するための信号を前記マスタ局に返信するように制御する、
    ことを特徴とする請求項43に記載の無線通信装置。
  45. 他の通信局との間で送信電力に関する情報を前記通信手段を介して送受信する手段と、他の通信局から信号を受信したときの受信SNRを取得する手段をさらに備え、
    ある通信局に対しデータ伝送を行なう際、前記通信制御手段は、該通信局から以前受け取った信号から得られる受信SNRと、該通信局及び自局の送信電力に基づいて該通信局における受信SNRを推定し、該推定結果に応じてデータ・レートを決定する、
    ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信装置。
  46. 所定の無線通信環境下において他の通信局からの送信信号の検出若しくは送信信号に記載されている情報に応じて衝突を回避しながらアクセスを行なう通信局としての動作を制御する無線通信方法であって、
    メディアの占有状態を監視するメディア監視ステップと、
    前記メディア監視ステップにおいて確認されたメディア占有状態に基づいて、前記通信手段における通信可能範囲を設定する通信制御ステップと、
    を具備することを特徴とする無線通信方法。
  47. 所定の無線通信環境下において他の通信局からの送信信号の検出若しくは送信信号に記載されている情報に応じて衝突を回避しながらアクセスを行なう通信局としての動作を制御するための処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
    メディアの占有状態を監視するメディア監視ステップと、
    前記メディア監視ステップにおいて確認されたメディア占有状態に基づいて、前記通信手段における通信可能範囲を設定する通信制御ステップと、
    を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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